説明

LED蛍光灯器具

【課題】グロースタータ方式の既存の蛍光灯を、感電の恐れがなく、誰でも容易に交換できるLED蛍光灯器具を提供すること。
【解決手段】グロースタータ方式の蛍光灯器具10を用い、既存の蛍光灯20を、一方側に給電側口金21a、他方側に内部短絡された短絡側口金21bを備えるLED蛍光灯2と交換し、さらに既存のグロー管30をLED用点灯管3と交換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存の予熱回路を備えた蛍光灯器具に取り付けでき、取り付け交換時の感電を効果的に防止できる、LED蛍光灯(または蛍光灯型LED)に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、白熱電球や蛍光灯などの既存光源をLED(発光ダイオード)に交換、置き換える動きが広がっている。LEDを光源とすることにより、既存光源よりも長寿命かつ省エネルギーの照明器具とすることが出来る為である。
【0003】
蛍光灯の点灯方式としては、グロースタータ方式、ラピッドスタート方式、およびインバータ方式、の3方式に大別され、器具内にこれらいずれかの点灯回路が組み込まれている。
このような蛍光灯器具をLEDに置き換えるには、(1)器具そのもの、または器具に組み込まれた点灯回路をLED用の点灯回路に交換・改造する方法、(2)蛍光灯に模したLED蛍光灯の内部に点灯回路を配置し、光源のみをLED蛍光灯と置換える方法、などが提案されている。前者の方法では器具を施工、改造することとなるため、一般消費者が交換することは技術的、金銭的な困難さがある。一方で後者の方法では、形状、電極端子などを蛍光灯器具に適合させたLED蛍光灯を従来の蛍光灯と交換するだけのため、(1)の方法より導入しやすいなどの利点がある(例えば先行技術1〜3を参照)。
【0004】
【特許文献1】特許3929885
【特許文献2】特開2008−277188
【特許文献3】特開2009−266696
【0005】
しかし(2)の方法では、点灯回路をLED蛍光灯内に配するため、例えば器具に通電したまま蛍光灯の交換を行ってしまった場合、従来の蛍光灯の交換と比べて感電のリスクが高い。これは従来の蛍光灯が口金に接続されたフィラメントの間の放電により点灯するのに対し、LED蛍光灯は口金に接続されたLEDに通電させて点灯させるためである。言い換えれば、放電前の非点灯時では内部抵抗が大きい蛍光灯に対し、LED蛍光灯は非点灯時でも内部抵抗が低く、一方の口金を器具に装着した際、他端の口金にまで電圧が印加されてしまうためである。このため交換時、他端側の口金に触れてしまうと感電のリスクがある。
【0006】
また一方で上述の3通りの点灯方式のうち、最も構成が簡単で安価のグロースタータ方式の器具数は、日本では減少しているものの海外では主流の点灯方式である。このためLED化が急速に進んでいる現在、器具の改造を必要とせず、消費者を問わず誰でも簡単に国内外で実施できる、グロースタータ方式に適合したLED蛍光灯の仕様の開発は急務である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上より本発明の課題は、グロースタータ方式の既存の蛍光灯を、感電の恐れがなく、誰でも容易に、LED蛍光灯と交換できる仕様を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、グロースタータ方式の蛍光灯器具において、既存の直管型蛍光灯を、一端側に給電側口金、他端側に内部短絡された短絡側口金を備えるLED蛍光灯と交換し、さらに既存のグロー管をLED用点灯管と交換する、ことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のLED蛍光灯器具によれば、既存の蛍光灯とグロー管(点灯管)を交換するのみのため、誰でも容易に交換作業を行うことができる。また一端側からのみLED蛍光灯に給電し、かつ他端側が内部短絡されることで、両端の端子間が回路的に絶縁され、例えば一端側の端子を器具に取り付けた際、他端側に電圧が印加される恐れがなく、交換作業時の感電のリスクが飛躍的に低減する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は本発明のLED蛍光灯器具の外観模式図。
【図2】図2は本発明のLED蛍光灯器具の回路模式図。
【図3】図3は従来のグロースタータ式の蛍光灯器具の回路模式図。
【図4】図4は本発明のLED蛍光灯の長手方向の断面模式図。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0011】
本発明のLED蛍光灯器具10は、LED蛍光灯2、LED用点灯管3、およびこれらを取り付けるための器具1からなる。図1にその外観模式図を、図2にその回路構成の模式図を示す。本実施例においては、LED蛍光灯器具10は直管型の器具である。また図3に、本発明のLED蛍光灯2とLED用点灯管3との交換する前の、従来の蛍光灯20、グロー管30を取り付けた状態の回路の模式図を示す。さらに図4に、本発明のLED蛍光灯2の長手方向断面の模式図を示す。
【0012】
図3に示したよう、グロースタータ方式の点灯回路は主に、蛍光灯20、グロー管30、安定器40により構成される。スイッチ60により電源が入ると、グロー管30の内部で放電し、この熱によりグロー管30内部のバイメタルが作動し電流が流れる。この際、蛍光灯20の両端のフィラメントが予熱される。この間にバイメタルの冷却に伴い、グロー管30内部の回路が開いて電流が流れなくなる。すると安定器のキック電圧が生じて高電圧が生じ、両フィラメント間で放電することで蛍光管20が発光する。
【0013】
本発明のLED蛍光灯器具10は、蛍光灯20をLED蛍光灯2に、グロー管30をLED用点灯管3に交換することのみで構成される。LED蛍光灯2の口金21(21a、21b)とLED用点灯管3の口金は、容易に既存部品と交換可能なよう、蛍光灯20およびグロー管30とそれぞれ互換性のある同じ口金形状としている。このため他の部品、例えば器具1は既存の器具1をそのまま用いることができる。一般に蛍光灯20、グロー管30は、交換しやすいよう器具1の外側に表出して配置されており、上述の構成としていることで、誰でも簡単に交換作業を行うことができる。
【0014】
まずはじめにLED蛍光灯20の詳細について説明する。
LED蛍光灯20は、一方向に長い直管形の蛍光灯と相似し互換性のある形状とされており、透明樹脂からなるカバー23と、後述するLED26の実装基板が搭載される放熱性の良い筐体24と、これらの両端に配置される口金21(21a、21b)とで外形が構成される。

またその内部に、点灯回路25、LED26、短絡部27を有する。点灯回路25は、ダイオードブリッジ回路からなる整流部25aと、整流された電流を平滑化しLED26に定電流を供給する電流調整部25bとからなる。なお短絡部27は、点灯回路25、LED26とは電気的に絶縁されている。
【0015】
カバー23はその断面が円弧状となるよう形成され、筐体24の長手方向に沿って設けられたガイド用の溝にスライドして固定される。またカバー23は透明なポリカーボネート樹脂からなり、LED26の光を拡散し、かつ使用者の感じるグレア感を低減させるため、その内面に光拡散処理を行っている。
カバー23は光劣化が少ない材料であればよく、ポリカーボネート樹脂のほかアクリル樹脂やシリコーン樹脂、ガラスなどを用いても良い。しかし一般に蛍光灯は口金端子のみで支持されることから軽量の部材が好ましく、樹脂で構成することが好ましい。さらに長尺状に成形する必要があることから、上記のうち熱可塑性樹脂であるポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂のいずれかが好ましい。
また本実施例では、その内面に光拡散処理を行っているが、上記の材料にシリカや酸化チタンなど公知の光拡散材を混入し、光を拡散するようにしても良い。
【0016】
筐体24は熱伝導率の高いアルミからなり、LED26の実装基板の裏面と熱的に接続され、LED26で生じた熱をLED蛍光灯2の外部に放熱する。熱伝導率が高く放熱性の良い部材として、アルミ、銅などの金属、及びその合金や、セラミックスなどが挙げられる。しかし本発明においては、長尺状に成形する必要があることから、アルミ、銅、またはこれらを主成分とする合金で成形することが好ましい。
【0017】
点灯回路25は、図4に示したよう、LED蛍光灯2の一端側の給電側口金21a内に一対の端子と共に固定される。また短絡部27は、他端側の短絡側口金21b内で一対の端子間を短絡するように配置される。
ここで本実施例においては、点灯回路25および短絡部27と一対の端子が搭載された各回路基板は、LED26が配列実装された実装基板に対し略垂直となるよう、両口金21内にそれぞれ配置している。点灯回路25は、基板に占める実装面積よりも各素子の高さのほうが小さい場合があり、本構成によりLED26の実装面積をより広く、またはより多くのLED26を実装することが可能となる。このため、カバー23で規定される発光面積をより広く活用することができ、所望の照明光を得ることが容易となる。
また本実施例では、整流部25aと電流調整部25bとを給電側口金21a内に配置する例を示したが、平滑コンデンサなどを含む電流調整部25bの放熱性を高めるべく、電流調整部25bをLED26の実装基板側に配置してもよい。
【0018】
次に、LED用点灯管3について説明する。
LED用点灯管3は、その端子間が電気的に接続(導通)されている点で、従来のグロー管30とは異なる。本実施例においては、内部配線により短絡することで、端子間が電気的に接続されている。他の形態として、電流制限用の抵抗や、過電流保護用のヒューズなどが例示できるが、あまり抵抗値が高いものは通電時の発熱が問題となり、また器具自体の消費電力が大きくなってしまうため好ましくない。器具1の既設ソケットや接続された配線、及びLED蛍光灯2の回路保護の観点からは、過電流保護用ヒューズが好ましい。また過電流保護用ヒューズの容量としては、7A以下が望ましい。
【0019】
以上の構成としたことで、交換作業時の感電のリスクが飛躍的に低減する。以下、交換作業の例をふまえ、その作用について説明する。なおグロー管30は既にLED用点灯管3と交換しているものとする。
【0020】
器具1に給電側口金21aのみを装着している場合、短絡部27が点灯回路25、LED26と電気的に絶縁されているため、短絡側口金21bにまで電圧が印加されない。このとき電圧が印加されているのは、短絡側口金21bが接続される器具1側の端子(既設ソケット)であり、LED蛍光灯2を保持しているだけでは感電しない。さらには、器具1側の端子が接続されていないため、LED蛍光灯2は点灯しない。
【0021】
次に、器具1に短絡側口金21bのみが装着されている場合、上述のよう互いの口金間が絶縁されているため、給電側口金21aに電圧が印加されない。このため感電の恐れがない他、LED蛍光灯2は点灯しない。
【0022】
以上のよう本構成によれば、交換作業時に感電するリスクが飛躍的に低下する。また該作業時に、グロー管30およびLED用点灯管3を外しておけば、感電のリスクはより一層低下する。
【0023】
また、本実施例では器具1側の改造を行わない場合を例示したが、LED蛍光灯2の取付器具として最適化すべく、器具1を本発明の作用効果が得られる程度に改造しても良いことは当業者であれば明白である。
例えば、安定器40を外してこの間を短絡、または安定器40を外さずに並列に短絡させても良い。この場合においても上述の感電に対するリスクを低下でき、安定器40による消費電力をも低減させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、両端に口金を備える直管型蛍光灯の他、両口金が一体化された4端子型の口金(端子)を備える丸型(環状)蛍光灯などの交換可能な蛍光灯と、交換可能なグロー管と、をそれぞれ備えるグロースタータ方式の蛍光灯器具全てに適用できる。
【符号の説明】
【0025】
1 器具
2 LED蛍光灯
21 口金
21a給電側口金
21b短絡側口金
23 カバー
24 筐体
25 点灯回路
25a整流部
25b電流調整部
26 LED
27 短絡部
3 LED用点灯管
10 LED蛍光灯器具
20 蛍光灯
30 グロー管
40 安定器
50 商用電力
60 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光灯を点灯させるグロースタータ方式の器具と、
前記器具に備え付けられたグロー管と交換可能で、その端子間が電気的に接続されているLED用点灯管と、
前記蛍光灯と交換可能で、LEDと点灯回路を内蔵するLED蛍光灯と、
を備え、前記LED蛍光灯は、
一方側に、前記点灯回路を介して前記LEDに給電するための一対の端子を備える給電側口金を有し、
他方側に、互いに短絡された一対の端子を備える短絡側口金を有する、
ことを特徴とするLED蛍光灯器具。
【請求項2】
前記LED用点灯管は、その端子間に過電流保護用ヒューズを備える
ことを特徴とする請求項1に記載のLED蛍光灯器具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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