説明

4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミドクエン酸塩2水和物の製造方法

【課題】副生物の少ない、高純度の4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミドクエン酸塩2水和物の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】水と水溶性有機溶媒との混合溶媒中、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミドとクエン酸とを30℃以上70℃以下で反応させる4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミドクエン酸塩2水和物の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた消化管運動促進作用効果を示す治療剤として有用な4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミドクエン酸塩2水和物の新規な精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミドクエン酸塩2水和物(以下、単に「クエン酸塩2水和物」とする場合もある)は、メトクロプラミドのようなドーパミンD2受容体遮断作用を有することがない。そのため、該クエン酸塩2水和物は、中枢神経系、および内分泌系の副作用を発現することがなく、優れた消化管運動促進作用の効果を示す治療薬として有用である(特許文献1参照)。
【0003】
このクエン酸塩2水和物は、下記式の通り、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミド(以下、アミド化合物とする場合もある)を原料とし、該原料とクエン酸水溶液とを反応させて製造されている。
【0004】
【化1】

【0005】
より詳細に説明すると、クエン酸塩2水和物の製造方法としては、アミド化合物を10質量%のクエン酸水溶液中で加熱し、原料であるアミド化合物を溶解させた後、そのまま冷却し、クエン酸塩2水和物を析出させる方法が知られている(特許文献1参照)。また、50容量%のイソプロピルアルコール水溶液中で還流温度下、アミド化合物とクエン酸とを30分間反応させ、クエン酸塩2水和物を製造する方法が知られている(特許文献2参照)。これら方法によれば、効率よく、クエン酸塩2水和物を得ることができる。
【0006】
クエン酸塩2水和物は、最終生成物であるため、より一層純度の高いものが望まれている。このクエン酸塩2水和物は、アミド化合物とクエン酸とが化学結合したものではない。そのため、再結晶等による精製が難しく、アミド化合物とクエン酸との反応時になるべく副生物を生成しないことが望ましい。
【0007】
このような副生物の生成に観点を置き、本発明者らが従来技術の追試を行ったところ、上記方法においては、副生物が生成する場合があり、改善の余地があることが分かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特公平3−54937号公報
【特許文献2】特開2008−247753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、副生物が少ない4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミドクエン酸塩2水和物(クエン酸塩2水和物)を製造することを目的とする。また、効率よく、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミドクエン酸とクエン酸とが等モルの塩であって、該塩が2水和物と成り易い、クエン酸塩2水和物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意研究を行った。そして、アミド化合物とクエン酸との反応おいて生じる副生物の解明を行ったところ、アミド化合物のアミノ基とクエン酸のカルボキシル基とが反応した副生物が生じていると考えられた。さらに、検討を進めたところ、特許文献1、および特許文献2に記載の方法では、反応温度を75℃以上の温度としなければならないが、副生物の生成は、この反応温度に影響されるという知見を得た。その結果、特定の温度範囲で反応を実施することが、副生物の生成を抑制するのに効果的であり、さらに、効率よくクエン酸塩の2水和物を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒中、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミドとクエン酸とを30℃以上70℃以下の温度で反応させることを特徴とする4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミドクエン酸塩2水和物の製造方法である。
【0012】
また、本発明は、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミドとクエン酸とを30℃以上70℃以下の温度で反応させるため、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒中に4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミドが分散したスラリー液とし、該スラリー液にクエン酸を添加することが好ましい。こうすることにより、比較的低温での反応であるにもかかわらず、反応の終了を目視にて確認することができ、操作性を向上することができる。
【0013】
上記本発明においては、前記スラリー液に含まれる水の量を、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミド100質量部に対して、500質量部以上2000質量部以下とすることが好ましい。スラリー液中に水の量を前記範囲とすることにより、クエン酸塩を2水和物とし易くなる。
【0014】
また、上記本発明においては、前記スラリー液に含まれる水溶性有機溶媒の量を、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミド100質量部に対して、500質量部以上2000質量部以下とすることが好ましい。スラリー液中の水溶性有機溶媒の量を上記範囲とすることにより、比較的低温の反応でありながら、反応液(混合溶媒)の量を低減することができ、操作性、経済的にも有利となる。また、アミド化合物とクエン酸とが等モルとなる塩を製造し易くなる。
【0015】
さらに、本発明においては、水溶性有機溶媒としてエタノール、またはアセトンを使用することが好ましい。エタノール、またはアセトンを使用することにより、副生物の生成をより一層抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、副生物の少ない4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミドクエン酸塩2水和物(クエン酸塩2水和物)を製造することができる。
【0017】
また、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミド(アミド化合物)とクエン酸との反応を、アミド化合物のスラリー液にクエン酸を添加して実施することにより、反応時のクエン酸塩の析出を抑制することができ、容易な工程管理でクエン酸塩2水和物を製造できる。具体的には、該スラリー液中にクエン酸を添加することにより、比較的低温で反応を行う本発明においても、析出し易いクエン酸塩が混合溶媒(反応液)中に少しずつ生成されるため、スラリー液が透明な溶液となり、反応の進行が目視により確認できる。
【0018】
このクエン酸塩2水和物の製造においては、反応の進行を確認するのに適した分析方法がない。例えば、高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCとする場合もある)による分析では、分析条件下においてクエン酸塩2水和物はクエン酸が外れるため、面積値から反応の進行を確認することはできない。また、他の分析方法、例えば赤外吸収スペクトル測定法などでは、アミド化合物のクエン酸塩と、アミド化合物とクエン酸との混合物を明確に区別することは困難である。
【0019】
そのため、アミド化合物のスラリー液にクエン酸を添加することにより、反応時間の制御だけではなく、目視により反応の進行を確認できるため、工程管理上、非常に有益な方法である。
【0020】
さらに、クエン酸が添加される前のスラリー液中の水量を、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミド100質量部に対して、500質量部以上2000質量部以下とすることにより、効率よく、クエン酸塩を2水和物とすることができる。クエン酸が添加されるスラリー液中に、予め前記範囲の水が含まれることにより、クエン酸塩2水和物の形成時に周囲に十分な水が存在することとなり、クエン酸塩の2水和物が効率よく得られるものと考えられる。
【0021】
以上の通り、本発明の方法は、副生物の少ないクエン酸塩2水和物を効率よく製造することができ、工業的利用価値の高い方法である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミド(アミド化合物)とクエン酸との反応を、特定の反応溶媒、特定の反応温度にて実施することを特徴とする。以下、順を追って説明する。先ず、アミド化合物について説明する。
【0023】
(アミド化合物)
本発明において使用する4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミド(アミド化合物)は、次の方法で製造することができる。具体的には、特許文献1、2に記載の方法などで製造することができる。
【0024】
具体的には、2−(アミノメチル)−4−(4−フルオロベンジル)モルホリンと4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ安息香酸とを、塩化メチレンやクロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、或いはアセトンやメチルエチルケトンのようなケトン系溶媒を使用し、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール、N,N’−カルボニルジコハク酸イミド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノンなどのような縮合剤で反応させればよい。
【0025】
また、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ安息香酸を低級アルキルエステル、活性化エステル、酸無水物、酸ハライドなどとし、2−(アミノメチル)−4−(4−フルオロベンジル)モルホリンと反応させればよい。酸無水物とする場合には、対称酸無水物、または混合酸無水物を使用すればよい。混合酸無水物としては、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ安息香酸とクロロ炭酸エチル、クロロ炭酸イソブチルなどのクロロ炭酸アルキルやクロロ炭酸ベンジルのようなクロロ炭酸アラルキル、クロロ炭酸フェニルのようなクロロ炭酸アリールなどが例として挙げられる。
【0026】
以上のような反応を行うことにより、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミド(アミド化合物)を合成することができる。得られた粗体は、エタノールにより晶析(特許文献1)、または反応溶媒からそのままアミド化合物を結晶化(特許文献2)させて、純度の高いアミド化合物とすればよい。さらに、高純度のアミド化合物とするためには、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類もしくはニトリル類を含む溶媒により再結晶することが好ましい。
【0027】
本発明で使用するアミド化合物は、上記方法で精製したものを使用することが好ましく、HPLCのピーク面積%で99.00%以上の純度のものが好ましい。
【0028】
(クエン酸)
本発明において使用するクエン酸は、試薬或いは工業原料が何ら制限無く使用できる。また、水和の有無に関わらず、クエン酸無水物、およびクエン酸水和物のどちらでも使用することができる。
【0029】
本発明において、クエン酸の使用量は、少なくともアミド化合物が全てクエン酸塩となるのに最低限必要な量、つまりアミド化合物1モルに対して、クエン酸1モル以上を使用する。中でも、反応性や後処理のし易さ、経済性等を考慮すると、アミド化合物1モルに対し、クエン酸を1.0モル以上20.0モル以下、好ましくは1.5モル以上15.0モル以下、さらに好ましくは2.0モル以上10.0モル以下、特に好ましくは2.0モル以上5.0モル以下使用する。このクエン酸の使用量は、アミド化合物のスラリー液にクエン酸を添加する場合には、添加する全クエン酸の量に該当する。なお、下記に詳述するが、この場合、クエン酸水溶液を使用することもできる。
【0030】
次に、上記アミド化合物とクエン酸との反応について詳細に説明する。先ず、使用する水、水溶性有機溶媒について説明する。
【0031】
(水)
本発明においては、水を反応溶媒の一部(混合溶媒の一部)として使用する。使用する水は、反応に悪影響を与えない通常の水、例えば、蒸留水、水道水、イオン交換水、純水、超純水が挙げられる。
【0032】
(水溶性有機溶媒)
本発明においては、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒中でアミド化合物とクエン酸との反応を実施する。本発明において、水溶性有機溶媒とは、23℃で水と50容量%以上の割合で溶解する溶媒である。
【0033】
水溶性有機溶媒としては、炭素数1〜4のアルコール類、アセトンのようなケトン類、アミド類、ニトリル類、水溶性のエーテル類、スルホキシド類、複素環化合物等が挙げられる。具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、t−ブタノール、プロパルギルアルコール、アリルアルコール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。これらの溶媒は単独で使用してもよく、二つ以上組み合わせて使用してもよい。
【0034】
これらの中でも、毒性が低い点、比較的沸点が低く、除去が容易である点から、好ましくは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜3のアルコール類、アセトンのようなケトン類、テトラヒドロフラン、アセトアミド、アセトニトリルである。中でも、最も好ましくは、エタノール、またはアセトンである。エタノール、またはアセトンは、アミド化合物、クエン酸塩2水和物に対する溶解性が高く、混合溶媒の量を低減できる。また、エタノール、またはアセトンを使用することにより、アミド化合物とクエン酸との反応性を高めることができる。
【0035】
(水と水溶性有機溶媒との混合溶媒中における反応)
(反応温度)
本発明においては、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒中、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミド(アミド化合物)とクエン酸とを30℃以上70℃以下の温度で反応させることを最大の特徴とする。この温度は、アミド化合物とクエン酸とを反応させている混合溶媒(反応液)の温度を確認すればよい。以下、この温度を反応温度とする場合もある。
【0036】
本発明において、反応温度が30℃未満の場合には、アミド化合物の溶解性が低下し、反応が完結しないか、反応時間が長時間となるため好ましくない。一方、反応温度が70℃を超える場合には、アミド化合物のアミノ基とクエン酸のカルボキシル基が反応したと推定される副生物が生じるため好ましくない。反応時間、副生物の生成を抑制することを考慮すると、反応温度は、好ましくは30℃以上60℃以下、さらに好ましくは35℃以上60℃以下、最も好ましくは40℃以上60℃以下である。なお、反応温度がこの範囲を満足すれば、反応中は、一定の温度に制御してもよいし、反応液の温度を変化させることもできる。
【0037】
(混合溶媒、混合方法)
本発明においては、前記水と前記水溶性有機溶媒との混合溶媒中でアミド化合物とクエン酸とを反応させる。アミド化合物とクエン酸との反応は、混合溶媒中で両者が接触するように攪拌等を行い、両者を混合してやればよい。両者を混合する方法は、特に制限されるものではなく、具体的には、
(i)混合溶媒中、全量のアミド化合物、全量のクエン酸とを混合する方法、
(ii)混合溶媒中に、必要に応じて水、水溶性有機溶媒、または混合溶媒でスラリー化したアミド化合物と、必要に応じて水、水溶性有機溶媒、または混合溶媒で希釈したクエン酸とを同時に添加して両者を混合する方法、
(iii)必要に応じて水、水溶性有機溶媒、または混合溶媒で希釈したクエン酸中に、必要に応じて水、水溶性有機溶媒、または混合溶媒でスラリー化したアミド化合物を加えて両者を混合する方法、
(iv)水、水溶性有機溶媒、または混合溶媒でアミド化合物のスラリー液を準備し、該スラリー液中に、必要に応じて水、水溶性有機溶媒、または混合溶媒で希釈したクエン酸を加えて両者を混合する方法
等が挙げられる。
【0038】
本発明において、水と水溶性有機溶媒の使用割合は、混合溶媒100質量%として、水溶性有機溶媒を30質量%以上70質量%以下、水を30質量%以上70質量%以下とすることが好ましい。さらには、水溶性有機溶媒を40質量%以上60質量%以下、水を40質量%以上60質量%以下とすることが好ましい。混合溶媒における水と水溶性有機溶媒との使用割合が前記範囲を満足することにより、アミド化合物、およびクエン酸塩の溶解度を高めることができる。その結果、アミド化合物とクエン酸が等モルの塩、および該塩の2水和物を生成し易くなる。なお、この使用割合は、全混合溶媒における水と水溶性有機溶媒との割合を指す。例えば、上記(iv)の混合方法においては、アミド化合物とクエン酸の全量が混合された時の混合溶媒における水と水溶性有機溶媒の割合を指す。
【0039】
本発明において、混合溶媒の使用量は、前記使用割合であれば、アミド化合物100質量部に対して、1000質量部以上4000質量部以下とすることが好ましい。前記使用割合の混合溶媒を前記使用量で使用することにより、アミド化合物、およびクエン酸塩の溶解度を高めることができる。さらに、2水和物を生成し易くなるだけでなく、操作性も向上できる。なお、この使用量も、前記使用割合と同じく、アミド化合物、およびクエン酸の全量が混合された時の混合溶媒の全量を指す。
【0040】
また、前記使用割合、使用量の混合溶媒を使用することにより、日本薬局方に収載されたクエン酸2水和物を製造し易くなる。具体的には、アミド化合物とクエン酸のモル比が1:1となるクエン酸塩2水和物の製造が容易となる。本発明におけるクエン酸塩2水和物は、原薬名「モサプリド」として日本薬局方に収載されている。そして、クエン酸2水和物におけるアミド化合物とクエン酸の比率を表す指標として、定量法によりその比率を規格化しているが、その値(定量値)は、98.5〜101.0%となっている(モル比が1:1の場合、この値は100%となる。)。前記使用割合、使用量の混合溶媒であれば、該定量値を満足するクエン酸塩2水和物の製造が容易となる。
【0041】
また、前記使用割合、使用量の混合溶媒を使用することにより、アミド化合物のクエン酸塩を効率よく2水和物とすることができる。クエン酸塩2水和物(モサプリド)は、水分量についても日本薬局方にて規格化されており、その水分量は5.0質量%以上6.5質量%以下となっている(2水和物のみの場合、水分量は5.5質量%となる。)。前記使用割合、使用量の混合溶媒であれば、該水分量を満足するクエン酸塩2水和物の製造が容易となる。
【0042】
本発明において、アミド化合物とクエン酸とを反応させるには、撹拌下で両者を混合することが好ましい。該反応に使用する反応容器としては、ガラス容器、ステンレス容器、テフロン(登録商標)容器、グラスライニング容器などを使用できる。また、該反応容器には、温度計や温度センサーを装着することが好ましい。このような反応容器内でメカニカルスターラー、マグネティックスターラー等で撹拌することにより反応を行うことが好ましく、大規模な生産をする場合には、アミド化合物、クエン酸が含まれる混合溶媒を撹拌羽根等で攪拌することが好ましい。
【0043】
また、本発明において、アミド化合物とクエン酸との反応時間は、使用する水溶性有機溶媒や水の量、クエン酸の量、反応温度により異なるため一概には限定できないが、通常、アミド化合物とクエン酸を全量投入後、0.1〜10時間であれば十分である。なお、この時間は、反応に使用するアミド化合物の全量とクエン酸の全量とが混合溶媒中で混合されてからの時間である。
【0044】
(好ましい混合方法(反応方法))
本発明の方法は、従来技術と比較して、低温で反応を行うことを特徴としている。その結果、副生物を抑制できる反面、従来技術と比較して、混合溶媒に対するアミド化合物、クエン酸塩の溶解性が低下する傾向にある。そのため、混合溶媒の使用量を低減し、さらに、反応温度の制御を容易にし、しかも、反応の進行を目視にて容易に行うためには、前記(iv)の方法で両者を混合することが好ましい。
【0045】
すなわち、(iv)水、水溶性有機溶媒、または混合溶媒でアミド化合物のスラリー液を準備し、該スラリー液中に、必要に応じて水、水溶性有機溶媒、または混合溶媒で希釈したクエン酸を加えて両者を混合する方法である。
【0046】
この方法の中でも、アミド化合物、水、および水溶性有機溶媒とを混合することにより、前記混合溶媒中にアミド化合物が分散したスラリー液を得、該スラリー液にクエン酸水溶液を添加する方法を採用することが好ましい。このスラリー液を準備する場合、アミド化合物、水、および水溶性有機溶媒を反応容器内へ添加順序は、如何なる順序であってもよく、予め2成分を混合した後、他の成分と混合することもできる。
【0047】
また、クエン酸水溶液を添加する際は、スラリー液は攪拌しておくことが好ましい。
【0048】
このような方法によれば、アミド化合物とクエン酸との反応を徐々に進行させることができる。そのため、比較的低温の本発明においても、反応温度の制御が容易となる。また、徐々にクエン酸塩2水和物が生成するため、混合溶媒中でクエン酸塩2水和物が溶解し易くなり、反応の進行(反応の完了)を目視により確認できるようになるものと考えられる。
【0049】
この場合も、水と水溶性有機溶媒の使用割合、混合溶媒の使用量は、アミド化合物の全量とクエン酸の全量とが混合された際には、前記の範囲を満足することが好ましい。つまり、アミド化合物の全量とクエン酸の全量とが混合された際には、混合溶媒100質量%中、水が30質量%以上70質量%以下、水溶性有機溶媒が30質量%以上70質量%以下となることが好ましい。また、この使用割合であって、混合溶媒の使用量は、アミド化合物100質量部に対して、1000質量部以上4000質量部以下となることが好ましい。なお、使用割合、使用量の好ましい範囲も、前記範囲と同じである。
【0050】
そして、クエン酸を添加する前のアミド化合物のスラリー液は、水の量がアミド化合物100質量部に対して、500質量部以上2000質量部以下であることが好ましく、さらに、500質量部以上1500質量部以下であることが好ましい。スラリー液における水の量が前記範囲を満足することにより、反応効率を高めることができ、さらに、アミド化合物のクエン酸塩を効率よく2水和物とすることができる。また、水の量が前記範囲を満足することにより、得られるクエン酸塩の水和物が、日本薬局方にて規格化されている水分量(5.0質量%以上6.5質量%以下)のものへと容易にすることができる。つまり、クエン酸を添加する前のスラリー液中に、前記量の水が含まれていることにより、得られる生成物を、前記規格範囲を満足する水分量のクエン酸塩2水和物へと容易にすることができる。これは、アミド化合物とクエン酸とが反応した際、クエン酸塩が生成し、その周辺に前記範囲を満足する量の水が存在することにより、クエン酸塩が2水和物として得られ易くなったものと推定される。
【0051】
また、クエン酸を添加する前のアミド化合物のスラリー液は、水溶性有機溶媒の量がアミド化合物100質量部に対して、500質量部以上2000質量部以下であることが好ましく、さらに、500質量部以上1500質量部以下であることが好ましい。水は、アミド化合物に対して貧溶媒である。だだし、スラリー液中に前記範囲の水が存在することにより、効率よく2水和物とすることができる。そのため、アミド化合物の溶解性を高めるために、水溶性有機溶媒は前記範囲の量であることが好ましい。スラリー液中における水溶性有機溶媒の量が前記範囲を満足することにより、アミド化合物が溶解し易くなり、前記定量法による値(定量値)が98.5〜101.0%を満足するクエン酸塩2水和物を製造し易くなる。
【0052】
この方法においては、攪拌中の前記スラリー液にクエン酸を添加することが好ましい。このクエン酸は、固体のクエン酸をそのままスラリー液に添加することもできるが、操作性、反応時間を考慮すると、クエン酸の水溶液を添加することが好ましい。クエン酸水溶液を使用する場合には、スラリー液に含まれる水、水溶性有機溶媒の量に応じて濃度を適宜決定すればよい。つまり、クエン酸水溶液の添加が完了した後の反応液において、水と水溶性有機溶媒の混合溶媒におけるそれぞれの使用割合が水30質量%以上70質量%以上、水溶性有機溶媒30質量%以上70質量%以上を満足し、この混合溶媒の使用量がアミド化合物100質量部に対して1000質量部以上4000質量部以下となるような量を使用すればよい。なお、好適な使用割合、使用量も、前記範囲と同じである。この条件を満足し、かつ操作性を考慮すると、クエン酸水溶液は、クエン酸濃度が30質量%以上60質量%以下であるものを使用することが好ましい。
【0053】
クエン酸を攪拌中のスラリー液に添加する時間は、反応の規模にもよるが、1〜60分間とすることが好ましい。前記濃度範囲のクエン酸水溶液を添加する場合も、添加時間は、前記範囲であることが好ましい。この時間を満足することにより、効率よくクエン酸塩2水和物を製造することができる。添加する方法は、特に制限されるものではなく、定量ポンプ、滴下ロート等を用いて反応容器へ投入することもできる。
【0054】
このような混合方法(反応方法)においては、スラリー液にクエン酸(クエン酸水溶液)を添加している間、および反応を実施している間は、反応液(スラリー溶液にクエン酸が添加された溶液)の温度を30℃以上70℃以下に制御しなければならない。この反応液の好ましい温度も、前記範囲と同じであり、好ましくは30℃以上60℃以下、さらに好ましくは35℃以上60℃以下、最も好ましくは40℃以上60℃以下である。スラリー液にクエン酸(クエン酸水溶液)を添加することにより、反応液が透明になったところで反応の終了が確認できるが、クエン酸(クエン酸水溶液)を添加した後は、通常、0.1〜10時間、反応液の温度を前記範囲とすることが好ましい。
【0055】
(クエン酸塩2水和物の取り出し)
本発明において、前記方法の従い製造したクエン酸塩2水和物は、反応後の反応液をそのまま冷却することにより、結晶化させて取り出すことができる。冷却時の到達温度はあまり高いと収率が低下するため、通常、好ましくは0℃以上30℃未満、さらに好ましくは5℃以上20℃以下の範囲内で実施する。さらに、前記冷却して結晶化させる際に、過飽和溶液を調整後、任意の温度で種結晶などを投入して結晶化させることもできる。
【0056】
以上のようにして得られたクエン酸塩2水和物の結晶は、ろ過や遠心分離などにより固液分離し、水により過剰のクエン酸を十分に取り除いた後、自然乾燥、送風乾燥、真空乾燥などにより乾燥することにより単離される。
【0057】
得られたクエン酸塩2水和物は、アミド化合物のアミノ基とクエン酸のカルボキシル基が反応したと思われる副生物の生成を抑制できる。そして、より条件を最適化すれば、目視により反応の進行を確認することができる。さらには、日本薬局方に収載されている定量値が98.5〜101.0%、水分量が5.0質量%以上6.5質量%以下を満足するクエン酸塩2水和物を容易に製造することができる。
【実施例】
【0058】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何等制限されることはない。
【0059】
(純度測定、副生物の生成割合)
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による純度の測定は、以下の装置、条件により測定した。なお、該条件によるHPLC分析では、アミド化合物およびクエン酸塩2水和物の保持時間は7.4分付近であり、副生物の保持時間は3.3分付近である。副生物の生成割合も、ピーク面積%で示した。
装置:ウォーターズ社製2695。
検出器:紫外吸光光度計(ウォーターズ社製2489)。
検出波長:220nm。
カラム:内径4.6mm、長さ15cmのステンレス管に平均粒径5μmのオクタデシルシリル化シリカゲルが充填されたもの(YMC社製YMC−Pack ODS−A)。
移動相:リン酸二水素カリウム 4.1gを水3Lに添加し、リン酸を加えてpH3.5に調整した後、この水溶液700mLに1−ペンタンスルホン酸ナトリウム 0.61gを添加し、アセトニトリル 300mLを加えた混合液。
流量:毎分1.0mL。
カラム温度:40℃付近の一定温度。
【0060】
(水分量の測定)
自動水分測定装置(KF)による水分量の測定は、以下の装置、条件により測定した。
装置:三菱化学製CA−100。
方式:カールフィッシャー容量滴定方式。
滴定試薬:三菱化学製アクアミクロン滴定剤SS−Z 3mg。
溶媒:無水メタノール。
【0061】
(定量値の測定)
自動滴定装置による定量値の測定は、以下の装置、条件により測定した。なお、該条件にて測定された定量値が、100%を超える場合、アミド化合物がクエン酸に比べて多く含まれており、クエン酸塩化が完全に進行していないことを示す。
装置:平沼産業株式会社製 COM−2000。
方式:非水滴定方式。
滴定試薬:0.1mol/L過塩素酸(非水滴定用)。
溶媒:酢酸(非水滴定用)。
【0062】
製造例1
(4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミドの製造(アミド化合物の製造))
攪拌翼、温度計を取り付けた100mLの三つ口フラスコに、窒素雰囲気下、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ安息香酸50.0g(233.3mmol)を塩化メチレン1000mLに溶解し、トリエチルアミン24.7g(243.3mmol)を加えた後、クロロぎ酸ベンジル43.3g(243.3mol)を反応温度が−5℃以下となるように40分間かけて滴下した。その後、0℃にて3時間攪拌した。
【0063】
得られた反応混合物を、窒素雰囲気下、−5℃以下に冷却した2−(アミノメチル)−4−(4−フルオロベンジル)モルホリン53.3g(233.3mmol)の1000mL塩化メチレン溶液中に、反応温度が−5℃以下となるように40分間かけて滴下した。室温にて1時間攪拌した後、水1000mLを加え、分液ロートで振とう後、有機層を分離した。さらに、10質量%水酸化ナトリウム水溶液2000gを加え、同様の操作を行った。得られた有機層を、イオン交換水1500mLを用いて二回水洗した後、有機層を濃縮し、白色固体を120.0g得た。
【0064】
得られた白色固体にジメチルホルムアミド1157mLを加えて溶解させた後、水267mLを加えた。徐々に5℃まで冷却を行い、5℃で2時間保持し、析出した結晶を炉別した。得られた白色結晶を減圧乾燥し、高純度の白色結晶として4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミド(アミド化合物)66.0g(156.3mmol)を得た。収率67.0%、HPLC純度99.94%であった。
【0065】
実施例1
攪拌翼、温度計を取り付けた100mLの三つ口フラスコに、製造例1で製造したHPLC純度99.94%のアミド化合物10.0g(23.8mmol)と、エタノール80g、水80gとを加え、攪拌してスラリー液を得た。得られたスラリー液を50℃に加温した。続いて、クエン酸13.6g(71.2mmol)を水20gに溶解させたクエン酸水溶液(該水溶液の温度50℃)を10分間かけて徐々に該スラリー液に滴下し、アミド化合物とクエン酸を反応させた(クエン酸水溶液滴下時の反応液の温度は50℃となるように調整した(反応温度50℃))。クエン酸水溶液滴下後、50℃で1時間反応させた(反応温度50℃。この間に反応液が透明になったことを目視にて確認した。)。その後、得られた反応液を徐々に10℃まで冷却し、1時間保持した。析出した固体を減圧ろ過により炉別し、ケークを水30gで2回洗浄した。得られた白色固体を外温40℃で減圧乾燥後、白色固体として4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミドクエン酸塩2水和物(クエン酸塩2水和物)14.1g(21.8mmol)を得た。収率:91.4%、HPLC純度:99.94%、副生物:未検出(検出されず)、水分量:5.8%、定量値:100.5%であった。表1に結果を示した。なお、クエン酸塩2水和物の収率は、単純に得られた固体の質量を測定して求めた値である。
【0066】
実施例2〜11
実施例1において、水溶性有機溶媒の種類とその量、水の量、使用したクエン酸水溶液の濃度、反応温度、および反応時間を表1、または表2に記載の条件とした以外は実施例1と同様の方法でクエン酸塩2水和物を製造した。その結果を表1、表2に示した。各実施例とも、クエン酸水溶液を添加した後、反応液が透明になったのを確認した。
【0067】
比較例1
攪拌翼、温度計を取り付けた100mLの三つ口フラスコに、製造例1で製造したHPLC純度99.94%のアミド化合物1.2g(2.8mmol)を加え、10質量%クエン酸水溶液48.0gを加え攪拌した。続いて、得られたスラリー液を加温し、アミド化合物が全て溶解するまで加温した。83℃でアミド化合物が全て溶解したのを確認した後、徐々に10℃以下まで冷却し、1時間保持した。析出した固体を減圧ろ過により炉別し、ケークを水3.6gで2回洗浄した。得られた白色固体を外温40℃で減圧乾燥後、白色固体として4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミドクエン酸塩2水和物(クエン酸塩2水和物)1.7g(2.7mmol)を得た。収率:95.7%、HPLC純度:99.78%、副生物:0.160%、水分量:5.8%、定量値:100.5%であった。
【0068】
比較例2
攪拌翼、温度計を取り付けた100mLの三つ口フラスコに、クエン酸水和物3.4g(17.5mmol)、水37gを加え、攪拌しクエン酸水和物を溶解させた後、イソプロピルアルコール29gを加えた。続いて、製造例1で製造したHPLC純度99.94%のアミド化合物3.7g(8.8mmol)を加え、得られたスラリーを加温し、還流条件下30分間反応させた(還流温度は79℃であった。)。反応後、徐々に10℃以下まで冷却し、1時間保持した。析出した固体を減圧ろ過により炉別し、ケークを水11gで2回洗浄した。得られた白色固体を外温40℃で減圧乾燥後、白色固体として4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミドクエン酸塩2水和物(クエン酸塩2水和物)5.2g(8.0mmol)を得た。収率:91.0%、HPLC純度:99.92%、副生物:0.014%、水分量:5.9%、定量値:100.7%であった。
【0069】
比較例3、4
実施例1において、反応温度を表2に記載の条件とした以外は実施例1と同様の方法でクエン酸塩2水和物を製造した。その結果を表2に示した。
【0070】
【表1】

【0071】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水と水溶性有機溶媒との混合溶媒中、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミドとクエン酸とを30℃以上70℃以下の温度で反応させることを特徴とする4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミドクエン酸塩2水和物の製造方法。
【請求項2】
4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミド、水、および水溶性有機溶媒を混合することにより、水と水溶性有機溶媒との混合溶媒中に4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミドが分散したスラリー液を得、該スラリー液にクエン酸を添加した反応液の温度が30℃以上70℃以下となるようにして4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミドとクエン酸とを反応させることを特徴とする4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミドクエン酸塩2水和物の製造方法。
【請求項3】
前記スラリー液に含まれる水の量が、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミド100質量部に対して、500質量部以上2000質量部以下であることを特徴とする請求項2に記載の4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミドクエン酸塩2水和物の製造方法。
【請求項4】
前記スラリー液に含まれる水溶性有機溶媒の量が、4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミド100質量部に対して、500質量部以上2000質量部以下であることを特徴とする請求項2または3に記載の4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミドクエン酸塩2水和物の製造方法。
【請求項5】
前記水溶性有機溶媒が、エタノール、またはアセトンであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の4−アミノ−5−クロロ−2−エトキシ−N−〔[4−(4−フルオロベンジル)−2−モルホリニル]メチル〕ベンズアミドクエン酸塩2水和物の製造方法。

【公開番号】特開2012−72070(P2012−72070A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216308(P2010−216308)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000003182)株式会社トクヤマ (839)
【Fターム(参考)】