説明

L字形断面の管接合用ゴム輪

〔課題〕比較的低圧の管のゴム輪使用の接合において、外圧及び内圧に対し水密性の高いL字形断面のゴム輪を使用するものである。
〔解決手段〕管又は管接手のゴム輪用受口と、他の管のゴム輪取付用差口との間に介在して使用する管接合用ゴム輪において、差口外周部11に密接して装着できうる円筒状本体14と、その差口端面部12に引っかかる形状をもつ鍔部16とより成る、L字形断面の管接合用ゴム輪13の構造。

【考案の詳細な説明】
〔考案の属する技術分野〕
この考案は比較的低圧の管のゴム輪使用の接合に広く使用できうる。
〔従来の技術〕
ゴム輪を使用して接合する管及び管接手の構造において、低圧用で且、外径の寸法をあまり大きく出来ない場合はゴム輪の厚みも薄くしなければならない。例えば下水排水用管等の接合の場合である。このときゴム輪の収納には2ッの方法がある。〔図1〕は管端外周に比較的浅いゴム輪用溝2を設け、ここにゴム輪3を収納した構造、そして〔図2〕は管端又は管接手の受口内面に比較的浅いゴム輪用溝6を設け、ここにゴム輪7を収納した構造の接合方法が一般的である。
〔考案が解決しようとする課題〕
〔図1〕に示すとおりゴム輪3をゴム輪溝2に収納した管1を管接手の受口4に向かって押し進めたとき、ゴム輪3の肩先が管接手の受口4の端面により押され軸方向に後退し、盛上って挿入が困難になる。従ってゴム輪3の厚みを増して圧縮代を取ることにより水密性を上げることは困難である。又〔図2〕に示すようにゴム輪を管端又は管接手内面のゴム輪用溝6にゴム輪7を収納し、これに向い管の差口8を押し進めた場合も〔図1〕と同様にゴム輪7の肩先が差口8の端面により押され、ゴム輪は後退するか、脱落するため、充分なゴム輪の圧縮代を取ることは不可能である。以上いずれの構造でもゴム輪の厚さが薄いときは充分な水密性を保持することが困難である。
〔課題を解決するための手段〕
従来のように管端外周に又は管端又は管接手の内面に矩形型のゴム輪用溝を設けて、ここにゴム輪を収納する方法を取りやめ、〔図3〕に示すように管9の差口外周部11に密接して装着できうる円筒状本体14と差口端面部12に引っかかる形状をもつ鍔部16とより成るL字形断面の管接合用ゴム輪13を管9の差口外周部11に取付け、これをゴム輪用受口10に押込挿入することにより管を接合する方法をとる。
〔考案の実施の形態〕
本考案のゴム輪13の形状をその鍔部16が管の差口端面部12に引っかかるL字形断面としたため、これを、ゴム輪用受口10に挿入するとき、ゴム輪13の円筒状本体14が伸びて薄肉となり、又この円筒状本体14の山形状突起15が押し倒されて容易に挿入出来る。そして挿入後、ゴム輪は原形に戻ろうとして軸方向に縮み、肉厚が増加し山形状突起15も立上って、完全に水密を保持することが出来る。特に本案ゴム輪13を下水管に採用したとき、外部よりの管内への漏水を完全に阻止することが出来る。又、押込挿入時ゴム輪の円筒状本体14は引き伸ばされ、挿入後は元の厚みに戻ろうとして、ゴム輪用受口10と差口外周部11の間を、強く押圧しているため、内圧に対しても充分水密を保持することが出来る。
〔実施例〕
L字形断面のゴム輪13を管9のゴム輪用差口端面部12に確実に引っかけるためには〔図3〕に示すとおりゴム輪13の鍔部16を金属網又は繊維等17で補強するか、鍔部16のゴムの硬度を高くするか、又は端面部12に接着固定する。〔図4〕は本考案のゴム輪13を下水推進管18の接合に使用した場合であって、図の左半分は接合用カラー19にL字形断面のゴム輪13を装着した管18を挿入接合した後の断面図、右半分はこれから挿入接合しようとする場合の断面図である。この下水推進管の場合は接合用カラー19の外径は管外径より大きくならないことが望ましい。従って接合用カラー19は薄肉の耐蝕性金属を使用することが多いが、ゴム輪13の厚さも薄くして、ゴム輪用差口11形成のための管肉の旋削代を出来るだけ少なくする必要がある。本案のゴム輪13は接合用カラー19に押込む場合にゴム輪の円筒状本体14が伸びて薄肉となり、挿入後はゴムは原形に戻ろうとして縮み肉厚を増加させるため、ゴム輪の円筒状本体14の厚さを薄くしても、充分水密を保持することが出来る。
〔考案の効果〕
本案のL字形断面の管接合用ゴム輪13を使用することによりゴム輪の円筒状本体14の肉厚を薄くしても充分水密性を上げることが出来る。そして下水排水管接手に使用する場合には起り易い管外部よりの漏水を完全に防ぐことが出来る。又、下水推進管の接手に使用するときはゴム輪13の肉厚を薄く出来うるため、ゴム輪用差口11形成のための管肉の旋削代を少なく出来るため管肉を厚く残すことが出来るので薄い肉厚の管材を採用でき、経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 管端外周にゴム輪を設けた従来の接合方法の断面図
【図2】 管端受口内面にゴム輪を設けた従来の接合方法の断面図
【図3】 本考案のゴム輪を使用した接合方法の断面図
【図4】 本考案のゴム輪を使用した下水推進管の断面図
【符号の説明】
1……管端外周ゴム輪をもつ従来の管、2……同左のゴム輪用溝
3……同上のゴム輪、4……同左の管の受口
5……管端受口ゴム輪をもつ従来の管、6……同左のゴム輪用溝
7……同上のゴム輪、8……同左の管の差口
9……本考案の管、10……同左のゴム輪用受口
11……同上の差口外周部、12……同左の差口端面部
13……L字形断面のゴム輪、14……同左の円筒状本体
15……同上の山形状突起、16……同左の鍔部
17……鍔部16内の補強、18……本考案の下水推進管
19……下水推進管の接合用カラー

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】管又は管接手のゴム輪用受口と、他の管のゴム輪取付用差口との間に介在して使用する管接合用ゴム輪において、差口外周部11に密接して装着できうる円筒状本体14と、その差口端面部12に引っかかる形状をもつ鍔部16とより成る、L字形断面の管接合用ゴム輪13の構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【登録番号】実用新案登録第3075515号(U3075515)
【登録日】平成12年11月29日(2000.11.29)
【発行日】平成13年2月23日(2001.2.23)
【考案の名称】L字形断面の管接合用ゴム輪
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願2000−5740(U2000−5740)
【出願日】平成12年7月4日(2000.7.4)
【出願人】(000203896)