説明

LNGタンカー船最適配船計画システム

【課題】 発電能力等を活用してLNGタンカー船の有効利用及び収益の最大化を図ることができるLNGタンカー船最適配船計画システムを提供する。
【解決手段】 LNG需要予測データ11aとLNG価格予測データ11b及び電力需要予測データ11cと電力価格予測データ11dを記憶可能な需要価格予測データベース11と、LNG貯蔵設備情報、LNG荷下ろしコストを記憶したLNG需要地データベース12と、発電能力、発電コストを記憶した発電情報データベース13と、各予測データの入力を受け付ける需要予測データ入力部14と、気象データ、運行距離及び運行能力に基づいて各需要地への到達予定日を計算する到達予定日算出手段15と、配船コストを算出する配船コスト算出手段16と、LNG利益と電力利益を算出する利益算出手段17と、最大利益が得られる最適需要地を決定する最適需要地決定手段18とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LNGタンカー船の発電能力を利用した発電電力の売電利益を考慮したLNGタンカー船最適配船計画システムに関する。
【背景技術】
【0002】
LNG(liquefied natural gas)は、CO排出量が少なく硫黄酸化物等の有害物質が発生しないクリーンエネルギであり、近年、地球温暖化問題や酸性雨問題等の環境問題に対する取り組みが高まっていることから、今後、LNGの需要が増大すると考えられる。そして、LNG供給を安定して行うためには、各LNGの需要地におけるLNG需要予測に基づいて適切に配船計画を作成する必要がある。
【0003】
LNGタンカー船の配船計画の作成支援技術には、各LNGの需要地におけるLNG需要予測に基づき、各LNG受入基地におけるLNGタンクの運用上の制約条件(LNG受入基地の生産能力及び貯蔵能力及びLNGタンカー船への荷積み能力、LNGタンカー船の積載容量及び運行速度、LNG受入基地のLNGタンクの容量及びLNGの需要量及びLNG受入可能速度等を含む)を満たすLNGタンカー船の配船計画を作成し、LNGの荷揚量及びLNGタンカー船の貯蔵LNG残量等を算出して通知する配船管理システムがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−238180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、LNGタンカー船の運航は年間契約により設定される。そして、LNG需要は、気温や湿度等の季節変動やGNP等の経済変動等により変動することから、一時的にLNG需要が減少したときには、全てのLNGタンカー船を運航させる必要がなくなり、LNGタンカー船の稼動効率が低下すると考えられる。しかしながら、特許文献1には、このような場合のLNGタンカー船の有効利用について提示されていない。更に、今後、環境問題に対する取り組みの高まり等から予想されるLNG需要の増大に対応するため、LNGタンカー船の数が増大することが考えられ、LNGタンカー船の更なる有効利用を図る技術が望まれている。尚、LNGタンカー船は、外部からの入熱によりLNGタンク内で気化したBOG(boil off gas)を利用した発電設備等を備えており、これらの設備を利用することで、LNGタンカー船をより効果的に有効活用できると考えられる。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、発電能力を利用してLNGタンカー船の有効利用を図ると共に、収益の最大化を図ることができるLNGタンカー船最適配船計画システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係るLNGタンカー船最適配船計画システムは、少なくともLNG需要を有する1または複数の需要地におけるLNG需要予測データとLNG価格予測データ、及び、少なくとも電力需要を有する1または複数の需要地における電力需要予測データと電力価格予測データを記憶可能な需要価格予測データベースと、少なくともLNG需要を有する前記各需要地におけるLNG貯蔵設備情報、LNG荷下ろしコストに係る情報を記憶したLNG需要地データベースと、LNGタンカー船の発電能力、発電コストに係る情報を記憶した発電情報データベースと、前記LNG需要予測データ、前記LNG価格予測データ、前記電力需要予測データ、及び、前記電力価格予測データの入力を受け付けて前記需要予測データベースに記憶する需要予測データ入力部と、前記LNGタンカー船の現在位置を把握し、前記各需要地の位置情報に基づいて前記各需要地までの運行距離を計算し、各運行航路上の気象データを入手して、前記気象データ、前記運行距離、及び、前記LNGタンカー船の運行能力に基づいて前記各需要地への到達予定日を計算する到達予定日算出手段と、前記到達予定日算出手段が算出した前記各需要地までの運行距離及び前記到達予定日に基づいて前記各需要地までの配船コストを算出する配船コスト算出手段と、前記各需要地における、前記到達予定日以降の前記LNG価格予測データと前記電力価格予測データ、前記LNG荷下ろしコストに係る情報、前記発電コストに係る情報、及び、前記配船コストに基づいて、単位LNG量当たりのLNG荷下ろしによるLNG利益と発電電力の売電による電力利益を算出する利益算出手段と、前記利益算出手段が算出した前記各需要地における前記LNG利益と前記電力利益を比較して最大利益が得られる最適需要地を決定する最適需要地決定手段と、を備えてなることを第1の特徴とする。
【0008】
上記第1の特徴のLNGタンカー船最適配船計画システムによれば、LNGタンカー船の発電能力を利用した売電を行うので、LNG受入基地のLNGタンクに余力が無い需要地であっても、電力供給が可能な需要地に対しては売電することができる。即ち、本発明の如く、LNG荷下ろしまたは売電、若しくはその両方を行うことが可能な構成とすることにより、最適需要地の選択の幅を広げることができ、LNGタンカー船の運航効率を向上させ、より効果的に有効活用を図ることができる。また、LNG荷下ろしによるLNG利益に加え、売電による電力利益を考慮して最適需要地を決定し配船計画を作成するので、LNG利益のみを考慮する場合に比べ、収益の最大化を図ることができる。
【0009】
上記第1の特徴のLNGタンカー船最適配船計画システムは、更に、前記最適需要地における前記最大利益が前記LNG利益である場合は、前記最適需要地におけるLNG需要を、前記到達予定日以降の前記LNG需要予測データに基づいて導出し、前記最適需要地におけるLNG需要と前記LNGタンカー船の貯蔵LNG量より、前記最適需要地におけるLNG荷下ろし後の前記貯蔵LNG残量の有無を判定し、前記最適需要地における前記最大利益が前記電力利益である場合は、前記最適需要地における電力需要を、前記到達予定日以降の前記電力需要予測データに基づいて導出し、前記最適需要地における電力需要と前記LNGタンカー船の前記貯蔵LNG量と前記LNGタンカー船の前記発電能力より、前記最適需要地における発電電力の売電後の前記貯蔵LNG残量の有無を判定する貯蔵LNG残量判定手段を備え、前記貯蔵LNG残量判定手段の判定により、前記貯蔵LNG残量が有る場合は、前記到達予定日算出手段が、前記LNGタンカー船の現在位置を前記最適需要地に、現在日を前記最適需要地の出港可能日に設定して、前記最適需要地以外の前記各需要地への到達予定日を再計算し、前記利益算出手段が、再計算された前記到達予定日に基づいて、前記最適需要地以外の前記各需要地における前記LNG利益と前記電力利益を再計算し、前記最適需要地決定手段が、再計算された前記各需要地における前記LNG利益と前記電力利益を比較して最大利益が得られる第2の最適需要地を決定することを第2の特徴とする。
【0010】
上記第2の特徴のLNGタンカー船最適配船計画システムによれば、貯蔵LNG残量がある場合に、貯蔵LNG残量について最大利益が得られる第2の最適需要地を決定するので、複数の需要地に対してLNG荷下ろし及び売電を行う場合に、計画全体で最大利益が得られるように配船計画を作成することができる。また、LNGタンカー船のLNG貯蔵能力をより有効に活用することができる。これによって、収益の最大化を図ることができる。
【0011】
更に、上記第2の特徴のLNGタンカー船最適配船計画システムは、前記貯蔵LNG残量判定手段の判定により、前記貯蔵LNG残量が有る場合は、前記貯蔵LNG残量判定手段は、前記最適需要地を前記最適需要地以外の2番目以降の利益が得られる前記需要地を仮最適需要地として、前記仮最適需要地における前記2番目以降の利益が前記LNG利益である場合は、前記仮最適需要地におけるLNG需要を、前記到達予定日以降の前記LNG需要予測データに基づいて導出し、前記仮最適需要地におけるLNG需要と前記LNGタンカー船の貯蔵LNG量より、前記仮最適需要地におけるLNG荷下ろし後の前記貯蔵LNG仮残量の有無を判定し、前記仮最適需要地における前記2番目以降の利益が前記電力利益である場合は、前記仮最適需要地における電力需要を、前記到達予定日以降の前記電力需要予測データに基づいて導出し、前記仮最適需要地における電力需要と前記LNGタンカー船の前記貯蔵LNG量と前記LNGタンカー船の前記発電能力より、前記仮最適需要地における発電電力の売電後の前記貯蔵LNG仮残量の有無を判定し、前記最適需要地決定手段は、前記貯蔵LNG残量判定手段の判定により、前記貯蔵LNG仮残量が無い場合は、前記最適需要地における前記最大利益と前記第2の最適需要地における前記最大利益の和と、前記仮最適需要地における前記2番目以降の利益を比較し、前記2番目以降の利益の方が大きい場合は、前記仮最適需要地を最適需要地に変更することを第3の特徴とする。
【0012】
上記第3の特徴のLNGタンカー船最適配船計画システムによれば、最適需要地が複数設定され、単一の仮最適需要地が設定される場合に、計画全体で最大利益が得られる配船計画を選択することができ、収益の最大化を図ることができる。
【0013】
更に、上記第3の特徴のLNGタンカー船最適配船計画システムは、前記貯蔵LNG残量判定手段の判定により、前記貯蔵LNG仮残量が有る場合は、前記到達予定日算出手段が、前記LNGタンカー船の現在位置を前記仮最適需要地に、現在日を前記仮最適需要地の出港可能日に設定して、前記仮最適需要地以外の前記各需要地への到達予定日を再計算し、前記利益算出手段が、再計算された前記到達予定日に基づいて、前記仮最適需要地以外の前記各需要地における前記LNG利益と前記電力利益を再計算し、前記最適需要地決定手段が、再計算された前記各需要地における前記LNG利益と前記電力利益を比較して最大利益が得られる第2の仮最適需要地を決定し、前記最適需要地決定手段は、前記最適需要地における前記最大利益と前記第2の最適需要地における前記最大利益の和と、前記仮最適需要地における前記2番目以降の利益と前記第2の仮最適需要地における前記最大利益の和を比較し、前記2番目以降の利益と前記第2の仮最適需要地における前記最大利益の和の方が大きい場合に、前記仮最適需要地を最適需要地に、前記第2の仮最適需要地を前記第2の最適需要地に、夫々変更することを第4の特徴とする。
【0014】
上記第4の特徴のLNGタンカー船最適配船計画システムによれば、最適需要地が複数設定され、仮最適需要地が複数設定される場合に、計画全体で最大利益が得られる配船計画を選択することができ、収益の最大化を図ることができる。
【0015】
更に、上記第2乃至第4の何れかの特徴のLNGタンカー船最適配船計画システムは、前記貯蔵LNG量の内訳として、所定のLNG需要地に対して必ずLNG荷下ろしを行わなければならない規定量が含まれる場合、前記貯蔵LNG残量判定手段は、前記貯蔵LNG量を正味の貯蔵LNG量から前記規定量を差し引いた残量として使用することを特徴とする。
【0016】
上記特徴のLNGタンカー船最適配船計画システムによれば、規定量を差し引いた残量を貯蔵LNG残量として算出するので、例えば、年間契約等により、所定のLNG需要地に対して必ずLNG荷下ろしを行わなければならないLNGタンカー船に対して適用することができる。即ち、本発明の如く、LNG需要が一時的に低下し、LNGタンカー船のLNGタンクに余力がある場合に、これを利用して他の需要地にLNGまたは電力を供給する構成とすることにより、LNGタンカー船の運航効率を向上させて有効活用を図ることができると共に、収益の最大化を図ることができる。
【0017】
上記目的を達成するための他の本発明に係るLNGタンカー船最適配船計画システムは、LNG需要及び電力需要を有する需要地におけるLNG価格予測データと電力価格予測データを記憶可能な需要価格予測データベースと、前記需要地におけるLNG貯蔵設備情報、LNG荷下ろしコストに係る情報を記憶したLNG需要地データベースと、LNGタンカー船の発電能力、発電コストに係る情報を記憶した発電情報データベースと、前記LNG価格予測データと前記電力価格予測データの入力を受け付けて前記需要予測データベースに記憶する需要予測データ入力部と、前記LNGタンカー船の現在位置を把握し、前記需要地の位置情報に基づいて前記需要地までの運行距離を計算し、運行航路上の気象データを入手して、前記気象データ、前記運行距離、及び、前記LNGタンカー船の運行能力に基づいて前記需要地への到達予定日を計算する到達予定日算出手段と、前記需要地における、前記到達予定日以降の前記LNG価格予測データと前記電力価格予測データ、前記LNG荷下ろしコストに係る情報、及び、前記発電コストに係る情報に基づいて、単位LNG量当たりのLNG荷下ろしによるLNG利益と発電電力の売電による電力利益を算出する利益算出手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
上記特徴のLNGタンカー船最適配船計画システムによれば、所定の需要地におけるLNG利益と電力利益とを提示することができる。これによって、LNG需要及び電力需要を有する需要地において、LNG荷下ろしと売電の何れを優先して行うことが収益の最大化を図る上で適切であるかを容易に判断することができ、特に、LNGタンカー船が所定の需要地に入港することが決まっている場合等に有用である。
【0019】
更に、上記何れかの特徴のLNGタンカー船最適配船計画システムは、前記需要地の少なくとも1つにおける、LNG需要とLNG価格の過去の実績データと、LNG需要と関連する気象データ及び経済指標データの過去の実績データを記憶するLNG実績データベースと、前記少なくとも1つの需要地におけるLNG需要とLNG価格の関係を前記LNG実績データベースに記憶された実績データに基づいて分析して定式化するLNG需要価格相関手段と、前記少なくとも1つの需要地におけるLNG需要を前記気象データと前記経済指標データから説明する重回帰式を重回帰分析により定式化するLNG需要定式化手段と、前記少なくとも1つの需要地における前記気象データと前記経済指標データからなる需要予測基礎データの所定期間の予測データの入力を受け付けて需要予測基礎データベースに記憶する需要予測基礎データ入力部と、前記LNG需要定式化手段により定式化された前記重回帰式に前記需要予測基礎データの予測データを代入して、前記所定期間内のLNG需要を予測するLNG予測手段と、前記LNG需要価格相関手段より定式化されたLNG需要とLNG価格の関係と、前記LNG予測手段が予測した前記LNG需要に基づいて、前記所定期間内のLNG価格を予測するLNG価格手段と、を更に備えることを特徴とする。
【0020】
上記特徴のLNGタンカー船最適配船計画システムによれば、気象データ及び経済指標データを用いてLNG需要及びLNG価格を予測するので、気象変動及び経済変動に応じて精度良くLNG需要及びLNG価格を求めることができる。
【0021】
更に、上記何れかの特徴のLNGタンカー船最適配船計画システムは、前記需要地の少なくとも1つにおける、電力需要と電力価格の過去の実績データと、電力需要と関連する気象データ及び経済指標データの過去の実績データを記憶する電力実績データベースと、前記少なくとも1つの需要地における電力需要と電力価格の関係を前記電力実績データベースに記憶された実績データに基づいて分析して定式化する電力需要価格相関手段と、前記少なくとも1つの需要地における電力需要を前記気象データと前記経済指標データから説明する重回帰式を重回帰分析により定式化する電力需要定式化手段と、前記少なくとも1つの需要地における前記気象データと前記経済指標データからなる需要予測基礎データの所定期間の予測データの入力を受け付けて需要予測基礎データベースに記憶する需要予測基礎データ入力部と、前記電力需要定式化手段により定式化された前記重回帰式に前記需要予測基礎データの予測データを代入して、前記所定期間内の電力需要を予測する電力予測手段と、前記電力需要価格相関手段より定式化された電力需要と電力価格の関係と、前記電力予測手段が予測した前記電力需要に基づいて、前記所定期間内の電力価格を予測する電力価格手段と、を更に備えることを特徴とする。
【0022】
上記特徴のLNGタンカー船最適配船計画システムによれば、気象データ及び経済指標データを用いて電力需要及び電力価格を予測するので、気象変動及び経済変動に応じて精度良く電力需要及び電力価格を求めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係るLNGタンカー船最適配船計画システム(以下、適宜「本発明システム」と略称する)の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
本発明システムは、LNGを消費して電力を供給する発電設備を有するLNGタンカー船の配船計画をコンピュータのデータ処理により作成するLNGタンカー船最適配船計画システムに適用され、コンピュータのハードウェアとそのハードウェア上で実行されるアプリケーションソフトウェアで構成される。また、本発明システムは、LNGタンカー船の配船計画の策定において、複数の需要地のLNG受入基地に対するLNGまたは電力の供給を利益的に最適化するものである。
【0025】
〈第1実施形態〉
本発明システムの第1実施形態について図1乃至図4を基に説明する。先ず、本発明システムの機能を図1及び図2に基づいて説明する。ここで、図1は、本発明システム1及び周辺装置の構成例を示すブロック図であり、図2は、本発明システム1の概略構成を示すブロック図である。
【0026】
図1に示すように、本発明システム1は、LNG需要価格予測システム2、電力需要価格予測システム3、及び、配船管理システム4の夫々と通信可能に構成されている。
【0027】
本発明システム1は、図2に示すように、需要価格予測データベース11、LNG需要地データベース12、発電情報データベース13、需要予測データ入力部14、到達予定日算出手段15、配船コスト算出手段16、利益算出手段17、及び、最適需要地決定手段18を備えている。
【0028】
需要価格予測データベース11は、少なくともLNG需要を有する1または複数の需要地におけるLNG需要予測データ11aとLNG価格予測データ11b、及び、少なくとも電力需要を有する1または複数の需要地における電力需要予測データ11cと電力価格予測データ11dを記憶可能に構成されている。本実施形態では、需要地及びLNG受入基地をキーとして、LNG需要予測データ11a、LNG価格予測データ11b、電力需要予測データ11c及び電力価格予測データ11d夫々の各データフィールドが設定されている。
【0029】
LNG需要地データベース12は、少なくともLNG需要を有する各需要地におけるLNG貯蔵設備情報、LNG荷下ろしコストに係る情報を記憶している。ここで、LNG貯蔵設備情報には、各LNG受入基地におけるLNGタンクの貯蔵能力や貯蔵量の余力等が含まれる。LNG荷下ろしコストには、1日当たりの人件費等が含まれる。
【0030】
発電情報データベース13は、LNGタンカー船7の発電能力、発電コストに係る情報を記憶している。ここで、発電コストに係る情報には、LNG消費量に対する発電量や発電量に対するコストテーブルが含まれる。
【0031】
本実施形態のLNG需要価格予測システム2は、既知のシステムを利用して構成されており、需要地毎にLNG需要予測データ11aとLNG価格予測データ11bを作成する。LNG需要予測データ11aとLNG価格予測データ11bは、既知の気象予測システム5から気象データを取得し、既知の経済推計システム6から経済データを取得すると共に、各需要地のLNG受入基地のLNGタンクの貯蔵量及び貯蔵能力等を考慮して作成される。
【0032】
本実施形態の電力需要価格予測システム3は、既知のシステムを利用して構成されており、需要地毎に電力需要予測データ11cと電力価格予測データ11dを作成する。電力需要予測データ11cと電力価格予測データ11dは、既知の気象予測システム5から気象データを取得し、既知の経済推計システム6から経済データを取得すると共に、各需要地の売電に係る設備等を考慮して作成される。
【0033】
配船管理システム4は、既知の配船管理システムであり、図1に示すように、LNGタンカー船データベース41(以下、LNGタンカー船DB41と略称する)、LNG貯蔵設備管理装置42、LNGタンカー船運行管理装置43、及び、LNG生産設備管理装置44を備えている。LNGタンカー船DB41は、LNGタンカー船の情報、ここでは、LNGタンカー船の輸送能力、タービン出力、運行速度、固定費等を記憶している。LNG貯蔵設備管理装置42は、LNGタンク貯蔵量、LNGタンク貯蔵能力、港作業条件及びLNG購入契約量を管理する。LNGタンカー船運行管理装置43は、LNGタンカー船の現在位置の把握、進路情報の管理、及び、LNGタンク貯蔵量の管理を行う。LNG生産設備管理装置44は、LNGタンク貯蔵量、LNGタンク貯蔵能力及びプラント操業条件を管理する。
【0034】
以下、本発明システム1の機能及び処理手順について図3及び図4を基に説明する。ここで、図3は、本実施形態における本発明システム1の処理手順を示すフローチャートであり、図4は、LNG受入基地と現在地との関係を示す説明図である。
【0035】
需要予測データ入力部14は、LNG需要予測データ11a、LNG価格予測データ11b、電力需要予測データ11c、及び、電力価格予測データ11dの入力を受け付けてLNG需要地データベース12に記憶する(ステップ#101)。本実施形態では、LNG需要価格予測システム2からLNG需要予測データ11aとLNG価格予測データ11bを取得し、電力需要価格予測システム3から電力需要予測データ11cと電力価格予測データ11dを取得して、需要地及びLNG受入基地と対応付けてLNG需要地データベース12に記憶する。
【0036】
到達予定日算出手段15は、LNGタンカー船7の現在位置を把握し、各需要地の位置情報に基づいて各需要地までの運行距離を計算し、各運行航路上の気象データを入手して、気象データ、運行距離、及び、LNGタンカー船7の運行能力に基づいて各需要地への到達予定日を計算する(ステップ#102)。ここでは、更に、通常、LNGタンカー船用の桟橋に着桟できるLNGタンカー船数は1隻であることから、需要地におけるLNG受入基地の港の使用状況を参照して到達予定日を決定する。また、悪天候等により到達予定日にLNG受入基地に入航できないことも考えられるため、気象予測システム5から気象データを取得し、悪天候等が予想される日を避けて到達予定日を設定するようにしても良い。詳細には、図4に示すように、現在位置XからLNG受入基地A〜Dまでの運航距離を計算し、各運航航路(航路XA、XB、XC、XD)上の気象データ等を考慮して、到達予定日を夫々算出する。
【0037】
配船コスト算出手段16は、到達予定日算出手段15が算出した各需要地までの運行距離及び到達予定日に基づいて各需要地までの配船コストを算出する(ステップ#103)。詳細には、LNGを燃料としてLNGタンカー船7を運航する場合には、運行距離及び到達予定日に加え、LNGタンカー船DB41からLNGタンカー船7の情報(輸送能力、タービン出力、運行速度、固定費等)を取得し、LNGタンカー船7の輸送能力等を考慮して、LNG消費量を算出する。そして、LNGタンカー船7の運航についての単位LNG量当たりのコストを記憶したLNGコストテーブルを用いてLNG消費量に係るコストを算出し配船コストとして加算する。更に、貯蔵LNG残量から当該LNG消費量を減算する。また、重油等を燃料としてLNGタンカー船7を運航する場合には、重油等の燃料の単位消費量当たりのコストを記憶した燃料コストテーブルを用いて重油の消費量に係るコストを算出して配船コストとして加算する。更に、人件費やLNGタンカー船7のメンテナンス費等を加算して配船コストを算出する。
【0038】
利益算出手段17は、各需要地における、到達予定日以降のLNG価格予測データ11bと電力価格予測データ11d、LNG荷下ろしコストに係る情報、発電コストに係る情報、及び、配船コストに基づいて、単位LNG量当たりのLNG荷下ろしによるLNG利益と発電電力の売電による電力利益を算出する(ステップ#104)。詳細には、需要価格予測データベース11からLNG需要予測データ11aを取得し、LNG受入基地のLNGタンクの余力が貯蔵LNG残量を超える場合には、供給するLNG量は貯蔵LNG残量となり、LNG受入基地のLNGタンクの余力が貯蔵LNG残量を下回る場合には、供給するLNG量はLNG受入基地のLNGタンクの余力分となる。尚、LNG荷下ろし後、LNGを燃料としてLNGタンカー船7を需要地から帰航またはLNG供給地に航行させる場合には、帰航またはLNG供給基地への航行に係るLNG消費量を、予め貯蔵LNG残量から減算しておくように構成する。LNG利益は、LNG受入基地に供給するLNG量とLNG価格予測データ11bに基づいて算出される利益からLNG荷下ろしコスト及び配船コストを減算し、これを正規化して求められる。電力利益は、LNG受入基地に供給するLNG量と電力価格予測データ11dに基づいて算出される売電による利益から発電コスト及び配船コストを減算し、これを正規化して求められる。
【0039】
最適需要地決定手段18は、利益算出手段17が算出した各需要地におけるLNG利益と電力利益を比較して最大利益が得られる最適需要地を決定する(ステップ#105)。更に、本実施形態の最適需要地決定手段18は、最適需要地と、LNG利益が最大利益の場合はLNG荷下ろし量を、電力利益が最大利益の場合は電力の供給量(LNG消費量)をLNGタンカー船7の船載装置に出力する。ここでは、LNG受入基地Aを最適需要地として設定している。
【0040】
尚、本発明システム1、LNG需要価格予測システム2及び電力需要価格予測システム3、及び、配船管理システム4は、同一のハードウェア上に構成する必要は無く、インターネットや衛星通信回線等を利用して、LNG受入基地やLNGタンカー船7、LNG供給業者等に分散して設けられていても良い。また、到達予定日算出手段15及び配船コスト算出手段16については、既知の手段から到達予定日や配船コストに係る情報を取得する構成としても良い。
【0041】
〈第2実施形態〉
次に、本発明システム1の第2実施形態について図5及び図6に基づいて説明する。ここで、図5は、本実施形態における本発明システム1の概略構成を示すブロック図であり、図6は、本実施形態における本発明システム1の処理手順を示すフローチャートである。本実施形態の本発明システム1は、図5に示すように、上記第1実施形態の本発明システム1の各機能に加え、貯蔵LNG残量判定手段19を備えて構成される。
【0042】
本実施形態における本発明システム1の機能及び処理手順について図4及び図6を基に説明する。尚、ステップ#101〜ステップ#105(ステップ#100)については、上記第1実施形態と同様の処理を行うので、本実施形態では説明を割愛する。
【0043】
ステップ#100実行後、具体的には、最適需要地決定手段18により最適需要地が決定された後、貯蔵LNG残量判定手段19は、先ず、最適需要地決定手段18から、最適需要地と最大利益がLNG利益であるか電力利益であるかについての情報を取得する。ここでは、ステップ#100において図4に示すLNG受入基地Aが最適需要地として決定されており、LNG受入基地Aについての情報を取得する。
【0044】
貯蔵LNG残量判定手段19は、最適需要地における最大利益がLNG利益である場合は(ステップ#201でLNG利益分岐)、最適需要地におけるLNG需要を、到達予定日以降のLNG需要予測データ11aに基づいて導出し(ステップ#202)、最適需要地におけるLNG需要とLNGタンカー船7の貯蔵LNG量より、最適需要地におけるLNG荷下ろし後の貯蔵LNG残量の有無を判定する(ステップ#203)。ここで、本実施形態では、貯蔵LNG残量判定手段19は、貯蔵LNG量の内訳として、所定のLNG需要地に対して必ずLNG荷下ろしを行わなければならない規定量が含まれる場合、貯蔵LNG量を正味の貯蔵LNG量から規定量を差し引いた残量として使用する。詳細には、LNGタンカー船7の最適需要地の到達時の貯蔵LNG残量から、規定量と最適需要地におけるLNG荷下ろし量を差し引いたものが貯蔵LNG残量となる。尚、本実施形態における貯蔵LNG残量の有無の判定は、貯蔵LNG残量が少なく各需要地において一定のLNG利益及び電力利益が得られない場合には処理を終了すべく、貯蔵LNG残量の値が所定の閾値以上の場合に貯蔵LNG残量が有ると判定する。
【0045】
貯蔵LNG残量判定手段19は、最適需要地における最大利益が電力利益である場合は(ステップ#201で電力利益分岐)、最適需要地における電力需要を、到達予定日以降の電力需要予測データ11cに基づいて導出し(ステップ#204)、最適需要地における電力需要とLNGタンカー船7の貯蔵LNG量とLNGタンカー船7の発電能力より、最適需要地における発電電力の売電後の貯蔵LNG残量の有無を判定する(ステップ#205)。ここでは、最大利益がLNG利益の場合と同様に、貯蔵LNG残量の内訳として規定量が含まれる場合、LNGタンカー船7の最適需要地の到達時の貯蔵LNG残量から規定量と最適需要地での売電に係るLNG消費量を差し引いたものを貯蔵LNG残量とする。更に、貯蔵LNG残量の有無の判定は、貯蔵LNG残量の値が所定の閾値以上の場合に貯蔵LNGが有ると判定する。
【0046】
貯蔵LNG残量判定手段19により、貯蔵LNG残量が有ると判定されない場合は(ステップ#203またはステップ#205でNO分岐)処理を終了する。
【0047】
貯蔵LNG残量判定手段19により、貯蔵LNG残量が有ると判定された場合は(ステップ#203またはステップ#205でYES分岐)、到達予定日算出手段15が、LNGタンカー船7の現在位置を最適需要地に、現在日を最適需要地の出港可能日に設定して、各需要地への到達予定日を再計算する(ステップ#206)。尚、最適需要地については、到達予定日を現在日に設定する。ここでは、図4に示すLNG受入基地Aを現在位置として再設定し、他のLNG受入基地B〜Dへの到達予定日を再計算する。更に、配船コスト算出手段16が、到達予定日算出手段15が算出した各需要地までの運行距離及び到達予定日に基づいて、現在位置(最適需要地A)から各需要地までの配船コストを算出する(ステップ#207)。最適需要地についての配船コストは0とする。
【0048】
続いて、利益算出手段17が、再計算された到達予定日に基づいて、最適需要地以外の各需要地におけるLNG利益と電力利益を再計算する(ステップ#208)。最適需要地については、到達予定日に変更が無いため、ステップ#104において算出した結果を利用する。
【0049】
引き続き、最適需要地決定手段18が、各需要地におけるLNG利益と電力利益を比較して最大利益が得られる第2の最適需要地を決定する(ステップ#209)。尚、最適需要地(LNG受入基地A)においてLNG荷下ろしを行う場合には売電に関して、売電を行う場合にはLNG荷下ろしに関して、最適需要地(LNG受入基地A)は第2の最適需要地の候補となり得る。ここでは、図4に示すLNG受入基地Bが第2の最適需要地として設定される。
【0050】
尚、本実施形態では、更に、ステップ#201〜ステップ#209(ステップ#200)を繰り返し実行し、貯蔵LNG残量が無いと判定されるまで、LNG荷下ろしまたは売電を行う最適需要地を決定するように構成する。これによって、LNGタンカー船7のLNGタンクの貯蔵能力をより有功活用することができる。
【0051】
〈第3実施形態〉
次に、本発明システム1の第3実施形態について図7に基づいて説明する。ここで、図7は、本実施形態における本発明システム1の処理手順を示すフローチャートである。尚、上記第1及び第2実施形態では、1の配船計画を作成したが、本実施形態では、複数の配船計画を作成し、各配船計画における最大利益を比較し選択する。
【0052】
本実施形態における本発明システム1の機能及び処理手順について図4及び図7を基に説明する。尚、ステップ#100、ステップ#200については、上記第1及び第2実施形態と同様の処理を行うので、本実施形態では説明を割愛する。
【0053】
ステップ#100及びステップ#200実行後、貯蔵LNG残量判定手段19は、最初のステップ#203またはステップ#205実行時に、貯蔵LNG残量判定手段19により貯蔵LNG残量が有ると判定されない場合は(ステップ#301でNO分岐)、処理を終了する。尚、この場合は、LNG受入基地Aのみが最適需要地として設定されており、LNG受入基地Aにおいて貯蔵LNG残量が略全て使用される場合である。即ち、他の配船計画を作成するまでもなくLNG受入基地Aにおいて最大利益が得られると言えるため、処理を終了し、最適需要地としてLNG受入基地Aを出力する。
【0054】
貯蔵LNG残量判定手段19は、最初のステップ#203またはステップ#205実行時における貯蔵LNG残量判定手段19の判定により、貯蔵LNG残量が有る場合は(ステップ#301でYES分岐)、最適需要地を最適需要地以外の2番目以降の利益が得られる需要地を仮最適需要地として仮設定する(ステップ#302)。詳細には、貯蔵LNG残量判定手段19は、図4に示すLNG受入基地Cを仮最適需要地として設定する。尚、この場合には、ステップ#200において、図4に示すLNG受入基地Bが第2の最適需要地として設定されている。
【0055】
貯蔵LNG残量判定手段19は、仮最適需要地における2番目以降の利益がLNG利益である場合は、仮最適需要地におけるLNG需要を、到達予定日以降のLNG需要予測データ11aに基づいて導出し、仮最適需要地におけるLNG需要とLNGタンカー船7の貯蔵LNG量より、仮最適需要地におけるLNG荷下ろし後の貯蔵LNG仮残量の有無を判定し、仮最適需要地における2番目以降の利益が電力利益である場合は、仮最適需要地における電力需要を、到達予定日以降の電力需要予測データ11cに基づいて導出し、仮最適需要地における電力需要とLNGタンカー船7の貯蔵LNG量とLNGタンカー船7の発電能力より、仮最適需要地における発電電力の売電後の貯蔵LNG仮残量の有無を判定する(ステップ#303)。尚、本実施形態における貯蔵LNG仮残量の有無の判定は、上記第2実施形態と同様に、貯蔵LNG仮残量の値が所定の閾値以上の場合に貯蔵LNG仮残量が有ると判定する。
【0056】
続いて、最適需要地決定手段18は、ステップ#303における貯蔵LNG残量判定手段19の判定により、貯蔵LNG仮残量が無い場合は(ステップ#303でNO分岐)、最適需要地における最大利益と第2の最適需要地における最大利益の和と、仮最適需要地における2番目以降の利益を比較する(ステップ#304)。詳細には、最適需要地決定手段18は、最適需要地についてLNG受入基地A及びBの最大利益の和を算出し、仮最適需要地についてLNG受入基地Cの最大利益を算出し、これらを比較する。
【0057】
引き続き、最適需要地決定手段18は、2番目以降の利益の方が大きい場合は、仮最適需要地を最適需要地に変更する(ステップ#305)。ここでは、LNG受入基地Cの最大利益が、LNG受入基地A及びBの最大利益の和より大きい場合に、最適需要地をLNG受入基地Cに変更する。
【0058】
最適需要地決定手段18は、ステップ#303における貯蔵LNG残量判定手段19の判定により、貯蔵LNG仮残量が有る場合は(ステップ#303でNO分岐)、到達予定日算出手段15が、LNGタンカー船7の現在位置を仮最適需要地に、現在日を仮最適需要地の出港可能日に設定して、各需要地への到達予定日を再計算する(ステップ#401)。ここでは、LNG受入基地CからLNG受入基地A、B、Dへの到達予定日を再計算し、LNG受入基地Cの到達予定日を現在日に設定する。更に、配船コスト算出手段16が、到達予定日算出手段15が算出した各需要地までの運行距離及び到達予定日に基づいて、現在位置(仮最適需要地C)から各需要地までの配船コストを算出する(ステップ#402)。ここでは、LNG受入基地CからLNG受入基地A、B、Dまでの配船コストを算出し、LNG受入基地Cに対する配船コストを0とする。
【0059】
続いて、利益算出手段17が、再計算された到達予定日に基づいて、仮最適需要地以外の各需要地におけるLNG利益と電力利益を再計算し(ステップ#403)、最適需要地決定手段18が、各需要地におけるLNG利益と電力利益を比較して最大利益が得られる第2の仮最適需要地を決定する(ステップ#404)。ここでは、図4に示すLNG受入基地Dが第2の仮最適需要地として設定される。尚、本実施形態では、更に、ステップ#303、#401〜#404を繰り返し実行し、貯蔵LNG仮残量が無いと判定されるまで仮最適需要地を決定するように構成する。これによって、LNGタンカー船7のLNGタンクの貯蔵能力をより有効活用することができる。
【0060】
最適需要地決定手段18は、ステップ#401〜ステップ#404を実行した後、ステップ#303において貯蔵LNG仮残量が無いと判定された場合は、最適需要地における最大利益と第2の最適需要地における最大利益の和と、仮最適需要地における2番目以降の利益と第2の仮最適需要地における最大利益の和を比較する(ステップ#304)。詳細には、ここでは、最適需要地決定手段18は、最適需要地についてLNG受入基地A及びBの最大利益の和を算出し、仮最適需要地についてLNG受入基地C及びDの最大利益の和を算出し、これらを比較する。
【0061】
引き続き、最適需要地決定手段18は、2番目以降の利益と第2の仮最適需要地における最大利益の和の方が大きい場合に、仮最適需要地を最適需要地に、第2の仮最適需要地を第2の最適需要地に、夫々変更する(ステップ#305)。ここでは、LNG受入基地C及びDの最大利益の和が、LNG受入基地A及びBの最大利益の和より大きい場合に、最適需要地をLNG受入基地Cに変更し、第2の最適需要地をLNG受入基地Dに変更する。このように構成することで、1または複数の需要地に対しLNGまたは電力の供給を行う配船計画の利益を相互に比較し、最大利益が得られる配船計画を設定することができるので、LNGタンカー船7の運航効率の向上、収益の最大化を図ることができる。
【0062】
〈第4実施形態〉
次に、本発明システム1の第4実施形態について図8及び図9に基づいて説明する。本実施形態の本発明システム1は、上記第1乃至第3実施形態の本発明システム1の各機能に加え、LNG需要価格予測システム2及び電力需要価格予測システム3が構築されている。更に、気象データの実績値収集及び予測値算出を行う既知の気象予測システム5、及び、経済指標データの実績値収集及び予測値算出を行う既知の経済推計システム6を備えている。
【0063】
先ず、LNG需要価格予測システム2について図面を基に説明する。ここで、図8は、LNG需要価格予測システム2の概略構成を示すブロック図である。
【0064】
LNG需要価格予測システム2は、図8に示すように、LNG実績データベース21、LNG需要価格相関手段22、LNG需要定式化手段23、LNG需要予測基礎データ入力部24、LNG予測手段25、及び、LNG価格手段26を備えている。尚、ここでは、1ヶ月単位でLNG需要及びLNG価格を予測する場合について説明する。
【0065】
LNG実績データベース21は、需要地の少なくとも1つにおける、LNG需要とLNG価格の過去の実績データと、LNG需要と関連する気象データ及び経済指標データの過去の実績データを記憶する。ここでの気象データは、月毎の気温、湿度、天候等であり、経済指標データは、月毎のGDP等である。
【0066】
LNG需要価格相関手段22は、少なくとも1つの需要地におけるLNG需要とLNG価格の関係をLNG実績データベース21に記憶された実績データに基づいて分析して定式化する。ここでは、図4に示す需要地A〜Dの夫々について、LNG需要とLNG価格の関係を定式化する。
【0067】
LNG需要定式化手段23は、少なくとも1つの需要地におけるLNG需要を気象データと経済指標データから説明する重回帰式を重回帰分析により定式化する。詳細には、図4に示す需要地A〜Dの夫々について、LNG需要Y(n)を目的変数とし、気象データC(n)及び経済指標データB(n)を説明変数とする重回帰式を作成する。この重回帰式は、数1の式で与えられる。ここで、nは月を示す変数である。この重回帰式に、過去のLNG需要の実績値、気象データ及び経済指標データの実績値を入力して各回帰係数aを求める。
【0068】
[数1]
Y(n)=a×C(n)+a×B(n)+a
【0069】
LNG需要予測基礎データ入力部24は、少なくとも1つの需要地における気象データと経済指標データからなる需要予測基礎データの所定期間の予測データの入力を受け付けて需要予測基礎データベースに記憶する。本実施形態では、半年後までの気象データ及び経済指標データの予測を気象予測システム5及び経済推計システム6から取得し、需要予測基礎データベースに記憶する。
【0070】
LNG予測手段25は、LNG需要定式化手段23により定式化された重回帰式に需要予測基礎データの予測データを代入して、所定期間内のLNG需要を予測する。詳細には、数1の重回帰式に、予測対象月の気象データ及び経済指標データの予測値を当てはめて、予測対象月のLNG需要Y(n)を求める。
【0071】
LNG価格手段26は、LNG需要価格相関手段22より定式化されたLNG需要とLNG価格の関係と、LNG予測手段25が予測したLNG需要Y(n)に基づいて、所定期間内のLNG価格を予測する。
【0072】
次に、電力需要価格予測システム3について図面を基に説明する。ここで、図9は、電力需要価格予測システム3の概略構成を示すブロック図である。
【0073】
電力需要価格予測システム3は、図9に示すように、電力実績データベース31、電力需要価格相関手段32、電力需要定式化手段33、電力需要予測基礎データ入力部34、電力予測手段35、及び、電力価格手段36を備えている。尚、ここでは、LMG需要価格予測システムと同様に、1ヶ月単位で電力需要及び電力価格の予測を行う。
【0074】
電力実績データベース31は、需要地の少なくとも1つにおける、電力需要と電力価格の過去の実績データと、電力需要と関連する気象データ及び経済指標データの過去の実績データを記憶する。ここでの気象データは、月毎の気温、湿度、天候等であり、経済指標データは、月毎のGDP等である。
【0075】
電力需要価格相関手段32は、少なくとも1つの需要地における電力需要と電力価格の関係を電力実績データベース31に記憶された実績データに基づいて分析して定式化する。ここでは、LMG需要価格予測システムと同様に、図4に示す需要地A〜Dの夫々について、電力需要と電力価格の関係を定式化する。
【0076】
電力需要定式化手段33は、少なくとも1つの需要地における電力需要を気象データと経済指標データから説明する重回帰式を重回帰分析により定式化する。詳細には、図4に示す需要地A〜Dの夫々について、電力需要Z(n)を目的変数とし、気象データC(n)及び経済指標データB(n)を説明変数とする重回帰式を作成する。この重回帰式は、数2の式で与えられる。ここで、nは月を示す変数である。この重回帰式に、過去のLNG需要の実績値、気象データ及び経済指標データの実績値を入力して各回帰係数bを求める。
【0077】
[数2]
Z(n)=b×C(n)+b×B(n)+b
【0078】
電力需要予測基礎データ入力部34は、少なくとも1つの需要地における気象データと経済指標データからなる需要予測基礎データの所定期間の予測データの入力を受け付けて需要予測基礎データベースに記憶する。尚、需要予測基礎データベースは、LMG需要価格予測システムの需要予測基礎データベースと共通に用いるように構成しても良い。
【0079】
電力予測手段35は、電力需要定式化手段33により定式化された重回帰式に需要予測基礎データの予測データを代入して、所定期間内の電力需要を予測する。詳細には、数2の重回帰式に、予測対象月の気象データ及び経済指標データの予測値を当てはめて、予測対象月の電力需要Z(n)を求める。
【0080】
電力価格手段36は、電力需要価格相関手段32より定式化された電力需要と電力価格の関係と、電力予測手段35が予測した電力需要Z(n)に基づいて、所定期間内の電力価格を予測する。
【0081】
尚、本実施形態では、LNG需要価格予測システム2及び電力需要価格予測システム3を備える構成としたが、何れか一方のみを備える構成としても構わない。また、気象予測システム5は、気象庁等から気象データを購入するように構成し、気象データの収集のみを行うシステムであっても良い。同様に、経済推計システム6についても、経済指標データの収集のみを行うシステムであっても良い。
【0082】
〈第5実施形態〉
次に、本発明システム1の第5実施形態について図面を基に説明する。尚、上記各実施形態では、複数の需要地から最適需要地を選択する構成について説明したが、本実施形態の本発明システム1は、LNG需要及び電力需要を有する所定の需要地におけるLNG利益及び電力利益を出力するものであり、例えば、LNGタンカー船7の入港予定地が決まっている場合に有用である。
【0083】
以下、本実施形態における本発明システム1の機能及び処理手順について説明する。
【0084】
ここで、本実施形態の需要価格予測データベース11、LNG需要地データベース12、発電情報データベース13、需要予測データ入力部14、及び、到達予定日算出手段15は、上記各実施形態における各機能と同等の機能を有しており、本実施形態では説明を割愛する。但し、本実施形態において、需要価格予測データベース11及び需要予測データ入力部14は、LNG需要及び電力需要を有する所定の需要地におけるLNG価格予測データ11bと電力価格予測データ11dのみを扱う構成とし、到達予定日算出手段15は、所定の需要地に対する到達予定日のみを算出する。
【0085】
利益算出手段17は、所定の需要地における、到達予定日以降のLNG価格予測データ11bと電力価格予測データ11d、LNG荷下ろしコストに係る情報、及び、発電コストに係る情報に基づいて、単位LNG量当たりのLNG荷下ろしによるLNG利益と発電電力の売電による電力利益を算出する。更に、本実施形態の利益算出手段17は、LNG利益と電力利益を出力する。これによって、LNG荷下ろし及び売電の何れを行うことが有利であるかを容易に判断することができ、収益の最大化を図ることができる。
【0086】
尚、本実施形態では、配船コスト算出手段16及び最適需要地決定手段18を備えていなくても良い。ところで、本実施形態では、同一の需要地に対するLNG利益及び電力利益を算出する構成であることから、配船コストが同じ値になる。配船コストを求めることでLNG利益及び電力利益を正確に算出できるが、本実施形態の本発明システム1は、LNG荷下ろし及び売電の何れを行うことが収益的に適切であるかを求めることを目的としているため、同一の値となる配船コストを考慮する必要がなく、配船コスト算出手段16を備える必要が無いものである。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明に係るLNGタンカー船最適配船計画システム及び周辺装置の概略構成を示すブロック図
【図2】本発明に係るLNGタンカー船最適配船計画システムの第1実施形態における概略構成を示すブロック図
【図3】本発明に係るLNGタンカー船最適配船計画システムの第1実施形態における処理手順を示すフローチャート
【図4】LNG受入基地と現在地との関係を示す説明図
【図5】本発明に係るLNGタンカー船最適配船計画システムの第2実施形態における概略構成を示すブロック図
【図6】本発明に係るLNGタンカー船最適配船計画システムの第2実施形態における処理手順を示すフローチャート
【図7】本発明に係るLNGタンカー船最適配船計画システムの第3実施形態における処理手順を示すフローチャート
【図8】本発明に係るLNGタンカー船最適配船計画システムのLNG需要価格予測システムの概略構成を示すブロック図
【図9】本発明に係るLNGタンカー船最適配船計画システムの電力需要価格予測システムの概略構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0088】
1: LNGタンカー船最適配船計画システム
2: LNG需要価格予測システム
3: 電力需要価格予測システム
4: 配船管理システム
5: 気象予測システム
6: 経済推計システム
7: LNGタンカー船
11: 需要価格予測データベース
11a: LNG需要予測データ
11b: LNG価格予測データ
11c: 電力需要予測データ
11d: 電力価格予測データ
12: LNG需要地データベース
13: 発電情報データベース
14: 需要予測データ入力部
15: 到達予定日算出手段
16: 配船コスト算出手段
17: 利益算出手段
18: 最適需要地決定手段
19: 貯蔵LNG残量判定手段
21: LNG実績データベース
22: LNG需要価格相関手段
23: LNG需要定式化手段
24: LNG需要予測基礎データ入力部
25: LNG予測手段
26: LNG価格手段
31: 電力実績データベース
32: 電力需要価格相関手段
33: 電力需要定式化手段
34: 電力需要予測基礎データ入力部
35: 電力予測手段
36: 電力価格手段
41: LNGタンカー船データベース
42: LNG貯蔵設備管理装置
43: LNGタンカー船運行管理装置
44: LNG生産設備管理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともLNG需要を有する1または複数の需要地におけるLNG需要予測データとLNG価格予測データ、及び、少なくとも電力需要を有する1または複数の需要地における電力需要予測データと電力価格予測データを記憶可能な需要価格予測データベースと、
少なくともLNG需要を有する前記各需要地におけるLNG貯蔵設備情報、LNG荷下ろしコストに係る情報を記憶したLNG需要地データベースと、
LNGタンカー船の発電能力、発電コストに係る情報を記憶した発電情報データベースと、
前記LNG需要予測データ、前記LNG価格予測データ、前記電力需要予測データ、及び、前記電力価格予測データの入力を受け付けて前記需要予測データベースに記憶する需要予測データ入力部と、
前記LNGタンカー船の現在位置を把握し、前記各需要地の位置情報に基づいて前記各需要地までの運行距離を計算し、各運行航路上の気象データを入手して、前記気象データ、前記運行距離、及び、前記LNGタンカー船の運行能力に基づいて前記各需要地への到達予定日を計算する到達予定日算出手段と、
前記到達予定日算出手段が算出した前記各需要地までの運行距離及び前記到達予定日に基づいて前記各需要地までの配船コストを算出する配船コスト算出手段と、
前記各需要地における、前記到達予定日以降の前記LNG価格予測データと前記電力価格予測データ、前記LNG荷下ろしコストに係る情報、前記発電コストに係る情報、及び、前記配船コストに基づいて、単位LNG量当たりのLNG荷下ろしによるLNG利益と発電電力の売電による電力利益を算出する利益算出手段と、
前記利益算出手段が算出した前記各需要地における前記LNG利益と前記電力利益を比較して最大利益が得られる最適需要地を決定する最適需要地決定手段と、
を備えてなることを特徴とするLNGタンカー船最適配船計画システム。
【請求項2】
前記最適需要地における前記最大利益が前記LNG利益である場合は、前記最適需要地におけるLNG需要を、前記到達予定日以降の前記LNG需要予測データに基づいて導出し、前記最適需要地におけるLNG需要と前記LNGタンカー船の貯蔵LNG量より、前記最適需要地におけるLNG荷下ろし後の前記貯蔵LNG残量の有無を判定し、前記最適需要地における前記最大利益が前記電力利益である場合は、前記最適需要地における電力需要を、前記到達予定日以降の前記電力需要予測データに基づいて導出し、前記最適需要地における電力需要と前記LNGタンカー船の前記貯蔵LNG量と前記LNGタンカー船の前記発電能力より、前記最適需要地における発電電力の売電後の前記貯蔵LNG残量の有無を判定する貯蔵LNG残量判定手段を備え、
前記貯蔵LNG残量判定手段の判定により、前記貯蔵LNG残量が有る場合は、前記到達予定日算出手段が、前記LNGタンカー船の現在位置を前記最適需要地に、現在日を前記最適需要地の出港可能日に設定して、前記各需要地への到達予定日を再計算し、
前記利益算出手段が、再計算された前記到達予定日に基づいて、前記最適需要地以外の前記各需要地における前記LNG利益と前記電力利益を再計算し、
前記最適需要地決定手段が、前記各需要地における前記LNG利益と前記電力利益を比較して最大利益が得られる第2の最適需要地を決定することを特徴とする請求項1に記載のLNGタンカー船最適配船計画システム。
【請求項3】
前記貯蔵LNG残量判定手段の判定により、前記貯蔵LNG残量が有る場合は、前記貯蔵LNG残量判定手段は、前記最適需要地を前記最適需要地以外の2番目以降の利益が得られる前記需要地を仮最適需要地として、前記仮最適需要地における前記2番目以降の利益が前記LNG利益である場合は、前記仮最適需要地におけるLNG需要を、前記到達予定日以降の前記LNG需要予測データに基づいて導出し、前記仮最適需要地におけるLNG需要と前記LNGタンカー船の貯蔵LNG量より、前記仮最適需要地におけるLNG荷下ろし後の前記貯蔵LNG仮残量の有無を判定し、前記仮最適需要地における前記2番目以降の利益が前記電力利益である場合は、前記仮最適需要地における電力需要を、前記到達予定日以降の前記電力需要予測データに基づいて導出し、前記仮最適需要地における電力需要と前記LNGタンカー船の前記貯蔵LNG量と前記LNGタンカー船の前記発電能力より、前記仮最適需要地における発電電力の売電後の前記貯蔵LNG仮残量の有無を判定し、
前記最適需要地決定手段は、前記貯蔵LNG残量判定手段の判定により、前記貯蔵LNG仮残量が無い場合は、前記最適需要地における前記最大利益と前記第2の最適需要地における前記最大利益の和と、前記仮最適需要地における前記2番目以降の利益を比較し、前記2番目以降の利益の方が大きい場合は、前記仮最適需要地を最適需要地に変更することを特徴とする請求項2に記載のLNGタンカー船最適配船計画システム。
【請求項4】
前記貯蔵LNG残量判定手段の判定により、前記貯蔵LNG仮残量が有る場合は、前記到達予定日算出手段が、前記LNGタンカー船の現在位置を前記仮最適需要地に、現在日を前記仮最適需要地の出港可能日に設定して、前記各需要地への到達予定日を再計算し、
前記利益算出手段が、再計算された前記到達予定日に基づいて、前記仮最適需要地以外の前記各需要地における前記LNG利益と前記電力利益を再計算し、
前記最適需要地決定手段が、前記各需要地における前記LNG利益と前記電力利益を比較して最大利益が得られる第2の仮最適需要地を決定し、
前記最適需要地決定手段は、前記最適需要地における前記最大利益と前記第2の最適需要地における前記最大利益の和と、前記仮最適需要地における前記2番目以降の利益と前記第2の仮最適需要地における前記最大利益の和を比較し、前記2番目以降の利益と前記第2の仮最適需要地における前記最大利益の和の方が大きい場合に、前記仮最適需要地を最適需要地に、前記第2の仮最適需要地を前記第2の最適需要地に、夫々変更することを特徴とする請求項3に記載のLNGタンカー船最適配船計画システム。
【請求項5】
前記貯蔵LNG量の内訳として、所定のLNG需要地に対して必ずLNG荷下ろしを行わなければならない規定量が含まれる場合、前記貯蔵LNG残量判定手段は、前記貯蔵LNG量を正味の貯蔵LNG量から前記規定量を差し引いた残量として使用することを特徴とする請求項2〜4の何れか1項に記載のLNGタンカー船最適配船計画システム。
【請求項6】
LNG需要及び電力需要を有する需要地におけるLNG価格予測データと電力価格予測データを記憶可能な需要価格予測データベースと、
前記需要地におけるLNG貯蔵設備情報、LNG荷下ろしコストに係る情報を記憶したLNG需要地データベースと、
LNGタンカー船の発電能力、発電コストに係る情報を記憶した発電情報データベースと、
前記LNG価格予測データと前記電力価格予測データの入力を受け付けて前記需要予測データベースに記憶する需要予測データ入力部と、
前記LNGタンカー船の現在位置を把握し、前記需要地の位置情報に基づいて前記需要地までの運行距離を計算し、運行航路上の気象データを入手して、前記気象データ、前記運行距離、及び、前記LNGタンカー船の運行能力に基づいて前記需要地への到達予定日を計算する到達予定日算出手段と、
前記需要地における、前記到達予定日以降の前記LNG価格予測データと前記電力価格予測データ、前記LNG荷下ろしコストに係る情報、及び、前記発電コストに係る情報に基づいて、単位LNG量当たりのLNG荷下ろしによるLNG利益と発電電力の売電による電力利益を算出する利益算出手段と、
を備えてなることを特徴とするLNGタンカー船最適配船計画システム。
【請求項7】
前記需要地の少なくとも1つにおける、LNG需要とLNG価格の過去の実績データと、LNG需要と関連する気象データ及び経済指標データの過去の実績データを記憶するLNG実績データベースと、
前記少なくとも1つの需要地におけるLNG需要とLNG価格の関係を前記LNG実績データベースに記憶された実績データに基づいて分析して定式化するLNG需要価格相関手段と、
前記少なくとも1つの需要地におけるLNG需要を前記気象データと前記経済指標データから説明する重回帰式を重回帰分析により定式化するLNG需要定式化手段と、
前記少なくとも1つの需要地における前記気象データと前記経済指標データからなる需要予測基礎データの所定期間の予測データの入力を受け付けて需要予測基礎データベースに記憶する需要予測基礎データ入力部と、
前記LNG需要定式化手段により定式化された前記重回帰式に前記需要予測基礎データの予測データを代入して、前記所定期間内のLNG需要を予測するLNG予測手段と、
前記LNG需要価格相関手段より定式化されたLNG需要とLNG価格の関係と、前記LNG予測手段が予測した前記LNG需要に基づいて、前記所定期間内のLNG価格を予測するLNG価格手段と、を更に備えることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のLNGタンカー船最適配船計画システム。
【請求項8】
前記需要地の少なくとも1つにおける、電力需要と電力価格の過去の実績データと、電力需要と関連する気象データ及び経済指標データの過去の実績データを記憶する電力実績データベースと、
前記少なくとも1つの需要地における電力需要と電力価格の関係を前記電力実績データベースに記憶された実績データに基づいて分析して定式化する電力需要価格相関手段と、
前記少なくとも1つの需要地における電力需要を前記気象データと前記経済指標データから説明する重回帰式を重回帰分析により定式化する電力需要定式化手段と、
前記少なくとも1つの需要地における前記気象データと前記経済指標データからなる需要予測基礎データの所定期間の予測データの入力を受け付けて需要予測基礎データベースに記憶する需要予測基礎データ入力部と、
前記電力需要定式化手段により定式化された前記重回帰式に前記需要予測基礎データの予測データを代入して、前記所定期間内の電力需要を予測する電力予測手段と、
前記電力需要価格相関手段より定式化された電力需要と電力価格の関係と、前記電力予測手段が予測した前記電力需要に基づいて、前記所定期間内の電力価格を予測する電力価格手段と、を更に備えることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のLNGタンカー船最適配船計画システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−260155(P2006−260155A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−76553(P2005−76553)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)