説明

DME燃料供給方法及びDME燃料供給システム

【課題】燃料タンクの内圧変化に応じてDME燃料を自動的に供給する。
【解決手段】DME供給システム100であって、燃料供給ライン111を開閉するDME電磁弁CV−3と、燃料タンク3を開閉するパージ電磁弁RV−2と、燃料タンク3内の圧力を検出するタンク内圧力センサPS−2と、燃料供給ライン111の圧力を検出する供給圧力センサPS−1と、タンク内圧力センサPS−2及び供給圧力センサPS−1による検出情報に基づいて、DME電磁弁CV−3及びパージ電磁弁RV−2を開閉する供給制御装置105とを備えており、供給制御装置105が燃料供給ライン111を開放した後、燃料供給ライン111の圧力から燃料タンク3内の圧力を減じることによって得られる圧力差を監視し、圧力差が所定の設定値よりも小さいとき、燃料タンク3のパージ電磁弁RV−2を開放し、圧力差が設定値以上であるとき、パージ電磁弁RV−2を閉鎖する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
エンジンの燃料タンクにDMEを供給する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
DMEを燃料とするDMEエンジンが公知である。DMEエンジンを利用する技術の一例が、特許文献1に開示されている。従来、DMEは、DMEステーションからDMEエンジンの燃料タンクに、手動により補給されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−263064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
DMEエンジンは、例えば、コージェネレーションシステムにおいて用いられる。DMEコージェネレーションシステムを継続的に運転するためには、燃料タンク内のDMEの減量を補うように、DMEを補給する必要がある。このため、手動ではなく自動により、DMEを燃料タンクに供給できる供給システムが必要である。具体的には、供給システムとして、燃料タンクに燃料供給ラインを介してDMEを直接供給するシステムが考えられる。DMEコージェネレーションシステムは、燃料タンク内の燃料が適切に補給されている限り、24時間継続して稼働させることができる。
【0005】
図4は、タンク内圧力及びタンク内液面レベルの時間変化の一例を示す図である。タンク内圧力は、DMEエンジンの燃料タンク内の圧力を指している。タンク内液面レベルは、燃料タンク内の液面の高さ、すなわちタンク内の燃料の残量を指している。タンク内液面レベルの低下はDMEエンジンにおけるDMEの消費によって発生する。タンク内液面レベルの上昇は、燃料タンクに手動でDMEを補給することによって発生する。タンク内圧力は、燃料タンク内のDMEが気化することによって発生する。DMEが消費されるとタンク内の空き容量が増えるので、DME蒸気が膨張し、タンク内圧力が低下する。逆に、DMEが補給されるとタンク内の空き容量が減るので、DME蒸気が圧縮され、タンク内圧力が上昇する。このため、図4において、タンク内圧力の変化が、タンク内液面レベルの変化に連動している。ただし、時間経過に伴ってDMEの蒸発量が増大するので、タンク内圧力の平均値は、徐々に上昇している。
【0006】
上述した供給システムを利用して、燃料タンクに燃料供給ラインを介してDMEを直接供給する場合、燃料供給ラインの圧力(供給圧力)がタンク内圧力よりも大きいことが必要である。供給圧力がタンク内圧力に等しくなると、DMEが流れなくなり、DMEの供給ができなくなる。このため、タンク内圧力の上昇に応じて、タンク内圧力を低下させる必要がある。ここで、燃料タンクの蓋を開放するなど、燃料タンクを大気中に連通させることによって、タンク内圧力を低下させることができる。しかし、燃料タンクを常時開放していると、DMEが大気中に大量に放出されてしまう。また、燃料タンクを手動で開放する場合、作業者は燃料タンク内の燃料の減量を24時間体制で監視する必要があり、作業効率の悪化が考えられる。
【0007】
そこで、本発明は、DMEエンジンの燃料タンクにDME燃料を自動的に供給でき、且つ、燃料タンク内の圧力上昇によってDMEの供給が阻害されることのない、供給方法及び供給システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明は、エンジンの燃料タンク内に燃料供給ラインを通じて供給目標量のDMEを供給する、DME燃料供給方法であって、前記燃料供給ラインを開放した後、前記燃料供給ラインの圧力から前記燃料タンク内の圧力を減じることによって得られる圧力差を監視し、前記圧力差が所定の設定値よりも小さいとき、前記燃料タンクのパージバルブを開放し、前記圧力差が前記設定値以上であるとき、前記パージバルブを閉鎖する。
【0009】
第1発明は、好ましくは、構成(a)を採用できる。
【0010】
(a)前記供給目標量が、前記燃料タンクの最大量から前記燃料タンク内のDMEの残量を減じて得られるものであり、前記燃料供給ラインの開放に先立って、前記残量を検出することによって前記供給目標量を算出する。
【0011】
第2発明は、エンジンの燃料タンク内に燃料供給ラインを通じて供給目標量のDMEを供給する、DME燃料供給システムであって、前記燃料供給ラインを開閉する燃料電磁弁と、前記燃料タンクを開閉するパージバルブと、前記燃料タンク内の圧力を検出するタンク内圧力センサと、前記燃料供給ラインの圧力を検出する供給圧力センサと、前記タンク内圧力センサ及び前記供給圧力センサによる検出情報に基づいて、前記電磁弁及び前記パージバルブを開閉する、制御装置と、を備えており、前記制御装置が、前記燃料供給ラインを開放した後、前記燃料供給ラインの圧力から前記燃料タンク内の圧力を減じることによって得られる圧力差を監視し、前記圧力差が所定の設定値よりも小さいとき、前記燃料タンクのパージバルブを開放し、前記圧力差が前記設定値以上であるとき、前記燃料タンクのパージバルブを閉鎖する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、エンジンの燃料タンクにDME燃料を自動的に供給でき、且つ、燃料タンク内の圧力上昇によってDMEの供給が阻害されることがない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】DMEエンジンシステム及びDME供給システムを示す概略図である。
【図2】DME燃料供給制御のフローチャートである。
【図3】タンク内圧力、供給圧力、及びタンク内液面レベルの時間変化の一例を示す図である。
【図4】タンク内圧力及びタンク内液面レベルの時間変化の一例を示す図である(従来技術)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、DMEエンジンシステム1及びDME供給システム100を示す概略図である。DME供給システム100は、DME供給源101からエンジン2の燃料タンク3に、DME及び潤滑向上剤を供給するシステムである。燃料タンク3には、潤滑向上剤を含むDMEが蓄えられる。DMEエンジンシステム1は、エンジン2に、潤滑向上剤を含むDMEにより、エンジン2を駆動する装置である。DME供給源101は、DMEのパイプラインシステム、又はDMEのタンクである。
【0015】
以下、特に必要がない限り、潤滑向上剤を含むDMEと潤滑向上剤を含まないDMEとを区別せず、どちらのDMEも単に「DME」と称する。
【0016】
図1において、DMEエンジンシステム1は、エンジン2と、燃料タンク3と、高圧ポンプ4と、エンジン制御装置5と、を備えている。DMEエンジンシステム1は、燃料用のラインとして、第1燃料ライン11と、第2燃料ライン12と、第3燃料ライン13と、第4燃料ライン14と、を備えている。DMEエンジンシステム1は、DME蒸気をパージするためのラインとして、第1パージライン21と、第2パージライン22と、第3パージライン23と、を備えている。DMEエンジンシステム1は、弁として、圧力調整弁30と、第2遮断弁32と、第3遮断弁33と、逆止弁34と、を備えている。
【0017】
第1燃料ライン11は、燃料タンク3と高圧ポンプ4とを接続している。第2燃料ライン12は、高圧ポンプ4とエンジン2とを接続している。第3燃料ライン13及び第4燃料ライン14は、圧力調整弁30を介して、エンジン2と燃料タンク3とを接続している。圧力調整弁30は、第3燃料ライン13と第4燃料ライン14との間に設けられている。逆止弁34は、燃料タンク3と第4燃料ライン14との間に設けられている。
【0018】
第2遮断弁32は、第2燃料ライン12と第2パージライン22との間に設けられている。第2遮断弁32が開放されると、第2燃料ライン12内のDME蒸気が、第2パージライン22を介して大気中に解放される。第3遮断弁33は、第3燃料ライン13と第3パージライン23との間に設けられている。第3遮断弁33が開放されると、第3燃料ライン13内のDME蒸気が、第3パージライン23を介して大気中に解放される。
【0019】
エンジン制御装置5は、DMEエンジンシステム1の各部を制御する。エンジン制御装置5は、エンジン2を作動させるときに、高圧ポンプ4を作動させる。DMEは、高圧ポンプ4の作動により、ライン11〜14を経由して、燃料タンク3及びエンジン2を循環する。
【0020】
図1において、DME供給システム100は、向上剤タンク102と、向上剤ポンプ103と、供給制御装置105と、を備えている。DME供給システム100は、供給ラインとして、燃料供給ライン111と、第1向上剤供給ライン121と、第2向上剤供給ライン122と、を備えている。DME供給システム100は、弁として、入口遮断弁SV−1と、DME電磁弁CV−3と、向上剤電磁弁CV−4と、パージ電磁弁RV−2と、を備えている。DME供給システム100は、センサとして、流量センサ151と、供給圧力センサPS−1と、温度センサ152と、タンク内圧力センサPS−2と、容量レベルセンサ51と、を備えている。
【0021】
燃料供給ライン111は、DME供給源101と燃料タンク3とを接続している。DMEは、DME供給源101から燃料タンク3に向けて供給される。燃料供給ライン111上には、DMEの流れ方向に沿って、入口遮断弁SV−1、流量センサ151、合流部131、供給圧力センサPS−1、温度センサ152、及びDME電磁弁CV−3が、配置されている。
【0022】
第1向上剤供給ライン121は、向上剤タンク102と、向上剤ポンプ103とを接続している。第2向上剤供給ライン122は、向上剤ポンプ103と燃料供給ライン111とを接続している。合流部131は、第2向上剤供給ライン122と燃料供給ライン111との接続部である。潤滑向上剤は、向上剤タンク102から向上剤ポンプ103を経由して、燃料供給ライン111上の合流部131に供給される。第2向上剤供給ライン122上には、向上剤電磁弁CV−4が配置されている。
【0023】
向上剤ポンプ103は、本実施形態では、定量ポンプである。
【0024】
入口遮断弁SV−1は、合流部131の上流側において、燃料供給ライン111を開閉できる。DME電磁弁CV−3は、合流部131の下流側において、燃料供給ライン111を開閉できる。向上剤電磁弁CV−4は、第2向上剤供給ライン122を開閉できる。
【0025】
供給圧力センサPS−1は、合流部131の下流側において、燃料供給ライン111内の圧力を検出できる。
【0026】
流量センサ151は、燃料供給ライン111内の流量を検出できる。このため、流量センサ151は、当然ながら、燃料供給ライン111内に流れが発生しているか流れが停止しているかも、検出できる。
【0027】
温度センサ152は、合流部131の下流側において、燃料供給ライン111内の温度を検出できる。温度センサ152は、本実施形態では、熱電対である。
【0028】
パージ電磁弁RV−2は、第1パージライン21上に設けられている。パージ電磁弁RV−2が開放されると、燃料タンク3内のDME蒸気が、第1パージライン21を介して大気中に解放される。
【0029】
タンク内圧力センサPS−2は、第1燃料ライン11の圧力を検出する。ここで、第1燃料ライン11の圧力は、燃料タンク3内の圧力に等しい。
【0030】
容量レベルセンサ51は、燃料タンク3内に蓄えられているDMEの量を検出する。
【0031】
供給制御装置105は、DME供給システム100の各部を制御する。具体的には、供給制御装置105は、パージ電磁弁RV−2、入口遮断弁SV−1、DME電磁弁CV−3、及び向上剤電磁弁CV−4の開閉を制御する。供給制御装置105は、向上剤ポンプ103の駆動を制御する。供給制御装置105は、供給圧力センサPS−1、タンク内圧力センサPS−2、容量レベルセンサ51、及び温度センサ152による検出情報を、把握できる。
【0032】
DME供給システム100において、潤滑向上剤を含まないDMEが、DME供給源101から燃料供給ライン111に供給される。燃料供給ライン111上の合流部131において、DMEに、潤滑向上剤が投入される。つまり、合流部131において、DMEと潤滑向上剤とが混合される。この結果、潤滑向上剤を含むDMEが、燃料タンク3に供給される。
【0033】
図2は、DME燃料供給制御のフローチャートである。供給制御装置105は、DME燃料供給制御を実行できる。DME燃料供給制御は、シーケンス制御である。DME燃料供給制御において、後述の各ステップの処理が、順次実行される。
【0034】
DME燃料供給制御の開始時点において、入口遮断弁SV−1は開放されており、DME電磁弁CV−3及び向上剤電磁弁CV−4は閉じられている。入口遮断弁SV−1は、メンテナンス時などを除いて通常は開放されている。
【0035】
DME供給システム100は、システムを起動するための起動スイッチを備えている。ステップS1において、供給制御装置105は、起動スイッチが押されたことを検出すると、DME燃料供給制御を開始する。
【0036】
ステップS2において、供給制御装置105は、DME供給目標量を計算する。DME供給目標量は、今回のDME供給作業において、DME供給システム100が燃料タンク3にDMEを供給する量を意味する。本実施形態では、燃料タンク3内の空き容量が、DMEの供給目標量に設定されている。
【0037】
DME供給目標量=タンク最大量−タンク残量・・・(1)
【0038】
タンク最大量は、燃料タンク3の最大容量であり、特定されている。タンク残量は、燃料タンク3内に残っているDMEの量である。供給制御装置105は、容量レベルセンサ51による検出情報に基づいて、タンク残量を特定できる。このため、供給制御装置105は、式(1)に基づいて、DME供給目標量を算出できる。
【0039】
ステップS3において、供給制御装置105は、DME電磁弁CV−3を開放する。この結果、DMEが燃料タンク3内へと流れ込んでいく。
【0040】
上述したように、DME供給システム100は、DMEだけでなく潤滑向上剤を燃料供給ライン111に供給できる。供給制御装置105は、DME電磁弁CV−3を開放した後、向上剤電磁弁CV−4を開放すると共に、向上剤ポンプ103を駆動する。この結果、燃料供給ライン111内で、DMEと潤滑向上剤とが混合される。
【0041】
ステップS4〜S8までのループ処理において、供給制御装置105は、燃料供給ライン111と燃料タンク3内との圧力差を監視し、圧力差に基づいてパージ電磁弁RV−2の開閉を制御する。ここで、圧力差は、燃料供給ライン111の圧力(供給圧力)からタンク内圧力を減じることによって得られる値である。
【0042】
供給圧力は、例えば、1.5MPaである。タンク内圧力が上昇した結果、タンク内圧力が供給圧力に等しくなると、DMEの供給が阻害される。そこで、圧力差の適否を判定するための指標として、所定の設定値が設けられている。設定値は、0MPa以上の値であり、例えば、0.2MPaである。圧力差が設定値を越えている限り、DMEの供給に問題はない。
【0043】
ステップS4において、供給制御装置105は、圧力差が所定の設定値よりも小さいか否かを判定する。圧力差が設定値以上であるとき、処理がステップS8に進む。圧力差が設定値より小さいとき、処理がステップS5に進む。
【0044】
ステップS5において、供給制御装置105は、パージ電磁弁RV−2を開放する。この結果、燃料タンク3内のDME蒸気が、第1パージライン21を介して大気中に解放される。
【0045】
ステップS6において、供給制御装置105は、パージ電磁弁RV−2の開放状態を所定の開放時間の間、継続する。本実施形態では、開放時間は、15秒である。開放時間が経過したときにタンク内圧力が大気圧にできるだけ近づくように、開放時間の大きさが設定されている。このため、開放時間は、燃料タンク3の容量や、第1パージライン21の内径などによって、変化する。
【0046】
ステップS7において、供給制御装置105は、供給目標量の混合DMEが燃料タンク3内に充填されたか否かを判定する。供給制御装置105は、容量レベルセンサ51の検出情報に基づいて、供給目標量が充填されたことを、把握できる。供給目標量が充填されている場合、ステップS4〜S8までのループ処理が終了して、処理がステップS9に進む。供給目標量が充填されていない場合、処理がステップS4に戻り、ステップS4〜S8までのループ処理が再度実行される。
【0047】
ステップS9において、供給制御装置105は、DME電磁弁CV−3を閉じる。この結果、DMEの供給が停止される。
【0048】
ここで、DME電磁弁CV−3が閉鎖される前に、向上剤電磁弁CV−4が閉鎖されると共に向上剤ポンプ103の駆動が停止されている。つまり、DMEの供給が終了する前に、潤滑向上剤の供給が終了している。
【0049】
ステップS10において、供給制御装置105は、DME燃料供給制御を終了させる。
【0050】
図3を用いて、DME燃料供給制御が実行された状況の一例を説明する。図3は、タンク内圧力、供給圧力、及びタンク内液面レベルの時間変化の一例を示す図である。タンク内液面レベルは、燃料タンク3内の液面の高さ、すなわちタンク内の燃料の残量を指している。図3において、タンク内液面レベルは、最大容量に対する残量の割合(%)によって示されている。タンク内液面レベルの低下は、DMEエンジン2におけるDMEの消費によって発生する。タンク内液面レベルの急上昇は、DME供給システム100が燃料タンク3にDMEを補給することによって発生する。
【0051】
図3において、供給圧力は、DME供給源101内のフィードポンプの影響によって脈動しているが、供給圧力の平均値はほぼ一定に保たれている。タンク内圧力及びタンク内液面レベルの脈動も、供給圧力の脈動によって発生している。したがって、タンク内圧力及びタンク内液面レベルの変化において、脈動は重要ではなく、全体的な変化が重要である。
【0052】
DMEが消費されるとタンク内の空き容量が増えるので、タンク内圧力が低下する。このため、図3において、タンク内液面レベルの低下に連動して、タンク内圧力が低下している。一方、DMEが補給されるとタンク内の空き容量が減るので、タンク内圧力が上昇する。このため、図3において、タンク内液面レベルの上昇に連動して、タンク内圧力が上昇している。本実施形態では、DME供給システム100によるDMEの供給が実行されるたびに、圧力差が設定値に到達し、燃料タンク3のパージ(パージ電磁弁RV−2の開放)が実行される。タンク内圧力は概ね周期的な変化をしているが、タンク内圧力の最大高さ及び最小高さも各周期において概ね一定である。このため、図3では、タンク内圧力の平均値はほぼ一定であり、従来技術における図4のように、タンク内圧力が上昇することが防止されている。
【0053】
本実施形態におけるDME燃料供給方法及びDME供給システム100は、DMEエンジン2の燃料タンク3にDME燃料を自動的に供給でき、且つ、燃料タンク3内の圧力上昇によってDMEの供給が阻害されることがない。
【0054】
本実施形態では、DME供給システム100は、DMEの供給に係わるシステムだけでなく、潤滑向上剤の供給に係わるシステムも備えている。DME燃料供給制御を実行するためのDME供給システムは、DMEの供給に係わるシステムを備えていればよく、潤滑向上剤の供給に係わるシステムを備えていなくても良い。
【符号の説明】
【0055】
1 DMEエンジンシステム
2 エンジン
3 燃料タンク
21 第1パージライン
51 容量レベルセンサ
100 DME供給システム
105 供給制御装置
111 燃料供給ライン
PS−1 供給圧力センサ
PS−2 タンク内圧力センサ
RV−2 パージ電磁弁
CV−3 DME電磁弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの燃料タンク内に燃料供給ラインを通じて供給目標量のDMEを供給する、DME燃料供給方法であって、
前記燃料供給ラインを開放した後、前記燃料供給ラインの圧力から前記燃料タンク内の圧力を減じることによって得られる圧力差を監視し、
前記圧力差が所定の設定値よりも小さいとき、前記燃料タンクのパージバルブを開放し、前記圧力差が前記設定値以上であるとき、前記パージバルブを閉鎖する、
DME燃料供給方法。
【請求項2】
前記供給目標量が、前記燃料タンクの最大量から前記燃料タンク内のDMEの残量を減じて得られるものであり、
前記燃料供給ラインの開放に先立って、前記残量を検出することによって前記供給目標量を算出する、
請求項1に記載のDME燃料供給方法。
【請求項3】
エンジンの燃料タンク内に燃料供給ラインを通じて供給目標量のDMEを供給する、DME燃料供給システムであって、
前記燃料供給ラインを開閉する燃料電磁弁と、
前記燃料タンクを開閉するパージバルブと、
前記燃料タンク内の圧力を検出するタンク内圧力センサと、
前記燃料供給ラインの圧力を検出する供給圧力センサと、
前記タンク内圧力センサ及び前記供給圧力センサによる検出情報に基づいて、前記電磁弁及び前記パージバルブを開閉する、制御装置と、
を備えており、
前記制御装置が、前記燃料供給ラインを開放した後、前記燃料供給ラインの圧力から前記燃料タンク内の圧力を減じることによって得られる圧力差を監視し、前記圧力差が所定の設定値よりも小さいとき、前記燃料タンクのパージバルブを開放し、前記圧力差が前記設定値以上であるとき、前記燃料タンクのパージバルブを閉鎖する、
DME燃料供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−12652(P2011−12652A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−159752(P2009−159752)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)