説明

LED照明パネル

【課題】 エッジライト方式でありながら、1.2mを超える大型化を実現できるようにしたLED照明パネルを提供する。
【解決手段】 光の放射方向に積層され、光伝搬方向に対して光が所定の強さ以下に減衰する距離を超える長さを有する複数の導光板(11,12)と、複数の各導光板の光伝搬方向の端面に設けられ、導光板内部に光を導入する複数のLED(15,16)と、複数の各導光板背面側の相互に異なる領域に設けられ、導入された光が光伝搬方向に対して所定の強さ以下に減衰する距離より短い長さを有し、伝搬する光を前方に反射する複数の反射シート部(17,18) と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLED照明パネルに関し、特にエッジライト方式でありながら、光が所定の強さ以下に減衰する距離を超える寸法の大型化を実現できるようにしたパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、消費電力が少なく、しかも耐久性に優れた高輝度LEDが実用化されるに至ったことから、電飾パネル、非常灯、案内灯、標識などの照明パネルの光源に高輝度LEDを採用し、省エネやメンテナンスフリー化を図ることが行われている。
【0003】
従来、この種のLED照明パネルでは導光板背後にベースを設け、ベースに複数のLEDを縦横に配置し、導光板の背後から光を照射するバックライト方式が採用されていた(特許文献1)。しかし、バックライト方式では大型の照明パネルを製作しようとすると、必要なLEDの数が膨大になってコスト高を招来し、しかも厚みが大きくなってまう。
【0004】
また、導光板の端面にLEDを設け、側方から導光板内部に光を導入して導光板内部を伝搬させ、その際に導光板背面の反射部によって光を前方に反射するという、エッジライト方式が開発され実用化されている(特許文献2、特許文献3)。
【0005】
【特許文献1】特開2008−107745号公報
【特許文献2】特開2007−073206号公報
【特許文献3】特開2007−163663号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
エッジライト方式の照明パネルでは、厚みが薄く、しかも必要なLEDの数を少なくできるという利点があるが、導光板を伝搬中に光が減衰するので、高輝度LEDを使用しても、パネル長さはせいぜい1.2mまでであり、大型化が難しいという問題があった。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑み、エッジライト方式でありながら、1.2mを超える大型化を実現できるようにしたLED照明パネルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明に係るLED照明パネルは、光の放射方向に積層され、光伝搬方向に対して光が所定の強さ以下に減衰する距離を超える長さを有する複数の導光板と、該複数の各導光板の光伝搬方向の端面に設けられ、上記導光板内部に光を入射する複数のLEDと、上記複数の各導光板背面側の相互に異なる領域に設けられ、入射された光が光伝搬方向に対して所定の強さ以下に減衰する距離より短い長さを有し、伝搬する光を前方に反射する複数の反射シート部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の特徴の1つは大型の導光板を複数積層し、複数の各導光板の異なる領域に反射シート部を設け、複数の各導光板を伝搬する光を反射シート部で反射して照明パネルの全面を発光させるようにした点にある。
【0010】
これにより、厚みが薄く、しかも必要なLEDの数を少なくできるというエッジライト方式の利点を有しつつ、光反射中における光の減衰に関係なく、LED照明パネルの寸法を自由に大型化できる。
【0011】
上記では光放射方向に導光板を積層したが、光の伝搬方向に並べて端部を重ねるように構成しても同様の作用を奏する。但し、この場合には導光板の継ぎ目が外方から明瞭に見えると好ましくないので、表面パネルを設けて継ぎ目を見えにくくする。
【0012】
本発明に係るLED照明パネルは、光伝搬方向に並べかつ端部を重ねて設けられ、光伝搬方向に対して光が所定の強さ以下に減衰する距離より短い長さを有する複数の導光板と、該複数の各導光板の光伝搬方向の端面に設けられ、上記導光板内部に光を入射するLEDと、上記複数の各導光板背面側に設けられ、入射された光が光伝搬方向に対して所定の強さ以下に減衰する距離より短い長さを有し、伝搬する光を前方に反射する複数の反射シート部と、上記並べられた複数の導光板の前方を覆う表面パネルと、を備えたことを特徴とする。
【0013】
LED照明パネルは1枚の板状に製作されるが、上述のように、導光板の端部を重ねると、LED照明パネルが厚くなるおそれがある。そこで、相互に重ねられた光伝搬方向の端部は光の伝搬を阻害しない曲率でもって曲げるようにするとよい。どの程度の曲率とするかはLEDの光の波長や導光板の厚みによって異なるので、実験などによって求めるのが好ましい。
【0014】
導光板を伝搬中の光は光反射シート部によって前方に反射されるが、光の反射効率を向上させる上で、導光板の背面に光反射ドット部を形成するのがよい。この光反射ドット部は光伝搬方向の終端側になると、光で減衰して弱くなるので、光伝搬方向になるにしたがってドット密度を大きくするか又はドット面積を大きくするのがよい。光反射ドット部はレーザー加工などによって形成してもよく、スクリーン印刷などによって形成することもできる。
【0015】
LED照明パネルを構成する場合、積層された導光板のうち、最上側の導光板表面には光拡散板を積層するのがよい。また、導光板を光伝搬方向に並べる場合にも導光板の表面に光拡散板を重ねるのがよい。
【0016】
導光板や光拡散板は十分な透光性を有する材料であれば特に限定されず、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂などを採用することができる。光拡散板の場合、ベースの樹脂中に光散乱剤、例えば炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、二酸化チタン、二酸化珪素、ガラスビーズなどの無機微粒子、スチレン架橋ビーズ、MS架橋ビーズなどの有機微粒子、その他の公知の微粒子を採用することができる。
【0017】
また、LED(Light Emitting Diode; 発光ダイオード)は赤色LED、青色LED、緑色LEDを単色で用いてもよく、組合せて用いることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1及び図2は本発明に係るLED照明パネルの好ましい実施形態を示す。本例のLED照明パネル10は伝搬中の光が所定の強度以下まで減衰する距離を超える、例えば2倍の長さを有する2枚の導光板11、12を積層し、上側の導光板11の表面には光拡散板13を、下側の導光板12の下側には例えばアルミニウム製の放熱板14が重ねられている。
【0019】
導光板11、12及び光拡散板13は例えばアクリル樹脂を用いて製作され、光拡散板13には光散乱剤が適量分散され、又導光板11、12の光伝搬方向の対向する端面にはLED15、16を配列するとともに駆動回路を内蔵したLEDユニットが設けられ、導光板11、12の内部に向けて光を入射するようになっている。
【0020】
また、導光板11の左半部及び導光板12の右半部の背面側には伝搬中の光が所定の強度以下まで減衰する距離以下の長さを有する光反射シート17、18が設けられ、又導光板11の背面左半部及び導光板12の背面右半部には光反射ドット部11A、12Aが例えばレーザー加工などによって形成され、その導光板11の背面左半部及び導光板12の背面右半部には光反射ドット部11A、12Aが形成され、光反射ドット部11A、12Aは光の反射が全体で均等になるように導光板11、12の中央に向かうにつれて密度又は面積が大きくなるように形成されている。
【0021】
図示しない駆動回路によってLED15、16を駆動すると、導光板11、12内には側方から光が入射され、導光板11、12内を光が伝搬される。上側の導光板11では光反射シート部17がない領域では上下の界面の間で光が伝搬するだけであまり減衰されず、光反射シート部17が設けられた領域では伝搬中の光で光反射ドット部11Aと光反射シート部17によって前方に反射され、光拡散板13で拡散されて前方に放射される。特に、LED15から離れるにしたがって光反射ドット部11Aの密度又は面積が大きくなるように形成されているので、光は光反射シート部17が設けられた領域の全体で実質的に均等に反射される。
【0022】
下側の導光板12では同様に、反射シート部18がない領域では上下又は左右の境界面の間で光が伝搬するだけであまり減衰されず、光反射シート部18が設けられた領域では伝搬中の光で光反射ドット部12Aと光反射シート部18によって前方に均等に反射され、導光板11を通過して光拡散板13で拡散されて前方に放射される。
【0023】
その結果、大型のLED照明パネル10であっても、光拡散板13の全面を実質的に均等に発光させることができ、これによって大型で薄型のLED照明パネルを製作できることとなる。
【0024】
図3は第2の実施形態を示す。本例では伝搬中の光が所定の強度以下まで減衰する距離を超える、例えば3倍の長さを有する3枚の導光板21、22、23を積層し、表面に光拡散板24を、下側に放熱板25を設ける一方、各導光板21、22、23の背面の右側1/3、中央1/3、左側1/3の領域に光反射ドット部(図示せず)をレーザー加工などによって形成するとともに、その背面側に光反射シート部29、210、211を設けており、このように導光板21〜23を3枚積層することによって第1の実施形態よりも更に大型のLED薄型照明パネルを製作できる。
【0025】
本例のLED照明パネル20では光反射シート部29〜211が設けられた領域で光が反射されるので、第1の実施形態に比してより大型のLED照明パネル20の全面を発光させることができる。
【0026】
図4ないし図6は第3の実施形態を示す。本例では4枚の短いLED照明パネル30と1枚の長いLED照明パネル40と表面パネル51とを用いて大型のLED照明パネル50が製作されている。
【0027】
表面パネル51は例えばアクリル樹脂を用いて一体に製作され、表面パネル51には用途に応じて文字や図柄が印刷され形成されている。
【0028】
短いLED照明パネル30では例えば530mmx1500mmの導光板31の背後に同寸法の反射板32が積層され、導光板31及び反射板32の一端面にはLEDユニット33が取付けられ、LEDユニット33にはLED列と駆動回路が内蔵されている。
【0029】
長いLED照明パネル40では例えば1100mmx1500mmの導光板41の背後に同寸法の反射板42が積層され、導光板41及び反射板42の対向する両端面にはLEDユニット43が取付けられ、LEDユニット43にはLED列と駆動回路が内蔵されている。
【0030】
導光板31、42は例えばアクリル樹脂を用いて厚み4mmに製作され、背面には光反射ドット部(図示せず)がLEDから離れるにしたがって密度又は面積が大きくなるように形成されている。また、反射板32、42は例えばアクリル樹脂を用いて厚み4mmに製作され、表面には光反射シート(図示せず)を設けて構成されている。
【0031】
4枚の短いLED照明パネル30は中央側になるほと表面パネル51から離れるような段差を形成しかつ端部が重なるように、しかも中央に長いLED照明パネル40が来るように支柱52によって固定されている。
【0032】
本例のLED照明パネルではLED照明パネル30、40の端部が重なっているが、表面パネル51によって覆われているので、継ぎ目が外方から見え難く、あたかも1枚のLED照明パネルのように見える。
【0033】
また、短いLED照明パネル30と長いLED照明パネル40を適宜組み合わせることによって任意の大きさのLED照明パネルを製作することができる。
【0034】
図7は第3の実施形態の変形例を示す。本例ではLED照明パネル30、40の端部の重なり部分が曲げられており、厚みがあまり増大しないようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係るLED照明パネルの好ましい実施形態を示す概略構成図である。
【図2】上記実施形態を示す要部拡大構成図である。
【図3】第2の実施形態を示す構成図である。
【図4】第3の実施形態において用いるLED照明パネルを示す図である。
【図5】上記実施形態を示す図である。
【図6】上記実施形態におけるパネル取付け部分を示す拡大図である。
【図7】第3の実施形態における変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
10 LED照明パネル
11、12 導光板
11A、12A 光反射ドット部
13 光拡散板
14 放熱板
15、16 LED
17、18 光反射シート部
20 LED照明パネル
21、22、23 導光板
24 光拡散板
25 放熱板
26、27、28 LED
29、210、211 光反射シート部
30 短いLED照明パネル
31 導光板
33 LEDユニット
40 短いLED照明パネル
41 導光板
43 LEDユニット
50 LED照明パネル
51 表面パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の放射方向に積層され、光伝搬方向に対して光が所定の強さ以下に減衰する距離を超える長さを有する複数の導光板と、
該複数の各導光板の光伝搬方向の端面に設けられ、上記導光板内部に光を入射する複数のLEDと、
上記複数の各導光板背面側の相互に異なる領域に設けられ、入射された光が光伝搬方向に対して所定の強さ以下に減衰する距離より短い長さを有し、伝搬する光を前方に反射する複数の反射シート部と、
を備えたことを特徴とするLED照明パネル。
【請求項2】
光伝搬方向に並べかつ端部を重ねて設けられ、光伝搬方向に対して光が所定の強さ以下に減衰する距離より短い長さを有する複数の導光板と、
該複数の各導光板の光伝搬方向の端面に設けられ、上記導光板内部に光を入射するLEDと、
上記複数の各導光板背面側に設けられ、入射された光が光伝搬方向に対して所定の強さ以下に減衰する距離より短い長さを有し、伝搬する光を前方に反射する複数の反射シート部と、
上記並べられた複数の導光板の前方を覆う表面パネルと、
を備えたことを特徴とするLED照明パネル。
【請求項3】
上記複数の導光板の背面には光反射ドット部が形成され、該光反射ドット部は光伝搬方向になるにしたがってドット密度が大きくなるか又はドット面積が大きくなっている請求項1又は2記載のLED照明パネル。
【請求項4】
上記積層された導光板のうち、最上側の導光板表面には光拡散板が積層されている請求項1記載のLED照明パネル。
【請求項5】
上記並べられた複数の導光板表面には光拡散板が積層されている請求項2記載のLED照明パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−33861(P2010−33861A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−194347(P2008−194347)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(591051162)新光電装株式会社 (10)
【出願人】(000180313)四国計測工業株式会社 (13)