説明

2重ループ構造

【課題】増加する誘起電圧を抑制することにより待機ループに接続されたコンデンサ素子や電子機器等の破壊を防止すること。
【解決手段】高周波電源2に接続され通電された常用給電ループ3と、高周波電源5に接続され常用給電ループ3から誘起電圧が誘起される待機給電ループ6とを備える。常用給電ループ3は高周波電源2から所定の距離を置いて捻架点4を有して構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の高周波電源に接続された第1の給電ループと該第1の給電ループに並設され第2の高周波電源に接続された第2の給電ループで構成された2重ループ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、1重ループ構造と呼ばれる給電ループ(以下の特許文献1参照)が知られている。1重ループ構造とは、高周波電源に接続され、所定の容量性リアクタンス(1/ωC)をもつコンデンサを備えて構成されたものである。この給電ループは常時通電されている通電ループとしての機能を有している。
【0003】
尚、給電ループそのものをコイルとみなした場合に該コイルの誘導性リアクタンス(ωL)と等しい容量性リアクタンスを有するコンデンサが選択されている。容量性リアクタンスと誘導性リアクタンスを等しくさせることによって給電ループ全体におけるインピーダンスを零にしてループに効率よく電流を流すことができるからである。
【0004】
近年、通電ループの信頼性を高めるために2重ループ構造なるものが提案されている。この2重ループ構造は、上記した1重ループと呼ばれる給電ループを2つ設けて構成されたものである。2重ループ構造の一例としては、常時通電されている通電ループとして機能する給電ループと、通電ループの予備としての機能を有する待機ループとを備えて構成された2重ループ構造が挙げられる。上記例では通電ループ及び待機ループは共に高周波電源に接続されており通電ループのみが通電されており待機ループは通電されていない。
【0005】
他の例としては、常時通電されている通電ループとして機能する給電ループを2つ備えた2重ループ構造が挙げられる。
尚、以下の説明では、高周波電源位置を始端とし待機ループの長軸方向端部(ループの折り返し端)を終端として、高周波電源位置からループの折り返し端までの距離をループ長と呼ぶこととする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−50852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、高周波電源がオンして通電ループとしての給電ループに交流電流が流れると、他方の待機ループとしての給電ループには誘起電圧が発生する。
ここで、待機ループに誘起される誘起電圧と高周波電源からの距離との関係について図8を参照して説明する。図8は待機ループに発生する誘起電圧(縦軸)と高周波電源からの距離(横軸)との関係を示したグラフである。
【0008】
待機ループに誘起される誘起電圧は、図8に示すように通電ループに接続された高周波電源からの距離が長くなるにしたがって増加する。このため2重ループ構造を構成する給電ループのループ長が長くなればなるほど待機ループに誘起される誘起電圧が過大になってしまう。
【0009】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、増加する誘起電圧を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の2重ループ構造は、第1の高周波電源に接続され通電された第1の給電ループ(通電ループ)と、第2の高周波電源に接続され前記第1の給電ループから誘起電圧が誘起される第2の給電ループ(待機ループ)とを備え、前記第1の高周波電源から所定の距離を置いて少なくとも1つの捻架点があり、該捻架点を境に前記第2の給電ループに対して与える磁界の向きを逆にするように前記第1の給電ループが捻架されていることを特徴とする。
【0011】
第2の高周波電源から第2の給電ループの長軸方向端(ループの折り返し端)までの、第1の給電ループから第2の給電ループに誘起される誘起電圧は、具体的には以下のように変化する。
【0012】
第1の高周波電源がオンして第1の給電ループに電流が流れると第2の給電ループに誘起電圧が誘起され、その後、該誘起電圧は高周波電源から離れるにしたがって増加し続ける。そして、捻架点を境に第1の給電ループから第2の給電ループに対して与えられる磁界の向きが逆方向になり、捻架点を境に第2の給電ループに誘起される誘起電圧の向きが逆方向になる。このため、第2の給電ループの誘起電圧は捻架点を境に高周波電源から離れるにしたがって減少する。
【0013】
ここで、第1の給電ループが捻架されていない場合には、第2の給電ループに誘起される誘起電圧は高周波電源から離れるにしたがって増加し続ける。
従って、第1の給電ループが捻架されていない場合に比べて誘起電圧の増加を抑制することができる。
【0014】
また、請求項2に記載の2重ループ構造は、第1の高周波電源に接続され通電された第1の給電ループ(通電ループ)と、第2の高周波電源に接続され前記第1の給電ループから誘起電圧が誘起される第2の給電ループ(待機ループ)とを備え、前記第2の高周波電源から所定の距離を置いて少なくとも1つの捻架点があり、該捻架点を境に前記第2の給電ループに与える磁界の向きを逆にするように前記第2の給電ループが捻架されていることを特徴とする。
【0015】
第2の高周波電源から捻架点を介して第2の給電ループの長軸方向端までの誘起電圧は具体的には以下のように変化する。
第1の給電ループの高周波電源をオンしてから第2の給電ループに誘起電圧が誘起され、その後該誘起電圧は高周波電源から離れるにしたがって増加し続ける。そして、捻架点を境に第1の給電ループから第2の給電ループに対して与えられる磁界の向きが逆方向になり、第2の給電ループに誘起される誘起電圧の向きが逆方向になる。従って、第2の給電ループの誘起電圧は捻架点を境に高周波電源から離れるにしたがって減少する。
【0016】
ここで、第2の給電ループが捻架されていない場合には、第2の給電ループに誘起される誘起電圧は高周波電源から離れるにしたがって増加し続ける。
従って、第2の給電ループが捻架されていない場合に比べて誘起電圧の増加を抑制することができる。
【0017】
請求項3に記載されるように、前記第1の給電ループに複数の捻架点が設けられ場合、隣接する前記各捻架点間の距離が等間隔であることが望ましい。
複数の捻架点を有する場合には第1の高周波電源から数えて最初の捻架点で第2の給電ループに与える磁界の向きが逆方向(第1の方向)に変わり、次の捻架点で第2の給電ループに与える磁界の向きが前記第1の方向とは逆の方向(第2の方向)に変わり、以降は捻架点ごとに磁界の向きが第1の方向、第2の方向、・・・に変わる。
【0018】
第1の高周波電源をオンして第1の給電ループに電流が流れると第2の給電ループに誘起電圧が誘起される。第1の高周波電源から最初の捻架点まで誘起電圧が増加(所定量だけ増加)し、最初の捻架点から次の捻架点までは誘起電圧が減少(前記所定量と同量だけ減少)し、さらに次の捻架点までは誘起電圧が増加(前記所定量と同量だけ増加)するという動作が繰り返される。このため、第2の給電ループに誘起される誘起電圧が増加し続けることはない。
【0019】
従って、誘起電圧が第2の給電ループ上で増加し続けることを抑制することができる。 請求項4に記載されるように、前記第2の給電ループに複数の捻架点が設けられ場合、隣接する前記各捻架点間の距離が等間隔であることが望ましい。
【0020】
複数の捻架点を有する場合には第2の高周波電源から数えて最初の捻架点の位置で第2の給電ループに与える磁界の向きが逆方向(第1の方向)に変わり、次の捻架点で第2の給電ループに与える磁界の向きが前記第1の方向とは逆の方向(第2の方向)に変わり、以降は捻架点ごとに第2の給電ループに与える磁界の向きが第1の方向、第2の方向、・・・に変わる。
【0021】
第1の高周波電源をオンして第1の給電ループに電流が流れると第2の給電ループに誘起電圧が誘起される。第2の高周波電源から最初の捻架点まで誘起電圧が増加(所定量だけ増加)し、最初の捻架点から次の捻架点までは減少(前記所定量と同量だけ減少)し、さらに次の捻架点までは増加(前記所定量と同量だけ増加)するという動作が繰り返される。このため、第2の給電ループに誘起される誘起電圧が増加し続けることはない。
【0022】
従って、誘起電圧が第2の給電ループ上で増加し続けることを抑制することができる。 請求項5に記載の2重ループ構造は、第1の高周波電源に接続され通電された第1の給電ループ(第1の通電ループ)と、第2の高周波電源に接続され通電された第2の給電ループ(第2の通電ループ)とを備え、前記第1の給電ループに複数の捻架点が設けられ、前記第2の給電ループに複数の捻架点が設けられ、前記第1の給電ループの隣り合う捻架点間に対応させて前記第2の給電ループの捻架点が一つ配置され、前記第1の給電ループの各捻架点を境に前記第1の給電ループから前記第2の給電ループに与える磁界の向きを逆にするように前記第1の給電ループが捻架され、前記第2の給電ループの各捻架点を境に前記第2の給電ループから前記第1の給電ループに与える磁界の向きを逆にするように前記第2の給電ループが捻架されていることを特徴とする。
【0023】
すなわち、第1の給電ループの隣り合う捻架点間(捻架区間A1)に対応させて第2の給電ループの捻架点が一つ配置され、第1の給電ループの捻架区間A1に隣接する捻架区間B1に対応させて第2の給電ループの捻架点が一つ配置され、このような捻架点の配置が第1の給電ループ及び第2の給電ループの長軸方向端まで行われる。
【0024】
ところで、給電ループを2つ備えた2重ループ構造とした場合には相互インダクタンスMの要素が追加され共振周波数がずれてしまうので効率的に電流を流すことができなくなり集電できなくなる。
【0025】
上記した構成によれば、第1の高周波電源(37)から数えて最初の捻架点(39)を境に第1の給電ループ(38)が第2の給電ループ(43)に与える磁界の向きが逆方向に変わり、第2の高周波電源(42)から数えて最初の捻架点(45)を境に第2の給電ループ(43)が第1の給電ループ(38)に与える磁界の向きが逆方向に変わる。
【0026】
その後、第1の給電ループ(38)の次の捻架点(40)を境に第1の給電ループ(38)が第2の給電ループ(43)に与える磁界の向きが逆方向に変わり、第2の給電ループ(43)の次の捻架点(46)を境に第2の給電ループ(43)が第1の給電ループ(38)に与える磁界の向きが逆方向に変わり、以降は、上記動作が第1の給電ループ(38)及び第2の給電ループ(43)の長軸方向端まで繰り返される。
【0027】
従って、前記第1の給電ループの各捻架点に対応する第2の給電ループの各対応位置を境に第2の給電ループに誘起される誘起電圧が所定量だけ打ち消し合うとともに、前記第2の給電ループの各捻架点に対応する第1の給電ループの各対応位置を境に第1の給電ループに誘起される誘起電圧が所定量だけ打ち消し合うため、上記した相互インダクタンスMの値を軽減することができる。このため共振周波数のずれの量を軽減することができる。
【0028】
請求項6に記載されるように、前記第1の給電ループの隣り合う捻架点間の距離が同一であり、前記第1の給電ループの隣り合う捻架点と捻架点の中間に対応させて前記第2の給電ループの捻架点が一つ配置されることが望ましい。
【0029】
上記した構成によれば、上記打ち消し合う所定量が、前記第1の給電ループの各捻架点を境に第2の給電ループに誘起される誘起電圧と同値になるとともに前記第2の給電ループの各捻架点を境に第1の給電ループに誘起される誘起電圧と同値になる。このため、上記した相互インダクタンスMがないのと同様の状態になり、共振条件はω(L+M)=1/ωCではなくωL=1/ωCとなる。
【0030】
従って、共振周波数のずれを確実になくすことができる。
ところで、第1の高周波電源から最初の捻架点までの区間Aにおいて第1の電流及び第2の電流の位相はそれぞれ0度であるので合成電流振幅は2倍となり区間A2において集電が可能となる。ところが第1の給電ループの最初の捻架点から第2の給電ループの最初の捻架点までの区間B2において第1の電流及び第2の電流の位相はそれぞれ180度と0度であるので、電流振幅は打ち消し合い区間B2において集電が不能となる。以降の区間では集電可能、集電不能が交互に繰り返される。
【0031】
そこで、請求項7に記載されるように前記第1の給電ループに流れる第1の電流と前記第2の給電ループに流れる第2の電流との位相差を90度にする電流位相制御部をさらに設けることによって安定した電力供給を行うことができる。
【0032】
第1の高周波電源(37)から第1の給電ループ(38)の最初の捻架点(39)までの区間A2(捻架点(39)を含めず)においては、電流位相制御部(50)によって第1の電流及び第2の電流の位相差を常に90度になるように制御しているので、第1の電流の位相と第2の電流の位相の差は常に90度である。このため第1の給電ループ及び第2の給電ループは区間A2において集電が可能となる。
【0033】
次に、第1の給電ループの捻架点(39)から第2の給電ループの最初の捻架点(45)までの区間B2(捻架点(45)を含めず)においては、第1の給電ループの捻架点(39)を境に第1の電流の位相は180度ずれるが1の電流の位相と第2の電流の位相の差は90度のままである。このため、区間A2と同様に、第1の給電ループ及び第2の給電ループは区間B2において集電が可能となる。
【0034】
次に、第2の給電ループの捻架点(45)から第1の給電ループの次の捻架点(40)までの区間C2(捻架点(40)を含めず)においては、第2の給電ループの捻架点(45)を境に第2の電流の位相は180度ずれるが第1の電流の位相と第2の電流の位相の差が90度のままである。このため、区間A2と同様に第1の給電ループ及び第2の給電ループは区間C2において集電が可能となる。以降、区間C2から第1の給電ループ及び第2の給電ループの長軸方向端まで上記同様の動作が繰り返される。
【0035】
上記したように第1の電流と第2の電流の位相差は第1の給電ループ及び第2の給電ループのいずれの区間であっても常に90度を保つことができ集電が可能となる。
従って、前記第1の給電ループ及び前記第2の給電ループのすべての箇所において集電不能期間を無くすことができ安定した電力供給を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】(a)は第1の実施形態の2重ループ構造を表す図であり、(b)は待機給電ループに誘起される誘起電圧と高周波電源からの距離との関係を示したグラフである。
【図2】2重ループ構造の配置態様を表す図である。
【図3】共振周波数にずれが生じる場合の2重ループ構造の一例を表す図である。
【図4】(a)は第2の実施形態の2重ループ構造を表す図であり、(b)は相互インダクタンスMの値が零になる等の原理について説明するための図である。
【図5】図4の2重ループ構造の配置態様を表す図である。
【図6】(a)は第1の実施形態における常用給電ループにおける共振周波数特性を示したものであり、(b)は図2に示す常用給電ループにおける共振周波数特性を示したものであり、(c)は第2の実施形態における常用給電ループにおける共振周波数特性を示したものである。
【図7】第2の実施形態の2重ループ構造の変形例を表す図である。
【図8】従来例における待機給電ループに誘起される誘起電圧と高周波電源からの距離との関係を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
[第1の実施形態]
以下に本発明の第1の実施形態について図1を参照して説明する。
図1(a)は第1の実施形態の2重ループ構造を表す図であり、図1(b)は待機給電ループに誘起される誘起電圧と高周波電源からの距離との関係を示したグラフである。
【0038】
実施形態の2重ループ構造は、常時通電されている第1の給電ループとしての常用給電ループ3と通常は通電されていない予備的給電ループとしての役割をもつ第2の給電ループとしての待機給電ループ6とを備えて構成されている。尚、以下の説明では、高周波電源位置を始端とし待機ループの長軸方向端(ループの折り返し端)を終端として、高周波電源位置からループの折り返し端までの直線距離をループ長と呼ぶこととする(図1(a)参照)。
【0039】
また、2重ループ構造を構成する常用給電ループ3と待機給電ループ6の配置態様について図2を参照して説明する。図2(a)〜(c)は2重ループ構造を真上から見た図である。尚、図2(a)〜(c)は2重ループ構造の配置態様を説明するための図であるため便宜上常用給電ループ3に設けられている捻架点を省略している。
【0040】
第1の態様として、例えば、図2(a)に示すように常用給電ループ3と待機給電ループ6が水平方向に所定間隔ずれて配置され、さらに常用給電ループ3の上に所定間隔をおいて待機給電ループ6が一部重なるように配置されている態様(以下、「一部重なり配置」と呼ぶ。)が挙げられる。
【0041】
第2の態様として、例えば、図2(b)に示すように常用給電ループ3と待機給電ループ6が水平方向にずれることなく常用給電ループ3の上に所定間隔をおいて待機給電ループ6が完全に重なるように配置されている態様(以下、「全重なり配置」と呼ぶ。)が挙げられる。
【0042】
尚、上記したループ同士が重なる配置態様以外にも、図2(c)に示すように常用給電ループ3と待機給電ループ6が重なることなく水平方向に所定間隔をおいて横並びで配置される態様(以下、「横並び配置」と呼ぶ。)でもよい。
【0043】
以下の説明では、常用給電ループ3と待機給電ループ6の配置態様が一部重なり配置であるとして説明する。尚、後述する第2の実施の形態及び第3の実施の形態に関わる2重ループ構造においても2重ループの配置態様が一部重なり配置であるとして説明する。
【0044】
また、常用給電ループ3と待機給電ループ6としては、高周波電源に接続された閉ループ構造であり、例えば、楕円形状のループや略長方形状のループ等が挙げられる。また、常用給電ループ3と待機給電ループ6のループ長は等しい。
【0045】
常用給電ループ3は高周波電源2に接続されており、コンデンサC1,C2と、捻架点4を介してコンデンサC1に接続されたコンデンサC4と、捻架点4を介してコンデンサC2に接続されたコンデンサC3とを備えて構成されている。
【0046】
待機給電ループ6は高周波電源2と同一周波数の高周波電源5に接続され、コンデンサC5,C6を備えて構成されている。高周波電源5とコンデンサC5の間にはスイッチSWが設けられている。通常時にはスイッチSWはオフしており待機給電ループ6は通電されていない。
【0047】
尚、図1(a)の例では、常用給電ループ3の捻架点4における捻りは180度捻り(1回捻り)である。180度捻りにする理由は、後述するように捻架点4から見て高周波電源2側(前側)における待機給電ループ6に与える磁界の向き(待機給電ループ6に誘起される誘起電圧の向き)と折り返し端側(後側)における待機給電ループ6に与える磁界の向き(待機給電ループ6に誘起される誘起電圧の向き)を互いに逆方向にできるからである。
【0048】
また、捻りは上記した1回捻り以外に奇数回(3回、5回、・・・)捻りであってもよい。奇数回捻りであれば上記1回捻りの場合と同様に捻架点4を境に待機給電ループ6に与える磁界の向きを逆方向にできるからである。
【0049】
また、図1(a)に示す例では、捻架点4は常用給電ループ3のループ長の中間に配置されている。
ここで、常用給電ループ3は所定のインダクタンスLを有するコイルとしてみなすことができるので、高周波電源2からの交流電流が常用給電ループ3に流れると、常用給電ループ3から待機給電ループ6に誘起電圧が誘起される。待機給電ループ6に誘起される誘起電圧は、図1(b)に示すように、常用給電ループ3に接続された高周波電源2(始端)から捻架点4までの間では高周波電源2からの距離が長くなるにしたがって増大し、捻架点4から折り返し端(終端)までの間では高周波電源2からの距離が長くなるにしたがって減少する。
【0050】
待機給電ループ6に誘起される誘起電圧が捻架点4から折り返し端までの間で減少する理由は、常用給電ループ3において、捻架点4から見て高周波電源2側(前側)における待機給電ループ6に与える磁界の向き(待機給電ループ6に誘起される誘起電圧の向き)と折り返し端側(後側)における待機給電ループ6に与える磁界の向きがそれぞれ逆方向になるからである。
【0051】
図1(a)の例では、捻架点4が常用給電ループ3のループ長の中間に配置されているので、始端から捻架点4までの待機給電ループ6に誘起される誘起電圧の増加分と捻架点4から終端までの該誘起電圧の減少分が同じになる。このためループの終端で待機給電ループ6に誘起される誘起電圧がちょうど零になる。
【0052】
ここで、仮に常用給電ループ3が捻架されていない場合を考えると、待機給電ループ6に誘起される誘起電圧はループの始端から終端まで増加し続ける。
従って、常用給電ループ3が捻架されていない場合に比べて誘起電圧の増加を抑制することができる。
【0053】
尚、図1(a)の例とは異なり、捻架点4が常用給電ループ3のループ長の中間に配置されていない場合、例えば、始端から捻架点4までの距離の方が捻架点4から終端までの距離よりも長い場合には、終端における待機給電ループ6に誘起される誘導電圧は完全に零にならない。この場合、誘起電圧の増加分と減少分が図1(b)の例のように完全に打ち消し合うことはないが、常用給電ループ3が捻架されていない場合に比べると待機給電ループ6に誘起される誘起電圧の増加を抑制することができる。
【0054】
(変形例1)
図1に示した例では、待機用給電ループ6に対して常用給電ループ3のループ長の中間に1つの捻架点4を有して構成したものを示したが、常用給電ループ3に複数の捻架点(図示せず)を有して構成したものでもよい。
【0055】
具体的には、高周波電源2から最初の捻架点までの距離、及び、隣り合う捻架点間の距離が全て同じになるように常用給電ループ3の複数箇所に捻架点を設ける。
捻架点の設定方法は、具体的には、(1)まず、高周波電源2から所定の距離だけ離れた位置に最初の捻架点を設け、(2)最初の捻架点から次の捻架点までの距離、及び、以降の捻架点間の距離をループの終端に至るまで全て等間隔にするように捻架点を設ける。
【0056】
上記構成によれば、常用給電ループ3において、各捻架点から見て高周波電源2側(前側)における待機給電ループ6に与える磁界の向き(誘起電圧の向き)と折り返し端側(後側)における磁界の向き(誘起電圧の向き)がそれぞれ逆方向になるため各捻架点を境に捻架点の前側誘起電圧と後側誘起電圧が打ち消し合うことになる。
【0057】
このため、待機給電ループ6に誘起される誘起電圧が増加し続けることはない。従って、誘起電圧の増加を抑制することができる。
(変形例2)
上記第1の実施の形態に関わる2重ループ構造は、常用給電ループ3と常用給電ループ3から誘起電圧が誘起される待機給電ループ6とを備え、捻架点4を境に待機給電ループ6に与える磁界の向きを逆にするように常用給電ループ3が捻架された構成となっているが、常用給電ループと該常用給電ループから誘起電圧が誘起される待機給電ループとを備え、捻架点を境に常用給電ループから待機給電ループに与える磁界の向きを逆にするように待機給電ループが捻架された構成(図示せず)としてもよい。
【0058】
このような構成でも、待機給電ループに誘起された誘起電圧は待機給電ループに接続された高周波電源から離れるにしたがって増加し続け捻架点を境に誘起電圧の向きが互いに逆方向となるので、待機給電ループの誘起電圧は捻架点を境に前記高周波電源から離れるにしたがって減少する。従って、誘起電圧の増加を抑制することができる。
【0059】
[第2の実施形態]
以下に本発明の第2の実施形態について図3〜図6を参照して説明する。
本発明の第2の実施形態の2重ループ構造は、常時通電されている常用給電ループ38,43を2つ用いた形態である。
【0060】
ところで、高周波電源とコンデンサを有するループ構造においては共振を使ってできるだけ効率的に電流を流すことが必要である。ループそのものをコイルとみなした場合の誘導性リアクタンス(ωL)と容量性リアクタンス(1/ωC)を等しくさせる、いわゆる、共振条件(ωL=1/ωC)を満たせばループのインピーダンスを0にすることができるからである。共振条件を満たすときの周波数を共振周波数といい、この共振周波数は上記共振条件を満たすようにコイルのインダクタンスLとコンデンサの容量Cの値に応じて一義的に求められる。
【0061】
図6(a)は第1の実施形態における常用給電ループにおける共振周波数特性示したものである。最もインピーダンス(縦軸)が低いところ(円で囲んだ中の凸部分)の周波数f0が共振周波数となる。
【0062】
ここで、図3に示すように常用給電ループ18,23を2つ備えた2重ループ構造であって、それぞれ常用給電ループ18,23に設けられた捻架点19,24が高周波電源17,22から同じ距離だけ離れた位置に設けられた2重ループ構造について検討する。
上記した2重ループ構造における共振周波数f0は、図6(a)に示すいわゆる1重ループ構造における共振周波数f0と比較するとずれてしまっていることがわかる。このため効率的に電流を流すことができなくなり集電できなくなる。
【0063】
共振周波数がずれてしまう理由は、常用給電ループを2つ備えた2重ループ構造とした場合には相互インダクタンスMの要素が追加されるからである。
以下に、相互インダクタンスMと共振周波数との関係について説明する。
【0064】
2重ループそれぞれに交流電源から交流電流を流すとそれぞれの給電ループに誘起電圧が発生する。2重ループ構造における常用給電ループ18,23の共振条件は、ωLを誘導性リアクタンス、Mを相互インダクタンス、1/ωCを容量性リアクタンスとすると、ω(L+M)=1/ωCとなる。
【0065】
共振周波数f0は誘導性リアクタンスωL、容量性リアクタンス1/ωC及び相互インダクタンスMに基づいて決定されるため、2重ループ構造では常用給電ループ一つだけで構成される1重ループ構造の共振周波数(図6(a)参照)と比較すると相互インダクタンスMに影響される分だけ共振周波数がずれてしまう(図6(b)参照)。
【0066】
そこで、本第2の実施の形態では、図4(a)に示すように2つの常用給電ループ38,43における捻架点をずらすことにより上記した共振周波数のずれを無くしている。以下に、図4(a),(b)を参照してその原理を詳細に説明する。
【0067】
図4(a)に示すように、本実施形態の2重ループ構造は、高周波電源37に接続され通電されている常用給電ループ(第1の通電ループ)38と高周波電源42に接続され通電されている常用給電ループ(第2の通電ループ)43とで構成されている。尚、常用給電ループ38,43の配置態様は上記第1の実施の形態と同様に、一部重なり配置、全重なり配置、横並び配置が挙げられるが、以下では常用給電ループ38,43の配置態様が一部重なり配置(図5参照)であるとして説明する。
【0068】
常用給電ループ38には複数の捻架点39,40,41が設けられ、捻架点39と該捻架点39に隣接する捻架点40との間の第1の捻架区間A1の距離と捻架点40と該捻架点40に隣接する捻架点41との間の第2の捻架区間B1の距離とが同一の距離となるように捻架点39〜41が配置されている。
【0069】
常用給電ループ43には捻架点45,46が設けられ、捻架点45と該捻架点45に隣接する捻架点46との間の第1の捻架区間C1の距離と捻架点46と常用給電ループ43の折り返し端との間の第2の捻架区間D1の距離とが同一の距離となるように捻架点45,46が配置されている。また、捻架区間A1〜D1の区間長はすべて同じである。
【0070】
常用給電ループ43の捻架点45は、第2の通電ループとしての常用給電ループ43の捻架区間C1が常用給電ループ38の捻架区間Aに対して該常用給電ループ38の捻架区間A1の半分の距離(ずらし区間長)だけずれるように配置されている。常用給電ループ43の捻架点46は、常用給電ループ43の捻架区間D1が常用給電ループ38の捻架区間B1に対して該常用給電ループ38の捻架区間B1の半分の距離(ずらし区間長)だけずれるように配置されている。
【0071】
尚、コンデンサC30,31は高周波電源37と捻架点39との間に設けられ、コンデンサC32,33は捻架点39と捻架点40の間に設けられ、コンデンサC34,35は捻架点40と捻架点41の間に設けられている。コンデンサC30〜C35は、常用給電ループ38の誘導性リアクタンス(ωL)を打ち消してループにおけるインピーダンスを零にするための容量性リアクタンス(ωC)を有する。
【0072】
コンデンサC36,37は高周波電源42と捻架点45との間に設けられ、コンデンサC38,39は捻架点45と捻架点46の間に設けられ、コンデンサC40,41は捻架点46と常用給電ループ43の折り返し端との間に設けられ、常用給電ループ43の誘導性リアクタンスを打ち消してループにおけるインピーダンスを零にするための容量性リアクタンスを有する。
【0073】
上記したように捻架点を配置することにより、例えば、常用給電ループ38から数えて最初の捻架点39を境に常用給電ループ38が常用給電ループ43に与える磁界の向きが逆方向に変わり、常用給電ループ42から数えて最初の捻架点45を境に常用給電ループ43が常用給電ループ38に与える磁界の向きが逆方向に変わる。
【0074】
その後、常用給電ループ38の次の捻架点40を境に常用給電ループ38が常用給電ループ43に与える磁界の向きが逆方向に変わり、常用給電ループ43の次の捻架点46を境に常用給電ループ43が常用給電ループ38に与える磁界の向きが逆方向に変わり、以降は、上記動作が常用給電ループ38及び常用給電ループ43の長軸方向端まで繰り返される。
【0075】
このため、常用給電ループ38の各捻架点39,40,41を境に常用給電ループ43に誘起される誘起電圧が完全に打ち消し合うとともに常用給電ループ43の各捻架点45,46を境に常用給電ループ38に誘起される誘起電圧が完全に打ち消し合い、相互インダクタンスMが零であるのと同様の状態になる。
【0076】
以下に相互インダクタンスMの値が零になる原理について図4(b)を参照して説明する。
例えば、給電ループ43に流れる電流をI、給電ループ38と給電ループ43の相互インダクタンスをM、角周波数を2πf(ω)、捻架点39から給電ループ38における捻架点45に対応する位置までの距離をL1、該対応位置から捻架点40までの距離をL2とすると、距離L1にて給電ループ43から給電ループ38に誘起される誘起電圧E1は2πfMIL1であり、距離L2にて給電ループ43から給電ループ38に誘起される誘起電圧E2は2πfMIL2である。
【0077】
捻架点45を境に給電ループ38に誘起される誘起電圧E1と誘起電圧E2の向きは逆向きになるので、距離L(=L1+L2)にて給電ループ43から給電ループ38に誘起される誘起電圧E(E1+E2)は2πfMI(L1−L2)となる。
【0078】
このため、L1とL2が同じ距離の場合には相互インダクタンスMが零であるのと同様の状態になり、共振条件はω(L+M)=1/ωCではなくωL=1/ωCとなる。
従って、本第2の実施の形態では図6(c)に示すように共振周波数のずれを確実になくすことができる。
【0079】
(変形例1)
尚、図4(a),(b)の例では、捻架区間Cが捻架区間Aに対して捻架区間Aの距離の半分の距離だけずれるように捻架点45が配置されているが、ずらす距離は捻架区間Aの半分でなくてもよい。
【0080】
この場合、常用給電ループ38の各捻架点39,40,41を境に常用給電ループ43に誘起される誘起電圧が所定量だけ打ち消し合うとともに常用給電ループ38の各捻架点45,46を境に常用給電ループ38に誘起される誘起電圧が所定量だけ打ち消し合う。
【0081】
本変形例では、上記した数式E=2πfMI(L1−L2)の中の(L1−L2)が完全に零にならない場合である。このため相互インダクタンスMの値を零にすることはできないが、(L1−L2)を1より小さい値にするようにずらす距離を設定すれば、全くずらさない場合と比較して相互インダクタンスMの値を軽減することができ、共振周波数のずれの量を軽減できる。
【0082】
[第3の実施形態]
以下に本発明の第3の実施形態について図7を参照して説明する。
上記第3の実施形態における2重ループ構造については、上記した図4に示したものと同じであるのでその説明は省略する。
【0083】
上記した第2の実施形態では、高周波電源37から最初の捻架点39までの区間A2(捻架点39を含めず)において常用給電ループ38に流れる第1の電流の位相を0度とし、常用給電ループ43に流れる第2の電流の位相を0度とする。第1の電流及び第2の電流の位相は同じ(0度)であるので第1の電流と第2の電流の合成電流振幅が2倍となり区間Aでは集電が可能となる(図7(a)参照)。
【0084】
ところが、最初の捻架点39から常用給電ループ43の最初の捻架点45までの区間B2(捻架点45を含めず)では第1の電流の位相が180度となり、第1の電流の位相と第2の電流の位相の差が180度となるため第1の電流と第2の合成電流振幅が零となり区間B2では集電できない(図7(a)参照)。
【0085】
常用給電ループ43の最初の捻架点45から常用給電ループ38の次の捻架点40までの区間C2(捻架点40を含めず)では、第1の電流の位相は180度のままであり、第2の電流の位相が180度となり、常用給電ループ38と常用給電ループ43における電流の位相が同じになるので第1の電流と第2の電流の合成電流振幅が2倍となり区間C2では集電が可能となる。常用給電ループ38の捻架点40から常用給電ループ43の次の捻架点46までの区間(区間D2)は集電不能、常用給電ループ43の捻架点46から常用給電ループ38の捻架点41までの区間(区間E2)は集電可能、常用給電ループ38の捻架点41から長軸方向端までの区間(区間F2)は集電不能となる。
【0086】
本第3の実施の形態による2重ループ構造によれば、後述する方法で上記した集電不能期間をなくすことによって、より安定した集電(電力供給)を行うことができる。以下に、集電不能期間をなくす原理について図7を参照して詳細に説明する。
【0087】
本第3の実施の形態では、高周波電源37,42に電流位相制御部50が接続されている。電流位相制御部50は常用給電ループ38に流れる電流(第1の電流)と常用給電ループ43に流れる電流(第2の電流)との位相差が常に90度になるように高周波電源37,42を制御している。
【0088】
(区間A2における集電)
高周波電源37から最初の捻架点39までの区間A2(捻架点39を含めず)において常用給電ループ38に流れる第1の電流の位相(α度)と第2の電流の位相(β度)との差(β−α)は90度であるので第1の電流と第2の電流の合成電流振幅が2倍となり区間A2では集電が可能となる(図7(a)参照)。
【0089】
このため、区間A2における集電量(集電電流)の大きさ(第1の電流と第2の電流の合成電流振幅)を算出すると、常用給電ループ38単独若しくは常用給電ループ43単独で集電可能な集電量(基準集電量)のおよそ1.4(√2)倍の集電量が得られる。
【0090】
(区間B2における集電)
最初の捻架点39から常用給電ループ43の最初の捻架点45までの区間B2(捻架点45を含めず)では第1の電流の位相が(α+180)度であり、第2の電流の位相はβ度のままであるので、第1の電流の位相(α+180)と第2の電流の位相(β)との差は90度のままである。
【0091】
このため、区間B2における集電量(集電電流)の大きさ(第1の電流と第2の電流の合成電流振幅)を算出すると、常用給電ループ38単独若しくは常用給電ループ43単独で集電可能な集電量(基準集電量)のおよそ1.4(√2)倍の集電量が得られる。
【0092】
(区間C2における集電)
常用給電ループ43の捻架点45から常用給電ループ38の次の捻架点40までの区間C(捻架点40を含めず)では第1の電流の位相が(α+180)度のままであり、第2の電流の位相は(β+180)度となるので、第1の電流の位相(α+180)と第2の電流の位相(β+180)との差は90度のままである。
【0093】
このため、区間C2における集電量(集電電流)の大きさ(第1の電流と第2の電流の合成電流振幅)を算出すると、常用給電ループ38単独若しくは常用給電ループ43単独で集電可能な集電量(基準集電量)のおよそ1.4(√2)倍の集電量が得られる。以降の区間D2〜F2は上記動作が繰り返され常時基準集電量の1.4倍の集電量が得られる。区間D2〜F2については上記区間B2、区間C2と同様の動作が行われるので説明は省略する。
【0094】
このため、第1の電流と第2の電流の位相差は常用給電ループ38及び常用給電ループ43のいずれの区間であっても常に90度を保つことができ集電が可能となる。
従って、本第3の実施の形態によれば、集電不能期間をなくすことができ常に1.4倍の集電動作が繰り返されることにより安定した電力供給を行うことができる。
【0095】
(変形例1)
また、上記第3の実施の形態では、電流位相制御部50は、第1の電流と第2の電流の位相差が常に90度となるように常用給電ループ38及び常用給電ループ43を制御していたが、常用給電ループ38に流れる第1の電流の位相だけを常用給電ループ43に流れる第2の電流の位相に対して90度ずらすように高周波電源37のみを制御してもよい。この場合、電流位相制御部50は高周波電源37にのみ接続される。
【0096】
また、常用給電ループ43に流れる第2の電流の位相だけを常用給電ループ38に流れる第1の電流の位相に対して90度ずらすように高周波電源42のみを制御してもよい。この場合、電流位相制御部50は高周波電源42にのみ接続される。
【0097】
(変形例2)
尚、90度電流位相をずらすように制御することによって常に基準集電量の1.4倍の集電を可能にしているが、90度以外の電流位相でずらした場合でも区間ごとの集電量にバラツキが生じるものの集電不能期間をなくすという効果を得ることができる。
【0098】
ここで、本実施形態においては、高周波電源2,37が本発明の第1の高周波電源に相当し、高周波電源5,42が本発明の第2の高周波電源に相当し、常用給電ループ3が本発明請求項1〜6の第1の給電ループに相当し、待機給電ループ6が本発明請求項1〜6の第2の給電ループに相当し、常用給電ループ38が本発明請求項7〜9の第1の給電ループに相当し、常用給電ループ43が本発明請求項7〜9の第2の給電ループに相当する。
【0099】
以上本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にて種々の態様をとることができる。
【符号の説明】
【0100】
2,5,37,42…高周波電源、3,38,43…常用給電ループ、4,39,40,41,45,46…捻架点、6…待機給電ループ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の高周波電源に接続され通電された第1の給電ループと、
第2の高周波電源に接続され前記第1の給電ループから誘起電圧が誘起される第2の給電ループとを備え、
前記第1の高周波電源から所定の距離を置いて少なくとも1つの捻架点があり、該捻架点を境に前記第2の給電ループに対して与える磁界の向きを逆にするように前記第1の給電ループが捻架されている
ことを特徴とする2重ループ構造。
【請求項2】
第1の高周波電源に接続され通電された第1の給電ループと、
第2の高周波電源に接続され前記第1の給電ループから誘起電圧が誘起される第2の給電ループとを備え、
前記第2の高周波電源から所定の距離を置いて少なくとも1つの捻架点があり、該捻架点を境に前記第2の給電ループに与える磁界の向きを逆にするように前記第2の給電ループが捻架されている
ことを特徴とする2重ループ構造。
【請求項3】
前記第1の給電ループに複数の捻架点が設けられ、隣接する前記各捻架点間の距離が等間隔である
ことを特徴とする請求項1に記載の2重ループ構造。
【請求項4】
前記第2の給電ループに複数の捻架点が設けられ、隣接する前記各捻架点間の距離が等間隔である
ことを特徴とする請求項2に記載の2重ループ構造。
【請求項5】
第1の高周波電源に接続され通電された第1の給電ループと、
第2の高周波電源に接続され通電された第2の給電ループとを備え、
前記第1の給電ループに複数の捻架点が設けられ、
前記第2の給電ループに複数の捻架点が設けられ、前記第1の給電ループの隣り合う捻架点間に対応させて前記第2の給電ループの捻架点が一つ配置され、
前記第1の給電ループの各捻架点を境に前記第1の給電ループから前記第2の給電ループに与える磁界の向きを逆にするように前記第1の給電ループが捻架され、
前記第2の給電ループの各捻架点を境に前記第2の給電ループから前記第1の給電ループに与える磁界の向きを逆にするように前記第2の給電ループが捻架されている
ことを特徴とする2重ループ構造。
【請求項6】
前記第1の給電ループの隣り合う捻架点間の距離が同一であり、
前記第1の給電ループの隣り合う捻架点と捻架点の中間に対応させて前記第2の給電ループの捻架点が配置された
ことを特徴とする請求項5に記載の2重ループ構造。
【請求項7】
前記第1の給電ループに流れる第1の電流と前記第2の給電ループに流れる第2の電流との位相差を90度にする電流位相制御部をさらに有する
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の2重ループ構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−143061(P2012−143061A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293401(P2010−293401)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(390021577)東海旅客鉄道株式会社 (413)