説明

ATMネットワーク

【目的】 スループットの高いネットワークを構築する。
【構成】 ATMのノードをn行m列のマトリクス状に配置する。さらに、n行m列のノード間を伝送するセルの最長経路は各列毎にいずれか1個のノードを経由するように各ノードを接続する。
【効果】 ノード数が増加しても個々のノードが高いスループットを維持することができる。行列を宛先情報として用いるためルーティングが容易である。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はATM(Asynchronous Transfer Mode:非同期転送モード) に利用する。本発明は複数のノード相互間の通信に利用する。本発明はATM交換機に利用するに適する。
【0002】
【従来の技術】ノード間を接続し、情報を相互に送受信したり、一つのノードを複数のノードが共用することができるネットワークが広く用いられている。その接続の形態によって、リング状接続やスター状接続が知られている。特に、リング状接続は、同種類のノードを簡単な構成により複数接続することができる方式として広く利用されている。このリング状接続のネットワークの従来例を図14および図15を参照して説明する。図14はリング状接続のネットワーク構成を示す図である。図15R>5は従来例のノードを示す図である。この従来例は、一本のリングに全ノードN1 〜N16が接続されるネットワークであり、ネットワークを全ノードN1〜N16で共有して使用できるためネットワークの使用効率を高く維持することができる。さらに、図15に示すように、各ノードN1 〜N16の構成は二入力二出力となりシンプルな構成にすることができる。ノードN1 〜N16間の情報の送受信にATMを用いることにより、ATMネットワークを構築することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このようなリング状接続では、ノードあたりの使用可能な帯域は、同一リングに接続されるノード数Nにほぼ反比例して小さくなってしまう。図14に示した例では、16個のノードが一本のリングに接続されているため、各ノードの使用可能な帯域はネットワークの有する帯域の約1/16となってしまう。すなわち、ノードあたりのスループットはリング速度の高々1/16までに制限される。
【0004】このため、リング状接続では、N個のノードを接続すればリング速度の約1/Nに制限されるため、大規模ネットワークには適さないという問題がある。
【0005】本発明は、このような背景に行われたものであり、ノード数が増加しても個々のノードが高いスループットを維持することができるネットワークを提供することを目的とする。また、本発明は、ノードをマトリクス状に接続することができるネットワークを提供することを目的とする。本発明は、ノードをマトリクス状に接続し、行および列を示す数値をそのまま宛先情報として用いることができるネットワークを提供することを目的とする。本発明は、ノードをマトリクス状に接続し、ルーティングを行うことができるネットワークを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はATMネットワークであり、その特徴とするところは、n行m列のATMのノードを備え、そのノード間を伝送するセルの最長経路は各列毎にいずれか1個のノードを経由するように各ノードが接続されるところにある。
【0007】これにより、n×m個のノードを含むネットワークでありながら、一本のリングを共有するノード数は高々m個であり、個々のノードの使用帯域を高く維持することができる。
【0008】前記ノードは、セルが入力される第一ないし第三入力ポートと、このセルが出力される第一ないし第三出力ポートとを備え、前記第一入力ポートから入力されるセルの宛先情報にしたがってその出力方路を前記第一ないし第三出力ポートに切替える第一の出力判定回路と、前記第二入力ポートから入力されるセルの宛先情報にしたがってその出力方路を前記第一および第三出力ポートに切替える第二の出力判定回路と、前記第三入力ポートから入力されるセルの宛先情報にしたがってその出力方路を前記第一ないし第三出力ポートに切替える第三の出力判定回路とを備えることが望ましい。
【0009】また、i行j列に配置された一つのノードについて、その第一入力ポートは(i−1)行(j−1)列に配置されたノードの第二出力ポートに接続され、その第二入力ポートはi行(j−1)列に配置されたノードの第一出力ポートに接続され、その第一出力ポートはi行(j+1)列に配置されたノードの第二入力ポートに接続され、その第二出力ポートは(i+1)行(j+1)列に配置されたノードの第一入力ポートに接続されることが望ましい。ただし、n+1=1とする。
【0010】前記ノードには、そのノードが属する行および列を示す固定値がそれぞれ設けられ、前記宛先情報にはその宛先の行および列を示す数値が書込まれ、前記第一の出力判定回路は、行および列について宛先情報に含まれる数値とこの固定値とが一致したとき出力方路を前記第三出力ポートに切替え、行について不一致のとき出力方路を前記第二出力ポートに切替え、行について一致し列について不一致のとき出力方路を前記第一出力ポートに切替える手段を備え、前記第二の出力判定回路は、列について宛先情報に含まれる数値とこの固定値とが一致したとき出力方路を前記第三出力ポートに切替え、不一致のとき出力方路を前記第一出力ポートに切替える手段を備え、前記第三の出力判定回路は、行および列について宛先情報に含まれる数値とこの固定値とが一致したとき出力方路を前記第三出力ポートに切替え、行について不一致のとき出力方路を前記第二出力ポートに切替え、行について一致し列について不一致のとき出力方路を前記第一出力ポートに切替える手段を備えることが望ましい。
【0011】このように、行および列を示す数値をそのまま宛先情報として用いることができるので、宛先情報のデータの作成が簡単であり、また、ヘッダに書込まれた宛先情報の照合を簡単に行うことができる。
【0012】あるいは、前記宛先情報には、行および列対応にそれぞれ数値が書込まれ、前記第一の出力判定回路は、行に対応する数値が正でなく、列に対応する数値が正でないとき出力方路を前記第三出力ポートに切替え、行に対応する数値が正であるときこの数値から“1”を減じてその出力方路を前記第二出力ポートに切替え、行に対応する数値が正でなく、列に対応する数値が正であるときこの数値から“1”を減じてその出力方路を前記第一出力ポートに切替える手段を備え、前記第二の出力判定回路は、列に対応する数値が正でないとき出力方路を前記第三出力ポートに切替え、列に対応する数値が正であるときこの数値から“1”を減じてその出力方路を前記第一出力ポートに切替える手段を備え、前記第三の出力判定回路は、行に対応する数値が正でなく、列に対応する数値が正でないとき出力方路を前記第三出力ポートに切替え、行に対応する数値が正であるときこの数値から“1”を減じてその出力方路を前記第二出力ポートに切替え、行に対応する数値が正でなく、列に対応する数値が正であるときこの数値から“1”を減じてその出力方路を前記第一出力ポートに切替える手段を備える構成とすることもできる。
【0013】このように、ノードに設定された固定値を用いることなくセルのヘッダに書込まれた宛先情報だけでルーティングを行うことができる。以上のようにして、ATMのセルをネットワーク内のノード相互間に任意に転送することができる。
【0014】
【作用】n行m列のATMのノード間を伝送するセルの最長経路は各列毎にいずれか1個のノードを経由するように各ノードが接続される。
【0015】このノードの第一入力ポートから入力されるセルの宛先情報にしたがってその出力方路を第一ないし第三出力ポートに切替える出力判定方法と、第二入力ポートから入力されるセルの宛先情報にしたがってその出力方路を第一および第三出力ポートに切替える出力判定方法と、第三入力ポートから入力されるセルの宛先情報にしたがってその出力方路を第一ないし第三出力ポートに切替える出力判定方法とが各ノードに備えられている。さらに、出力ポートが同じセルどうしが衝突しないように、第一ないし第三出力ポートでは、時系列的に異なるタイミングでセルをそれぞれ出力するようにすることがよい。
【0016】ノードの相互接続方法としては、i行j列に配置された一つのノードについて、その第一入力ポートは(i−1)行(j−1)列に配置されたノードの第二出力ポートに接続され、その第二入力ポートはi行(j−1)列に配置されたノードの第一出力ポートに接続され、その第一出力ポートはi行(j+1)列に配置されたノードの第二入力ポートに接続され、その第二出力ポートは(i+1)行(j+1)列に配置されたノードの第一入力ポートに接続されることがよい。ただし、n+1=1とする。
【0017】これにより、n行m列のATMのノード間を伝送するセルの最長経路は各列毎にいずれか1個のノードを経由するようにセルを転送することができる。したがって、n×m個のノードを有するネットワークにおいて、一つのリングを共用するノード数はm個であるため、ノード数が増加しても個々のノードの使用帯域を高く維持することができる。
【0018】セルの出力方路制御方法としては、ノードには、そのノードが属する行および列を示す固定値がそれぞれ設けられ、宛先情報にはその宛先の行および列を示す数値が書込まれ、第一の出力判定方法として、行および列について宛先情報に含まれる数値とこの固定値とが一致したとき出力方路を前記第三出力ポートに切替え、行について不一致のとき出力方路を前記第二出力ポートに切替え、行について一致し列について不一致のとき出力方路を前記第一出力ポートに切替え、第二の出力判定方法として、列について宛先情報に含まれる数値とこの固定値とが一致したとき出力方路を前記第三出力ポートに切替え、不一致のとき出力方路を前記第一出力ポートに切替え、第三の出力判定方法として、行および列について宛先情報に含まれる数値とこの固定値とが一致したとき出力方路を前記第三出力ポートに切替え、行について不一致のとき出力方路を前記第二出力ポートに切替え、行について一致し列について不一致のとき出力方路を前記第一出力ポートに切替えることがよい。
【0019】このように、行および列を示す数値をそのまま宛先情報として用いることができるので、宛先情報のデータの作成が簡単であり、また、ヘッダに書込まれた宛先情報の照合を簡単に行うことができる。
【0020】あるいは、宛先情報には、行および列対応にそれぞれ数値が書込まれ、第一の出力判定方法として、行に対応する数値が正でなく、列に対応する数値が正でないとき出力方路を前記第三出力ポートに切替え、行に対応する数値が正であるときこの数値から“1”を減じてその出力方路を前記第二出力ポートに切替え、行に対応する数値が正でなく、列に対応する数値が正であるときこの数値から“1”を減じてその出力方路を前記第一出力ポートに切替え、第二の出力判定方法として、列に対応する数値が正でない出力方路を前記第三出力ポートに切替え、列に対応する数値が正であるときこの数値から“1”を減じてその出力方路を前記第一出力ポートに切替え、第三の出力判定方法として、行に対応する数値が正でなく、列に対応する数値が正でないとき出力方路を前記第三出力ポートに切替え、行に対応する数値が正であるときこの数値から“1”を減じてその出力方路を前記第二出力ポートに切替え、行に対応する数値が正でなく、列に対応する数値が正であるときこの数値から“1”を減じてその出力方路を前記第一出力ポートに切替えるようにしてもよい。
【0021】このように、ノードに固定値を設定することなく、セルのヘッダに書込まれた宛先情報のみにより、ルーティングを行うことができる。
【0022】
【実施例】
(第一実施例)本発明第一実施例の構成を図1ないし図3R>3を参照して説明する。図1は本発明第一実施例の全体構成図である。図2はノードを示す図である。図3はノードのブロック構成図である。
【0023】本発明はATMネットワークであり、その特徴とするところは、4行4列のATMのノード00〜33を備え、そのノード00〜33間を伝送するセルの最長経路は各列毎にいずれか1個のノード00〜33を経由するように各ノード00〜33が接続されるところにある。
【0024】図2に示すように、ノード00〜33は、セルが入力される入力ポートin1〜in3 と、このセルが出力される出力ポートout1 〜out3 とを備え、図3に示すように、入力ポートin1 から入力されるセルの宛先情報にしたがってその出力方路を出力ポートout1 〜out3 に切替える出力判定回路D1 と、入力ポートin2 から入力されるセルの宛先情報にしたがってその出力方路を出力ポートout1 およびout3 に切替える出力判定回路D2 と、入力ポートin3 から入力されるセルの宛先情報にしたがってその出力方路を出力ポートout1 〜out3 に切替える出力判定回路D3 と、この出力判定回路D1 〜D3 と出力ポートout1 〜out3 との間に介挿され、出力判定回路D1 〜D3 から出力ポートout1 〜out3 に向けて出力されたセルをそれぞれ入力し出力ポートout1 〜out3 に時系列的に異なるタイミングでそれぞれセルを出力する出力回路O1 〜O3 とを備えている。
【0025】i行j列に配置された一つのノードijについて、その入力ポートin1 は(i−1)行(j−1)列に配置されたノード(i−1)(j−1)の出力ポートout2 に接続され、その入力ポートin2 はi行(j−1)列に配置されたノードi(j−1)の出力ポートout1 に接続され、その出力ポートout1 はi行(j+1)列に配置されたノードi(j+1)の入力ポートin2 に接続され、その出力ポートout2 は(i+1)行(j+1)列に配置されたノード(i+1)(j+1)の入力ポートin1 に接続されている。n+1=1とする。次に、本発明第一実施例の動作を図4R>4ないし図8を参照して説明する。図4は行および列に付与される数値を示す図である。図5は本発明第一実施例のセルのヘッダおよびセルルーティング状況を示す図である。図6は本発明第一実施例における出力判定回路D1 の動作を示すフローチャートである。図7は本発明第一実施例における出力判定回路D2 の動作を示すフローチャートである。図8は本発明第一実施例における出力判定回路D3 の動作を示すフローチャートである。図4R>4に示すように、行および列毎に番号を付与し、それぞれのノード00〜33の位置がその番号の組合せにより表せるようにする。例えば、ノード00ならば“00,00”、ノード11ならば“01,01”となる。この番号をそれぞれのノード00〜33に固定値として設定する。さらに、この数値を宛先情報として、図5に示すようにセルのヘッダに書込む。行を示す数値は“RBv”の領域に書込み、列を示す数値は“RBh”の領域に書込む。図3に示す出力判定回路D1 〜D3 は、この宛先情報を入力し出力方路を決定する。この出力判定回路D1 〜D3 の動作を図6ないし図8に示す。
【0026】まず、出力判定回路D1 の動作は、図6に示すように、入力セルの宛先情報(RBv,RBh)をコピーし(S1)、その行を示す情報(RBv)と自ノードijに設定された固定値の行を示す番号とが一致し(S2)、さらに、その列を示す情報(RBh)と自ノードijに設定された固定値の列を示す番号とが一致すれば(S3)、出力線53および出力回路O3 を介して出力ポートout3 に向けて出力する(S4)。行を示す情報(RBv)と自ノードijに設定された固定値の行を示す番号とが不一致のとき(S2)、出力線52および出力回路O2 を介して出力ポートout2 に向けて出力する(S6)。さらに、行を示す情報(RBv)と自ノードijに設定された固定値の行を示す番号とが一致し(S2)、列を示す情報(RBh)と自ノードijに設定された固定値の列を示す番号とが不一致のとき(S3)、出力線51および出力回路O1 を介して出力ポートout1 に向けて出力する(S5)。
【0027】出力判定回路D2 の動作は、図7に示すように、入力セルの宛先情報の内の列を示す情報(RBh)をコピーし(S11)、この列を示す情報(RBh)と自ノードijに設定された固定値の列を示す番号とが一致すれば(S12)、出力線55および出力回路O3 を介して出力ポートout3 に向けて出力する(S13)。列を示す情報(RBh)と自ノードijに設定された固定値の列を示す番号とが不一致ならば(S12)、出力線54および出力回路O1 を介して出力ポートout1 に向けて出力する(S14)。
【0028】出力判定回路D3 の動作は、図8に示すように、入力セルの宛先情報(RBv,RBh)をコピーし(S21)、その行を示す情報(RBv)と自ノードijに設定された固定値の行を示す番号とが一致し(S22)、さらに、その列を示す情報(RBh)と自ノードijに設定された固定値の列を示す番号とが一致すれば(S23)、出力線58および出力回路O3 を介して出力ポートout3 に向けて出力する(S24)。行を示す情報(RBv)と自ノードijに設定された固定値の行を示す番号とが不一致のとき(S22)、出力線57および出力回路O2 を介して出力ポートout2 に向けて出力する(S26)。さらに、行を示す情報(RBv)と自ノードijに設定された固定値の行を示す番号とが一致し(S22)、列を示す情報(RBh)と自ノードijに設定された固定値の列を示す番号とが不一致のとき(S23)、出力線56および出力回路O1 を介して出力ポートout1 に向けて出力する(S25)。
【0029】このようにして、出力判定回路D1 〜D3 はセルを図5に実線で示した経路にルーティングする。図5は、同時にルーティングの最長経路を示している。送信元のノード30と受信先のノード11との間には、4(=m)個のノード01、12、13、10が介在している。
(第二実施例)次に、本発明第二実施例の動作を図9ないし図12を参照して説明する。図9は本発明第二実施例のセルのヘッダおよびセルルーティング状況を示す図である。図10は本発明第二実施例における出力判定回路D1 の動作を示すフローチャートである。図11は本発明第二実施例における出力判定回路D2 の動作を示すフローチャートである。図12は本発明第二実施例における出力判定回路D3 の動作を示すフローチャートである。図9に示すように、宛先情報として宛先を制御するための数値が行を示す数値は“RBv”の領域に書込まれ、列を示す数値は“RBh”の領域に書込まれている。この“RBv”および“RBh”の数値は、以下に示すように決定される。ここで、ノードijから入力されたセルがノードstをその宛先とするとして説明する。ノードijから入力されたセルがノードstをその宛先とするとき、rv=s−iとする。この値からRBvの値を導出すると、RBv=rv (rv≧0)
rv+n (rv<0)
となる。一方、rh=t−j−RBvとすると、RBhは、RBh=rh (rv≧0)
rh+m (rv<0)
となる。図9では、n=4、m=4であり、ノード30から入力されるセルがノード11を目指すのであるから、rv=1−3=−2RBv=rv+n=−2+4=2rh=1−0−2=−1RBh=rh+m=−1+4=3となる。
【0030】図3に示す出力判定回路D1 〜D3 は、この宛先情報を入力し出力方路を決定する。この出力判定回路D1 〜D3 の動作を図10ないし図12に示す。まず、出力判定回路D1 の動作は、図10に示すように、入力セルの宛先情報(RBv,RBh)をコピーし(S31)、その行を示す情報(RBv)が正でなく(S32)、さらにその列を示す情報(RBh)が正でなければ(S33)、出力線53および出力回路O3 を介して出力ポートout3 に向けて出力する(S34)。行を示す情報(RBv)が正であるとき(S32)、その情報の数値から“1”を減じ(S36)、出力線52および出力回路O2 を介して出力ポートout2 に向けて出力する(S38)。行を示す情報(RBv)が正でなく(S32)、列を示す情報(RBh)が正のとき(S33)、その情報の数値から“1”を減じ(S35)、出力線51および出力回路O1 を介して出力ポートout1に向けて出力する(S37)。
【0031】出力判定回路D2 の動作は、図11に示すように、入力セルの宛先情報の内の列を示す情報(RBh)をコピーし(S41)、その列を示す情報(RBh)が正でなければ(S42)、出力線55および出力回路O3 を介して出力ポートout3 に向けて出力する(S43)。列を示す情報(RBh)が正であれば(S42)、その情報の数値から“1”を減じ(S44)、出力線54および出力回路O1 を介して出力ポートout1 に向けて出力する(S45)。
【0032】出力判定回路D3 の動作は、図12に示すように、入力セルの宛先情報(RBv,RBh)をコピーし(S51)、その行を示す情報(RBv)が正でなく(S52)、さらにその列を示す情報(RBh)が正でなければ(S53)、出力線58および出力回路O3 を介して出力ポートout3 に向けて出力する(S54)。行を示す情報(RBv)が正であるとき(S52)、その情報の数値から“1”を減じ(S56)、出力線57および出力回路O2 を介して出力ポートout2 に向けて出力する(S58)。行を示す情報(RBv)が正でなく(S52)、列を示す情報(RBh)が正のとき(S53)、その情報の数値から“1”を減じ(S55)、出力線56および出力回路O1 を介して出力ポートout1 に向けて出力する(S57)。このようにして、図9■〜■に示すように、宛先情報の数値は減じられながら宛先のノード11に到達することができる。
【0033】次に、図13を参照して出力回路O1 を説明する。図13は出力回路O1 のブロック構成図である。ここでは、出力回路O1 について説明するが、出力回路O2 およびO3 についても同様に説明することができる。出力線51、54、56から到来するセルはそれぞれバッファB1 、B2 、B3 に蓄積される。制御回路Cは、これらのバッファB1 〜B3 からセルが同時に出力されて衝突しないように、それぞれ時系列的に異なるタイミングにより論理和回路ORを介して出力ポートout1 に出力する。バッファB1 〜B3 から制御回路Cには、セル蓄積数情報が転送され、制御回路Cが行う競合調停制御としては、セル蓄積数が多いバッファB1 〜B3 から順番にセルを出力するような制御方法や、セル蓄積数に関係なくサイクリックにバッファB1 〜B3 を選択するような制御方法が考えられるが、いずれにしても競合調停制御方法は従来例技術として広く知られているので詳細な説明は省略する。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、ノード数が増加しても個々のノードが高いスループットを維持することができるネットワークを実現することができる。また、本発明によれば、ノードをマトリクス状に接続することができるネットワークを実現することができる。本発明によれば、ノードをマトリクス状に接続し、行および列を示す数値をそのまま宛先情報として用いることができるネットワークを実現することができる。あるいは、本発明によれば、ノードをマトリクス状に接続し、ルーティングを行うことができるネットワークを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第一実施例の全体構成図。
【図2】ノードを示す図。
【図3】ノードのブロック構成図。
【図4】行および列に付与される数値を示す図。
【図5】本発明第一実施例のセルのヘッダおよびセルルーティング状況を示す図。
【図6】本発明第一実施例における出力判定回路D1 の動作を示すフローチャート。
【図7】本発明第一実施例における出力判定回路D2 の動作を示すフローチャート。
【図8】本発明第一実施例における出力判定回路D3 の動作を示すフローチャート。
【図9】本発明第二実施例のセルのヘッダおよびセルルーティング状況を示す図。
【図10】本発明第二実施例における出力判定回路D1 の動作を示すフローチャート。
【図11】本発明第二実施例における出力判定回路D2 の動作を示すフローチャート。
【図12】本発明第二実施例における出力判定回路D3 の動作を示すフローチャート。
【図13】出力回路のブロック構成図。
【図14】リング状接続のネットワーク構成を示す図。
【図15】従来例のノードを示す図。
【符号の説明】
00〜33、N1 〜N16 ノード
51〜58、71、74、76 出力線
61、64、66、81、82、83 制御線
1 〜D3 出力判定回路
in1 〜in3 入力ポート
out1 〜out3 出力ポート
1 〜O3 出力回路
OR 論理和回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】 n行m列のATM(Asynchronous Transfer Mode:非同期転送モード) のノードを備え、そのノード間を伝送するセルの最長経路は各列毎にいずれか1個のノードを経由するように各ノードが接続されたことを特徴とするATMネットワーク。
【請求項2】 前記ノードは、セルが入力される第一ないし第三入力ポートと、このセルが出力される第一ないし第三出力ポートとを備え、前記第一入力ポートから入力されるセルの宛先情報にしたがってその出力方路を前記第一ないし第三出力ポートに切替える第一の出力判定回路と、前記第二入力ポートから入力されるセルの宛先情報にしたがってその出力方路を前記第一および第三出力ポートに切替える第二の出力判定回路と、前記第三入力ポートから入力されるセルの宛先情報にしたがってその出力方路を前記第一ないし第三出力ポートに切替える第三の出力判定回路とを備えた請求項1記載のATMネットワーク。
【請求項3】 i行j列に配置された一つのノードについて、その第一入力ポートは(i−1)行(j−1)列に配置されたノードの第二出力ポートに接続され、その第二入力ポートはi行(j−1)列に配置されたノードの第一出力ポートに接続され、その第一出力ポートはi行(j+1)列に配置されたノードの第二入力ポートに接続され、その第二出力ポートは(i+1)行(j+1)列に配置されたノードの第一入力ポートに接続された請求項2に記載のATMネットワーク。ただし、n+1=1とする。
【請求項4】 前記ノードには、そのノードが属する行および列を示す固定値がそれぞれ設けられ、前記宛先情報にはその宛先の行および列を示す数値が書込まれ、前記第一の出力判定回路は、行および列について宛先情報に含まれる数値とこの固定値とが一致したとき出力方路を前記第三出力ポートに切替え、行について不一致のとき出力方路を前記第二出力ポートに切替え、行について一致し列について不一致のとき出力方路を前記第一出力ポートに切替える手段を備え、前記第二の出力判定回路は、列について宛先情報に含まれる数値とこの固定値とが一致したとき出力方路を前記第三出力ポートに切替え、不一致のとき出力方路を前記第一出力ポートに切替える手段を備え、前記第三の出力判定回路は、行および列について宛先情報に含まれる数値とこの固定値とが一致したとき出力方路を前記第三出力ポートに切替え、行について不一致のとき出力方路を前記第二出力ポートに切替え、行について一致し列について不一致のとき出力方路を前記第一出力ポートに切替える手段を備えた請求項2記載のATMネットワーク。
【請求項5】 前記宛先情報には、行および列対応にそれぞれ数値が書込まれ、前記第一の出力判定回路は、行に対応する数値が正でなく、列に対応する数値が正でないとき出力方路を前記第三出力ポートに切替え、行に対応する数値が正であるときこの数値から“1”を減じてその出力方路を前記第二出力ポートに切替え、行に対応する数値が正でなく、列に対応する数値が正であるときこの数値から“1”を減じてその出力方路を前記第一出力ポートに切替える手段を備え、前記第二の出力判定回路は、列に対応する数値が正でないとき出力方路を前記第三出力ポートに切替え、列に対応する数値が正であるときこの数値から“1”を減じてその出力方路を前記第一出力ポートに切替える手段を備え、前記第三の出力判定回路は、行に対応する数値が正でなく、列に対応する数値が正でないとき出力方路を前記第三出力ポートに切替え、行に対応する数値が正であるときこの数値から“1”を減じてその出力方路を前記第二出力ポートに切替え、行に対応する数値が正でなく、列に対応する数値が正であるときこの数値から“1”を減じてその出力方路を前記第一出力ポートに切替える手段を備えた請求項2記載のATMネットワーク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図15】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図11】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開平7−336353
【公開日】平成7年(1995)12月22日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−122597
【出願日】平成6年(1994)6月3日
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)