説明

ICカードの着脱構造

【課題】ICカードを電極への接触なしに、電子機器から容易に取り外すことができるICカードの着脱構造を提供する。
【解決手段】ICカードを着脱部に着脱する構造において、回転運動可能な土台部5と、土台部5に突起として設けられた補助部6とを有し、補助部6は土台部5の回転中心側に摘み補助部7を有し、さらに補助部6における土台部5の回転中心側とは反対側に抑え部8を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に着脱されるメモリカード等のICカードの着脱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、携帯電話等の電子機器に接続するメモリーカード等、様々な種類のICカードが存在している。
【0003】
ICカードの着脱部は、電子機器の外装部または電池等の物品を着脱する物品着脱部に設けられている。ICカードの着脱部が物品着脱部に設けられたときは、外装部に設けたときより、ICカードへの接触阻止、着脱部へのゴミ等の侵入防止等の点で有利である。
【0004】
着脱部からのICカードの抜け防止構造が、特許文献1に開示されている。特許文献1では、ICカード挿入口側の一方のガイド壁にカードストッパーを設けたICカード抜け防止機構付ICカード用コネクタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−50496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ICカードは、薄型化・小型化し続けているため、ICカードを電子機器から取り外す際に手間がかかり、また、電極が設けられているICカードに対して、電極への接触による汚れ、静電気、傷等から保護する必要がある。したがって、これらの課題を解決するICカードの着脱構造が必要である。
【0007】
しかしながら、特許文献1は、ICカードの着脱部からの取外れ防止に関する技術を開示しているだけであり、ICカードの電子機器からの取り外しに関する技術は一切開示していない。
【0008】
本発明の目的は、ICカードを電極への接触なしに、電子機器から容易に取り外すことができるICカードの着脱構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の一態様によれば、ICカードを着脱部に着脱する構造において、運動可能な土台部と、土台部に設けられた補助部とを有し、補助部は摘み補助部を有することを特徴とするICカードの着脱構造が得られる。
【0010】
本発明の別の態様によれば、ICカードを着脱する着脱部を備えた電子機器において、運動可能な土台部と、土台部に設けられた補助部とを有し、補助部は摘み補助部を有することを特徴とする電子機器が得られる。
【0011】
本発明のさらに別の態様によれば、着脱部に装着されたICカードを、抑え部を備えた土台部により、装着状態を維持しておき、土台部を移動させることにより抑え部の装着位置を解除し、装着状態が解除されたICカードを取り外し位置にある摘み補助部に移動させることを特徴とするICカードの取り外し方法が得られる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、ICカードを電極への接触なしに、電子機器から容易に取り外すことができる。これにより、ICカードの取り外しの手間を省くと共に、電極への接触による汚れ、静電気、傷等の発生を防止し、ICカードを保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は本発明の一実施形態を示す携帯電話の正面側の斜視図、(b)は本発明の一実施形態を示す携帯電話の背面側の斜視図である。
【図2】(a)は本発明の一実施形態を示す抑え部が装着位置にある状態の携帯電話の背面側の斜視図、(b)は本発明の一実施形態を示す抑え部が装着位置と取り外し位置の間にある状態の携帯電話の背面側の斜視図、(c)は本発明の一実施形態を示す抑え部が取り外し位置にある状態の携帯電話の背面側の斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態を示す抑え部が取り外し位置にある状態におけるメモリーカードが装着状態から解除された状態の携帯電話の背面側の斜視図である。
【図4】(a)は本発明の一実施形態を示す抑え部が装着位置にある状態の携帯電話の背面図、(b)は図4(a)における切断線A−Aの断面図、(c)は図4(b)におけるBの部分拡大図である。
【図5】(a)は本発明の一実施形態を示す抑え部が取り外し位置にある状態におけるメモリーカードが装着状態から解除された状態の携帯電話の背面図、(b)は図5(a)における切断線C−Cの断面図、(c)は図5(b)におけるDの部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について携帯電話を用いて説明する。
【0015】
図1(a)及び図1(b)に示された携帯電話1は、正面側(図1(a))にディスプレイ部、背面側(図1(b))にICカード以外の物品として、例えば、電池11が着脱される物品着脱部2を備えている。物品着脱部2は、外形が矩形状の区画により形成されている。物品は、電池11に限らず、他の電子媒体又はこれらを搭載させた構造体でもよい。
【0016】
また、図2〜図5に示すように、携帯電話1は、物品着脱部2の一部に、ICカードとして、例えば、メモリーカード12が着脱される着脱部3、及びICカードの着脱構造を有している。ICカードは、本実施形態のメモリーカード12の他、回路が組み込まれているカードであればよい。
【0017】
図示された着脱部3は、物品着脱部2の側面(図では上部側面)に設けられ、矩形状の穴を成している。また、着脱部3の一辺は、物品着脱部2の底面と共有している。図示されたICカードの着脱構造は、物品着脱部2の底面の略中央に位置している。
【0018】
以下、メモリーカード12を携帯電話1から取り外しするためのICカードの着脱構造について説明する。
【0019】
図2(a)〜(c)、図4(a)及び図4(b)に示すように、ICカードの着脱構造は、円運動可能な土台部5と、該土台部5に設けられた補助部6とを有している。図示された土台部5は、略円盤形状を成している。土台部5の上面は、物品着脱部2の底面のうち該土台部5以外の底面と同じ高さであり、同一平面を形成している。
【0020】
土台部5に取り付けられた補助部6は、略三角柱形状を成し、三角柱を挟む2つの側面に垂直な方向における該側面付近の垂直断面は、略直角三角形状を有している(図4の(b)及び(c)参照)。図示された補助部6は、三角形の斜辺部によって構成された摘み補助部7が土台部5の回転中心側を向くように、土台部5の円周付近に設けられている。即ち、摘み補助部7は、土台部5の上面から着脱部3に向かって傾斜した平面形状を有している。
【0021】
また、図4(c)に示すように、補助部6は更に抑え部8を備えている。抑え部8は、物品着脱部2に向かって土台部5に対して垂直に延びた平面によって形成されている。当該抑え部8は土台部5の回転中心側とは反対側に設けられている。
【0022】
図示されたICカードの着脱構造は、土台部5、補助部6、摘み補助部7、抑え部8のうち、複数を一部品とすることにより、部品点数を減らすことができるという利点を有している。さらに、本実施形態では、補助部6に摘み補助部7と抑え部8が一体となっているため、物品着脱部2において省スペースとなるため、スペースを有効に利用することができるという利点を有する。
【0023】
図1〜図5を参照しながら、メモリーカード12を携帯電話1から取り外しする方法を説明する。
【0024】
先ず、図1(b)のように、物品着脱部2から電池11を取り外す。電池11が物品着脱部2に装着されているときは、図1(b)のように、補助部6の回転が電池11に妨害され、土台部5の回転が抑えられる。その結果、抑え部6は装着位置を維持し、メモリーカード12は装着状態に維持され、メモリーカード12の取り外れが防止される。装着位置は、図1(b)、図2(a)、図4(a)〜(c)に示すように、抑え部8の抑えによりメモリーカード12が装着状態に維持される抑え部8の位置である。即ち、抑え部8が装着位置にあるとき、メモリーカード12は着脱部3への装着状態になる。抑え部8は、装着位置にあるとき、メモリーカード12に接触する必要はなく、メモリーカード12が装着状態を維持することができれば接触していなくてもよい。このように、図示されたICカードの着脱構造は、補助部6が土台部5と連動するため、補助部6を抑える機構が不要であるという利点を有する。また、メモリーカード12を使用するとき、つまり、メモリーカード12が着脱部3に装着されているときは、確実にメモリーカード12の取り外れを防止することができるという利点を有する。
【0025】
次に、図2(a)〜(c)のように、土台部5の補助部6を持って土台部5を回転させ、抑え部8を取り外し位置(図2(c))に回転運動させる。取り外し位置は、抑え部8の装着位置以外の位置であって、本実施形態に限らず、任意に選択することができる。
【0026】
続いて、図3のように、メモリーカード12を装着状態から解除し、物品着脱部2の底面にスライドさせる。補助部6のみが、物品着脱部2の底面から突出しているため、メモリーカード12が装着状態から取り外し位置にある摘み補助部7に至るまで、メモリーカード12を物品着脱部2の底面に沿ってスムーズに障害なくスライドさせることができるため、メモリーカード12を摘み補助部7に容易に到達させることができる。
【0027】
続いて、図5(a)〜(c)のように、メモリーカード12を摘み補助部7まで移動させ、最後に、摘み補助部7へ乗せる。この状態では、メモリーカード12は摘み補助部7に部分的に乗り上げ、この結果、摘み補助部7とメモリーカード12との間に空間ができ、未接触部分ができる。この未接触部分によりメモリーカード12が摘み易くなるため、この構造は、メモリーカード12を該メモリーカード12の電極に接触せず容易に取り外すことができるという利点を有する。
【0028】
上記のように、本実施形態では、土台部5の移動により抑え部8を装着位置から解除した後について、土台部5を更に移動させ取り外し位置に移動させ、装着状態を解除されたメモリーカード12を取り外し位置にある摘み補助部7に移動させている。この方法に限らず、例えば、これらは同時に行ってもよく、装着状態が解除されたメモリーカード12を取り外し位置にある摘み補助部7に移動させることができればよい。
【0029】
続いて、メモリーカード12を着脱部3に装着する方法を説明する。
【0030】
図3及び図5(a)のように、メモリーカード12を土台部5に乗せた状態から、土台部5の補助部6を持って土台部5を回転運動させ、抑え部7を装着位置に移動させ、メモリーカード12を装着状態まで導くことにより達成される。このように、メモリーカード12の携帯電話1からの取り外しの際だけでなく、着脱部3への装着の際にも、メモリーカード12を該メモリーカード12の電極に接触せず操作することができるという利点を有する。
【0031】
上記実施形態は、一実施形態にすぎず、例えば、以下に示すような形態でもよい。
【0032】
土台部5は、円運動に限らず、直線運動等またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0033】
土台部5に形成される補助部6は、突起でなく窪みでもよく、この場合、窪みとして補助部6が土台部5に設けられていることとなる。つまり、窪みが摘み補助部7となり、補助部6に抑え部8は存在しないことになる。この場合、補助部6が突起である場合と同様に、摘み補助部7とメモリーカード12との間に空間ができ、未接触部分ができることになる。また、抑え部8は、補助部6が突起である場合においても、形成される必要はない。
【0034】
抑え部8は、補助部6にある必要はなく、土台部5に設けられていてもよく、抑え部8が装着位置にあるときに、メモリーカード12を装着状態に位置させることができればよい。
【0035】
着脱部3及びICカードの着脱構造は、物品着脱部2にある必要はなく、物品着脱部2の外側であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、本実施形態における携帯電話の他、ゲーム機、PDA(Personal Digital Assistant)、パソコン等の様々な電子機器に利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1携帯電話
2物品着脱部
3着脱部
5土台部
6補助部
7摘み補助部
8抑え部
11電池
12メモリーカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICカードを着脱部に着脱する構造において、
運動可能な土台部と、
前記土台部に設けられた補助部とを有し、
前記補助部は摘み補助部を有する
ことを特徴とするICカードの着脱構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記着脱部に装着された前記ICカードを抑える抑え部が、前記土台部又は前記補助部に設けられている
ことを特徴とするICカードの着脱構造。
【請求項3】
請求項1において、
前記土台部は回転運動し、前記補助部は前記土台部からの突起として存在し、
前記摘み補助部は、前記補助部における前記土台部の回転中心側に有し、
前記抑え部は、前記補助部における前記土台部の回転中心側とは反対側に有している
ことを特徴とするICカードの着脱構造。
【請求項4】
請求項1又は2において、前記土台部は回転運動又は直線運動をすること
を特徴とするICカードの着脱構造。
【請求項5】
ICカードを着脱する着脱部を備えた電子機器において、
運動可能な土台部と、
前記土台部に設けられた補助部とを有し、
前記補助部は摘み補助部を有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項5において、
前記着脱部に装着された前記ICカードを抑える抑え部が、前記土台部又は前記補助部に設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項5において、
前記土台部は回転運動し、前記補助部は前記土台部からの突起として存在し、
前記摘み補助部は、前記補助部における前記土台部の回転中心側に有し、
前記抑え部は、前記補助部における前記土台部の回転中心側とは反対側に有している
ことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか一項において、
前記ICカード以外の物品を着脱する物品着脱部を有し、
前記物品を前記物品着脱部に装着したとき、抑え部は装着位置に位置する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれか一項において、
前記着脱部は、前記物品着脱部の底面と共有している
ことを特徴とする電子機器。
【請求項10】
着脱部に装着されたICカードを、抑え部を備えた土台部により、装着状態を維持しておき、前記土台部を移動させることにより前記抑え部の装着位置を解除し、前記装着状態が解除された前記ICカードを取り外し位置にある摘み補助部に移動させる
ことを特徴とするICカードの取り外し方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−154416(P2011−154416A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13756(P2010−13756)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】