説明

LEDランプ

【課題】LEDを光源とし、蛍光ランプの代替として利用するLEDランプにおいて、回路を構成する複数の電源部品をLEDと重ならないように効率よく配置し、非発光領域を少なくする。
【解決手段】本発明のLEDランプAは、複数のLEDモジュール2が実装された光源基板1と、複数の電源部品5が実装された電源基板4と、光源基板1および電源基板4を収容するための円形断面を有する管状のケース6と、を備え、複数の電源部品5は、電源基板4の両面(上面4aおよび下面4b)に実装されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを光源とし、蛍光ランプの代替として利用するのに適したLEDランプに関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来のLEDランプの一例を断面図で示している(たとえば特許文献1参照)。同図に示されたLEDランプXは、長矩形状の基板91と、基板91上に実装された複数のLED92と、基板91を収容する管93と、端子94と、LED92を点灯させるための回路95とを備えている。基板91上には複数のLED92および端子94に接続される図示しない配線が形成されている。このLEDランプXは、端子94を一般用蛍光灯照明器具のソケットの差込口に嵌合させることにより、複数のLED92を発光させることができるように構成されている。LED92は、低消費電力であるとともに長寿命であることから、LEDランプXを蛍光ランプの代替として利用すれば、コスト面および環境面において改善が期待できる。なお、一般用蛍光灯照明器具とは、主に屋内の一般照明に広く用いられる照明器具であり、たとえば日本国内においては、商用100V電源を用い、JIS C7617に定められた直管形蛍光ランプまたはJIS C7618に定められた環形蛍光ランプが取り付けられる照明器具をいう。
【0003】
上記従来のLEDランプXにおいては、基板91に実装される回路95は、商用電源から供給される交流を直流に変換し、定電流としてLEDに供給するためのものであり、複数の電源部品を含んで構成されている。したがって、かかる構成の回路95は、好ましくは、電力供給部である端子94の近傍、すなわち、LEDランプXの両端近傍に設けられる。
【0004】
その一方、回路95は、基板91の裏側の面(複数のLED92が実装された面とは反対側の面)に実装されている。LED91で発せられた熱の影響を考慮すると、回路95を構成する複数の電源部品は、図4のようにLED91と重なる位置に配置するのではなく、LED91と重ならないように基板91の長手方向にずらして当該長手方向の両端部に配置するのが好ましい。しかしながら、上記複数の電源部品をLED92と重ならないように配置すると、基板91の両端部近傍にはLED92を配置することができない。その結果、LEDランプXにおける非発光領域が増大することになり、好ましくない。
【0005】
【特許文献1】実開平6−54103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、LEDを光源とし、蛍光ランプの代替として利用するLEDランプにおいて、回路を構成する複数の電源部品をLEDと重ならないように効率よく配置し、非発光領域を少なくすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によって提供されるLEDランプは、複数のLEDが実装された第1の基板と、複数の電源部品が実装された第2の基板と、上記第1および第2の基板を収容するための円形断面を有する管状のケースと、を備え、上記複数の電源部品は、上記第2の基板の両面に実装されていることを特徴としている。
【0008】
このような構成によれば、複数の電源部品が第2の基板の両面に実装されることから、第2の基板の一方の面にだけ電源部品が実装される場合に比べて電源部品の実装効率が高まり、第2の基板の占有面積を小さくすることができる。したがって、第2の基板について、ケースの中心軸に沿う長手方向の寸法を小さくすることができる。その結果、上記構成のLEDランプにおいては、非発光領域を小さくすることができる。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1の基板と上記第2の基板とは、基板の厚さ方向に間隔を隔てて配置されており、上記第1の基板は、上記ケースの中心軸から半径方向に偏倚した位置にあり、上記第2の基板は、上記第1の基板よりも上記中心軸寄りに位置している。
【0010】
このように第2の基板が第1の基板よりもケースの中心軸寄りに位置していれば、第2の基板について、ケースの中心軸に直角である幅方向の寸法を、第1の基板よりも大きく確保することができる。したがって、第2の基板について一定の占有面積を確保する場合において、ケースの中心軸に沿う長手方向の寸法を小さくすることができる。このことは、LEDランプにおける非発光領域をより小さくするうえで好適である。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1の基板は、上記ケースの中心軸に対して上記複数のLEDの実装面とは反対側に偏倚した位置にある。
【0012】
このような構成によれば、LEDから出射された光がケースを介して外部に照射されるときには、その照射光は、ケースの中心軸に対する周方向において180°を超える角度範囲に照射される。したがって、たとえば第1の基板がケースの中心軸に沿って配置される場合に比べ、ケースから照射される照射光の角度範囲を大きくすることができ、LEDランプによる照射範囲を実質的に拡大することができる。このことは、LEDランプにおける非発光領域を小さくするのに資する。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記ケースの中心軸と平行に延びる放熱部材と、この放熱部材の両端に取り付けられた一対の口金とをさらに備えており、上記第1の基板は、上記放熱部材上に積層配置される一方、上記第2の基板は、上記放熱部材に対して離間して配置されている。
【0014】
このような構成によれば、複数のLEDが実装された第1の基板が放熱部材上に積層配置されているため、LEDの点灯時に発生する熱を、放熱部材を介して外部に効果的に逃がすことができ、LEDの劣化を防止することができる。また、放熱部材は、ケースの長手方向のほぼ全体に沿って延びていることから、LEDランプの構造材として機能し得る。したがって、かかる構成によれば、LEDランプにおいて適度な剛性を確保することができる。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第2の基板は、上記放熱部材に支持されている。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記複数の電源部品には、交流を直流に変換するAC/DCコンバータが含まれている。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記ケースは直管状とされており、かつ、このケースには、上記ケースの中心軸に平行な面内において対をなすようにして内側に突出する突出片が一体形成されており、上記第1の基板は、上記突出片によって上記ケースに対する半径方向の移動が規制される。
【0018】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0020】
図1〜図3は、本発明に係るLEDランプの一例を示している。本実施形態のLEDランプAは、光源基板1と、複数のLEDモジュール2と、放熱部材3と、電源基板4と、複数の電源部品5と、ケース6と、一対の口金7とを備えており、たとえば直管形蛍光ランプの代替として一般用蛍光灯照明器具に取り付けて用いられる。
【0021】
光源基板1は、たとえばガラスエポキシ樹脂製であり、長矩形状に形成されている。光源基板1の表面の適所には、図示しない配線が形成されている。光源基板1は、後述する放熱部材3上に積層配置されており、たとえばネジなどを用いて放熱部材3に取り付けられている。
【0022】
複数のLEDモジュール2は、LEDランプAの光源であり、光源基板1の上面1aに実装されている。これらLEDモジュール2は、光源基板1の長手方向に沿って所定間隔を隔てて並ぶように配置されており、たとえば図示しない配線によって直列につながれている。LEDモジュール2としては、たとえば表面実装用のパッケージ型に構成された白色LEDが好適に用いられる。
【0023】
放熱部材3は、たとえばAlからなり、光源基板1の長手方向に沿って延びる細長ブロック状とされている。図3によく表れているように、放熱部材3の表面には複数の凹部31が形成されており、凹凸を有する形状となっている。凹部31は、光源基板1の長手方向に沿って放熱部材3のほぼ全長にわたって形成されている。これらの凹部31は、放熱部材3を形成する際に用いる金型に凸部を設けることによって形成することができる。
【0024】
電源基板4は、たとえばガラスエポキシ樹脂製であり、長矩形状に形成されている。電源基板4の表面の適所には、図示しない配線が形成されている。電源基板4は、複数の金属製のリード41よって光源基板1に取り付けられている。複数のリード41は、たとえば、一方の端部が電源基板4の長手方向両端部に対してハンダ付けによって固定されており、他方の端部が光源基板1の上面1aに設けられた図示しないパッドにハンダ付けされている。これにより、電源基板4は、光源基板1ないし放熱部材3に対して離間して配置されている。なお、光源基板1の配線と電源基板4の配線とは、リード41を介して電気的導通が図られている。
【0025】
複数の電源部品5は、LEDモジュール2を点灯させるための電源回路として機能するものであり、電源基板4の両面(上面4aおよび下面4b)に実装されている。複数の電源部品5は、AC/DCコンバータ51と、コンデンサや抵抗器などの他の機能部品52とを含み、商用電源から供給される交流を直流定電流に変換してLEDモジュール2に供給するように構成されたものである。AC/DCコンバータ51は、電源基板4に実装される他の部品に比べて、空間に占めるサイズが大きい。
【0026】
ケース6は、光源基板1、放熱部材3、および電源基板4を収容するためのものであり、図3によく表れているように、円形断面を有する直管状の円筒形とされている。ケース6の内面には、内側に突出させられた一対の突出片61が一体形成されている。これら突出片61は、それぞれ、ケース6の中心軸O1から下方(半径方向)に偏倚し、かつ当該中心軸O1に平行な面内において突出しているとともに、上記中心軸O1に沿う方向に延びている。このような構成のケース6は、たとえばポリカーボネートなどの合成樹脂からなり、押出成形によって一体形成される。
【0027】
光源基板1および放熱部材3については、図3における突出片61の下方に収容することができるように、光源基板1ないし放熱部材3の幅寸法、および放熱部材3の上下方向の寸法が規定されている。図3に表された収容状態において、光源基板1は、上面1aが突出片61と当接することによってケース6に対する上記中心軸O1に垂直な方向(図中上方向)の移動が規制されており、また、放熱部材3の下部は、ケース6の下部内面に当接している。
【0028】
ここで、光源基板1は、ケース6の中心軸O1から上面1aとは反対側に偏倚した位置にあり、電源基板4は、ケース6の中心軸O1近傍に位置している。このように、電源基板4が光源基板1よりも中心軸O1寄りに位置していることから、電源基板4の幅寸法を、光源基板1の幅寸法よりも大とすることができる。光源基板1、放熱部材3、および電源基板4のケース6内への収容は、突出片61の下方において、光源基板1および放熱部材3をスライドさせながらケース6内に挿入することにより行う。
【0029】
一対の口金7は、蛍光灯照明器具のソケットに装着することにより、商用交流電源から電力供給するためのものである。図2に表れているように、口金7は、有底円筒状のカバー体71と、カバー体71の中空部に収容保持された樹脂ブロック72と、2本の端子73とを備えている。樹脂ブロック72には凹部72aが形成されており、この凹部72aに放熱部材3の長手方向端部を嵌挿することにより、口金7は放熱部材3に取り付けられている。これにより、LEDランプAにおいて、放熱部材3は、一対の口金7によって支持された状態となっている。
【0030】
カバー体71と樹脂ブロック72との間には部分円筒状の隙間が設けられており、口金7が放熱部材3に取り付けられた状態において、ケース6の長手方向両端部が上記隙間に挿入されている。ここで、図2に表れているように、ケース6の長手方向の先端縁6aと樹脂ブロック72の端縁72bとの間には、隙間が設けられている。端子73は、カバー体71および樹脂ブロック72に貫通する状態で設けられている。端子73の一端部(外側の端部)は、蛍光灯照明器具の上記ソケットの差込口に嵌合される部分であり、端子73の他端部は、光源基板1の配線との間で電気的導通が図られている。
【0031】
次に、上記構成のLEDランプAの作用について説明する。
【0032】
LEDランプAを使用する際には、口金7の端子73を蛍光灯照明器具のソケットの差込口に嵌合させたうえで電力を供給することにより、LEDモジュール2を発光させることができる。
【0033】
本実施形態においては、複数の電源部品5が電源基板4の両面(上面4aおよび下面4b)に実装されることから、たとえば電源基板4の上面4aにだけ電源部品5が実装される場合に比べて電源部品5の実装効率が高まり、電源基板4の占有面積を小さくすることができる。したがって、電源基板4について、ケース6の中心軸O1に沿う長手方向の寸法を小さくすることができる。その結果、LEDランプAにおいては、非発光領域を小さくすることができる。
【0034】
光源基板1は、ケース6の中心軸O1から上面1a(LEDモジュール2の実装面)とは反対側に偏倚した位置にあるので、LEDモジュール2から出射された光がケース6を介して外部に照射されるときには、その照射光は、ケース6の中心軸O1に対する周方向において180°を超える角度範囲に照射される。したがって、たとえば光源基板1がケース6の中心軸O1に沿って配置される場合に比べ、ケース6から照射される照射光の角度範囲を大きくすることができ、LEDランプAによる照射範囲を実質的に拡大することができる。このことは、LEDランプAにおける非発光領域を小さくするのに資する。
【0035】
その一方、電源基板4は、光源基板1よりもケース6の中心軸O1寄りに位置している。このため、電源基板4について、ケース6の中心軸O1に直角である幅方向の寸法を、光源基板1の幅寸法よりも大きく確保することができる。したがって、電源基板4について一定の占有面積を確保する場合において、ケース6の中心軸O1に沿う長手方向の寸法を小さくすることができる。このことは、LEDランプAにおける非発光領域をより小さくするうえで好適である。
【0036】
本実施形態では、光源基板1が放熱部材3上に積層配置されている。このため、LEDモジュール2の点灯時に発生する熱を、放熱部材3を介して外部に効果的に逃がすことができ、LEDモジュール2の劣化を防止することができる。また、放熱部材3は、ケース6の長手方向のほぼ全体に沿って延びていることから、LEDランプAの構造材として機能し得る。したがって、このような放熱部材3を備える構成によれば、LEDランプAにおいて適度な剛性を確保することができる。
【0037】
電源基板4は、光源基板1を介して放熱部材3に支持されている。すなわち、電源基板4は、構造材として機能し得る放熱部材3によって安定状態で支持されており、ケース6内の所望の位置に配置することができる。
【0038】
本実施形態において、LEDランプAの電源回路として機能する複数の電源部品5には、AC/DCコンバータ51が含まれている。このため、LEDモジュール2に供給する直流定電流を簡単に作り出すことができ、電源回路の構成の簡素化を図ることができる。また、AC/DCコンバータ51は空間に占めるサイズが比較的に大きいが、電源基板4が光源基板1に対してケース6の中心軸O1寄りに離間して配置されているため、電源基板4に実装されたAC/DCコンバータ51を、ケース6と干渉することなく当該ケース6内に収容することができる。
【0039】
上述のように、ケース6の内側には対をなす突出片61が設けられており、これら突出片61が光源基板1の幅方向の両端において上面1aと当接することによって、ケース6に対してケース6の中心軸O1に垂直な方向(ケース6の半径方向)の移動が規制される。これにより、LEDランプAの組み立て時には、ケース6内に光源基板1を挿入するだけで、ケース6に対する光源基板1の相対的な位置決めを図ることができる。したがって、LEDランプAの組み立て作業を容易に行うことができる。
【0040】
本発明に係るLEDランプは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係るLEDランプの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係るLEDランプの一例を示す斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿う要部断面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿う拡大断面図である。
【図4】従来のLEDランプの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0042】
A LEDランプ
O1 (ケースの)中心軸
1 光源基板(第1の基板)
2 LEDモジュール(LED)
3 放熱部材
4 電源基板(第2の基板)
5 電源部品
6 ケース
7 口金
1a 上面(LEDの実装面)
4a (第2の基板の)上面
4b (第2の基板の)下面
41 リード
51 AC/DCコンバータ
61 突出片
71 カバー体
72 樹脂ブロック
73 端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLEDが実装された第1の基板と、複数の電源部品が実装された第2の基板と、上記第1および第2の基板を収容するための円形断面を有する管状のケースと、を備え、
上記複数の電源部品は、上記第2の基板の両面に実装されていることを特徴とする、LEDランプ。
【請求項2】
上記第1の基板と上記第2の基板とは、基板の厚さ方向に間隔を隔てて配置されており、
上記第1の基板は、上記ケースの中心軸から半径方向に偏倚した位置にあり、
上記第2の基板は、上記第1の基板よりも上記中心軸寄りに位置している、請求項1に記載のLEDランプ。
【請求項3】
上記第1の基板は、上記ケースの中心軸に対して上記複数のLEDの実装面とは反対側に偏倚した位置にある、請求項2に記載のLEDランプ。
【請求項4】
上記ケースの中心軸と平行に延びる放熱部材と、この放熱部材の両端に取り付けられた一対の口金とをさらに備えており、
上記第1の基板は、上記放熱部材上に積層配置される一方、上記第2の基板は、上記放熱部材に対して離間して配置されている、請求項1に記載のLEDランプ。
【請求項5】
上記第2の基板は、上記放熱部材に支持されている、請求項4に記載のLEDランプ。
【請求項6】
上記複数の電源部品には、交流を直流に変換するAC/DCコンバータが含まれている、請求項1ないし5のいずれかに記載のLEDランプ。
【請求項7】
上記ケースは直管状とされており、かつ、このケースには、上記ケースの中心軸に平行な面内において対をなすようにして内側に突出する突出片が一体形成されており、
上記第1の基板は、上記突出片によって上記ケースに対する半径方向の移動が規制される、請求項1ないし6のいずれかに記載のLEDランプ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−123358(P2010−123358A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295112(P2008−295112)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】