説明

CO▲2▼回収発電プラント

【目的】 廃熱を有効に利用し、O2分離除去の改善を図った発電プラントを提供する。
【構成】 装置21で廃熱を利用して製造した蒸気を再生器22を経て燃焼器3に供給する。この燃焼器3には、また、装置1から燃料及び装置2から酸素を供給し、燃焼させる。その燃焼ガスでタービン4、発電機5を駆動する。タービン排気を、前記再生器22を経て排熱回収ボイラ6に送り、その後凝縮器24で凝縮し、真空状態で水とO2とに分離する。分離したO2を装置10で回収し、その余剰酸素を分離してO2製造装置2に送る。一方、凝縮水は、低圧,高圧ポンプ25,26にて蒸気製造装置21へ送る。排熱回収ボイラ6で得た蒸気で蒸気タービン23を駆動し、その排気蒸気は復水器7で凝縮し、ポンプ9によりボイラ6へ送る。ボイラ6の発生蒸気の一部を蒸気製造装置21のバックアップとして供給する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発電プラントにおいて、特に廃熱を有効に利用し、二酸化炭素の分離除去の改善を図った廃熱利用のCO2回収発電プラントに関する。
【0002】
【従来の技術】図2は、CO2回収を目的とした従来の発電プラントの系統を示す。図2において、1は燃料供給装置、2はO2製造装置、3は燃焼器、4はタービン、5は発電機、6は排熱回収ボイラ、7は復水器、8は水分分離装置、9は復水ポンプ、10はCO2回収装置であり、これらの関連するもの同志はそれぞれ管路11〜19で接続されてサイクルを構成している。
【0003】以上述べた構成において、燃料は燃料供給装置1から管路11を通して燃焼器3に供給され、この燃焼器3に管路12を通してO2製造装置2から供給された酸素の存在下において燃焼される。この燃焼により発生した燃焼ガスは、燃焼器3から管路13を通してタービン4に送られ、タービン4を駆動し、次いで、発電機5を駆動する。そして、タービン4からの排気ガスは管路14を通して排熱回収ボイラ6に送られ、この排熱回収ボイラ6内において、排気ガスと復水器7からの凝縮水との間で熱交換作用が行われる。
【0004】排熱回収ボイラ6からの排気ガスは主に水分及び二酸化炭素を含み、管路15を通して復水器7に送られる。そして、この復水器7において、排気ガス中の水分は凝縮され、凝縮水となる。凝縮水は管路16を通して水分分離装置8に送られ、主に二酸化炭素から成るガス要素から分離される。凝縮水は、次いで、復水ポンプ9により管路17を通して排熱回収ボイラ6に送られる。一方、二酸化炭素は、管路18を通してCO2回収装置10に送られて回収される。また、排熱回収ボイラ6中の凝縮水は加熱されて過熱蒸気となり、タービン4の作動流体として燃焼器3に管路19を通して供給される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上述べた従来のCO2回収発電プラントは、しかし、次のような問題点があった。
【0006】燃焼器3へ供給される蒸気は、燃焼器3で燃料を燃焼し、タービン4を駆動した後の排気ガスの熱により発生させたものである。即ち、サイクル内での生成蒸気であり、サイクル外の廃熱例えば清掃工場などから得られる廃熱(工場廃熱)を有効に利用したものでない。
【0007】また、燃焼器3へ供給される蒸気が上述の如きサイクル内での生成蒸気であるので、プラント起動時は蒸気を確保できず、負荷によって蒸気温度が変化するため燃焼器3での燃焼温度制御に問題がある。
【0008】更に、排熱回収ボイラ6で生成した蒸気は、高圧・高温であるため、燃焼器3へこの蒸気を使用することはプラントの運転効率上好ましくない。
【0009】最後に、二酸化炭素から成るガス要素は、CO2回収装置10へ回収されるのみで、その中に含有されている余剰酸素の回収は考慮されていない。
【0010】本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたもので、特に廃熱を有効に利用し、二酸化炭素の分離除去の改善を図った廃熱利用のCO2回収発電プラントを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、本発明に係るCO2回収発電プラントは、廃熱等を利用して蒸気を製造する蒸気製造装置と、酸素を製造するO2製造装置と、前記蒸気製造装置からの蒸気とO2製造装置からの酸素と燃料を混合燃焼させる燃焼器と、該燃焼器からの高温ガスが供給されて回転するタービンと、該タービンからの排気ガスが供給される排熱回収ボイラと、該排熱回収ボイラからの排気ガスを凝縮して真空状態で水と二酸化炭素に分離する凝縮器と、該凝縮器からの二酸化炭素を回収するCO2回収装置と、前記凝縮器からの凝縮水を加圧する低圧給水ポンプと、該低圧給水ポンプより供給された水をさらに加圧し、前記蒸気製造装置へ戻す高圧給水ポンプとを具備する。
【0012】
【作用】上記の手段によれば、廃熱等を利用して蒸気生成を行い、空気ではなく酸素雰囲気下でこの蒸気は燃料とともに燃焼器内で燃焼加熱され、タービンへ供給される。この燃焼ガスはタービンの作動流体として作用し、タービンを駆動する。そして、タービンからの排気ガスは排熱回収ボイラで熱交換作用を行う。この排熱回収ボイラ出口の冷却された排気ガスは凝縮器に送られ、排気ガスは主に水分および二酸化炭素であり、この凝縮器で冷却および真空状態にすることにより、水分の凝縮、二酸化炭素の分離を行う。この分離された二酸化炭素は、CO2回収装置で液化或いは固化される。一方、凝縮水は、低圧および高圧供給ポンプにより蒸気製造装置に戻され、回収される。
【0013】
【実施例】以下、図1を参照して本発明の好適な一実施例について詳細に説明する。なお、図1において、図2に示したものと同一の部分には同一の符号を使用する。
【0014】本実施例によれば、図1に示すように、廃熱等を利用して蒸気を製造する蒸気製造装置21、この蒸気製造装置21からの蒸気をタービン4からの排気ガスで加熱する再生器22、排熱回収ボイラ6からの蒸気で駆動される蒸気タービン23、排熱回収ボイラ6からの排気ガスを冷却水で凝縮して真空状態で水と二酸化炭素に分離する凝縮器24、この凝縮器24からの凝縮水を加圧する低圧給水ポンプ25、この低圧給水ポンプ25より供給された水をさらに加圧し、蒸気製造装置21へ戻す高圧給水ポンプ26、CO2回収装置10で加圧・冷却により分離した余剰酸素をO2製造装置2の出口に供給して回収する管路27、及び排熱回収ボイラ6の発生蒸気の一部を、廃熱等の変動時における燃焼器3の圧力変動を小さくするために、蒸気製造装置21の出口に供給する管路28などが新たに設けられている。
【0015】しかして、清掃工場などの廃熱を利用して蒸気製造装置21で蒸気が生成され、この蒸気が管路31を通り、再生器22およびそのバイパス管路32で一定温度に制御され、燃焼器3に供給される。一方、燃料は燃料供給装置1より管路11を通して、また酸素はO2製造装置2から管路12を通してそれぞれ燃焼器3へ供給される。これにより、燃焼器3では、空気ではなく酸素雰囲気下で蒸気が燃料とともに燃焼加熱され、その高温の燃焼ガス(CO2,O2)は管路13を通してタービン4に送られ、膨張して発電機5の動力源となる。
【0016】このタービン4の排気ガスは、管路33を通して再生器22へ送られ、蒸気製造装置21で発生した蒸気を加熱し、次いで管路34を通して排熱回収ボイラ6に送られて蒸気製造に熱利用され、その後管路35を通して凝縮器24に送られて冷却され、凝縮水と二酸化炭素に分離される。この分離された二酸化炭素は、管路36を通してCO2回収装置10に送られ、液化或いは固化される。そして、このCO2回収装置10で加圧・冷却により余剰酸素は分離され、管路27を通してO2製造装置2の出口の管路12に供給されて回収され、燃焼に再利用される。
【0017】一方、凝縮器24で凝縮された水は、低圧給水ポンプ25で加圧され、管路37を通して送られて凝縮器24で熱回収を行い、それから管路38を通して高圧給水ポンプ26へ導かれる。この高圧給水ポンプ26で再加圧された水は管路39を通して蒸気製造装置21へ送られ回収されるとともに、その一部は管路40により管路41に導びかれ、排熱回収ボイラ6へ供給される。そして、この排熱回収ボイラ6で得られた蒸気は、管路42を通して蒸気タービン23に送られ、膨張して発電機5の動力源となる。
【0018】蒸気タービン23の排熱蒸気は復水器7で凝縮し、復水ポンプ9で加圧され、管路41を通して排熱回収ボイラ6へ戻される。そして、排熱回収ボイラ6で得られる低圧蒸気の一部は、管路28を通して蒸気製造装置21のバックアップとして管路31に供給され、これにより廃熱変動時に燃焼器3の圧力変度を小さくするべく必要蒸気量が供給される。
【0019】なお、図1に示した実施例において、再生器22は、タービン4へ送られる蒸気製造装置21の生成蒸気の温度変化がない場合等には特に設けなくても良い。また、蒸気タービン23は、廃熱等を利用して製造された蒸気の蒸気条件が蒸気タービン導入条件に合わない場合或いはシステムの構成を簡単にしたい場合等には特に設けなくても良い。
【0020】
【発明の効果】清掃工場など多くの工場では工場廃熱が得られる場合でも、工場廃熱を利用して製造できるのは、300℃程度の蒸気しか得られず、この蒸気で蒸気タービンを駆動するシステムの場合、15%前後の低い発電効率しか得られないが、本発明によれば、工場廃熱を利用して製造された蒸気をタービンの作動流体として用いることができるので、圧縮効率の悪い気体(空気又は酸素)の圧縮過程が不要となり、50%程度の高い発電効率をもった発電システムが構成できる。
【0021】一方、空気でなく酸素雰囲気で燃焼されるので、排気ガス中には殆ど窒素酸化ガスを含むことがなく、排気ガス中に含まれる二酸化炭素および水分は凝縮器で分離され、二酸化炭素はCO2回収装置で容易に回収することができる。したがって、大気汚染物質である酸化窒素・二酸化炭素等の大気放出することなく、高効率の発電が行える。
【0022】また、好適には、CO2回収装置で加圧・冷却により余剰酸素を分離してO2製造装置に送ることにより、有効に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るCO2回収発電プラントを示す系統図である。
【図2】従来のCO2回収発電プラントを示す系統図である。
【符号の説明】
1 燃料供給装置
2 O2製造装置
3 燃焼器
4 タービン
5 発電機
6 排熱回収ボイラ
7 復水器
9 復水ポンプ
10 CO2回収装置
21 蒸気製造装置
22 再生器
23 蒸気タービン
24 凝縮器
25 低圧給水ポンプ
26 高圧給水ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】廃熱等を利用して蒸気を製造する蒸気製造装置と、酸素を製造するO2製造装置と、前記蒸気製造装置からの蒸気とO2製造装置からの酸素と燃料を混合燃焼させる燃焼器と、該燃焼器からの高温ガスが供給されて回転するタービンと、該タービンからの排気ガスが供給される排熱回収ボイラと、該排熱回収ボイラからの排気ガスを凝縮して真空状態で水と二酸化炭素に分離する凝縮器と、該凝縮器からの二酸化炭素を回収するCO2回収装置と、前記凝縮器からの凝縮水を加圧する低圧給水ポンプと、該低圧給水ポンプより供給された水をさらに加圧し、前記蒸気製造装置へ戻す高圧給水ポンプとを具備することを特徴とするCO2回収発電プラント。
【請求項2】請求項1記載のCO2回収発電プラントにおいて、前記CO2回収装置で加圧・冷却により分離した余剰酸素を前記O2製造装置の出口に供給して回収する管路を具備するCO2回収発電プラント。
【請求項3】請求項1記載のCO2回収発電プラントにおいて、前記排熱回収ボイラの発生蒸気の一部を、廃熱等の変動時における前記燃焼器の圧力変動を小さくするために、前記蒸気製造装置の出口に供給する管路を具備するCO2回収発電プラント。
【請求項4】請求項1記載のCO2回収発電プラントにおいて、再生器を具備し、前記タービンと前記排熱回収ボイラとを接続する管路および前記蒸気製造装置と前記燃焼器とを接続する管路の各一部を前記再生器内に組み込み、前記燃焼器へ供給する蒸気の温度を一定にするようにしたCO2回収発電プラント。

【図1】
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【図2】
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