説明

C16C18−含有アルキルプロポキシ界面活性剤系の界面活性剤を用いる鉱油の生産方法

本発明は、一般式R1−O−(CH2C(CH3)HO)m(CH2CH2O)n−XY-+のイオン性界面活性剤を少なくとも一種含む水性の界面活性剤製剤を注入用掘削孔を通して鉱油鉱床に注入し、原油を鉱床から生産用掘削孔を通して抜き出すウィンザーIII型マイクロエマルジョン攻法による鉱油の生産方法に関する。本発明はまた、上記一般式のイオン性界面活性剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウィンザーIII型マイクロエマルジョン攻法(マイクロエマルジョンフラッディング法)により、即ち、鉱油鉱床中に注入用掘削孔を通して、一般式R1−O−(CH2C(CH3)HO)m(CH2CH2O)n−XY-+のイオン性界面活性剤の一種以上を含む水性製剤を注入し、生産用掘削孔を通して鉱床から原油を抜き出す方法により鉱油を生産する方法に関する。本発明はまた、上記一般式のイオン性界面活性剤に関する。
【背景技術】
【0002】
自然の鉱油床では、鉱油は多孔性の貯留岩の空洞中に存在し、これらの岩石は、不浸透性の上層により地表からシールされている。これらの空洞は、非常に微細な空洞であってもよく、毛細管や空孔等であってもよい。微細な空孔の細い場所の径は、例えば約1μmであってもよい。鉱床は、天然ガス画分も含む鉱油と共に、多かれ少なかれ塩を含んでいる塩水を含んでいる。
【0003】
鉱油の生産は、一般的には、一次生産と二次生産と三次生産に区別される。一次生産では、鉱床の掘削開始後、鉱床の自生圧力により掘削孔から表面へ鉱油が流れ出る。
【0004】
一次生産の後、二次生産が用いられる。二次生産では、鉱油生産に用いられる掘削孔、いわゆる生産用掘削孔に加えて、他の掘削孔が鉱物油を含む層中に掘削される。これらのいわゆる注入用掘削孔から、鉱床の圧力を維持するため、あるいは再上昇させるために、水が鉱床に注入される。水の注入の結果、鉱油が空洞を通してゆっくりと層中に押し出され、注入用掘削孔から生産用掘削孔の方向に移動する。しかしながら、これは、空洞が完全に油で満たされており、より粘稠な油が水で押し出される場合にのみに起こる。移動水が空洞を通過すると直ちに、もっとも抵抗の低い通路に、即ちすでに形成されている流路を通過するため、もはや油を先に送ることができなくなる。
【0005】
一次生産と二次生産では、通常鉱床中に存在する鉱油の量の約30〜35%が生産のみである。
【0006】
三次の油生産のための対策を採ることで鉱油収率を上げることができることが知られている。三次油生産の総説が、例えば、Journal of Petroleum Science of Engineering 19(1998)”, pages 265 to 280に見られる。三次油生産には、例えば熱水または水蒸気を鉱床に注入する熱的な方法が含まれる。これにより油の粘度が低下する。用いる流動媒体は、同様にCO2または窒素のようなガスであってもよい。
【0007】
三次鉱油生産には、油生産の助剤として適当な化学物質を用いる方法も含まれる。これらは、系に影響を与えて水を最後まで流動させるようにし、その結果また、これまなら岩石層中に固く保持されていた鉱油を生産するために用いることができる。
【0008】
粘性力と毛管力が、二次生産の末期の鉱床岩石の空孔中に捕捉されている鉱油に作用する。なお、これら二つの力の相対比率は、微視的な油の分離状況から決まる。これらの力の作用は、無次元のパラメーター、いわゆる毛管数で記述される。これは、粘性力(速度×強制相の粘度)の毛管力(油と水の間の界面張力×岩石の濡れ)に対する比率である:
【0009】
【数1】

【0010】
この式において、μは、鉱油を流動化する流体の粘度であり、νは、Darcy速度(単位面積当りの流量)であり、σは、鉱油流動化流体と鉱油の間の界面張力であり、θは、鉱油と岩石の間の接触角である(C. Melrose、C.F. Brandner、J. Canadian Petr. Techn. 58、Oct.− Dec、1974)。毛管数が大きくなると、油の流動化が大きくなり、油除去の程度が大きくなる。
【0011】
二次鉱油生産の末期の毛管数が約10-6の範囲であること、またさらに多くの鉱油を流動化させるためには毛管数を約10-3〜10-2に増加させる必要があることが知られている。
【0012】
このために、ある特定の種類のフラッディング法、いわゆるウィンザーIII型マイクロエマルジョンフラッディング法を行うことができる。ウィンザーIII型マイクロエマルジョンフラッディング法では、注入された界面活性剤が、鉱床中に存在する水相および油相と、ウィンザーIII型マイクロエマルジョンを形成する必要がある。ウィンザーIII型マイクロエマルジョンは、特に小さな液滴をもつエマルジョンではなく、熱力学的に安定な水と油と界面活性剤の混合液である。
【0013】
その長所の三つは、次の通りである。
−鉱油と水相間の界面張力σを非常に小さくすることができる。
−通常極めて低粘度であり、このため多孔性マトリックスに捕捉されない。
−最小のエネルギー入力で形成でき、無限に長い期間安定に存在する(対照的に、従来のエマルジョンは高せん断力を必要とし(貯槽ではこのような力は発生しない)、また速度論的に安定化されているのみである)。
【0014】
このウィンザーIII型マイクロエマルジョンは、過剰の水及び過剰の油と平衡状態にある。これらのマイクロエマルジョンが形成される条件下では、界面活性剤が油/水界面を覆い、界面張力σを低下させ、より好ましくは<10-2mN/mの値(超低界面張力)にまで低下させる。最上の結果を得るためには、もちろん、水−マイクロエマルジョン−油系内における特定量の界面活性剤を含むマイクロエマルジョンの比率を最大とすべきである。これは、これにより界面張力を低下できるためである。このようにして、油滴の形状を変えることができ(小さな界面状態がもはや好ましくなく、また球状の形体が好ましくなくなるほど、油と水の間の界面張力が低下する)、フラッディング水により、このエマルジョンを毛細開口部を通して強制移動させることができる。
【0015】
過剰量の界面活性剤の存在下で全ての油−水界面が界面活性剤で覆われると、このウィンザーIII型マイクロエマルジョンが生成する。従って、これは、油相/水相間界面張力を大きく低下させることのできる界面活性剤の貯槽となる。また、このウィンザーIII型マイクロエマルジョンは低粘度であるため、このフラッディング法を実施中に多孔性の鉱床岩石を通過して移動できる(これ対して、エマルジョンは、多孔性マトリックスやブロック状鉱床中に捕捉されることがある)。ウィンザーIII型マイクロエマルジョンが界面活性剤で覆われていない油−水界面に出会うと、マイクロエマルジョンからの界面活性剤が、この新しい界面の界面張力を大きく低下させて、その油を流動化させる(例えば、油滴の形状変化により)。
【0016】
次いで、これらの油滴が、連続的な石油溜まりに結合する。これには、二つの長所がある。
【0017】
一つは、連続的な油溜まりが、新たな多孔性岩石中を通過し、そこにある油滴がこの油溜まりと結合する。
【0018】
また、油滴が結合して油溜まりとなると、油水界面を大きく低下させるため、界面活性剤を再度放出させる必要がない。その後、放出された界面活性剤は、上述のように層中に残留している油滴を流動化させることができる。
【0019】
したがって、ウィンザーIII型マイクロエマルジョンフラッディング法は極めて効率的な方法であり、エマルジョンフラッディング法と較べて界面活性剤の所要量が大幅に少ない。ウィンザーIII型マイクロエマルジョンフラッディング法では、これらの界面活性剤は、通常、必要なら共溶媒及び/又は塩基性塩とともに(必要なら、キレート剤の存在下で)注入される。次いで濃縮ポリマー溶液を注入して流動性を制御する。あるいは、流動性の制御のために、増粘ポリマーと界面活性剤と、共溶媒及び/又は塩基性塩(必要なら、キレート剤と)の混合物を注入し、さらに増粘ポリマーの溶液を注入する。貯槽の閉塞を防ぐために、これらの溶液は一般的には透明である必要がある。
【0020】
三次鉱油生産のための界面活性剤に求められる要件は、他用途用の界面活性剤に対する要件とはかなり異なる。三次油生産に好適な界面活性剤は、鉱油を十分に流動化させるために、水と油の間の界面張力(通常、約20mN/m)を10-2mN/m未満の特に低い値にまで低下させる必要がある。通常の鉱床温度である約15℃〜130℃で、高塩濃度の塩水の存在下で、特に高濃度のカルシウム及び/又はマグネシウムイオンの存在下でこれを行う必要がある。従って、界面活性剤は高塩濃度の鉱床水中に可溶である必要がある。
【0021】
これらの要件を満足させるために、界面活性剤の混合物が、特にアニオン性界面活性剤とノニオン性界面活性剤の混合物が、すでに数多く提案されている。
【0022】
US5,849,960には、8〜36個の炭素原子を持つ分岐アルコールが開示されている。分岐の程度は、0.7、好ましくは1.5〜2.3である。なお、その場合、0.5%未満の四級炭素原子が存在し、分枝基にはメチル基とエチル基が含まれる。また、これらのアルコールをさらに加工して対応する界面活性剤にすること、具体的にはアルコキシレート、スルフェートまたはアルコキシスルフェートとすることも記載されている。
【0023】
EP003183B1には、一般式R−O−ポリプロポキシ−ポリエトキシ−X(式中、Xはスルフェート、スルホネート、ホスフェートまたはカルボン酸基である)の界面活性剤が記載されている。ある好ましい実施様態においては、Rは、10〜16個の炭素原子をもつ分岐アルキル基、例えばイソトリデシル基である。
【0024】
使用パラメーター、例えば使用界面活性剤の種類や濃度や相互の混合比率は、特定の油層に存在する条件(例えば、温度や塩含量)に応じて、当業界の熟練者により調整される。
【0025】
上述のように、鉱油生産は上記の毛管数に比例する。油と水の間の界面張力が低いほど、鉱油生産が高くなる。原油中の平均炭素原子数が大きいほど、低い界面張力を達成することが難しくなる。
【0026】
低界面張力に好適な界面活性剤は、長鎖アルキル基を持つものである。アルキル基が長いほど、界面張力をよりよく低下させることができる。しかしながら、このような化合物はほとんどなく、これらの化合物はますます非水溶性となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
したがって、本発明の目的は、界面活性剤攻法または好ましくはウィンザーIII型マイクロエマルジョン攻法に使用する、特に効率的な可溶性界面活性剤と、三次鉱油生産のための改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
したがって、少なくとも一種のイオン性界面活性剤を含む水性の界面活性剤製剤を、少なくとも一本の注入用掘削孔を経由して鉱油鉱床に注入して、油と水の間の界面張力を<0.1mN/mに、好ましくは<0.05mN/m、より好ましくは<0.01mN/mに低下させて、該鉱床から少なくとも一本の生産用掘削孔を経由して原油を抜き出すウィンザーIII型マイクロエマルジョン攻法による三次鉱油生産のための方法であって、該界面活性剤製剤が、少なくとも一種の以下の一般式の界面活性剤を含むことを特徴とする方法が提供される。
【0029】
1−O−(CH2C(CH3)HO)m(CH2CH2O)n−XY-+
式中、
1は、16〜18個の炭素原子をもつ、非分岐状の、飽和又は不飽和直鎖脂肪族炭化水素基であり、
nは、0〜99であり、
mは、0〜99であり、
(なお、nとmの合計は、3〜99の範囲である)、
-は、スルフェート基とスルホネート基、カルボキシレート基、リン酸基からなる群から選ばれ、
Xは、0〜10個の炭素原子をもつアルキル基又はアルキレン基であり、
+は、カチオンである。
【0030】
また、少なくとも一種の上記一般式のイオン性界面活性剤を含む鉱油生産用の界面活性剤混合物も提供される。
【0031】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0032】
本発明のウィンザーIII型マイクロエマルジョン攻法による鉱油生産方法においては、少なくとも一種の上記一般式の界面活性剤を含む水性の界面活性剤製剤が用いられる。これが、さらに他の界面活性剤及び/又は他の成分を含んでいてもよい。
【0033】
ウィンザーIII型マイクロエマルジョン攻法による三次鉱油生産のための本発明の方法においては、本発明の界面活性剤の使用で、油と水の間の界面張力を<0.1mN/mの値に、好ましくは<0.05mN/m、より好ましくは<0.01mN/mの値に低下させる。従って、この油と水の間の界面張力は、0.1mN/m〜0.0001mN/mの範囲の値にまで低下され、好ましくは0.05mN/m〜0.0001mN/mの範囲の値、より好ましくは0.01mN/m〜0.0001mN/mの範囲の値に低下させられる。
【0034】
この少なくとも一種の界面活性剤は、一般式R1−O−(CH2C(CH3)HO)m(CH2CH2O)n−XY-+で示される。この界面活性剤製剤中に、複数の異なる一般式の界面活性剤が存在していてもよい。
【0035】
1基は、16〜18個の炭素原子をもつ直鎖非分岐脂肪族炭化水素基であり、
好ましくは飽和基である。
【0036】
上記一般式において、nは0〜99であり、好ましくは0〜19、より好ましくは0〜10である。
【0037】
上記一般式において、mは0〜99であり、好ましくは3〜20、より好ましくは5〜11である。
【0038】
本発明によれば、nとmの合計が3〜99の範囲の値であり、好ましくは3〜39の範囲の値、より好ましくは5〜15の範囲の値である。
【0039】
本発明のある好ましい実施様態においては、mがnより大きい。即ち、全体のアルキレンオキシド(nとmの合計)中で、プロピレンオキシドが50%を越える。
【0040】
上記一般式において、nとmはそれぞれ整数である。この定義が単一の界面活性剤の定義であることは、ポリアルコキシレートの分野の熟練者には明白である。複数の上記一般式の界面活性剤を含む界面活性剤製剤が存在する場合、数値Xとmは、それぞれこれら界面活性剤の全分子の平均値である。これは、アルコールをエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドでアルコキシル化すると一定の鎖長分布が発生するためである。この分布は、原理的には公知のように多分散度Dで記述できる。D(=Mw/Mn)は、重量平均モル質量を数平均モル質量で割った値である。この多分散度は、当業界の熟練者には既知の方法で、例えばゲル浸透クロマトグラフィーで決定できる。
【0041】
本発明によれば、エチレンオキシド基とプロピレンオキシド基が、ランダムに分布していても、交互に分布しても、あるいは2つ以上のブロックの形で分布していてもよい。界面活性剤中に両方のアルキレンオキシドが存在する場合、アルキレンオキシドの>80%がブロックの形で存在し、プロピレンオキシドブロックが直接上記のR1−Oに結合していることがより好ましい。
【0042】
上記一般式において、Xは0〜10個の炭素原子をもつ、好ましくは0〜3個の炭素原子をもつアルキレン基またはアルケニレン基である。本発明のある好ましい実施様態において、Xは、メチレン、エチレンまたはプロピレン基である。
【0043】
上記一般式において、Yは、スルホネート、スルフェート、カルボキシレート基またはリン酸基である。本発明のある好ましい実施様態において、Y-は、スルフェート基である。このイオン性のY基は、例えば硫酸化により上記アルコールアルコキシレートに結合させることができる。
【0044】
上記式において、M+はカチオンであり、好ましくはNa+とK+、Li+、NH4+、H+、Mg2+、Ca2+からなる群から選ばれるカチオンである。
【0045】
上記一般式の界面活性剤は、原理的には公知の方法で、相当するアルコールR1−OHをアルコキシル化して製造できる。アルコキシル化の方法は、原理的には当業界の熟練者に公知である。同様に、これらのアルコキシレートのモル質量分布が反応条件により、特に触媒の選択により影響を受けることは当業界の熟練者には公知である。
【0046】
上記一般式の界面活性剤は、塩基触媒によるアルコキシル化で製造することが好ましい。圧力反応器中でアルコールR1−OHを、アルカリ金属の水酸化物、好ましくは水酸化カリウムと、あるいはナトリウムメトキシドなどのアルカリ金属アルコキシドと混合できる。混合物中に残留する水は、減圧(例えば、<100mbar)及び/又は加熱(30〜150℃)で除くことができる。その後では、このアルコールは相当するアルコキシドの形で存在する。この後で、不活性ガス(例えば、窒素)で不活性化させ、60〜180℃の温度で、最大圧力が10barでアルキレンオキシドを徐々に添加する。本発明によれば、最初にプロピレンオキシドを添加してアルキルオキシプロピレンエーテルを得、次いでエチレンオキシドと反応させることが好ましい。反応終了後に、必要なら触媒を、酸(例えば、酢酸またはリン酸)の添加して中和し、濾過して除くことができる。
【0047】
しかしながら、アルコールR1−OHのアルコキシル化は、他の方法で、例えば酸触媒でのアルコキシル化で行うこともできる。また、例えばDE4325237A1に記載の二水酸化物クレーを使用できるし、あるいは二金属シアン化物触媒(DMC触媒)を使用することができる。適当なDMC触媒が、例えばDE10243361A1に、特に段落[0029]〜[0041]とそこに引用の文献に開示されている。例えば、Zn−Co型の触媒を使用できる。この反応を行うには、アルコールR1−OHを触媒と混合し、混合物を上述のように脱水し、上述のようにアルキレンオキシドと反応させる。通常、混合物に対して1000ppm以下の触媒が使用されるが、少量であるためこの触媒が生成物中に残留することがある。触媒の量は、一般的には1000ppm未満であり、例えば250ppm以下である。
【0048】
アニオン性基が最終的に導入される。これは、原理的には当業界の熟練者に公知である。スルフェート基の場合、例えば薄膜型反応器中で硫酸、クロロスルホン酸または三酸化硫黄と反応させ、次いで中和させることができる。スルホネート基の場合、例えば、プロパンスルトンとの反応と続く中和、ブタンスルトンとの反応と続く中和、ビニルスルホン酸ナトリウム塩との反応、または3−クロロ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム塩との反応を使用することができる。カルボキシレート基の場合、例えば、アルコールの酸素での酸化と続く中和、またはクロロ酢酸ナトリウム塩との反応を使用できる。
【0049】
他の界面活性剤
本製剤は、上記一般式の界面活性剤に加えて、さらに他の界面活性剤を含むことができる。これらは、例えば、アルキルアリールスルホネートまたはオレフィンスルホネート(α−オレフィンスルホネートまたは内部オレフィンスルホネート)型のアニオン界面活性剤、及び/又はアルキルエトキシレートまたはアルキルポリグルコシド型のノニオン性界面活性剤である。これらの他の界面活性剤は、特にまたオリゴマー状やポリマー状の界面活性剤であってもよい。このようなポリマー状の共界面活性剤を使用して、マイクロエマルジョンを形成するのに必要な界面活性剤の量を減らすことが好ましい。したがって、このようなポリマー状の共界面活性剤は、「マイクロエマルジョン化増進剤」ともよばれる。このようなポリマー状界面活性剤の例としては、少なくとも一個の親水性ブロックと少なくとも一個の疎水性ブロックを含む両親媒性ブロックコポリマーがあげられる。例としては、ポリプロピレンオキシド−ポリエチレンオキシドブロックコポリマーや、ポリイソブテン−ポリエチレンオキシドブロックコポリマー、ポリエチレンオキシド側鎖と疎水性主鎖をもつ櫛型ポリマーであって、主鎖が好ましくはモノマーとして実質的にオレフィンまたは(メタ)アクリレートからなるものがあげられる。いずれの場合も、「ポリエチレンオキシド」は、上述のようにプロピレンオキシド単位をからなるポリエチレンオキシドブロックを含む必要がある。このような界面活性剤のさらに詳細な説明が、WO2006/131541A1に開示されている。
【0050】
鉱油の生産方法
本発明の鉱油の生産方法においては、少なくとも一本の注入用掘削孔から上記一般式の界面活性剤の適当な水性製剤が鉱油鉱床に注入され、この鉱床から少なくとも一本の生産用掘削孔を経由して原油が抜き出される。この「原油」は、単一相の油を意味するのでなく、むしろ通常の原油−水エマルジョンを意味する。一般に、鉱床には数本の注入用掘削孔と数本の生産用掘削孔が設けられる。界面活性剤の主な効果は、水と油の間の界面張力の低下、望ましくは0.1mN/mよりかなり小さな値への低下にある。この界面活性剤製剤の注入、即ち「界面活性剤攻法」の後、または好ましいウィンザーIII型マイクロエマルジョン攻法の後、層中に水を注入して(「水攻法」)、または好ましくは強い増粘作用を持つ高粘度ポリマー水溶液を注入(「ポリマー攻法」)して圧力を維持することができる。しかしながら、最初に界面活性剤を層に作用させる方法も知られている。他の既知の方法では、界面活性剤と増粘ポリマーの溶液を注入し、ついで増粘ポリマー溶液を注入する。当業界の熟練者は、「界面活性剤攻法」と「水攻法」と「ポリマー攻法」の工業的効果について理解しており、鉱床の種類に応じて適当な方法を採用している。
【0051】
本発明の方法には、上記一般式の界面活性剤を含む水性製剤が使用される。本製剤は、水に加えて、必要ならさらに水混和性または少なくとも水分散性の有機物質あるいは他の物質を含んでいてもよい。このような添加物は、特に貯蔵中や油田への輸送中における界面活性剤溶液の安定化に寄与する。しかしながら、これらの助溶媒の量は、一般的には50重量%以下であり、好ましくは20重量%以下である。本発明の特に好ましい実施様態においては、製剤に水のみが使用される。水混和性溶媒の例としては、特にアルコールがあげられ、具体的にはメタノールやエタノール、プロパノール、ブタノール、sec−ブタノール、ペンタノール、ブチルエチレングリコール、ブチルジエチレングリコールまたはブチルトリエチレングリコールがあげられる。
【0052】
本発明によれば、上記一般式の界面活性剤の比率は、存在する全ての界面活性剤、即ち上記一般式の界面活性剤と必要に応じて加えられる界面活性剤の合計に対して少なくとも30重量%である。この比率が少なくとも50重量%であることが好ましい。
【0053】
本発明で用いられる混合物を、鉱床の界面活性剤攻法に使用することが好ましい。これは特に、ウィンザーIII型マイクロエマルジョン攻法(ウィンザーIIIの範囲での、あるいはマイクロエマルジョン相の存在する範囲でのフラッディング)に適している。ウィンザーIII型マイクロエマルジョン攻法については、冒頭に詳細に述べた。
【0054】
これらの界面活性剤に加えて、本製剤は、さらに他の成分を、例えばC4〜C8−アルコール及び/又は塩基性塩を含んでいてもよい(いわゆる、「アルカリ界面活性剤攻法」)。このような添加物は、例えば層中での残留を減らすのに使用できる。使用界面活性剤の総量に対するこれらのアルコールの比率は、一般的には少なくとも1:1である。しかしながら、大過剰のアルコールを使用することもできる。塩基性塩の量は、典型的には0.1重量%〜5重量%である。
【0055】
本方法を用いる鉱床の温度は、一般的には少なくとも10℃であり、例えば10〜150℃であり、好ましくは少なくとも15℃〜120℃である。全界面活性剤の総濃度は、水性の界面活性剤製剤に対して0.05〜5重量%であり、好ましくは0.1〜2.5重量%である。当業界の熟練者は、所望の性質に応じて、特に鉱油層中の条件に応じて適当な選択を行う。製剤が層中の水と混和しうるため、あるいは界面活性剤が層の固体表面に吸着されうるため、層中に注入されると界面活性剤濃度が変化しうることは、当業界の熟練者には明白である。これらの界面活性剤が特に大きな界面張力の低下に導くことが、本発明の混合物の最大の長所である。
【0056】
一旦濃縮物を作製し、現場において層内注入に望ましい濃度に希釈することも可能であるし、また推奨できる。一般にこのような濃縮物中の界面活性剤の合計濃度は10〜45重量%である。
【0057】
以下の実施例は、本発明を詳細に説明するためのものである。
【0058】
第I部:使用界面活性剤の合成
一般的な方法1:KOH触媒によるアルコシキル化
2lのオートクレーブ中で、アルコキシル化用のアルコール(1.0当量)を、50重量%のKOHを含むKOH水溶液と混合する。KOHの量は、合成する生成物の0.2重量%である。撹拌下でこの混合物を、100℃、20mbarで2時間脱水する。その後、N2で3回ガス置換し、N2の供給圧力を約1.3barとして120〜130℃に温度を上昇させる。温度が125℃〜135℃(エチレンオキシドの場合)となるようにしながら、あるいは130〜140℃(プロピレンオキシドの場合)となるようにしながら、アルキレンオキシドを投入する。その後125〜135℃でさらに5時間攪拌し、N2で置換し、70℃に冷却し、反応器を空にする。この塩基性粗生成物を酢酸で中和する。あるいは市販の珪酸マグネシウムで中和を行い、次いでこれを濾別してもよい。この淡色の生成物の特性評価を、CDCl3中での1H−NMRスペクトルとゲル浸透クロマトグラフィー、OH価測定で行い、その収率を決定する。
【0059】
一般的な方法2:クロロスルホン酸での硫酸化
1lの丸底フラスコ中で、硫酸化すべきアルキルアルコキシレート(1.0当量)を、1.5倍量のジクロロメタン(重量%)に溶解し、5〜10℃に冷却する。その後温度が10℃を越えないようにしながら、クロロスルホン酸(1.1当量)を滴下する。この混合物を室温まで暖め、N2流下でこの温度で4時間攪拌し、その後上記反応混合物を、最高で15℃の温度で、その体積の半分量のNaOH水溶液に滴下する。NaOHの量は、使用するクロロスルホン酸に対してやや過剰となるように計算されている。その結果のpHは約9〜10である。最高50℃でロータリーエバボレータ中、穏やかな真空下でジクロロメタンを除く。
【0060】
この生成物を、1H−NMRで評価し、溶液の水分率を決定する(約70%)。
【0061】
合成には、以下のアルコールを使用した。

【0062】
これらのアルコールはそれぞれ、方法1でアルコキシル化され、アルコキシル化の程度を表1〜3にまとめて示す。
【0063】
第II部:性能試験
三次鉱油生産に適しているかどうかを評価するため、得られた界面活性剤を用いて以下の試験を行った。
【0064】
試験方法の概要
a)溶解度
アルキルアルコキシスルフェートを室温で、注入用塩水または鉱床からの生産水(総濃度:500〜3000ppm)に溶解し、NaOH(1000〜15000ppm)と、必要ならキレート剤(例えば、EDTA)を添加する。必要なら、ブチルジエチレングリコール(BDG)を添加する。次いで、この溶液を鉱床温度とする。24時間後にこの製剤を肉眼評価し、透明な溶液である場合にのみさらに使用する。目的鉱床への注入水の塩分量は、11250ppm−TDS(総溶解塩)であった。鉱床温度は32℃であった。
【0065】
b)界面張力
また、鉱床温度の32℃で、デッドオイル(API:約14)と元の注入塩水との間の界面張力を、スピンドロップ法で直接測定した。このために、a)で作った界面活性剤溶液を使用した。鉱床温度で、油滴をこの透明溶液に入れ、2時間後にその界面張力を読み取った。
【0066】
c)SP*の測定
測定原理:
溶解パラメーターSP*の測定法により、既知の方法で水と油の間の界面張力を測定した。溶解パラメーターSP*の測定による界面張力の決定は、当技術分野で認められている概略の界面張力決定方法である。この溶解パラメーターSP*は、マイクロエマルジョン(ウィンザーIII型)中で用いた界面活性剤の1ml当たり何mlの油が溶解するかを示す。等体積の水と油を用いる場合、界面張力σ(IFT)は、これから、近似式IFT≒0.3/(SP*)2で計算することができる。(C. Huh、J.Coll. Interf. Sc、Vol.71、No.2(1979))。
【0067】
方法
SP*を決定するために、磁気攪拌子を備えた100mlのメスシリンダに、20mlの油と20mlの水を入れる。これに、上記濃度である特定の界面活性剤を加える。次いで、温度を徐々に20から90℃に上げ、マイクロエマルジョンが形成される温度範囲を観察する。
【0068】
マイクロエマルジョンの形成は、肉眼で確認でき、あるいは伝導度測定で確認できる。三相系が生成する(上の油相、中央のマイクロエマルジョン相、下の水相)。上相と下相が同じ大きさで12時間経時変化を示さない場合に、それがマイクロエマルジョンの最適温度(Topt)となる。中央の相の体積を測定する。この体積から、加えた界面活性剤の体積を除く。得られた数値を2で割る。次いで、この体積を、加えた界面活性剤の体積で割る。この結果がSP*である。
【0069】
検討する系に応じて、SP*の測定に用いられる油と水の種類を決定する。鉱油そのものを使用することもできるし、モデル油、例えばデカンを使用することもできる。油層中の条件と似せるために、使用水は純水であっても塩水であってもよい。水相の組成を、例えば特定の鉱床水の組成に応じて調整してもよい。
【0070】
用いる水相と油相に関する情報は、下記の試験の具体的な説明に見出される。
【0071】
試験結果
直鎖C16C18脂肪アルコール系の界面活性剤を使用した。比較のために、直鎖アルコールC20系界面活性剤とC14系界面活性剤を選択した。デカンとNaCl溶液の1:1混合物を、ブチルジエチレングリコール(BDG)と混合した。ブチルジエチレングリコール(BDG)は共溶媒として働き、SP*の計算には含まれない。これに、3部のアルキルアルコキシスルフェートと1部のドデシルベンゼンスルホネート(BASF社製ルテンシットA−LBN50)とからなる界面活性剤混合物を添加した。総界面活性剤濃度は、総体積あたりの重量パーセントで報告する。
【0072】
また、デッドオイル(API:約14)と、TDS(合計溶解した塩)が11250ppmの元となる注入塩水の間の界面張力を、鉱床温度の32℃で直接スピニングドロップ法で測定した。このために、元の注入水を、1000ppmの界面活性剤と500ppmのBDG、300ppmのキレート剤、3500ppmのNaOHと混合した。32℃でこの透明溶液に油を一滴を落とし、2時間後にその界面張力を読み取った。その結果を表1〜3に示す。
【0073】
【表1】

【0074】
表1から明らかなように、驚くべきことにC16C18系の化合物が最も大きなSP*値を示し、このため最も小さな界面張力を示した。何らかの温度の影響を取り除くため、まず、同じ最適温度で(バランスのよいウィンザーIII型マイクロエマルジョンの形成)で比較を行った。予期したように、比較例C2は、実施例3より大きな界面張力を与えた。これは文献と一致する。直鎖アルキル基をC18より長くすると、驚くべきことに、単純モデル油のデカンで同じ差異を示す(比較例C1と実施例3と4の比較)。C1の場合も界面張力は低下せずに増加する。文献からは、通常、アルキル基が長くなると界面張力が低下すると考えられる。しかしながら、そうではない。
【0075】
【表2】

【0076】
室温と鉱床温度の32℃で、調整したほぼ全ての界面活性剤製剤が注入塩水中に透明となるまで溶解した(表2)。例外は、C20−7PO−スルフェートを含むC3である。ここでは、濁りのある均一な溶液が得られている。この溶液は、時間経過と共に、多孔性マトリックス中で、微細流路への析出と閉鎖を引き起こしうる。他の実施例では、アルキル基に分岐を持たないことが、短所とはなっていない。一般的に、文献は分枝の利点を説く。その結果、例えば溶解度が増加し、あるいは界面活性剤のクラフト点が低下する。直鎖アルコール系界面活性剤は、プロピレンオキシドと組合せることで、溶解性においてなんら欠点を持っていない。
【0077】
【表3】

【0078】
表3から明らかなように、直鎖アルコール系界面活性剤は、原油に対していろいろ異なる界面張力を与える。NaOH量が変化する(また、このため塩濃度と天然界面活性剤としてのナフテン酸の流動性が変化する)場合でも、実施例1と実施例2は、約3×10-3mN/mの優れた界面張力を与える。プロポキシル化の程度が変化しても(実施例5)、この好ましい界面張力値に小さな変化が起こるのみである。この結果、5×10-3mN/mとなる。これを、直鎖のC20アルコール系の界面活性剤(C6及びC7)と比較すると、これらの界面張力がずっと大きい(3〜6×10-2mN/n、ほぼ一桁大きい)ことがわかる。C4から明らかなように、短いアルキル基をもつ界面活性剤(C14)は、好ましい界面張力値を与えない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一種のイオン性界面活性剤を含む水性の界面活性剤製剤を、油と水の間の界面張力を<0.1mN/mに低下させることを目的として、少なくとも一本の注入用掘削孔を経由して鉱油鉱床に注入して、該鉱床から少なくとも一本の生産用掘削孔を経由して原油を抜き出すウィンザーIII型マイクロエマルジョンフラッディング法により鉱油を生産する方法であって、該界面活性剤製剤が、少なくとも一種の以下の一般式の界面活性剤を含むことを特徴とする方法:
1−O−(CH2C(CH3)HO)m(CH2CH2O)n−XY-+
(式中、
1は、16〜18個の炭素原子をもつ、非分岐状の、飽和又は不飽和直鎖脂肪族炭化水素基であり、
nは、0〜99であり、
mは、3〜20であり、
(なお、nとmの合計は、3〜99の範囲である)、
-は、スルフェート基とスルホネート基、カルボキシレート基、リン酸基からなる群から選ばれ、
Xは、0〜10個の炭素原子をもつアルキル基又はアルキレン基であり、
+は、カチオンである)。
【請求項2】
1が、16〜18個の炭素原子をもつ、非分岐の飽和直鎖脂肪族炭化水素基であり、Y-は、スルフェート基とスルホネート基、カルボキシレート基、リン酸基からなる群から選ばれ、界面活性剤中に両方のアルキレンオキシドが存在するとき、これらのアルキレンオキシドの>80%がブロックの形で配列し、プロピレンオキシドブロックが直接上記のR1−Oに結合し、nとmの合計が5〜15の範囲にある請求項1に記載の方法。
【請求項3】
mがnより大きい請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
全ての界面活性剤の濃度が一緒に、水性の界面活性剤製剤の総量に対して0.05〜5重量%である請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
下記一般式のイオン性界面活性剤を少なくとも一種含む鉱油生産用の水性界面活性剤製剤:

1−O−(CH2C(CH3)HO)m(CH2CH2O)n−XY-+

(式中、
1は、16〜18個の炭素原子をもつ、非分岐状の、飽和又は不飽和直鎖脂肪族炭化水素基であり、
nは、0〜99であり、
mは、3〜20であり、
(なお、nとmの合計は、3〜99の範囲である)、
-は、スルフェート基とスルホネート基、カルボキシレート基、リン酸基からなる群から選ばれ、
Xは、0〜10個の炭素原子をもつアルキル基又はアルキレン基であり、
+は、カチオンである)。
【請求項6】
1が、16〜18個の炭素原子をもつ、非分岐の飽和直鎖脂肪族炭化水素基であり、Y-は、スルフェート基とスルホネート基、カルボキシレート基からなる群から選ばれ、界面活性剤中に両方のアルキレンオキシドが存在するとき、これらのアルキレンオキシドの>80%がブロックの形で配列し、プロピレンオキシドブロックが直接上記のR1−Oに結合し、nとmの合計が5〜15の範囲にある請求項5に記載の製剤。
【請求項7】
全ての界面活性剤の濃度が一緒に、水性の界面活性剤製剤の総量に対して0.05〜5重量%である請求項5または6に記載の製剤。
【請求項8】
一般式の界面活性剤:

1−O−(CH2C(CH3)HO)m(CH2CH2O)n−X-+

(式中、
1は、16〜18個の炭素原子をもつ、非分岐状の、飽和又は不飽和直鎖脂肪族炭化水素基であり、
nは、0〜99であり、
mは、3〜20であり、
(なお、nとmの合計は、3〜99の範囲である)、
-は、スルフェート基とスルホネート基、カルボキシレート基、リン酸基からなる群から選ばれ、
Xは、0〜10個の炭素原子をもつアルキル基又はアルキレン基であり、
+は、カチオンである)。
【請求項9】
nとmの合計が5〜15の範囲である請求項8に記載界面活性剤。
【請求項10】
mがnより大きい請求項8または9に記載界面活性剤。

【公表番号】特表2013−521392(P2013−521392A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556465(P2012−556465)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【国際出願番号】PCT/EP2011/053320
【国際公開番号】WO2011/110502
【国際公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany