説明

3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩の製造方法

【課題】高品質の3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩を簡易に且つ効率よく製造する。
【解決手段】下記式(1)


(式中、R1、R2は、同一又は異なって、水素原子又は反応に不活性な有機基を示す)で表される化合物を、水と水可溶性有機溶媒との混合溶媒中で水酸化カリウムと中和反応させて、3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩を生成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品工業における甘味料又はその原料、或いは精密化学品の中間原料等として有用な3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩の製造方法としては、不活性有機溶剤中、アセトアセトアミド−N−スルホン酸又はその塩に無水硫酸(SO3)を作用させ、環化反応に供して閉環させた後、加水分解反応に付すことにより、6−メチル−3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物を得、これを水酸化カリウムと中和反応させる方法が知られている(特許文献1〜3参照)。生成した3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩の分離、精製法として、特開昭62−56481号公報には、(1)加水分解反応後の有機層を蒸発濃縮し、残渣をメタノールに溶解し、メタノール中で水酸化カリウムと反応させて、反応と同時に3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩を析出させ、濾過、乾燥して単離する方法、(2)加水分解反応後の有機層と希薄な水酸化カリウム水溶液とを撹拌し、分液した水層を濃縮及び冷却して3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩を析出させ、濾過、乾燥して単離する方法、(3)加水分解反応後の有機層と高濃度の水酸化カリウム水溶液とを撹拌し、析出した3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩を、濾過、乾燥して単離する方法が開示されている。
【0003】
しかし、環化剤として無水硫酸(SO3)を用いる方法では、環化後の加水分解反応により硫酸が副生し、この硫酸が6−メチル−3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物中に不純物として混入する。この硫酸は、水酸化カリウムによる中和反応の際には硫酸カリウムとなるが、3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩と硫酸カリウムとは水やメタノールに対する溶解度にさほど大きな差がないため、特開昭62−56481号公報に記載されているように、3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩を水又はメタノールから晶析すると、製品中に硫酸カリウムが混入し、品質を低下させる。
【0004】
【特許文献1】特開昭62−56481号公報
【特許文献2】特開昭62−129277号公報
【特許文献3】特開2005−263779号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、高品質の3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩を簡易に且つ効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、硫酸カリウム含量の少ない3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩を簡易に且つ効率よく製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩と硫酸カリウムの溶解度は水やメタノール等の単独溶媒ではさほど差がないが、水と水可溶性有機溶媒との混合溶媒では、それらの溶解度差が大きいこと、そのため、3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物を水と水可溶性有機溶媒との混合溶媒中で水酸化カリウムと反応させたり、3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物を水中又は水と水可溶性有機溶媒との混合溶媒中で水酸化カリウムと反応させた後、水可溶性有機溶媒を系内に添加すると、3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩が溶解した状態で、3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物中に不純物として含まれている硫酸に由来する硫酸カリウムが優先して析出することを見いだし、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、下記式(1)
【化1】

(式中、R1、R2は、同一又は異なって、水素原子又は反応に不活性な有機基を示す)
で表される3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物を、水と水可溶性有機溶媒との混合溶媒中で水酸化カリウムと中和反応させて、下記式(2)
【化2】

(式中、R1、R2は前記に同じ)
で表される3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩を生成させるとともに、該中和反応時に前記式(1)で表される化合物中に不純物として含まれる硫酸に由来する硫酸カリウムを析出させる工程を含む3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩の製造方法(以下、「第1の製造方法」と称することがある)を提供する。
【0008】
本発明は、また、下記式(1)
【化3】

(式中、R1、R2は、同一又は異なって、水素原子又は反応に不活性な有機基を示す)
で表される3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物を、少なくとも水を含む溶媒中で水酸化カリウムと中和反応させて、下記式(2)
【化4】

(式中、R1、R2は前記に同じ)
で表される3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩を生成させるとともに、該中和反応後に、前記式(2)で表されるカリウム塩を含む水溶液中に水可溶性有機溶媒を添加して、前記式(1)で表される化合物中に不純物として含まれる硫酸に由来する硫酸カリウムを析出させる工程を含む3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩の製造方法(以下、「第2の製造方法」と称することがある)を提供する。
【0009】
前記各製造方法において、水可溶性有機溶媒としてはメタノールが好ましい。
【0010】
前記各製造方法は、さらに、析出した硫酸カリウムを濾過により分離除去する工程、析出した硫酸カリウムを除去した後の溶液から、3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩を晶析させる工程を含んでいてもよい。この後者の工程を含む場合、晶析させた3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩を分離除去した後の溶液を中和反応工程にリサイクルすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物の水酸化カリウムによる中和反応を水と水可溶性有機溶媒との混合溶媒中で行うか、又は3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物の水酸化カリウムによる中和反応後に水可溶性有機溶媒を系内に添加するので、不純物である硫酸カリウムが3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩に優先して析出する。そのため、硫酸カリウム含量の少ない高品質の3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩を簡易に効率よく得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の第1の製造方法では、前記式(1)で表される3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物を、水と水可溶性有機溶媒との混合溶媒中で水酸化カリウムと中和反応させて、前記式(2)で表される3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩を生成させるとともに、該中和反応時に前記式(1)で表される化合物中に不純物として含まれる硫酸に由来する硫酸カリウムを析出させる工程を含む。また、本発明の第2の製造方法では、前記式(1)で表される3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物を、少なくとも水を含む溶媒中で水酸化カリウムと中和反応させて、前記式(2)で表される3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩を生成させるとともに、該中和反応後に、前記式(2)で表されるカリウム塩を含む水溶液中に水可溶性有機溶媒を添加して、前記式(1)で表される化合物中に不純物として含まれる硫酸に由来する硫酸カリウムを析出させる工程を含む。
【0013】
前記式(1)及び(2)中、R1、R2は、同一又は異なって、水素原子又は反応に不活性な有機基を示す。前記反応に不活性な有機基としては、反応に対して不活性である限り特に制限されず、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アシル基、アラルキル基、及びアリール基などが例示できる。前記アルキル基には、直鎖状又は分岐鎖状C1-10アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などのC1-6アルキル基など)が含まれる。アルケニル基には、直鎖状又は分岐鎖状C2-10アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基などのC2-5アルケニル基など)が含まれる。アルキニル基には、直鎖状又は分岐鎖状C2-10アルキニル基(例えば、エチニル基、プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基などのC2-5アルキニル基など)が含まれる。シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのC3-10シクロアルキル基(好ましくはC4-8シクロアルキル基)が含まれる。アシル基には、直鎖状又は分岐鎖状C2-10脂肪族アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基など)、あるいはC7-11芳香族アシル基(例えば、ベンゾイル基、トルイル基、ナフトイル基など)などが含まれる。アラルキル基には、C6-10アリール−C1-4アルキル基(例えば、ベンジル基など)などが含まれ、アリール基としては、フェニル基などのC6-10アリール基などが含まれる。
【0014】
式(1)及び(2)において、R1、R2は適当に組み合わせることができるが、例えば、R1及びR2がそれぞれ水素原子又はC1-4アルキル基である組み合わせなどが好ましい。中でも、式(1)で表される化合物としては、R1がC1-4アルキル基、R2が水素原子である化合物が好ましく、特に、R1がメチル基、R2が水素原子である化合物が好ましい。
【0015】
式(1)で表される3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物は、例えば、下記式(3)
【化5】

(式中、R1、R2は前記に同じ。Xは水素原子を示す)
で表されるβ−ケトアミド−N−スルホン酸、又はその塩を、酸無水物の存在下で環化反応に付すか、又はさらに加水分解反応に付すことにより得ることができる。
【0016】
式(3)で表されるβ−ケトアミド−N−スルホン酸化合物の塩には、スルホン酸基が塩基により中和された塩(スルホン酸塩)、及び式中の−NH−基が塩基により中和された塩が含まれる。このような塩(スルホン酸の塩、−NH−の塩)として、金属塩、アンモニウム塩、有機塩基の塩などが挙げられる。前記金属塩としては、例えば、Li、Na、Kなどのアルカリ金属(周期表1A族金属)の塩;Mg、Ca、Sr、Baなどのアルカリ土類金属(周期表2A族金属)の塩;Al、Gaなどの周期表3B族金属の塩;還移金属(例えば、周期表3A族金属、周期表4A族金属、周期表5A族金属、周期表6A族金属、Mnなどの周期表7A族金属、Feなどの周期表8族金属、Cu、Ag、Auなどの周期表1B族金属、Znなどの周期表2B族金属、周期表4B族金属、周期表5B族金属など)の塩等が挙げられる。好ましい金属塩には、1〜3価金属の塩、例えば、アルカリ金属(Na、Kなど)の塩、アルカリ土類金属(Mg、Caなど)の塩、Al塩、還移金属(Mn、Feなど)の塩などが含まれる。経済性及び安全性などを考慮すると、Na、Kなどのアルカリ金属の塩が特に好ましい。
【0017】
前記有機塩基としては、例えば、脂肪族アミン[第1級アミン(例えば、メチルアミン、エチルアミン等のC1-10モノアルキルアミンなど)、第2級アミン(例えば、ジメチルアミン、エチルメチルアミン等のジC1-10アルキルアミンなど)、第3級アミン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン等のトリC1-10アルキルアミンなど)]、脂環式アミン(例えば、シクロヘキシルアミンなどのモノ、ジ又はトリC3-12シクロアルキルアミンなど)、芳香族アミン(例えば、アニリン、ジメチルアニリンなどのモノC6-10アリールアミン、ジフェニルアミンなどのジC6-10アリールアミン、トリフェニルアミンなどのトリC6-10アリールアミン、ベンジルアミンなどのアラルキルアミンなど)、環状アミン類(例えば、ピペリジン、N−メチルピペリジン、モルホリンなど)、含窒素芳香族複素環化合物(例えば、ピリジン、キノリンなど、又はそれらの誘導体など)などが例示できる。好ましい有機塩基には脂肪族アミンが含まれる。また、脂肪族に限らず第3級アミンも好ましい。
【0018】
式(3)で表されるβ−ケトアミド−N−スルホン酸化合物の塩(スルホン酸塩)としては特に第3級アミンとの塩が好ましい。
【0019】
前記酸無水物は式(3)で表されるβ−ケトアミド−N−スルホン酸又はその塩(以下、単に「基質」と称することがある)の環化剤(環化脱水剤など)として作用する。このような酸無水物としては、硫酸、ハロゲン化硫酸(フルオロ硫酸、クロロ硫酸など)、ピロリン酸(ピロリン酸;フルオロピロリン酸などのハロゲン化ピロリン酸など)、硝酸、ホウ酸(オルトホウ酸、メタホウ酸など)などの無機酸;スルホン酸、有機リン酸(メチルリン酸などのC1-4アルキルリン酸;リン酸モノメチルエステル、リン酸モノエチルエステルなどのリン酸モノC1-4アルキルエステルなど)などの有機酸などから形成される酸無水物が挙げられる。酸無水物は1分子の酸から水が脱離して生成した酸無水物、2分子以上の同一の酸から水が脱離して生成した酸無水物、2分子以上の異なる酸から水が脱離して生成した酸無水物(混合酸無水物)等の何れであってもよい。酸無水物は単独で又は2種以上混合して使用できる。好ましい酸無水物は、硫酸を含む酸から形成された酸無水物であり、特に好ましくは無水硫酸(SO3)である。
【0020】
酸無水物は、通常、基質1モルに対して少なくとも1モル以上(例えば1〜20モル)、好ましくは1〜10モル、特に好ましくは4〜8モル程度の割合で使用する。
【0021】
式(3)で表されるβ−ケトアミド−N−スルホン酸又はその塩の環化反応(環化脱水反応等)は、通常、溶媒の存在下で行う。反応溶媒としては、反応に不活性な(特に酸無水物と反応しない)各種無機又は有機溶媒が使用できるが、通常、反応に不活性な有機溶媒が使用される。また、反応溶媒としては、通常、実質的に無水の溶媒が使用される。
【0022】
前記有機溶媒としては、例えば、脂肪族炭化水素(例えば、ペンタン、ヘキサン、オクタンなど)、脂環式炭化水素(例えば、シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなど)、ハロゲン化炭化水素類(ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、トリクロロフルオロエチレンなどのハロアルカンなど)、エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチルなどのカルボン酸エステル)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの脂肪族ケトン;シクロヘキサノンなどの環状ケトンなど)、エーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、セロソルブ、カルビトール、ジグライム、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどの鎖状エーテル;アニソール、1,2−ジメトキシベンゼン、ジフェニルエーテルなどの芳香族エーテル;テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサンなどの環状エーテルなど)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−メチルスルホラン、3−メチルスルホランなど)などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。好ましい溶媒としては、ハロゲン化炭化水素類が挙げられ、特に好ましくはジクロロメタンが使用される。
【0023】
環化反応は流通式連続反応器を用いて連続で行うのが好ましい。流通式連続反応器としては、管型反応器または静止型混合器が好ましく用いられる。環化反応の成績を向上させるため、反応に供される基質及び酸無水物[無水硫酸(SO3)等]はそれぞれ、前記の溶媒に溶解または分散させ、例えば10℃以下(−100℃〜10℃程度)、好ましくは−80℃〜10℃、特に好ましくは−30℃〜10℃にあらかじめ冷却しておくのが望ましい。反応器に供給する基質含有混合液中の基質濃度は、操作性等を損なわない範囲で適宜選択できるが、通常0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜30重量%、さらに好ましくは1〜20重量%(特に5〜15重量%)程度である。また、反応器に供給する酸無水物[無水硫酸(SO3)等]含有混合液中の酸無水物濃度も、操作性等を損なわない範囲で適宜選択でき、通常0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜30重量%、さらに好ましくは5〜20重量%程度である。
【0024】
反応溶媒の総使用量は、反応性や操作等を考慮して適宜選択できるが、一般に、基質1重量部に対して、1〜1000重量部程度の広い範囲から選択でき、好ましくは5〜500重量部、さらに好ましくは10〜100重量部程度であり、特に15〜50重量部程度が好ましい。
【0025】
環化反応は、好ましくは、冷媒用ジャケットや冷却槽(冷媒槽)などの外部から冷却する冷却装置を備えていてもよい流通式の管型反応器や静止型混合器に、式(3)で表されるβ−ケトアミド−N−スルホン酸又はその塩と溶媒との混合液、および酸無水物[無水硫酸(SO3)等]と溶媒との混合液を連続的に供給することにより行われる。環化反応の反応温度は反応速度等を考慮して適宜設定できる。
【0026】
管型反応器としては、一般的なステンレス鋼管、ガラス又はテフロン(登録商標)などのライニング管等が使用できるが、材質についてはこれらに限定されない。また、使用される管の内径は特に限定されないが、環化反応時の発熱の除去を考慮すると、好ましくは数十mm以下(例えば、0.2〜30mm程度)の内径とすることが好ましく、特に好ましくは10mm以下(例えば、0.2〜10mm程度)の内径とすることが好ましい。さらに、管の長さについては、反応に必要な滞留時間を満足するに必要な長さとする。滞留時間は0.001〜60秒程度であるが、好ましくは0.01〜40秒、さらに好ましくは0.1〜10秒(特に1〜10秒)である。なお、滞留時間(秒)は、反応器容量(ml)/原料混合液の総供給量(ml/秒)で計算される値である。
【0027】
前記管型反応器には、式(3)で表されるβ−ケトアミド−N−スルホン酸又はその塩と酸無水物[無水硫酸(SO3)等]との混合を促進するための装置として、撹拌式混合器、超音波式混合器、又はスタティックミキサーのような静止型混合器、配管継手(以下、これらを単に「予備混合器」と称することがある)を該管型反応器の入り口部に設置することができる。管型反応器の入り口部に予備混合器を設置した場合、予備混合器での滞留時間は、例えば0.0005〜30秒、好ましくは0.01〜20秒、さらに好ましくは0.1〜10秒(特に1〜10秒)程度であり、その後の管型反応器での滞留時間は、例えば0.001〜60秒、好ましくは0.01〜40秒、さらに好ましくは0.1〜30秒(特に1〜30秒)程度である。
【0028】
また、反応器として、スタティックミキサーのような静止型混合器を使用することもできる。静止型混合器を反応器として使用する場合には、高い除熱能力を有することから、前記の管型反応器と比較して内径の大きなものを使用することが可能である。例えば、該静止型混合器の内径は0.2〜30mm程度、好ましくは0.5〜20mm程度である。なお、静止型混合器の型式については特に限定するものではないが、代表的な静止型混合器としてスルーザー型スタティックミキサー、ケニックス型スタティックミキサーなどが使用できる。反応器として静止型混合器を使用する場合の滞留時間は、例えば0.001〜60秒、好ましくは0.01〜40秒、さらに好ましくは0.03〜10秒程度である。なお、この場合にも、静止型混合器の入り口に前記のような予備混合器を設けてもよい。この場合の予備混合器での滞留時間は、例えば0.0005〜30秒、好ましくは0.01〜20秒、さらに好ましくは0.1〜10秒(特に1〜10秒)程度であり、その後の静止型混合器での滞留時間は、例えば0.001〜60秒、好ましくは0.01〜40秒、さらに好ましくは0.03〜10秒程度である。
【0029】
前記スタティックミキサーのエレメント数は、特に制限はないが、例えば5以上(5〜25程度)、好ましくは10以上である。
【0030】
上記環化反応により、通常、水又は塩基[基質として式(3)で表される化合物の塩を用いた場合等]が脱離して、前記式(1)で表される3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物が生成する。この場合、用いる酸無水物[無水硫酸(SO3)等]の量により、式(1)で表される3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物と酸無水物[無水硫酸(SO3)等]との付加物等が生成する。この場合には、上記環化反応の後さらに加水分解反応に付すことにより、式(1)で表される3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物を得ることができる。
【0031】
加水分解は、例えば、環化反応により得られた反応液に、必要に応じて適当な処理を施した後、水又は水含有液(例えば硫酸水溶液等)を混合することにより行われる。加水分解は、連続式、回分式、半回分式等の何れの方法で行ってもよい。連続的に加水分解する場合には、撹拌槽を用いるほか、前記の環化反応に用いる連続処理装置を用いることもできる。加水分解反応に供する水又は水含有液の温度及び反応温度は、例えば0〜50℃、好ましくは10〜40℃である。また、水(又は水含有液に含まれる水)の量は環化反応に使用した酸無水物1モルに対し、例えば1〜100モル、好ましくは1〜50モル、さらに好ましくは2〜20モル程度である。水を大過剰量用いてもよい。加水分解反応の反応時間(連続式の場合は滞留時間)は、例えば1時間以内(0.1分〜1時間程度)、好ましくは1〜10分程度である。
【0032】
加水分解により式(1)で表される3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物が生成するととともに、前記酸無水物の加水分解物が副生する。酸無水物として無水硫酸(SO3)を用いた場合には、硫酸が副生する。生成した式(1)で表される3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物は、例えば、洗浄、分液、濃縮、溶媒交換、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段により分離精製できる。例えば、加水分解終了後の反応液を式(1)で表される化合物を含む有機層と水層(硫酸水溶液層等)とに分離し、該有機層を水又は水含有液(例えば硫酸水溶液等)で洗浄した後、濃縮、溶媒交換、晶析等の操作を行うことにより、式(1)で表される化合物を単離することができる。晶析溶媒として、例えば、水、硫酸水溶液などを用いることができる。また、前記水層に、水と非相溶性(又は非混和性)の溶媒[環化反応に用いた溶媒や有機モノ又はジカルボン酸のエステル(前記反応溶媒の項で例示のエステル類など)など]を添加して水層中に残存する式(1)で表される化合物を抽出、回収することができる。こうして得られる式(1)で表される3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物には、通常、不純物として、加水分解で副生した或いは晶析溶媒として用いた硫酸水溶液由来の硫酸を含んでいる。本発明では、このような硫酸を不純物として含有する式(1)で表される化合物を原料として用いる。不純物として含まれる硫酸の量については特に制限はないが、式(1)で表される化合物に対して硫酸含有量が、例えば100重量%以下(0.1〜100重量%程度)、好ましくは50重量%以下(0.1〜50重量%程度)、さらに好ましくは20重量%以下(0.1〜20重量%程度)のものを好適に用いることができる。
【0033】
本発明の製造方法の重要な特徴は、(i)式(1)で表される化合物を、水と水可溶性有機溶媒との混合溶媒中で水酸化カリウムと中和反応させて、式(2)で表される3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩を生成させる(溶解した状態で)とともに、該中和反応時に副生した硫酸カリウムを析出させるか(第1の製造方法)、又は(ii)式(1)で表される化合物を、少なくとも水を含む溶媒中で水酸化カリウムと中和反応させて、式(2)で表される3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩を生成させる(溶解した状態で)とともに、該中和反応後に、前記式(2)で表されるカリウム塩を含む水溶液中に水可溶性有機溶媒を添加して、中和反応時に副生した硫酸カリウムを析出させる(第2の製造方法)ことにある。水と水可溶性有機溶媒との混合溶媒では、式(2)で表される化合物の溶解度と硫酸カリウムの溶解度の差が大きく、硫酸カリウムが優先して晶析する。そのため、析出した硫酸カリウム除去後の溶液から、硫酸カリウム含量の極めて少ない式(2)で表される化合物を得ることができる。なお、水やメタノール等水可溶性有機溶媒を単独で用いた場合には、両者の溶解度差はさほどないため、これを晶析溶媒とする晶析操作では両者を効率よく分離することができない。なお、水−メタノール混合溶媒における水とメタノールの割合(メタノール濃度(%))と、6−メチル−3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイドのカリウム塩(ASK)及び硫酸カリウム(K2SO4)の40℃における前記溶媒に対する溶解度(飽和濃度(%))との関係を調べた結果を図1に示す。また、各種溶媒に対するASKの溶解度(飽和溶解濃度(%))と温度との関係を調べた結果を図2に、各種溶媒に対する硫酸カリウム(K2SO4)の溶解度(飽和溶解濃度(%))と温度との関係を調べた結果を図3に示す。図中、MeOHはメタノール、EtOHはエタノール、ATはアセトンを示す。%は重量%を示す。
【0034】
前記水可溶性有機溶媒としては、水に可溶な有機溶媒であればよいが、式(2)で表される化合物の溶解度があまり低すぎないもの、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール;アセトン等のケトンなどが好ましく用いられる。これらの中でも、特にメタノールが好ましい。
【0035】
硫酸カリウムを析出させる際の水と水可溶性有機溶媒との割合、すなわち、第1の製造方法では中和反応時における混合溶媒中の水と水可溶性有機溶媒との割合、第2の製造方法では、中和反応後に前記式(2)で表されるカリウム塩を含む水溶液中に水可溶性有機溶媒を添加した時の系内の水と水可溶性有機溶媒との割合は、例えば、水/水可溶性有機溶媒(重量比)=1/99〜99/1、好ましくは20/80〜95/5、さらに好ましくは40/60〜93/7、特に好ましくは65/35〜90/10程度である。水の割合が少なすぎると、硫酸カリウムだけでなく式(2)で表される化合物の溶解度も低下するので、溶媒使用量が増大するとともに、溶解度差も小さくなるので、分離効率も低下しやすくなる。また、水の割合が多すぎると、両者の溶解度差が小さくなり、分離効率が低下しやすくなる。
【0036】
式(1)で表される化合物、水、水可溶性有機溶媒及び水酸化カリウムの系内への導入方法は特に限定されない。例えば、式(1)で表される化合物や水酸化カリウムは、固体の状態で系内に導入してもよく、水、水可溶性有機溶媒又はこれらの混合溶媒等の溶媒に溶解して系内に導入してもよい。水可溶性有機溶媒は、例えば水酸化カリウム溶液に添加して、これを式(1)で表される化合物を含む溶液中に導入してもよく、式(1)で表される化合物を含む溶液に添加して、これを水酸化カリウム溶液中に導入してもよく、水酸化カリウムと式(1)で表される化合物を含む溶液中に添加、導入してもよい。また、例えば本発明の第2の製造方法において、式(1)で表される化合物の有機溶媒溶液(塩化メチレン溶液等)と水酸化カリウム水溶液とを2層系で混合して中和反応させ、式(2)で表されるカリウム塩を含む水層と有機溶媒層とを分液し、水層に水可溶性有機溶媒を添加して、中和反応時に副生した硫酸カリウムを析出させることもできる。
【0037】
中和反応で用いる水酸化カリウムの量は、式(1)で表される化合物をカリウム塩に変換できる量であればよいが、式(1)で表される化合物と不純物として含まれる硫酸の総量1モルに対して、例えば1〜3モル、好ましくは1〜1.5モル、さらに好ましくは1〜1.1モル程度である。水酸化カリウムの量が少なすぎると中和反応が完結せず、水酸化カリウムの量が多すぎると副生物が生成し、目的化合物の品質も低下しやすくなる。
【0038】
中和反応、及び硫酸カリウム析出時の温度は、用いる溶媒の沸点以下であればよく、一般には0〜100℃、好ましくは5〜80℃、さらに好ましくは10〜60℃程度である。温度が低すぎると、式(2)で表される化合物と硫酸カリウムとの溶解度差が小さくなり、分離効率が低下しやすくなる。温度が高すぎると、エネルギー的に不利となる。
【0039】
上記操作により析出した硫酸カリウムは濾過、遠心分離等の固液分離により除去される。操作性等の点から、濾過により硫酸カリウムを除去するのが好ましい。式(2)で表される化合物は、硫酸カリウム除去後の溶液(濾液等)から、例えば晶析により単離することができる。晶析は硫酸カリウム除去後の溶液を濃縮及び/又は冷却することにより行うことができる。析出した式(2)で表される化合物は固液分離(濾過、遠心分離等)により得ることができる。こうして得られた式(2)で表される化合物は、さらに再結晶することにより、より純度を高めることができる。再結晶溶媒としては、例えば水を用いることができる。
【0040】
前記晶析後、析出した式(2)で表される化合物を固液分離により得た残りの溶液(濾液等)は、中和反応工程にリサイクルできる。リサイクルを繰り返しても式(2)で表される化合物の品質は保持される。また、濃縮により晶析を行う場合、その留出液も中和反応工程にリサイクルすることができる。さらに、再結晶を行う場合にも、析出した目的化合物を分離した後の溶液(濾液等)を中和反応工程にリサイクル可能である。
【0041】
こうして得られる式(2)で表される化合物は、硫酸カリウム含有量が極めて低く、高純度、高品質であるため、食品工業における甘味料又はその原料、精密化学品の中間原料等として使用できる。特に、前記式(2)において、R1がメチル基、R2が水素原子であるで化合物(6−メチル−3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイドのカリウム塩)は、食品工業における甘味料[アセスルファム(アセスルファムK)]として用いられるため特に有用である。
【実施例】
【0042】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0043】
実施例1
不純物として硫酸を含む6−メチル−3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイドの湿結晶に蒸留水とメタノールを加えて溶解させた。この溶液中の組成は、6−メチル−3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド60.4g、硫酸5.3g、水282.7g、メタノール99.0gである。この溶液に、50重量%水酸化カリウム水溶液49.3gを撹拌下に除熱を行いながら滴下し、35℃で中和反応を行った。反応液中には僅かに沈殿が生じた。反応液を40℃で濾過して沈殿物を除去した。沈殿物中には硫酸カリウムが7.06g含まれていた。また、濾液中には硫酸カリウムが2.4g含まれていた。
【0044】
比較例1
不純物として硫酸を含む6−メチル−3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイドの湿結晶に蒸留水を加えて溶解させた。この溶液中の組成は、6−メチル−3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド60.7g、硫酸5.3g、水383.7gである。この溶液に、50重量%水酸化カリウム水溶液49.1gを撹拌下に除熱を行いながら滴下し、35℃で中和反応を行った。反応液中には僅かに沈殿が生じた。反応液を40℃で濾過して沈殿物を除去した。沈殿物中には硫酸カリウムは含まれていなかった。また、濾液中には硫酸カリウムが9.6g含まれていた。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】水−メタノール混合溶媒における水とメタノールの割合(メタノール濃度(%))と、6−メチル−3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイドのカリウム塩(ASK)及び硫酸カリウム(K2SO4)の40℃における前記溶媒に対する溶解度(飽和濃度(%))との関係を示すグラフである。
【図2】各種溶媒に対するASKの溶解度(飽和溶解濃度(%))と温度との関係を示すグラフである。
【図3】各種溶媒に対する硫酸カリウム(K2SO4)の溶解度(飽和溶解濃度(%))と温度との関係を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)
【化1】

(式中、R1、R2は、同一又は異なって、水素原子又は反応に不活性な有機基を示す)
で表される3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物を、水と水可溶性有機溶媒との混合溶媒中で水酸化カリウムと中和反応させて、下記式(2)
【化2】

(式中、R1、R2は前記に同じ)
で表される3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩を生成させるとともに、該中和反応時に前記式(1)で表される化合物中に不純物として含まれる硫酸に由来する硫酸カリウムを析出させる工程を含む3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩の製造方法。
【請求項2】
下記式(1)
【化3】

(式中、R1、R2は、同一又は異なって、水素原子又は反応に不活性な有機基を示す)
で表される3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物を、少なくとも水を含む溶媒中で水酸化カリウムと中和反応させて、下記式(2)
【化4】

(式中、R1、R2は前記に同じ)
で表される3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩を生成させるとともに、該中和反応後に、前記式(2)で表されるカリウム塩を含む水溶液中に水可溶性有機溶媒を添加して、前記式(1)で表される化合物中に不純物として含まれる硫酸に由来する硫酸カリウムを析出させる工程を含む3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩の製造方法。
【請求項3】
水可溶性有機溶媒としてメタノールを用いる請求項1又は2記載の3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩の製造方法。
【請求項4】
さらに、析出した硫酸カリウムを濾過により分離除去する工程を含む請求項1〜3の何れかの項に記載の3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩の製造方法。
【請求項5】
さらに、析出した硫酸カリウムを除去した後の溶液から、3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩を晶析させる工程を含む請求項1〜4の何れかの項に記載の3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩の製造方法。
【請求項6】
さらに、晶析させた3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩を分離除去した後の溶液を中和反応工程にリサイクルする工程を含む請求項5記載の3,4−ジヒドロ−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキサイド化合物のカリウム塩の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−37777(P2008−37777A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−212262(P2006−212262)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(000002901)ダイセル化学工業株式会社 (1,236)