説明

ATMセル化/デセル化装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はATM(Asynchronous Transfer Mode:非同期転送モード) セル化/デセル化装置に関する。
【0002】
このATMセル化/デセル化装置は、同期転送モード(STM:Synchronous Transfer Mode)網で扱われるCBR(Constant Bit Rate) データを分割してATM網に送信可能とする為のクラッド方式とも呼ばれるATMセル化方式と、ATM網から受信したATMセルをSTM網に送信する為にCBRデータに多重するデセル化方式とを適用したものである。
【0003】
CBRデータとは、B−ISDN(Broadband aspects of Integrated Service Digital Network) のサービスにおいて、通信速度の観点から2つに分類される固定速度(CBR)サービスと可変速度(VBR)サービスの内、固定速度サービスを実現するために用いられるものである。
【0004】
固定速度サービスとは、情報が一定の速度で回線上を流れる通信である。N−ISDN(Narrowband aspects of ISDN)の64〜1536/1920/Kbpsディジタル通信サービスは、B−ISDN内ではCBRサービスとして扱われる。具体的なサービス速度については、例えば42.195Kbpsというように全く任意に設定可能とするか、或いは64Kbpsの整数倍というようにステップを設けるか、今後の課題となっている。なお、従来の専用線ベースで提供されてきたディジタル2次群などの速度もCBRサービスのステップの一つとして扱われる。
【0005】
【従来の技術】
従来のATMセル化方式においては、STM網から送られてきたCBRデータを一旦セル化バッファに蓄積し、これをATM網が読みだすようにしている。また、CBRデータのフレーム若しくはマルチフレームの異常時には、その異常を示すアラーム信号をCBRデータが伝送されるラインと別のラインによってATM網へ通知していた。
【0006】
また、従来のATMセルのデセル化方式においては、STM網が、ATM網から送られてきたATMセルを一旦デセル化バッファに蓄積してSTMの周期に従って読み出すが、この際、受信ATMセルの全てを監視することによって、ATM網のセルが前後にずれるゆらぎやSTM網の擾乱によって発生するデセル化バッファのオーバーフロー/アンダフローの監視を行なってきた。
【0007】
オーバーフローとは、セルがバッファ蓄積容量をオーバする状態であり、この場合、セルがバッファ装置に蓄積されない状態が生じるので適正なデータの読み出しが行えなくなる。アンダフローとは、セルのバッファ蓄積量がゼロとなる状態であり、この場合、セルがバッファ装置に蓄積されていないにも関わらず、何らかのデータが読みだされてしまうので適正なデータの読み出しが行えなくなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来のATMセル化/デセル化方式において、CBRデータのフレーム若しくはマルチフレームに周期異常が発生した場合、CBRデータをセル化バッファへ書き込む周期が変化し、セル化バッファからのATMセルの読み出し周期が変わってしまう。この為、ATMセルの送信間隔が正常時と比べ変化し、ATMセルの受信側のデセル化バッファのデータ蓄積量がオーバーフロー又はアンダフロー方向に推移し、デセル化バッファで吸収することが可能であるゆらぎ吸収幅を越えてしまう問題があった。
【0009】
また、CBRデータのフレーム若しくはマルチフレームで構成するデータの同期がはずれた場合に、同期がはずれたままの位相でATMセル化して送信すると、ATMセルの受信側でも先の送信時の同期外れが起因する同期はずれが発生し、デセル化バッファがバッファ・オーバーフロー又はバッファ・アンダフロー方向に推移してしまう問題があった。
【0010】
更に、フレーム位相の周期異常が発生して再び復旧した場合、前位相と復旧後に新しく同期がとれた位相とが異なるケースが生じる。この場合、新しい位相でデセル化バッファから連続してデータを読み出すことになるが、デセル化バッファの蓄積データ量をカウントして監視するためのカウンタの値が、実際に読みだし可能なデータ量と異なってデータ残量が合わず、デセル化バッファ内に読みだすデータが無くなってもアンダフローのアラームが発生しないままデセル化を続ける問題があった。
【0011】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、データフレームに同期外れが生じてもATMセル化/デセル化バッファがオーバーフロー/アンダフローとならないようにすることができるATMセル化/デセル化装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
図1に本発明の原理図を示す。この図に示すATMセル化/デセル化装置は、同期転送モード網から送信されてきたSTMデータを蓄積するセル化バッファ1と、STMデータのフレームパルス周期の異常を検出する異常監視手段2と、フレームパルスに同期してセル化バッファ1にSTMデータを書き込む書込制御手段4と、フレームパルスと独立して入力される非同期転送モード網のATMセルのセルフレームパルスに同期してセル化バッファ1からATMセルを読み出すことにより、異常監視手段2の異常検出時に正常時の読み出し間隔でATMセルを読み出す読出制御手段5と、異常監視手段2の異常検出時に、セル化バッファ1から読みされたATMセルに警報セルをマッピングすることにより、警報セルを正常なATMセルと同じ間隔で出力する異常処理手段3とを具備して構成したものである。
【0013】
このような構成によれば、STMデータのフレームパルスの周期異常時でも、正常時の読み出し間隔でATMセルを読み出すことが可能となるので、セル化バッファ1のオーバフロー/アンダフローを防止することができ、また周期異常時にはATMセルにその異常を知らせる警報セルがマッピングされるので周期異常を非同期転送モード網へ通知することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図2は本発明の第1実施形態によるATMセル化/デセル化装置のブロック構成図である。
【0015】
図2に示すATMセル化/デセル化装置において、符号1はセル化バッファ、2はフレームパルス周期異常監視部、3は異常処理部、4は書込制御部、5は読出制御部である。
【0016】
セル化バッファ1は、図示せぬSTM網から送信されてきたCBRデータD1をATMセル化する為に一旦蓄積するものである。
フレームパルス周期異常監視部2は、STM網に同期したクロックCK1により作動し、CBRデータD1のフレームパルスFP1の周期の監視を行なうことによってフレームパルスFP1の周期の異常を監視するものであり、その異常検出時に異常処理信号S1を、異常処理部3、書込制御部4及び読出制御部5へ出力する。
【0017】
書込制御部4は、異常処理信号S1の未供給時、即ちフレームパルスFP1の周期が正常時に、フレームパルスFP1とクロックCK1に同期した書き込みアドレス及び書き込みイネーブル信号を生成してセル化バッファ1にCBRデータD1を書き込む制御を行い、CBRデータD1を書き込んだ都度、書込完了信号S2を読出制御部5へ出力する。また、異常処理信号S1の供給時、即ちフレームパルスFP1の周期が異常時は、読出制御部5への書込完了信号S2の出力は行わない。
【0018】
読出制御部5は、異常処理信号S1の未供給時に、ATMセルC1のセルフレームパルスFP2と図示せぬATM網に同期したクロックCK2に同期した読み出しアドレスと読み出しイネーブル信号を、書込完了信号S2が入力された際に生成してセル化バッファ1からATMセルC1を読み出す制御を行うものである。
【0019】
また、異常処理信号S1の供給時は、読み出しアドレスを書込完了信号S2に依存しないフリーランとする。この場合、アドレスの指定は行われないものの、セル化バッファ1からはATMセルC1が正常時と同様に読みだされ、ATM網へ送信される。
【0020】
異常処理部3は、異常処理信号S1の未供給時には、セル化バッファ1から読みだされたATMセルC1を通過させるのみであるが、異常処理信号S1の供給時には、ATMセルC1のペイロードに警報セルをマッピングして送信する。
【0021】
このような構成によれば、CBRデータD1のフレームパルスFP1の周期異常時でも、異常前の正常時の位相でATMセルC1を出力することが可能となるので、セル化バッファ1のオーバフロー/アンダフローを防止することができる。また異常時にはその異常を知らせる警報セルの転送が可能となる。
【0022】
また、警報セルをATM網が受信した場合に、読出制御部5に対してセル化バッファ1からのATMセルC1の読み出しを強制的に停止させるようにすることによって、ATMセルC1を受信するATM網のデセル化バッファでアンダフローを強制発生させ、これによって下位に対して警報転送を実現できる。
【0023】
次に、第2実施形態のATMセル化/デセル化装置を図3を参照して説明する。但し、図3R>3に示す第2実施形態において図2に示した第1実施形態の各部に対応する部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0024】
図3において、符号11は多重同期検出部、12は書込制御部であり、データビットアドレス生成部13及びアドレス多重化部14を具備して構成されている。15は読出制御部である。
【0025】
多重同期検出部11は、CBRデータD1のフレームパルスFP1及びSTM網に同期したクロックCK1に応じて、CBRデータD1中に多重された各々フレーム構成が異なるデータAとデータBの内、マルチフレーム構成のデータBのマルチフレーム同期を取り、そのフレーム位相情報をデータB用アドレスAD1としてデータビットアドレス生成部13、アドレス多重化部14及び読出制御部15へ出力するものであり、図4に示すように、フレームパターン検出判定部18と、同期保護段数カウンタ19と、第1フレームカウンタ20と、第2フレームカウンタ21と、DPRAM(Dual Port RAM) を用いた多重処理用メモリ部22と、セレクタ(SEL)23とを具備して構成されている。
【0026】
ここで図5を参照して、データA及びデータBが多重化されたCBRデータD1とATMセルC1との相互変換であるATMセル化/デセル化について説明しておく。
【0027】
図5に示すように、CBRデータD1は1フレームが125μsであり、この中に1対のデータA及びデータBから成る1つのチャネルCHがk個多重化されている。即ち第1チャネルCH1〜第kチャネルCHkまで多重化されている。また、データAは125μsのフレームで構成するが、データBは125μsのnフレームでマルチフレーム構成とする。
【0028】
このようなCBRデータD1をATMセル化する場合は、kチャネル多重の125μs×nフレーム分をひとまとまりと考え、速度に適合したチャネル数分を1つのATMセルにマッピングして、kチャネルをj個のATMセル#1〜#jに分割する。
【0029】
また、データAとデータBとをATMセル化するに当たって複数チャネルを1つのATMセルにするセル化においては、図6に示すように、データAは時刻t5〜t10間、時刻t10〜t15間に示すように、連続したnフレーム分を1つのATMセルにマッピングするが、データBはCH1〜CHmで示すようにマルチフレームを構成しているので、全てのチャネルCH1〜CHmのマルチフレーム同期を各チャネルCH1〜CHm毎に行い、位相制御してマッピングする。
【0030】
即ち、CH1の時刻t1〜t6間のnフレーム1F〜nFと、CH2の時刻t2〜t7間のnフレーム1F〜nFと、CH3の時刻t3〜t8間のnフレーム1F〜nFと、…、CHmの時刻t2〜t7間のnフレーム1F〜nFとを同相にして1番目のセル#1にマッピングし、CH1の時刻t6〜t11間のnフレーム1F〜nFと、CH2の時刻t7〜t12間のnフレーム1F〜nFと、CH3の時刻t8〜t13間のnフレーム1F〜nFと、…、CHmの時刻t7〜t12間のnフレーム1F〜nFとを同相にして2番目のセル#2にマッピングし、以降同様に各CH1〜CHmのnフレーム1F〜nFを順次セルにマッピングするといった処理を行う。
【0031】
尚、上記図5、図6を用いた説明においては、先願の特許出願、特許平7−182864号「非同期転送装置」に記述した内容を参照して説明した。
次に、図4に示す多重同期検出部11の説明を行う。
【0032】
フレームパターン検出判定部18は、フレームパルスFP1及びクロックCK1に応じて、CBRデータD1内のマルチフレーム構成のデータBのフレーム同期パターンを検出し、その同期パターンの正常/異常を判定するものである。
【0033】
例えば、データBのマルチフレームの1つがnフレーム構成の場合、nフレームの同期パターン1F〜nFが例えば2回連続して検出されることによってマルチフレームの1周期分が正常と判定し、この際”1”を出力し、1F〜nFが2回連続して検出されなかった場合に異常と判定し、この際”0”を出力する。
【0034】
同期保護段数カウンタ19は、フレームパターン検出判定部18のフレーム同期パターン検出判定結果に応じて同期保護段数をカウントすることによってマルチフレームの同期/同期外れを示す信号を出力するものである。
【0035】
これは、フレーム同期パターンの正常を示す”1”をカウントした値を多重処理用メモリ部22の同期保護段数カウント値記憶領域に記憶し、この記憶されたフィードバックカウント値に、次に入力された正常を示す”1”のカウント値をインクリメントし、このカウント値をメモリ部22の同期保護段数カウント値記憶領域に上書きする。
【0036】
以降同様にカウント値が所定の同期保護段数の例えば「2」となるまでカウント動作を行い、カウント途中に異常(同期外れ)を示す”0”が入力された場合にカウント値を0とする。
【0037】
また同期保護段数カウンタ19は、そのカウント動作を行っている間、セレクタ23へ第1フレームカウンタ20から出力される第1カウント値を選択する第1選択信号を出力し、同期外れ状態から同期状態に復旧した場合、瞬間的に第2フレームカウンタ21から出力される第2カウント値を選択する第2選択信号を出力する。
【0038】
第1及び第2フレームカウンタ20,21は、マルチフレームのフレーム位相をカウントするものである。フレームパターン検出判定部18のフレーム同期パターン検出判定結果が正常を示す”1”の場合は、双方のカウンタ20,21は共にその”1”をカウントし、ここで、第1フレームカウンタ20は、同期信号供給時にそのカウンタ20から出力される第1カウント値を選択するセレクタ23を介して多重処理用メモリ部22の第1カウント値記憶領域に記憶し、この記憶されたフィードバックカウント値に、次に入力された正常を示す”1”のカウント値をインクリメントし、このカウント値をセレクタ23を介してメモリ部22の第1カウント値記憶領域に上書きする。
【0039】
また、第2フレームカウンタ21は、その出力第2カウント値を多重処理用メモリ部22の第2カウント値記憶領域に記憶し、この記憶されたフィードバックカウント値に、次に入力された正常を示す”1”のカウント値をインクリメントし、このカウント値をメモリ部22の第2カウント値記憶領域に上書きする。
【0040】
メモリ部22の第1カウント値記憶領域に順次インクリメントされて記憶される第1カウント値はフレーム位相情報であるデータB用アドレスB1として出力される。
【0041】
一方、フレーム同期パターン検出判定結果が異常を示す”0”となった場合、即ち同期外れが生じた場合は、第1フレームカウンタ20が前位相のままカウントを続け、第2フレームカウンタ21が新たに同期をとる為のフレームカウント用となる。
【0042】
例えば、図7に時刻t1で示すタイミングで同期外れが生じた場合、第1フレームカウンタ20は前フレーム位相のままカウント動作を続け、これによって第1カウント値が1F,2F,…,nFと前フレーム位相のまま継続して出力される。一方、第2フレームカウンタ21は、その同期外れとなったフレーム位相でカウントを行う。
【0043】
この時、同期保護段数カウンタ19からは第1選択信号が出力されたままなのでセレクタ23はその第1カウント値を選択し、この選択された第1カウント値が多重処理用メモリ部22を介してデータB用アドレスB1として出力される。従って、データB用アドレスB1は同期外れとなる前のフレーム位相で出力されることになる。
【0044】
その後、時刻t2で示すタイミングで同期保護段数カウンタ19において1回目の同期保護が取れ、時刻t3で示すタイミングで2回目の同期保護が取れると、同期検出状態となって同期が復旧するので、この時、同期保護段数カウンタ19からセレクタ23へ第2選択信号が時刻t3〜t4の間出力される。
【0045】
これによって、セレクタ23が第2カウント値の1Fを選択して多重処理用メモリ部22へ出力するので、多重処理用メモリ部22の第1カウント値記憶領域に上書きされ、この上書きされた第2カウント値の1FがデータB用アドレスB1として出力される。つまり、時刻t3で位相跳躍が行われることになる。
【0046】
また、同第2カウント値の1Fは第2カウント値記憶領域にも上書きされるので、第1及び第2カウント値記憶領域の値が同値の1Fとなる。従って、その同値のメモリ部22のフィードバック第2カウント値に基づいて双方のカウンタ20,21がカウントを行うので、双方のカウント値は等しくなり、以降双方のカウンタ20,21は同様にカウント動作を行う。
【0047】
また時刻t4以降は、同期保護段数カウンタ19から再び第1選択信号が出力されるので、第1カウント値がデータB用アドレスB1として出力される。
この結果、復旧後でも多重処理用メモリ部22からは復旧前のフレーム位相と同位相の第1カウント値がデータB用アドレスB1として出力されることになる。
【0048】
次に、図3に示す書込制御部12のデータビットアドレス生成部13は、フレームパルスFP1及びクロックCK1に応じてCBRデータD1からデータA用アドレスA1を生成してアドレス多重化部14へ出力すると共に、データA用アドレスA1生成時にセレクト信号S3をアドレス多重化部14へ出力するものである。
【0049】
アドレス多重化部14は、多重同期検出部11から出力されるデータB用アドレスB1とデータA用アドレスA1を交互に多重化してセル化バッファ1の書き込みアドレスとして出力するものであり、セレクト信号S3の供給時にデータA用アドレスA1をセル化バッファ1へ出力し、未供給時にデータB用アドレスB1を出力する。
【0050】
このようなに書込制御部12から出力されるデータA用アドレスA1及びデータB用アドレスB1に応じてCBRデータD1のデータA及びデータBが交互にセル化バッファ1に書き込まれる。
【0051】
読出制御部15は、セルフレームパルスFP2及びATM網に同期したクロックCK2に応じてデータAを読み出すためのアドレスをセル化バッファ1へ出力すると共に、データB用アドレスB1の入力時に、データBを読み出すためのアドレスを出力し、これによってデータA及びデータBがセル化されたATMセルC1をATM網へ出力する。
【0052】
以上説明した第2実施形態によれば、フレーム同期がはずれた場合でも、前フレーム位相でCBRデータD1をATMセルC1にマッピングすることが可能となり、同期が外れる前のフレーム位相でATMセルを転送できる。
【0053】
従って、従来のように、CBRデータのフレーム若しくはマルチフレームで構成するデータの同期がはずれた場合に、同期がはずれたままの位相でATMセル化して送信すると、ATMセルの受信側でも先の送信時の同期外れが起因する同期はずれが発生し、デセル化バッファがバッファ・オーバーフロー又はバッファ・アンダフロー方向に推移してしまうといったことが無くなる。
【0054】
次に、第3実施形態のATMセル化/デセル化装置を図8を参照して説明する。但し、図8R>8に示す第3実施形態において図3に示した第2実施形態の各部に対応する部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0055】
図8において、符号30はデセル化バッファ、31は書込アドレス生成部、32は読出アドレス生成部、33は読出位相ラッチ部、34は容量監視部であり、2入力タイプのカウンタ制御部35及びアップ/ダウンカウンタ36を具備して構成されている。
【0056】
デセル化バッファ30は、ATM網から送信されてきたATMセルC1をCBRデータD1にデセル化する為に一旦蓄積するものである。
書込アドレス生成部31は、ATMセルC1が適正なものである場合に送出されるセルイネーブル信号S5の供給時に、ATMセルC1のセルフレームパルスFP2及びATM網に同期したクロックCK2に応じて書込アドレスW1と、この書込アドレスW1と同時に書込イネーブル信号WEをデセル化バッファ30へ出力し、また書込イネーブル信号WEを容量監視部34のカウンタ制御部35へ出力するものである。
【0057】
デセル化バッファ30に書込イネーブル信号WE及び書込アドレスW1が入力されることによってATMセルC1がそのアドレスの記憶領域に書き込まれて記憶されるようになっている。この書き込みは瞬時に行われる。
【0058】
読出アドレス生成部32は、容量監視部34のアップ/ダウンカウンタ36から出力される読出許可信号S6の入力時に、CBRデータD1のフレームパルス(又はマルチフレームパルス)FP2及びSTM網に同期したクロックCK1に応じて第2実施形態で説明したデータAのアドレスを出力し、また、第2実施形態で説明した多重同期検出部11からデータB用アドレスB1が出力されている際にはそのデータB用アドレスB1を出力し、双方の出力アドレスを読出アドレスR1としてデセル化バッファ30へ出力し、これと同時に読出イネーブル信号REを出力し、また、その読出イネーブル信号REをカウンタ制御部35及び読出位相ラッチ部33へ出力するものである。
【0059】
デセル化バッファ30に読出イネーブル信号RE及び読出アドレスR1が入力されることによってそのアドレスの記憶領域に記憶されたATMセルのデータA及びデータBが多重化されてCBRデータD1としてSTM網へ出力されるようになっている。
【0060】
デセル化バッファ30からのCBRデータD1の読み出し時間は、ATMセルC1の書き込み時間が瞬時なのに対して所定時間を要するようになっている。
容量監視部34は、デセル化バッファ30の記憶容量を監視するものであり、この構成要素のカウンタ制御部35は、書込イネーブル信号WEのみが供給されている都度アップ/ダウンカウンタ36を所定カウント値アップカウントさせ、読出イネーブル信号REのみが供給されている都度、所定カウント値ダウンカウントさせ、書込イネーブル信号WE及び読出イネーブル信号REの双方の入力時或いは双方の未入力時に未カウント状態とする制御を行うものである。
【0061】
アップ/ダウンカウンタ36は、デセル化バッファ30の監視したい記憶セル数に対応するカウント値が予め設定されており、その設定カウント値となった場合に読出許可信号S6を読出アドレス生成部32へ出力する。
【0062】
設定カウント値としては、例えば1つのセルが48バイトなので、1セル分の48カウント分が設定され、また1カウント値が1バイト分に対応させられている。
【0063】
読出位相ラッチ部33は、読出アドレスR1と同位相の読出イネーブル信号REと、データB用アドレスB1との位相を比較し、双方の位相が一致しない場合、即ちデータB用アドレスB1が第2実施形態で説明したように位相同期が復旧した際に生じる位相跳躍を示す場合に、アップ/ダウンカウンタ36をクリアするカウントダウンイネーブル信号S7を出力するものである。このクリア時にデセル化バッファ30に蓄積されたCBRデータD1が廃棄されるようになっている。
【0064】
このような構成の第3実施形態の動作を図9を参照して説明する。
図9に示す時刻t0〜t1間でデセル化バッファ30の初期化が完了し、時刻t1において1個目のセル1Cがデセル化バッファ30に書き込まれたとする。この時、書込イネーブル信号WEの供給に応じたカウンタ制御部35の制御によってアップ/ダウンカウンタ36がアップカウントする。
【0065】
これによってカウンタ36のカウント値が設定カウント値の48カウント値と等しくなると、読出許可信号S6が読出アドレス生成部32へ出力されて読出アドレスR1がデセル化バッファ30へ送出され、時刻t2に示すように書き込まれたセル1C(CBRデータD1)の読み出しが開始される。
【0066】
この読み出し途中で時刻t3に示すように2個目のセル2Cがデセル化バッファ30に書き込まれ、また時刻t4に示すように1個目のセル1Cの読み出しが終了すると共に、セル2Cの読み出しが開始され、この読み出し途中で時刻t5に示すように3個目のセル3Cがデセル化バッファ30に書き込まれる。
【0067】
ここで、位相跳躍があったとすると、多重同期検出部11から出力されるデータB用アドレスB1の位相が変化するので、読出位相ラッチ部33が、そのデータB用アドレスB1と読出イネーブル信号REとの位相の不一致を検出することによって、カウントダウンイネーブル信号S7をアップ/ダウンカウンタ36へ出力し、この結果、時刻t6に示すようにカウンタ36がクリアされ、デセル化バッファ30に蓄積されたセル3Cが廃棄される。
【0068】
その後、時刻t7において4個目のセル1Cが書き込まれると、アップ/ダウンカウンタ36がアップカウントし、これによってカウンタ36のカウント値が設定カウント値の48カウント値と等しくなると、読出許可信号S6が読出アドレス生成部32へ出力されて読出アドレスR1がデセル化バッファ30へ送出され、時刻t8に示すように書き込まれたセル4Cの読み出しが開始される。以降今までの説明と同様に処理される。
【0069】
以上説明した第3実施形態によれば、CBRデータD1のフレーム位相の周期異常が発生して再び復旧し、前位相と復旧後に新しく同期がとれた位相とが異なるケース(位相跳躍)が生じた場合に、従来のように、新しい位相でデセル化バッファから連続してデータを読み出すことになり、デセル化バッファの蓄積データ量をカウントして監視するためのカウンタの値が、実際に読みだし可能なデータ量と異なってデータ残量が合わず、デセル化バッファ内に読みだすデータが無くなってもアンダフローのアラームが発生しないままデセル化を続けるといったことが無くなる。
【0070】
即ち、デセル化バッファ内にデータが存在しないのに読み出しをすることを防止して、バッファアンダフロー方向への推移を無くすことが可能となる。
また、図8に示した第3実施形態構成において、位相跳躍の発生時に、読出位相ラッチ部33から出力されるカウントダウンイネーブル信号S7が供給されたアップ/ダウンカウンタ36が、前位相と復旧時の位相差分のセルバイト数に対応するカウント値をダウンカウントし、この時読み出し中のセルの残り分のみをデセル化バッファ30から廃棄するように構成する。
【0071】
即ち、時刻t0〜t5まで図9と同様な図10に示すように、時刻t6で位相跳躍があった場合に、カウントダウンイネーブル信号S7が入力されたアップ/ダウンカウンタ36が、符号38で示す前位相と復旧時の位相差分のセルバイト数に対応するカウント値をダウンカウントし、読み出し中のセル2Cのデセル化バッファ30における残り分を廃棄する。この結果、時刻t6に示すように、セル3Cの読み出しが行われる。
【0072】
従って、位相跳躍が発生してもデセル化バッファ30に蓄積されたセルの廃棄を行うことなくデセル化が可能となる。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のATMセル化/デセル化装置によれば、データフレームに同期外れが生じてもATMセル化/デセル化バッファがオーバーフロー/アンダフローとならないようにすることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理図である。
【図2】本発明の第1実施形態によるATMセル化/デセル化装置のブロック構成図である。
【図3】本発明の第2実施形態によるATMセル化/デセル化装置のブロック構成図である。
【図4】図3に示す多重同期検出部のブロック構成図である。
【図5】ATMセル化/デセル化の変換説明図である。
【図6】CBRデータ内のデータAとBのATMセル化説明図である。
【図7】図3に示す多重同期検出部の同期復旧時の動作説明図である。
【図8】本発明の第3実施形態によるATMセル化/デセル化装置のブロック構成図である。
【図9】図8に示すATMセル化/デセル化装置の動作説明図である。
【図10】図8に示すATMセル化/デセル化装置の他の動作説明図である。
【符号の説明】
1 セル化バッファ
2 異常監視手段
3 異常処理手段
4 書込制御手段
5 読出制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同期転送モード網から送信されてきたSTMデータを蓄積するセル化バッファと、
該STMデータに含まれるマルチフレーム構成の第1データのマルチフレーム同期及び同期外れを検出し、同期外れ時に前同期時と同位相で第1データ書込アドレスを出力し、同期外れから同期に復旧した際に復旧時の位相で該第1データ書込アドレスを出力する多重同期検出手段と、
該第1データ書込アドレスと、該STMデータに含まれる該第1データ以外の第2データの書込アドレスとを交互に該セル化バッファへ出力することによって該STMデータを書き込む書込制御手段と、
該第1データ書込アドレス入力時に非同期転送モード網のATMセルのセルフレームパルスに同期して第1データ読出アドレスを該セル化バッファへ出力すると共に、該第1データ書込アドレス未入力時に該セルフレームパルスに同期して第2データ読出アドレスを出力することにより該セル化バッファから第1及び第2データが配置されたATMセルを読み出す読出制御手段とを具備したことを特徴とするATMセル化/デセル化装置。
【請求項2】
非同期転送モード網から送信されてきたATMセルを蓄積するデセル化バッファと、
該非同期転送モード網のATMセルのセルフレームパルスに同期して該ATMセルを該デセル化バッファに書き込む書込制御手段と、
読出許可信号の供給時であって、第1データアドレス入力時に同期転送モード網のSTMデータのフレームパルスに同期して第1データ読出アドレスを出力し、該第1データアドレス未入力時に該フレームパルスに同期して第2データ読出アドレスを出力することにより、該デセル化バッファからマルチフレーム構成の第1データと該第1データ以外の第2データとを多重化してSTMデータとして読み出す読出制御手段と、
前記ATMセル書き込み時の書込イネーブル信号のみの供給時にアップカウントし、前記STMデータ読み出し時の読出イネーブル信号の供給時にダウンカウントし、該書込及び読出イネーブル信号の双方の入力時又は未入力時に未カウント状態となり、前記デセル化バッファの所定容量に対応したカウント値までカウントした際に、前記読出許可信号を出力する容量監視手段と、
該STMデータに含まれる第1データのマルチフレーム同期及び同期外れを検出し、同期外れ時に前同期時と同位相で前記第1データアドレスを出力し、同期外れから同期に復旧した際に復旧時の位相で該第1データアドレスを出力する多重同期検出手段と、
該第1データアドレスの復旧時の位相が前記読出イネーブル信号の位相と異なる場合に該容量監視手段のカウント値をクリアするカウント制御信号を出力する読出位相ラッチ手段とを具備し、
前記カウント制御信号により前記カウント値がクリアされた際に前記デセル化バッファの蓄積ATMセルを廃棄するようにしたことを特徴とするATMセル化/デセル化装置。
【請求項3】
前記カウント制御信号によって、前記第1データアドレスが示す復旧前と復旧時の位相差分の前記デセル化バッファ容量に対応する前記容量監視手段のカウント値をダウンカウントし、この時、該デセル化バッファの読み出し中のATMセルの残り分のみを廃棄するようにしたことを特徴とする請求項記載のATMセル化/デセル化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【特許番号】特許第3585146号(P3585146)
【登録日】平成16年8月13日(2004.8.13)
【発行日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−226961
【出願日】平成8年8月28日(1996.8.28)
【公開番号】特開平10−70549
【公開日】平成10年3月10日(1998.3.10)
【審査請求日】平成13年4月25日(2001.4.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【参考文献】
【文献】特開平06−169320(JP,A)
【文献】特開平05−327752(JP,A)
【文献】特開平04−291857(JP,A)
【文献】上田裕巳,上松仁,ATM技術によるSDH信号の伝達方法,電子情報通信学会論文誌,1993年 2月,B−I Vol.J76−B−I No.2,pp.150−161