説明

HIV陽性の個体で予防を結核に提供している方法

本発明は、HIV陽性個体における結核の予防を提供する方法に関する。本発明によると、マイコバクテイアw(Mw)から製造されるワクチンが、HIV陽性個体における血管に対する予防を提供するために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、HIV陽性個体における結核の予防を提供する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
結核は、大規模かつ世界的な感染症である。それは、結核菌に起因する。先進諸国と発展途上国を含む世界的に罹患率と死亡率の主要原因となっている。これは、効果的な化学療法の有効性にもかかわらずである。
【0003】
結核の問題は、結核の世界中に広がっていく疫病性のために最近より多くの注目を集めている。HIVの免疫は易感染性で、個体をさまざまな感染症、特に結核に対するより脆弱化する。免疫の低下は、液性免疫より細胞性免疫により起こる。結核の発病率は、健常被験者と比較してHIV陽性の個体では、かなり高い。HIV 陽性個体では、ブラジルにおいて32%、インドにおいて64%と相違がある。結核のリスクの増加はまた、HIV陽性の最初の1年目では8%であるのに比して、正常の個体において結核の危険度が5年で5%であるという事実で判断されることができる。同様に、生涯に結核にかかるリスクが、HIV陽性の個体では113であるのに対し、結核は通常の個体で1である。
【0004】
このように、HIV陽性個体で結核に対する予防を提供する必要性が大きい。
【0005】
結核に対する免疫は、ツベルクリン検査と呼ばれている試験で判断される。それは、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)の抗原[精製タンパク質誘導体(PPD)]を注射することによって実行される。結核に対する免疫があるヒトでは、注射部位の反応が起こる。それは感染後、48〜72時間に見てとれる。注射部位で見られる反応は、皮膚が盛り上がり、赤くなり、堅く(硬化)なる。これは、ツベルクリンに対する細胞性免疫の存在を表す。
【0006】
この方法によって検出される免疫は、がBCG接種を受けたか、結核生物体にさらされた個体で見られる。
【0007】
結核に対する予防を提供するために使用される唯一の既知のワクチンは、BCGである。
【0008】
BCGは生きている微生物を含み、それはHIV陽性の個体のような免疫無防備状態の個体に与えられることができない。HIV陽性個体にはIsoniazid、Rifampicinその他のような化学療法剤によって予防を提供することが現在推奨されている。結核に対する免疫を提供する方法で受け入れられているものはない。このように、HIV陽性個体で結核に対する免疫の提供には、未だ解決されていない条件がある。
【0009】
米国特許第54724144号、第5985287号、第6160093号、第6001361号は、マイコバクテリアワクチンまたは効果的なそのさまざまな構成成分の、動物に結核に対する免疫を提供するための使用を記載する。
【0010】
米国特許第6210684号およびWO9406466号は、エイズの処置または予防のためにマイコバクテリアワクチンの使用を記載する。
【0011】
しかしながら、マイコバクテリアワクチンを、HIV陽性のヒトに使用しても、3〜5回の服用後でさえ、結核に対する免疫を提供できない(Johnson Dその他Vaccine 1999、17(20-21):2583-7: Marsha BJその他。Am J Med Sci 1997(313の(6)):377-83,:Waddel RD、Clin Infect Dis 2000、30のSuppl 3: s309-15)。
【0012】
このように、HIV陽性個体に結核に対する免疫を提供する必要性は解決されていない。
【0013】
マイコバクテリアワクチンで免疫応答を誘発できないのは、ツベルクリン反応陽性転化で判断される結核に対する細胞性免疫を改善するための方法において、機能するCD4細胞を減少させることができないことによる可能性がある。
【0014】
驚くべきことに、本発明によって、HIV陽性個体で結核に対する免疫のための医薬組成物を提供することが可能であることがわかった。
【0015】
この目的のための医薬組成物を調製する方法は、マイコバクテリアwの使用を含む。マイコバクテリアwが、ライ病の治療に有用であることがわかる。それは、レプロミン陰性の個体をレプロミン陽性の状態に変える。それも、多細菌性のライ病の治癒に必要な期間を減少させる。
【0016】
ツベルクリン検査で診断すると、本発明で製造される医薬組成物がHIV陽性の個体に結核に対する免疫を提供することに効果的であることがわかる。
【0017】
発明の概要
本発明によれば、「マイコバクテリアw(Mw)」から製造されるワクチンが、HIV陽性の個体における結核に対する予防を提供することに有用であることがわかる。マイコバクテリアwを含むワクチンの投与がツベルクリン陰性でHIV陽性の個体をツベルクリン陽性の状態に変換することができることが観察される。これらの効果は、結核を患っている患者でも見られる。これらの効果はまた、エイズ発症の有無および関連する結核の有無に関わらずHIV感染者である患者でも認められる。
【0018】
本発明で使用されるマイコバクテリアwは、非病原性であり、培養可能な非典型的なマイコバクテリアであり、その代謝および増殖の特徴において、生化学的特徴と増殖が速いという特徴がMycobacteriaのRunyons群IVクラスの特徴に似ているが、現在この群に挙げられている株と同一でない。従って、Mwは完全に新しい株である。
【0019】
Mw種の正体は、ポリメラーゼ連鎖反応DNA配列決定によって特定され、他の30種のマイコバクテリアと区別された。しかしながら、それは、関連するまたは他の現在この群に中に挙げられるものと異なる。パターン解析の多形性領域の塩基配列分析によって、Mwはユニークな、以下に示す調べた他の既知の多数のマイコバクテリア種とは異なる:M. avium、M. intracellulare、M. scrofulaceum、M. kansasii、M. gastri、M. gordonae、M. shimoidei、M. malmoense、M. haemophilum、M. terrae、M. nonchromogenicum、M. triviale、M. marinum、M. flavescens、M.simian、M. szulgai、M. xenopi、M. asciaticum、M.金、M. smegmatis、M. vaccae、M. fortuitum subsp fortuitum、M. fortuitum亜種、
Peregrinum、M. chelonae亜種、Chelonae、M. chelonae亜種、膿瘍菌(Abscesus)、M. genavense、結核菌(M. tuberculosis)、M. tuberculosis H37Rv、M. paratuberculosis。
【0020】
本発明の目的は、エイズの明白な症状の有無に関わらず、HIV感染またはHIV陽性である被験者に、Mwから得られる構成成分とともに、またはこれを伴わない、「マイコバクテリアw(Mw)」を含む、結核に対する予防のためのワクチンを提供することである。発明のさらにもう一つの目的は、HIV陽性であるツベルクリン陰性の個体をツベルクリン陽性の状態に変えるためのワクチンを提供することである。
【0021】
発明のさらにもう一つの目的は、HIV陽性被験者のツベルクリン状態を改善するためのマイコバクテリアwに由来するワクチンを提供することである。
【0022】
発明の詳細な説明
本発明における、免疫修飾物質の組成、調製法、HPLC解析、その安全性および耐性、使用方法と治療結果は、以下の実施例に記載する。以下は本発明の実施例であるが、本発明の範囲はこれらによって制限されるべきではない。
【0023】
実施例1 医薬組成物
A.治療薬の0.1mlの1用量は、以下を含む:
マイコバクテリアw.(熱殺菌済み) 0.50のx 109
塩化ナトリウムI. P. 0.90% w/v
Tween 80 0.1% w/v
チオメロサール(Thiomerosal) I. P. 0.01% w/v
(防腐剤)
注射用水 I. P 0.1mlになるように添加。
【0024】
B. 治療薬の0.1mlの1用量は、以下を含む:
マイコバクテリアw.(熱殺菌済み) 0.50のx 109
塩化ナトリウムI. P. 0.90% w/v
Triton 100 0.1% w/v
チオメロサール(Thiomerosal) I. P. 0.01% w/v
(防腐剤)
注射用水 I. P 0.1mlになるように添加。
【0025】
C. 治療薬の0.1mlの1用量は、以下を含む:
マイコバクテリアw.(熱殺菌済み) 0.50のx 109
塩化ナトリウムI. P. 0.90% w/v
チオメロサール(Thiomerosal) I. P. 0.01% w/v
(防腐剤)
注射用水 I. P 0.1mlになるように添加。
【0026】
D. 治療薬の0.1mlの1用量は、以下を含む:
1x1010マイコバクテリアwの超音波処理後のマイコバクテリアw抽出物
塩化ナトリウムI. P. 0.90% w/v
チオメロサール(Thiomerosal) I. P. 0.01% w/v
(防腐剤)
注射用水 I. P 0.1mlになるように添加。
【0027】
E. 治療薬の0.1mlの1用量は、以下を含む:
1x1010マイコバクテリアwのメタノール抽出物
塩化ナトリウムI. P. 0.90% w/v
チオメロサール(Thiomerosal) I. P. 0.01% w/v
(防腐剤)
注射用水 I. P 0.1mlになるように添加。
【0028】
F. 治療薬の0.1mlの1用量は、以下を含む:
1x1010マイコバクテリアwのクロロフォルム抽出物
塩化ナトリウムI. P. 0.90% w/v
チオメロサール(Thiomerosal) I. P. 0.01% w/v
(防腐剤)
注射用水 I. P 0.1mlになるように添加。
【0029】
G. 治療薬の0.1mlの1用量は、以下を含む:
1x1010マイコバクテリアwのアセトン抽出物
塩化ナトリウムI. P. 0.90% w/v
チオメロサール(Thiomerosal) I. P. 0.01% w/v
(防腐剤)
注射用水 I. P 0.1mlになるように添加。
【0030】
H. 治療薬の0.1mlの1用量は、以下を含む:
1x1010マイコバクテリアwのエタノール抽出物
塩化ナトリウムI. P. 0.90% w/v
チオメロサール(Thiomerosal) I. P. 0.01% w/v
(防腐剤)
注射用水 I. P 0.1mlになるように添加。
【0031】
I. 治療薬の0.1mlの1用量は、以下を含む:
1x1010マイコバクテリアwのリチカーゼ抽出物
塩化ナトリウムI. P. 0.90% w/v
チオメロサール(Thiomerosal) I. P. 0.01% w/v
(防腐剤)
注射用水 I. P 0.1mlになるように添加。
【0032】
J. 治療薬の0.1mlの1用量は、以下を含む:
マイコバクテリアw.(熱殺菌済み) 0.50のx 107
0.1mlの治療薬の各々の服用は、1x103マイコバクテリアwから、破壊、溶剤抽出または酵素的抽出により得られるマイコバクテリアwの抽出物
塩化ナトリウムI. P. 0.90% w/v
チオメロサール(Thiomerosal) I. P. 0.01% w/v
(防腐剤)
注射用水 I. P 0.1mlになるように添加。
【0033】
実施例2 医薬組成物調製方法
A. マイコバクテリアwの培養
i) 培地の調製
マイコバクテリアwは、L J培地などの固形培地またはミドルブルック(middle brook)培地またはソートン(sauton)液体培地などの液体培地で培養される。収率をより向上させのためには、ミドルブルック(middle brook)培地を栄養富化する。グルコース、バクトトリプトンおよびBSAの追加により、栄養富化することが望ましい。望ましくはこれらを20:30:2の比率で用いる。栄養富化培地は、ミドルブルック培地に加えられる。好ましくは、15:1から25:1、さらに好ましくは20:1の比率である。
【0034】
ii) バイオリアクター操作
a) 容器の調製:
容器(連結器具、機械式シール、o-リング/ガスケット、溝、その他)の内側接触部分は、汚染を回避するために適切に洗浄されるべきである。容器を0.1N NaOHで満たして、24時間放置して、発熱性物質および他の汚染物質を除去する。容器は、それから酸性化された水、さらに通常の水で洗浄される。最後に、容器は培地を調製する前に蒸留水で洗浄する(3回)。
【0035】
b) バイオリアクターの殺菌
9Lの蒸留水を含むバイオリアクターは、生蒸気(間接的に)で殺菌される。同様に、バイオリアクターはミドルブルック培地でもう一度殺菌される。他の瓶、入口/放出口のエアーフィルターその他は、15分間121℃でオートクレーブする(二回)。
【0036】
使用前に、これらを50℃で乾燥器で乾燥させる。
【0037】
c) 環境パラメータ
i. 温度:37±0.5℃
ii. pH: 最初は6.7〜6.8。
【0038】
B. 回収と濃縮
典型的には、無菌状態下で培養第6の日の終わりに回収する。細胞(パレット化:palletisation)の濃縮は、遠心によりおこなう。
【0039】
C. 細胞の洗浄
非常に得られるパレットは、通常の食塩水で3回、洗われた最低限である。
【0040】
望ましくは均等緊張である他のいかなる体液でも、それは洗われることができる。
【0041】
D. 薬学的に許容され得る担体の添加
発熱物質不含の通常の生理食塩水を、パレットに加える。他のいかなる発熱物質不含等液張液も、薬学的に許容され得る担体として用いることができる。最終的な製剤に望ましい濃度で含まれることになるような量の担体を加える。
【0042】
E. 防腐剤の添加
他の混在する細菌を除去した状態に製品を保つために、防腐剤を添加する。好ましい防腐剤は、終濃度0.01% w/vのチオメゾール(thiomesol)である。
【0043】
F. 最終的殺菌
最終的な殺菌は、加熱もしくは電離性放射線などの種々の物理的な方法または除菌ろ過により達成できる。
【0044】
熱は、乾熱または蒸気熱の形態であってよい。また、煮沸または低温殺菌の形態であってよい。
【0045】
電離性放射線は、紫外線、ガンマ線またはマイクロ波、または他のいかなる電離放射線の形態であってもよい。
【0046】
最終的な製品をオートクレーブすることが、好ましい。
【0047】
これは、最終的な包装を梱包する後または前に行うことができる。
【0048】
G. 品質管理
i. 材料を純度、無菌性について評価する。
【0049】
ii. 生物体は、グラム染色後、抗酸性について確認される。
【0050】
iii 不活化試験:これは、あらゆる生存生物体をも発見ように、L J培地で製品を培養することによってされる。
【0051】
iv.病原性および/または病原体による汚染
培養された生物体を、Balb/cマウスに感染させる。マウスのいずれも死亡せず、かつ、全ては健康を維持して体重増加すべきである。動物が処置後8週までに死んだ場合、肝臓、肺、脾臓または他のいかなる器官でも、少しの肉眼または顕微鏡下で病変が見つかってはならない。
【0052】
v. 生化学検査:
生物体は、以下の生化学検査を受ける:
a) ウレアーゼ
b) Tween 80加水分解
c) ナイアシン試験
d) 硝酸塩還元試験。
【0053】
生物体は、ウレアーゼ、Tween 80の加水分解およびナイアシン試験で、陰性の結果を得る。また、硝酸塩還元試験は陽性である。
【0054】
H. マイコバクテリアwの構成成分の調製:
本発明の目的のためのマイコバクテリアwの構成成分は、以下の方法で調製することができる:
I 細胞破壊
II. 溶媒抽出
III. 酵素的抽出。
【0055】
細胞破壊は、超音波処理もしくは高圧フラクショノメーターの使用、または浸透圧の使用によってなされ得る。
【0056】
溶剤抽出は、クロロホルム、エタノール、メタノール、アセトン、フェノール、イソプロピルアルコール、酢酸、尿素、ヘキサンその他のようないかなる有機溶剤でも可能である。また、細胞壁/膜を消化することができる酵素による酵素的抽出も可能である。それは、事実上典型的なタンパク質分解である。酵素リチカーゼとプロナーゼが、好ましい酵素である。
【0057】
本発明の目的のために、マイコバクテリアwの構成成分を、単独またはマイコバクテリアw生物体の代わりに使用することができ、または、マイコバクテリアwを含む製品に添加することもできる。
【0058】
細胞構成成分の添加は、製品の効力の向上をもたらす。
【0059】
実施例3 HPLC分析によるマイコバクテリアwの構成成分の特徴
本発明のために用いるマイコバクテリアwの構成成分を、HPLC分析にかけると、11分の位置に1つのピークが得られる。他の目立ったピークは見られない。ピークは均一で、全くノッチがないことから、得られた材料が均質であるいことを示唆する。
【0060】
HPLC分析は、以下の条件で、水系HPLC装置を使用して行った:
カラム:Novapak c1860A、4μm、3.9 x 150mm.
ガードカラム:Novapak c 18
カラム温度:30℃
流速:2.5ml/分
注入容量:25μL
移動相:
溶剤A:HPLC等級メタノール
溶剤B:HPLC等級塩化メチレン。
【0061】
2相勾配:
HPLC勾配は、最初98%の(v/v)メタノール(溶剤B)を含むこととした。勾配は、直線的に80%まで増やした。1分でAと20%のB; 10分で35%のAと65%のB、5秒間維持した後、98%のAと2%のBまで10秒間で戻した。
【0062】
実施例4 HIV血清陽性個体における結核に対する免疫
本実施例では、10のHIV陽性者(被験者)を登録した。全員がツベルクリン「0」m.m.でありツベルクリン陰性であり、このことが本研究に当たって登録の理由であった。全員に、マイコバクテリアw.を皮内投与した。全ての被験者において、遅延型過敏反応のようなツベルクリン反応を決定するツベルクリン検査を、90日後に繰り返した。
【0063】
本研究の結果を図1に示した。全部で10人の被験者は、90日後に実行されたツベルクリン検査で5m.m以上であった。10人の被験者のうちの8人において、10 m.m以上であった。見られた最大のものは、17m.m.であり、最低は6m. mであった。平均は、12.6のm.mであった。
【0064】
HIV陽性個体において、HIV陽性の個体であるとされるカットオフ点は、5m.m.である。したがって、全ての被験者は、ツベルクリン陰性状態からツベルクリン陽性状態に変わった。このように、全ての被験者において、測定された結核菌に対する免疫の陰性から陽性への変化は、1回の皮内注射後に得られた。
【0065】
本研究において、活動性結核があった患者にもかかわらず、ツベルクリン陰性状態であった。HIV陽性の個体において、免疫はCD4細胞数の減少で減少する。この減少した細胞性免疫は、ツベルクリン状態にも変化をもたらす。最初ツベルクリン陽性被験者は、免疫の減少でツベルクリン陰性になる。
【0066】
免疫適応性の個体においては、結核は、BCGも呈さず結核にも曝されていない個体では、陽性ツベルクリン検査によって診断される。したがって、活動性結核にもかかわらずツベルクリン陰性である「0」m.m.は、ツベルクリン反応転化は難しい状態であることが示唆される。本発明は、非常に羅患し易い群における、ツベルクリン反応陽性転化と結核に対する免疫を提供して、予防および非常に望ましい効果を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1は、実施例4の結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HIV陽性個体における結核に対する免疫を提供する方法であって、マイコバクテリアwを用いて調製された製剤またはマイコバクテリアwから得られた医薬組成物を単独またはこれらを組合わせて、アジュバントと共にまたはアジュバント無しでHIV陽性である被験者に投与することを含む、上記方法。
【請求項2】
ツベルクリン陰性の個体をツベルクリン陽性の個体への変化をもたらすのに効果的である、請求項1記載のHIV陽性の個体における結核に対する免疫を提供する方法。
【請求項3】
処置された個体のツベルクリンの状態を改善するのに効果的である、請求項1記載のHIV陽性の個体における結核に対する免疫を提供する方法。
【請求項4】
死滅したマイコバクテリアwを含む、請求項1記載の製品。
【請求項5】
マイコバクテリアwが、熱放射などの物理的な方法、最も好ましくはオートクレーブの形態における加熱によって殺されたものである、請求項1または2記載の製品。
【請求項6】
マイコバクテリアwから超音波処理によって得られるものである、請求項1記載の製品。
【請求項7】
マイコバクテリアwから抽出によって得られるものである、請求項1記載の製品。
【請求項8】
マイコバクテリアwから有機溶媒抽出によって得られるものである、請求項1または5記載の製品。
【請求項9】
クロロホルム、エタノール、メタノール、アセトン、フェノール、イソプロピルアルコール、酢酸、尿素、へキサンなどから選択される溶媒を使用して抽出される、請求項1、5または6記載の製品。
【請求項10】
アジュバントが、鉱油、鉱油と界面活性剤、Ribiアジュバント、タイターマックス(Titer-max)、シンタックスアジュバント製剤、アルミニウム塩アジュバント、ニトロセルロース吸着された抗原、免疫刺激複合体、ゲブル(Gebru)アジュバント、スーパーキャリア、エルバックス40w、L-チロシン、モナタニド(manide-オレイン酸化合物)、アジュ(Adju)プライム、スクアレン、フタリルリポポリサッカリドナトリウム、リン酸カルシウム、サポニン、黒色腫抗原、ムラミールジペプチド(MDP)などから選択されるものである、請求項1記載の方法。
【請求項11】
界面活性剤を含む、請求項1記載の製剤。
【請求項12】
界面活性剤がTween 80である、請求項9記載の製剤。
【請求項13】
界面活性剤の量が、0.4%望ましくは0.1%以下である請求項9または10記載の製剤。
【請求項14】
マイコバクテリアwを含む製剤、マイコバクテリアwから得られる製剤、またはこれらの組み合わせであり、アジュバントを含むまたはアジュバントを含まない、癌の症状の改善を助ける、請求項1記載の製剤。
【請求項15】
マイコバクテリアwを含む製剤、またはマイコバクテリアから得られる製剤、またはこれらの組み合わせであり、アジュバントを含むまたはアジュバントを含まない、癌の抑制または完全寛解を助ける、請求項1記載の製剤。
【請求項16】
マイコバクテリアwが非病原性であり、迅速に増殖可能であり、非典型的マイコバクテリアであり、マイコバクテリアのラニアン(Runyon)群IVに属する菌に類似した生化学的性質と増殖速度を有するが、その代謝性質および増殖性質は、現在この群に挙げられる株のそれらとは同一でないことを特徴とする、請求項1、2、3、4、5または6に記載の製剤。
【請求項17】
マイコバクテリアwが、ウレアーゼ陰性であり、Tween 80を加水分解せず、ナイアシンを生産せず、硝酸塩還元試験において強い陽性反応を呈する、請求項1記載の方法。
【請求項18】
癌性組織が、原発または転移相である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
放射線療法および化学療法などの他の癌治療より、副作用を低減するのに効果的である、請求項1記載の方法。
【請求項20】
製剤が親のルート(parental route)により投与される、請求項1記載の方法。
【請求項21】
筋肉内、皮下、または皮内投与、好ましくは皮内投与である、請求項1または17記載の方法。
【請求項22】
一度に投与されるマイコバクテリアwの量が1x105以上のマイコバクテリアwである、請求項1記載の方法。
【請求項23】
一度に投与されるマイコバクテリアwの量が1x107以上のマイコバクテリアwである、請求項1記載の方法。
【請求項24】
一度に投与されるマイコバクテリアwの量が1x108〜1x1010のマイコバクテリアwである、請求項1記載の方法。
【請求項25】
癌の治療に有用な医薬組成物を製造する方法であって、マイコバクテリアwの死細胞を、薬学的に許容され得るキャリアおよび場合によっては防腐剤とともに組込むことを含む、癌の治療に有用な医薬組成物を製造する方法。
【請求項26】
単一の製剤中に1x105以上のマイコバクテリアw、より好ましくは1x107以上のマイコバクテリアw、最も好ましくは1x108〜1x109細胞のマイコバクテリアwが含まれるように、薬学的に許容され得るキャリアが添加されている、請求項1記載の方法。
【請求項27】
破壊されたマイコバクテリアwの細胞を、薬学的に許容され得るキャリアおよび場合によっては防腐剤とともに組込むことを含む、癌の治療に有用な医薬組成物を製造する方法。
【請求項28】
マイコバクテリアwの溶媒抽出物を、薬学的に許容され得るキャリアおよび場合によっては防腐剤とともに組込むことを含む、癌の治療に有用な医薬組成物を製造する方法。
【請求項29】
マイコバクテリアwの酵素分解抽出物を、薬学的に許容され得るキャリアおよび場合によっては防腐剤とともに組込むことを含む、癌の治療に有用な医薬組成物を製造する方法。
【請求項30】
請求項31および/または請求項32 および/または請求項33記載の製品と、請求項1記載の製品とを混合することを含む、癌の治療に有用な医薬組成物を製造する方法。
【請求項31】
アジュバントを、請求項1、4、6、8または10記載の製品に加えることを含む、癌の治療に有用な医薬組成物を製造する方法。
【請求項32】
アジュバントが、鉱油、鉱油と界面活性剤、リビ(Ribi)アジュバント、タイターマックス(Titer-max)、シンタックスアジュバント製剤、アルミニウム塩アジュバント、ニトロセルロース吸着された抗原、免疫刺激複合体、Gebruアジュバント、スーパーキャリア、エルバックス40w、L-チロシン、モナタニド(manide-オレイン酸化合物)、アジュ(Adju)プライム、スクアレン、フタリルリポポリサッカリドナトリウム、リン酸カルシウム、サポニン、黒色腫抗原、ムラミールジペプチド(MDP)などから選択されるものである、請求項17記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2006−502090(P2006−502090A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−563586(P2003−563586)
【出願日】平成15年1月27日(2003.1.27)
【国際出願番号】PCT/IB2003/000207
【国際公開番号】WO2003/063897
【国際公開日】平成15年8月7日(2003.8.7)
【出願人】(504286829)
【出願人】(504004256)
【Fターム(参考)】