説明

CATVコンバータ

【目的】 デジタル・アナログ混在CATV受信用コンバータにおいて、デジタル・アナログ信号双方とも受信可能なCATVコンバータを提供することを目的とする。
【構成】 第2の混合器10の出力に接続された上側隣接チャンネル音声搬送波と略等しい周波数と下側隣接チャンネル映像搬送波と略等しい周波数が減衰される第1のフィルタ13と、この第1のフィルタ13の出力に接続された第1の増幅器14と、この第1の増幅器14の出力に接続された上側隣接チャンネル映像搬送波と下側隣接チャンネル音声搬送波を減衰させる第2のフィルタ15とを有し、入力端子1に入力される信号があらかじめ定められた周波数範囲では前記第2のフィルタ15の入力と出力とを高周波的に短絡する構成としたものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はデジタル・アナログ混在のCATVコンバータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】以下従来のCATVコンバータについて説明する。
【0003】従来のCATVコンバータは図7に示すように、入力端子50と、この入力端子50に入力された信号が一方の端子に供給されるとともに、他方の端子には第1の局部発振器51の出力が供給される第1の混合器52と、この第1の混合器52の出力信号が供給される中間周波フィルタ53と、この中間周波フィルタ53の出力が一方の入力に供給されるとともに他方の入力には第2の局部発振器54の出力が供給される第2の混合器55と、この第2の混合器55の出力に接続された出力回路56と、この出力回路56の出力に接続された出力端子57とで構成されていた。また前記出力回路56は、第1のフィルタ58と、第1の増幅器59と、第2のフィルタ60と、第2の増幅器61とが直列に接続された構成であった。
【0004】以上のように構成されたCATVコンバータについて以下にその動作を説明する。
【0005】入力端子50に入力された信号は、第1の混合器52で混合されて第1の中間周波数に変換される。この出力は、中間周波フィルタ53に供給され、中間周波数帯域のみ出力される。この出力は第2の混合器55に入力され第2の中間周波数に変換されて出力される。この出力は出力回路56に入力され、その出力は出力端子57に出力される。出力回路56では第2の混合器55より入力された信号が第1のフィルタ58に入力されて上側隣接チャンネル映像搬送波と下側チャンネル音声搬送波が減衰されて出力される。その出力は第1の増幅器59に入力されて増幅された後、第2のフィルタ60に入力されて上側隣接チャンネル音声搬送波と下側チャンネル映像搬送波が減衰されて出力され、更に第2の増幅器61に入力されて増幅された後出力されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこのような従来の構成では、第1のフィルタ58によって受信信号帯域の近傍にトラップを設けるため、デジタル・アナログ信号が混在するシステムにおいて、圧縮されたデジタル信号を受信したときに受信信号帯域内で微分位相や微分利得が劣化し、元の信号が再現されないという問題があった。
【0007】本発明は、このような問題点を解決するものでデジタル・アナログ信号双方とも受信可能なCATVコンバータを提供することを目的としたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するために本発明は、第2の混合器の出力に接続された上側隣接チャンネル音声搬送波と略等しい周波数と下側隣接チャンネル映像搬送波と略等しい周波数が減衰される第1のフィルタと、この第1のフィルタの出力に接続された第1の増幅器と、この第1の増幅器の出力に接続された上側隣接チャンネル映像搬送波と下側隣接チャンネル音声搬送波を減衰させる第2のフィルタと、この第2のフィルタと出力端子との間に第2の増幅器を有し、入力端子に入力される信号があらかじめ定められた周波数範囲では前記第2のフィルタの入力と出力とを高周波的に短絡する構成としたものである。
【0009】
【作用】この構成により、アナログ信号受信時には第2のフィルタを動作させることにより減衰特性を得ることができ、デジタル信号受信時には第2のフィルタを高周波的に短絡することにより帯域内の通過特性を均一にすることができるので、デジタル・アナログ信号を劣化なしに受信するCATVコンバータを提供することができる。
【0010】
【実施例】以下本発明の一実施例について図面を参照しながら説明する。
【0011】図1は本発明の一実施例におけるCATVコンバータのブロック図である。本発明のCATVコンバータは図1に示すように、入力端子1と、この入力端子1に接続された入力フィルタ2と、この入力フィルタ2の出力に接続された入力増幅器3と、この入力増幅器3の出力が一方の入力に接続されるとともに他方の入力には第1の局部発振器4の出力が接続された第1の混合器5と、この第1の混合器5の出力が接続された第1の中間周波フィルタ6と、この中間周波フィルタ6の出力に接続された中間周波増幅器7と、この中間周波増幅器7の出力に接続された第2の中間周波フィルタ8と、この第2の中間周波フィルタ8の出力が一方の入力に接続されるとともに他方の入力には第2の局部発振器9の出力が接続された第2の混合器10と、この第2の混合器10の出力に接続された出力回路11と、この出力回路11の出力に接続された出力端子12とを備えた構成である。そして、前記出力回路11は、前記第2の混合器10の出力に接続された第1のフィルタ13と、この第1のフィルタ13の出力に接続された第1の増幅器14と、この第1の増幅器14の出力に接続された第2のフィルタ15と、この第2のフィルタ15の出力に接続された第2の増幅器16と、この第2の増幅器16の出力に接続された減衰器17と、この減衰器17の出力に接続された、出力フィルタ18とで構成している。
【0012】図2は第2のフィルタ15の回路図である。図2において第2のフィルタ15は、その入力19と出力20との間に直列に設けられた下側トラップ回路21と、この下側トラップ回路21をオン・オフする第1のダイオード22と、前記下側トラップ回路21の出力の端子に第2のダイオード23でオン・オフされる上側トラップ回路24を設けている。そして前記下側トラップ回路21は180pFのコンデンサ(キャパシタンスの一例として用いた)25と63μHの空芯コイル(インダクタンスの一例として用いた)26との並列接続体と、この並列接続体と直列に接続された33pFのコンデンサ27で構成されるとともに、前記上側トラップ回路24は120pFのコンデンサ28と133μHの空芯コイル29の並列接続体と、この並列接続体と直列接続された15pFのコンデンサ30で構成されている。31は抵抗であり、ダイオード22,23をオンオフするためのバイアス電圧を与えるものである。なお、上側トラップ回路24は下側トラップ回路21の入力19側とグランドとの間に設けてもよい。
【0013】他の実施例として第2のフィルタ15aは図3に示すように、入力32と出力33との間に第1のダイオード34と2200pFのコンデンサ35の直列接続体が接続されると共にこの直列接続体と並列に第3のダイオード38と、下側トラップ回路37と第2のダイオード36とが接続されている。そして第3のダイオード38と下側トラップ回路37の接続点とグランドとの間には通過帯域を持ち上げる共振回路39が設けられている。また前記下側トラップ回路37と第2のダイオード36の接続点とグランドとの間に上側トラップ回路40が設けられている。41は抵抗であり、ダイオード34,36,38をオンオフするためのバイアス電圧を与えるものである。
【0014】ここで、下側トラップ回路37は180pFのコンデンサ42と63μHの空芯コイル43との並列接続体と、この並列接続体に直列に接続された33pFのコンデンサ44で構成されている。また、上側トラップ回路40は120pFのコンデンサ45と133μHの空芯コイル46の並列接続体と、この並列接続体に直列接続された15pFのコンデンサ47で構成されている。そして、共振回路39は220pFのコンデンサ48と59μHの空芯コイル49の並列接続体と、この並列接続体に直列に接続された2200pFのコンデンサ50で構成されている。
【0015】本発明のCATVコンバータは、アナログ信号とデジタル信号が混在するCATV信号(48〜1080MHz)を入力端子1に入力し、この入力信号を第1の混合器5で第1の中間周波数(アナログ映像搬送波においては1410.75MHz、デジタル圧縮搬送波においては1409MHz)に変換し、この第1の中間周波数を第2の混合器10で第2の中間周波数(アナログ映像搬送波においては45.75MHz、デジタル圧縮搬送波においては44MHz)に変換し出力するものである。
【0016】なお、入力信号は図4に示すように48〜550MHzの帯域Eにアナログ信号を、550〜1080MHzの帯域Fには圧縮されたデジタル信号が混在している。このアナログ信号は図5のように1チャンネルAあたり6MHzの帯域であり、映像搬送波Pは、Aチャンネルの下限の周波数より1.25MHz高い周波数である。また音声搬送波Sは映像搬送波Pよりも4.5MHz高い周波数となっている。そして音声搬送波Sのレベルは通常映像搬送波Pのレベルよりも10〜15dB低いレベルとなっている。
【0017】そしてデジタル信号は図6のように1チャンネルDあたり6MHzの帯域であり、デジタル搬送波Cはデジタル信号帯域Dの中心の周波数となっている。このデジタル搬送波Cは通常アナログ映像搬送波Pのレベルよりも6dB低いレベルとなっている。
【0018】以上のように構成されたCATVコンバータについて、以下にその動作を説明する。
【0019】入力端子1より入力された信号は、入力フィルタ2を通り入力信号帯域以外の不必要な信号は除去される。そして入力増幅器3で増幅され、第1の混合器5の一方の入力に入力される。第1の混合器5では他方の入力に入力信号よりも第1の中間周波数分だけ高い周波数を発振する第1の局部発振器4の出力が供給されて混合され、第1の中間周波数に変換されて出力される。この第1の中間周波数に変換された信号は第1の中間周波フィルタ6に入力されて第1の中間周波数帯域を通過させると共にそれ以外の成分は減衰される。そしてこの第1の中間周波数は中間周波増幅器7で増幅され、第2の中間周波フィルタ8を通り第1の中間周波数帯域を通過させると共にそれ以外の成分は更に減衰される。そしてこの出力は第2の混合器10の一方の入力に入力される。第2の混合器10では他方の入力に第1の中間周波数よりも第2の中間周波数分だけ低い周波数を発振させる第2の局部発振器9の出力が供給されて混合され、第2の中間周波数に変換されて第2の混合器10から出力される。この第2の中間周波数に変換された信号は図5の(b)に示すような波形となり出力回路11を通り出力端子12に出力される。
【0020】なお、出力回路11に入力される第2の中間周波数に変換された信号は、第1のフィルタ13で上側隣接チャンネル音声搬送波S2および下側隣接チャンネル映像搬送波P1が減衰され図5の(c)に示すような波形となり第1の増幅器14に入力される。この第1の増幅器14で増幅された第2中間周波数は第2のフィルタ15に入力される。このとき入力信号がアナログ信号である場合、第1のダイオード22をオフ、第2のダイオード23をオンにするような電圧がバイアス抵抗31を通して与えられて、上側隣接チャンネル映像搬送波P2と下側隣接チャンネル音声搬送波S1が減衰され(この時上側隣接チャンネル音声搬送波S2も減衰する)図5の(d)に示すような波形となり、減衰器17および出力フィルタ18を通り出力される。入力信号がデジタル信号である場合、第1のダイオード22をオン、第2のダイオード23をオフにするような電圧がバイアス抵抗31を通して与えられて、図5の(c)に示す波形のまま減衰器17および出力フィルタ18を通り出力される。
【0021】以上のように本実施例によれば、第1のダイオード22と第2のダイオード23をオン・オフすることにより、出力回路の特性を切り替えることができる。
【0022】次に他の実施例についてその動作を説明する。本実施例においては、前記実施例で示した第2のフィルタ15の代わりに、第2のフィルタ15aが接続されている。この点が前記実施例と異なるのみであり、その他の部分は前記実施例と同様である。よってこの第2のフィルタ15aについてのみ説明する。
【0023】入力信号がアナログ信号である場合、第1のダイオード34をオフ、第2のダイオード36と第3のダイオード38をオンにするような電圧がバイアス抵抗41を通して与えられて、上側隣接チャンネル映像搬送波P2と下側隣接チャンネル音声搬送波S1が減衰され(この時上側隣接チャンネル音声搬送波S2も減衰する)図5の(d)に示すような波形となり、減衰器17および出力フィルタ18を通り出力される。入力信号がデジタル信号である場合、第1のダイオード34をオン、第2のダイオード36と第3のダイオード38をオフにするような電圧がバイアス抵抗41を通して与えられて、図5の(c)に示す波形のまま減衰器17および出力フィルタ18を通り出力される。
【0024】以上のように本実施例によれば、第1のダイオード34と第2のダイオード36と第3のダイオード38をオン・オフすることにより、出力回路の特性を切り替えることができる。
【0025】
【発明の効果】以上のように本発明によるCATVコンバータは、第2の混合器の出力に接続された上側隣接チャンネル音声搬送波と略等しい周波数と下側隣接チャンネル映像搬送波と略等しい周波数が減衰される第1のフィルタと、この第1のフィルタの出力に接続された第1の増幅器と、この第1の増幅器の出力に接続された上側隣接チャンネル映像搬送波と下側隣接チャンネル音声搬送波を減衰する第2のフィルタと、この第2のフィルタの出力端子との間に第2の増幅器を有し、入力端子に入力される信号があらかじめ定められた周波数範囲では前記第2のフィルタの入力と出力とを高周波的に短絡/解放することができるので、アナログ信号受信時には第2のフィルタ回路を動作させることにより減衰特性を得ることができるとともに、デジタル信号受信時には第2のフィルタ回路を高周波的に短絡させることにより帯域内の通過特性を均一にすることができる。従って、デジタル・アナログ信号を共に劣化なしに受信するCATVコンバータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例によるブロック図
【図2】本発明の第1の実施例による出力回路の回路図
【図3】本発明の第2の実施例による出力回路の回路図
【図4】入力信号の周波数分布図
【図5】各部の信号を示す図
【図6】デジタル信号の周波数分布図
【図7】従来のCATVコンバータのブロック図
【符号の説明】
1 入力端子
4 第1の局部発振器
5 第1の混合器
6 第1の中間周波フィルタ
9 第2の局部発振器
10 第2の混合器
11 出力回路
12 出力端子
13 第1のフィルタ
14 第1の増幅器
15 第2のフィルタ
16 第2の増幅器

【特許請求の範囲】
【請求項1】 入力端子と、この入力端子に入力された信号が一方の端子に供給されるとともに他方の端子には第1の局部発振器の出力が供給される第1の混合器と、この第1の混合器の出力信号が供給される中間周波フィルタと、この中間周波フィルタの出力が一方の入力に供給されるとともに他方の入力には第2の局部発振器の出力が供給される第2の混合器と、この第2の混合器の出力に接続された出力回路と、この出力回路の出力に接続された出力端子とを備え、前記出力回路は前記第2の混合器の出力に接続された上側隣接チャンネル音声搬送波と略等しい周波数と下側隣接チャンネル映像搬送波と略等しい周波数が減衰される第1のフィルタと、この第1のフィルタの出力に接続された第1の増幅器と、この第1の増幅器の出力に接続された上側隣接チャンネル映像搬送波と下側隣接チャンネル音声搬送波を減衰させる第2のフィルタと、この第2のフィルタと出力端子との間に第2の増幅器を有し、前記入力端子に入力される信号があらかじめ定められた周波数範囲では前記第2のフィルタの入力と出力とを高周波的に短絡することを特徴とするCATVコンバータ。
【請求項2】 第2のフィルタは、その入力と出力との間に直列に設けられた下側トラップ回路と、この下側トラップ回路と並列に設けられた第1のダイオードと、前記下側トラップ回路の入力あるいは前記下側トラップ回路の出力のどちらか一方とグランドとの間に第2のダイオードと上側トラップ回路との直列接続体とを設け、前記下側トラップ回路は第1のキャパシタンスと第1のインダクタンスとの並列接続体と、この並列接続体と直列に接続された第2のキャパシタンスで構成されるとともに、前記上側トラップ回路は第3のキャパシタンスと第2のインダクタンスの並列接続体と、この並列接続体に直列接続された第4のキャパシタンスで構成され、前記入力端子に入力される信号があらかじめ定められた周波数範囲では、制御端子の信号により前記第1のダイオードをオンにするとともに第2のダイオードをオフにする請求項1記載のCATVコンバータ。
【請求項3】 第2のフィルタは、その入力と出力との間に直列に設けられた下側トラップ回路と、この下側トラップ回路をオン・オフする第1のダイオードと、前記下側トラップ回路の入力あるいは出力のどちらか一方の端子に第2のダイオードでオン・オフされる上側トラップ回路を設けるとともに前記下側トラップ回路の他方の端子には、第3のダイオードでオン・オフされる共振回路を設け、前記下側トラップ回路は第1のキャパシタンスと第1のインダクタンスとの並列接続体と、この並列接続体と直列に接続された第2のキャパシタンスで構成され、前記上側トラップ回路は第3のキャパシタンスと第2のインダクタンスの並列接続体と、この並列接続体に直列接続された第4のキャパシタンスで構成されるとともに、前記共振回路は第5のキャパシタンスと第3のインダクタンスの並列接続体と、第6のキャパシタンスとの直列接続体で構成され、前記入力端子に入力される信号があらかじめ定められた周波数範囲では、制御端子の信号により前記第1のダイオードをオンにするとともに前記第2のダイオードと前記第3のダイオードをともにオフにする請求項1記載のCATVコンバータ。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図7】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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