説明

C2及びC6位置にシス置換基があるテトラヒドロピラン誘導体とその製造方法

【課題】
C2及びC6位置にシス置換基があるテトラヒドロピラン誘導体とその製造方法を提供すること。
【解決手段】
下記化学式1で表わされる新規なテトラヒドロピラン誘導体及びホモプロパギルアルコール誘導体とアルデヒド化合物をトリメチルシリルトリフラート存在下でプリンス反応させて化学式1の化合物を製造する工程を含む新規なテトラヒドロピラン誘導体の製造方法に関するものである。本発明によるテトラヒドロピラン誘導体のテトラヒドロピラン環のC2及びC6位置にはシス置換基が同時に存在するので、機能性自然物合成用中間体として有用に使用することができる。


(式中、R、R、Rは本明細書で定義したのと同様である)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C2及びC6位置にシス置換基があるテトラヒドロピラン誘導体とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
治療活性が優秀な多くの自然物の中には、テトラヒドロピラン母核のC2及びC6位置にまたはC2、C3及びC6位置に同時にシス置換基を含む立体選択性構造を有しているものがある(非特許文献1、 非特許文献2)。
【0003】
したがって、本発明が提供するテトラヒドロピラン誘導体は、文献に公開されたことがない新規な化合物であり、テトラヒドロピラン母核のC2及びC6位置にまたはC2、C3及びC6位置に同時にシス置換基が置換されているので、治療活性が優秀な立体選択性自然物の合成と新薬開発などにとても重要な中間体として非常に有用に使用することができる。
【非特許文献1】Org.Lett.2007年,第9巻,1437−1440頁
【非特許文献2】JACS.1981年,第103巻,2491−2494頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、C2及びC6位置にシス置換基がある新規なテトラヒドロピラン誘導体を提供することである。
本発明の他の目的は、前記テトラヒドロピラン誘導体を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明は、C2及びC6位置にシス置換基が存在する下記の化学式1で表わされるテトラヒドロピラン誘導体を提供する。
【0006】
【化1】

【0007】
式中、R及びRは各々C〜Cアルキル基、C〜C15アリールC〜Cアルキル基、またはC〜C15アリール基を示し、該アリールは、ハロゲン、ニトロ及びC〜Cアルキルからなる群から選択された置換体が1ないし4個置換または非置換され、Rはメチリデンエチルトリフラート基またはアセトキシ基である。
【0008】
また、本発明はホモプロパギルアルコール誘導体とアルデヒド化合物をルイス酸存在下でプリンス反応させる工程を含む前記テトラヒドロピラン誘導体の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明による製造方法によって、一つの炭素の立体性でプリンス反応を通じて残り炭素の立体性を一度に決定するシス−2,6−ジヒドロピラン−3−イリデントリフラート化合物と、シス−2,3,6−テトラヒドロピラン誘導体を合成することができる。また、本発明のプリンス環化反応は比較的簡潔で、立体選択性が非常に高くて、反応条件が穏和でキラル(chiral)化合物合成にも応用が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0011】
本発明は、下記化学式1で表わされるテトラヒドロピラン誘導体を提供する。
【0012】
【化2】

【0013】
式中、R及びRは各々C〜Cアルキル基、C〜C15アリールC〜Cアルキル基、またはC〜C15アリール基を示し、該アリールは、ハロゲン、ニトロ及びC〜Cアルキルからなる群から選択された置換体が1ないし4個置換または非置換され、Rはメチリデンエチルトリフラート基またはアセトキシ基である。
【0014】
本発明において、「アルキル基」は炭素原子が1ないし6個である直鎖状または分鎖状の炭素鎖をすべて含み、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどがある。
【0015】
本発明において、「アリール基」は最小限6個の原子を有した一つの環または最小限10個の原子を有した二つの環または隣接した炭素原子に二重結合で共鳴安定化した状態の芳香族の環をすべて含み、アリール基は具体的にフェニル基、ナプチル基などがある。
【0016】
本発明において、「アリールアルキル基」は前記で定義されたアリール基がアルキル基に結合した基で、具体的にベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピル、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基などがある。前記で定義されたアリール基またはアリールアルキル基の芳香族環には、ハロゲン原子、C〜Cアルキル基、ニトロ基などの置換体を1ないし4個有することができる。
【0017】
本発明によるテトラヒドロピラン誘導体をより具体化すると、下記化学式1aまたは1bで表わすことができる。
【0018】
【化3】

【0019】
前記化学式1aで表わされるテトラヒドロピラン誘導体は、C2及びC6位置に同時にシス置換基が存在して、前記化学式1bで表わされるテトラヒドロピラン誘導体は、前記化学式1aで表わされる化合物を加水分解反応させて製造したもので、C2、C3及びC6位置に同時にシス置換基が存在する。
【0020】
以上で説明した前記化学式1で表わされるテトラヒドロピラン誘導体に含まれる代表的化合物を、下記に示す。
(1)(E)−1−((2S,6S)−2−(4−ニトロフェニル)−6−フェニル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナート、
(2)(E)−1−(2,6−ジフェニル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナート、
(3)(E)−1−(2−(ナフタリン−2−イル)−6−フェニル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナート、
(4)(E)−(2−(4−クロロフェニル)−6−フェニル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナート、
(5)(E)−(2−(4−ニトロフェニル)−6−フェニル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナート、
(6)(E)−1−(2−メチル−6−フェニル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナート、
(7)(E)−1−((2S,6R)−2,6−ジメチル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナート、
(8)(E)−1−(2−エチル−6−フェニル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナート、
(9)(E)−1−(2−イソプロピル−6−フェニル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナート、
(10)(E)−1−(2−ペンチル−6−フェニル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナート、
(11)(E)−1−(2−フェニルエチル−6−フェニル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナート、及び
(12)1−((2R,3R,6S)−2−(4−ニトロフェニル)−6−フェニル−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)エタノン。
【0021】
また、本発明は下記スキーム1で表わされるように、ホモプロパギルアルコール誘導体2とアルデヒド化合物3をルイス酸存在下でプリンス反応させて化学式1aの化合物を製造する工程を含む、前記テトラヒドロピラン誘導体の製造方法を提供する。
【0022】
【化4】

【0023】
前記スキーム1で、R及びRは化学式1で定義したのと同様であり、化学式1a及び1bの化合物は化学式1の化合物に含まれる。
【0024】
前記スキーム1に示された最初の反応は、前記化学式2で表わされるホモプロパギルアルコール誘導体と前記化学式3で表わされるアルデヒド化合物をルイス酸存在下でプリンス反応させて、前記化学式1aで表わされるジヒドロピラン−3−イリデントリフラート化合物を製造する工程である。
【0025】
前記プリンス反応に使用するルイス酸(Lewis acid)は、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホナート(TMSOTf)を使用することが好ましい。ルイス酸の使用量は、出発物質に使用する前記化学式2で表わされるホモプロパギルアルコール誘導体に対して1ないし4当量であり、2.5ないし3.5当量で使用することが好ましい。
【0026】
反応溶媒には、通常の有機溶媒を使用することができ、ジクロロメタンを使用することが好ましい。反応温度は、−78℃ないし30℃の範囲を維持することが好ましいが、常温でも反応は円滑に遂行する。反応時間は、3ないし5時間が好ましい。
【0027】
本発明による製造方法において、前記スキーム1に示した二番目の反応のように、前記化学式1aで表わされるジヒドロピラン−3−イリデントリフラート化合物を加水分解反応させて、前記化学式1bで表わされるテトラヒドロピラン化合物を製造する工程をさらに含むことができる。
【0028】
前記加水分解反応は、酸条件またはアルカリ条件で通常の方法で遂行することができる。加水分解反応溶媒は、前記プリンス反応で使用した通常の有機溶媒を使用することが可能で、ジクロロメタンを使用することが好ましい。反応温度は、0℃ないし30℃の範囲を維持することが好ましいが、常温でも反応は円滑に遂行する。反応時間は、1ないし3時間が好ましい。
【0029】
以上で説明したように、本発明による製造方法によって、一つの炭素の立体性でプリンス反応を通じて残り炭素の立体性を一度に決定するシス−2,6−ジヒドロピラン−3−イリデントリフラート化合物とシス−2,3,6−テトラヒドロピラン誘導体を合成することができる。また、本発明のプリンス環化反応は比較的簡潔で、立体選択性が非常に高くて、反応条件が穏和でキラル(chiral)化合物合成にも応用が可能である。したがって、本発明によるテトラヒドロピラン誘導体は、化合自然物や新薬の中間体として医薬及び精密化学分野で有用に使用することができる。
【0030】
以下、実施例及び実験例を通じて本発明を詳細に説明する。但し、下記の実施例及び実験例は本発明を例示するだけのものであって、本発明の内容が下記の実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0031】
実施例1:(E)−1−((2S,6S)−2−(4−ニトロフェニル)−6−フェニル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナートの合成
【0032】
【化5】

【0033】
ジクロロメタン(3.0ml)に 1−フェニルヘクス−4−エン−1−オール(0.28mmol)と 4−ニトロベンズアルデヒド(0.34mmol)を溶解した後、温度を−78℃に下げてトリメチルシリルトリフラート(TMSOTf)(0.86mmol)を加えた。反応溶液は、同じ温度で1時間撹拌した後、約3時間ゆっくり温度を常温まで上げて、常温で1〜2時間さらに撹拌した。反応溶液にNaHCOの水溶液を入れた後、ジエチルエーテルで薄めた後、有機層を水と塩水で洗浄してMgSOで乾燥させ、ろ過濃縮して管クロマトグラフィーを使用し、82%の収率で純粋な目的化合物を得た。
【0034】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.26 (d, 2H, J= 4.3 Hz), 7.66 (d, 2H, J = 4.3 Hz), 7.30-7.39 (m, 5H), 5.60 (s, 1H), 4.69 (dd, 1H, J = 10.6, 5.2 Hz), 2.88-2.93(m, 1H), 2.49-2.52 (m, 1H), 2.15-2.19 (m, 1H), 2.05-2.08 (m, 1H), 1.99 (s, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 147.81, 146.33, 141.87, 141.76, 130.51, 128.56, 127.86, 125.72, 123.97, 123.12, 119.93, 116.76, 113.58, 77.37, 76.15, 31.50, 21.82, 17.30
実施例2:(E)−1−(2,6−ジフェニル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナートの合成
【0035】
【化6】

【0036】
ジクロロメタン(3.0ml)に、1−フェニルヘクス−4−エン−1−オール(0.28mmol)とベンズアルデヒド(0.34mmol)を溶解した後温度を−78℃に下げてトリメチルシリルトリフラート(TMSOTf)(0.86mmol)を加えた。反応溶液は、同じ温度で1時間撹拌した後、約3時間ゆっくり温度を常温まで上げて、常温で1〜2時間さらに撹拌した。反応溶液にNaHCOの水溶液を入れた後、ジエチルエーテルで薄めた後、有機層を水と塩水で洗浄してMgSOで乾燥させ、ろ過濃縮して管クロマトグラフィーを使用し、79%の収率で純粋な目的化合物を得た。
【0037】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.36-7.51 (m, 10H), 5.50 (s, 1H), 4.68 (dd, 1H, J = 10.4, 5.2 Hz), 2.88-2.90 (m, 1H), 2.65-2.69 (m, 1H), 2.16-2.20 (m, 1H), 2.06-2.10 (m, 1H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 142.48, 141.43, 131.03, 128.76, 128.44, 128.37, 127.70, 127.53, 127.13, 125.76, 120.00, 116.82, 113.58, 78.53, 76.15, 31.84, 30.35, 22.30, 17.19
実施例3:(E)−1−(2−(ナフタリン−2−イル)−6−フェニル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナートの合成
【0038】
【化7】

【0039】
ジクロロメタン(3.0ml)に1−フェニルヘクス−4−エン−1−オール(0.28mmol)と 2−ナプタレンアルデヒド(0.34mmol)を溶解した後、温度を−78℃に下げてトリメチルシリルトリフラート(TMSOTf)(0.86mmol)を加えた。反応溶液は、同じ温度で1時間撹拌した後、約3時間ゆっくり温度を常温まで上げて、常温で1〜2時間さらに撹拌した。反応溶液にNaHCOの水溶液を入れた後、ジエチルエーテルで薄めた後、有機層を水と塩水で洗浄してMgSOで乾燥させ、ろ過濃縮して管クロマトグラフィーを使用し、81%の収率で純粋な目的化合物を得た。
【0040】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.86-7.90 (m, 4H), 7.71-7.73 (d, 1H), 7.51-7.53 (m, 2H), 7.29-7.43 (m, 5H), 5.64 (s, 1H), 4.72 (dd, 1H, J = 10.4, 5.4 Hz), 2.91-2.94 (m, 1H), 2.67-2.70 (m, 1H), 2.18-2.21 (m, 1H), 2.06-2.12 (m, 1H), 1.91 (s, 1H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 142.47, 141.56, 136.51, 133.23, 130.89, 128.65, 128.45, 128.28, 127.67, 127.55, 126.36, 126.32, 126.06, 125.77, 125.16, 123.17, 119.99, 116.82, 113.64, 78.63, 76.26, 31.73, 22.36, 17.27
実施例4:(E)−(2−(4−クロロフェニル)−6−フェニル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナートの合成
【0041】
【化8】

【0042】
ジクロロメタン(3.0ml)に1−フェニルヘクス−4−エン−1−オール(0.28mmol)と 4−クロロベンズアルデヒド(0.34mmol)を溶解した後、温度を−78℃に下げてトリメチルシリルトリフラート(TMSOTf)(0.86mmol)を加えた。反応溶液は、同じ温度で1時間撹拌した後、約3時間ゆっくり温度を常温まで上げて、常温で1〜2時間さらに撹拌した。反応溶液にNaHCOの水溶液を入れた後、ジエチルエーテルで薄めた後、有機層を水と塩水で洗浄してMgSOで乾燥させ、ろ過濃縮して管クロマトグラフィーを使用し、78%の収率で純粋な目的化合物を得た。
【0043】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.28-7.41 (m, 10H), 5.45 (s, 1H), 4.65 (dd, 1H, J = 10.5, 5.4 Hz), 2.83-2.86 (m, 1H), 2.51-2.59 (m, 1H), 2.12-2.18 (m, 1H), 2.02-2.07 (m, 1H), 1.89 (s, 1H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 142.19, 141.44, 137.12, 134.20, 130.69, 128.93, 128.46, 127.62, 125.70, 124.70, 120.46, 116.23, 111.99, 77.73, 76.11, 31.60, 22.06, 17.21
実施例5:(E)−(2−(4−ニトロフェニル)−6−フェニル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナートの合成
【0044】
【化9】

【0045】
ジクロロメタン(3.0ml)に1−フェニルヘクス−4−エン−1−オール(0.28mmol)と 2−ニトロベンズアルデヒド(0.34mmol)を溶解した後、温度を−78℃に下げてトリメチルシリルトリフラート(TMSOTf)(0.86mmol)を加えた。反応溶液は、同じ温度で1時間撹拌した後、約3時間ゆっくり温度を常温まで上げて、常温で1〜2時間さらに撹拌した。反応溶液にNaHCOの水溶液を入れた後、ジエチルエーテルで薄めた後、有機層を水と塩水で洗浄してMgSOで乾燥させ、ろ過濃縮して管クロマトグラフィーを使用し、78%の収率で純粋な目的化合物を得た。
【0046】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.92 (d, 1H, J = 8.0 Hz), 7.73 (d, 1H, J = 7.7 Hz), 7.65 (d, 1H, J = 7.4 Hz), 7.52 (d, 1H, J = 7.7 Hz), 7.21-7.35 (m, 5H), 5.98 (s, 1H), 4.70 (dd, 1H, J = 10.6, 4.7 Hz), 2.78-2.81 (m, 2H), 2.17-2.22 (m, 1H), 1.99-2.05 (m, 1H), 1.66 (s, 3H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 149.34, 141.83, 141.61, 133.30, 129.59, 129.46, 128.81, 128.43, 127.63, 125.53, 124.70, 123.13, 119.95, 116.78, 113.60, 78.00, 75.10, 32.23, 24.72, 17.20
実施例6:(E)−1−(2−メチル−6−フェニル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナートの合成
【0047】
【化10】

【0048】
ジクロロメタン(3.0ml)に1−フェニルヘクス−4−エン−1−オール(0.28mmol)とエタナール(0.34mmol)を溶解した後、温度を−78℃に下げてトリメチルシリルトリフラート(TMSOTf)(0.86mmol)を加えた。反応溶液は、同じ温度で1時間撹拌した後、約3時間ゆっくり温度を常温まで上げて、常温で1〜2時間さらに撹拌した。反応溶液にNaHCOの水溶液を入れた後、ジエチルエーテルで薄めた後、有機層を水と塩水で洗浄してMgSOで乾燥させ、ろ過濃縮して管クロマトグラフィーを使用し、76%の収率で純粋な目的化合物を得た。
【0049】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.32-7.37 (m, 4H), 7.26-7.29 (m, 1H), 4.59 (q, 1H, J = 6.4 Hz), 4.38 (dd, 1H, J = 10.2, 6.3 Hz), 2.74-2.80 (m, 1H), 2.36-2.44 (m, 1H), 2.01-2.10 (m, 5H), 1.40-1.41 (d, 3H, J = 6.4 Hz)
実施例7:(E)−1−((2S,6R)−2,6−ジメチル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナートの合成
【0050】
【化11】

【0051】
ジクロロメタン(3.0ml)にヘプト−5−エン−2−オール(0.28mmol)とアセトアルデヒド(0.34mmol)を溶解した後、温度を−78℃に下げてトリメチルシリルトリフラート(TMSOTf)(0.86mmol)を加えた。反応溶液は、同じ温度で1時間撹拌した後、約3時間ゆっくり温度を常温まで上げて、常温で1〜2時間さらに撹拌した。反応溶液にNaHCOの水溶液を入れた後、ジエチルエーテルで薄めた後、有機層を水と塩水で洗浄してMgSOで乾燥させ、ろ過濃縮して管クロマトグラフィーを使用し、72%の収率で純粋な目的化合物を得た。
【0052】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.54 (q, 1H, J= 6.4 Hz), 3.70 (q, 1H, J = 6.4 Hz), 2.74-2.80 (m, 1H), 2.36-2.44 (m, 1H), 2.01-2.10 (m, 5H), 1.40-1.41 (d, 6H, J = 6.4 Hz)
実施例8:(E)−1−(2−エチル−6−フェニル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナートの合成
【0053】
【化12】

【0054】
ジクロロメタン(3.0ml)に1−フェニルヘクス−4−エン−1−オール(0.28mmol)とプロピオンアルデヒド(0.34mmol)を溶解した後、温度を−78℃に下げてトリメチルシリルトリフラート(TMSOTf)(0.86mmol)を加えた。反応溶液は、同じ温度で1時間撹拌した後、約3時間ゆっくり温度を常温まで上げて、常温で1〜2時間さらに撹拌した。反応溶液にNaHCOの水溶液を入れた後、ジエチルエーテルで薄めた後、有機層を水と塩水で洗浄してMgSOで乾燥させ、ろ過濃縮して管クロマトグラフィーを使用し、77%の収率で純粋な目的化合物を得た。
【0055】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.24-7.39 (m, 5H), 4.37-4.48 (m, 2H), 2.78-2.83 (m, 1H), 2.41-2.50 (m, 1H), 1.98-2.08 (m, 5H), 1.80-1.85 (m, 1H), 1.65-1.73 (m, 1H), 1.04-1.08 (t, 3H)
実施例9:(E)−1−(2−イソプロピル−6−フェニル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナートの合成
【0056】
【化13】

【0057】
ジクロロメタン(3.0ml)に1−フェニルヘクス−4−エン−1−オール(0.28mmol)とイソブチルアルデヒド(0.34mmol)を溶解した後、温度を−78℃に下げてトリメチルシリルトリフラート(TMSOTf)(0.86mmol)を加えた。反応溶液は、同じ温度で1時間撹拌した後、約3時間ゆっくり温度を常温まで上げて、常温で1〜2時間さらに撹拌した。反応溶液にNaHCOの水溶液を入れた後、ジエチルエーテルで薄めた後、有機層を水と塩水で洗浄してMgSOで乾燥させ、ろ過濃縮して管クロマトグラフィーを使用し、75%の収率で純粋な目的化合物を得た。
【0058】
1HNMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.25-7.37 (m, 5H), 4.40 (dd, 1H, J = 10.6, 5.6 Hz), 4.24 (d, 1H, J = 5.9 Hz), 2.82-2.85 (m, 1H), 2.28-2.37 (m, 1H), 1.95-2.11 (m, 6H), 1.14 (d, 3H, J= 6.6 Hz), 1.03 (d, 3H, J = 10.6 Hz)
実施例10:(E)−1−(2−ペンチル−6−フェニル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナートの合成
【0059】
【化14】

【0060】
ジクロロメタン(3.0ml)に1−フェニルヘクス−4−エン−1−オール(0.28mmol)とヘキサナール(0.34mmol)を溶解した後、温度を−78℃に下げてトリメチルシリルトリフラート(TMSOTf)(0.86mmol)を加えた。反応溶液は、同じ温度で1時間撹拌した後、約3時間ゆっくり温度を常温まで上げて、常温で1〜2時間さらに撹拌した。反応溶液にNaHCOの水溶液を入れた後、ジエチルエーテルで薄めた後、有機層を水と塩水で洗浄してMgSOで乾燥させ、ろ過濃縮して管クロマトグラフィーを使用し、76%の収率で純粋な目的化合物を得た。
【0061】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.33-7.37 (m, 4H), 7.24-7.29 (m, 1H), 4.46 (dd, 1H, J = 7.6, 2.6 Hz), 4.38 (m, 1H, J= 10.5, 6.0 Hz), 2.77-2.79 (m, 1H), 2.30-2.38 (m, 1H), 1.98-2.09 (m, 5H), 1.79-1.84 (m, 1H), 1.54-1.59 (m, 4H), 1.34-1.37 (m, 4H), 0.90-0.93 (t, 3H)
実施例11:(E)−1−(2−フェニルエチル−6−フェニル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナートの合成
【0062】
【化15】

【0063】
ジクロロメタン(3.0ml)に1−フェニルヘクス−4−エン−1−オール(0.28mmol)とフェニルプロパナール(0.34mmol)を溶解した後、温度を−78℃に下げてトリメチルシリルトリフラート(TMSOTf)(0.86mmol)を加えた。反応溶液は、同じ温度で1時間撹拌した後、約3時間ゆっくり温度を常温まで上げて、常温で1〜2時間さらに撹拌した。反応溶液にNaHCOの水溶液を入れた後、ジエチルエーテルで薄めた後、有機層を水と塩水で洗浄してMgSOで乾燥させ、ろ過濃縮して管クロマトグラフィーを使用し、69%の収率で純粋な目的化合物を得た。
【0064】
1HNMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.37-7.39 (m, 4H), 7.28-7.32 (m, 3H), 7.19-7.24 (m, 3H), 4.38-4.44 (m, 2H), 2.79-2.91 (m, 3H), 2.34-2.43 (m, 1H), 2.0-2.17 (m, 3H), 1.93-1.94 (s, 3H), 1.90-1.92 (m, 1H)
実施例12:1−((2R,3R,6S)−2−(4−ニトロフェニル)−6−フェニル−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)エタノンの合成
【0065】
【化16】

【0066】
(E)−(2−(4−ニトロフェニル)−6−フェニル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)エチルトリフルオロメタンスルホナート(0.3mmol)を1,4−ジオキサンとメタノールを2:1で混合した溶液に溶解した後、常温でNaOH水溶液(1%、4ml)で処理した後、3時間よく撹拌した。反応がすべて終わった後、塩水を入れてエチルアセテートで薄めた後、有機層を水で洗った。有機層は、NaSOで乾燥させた後、ろ過して濃縮して管クロマトグラフィーを使用し、純粋な目的化合物を75%の収率で得た。
【0067】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.18 (d, 2H, J= 8.7 Hz), 7.58 (d, 2H, J = 8.7 Hz), 7.27-7.43 (m, 7H), 4.84 (d, 1H, J= 9.9 Hz), 4.61 (d, 1H, J = 11.2 Hz), 2.86-2.90 (m, 1H), 2.11-2.25 (m, 1H), 1.98-2.10 (m, 2H), 1.87 (s, 3H), 1.74-1.82 (m, 1H)
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明による前記化学式1で表わされるテトラヒドロピラン化合物は、テトラヒドロピラン母核内にシス置換基が2個以上含まれた立体選択性を有しているので、医薬的治療効果を有する立体選択性自然物を合成するための中間体として有用に使用することができ、その製造方法も簡単で容易に製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
C2及びC6位置にシス置換基が存在する下記化学式1で表わされるテトラヒドロピラン誘導体:
【化1】

(式中、R及びRは各々C〜Cアルキル基、C〜C15アリ〜ルC〜Cアルキル基、またはC〜C15アリール基を示し、該アリールは、ハロゲン、ニトロ及びC〜Cアルキルからなる群から選択された置換体が1ないし4個置換または非置換され、Rはメチリデンエチルトリフラート基またはアセトキシ基である。)
【請求項2】
前記テトラヒドロピラン誘導体が、C2及びC6位置にシス置換基が存在する下記化学式1aで表わされることを特徴とする、請求項1に記載のテトラヒドロピラン誘導体:
【化2】

(式中、R及びRは各々請求項1で定義したのと同様である。)
【請求項3】
前記テトラヒドロピラン誘導体が、C2、C3及びC6位置にシス置換基が存在する下記化学式1bで表わされることを特徴とする、請求項1に記載のテトラヒドロピラン誘導体:
【化3】

(式中、R及びRは各々請求項1で定義したのと同様である。)
【請求項4】
前記テトラヒドロピラン誘導体が、
(1)(E)−1−((2S,6S)−2−(4−ニトロフェニル)−6−フェニル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナート、
(2)(E)−1−(2,6−ジフェニル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナート、
(3)(E)−1−(2−(ナフタリン−2−イル)−6−フェニル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナート、
(4)(E)−(2−(4−クロロフェニル)−6−フェニル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナート、
(5)(E)−(2−(4−ニトロフェニル)−6−フェニル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナート、
(6)(E)−1−(2−メチル−6−フェニル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナート、
(7)(E)−1−((2S,6R)−2,6−ジメチル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナート、
(8)(E)−1−(2−エチル−6−フェニル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナート、
(9)(E)−1−(2−イソプロピル−6−フェニル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナート、
(10)(E)−1−(2−ペンチル−6−フェニル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナート、
(11)(E)−1−(2−フェニルエチル−6−フェニル−ジヒドロ−2H−ピラン−3(4H)−イリデン)−エチルトリフルオロメタンスルホナート、及び
(12)1−((2R,3R,6S)−2−(4−ニトロフェニル)−6−フェニル−テトラヒドロ−2H−ピラン−3−イル)エタノンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のテトラヒドロピラン誘導体。
【請求項5】
下記化学式2で表わされるホモプロパギルアルコール誘導体と下記化学式3で表わされるアルデヒド化合物をルイス酸存在下でプリンス反応させて、下記化学式1aで表わされるジヒドロピラン−3−イリデントリフラート化合物を製造する工程を含む請求項1のテトラヒドロピラン誘導体の製造方法:
【化4】

(式中、R及びRは請求項1で定義したのと同様であり、化学式1aの化合物は化学式1の化合物に含まれる。)
【請求項6】
下記化学式1aで表わされるジヒドロピラン−3−イリデントリフラート化合物を加水分解反応させて下記化学式1bで表わされるテトラヒドロピラン化合物を製造する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項5に記載のテトラヒドロピラン誘導体の製造方法:
【化5】

(式中、R及びRは請求項1で定義したのと同様であり、化学式1aの化合物及び化学式1bの化合物は化学式1の化合物に含まれる。)
【請求項7】
前記ルイス酸は、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホナート(TMSOTf)を使用することを特徴とする、請求項5に記載のテトラヒドロピラン誘導体の製造方法。
【請求項8】
前記トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホナート(TMSOTf)を、前記化学式2で表わされるホモプロパギルアルコール誘導体に対して、2.5ないし3.5当量の範囲で使用することを特徴とする、請求項7に記載のテトラヒドロピラン誘導体の製造方法。
【請求項9】
前記プリンス反応の温度が、−78℃ないし30℃の範囲であることを特徴とする、請求項5に記載のテトラヒドロピラン誘導体の製造方法。
【請求項10】
前記反応溶媒は、ジクロロメタンを使用することを特徴とする、請求項5に記載のテトラヒドロピラン誘導体の製造方法。

【公開番号】特開2009−196974(P2009−196974A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−255947(P2008−255947)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【出願人】(304039548)コリア・インスティテュート・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジー (36)
【Fターム(参考)】