説明

ICカードモジュール、ICカード及びそれらの製造方法

【課題】 薄型化でき、その上、パッド上のバンプに、アンテナ線を容易に保持、接続でき、パッドとアンテナ線の接続信頼性を高めた、安価なICカードモジュール、ICカード及びそれらの製造方法を提供すること。
【解決手段】 ICチップ1と、このICチップ1上に形成された電極となるパッド2と、このパッド2上に形成されたAuバンプ4と、このバンプ4に接続されるアンテナ線3とを有するICカードモジュールを、ICチップ1の厚さと同一寸法のコア材5に入れ、ICチップ1との厚さがICカードモジュールの厚さと同一寸法となるようにホットメルト材6を、ICカードモジュールとコア材5の外側に張り合わせる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ICカードモジュール、ICカード及びそれらの製造方法に関し、特に、非接触型のICカードに用いられるICカードモジュールのICチップとアンテナ線(アンテナコイル)の接続構造と接続方法、及びこのICカードモジュールを用いたICカードとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この分野で、技術的に確立され、最も多く用いられる方法は、プリント基板(配線基板)にICチップをマウントし、ボンディング線にてプリント基板上へ接続するCOB法である。このプリント基板上の配線を経由し、アンテナ線接続用の、電極となるパッドとアンテナ線を半田材で接続している。
【0003】一方、別の方法では、ボンディング線によらず、ICチップのパッド上に金(Au)バンプを形成し、フリップチップ技術でプリント基板に接続する方法が用いられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、COB法は、ループ高さが200μmあり、モジュールを薄くできないという欠点があった。
【0005】一方、Auバンプを用いる方法は、バンプ上面の引きちぎり部分の形状が安定せず、また、上面形状が突起状になっていることから、アンテナ線を半田で接続する場合に安定しない欠点があった。
【0006】従って、本発明は、薄型化でき、その上、パッド上のバンプに、アンテナ線を容易に保持、接続でき、パッドとアンテナ線の接続信頼性を高めた、安価なICカードモジュール、ICカード及びそれらの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、ICチップと、該ICチップ上に形成された電極となるパッドと、該パッド上に形成された金バンプと、該バンプに接続されるアンテナ線とを有するICモジュールにおいて、前記バンプは、前記アンテナ線を接続する溝を有するICカードモジュールである。
【0008】また、本発明は、ICチップの電極となるパッド上にボンディング法により金バンプを形成し、該バンプを平坦にした後、該バンプ上に、接続されるアンテナ線の線径と同一で、該アンテナ線の取り付け方向と一致した角度を有する溝を形成し、前記アンテナ線を該溝に、平坦に、前記ICチップから所定の高さにそろえて接続し、その後、前記アンテナと前記バンプに半田を供給し、前記ICチップの下面から加熱して接続するICカードモジュールの製造方法である。
【0009】また、本発明は、上記のICカードモジュールと、該ICカードモジュールを入れるコア材と、前記ICカードモジュールと該コア材の外側に設けられたホットメルト材とを有するICカードであって、前記ICチップの厚さは、前記コア材と同一で、前記ICカードモジュールの厚さは、前記コア材と前記ホットメルト材と同一であるICカードである。
【0010】また、本発明は、上記のICカードモジュールを、前記ICチップの厚さと同一寸法のコア材に収め、前記ICチップとの厚さが前記ICカードモジュールの厚さと同一寸法となるようにホットメルト材を、前記ICカードモジュールと前記コア材の外側に張り合わせたICカードの製造方法である。
【0011】本発明は、ICパッドにアンテナ線を金属結合で接続でき、プリント基板や導電接着剤を使用しないので安価にできる効果がある。また、実装高さが安定することからICカードの厚さを制御でき、薄型のカードの製法に有利である。また、アンテナ線は、仮固定されるので、自動化しやすい。また、アルミニウム(Al)パッドにSn等の材料が接触しないので、接続信頼性は高い。加えて、ICチップは、コア材に収まるので、外圧に強く、さらに、ICカードの平坦性が良好でカードデザイン等の自由度が高くなりその効果は大きい。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図面を参照して具体的に説明する。
【0013】図1に示すように、まず、ICチップ1に、蒸着等でAlやAl合金からなるパッド2を形成した。非接触型のICカードは、アンテナ線が必要であり、パッドとアンテナ線の接続方式で、信頼性とコストが大きく異なる。そのため、ここでは、加工費が最も安価で、信頼性が高く、量産性の良いボンディングバンプ方式でパッド2面にAuバンプ4を形成した。その後、1バンプ当たり20g程度にて面押しして、平坦部分を形成した。この平坦部分にアンテナ線3に使用する線径と同程度のU形状の治具で再度面押しし、溝を形成した。このU形状の面押しは、チップに対するアンテナ線3の取り付け角度と同一にした。この際、U形状の治具は、V形状等でも良い。
【0014】一方、アンテナ線3には、仕様に応じて、30〜150μmのCu線が使用できる。このCu線の表面には、あらかじめSnもしくはSn合金のめっきを施している。めっき厚は、3〜5μmが良い。また、Cu線は、純Cu線でも良い。ここでは、ホイスカー防止のため、Sn−Biめっき線とし、線間絶縁のため、ポリウレタンの薄いコーティングを施したものを使用した。このように薄いコーティングの場合、接続部分は、電気トーチ等で、簡単に除去できる。
【0015】次に、次工程で使用するホットメルト材からなるシート等は、一般に、25μm刻みに材料があることから、ICチップ1上のアンテナ線3の取り付け高さを50μmになるようにバンプ4上のアンテナ線3をゆっくりと押し込んだ。バンプ4、アンテナ線3は、それぞれAu、Cuで、どちらも柔らかく、1バンプ当たりの押し込み加重は25g程度であり、容易に上記の寸法にできた。
【0016】アンテナ線3とバンプ4は、機械的に付着している状態のため、この上面にゴム板等による転写法でPbフリーのSn−Agの半田ペーストを少量付けた後、ICチップ1の下面から250℃で、5〜10秒程度加熱することにより金属接合して、本発明のICモジュールを得た。
【0017】次に、このICモジュールから、図2のICカード11を製作した。図2に示すように、コア材5は、ICチップ1の厚さと同一にした。ホットメルト材6は、アンテナ線3の取り付け高さと同じく、50μmとした。アンテナ線の実装部は、ホットメルト材6からなる層で吸収させた。即ち、この寸法構成で表面層をプラスチックからなるカバー材7で積層するとき、ICチップ1に応力が加わらず、かつ、無駄な空洞もできないため、ICチップ1の割れ、カバー材7の凹みを防止でき、平坦性も良好になる。
【0018】
【発明の効果】本発明によれば、薄型化でき、その上、パッド上のバンプに、アンテナ線を容易に保持、接続でき、パッドとアンテナ線の接続信頼性を高めた、安価なICカードモジュール、ICカード及びそれらの製造方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるICモジュールの説明図。図1(a)は、斜視図。図1(b)は、断面図。
【図2】本発明の実施の形態におけるICカードの説明図。図2(a)は、平面図。図2(b)は、図2(a)のx−x断面図。
【符号の説明】
1 ICチップ
2 パッド
3 アンテナ線
4 (Au)バンプ
5 コア材
6 ホットメルト材
7 カバー材
11 ICカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ICチップと、該ICチップ上に形成された電極となるパッドと、該パッド上に形成された金バンプと、該バンプに接続されるアンテナ線とを有するICモジュールにおいて、前記バンプは、前記アンテナ線を接続する溝を有することを特徴とするICカードモジュール。
【請求項2】 ICチップの電極となるパッド上にボンディング法により金バンプを形成し、該バンプを平坦にした後、該バンプ上に、接続されるアンテナ線の線径と同一で、該アンテナ線の取り付け方向と一致した角度を有する溝を形成し、前記アンテナ線を該溝に、平坦に、前記ICチップから所定の高さにそろえて接続し、その後、前記アンテナと前記バンプに半田を供給し、前記ICチップの下面から加熱して接続することを特徴とするICカードモジュールの製造方法。
【請求項3】 請求項1記載のICカードモジュールと、該ICカードモジュールを入れるコア材と、前記ICカードモジュールと該コア材の外側に設けられたホットメルト材とを有するICカードであって、前記ICチップの厚さは、前記コア材と同一で、前記ICカードモジュールの厚さは、前記コア材と前記ホットメルト材と同一であることを特徴とするICカード。
【請求項4】 請求項1記載のICカードモジュールを、前記ICチップの厚さと同一寸法のコア材に収め、前記ICチップとの厚さが前記ICカードモジュールの厚さと同一寸法となるようにホットメルト材を、前記ICカードモジュールと前記コア材の外側に張り合わせたことを特徴とするICカードの製造方法。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate