説明

ICタグ装着用キャップ

【課題】セグメントその他の各種建設資材にICタグを簡単かつ確実に、しかも取り替え可能に取り付けることのできるICタグ装着用キャップを提供する。
【解決手段】ICタグ装着用キャップ1は、グラウトキャップ4のつまみ部43の先端面431に対応する形状に形成され、内面にICタグ5を保持可能な凹状部20を有する被着部2と、この被着部2の周囲から、つまみ部43の外周面432に対して圧接可能に延び、当該外周面432に対して摩擦係合可能な手段31を有する固定部3とを備え、被着部2の凹状部20内にICタグ5を保持し、つまみ部43に被せ付けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セグメントその他のコンクリート製品を含む各種建設資材の維持管理に使用するICタグを各種建設資材に装着するためのICタグ装着用キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、シールド工法によってトンネルを構築する場合、シールドマシンによって地下に掘削坑を形成しながら、この掘削坑内にセグメントを管状または函状に組み立てていく。セグメントを組み立てた後は、地盤沈下防止などの理由から、セグメントの外周面と掘削坑の壁面との間にセメントミルクやモルタル等の裏込め材を充填注入する。このため、セグメントには通常、厚み方向に、裏込め材を注入するためのグラウト注入孔が設けられる。そして、裏込め材を注入した後、グラウト注入孔にグラウトキャップをねじ締結して閉塞し、グラウト注入孔からの裏込め材の漏出を防止する。このグラウトキャップは通常、雄ネジを有する軸と、この軸の一端に一体的に形成される円形の頭部と、この頭部の先端中央に突出される略矩形の平面形状を有するつまみ部とを備え、頭部のつまみ部により軸を回転操作し、軸の雄ネジをグラウト注入孔の雌ネジに締め込むことによりグラウト注入孔に嵌め付けるようになっている。この種のセグメントは特許文献1などに記載されている。
【0003】
ところで、コンクリート製品は、通常、発注者である管理者の発注に基づいて、製作者により必要な数量だけ製作され、据付者により所定の場所に据え付けられる。そして、その据え付け後は、管理者自らが、コンクリート製品の維持管理を行っている。したがって、個々のコンクリート製品に関して、製作者は自らの製作プロセスを管理してその情報を保有し、据付者は自らの据え付けプロセスを管理してその情報を保有し、管理者は工事全体の基本的な情報や据え付け後の維持管理に関する情報を保有する。このため、コンクリート製品は製作から据え付け後の維持管理に至るまでの各種情報が、製作者、据付者、管理者それぞれに分散され、例えば、据え付け直後に破損したコンクリート製品が発見された場合に、それが製作段階、据え付け段階、又は据え付け後のいずれの段階で破損したのか、あるいは、その製作プロセスや据え付けプロセスに問題がなかったか否かを確認するには、製作者、据付者、管理者それぞれに分散している情報を収集集約して取りまとめることにより必要な情報を得るという煩雑な作業が必要となる。なお、管理者の発注の下に一の施工者が一連の製作及び据え付けを一括して行う場合も同様で、施工者が自らの製作プロセス及び据え付けプロセスを管理してその情報を保有し、管理者は工事全体の基本的な情報や据え付け後の維持管理に関する情報を保有することになるので、コンクリート製品に構造上のトラブルが発生したときに、その原因を追究するには、同様に煩雑な作業が必要になる。そこで、近年、個々のコンクリート製品に関する各種の情報を統合しそのトレーサビリティーを確立して、個々のコンクリート製品に関する種々の情報を基礎資料として製作プロセスや据え付けプロセスの改善などを効率的に行い、また、個々のコンクリート製品ごとの高度な維持管理を効率的に行うため、ICタグを用いたコンクリート製品統合管理システムが提案され、これが特許文献2に記載されている。
【0004】
この文献2の管理システムは、複数のコンクリート製品についての、その個々のコンクリート製品ごとの製作プロセスに関する情報を格納する製作プロセスデータベースを有する製作者端末と、複数のコンクリート製品についての、その個々のコンクリート製品ごとの据え付けプロセスに関する情報を格納する据え付けプロセスデータベースを有する据付者端末と、複数のコンクリート製品についての、その個々のコンクリート製品ごとの据え付け後の維持管理に関する維持管理情報等を格納する管理データベースを有する管理者端末と、これら製作者端末、据付者端末、および管理者端末と接続されるとともに、これらの端末から送信される製作プロセスデータベース、据え付けプロセスデータベース、および管理者データベースのデータに基づいて作成され、各データベースの情報を一括して格納する統合データベースを有する統合管理サーバとを備えて構成される。そして、この管理システムでは、ICタグが採用され、これがコンクリート製品に取り付けられる。なお、この場合、ICタグは透明な防水ケースの中に収納され、これがコンクリート製品の所要の位置に埋設固定される。このように個々のコンクリート製品にICタグを備えることで、このICタグに、個々のコンクリート製品に関する工事基本情報を保持させることができ、また、個々のコンクリート製品に関する製作プロセス情報、据え付けプロセス情報、維持管理情報等を随時書き込むことができ、各種情報を必要に応じて読み出すことができる。そして、この管理システムにおいて、個々のコンクリート製品に関する各種情報を各端末を通じて統合データベースに蓄積することにより、これを必要に応じて読み出すことができる。このようにしてコンクリート製品のトレーサビリティーを確立して、個々のコンクリート製品に関する種々の情報を基礎資料として製作プロセスや据え付けプロセスの改善などを効率的に行うことができ、また、個々のコンクリート製品ごとの高度な維持管理を効率的に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−60489号公報
【特許文献2】特開2006−243918公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、かかる管理システムを例えばシールドトンネルの維持管理などに採用しようとすると、シールドトンネルを構成する多数のセグメントにICタグを取り付ける必要があり、セグメントの製作の段階で、個々のセグメントにICタグを埋設固定しなければならないため、セグメントの製作が煩雑になり、コストが増大するという問題がある。
【0007】
本発明は、このような従来の問題を解決するものであり、セグメントその他のコンクリート製品を含む各種建設資材の一部の部品や形状を利用して、各種建設資材にICタグを簡単かつ確実に、しかも取り替え可能に取り付けることのできるICタグ装着用キャップを提供すること、を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、コンクリート製品を含む各種建設資材に備える凸形形状部又は当該建設資材に形成する凸形形状部を利用して当該建設資材にICタグを装着するICタグ装着用キャップであって、前記凸形形状部の先端面に対応する任意の形状からなり、当該先端面に対向する内面にICタグを包囲保持可能な凹状部を有する被着部と、前記被着部の周囲から前記凸形形状部の外周面を少なくとも相互に対向する2方向から圧接可能に当該外周面に向けて延び、当該外周面に対して摩擦係合可能な手段を有する固定部とを備え、前記被着部内面の凹状部にICタグを嵌合保持して、前記凸形形状部に外側から被せ付ける、ことを要旨とする。
この場合、ICタグ装着用キャップは各部が次のように具体化される。
(1)被着部の凹状部は当該被着部の内面にICタグが嵌合可能な凹部により又はICタグの外周縁を保持可能な枠により構成される。
(2)被着部の凹状部の縁部に当該凹状部の内外を連通する溝が形成される。
(3)摩擦係合可能な手段は、少なくとも固定部が凸形形状部に対して摩擦力の大きい材料により形成され、前記固定部の内側に当該凸形形状部の外周面に接触可能な突状部が一体に形成されて構成される。
【0009】
また、本発明は、シールド工事その他グラウトを伴う各種の建設工事においてグラウト注入孔を塞ぐグラウトキャップの回転操作用のつまみ部を利用してICタグを装着するICタグ装着用キャップであって、前記つまみ部の先端面に対応する任意の形状からなり、当該先端面に対向する内面にICタグを包囲保持可能な凹状部を有する被着部と、前記被着部の周囲から前記つまみ部の外周面を少なくとも相互に対向する2方向から圧接可能に当該外周面に向けて延び、当該外周面に対して摩擦係合可能な手段を有する固定部と、を備え、前記被着部内面の凹状部にICタグを嵌合保持して、前記つまみ部に外側から被せ付ける、ことを要旨とする。
この場合、ICタグ装着用キャップは各部が次のように具体化される。
(1)被着部の凹状部は当該被着部の内面にICタグが嵌合可能な凹部により又はICタグの外周縁を保持可能な枠により構成される。
(2)被着部の凹状部の縁部に当該凹状部の内外を連通する溝が形成される。
(3)摩擦係合可能な手段は、少なくとも固定部がグラウトキャップのつまみ部に対して摩擦力の大きい材料により形成され、前記固定部の内側に当該つまみ部の外周面に接触可能な突状部が一体に形成されて構成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明のICタグ装着用キャップは、上記の構成により、被着部内面の凹状部にICタグを嵌合保持して、例えば、セグメントのグラウト注入孔に装着されるグラウトキャップのつまみ部など、コンクリート製品を含む各種建設資材に備えた凸形形状部又は各種建設資材に形成した凸形形状部に外側から被せ付けるので、セグメントその他のコンクリート製品を含む各種建設資材にICタグを簡単かつ確実に、しかも取り替え可能に取り付けることができる、という顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態におけるICタグ装着用キャップによりICタグをグラウトキャップのつまみ部に取り付けた状態を示す斜視図
【図2】同ICタグ装着用キャップによりICタグをグラウトキャップのつまみ部に取り付ける状態を示す斜視図
【図3】同ICタグ装着用キャップの構成を示す内面側から見た斜視図
【図4】同ICタグ装着用キャップの構成を示す内面側から見た平面図
【図5】同ICタグ装着用キャップにICタグを嵌合保持した状態を示す斜視図
【図6】本発明の他の実施の形態におけるICタグ装着用キャップによりICタグをグラウトキャップのつまみ部に取り付ける状態を示す斜視図
【図7】同ICタグ装着用キャップの構成を示す内面側から見た斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。図1乃至図5にセグメントその他のコンクリート製品の維持管理に使用するICタグをセグメントその他のコンクリート製品に装着するためのICタグ装着用キャップを示している。図1に示すように、ICタグ装着用キャップ1は、セグメントその他のコンクリート製品の一部に備えるグラウトキャップのつまみ部その他の凸形形状部の先端面に対応する任意の形状を有し、当該先端面に被着される被着部2と、この被着部2から当該つまみ部その他の凸形形状部の外周面を少なくとも相互に対向する2方向から圧接可能に当該外周面に向けて延び、当該外周面に摩擦係合可能な固定部3とを一体に備えて構成される。
【0013】
ここでICタグ装着用キャップ1は、特に、シールドトンネルを構成するセグメントに使用するものとして形成され、セグメントに備えるグラウトキャップ4の回転操作用のつまみ部(凸形形状部)43を利用してICタグ5を装着するようになっている。なお、グラウトキャップ4は、雄ネジ40を有する軸41と、この軸41の一端に一体的に形成される円形の頭部42と、この頭部42の先端に突出される略矩形の平面形状を有するつまみ部43とを備え、頭部42のつまみ部43により軸41を回転操作し、軸41の雄ネジ40をグラウト注入孔の雌ネジ(図示省略)に締め込むことによりグラウト注入孔に嵌め付けるようになっている。
【0014】
図2及び図3に示すように、被着部2はつまみ部43の先端面431に対応する略矩形の平面形状からなり、当該先端面431に対向する内面にICタグ5を包囲保持可能な凹状部20を有している。この場合、凹状部20は円形のICタグ5を包囲保持可能に円形の凹部により形成される。またこの場合、この凹状部20の縁部に当該凹状部20の内外を連通する溝21が併せて形成される。
【0015】
図2及び図3に示すように、固定部3は被着部2の周囲の4方向の各縁部から、被着部2の内面側へ略直角に、グラウトキャップ4のつまみ部43の外周面432の4面に対して両側の相互に対向する2方向及び両端の相互に対向する2方向からそれぞれ圧接可能に当該外周面432の各面に向けて延び、その内面に当該外周面432の各面に対して摩擦係合可能な手段31を有している。この場合、外周面432に対して摩擦係合可能な手段31は、固定部3が被着部2と共にグラウトキャップ4のつまみ部43に対して摩擦力の大きい材料、ここでは適宜のプラスチック材料により形成され、固定部3の内側にグラウトキャップ4のつまみ部43の外周面432に接触可能な複数の突状部311、312が固定部3の延びる方向に延び、固定部3の幅方向に並列に一体形成されて構成される。なお、このICタグ装着用キャップ1の場合、図4に示すように、グラウトキャップ4のつまみ部43の外周面432に対して一方の相互に対向する2方向の各固定部3に他方の相互に対向する2方向の各固定部3よりも多くの突状部311、312が形成されて摩擦力が高められている。また、図3に示すように、各固定部3の共通の形状の突状部311の突出端は固定部3側に向けて緩やかな曲線形状になっている。
【0016】
このようにしてICタグ装着用キャップ1は、被着部2の内面の凹状部20にICタグ5が嵌合保持され、図2に示すように、グラウトキャップ4のつまみ部43に外側から被せ付けるようになっている。この場合、図3に示すように、ICタグ5を被着部2の内面の凹状部20に合わせてこのICタグ5を上から少し強く押し込むことで、図5に示すように、ICタグ5は被着部2の凹状部20内に固く嵌め込まれる。そして、図2に示すように、この被着部2の内面をグラウトキャップ4のつまみ部43の先端面431に合わせ、4つの各固定部3をつまみ部43の外周面432に合わせて、全体をつまみ部43に向けて少し強く押し込みことにより、ICタグ装着用キャップ1をつまみ部43上に被せ付ければよい。このとき、ICタグ装着用キャップ1の各固定部3の各突状部311が突出端の曲線形状の案内によりつまみ部43の外周面432上に係合し、各突状部311全体がつまみ部43の外周面432の各面に圧接されると、両者間の摩擦係合により、ICタグ装着用キャップ1がつまみ部43に固く固定される。これにより、図1に示すように、ICタグ5をグラウトキャップ4(セグメント)に簡単かつ確実に装着することができる。また、このようにグラウトキャップ4(セグメント)にICタグ5を取り付けた後、ICタグ5を取り替える必要が生じたときは、ICタグ装着用キャップ1をグラウトキャップ4のつまみ部43から取り外し、被着部2の凹状部20内のICタグ5を取り替えればよい。この場合、つまみ部43からICタグ装着用キャップ1を少し強い力で引張れば、ICタグ装着用キャップ1の各固定部3の各突状部311、312とつまみ部43の外周面432の各面との摩擦係合が解除され、つまみ部43からICタグ装着用キャップ1を簡単に取り外すことができる。そして、被着部2の内面の凹状部20内のICタグ5の下に、凹状部20縁部の溝21を通じて、例えば細い棒材を差し込み、ICタグ5を凹状部20から引き起こすことで、ICタグ5を簡単に取り外すことができる。ICタグ5を取り外したら、新たなICタグを既述のとおり被着部2の内面の凹状部20に嵌め込み、同様にしてこのICタグ装着用キャップ1をグラウトキャップ4のつまみ部43に被せ付ければよい。
【0017】
以上説明したように、このICタグ装着用キャップ1によれば、セグメントに用いるグラウトキャップ4の略矩形状のつまみ部43の先端面431に対応する略矩形の平面形状に形成され、当該先端面431に対向する内面にICタグ5を包囲保持可能な凹状部20を有する被着部2と、この被着部2の周囲に一体に形成され、つまみ部43の外周面432に対して両側の相互に対向する2方向及び両端の相互に対向する2方向から圧接可能に当該外周面432に向けて延び、当該外周面432に対して摩擦係合可能な手段31を有する固定部3とを備え、被着部2の内面の凹状部20にICタグ5を嵌合保持した状態で、グラウトキャップ4のつまみ部43に外側から被せ付けるようにしたので、ICタグ5をグラウトキャップ4(セグメント)に簡単かつ確実に取り付けることができ、また、このICタグ装着用キャップ1をグラウトキャップ4(セグメント)から簡単に取り外して、ICタグ5の取り替えを容易に行うことができる。
【0018】
また、このICタグ装着用キャップ1では、被着部2の凹状部20が当該被着部2の内面にICタグ5が嵌合可能な凹部により形成され、ICタグ5をこの凹状部20に合わせてこのICタグ5を上から少し強く押し込むことで、ICタグ5を凹状部20内に簡単に固く嵌め込むことができる。さらに、この凹状部20には縁部に当該凹状部20の内外を連通する溝21が形成されているので、この溝21を通じて細い棒材を凹状部20内のICタグ5の下に差し込むことで、凹部20内に固く嵌め込まれたICタグ5を簡単に引き起こすことができ、凹状部20から容易に取り外すことができる。
【0019】
さらに、このICタグ装着用キャップ1では、固定部3のつまみ部43に対する摩擦係合可能な手段31が、固定部3が被着部2と共につまみ部43に対して摩擦力の大きい材料により形成され、固定部3の内側に当該つまみ部43の外周面432に接触可能な複数の突状部311、312が一体に形成されて構成されるので、簡易な構造でありながら、ICタグ装着用キャップ1とつまみ部43とを確実に固定することができる。
【0020】
なお、この実施の形態では、被着部2の凹状部20は被着部2の内面にICタグ5が嵌合可能な凹部により形成されているが、ICタグ5の外周縁を保持可能な枠により形成されてもよい。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0021】
また、この実施の形態では、固定部3のつまみ部43に対して摩擦係合可能な手段31は、固定部3が被着部2と共にグラウトキャップ4のつまみ部43に対して摩擦力の大きい材料により形成され、固定部3の内側につまみ部43の外周面432に接触可能な複数の突状部311、312が一体に形成されて構成されているが、少なくとも固定部3のみがつまみ部43に対して摩擦力の大きい材料により形成され、固定部3の内側につまみ部43の外周面432に接触可能な複数の突状部311、312が一体に形成されて構成されてもよい。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0022】
さらに、この実施の形態では、ICタグ装着用キャップ1が固定部3の突状部311、312とつまみ部43の外周面432との摩擦係合のみにより固定されているが、この摩擦係合手段31のほかに、又はこの摩擦係合手段31に代えて、図6及び図7に示すように、固定部3(の内面、この場合、突状部312)又はつまみ部43(の外周面432)のいずれか一方に係止凸起6が設けられ、他方に係止溝7又は係止穴が設けられて、固定部3とつまみ部43が係止凸起6と係止溝7又は係止穴との係合により固定されるようにしてもよい。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。なお、この場合、グラウトキャップ4側に多少の加工が必要となるため、その分だけコストが増加するが、ICタグ装着用キャップ1とつまみ部43とのより確実な固定状態が得られる利点がある。
【0023】
また、この実施の形態では、コンクリート製品としてシールド工事に用いるセグメントが例示されているが、この種のセグメントには、鉄筋コンクリート(RC)セグメント(プレキャストセグメント)、鋼製セグメント、鋳鉄(ダクタイル)セグメント、合成セグメント(外面を鋼殻で覆い、その中にコンクリートを充填して一体化させたもの)の4種類があり、いずれのセグメントにおいても、トンネル裏込め材を注入するための孔が形成されて、そこにグラウトキャップが装着されるため、ICタグ装着用キャップはいずれのセグメントにも同様に適用することができる。また、セグメントの他に、コンクリート製品という観点では、PC(プレストレスト・コンクリート)橋があり、このPC橋の場合、鋼材を挿入する孔にグラウト注入することがあり、その孔の蓋としてグラウトキャップが用いられる。ICタグ装着用キャップはこのようなPC橋に使用されるグラウトキャップにも同様に適用することができる。さらに、グラウトキャップという観点では、トンネル(山岳・都市シールド)工事、ダム工事、地滑り対策工事などグラウトを伴う各種の工事にグラウトキャップが使用される。例えば、トンネル工事では、ロックボルトの定着、地山と覆工の隙間の充填に、ダム工事では、ダム本体や左右岩における漏水対策、遮水対策の目的で、地滑り対策工事では、杭の周囲と地盤、アンカーの周囲と地盤との密着に、グラウトが幅広く使用される。このような工事では、グラウト注入孔を塞ぐために、グラウトキャップが必ず装着される。ICタグ装着用キャップはこのようなグラウトを伴う各種の工事においてグラウト注入孔を塞ぐグラウトキャップにも同様に適用することができる。
【0024】
またさらに、この実施の形態では、ICタグ装着用キャップがグラウトキャップの回転操作用のつまみ部を利用して取り付けられる形式として例示されているが、コンクリート製品を含む各種建設資材に例えばグラウトキャップのつまみ部に代わる凸形形状部を備えていれば、又はこのような凸形形状部を形成することで、このICタグ装着用キャップを、当該凸形形状部を利用して取り付けることができる。なお、この場合、当該凸形形状部の外形に応じてICタグ装着用キャップ全体の形状が変わる場合がある。また、この場合でも、被着部の凹状部は当該被着部の内面にICタグが嵌合可能な凹部により又はICタグの外周縁を保持可能な枠により構成されることが好ましく、被着部の凹状部の縁部に当該凹状部の内外を連通する溝が形成されることが好ましい。さらに、摩擦係合可能な手段は、少なくとも固定部が凸形形状部に対して摩擦力の大きい材料により形成され、固定部の内側に当該凸形形状部の外周面に接触可能な(複数の)突状部が一体に形成されて構成されることが好ましい。またさらに、上記と同様に、固定部と凸形形状部が係止凸起と係止溝又は係止穴との係合により固定されるようにしてもよいことは勿論である。このようにしても上記実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0025】
1 ICタグ装着用キャップ
2 被着部
20 凹状部
21 溝
3 固定部
31 摩擦係合可能な手段
311、312 突状部
4 グラウトキャップ
40 雄ネジ
41 軸
42 頭部
43 つまみ部
431 先端面
432 外周面
5 ICタグ
6 係止凸起
7 係止溝(又は係止穴)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート製品を含む各種建設資材に備える凸形形状部又は当該建設資材に形成する凸形形状部を利用して当該建設資材にICタグを装着するICタグ装着用キャップであって、
前記凸形形状部の先端面に対応する任意の形状からなり、当該先端面に対向する内面にICタグを包囲保持可能な凹状部を有する被着部と、
前記被着部の周囲から前記凸形形状部の外周面を少なくとも相互に対向する2方向から圧接可能に当該外周面に向けて延び、当該外周面に対して摩擦係合可能な手段を有する固定部と、
を備え、
前記被着部内面の凹状部にICタグを嵌合保持して、前記凸形形状部に外側から被せ付ける、
ことを特徴とするICタグ装着用キャップ。
【請求項2】
シールド工事その他グラウトを伴う各種の建設工事においてグラウト注入孔を塞ぐグラウトキャップの回転操作用のつまみ部を利用してICタグを装着するICタグ装着用キャップであって、
前記つまみ部の先端面に対応する任意の形状からなり、当該先端面に対向する内面にICタグを包囲保持可能な凹状部を有する被着部と、
前記被着部の周囲から前記つまみ部の外周面を少なくとも相互に対向する2方向から圧接可能に当該外周面に向けて延び、当該外周面に対して摩擦係合可能な手段を有する固定部と、
を備え、
前記被着部内面の凹状部にICタグを嵌合保持して、前記つまみ部に外側から被せ付ける、
ことを特徴とするICタグ装着用キャップ。
【請求項3】
被着部の凹状部は当該被着部の内面にICタグが嵌合可能な凹部により又はICタグの外周縁を保持可能な枠により構成される請求項1又は2に記載のICタグ装着用キャップ。
【請求項4】
被着部の凹状部の縁部に当該凹状部の内外を連通する溝が形成される請求項1乃至3のいずれかに記載のICタグ装着用キャップ。
【請求項5】
摩擦係合可能な手段は、少なくとも固定部が凸形形状部又はグラウトキャップのつまみ部に対して摩擦力の大きい材料により形成され、前記固定部の内側に当該凸形形状部又は当該つまみ部の外周面に接触可能な突状部が一体に形成されて構成される請求項1乃至4のいずれかに記載のICタグ装着用キャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−84885(P2011−84885A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−236827(P2009−236827)
【出願日】平成21年10月14日(2009.10.14)
【出願人】(303057365)株式会社間組 (138)
【Fターム(参考)】