説明

Mg(OH)2を含む微細結晶体を形成する方法

【課題】本発明は、有機物のような不純物の取り込みが有意に抑制され、基材との密着性の良好なMg(OH)2微細結晶体を形成する方法を提供する。
【解決手段】Mg(OH)2を含む微細結晶体を形成する方法であって、(A)マグネシウムまたはマグネシウム合金を含む基材を準備するステップと、(B)硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウムおよび塩化アンモニウムのうちの少なくとも一つを含む溶液を準備するステップと、(C)前記溶液中に前記基材を浸漬させるステップと、(D)前記ステップ(C)の状態で、前記基材が浸漬された溶液を、所定の時間、所定の温度に保持するステップであって、これにより、前記基材上に、Mg(OH)2を含む微細結晶体が形成されるステップと、を有することを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Mg(OH)2を含む微細結晶体を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体材料、電子部品、溶液中の毒性公害物質に対する吸着剤、超はっ水表面の構造体、および耐食性皮膜等の様々な技術分野において、Mg(OH)2で構成された、ナノスケールまたはマイクロスケールレベルの微細構造を有する微細結晶体が注目されている(例えば特許文献1、2、および非特許文献1、2)。
【特許文献1】特開2007−308802号公報
【特許文献2】特開2008−125622号公報
【非特許文献1】Ding,Y.;Zhang, G.;Wu,H.; Hai,B.; Wang,L.;Qian,Y.,Nanoscale Magnesium Hydroxide and Magnesium Oxide Powders:Control over Size,Shape,and Structure via Hydrothermal Synthesis,Chem.Mater.,13,435,2001
【非特許文献2】Li,Y.;Sui,M.;Ding,Y.; Zhang,G.;Zhuang,J.Wang,C.,Preparation of Mg(OH)2 Nanorods,Adv.Mater.,12,818,2000
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常、このようなMg(OH)2微細結晶体は、いわゆる水熱合成法により形成される。水熱合成法では、金属源となるマグネシウム塩と、有機物を含む界面活性剤とを用いて、Mg(OH)2微細結晶体が形成される。
【0004】
しかしながら、界面活性剤に含まれる有機物は、Mg(OH)2微細結晶体が形成される過程で、このMg(OH)2微細結晶体に、不純物として取り込まれる。このような有機物は、Mg(OH)2微細結晶体の純度を低下させ、さらには、最終的に得られるMg(OH)2微細結晶体の各種特性を低下させるおそれがある。
【0005】
また、従来の方法では、Mg(OH)2微細結晶体が形成された後、反応系に、余剰の金属塩が残存してしまう。従って、このような余剰の金属塩を回収処理するための余分な工程が必要となり、形成プロセスが複雑化してしまう。
【0006】
さらに、従来の方法では、形成されたMg(OH)2微細結晶体を一旦系外に取り出した後、別途、所望の基材上にMg(OH)2微細結晶体を固定化させる必要がある。しかしながら、そのような方法で基材に固定化されたMg(OH)2微細結晶体は、基材に対する密着性が低いという問題がある。
【0007】
また、この問題を軽減するため(すなわち、密着性を向上させるため)、Mg(OH)2微細結晶体を基材上に固定化してから、比較的高温の、例えば200℃〜500℃の温度範囲で、加熱処理を行うことが考えられる。しかしながら、このような加熱処理を実施した場合、Mg(OH)2微細結晶体の表面構造、結晶構造等が変化してしまい、目的とする機能が得られなくなる可能性がある。また、そもそも、このような加熱処理は、Mg(OH)2微細結晶体を形成するプロセスコストを増大させる要因となるとともに、形成プロセスが複雑化してしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、本発明では、有機物のような不純物の取り込みが有意に抑制され、基材との間の密着性が良好なMg(OH)2微細結晶体を形成する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、Mg(OH)2を含む微細結晶体を形成する方法であって、
(A)マグネシウムまたはマグネシウム合金を含む基材を準備するステップと、
(B)硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウムおよび塩化アンモニウムのうちの少なくとも一つを含む溶液を準備するステップと、
(D)前記ステップ(C)の状態で、前記基材が浸漬された溶液を、所定の時間、所定の温度に保持するステップであって、これにより、前記基材上に、Mg(OH)2を含む微細結晶体が形成されるステップと、
を有することを特徴とする方法が提供される。
【0010】
ここで、本願において、「微細結晶体」とは、ナノオーダーからミクロンオーダのような微細なレベルの複数の結晶の組み合わせにより構成された、結晶質な構造の総称を意味する。通常の場合、微細な結晶同士の間には、隙間が形成される傾向があるため、このような場合には、「微細結晶体」とは、ナノオーダーからミクロンオーダのような微細なレベルの凹凸を有する結晶質な構造であるとも言える。
【0011】
なお、本発明の方法において、前記ステップ(B)において使用される溶液は、さらに、アルカリ金属の水酸化物を含んでも良い。
【0012】
また、本発明の方法において、前記ステップ(D)は、前記基材が浸漬された溶液を、最大200℃以下の温度に保持するステップを有しても良い。
【0013】
また、本発明の方法において、前記ステップ(D)の間、前記溶液のpHは、5〜12の範囲に保持されても良い。
【0014】
さらに、本発明の方法において、前記ステップ(D)は、前記基材が浸漬された溶液を、前記ステップ(C)の状態で、1時間〜24時間保持するステップを有しても良い。
【0015】
また本発明の方法において、前記微細結晶体は、さらに、[Mg1-xAl(OH)2](NO3)を含んでも良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、有機物のような不純物の取り込みが有意に抑制され、基材との間の密着性が良好なMg(OH)2微細結晶体を形成する方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明についてより詳しく説明する。
【0018】
本発明による、Mg(OH)2を含む微細結晶体を形成する方法は、
(A)マグネシウムまたはマグネシウム合金を含む基材を準備するステップと、
(B)硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウムおよび塩化アンモニウムのうちの少なくとも一つを含む溶液を準備するステップと、
(D)前記ステップ(C)の状態で、前記基材が浸漬された溶液を、所定の時間、所定の温度に保持するステップであって、これにより、前記基材上に、Mg(OH)2を含む微細結晶体が形成されるステップと、
を有することを特徴とする。
【0019】
以下、各ステップについて、詳しく説明する。
【0020】
(ステップA)
まず、表面に、Mg(OH)2を含む微細結晶体を形成するための、マグネシウムまたはマグネシウム合金を含む基材が準備される。マグネシウム合金の組成は、特に限られず、例えば、ASTM−AZ31(3%程度のアルミニウムと、1%程度の亜鉛とを含むマグネシウム合金)、ASTM−AZ61(6%程度のアルミニウムと、1%程度の亜鉛とを含むマグネシウム合金)、およびASTM−ZK60(6%程度の亜鉛と、1%程度のジルコニウムとを含むマグネシウム合金)等を使用しても良い。
【0021】
(ステップB)
次に、前記基材を浸漬するための溶液が調製される。溶液は、例えば、硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウムおよび/または塩化アンモニウムを含むものであっても良い。これらの濃度は、特に限られないが、例えば、0.001M〜1M程度である。
【0022】
なお、溶液のpHは、特に限られないが、5〜12程度であることが好ましく、6〜8程度であることがより好ましい。このため、溶液には、さらに、アルカリ金属の水酸化物が添加されても良い。アルカリ金属の水酸化物は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウムであっても良い。
【0023】
ここで特徴的なことは、溶液中には、マグネシウムを含む塩のような物質を添加する必要がないことである。すなわち、本発明では、Mg(OH)2微細結晶体に含まれるマグネシウムは、基材側から供給される。換言すれば、マグネシウムは、基材側から反応に必要な量だけ、供給される。従って、本発明では、従来の方法のように、反応後に、余剰の金属塩が溶液中に残存することがなく、追加の廃液回収工程が不要になるという効果が得られる。
【0024】
(ステップC〜D)
次に、前記溶液中に基材が浸漬される。基材は、溶液中に浸漬した状態で、所定の処理温度に所定の処理時間、保持される。処理温度は、室温から最大200℃程度まで(例えば150℃)の広い範囲に設定できる。処理時間は、処理温度に依存するため、特に限定されないが、例えば、1時間〜24時間の範囲であっても良い。
【0025】
なお、処理の間も、溶液のpHは、5〜12程度(例えば6〜8)に保持することが好ましい。このため、必要に応じて、溶液中にpH調製剤が添加されても良い。
【0026】
以上の処理により、基材上に、Mg(OH)2を含む微細結晶体を形成することができる。
【0027】
このような本発明によるMg(OH)2を含む微細結晶体の形成方法では、以下に示す効果が得られる。
【0028】
(1)従来の方法では、Mg(OH)2微細結晶体の形成過程において、有機物を含む物質(例えば界面活性剤等)が使用される。しかしながら、このような有機物が使用された場合、形成過程において、微細結晶体中に有機物が取り込まれ、最終的に得られるMg(OH)2微細結晶体中に、有機物が残留する可能性が高くなる。このような有機物は、Mg(OH)2微細結晶体の特性に、悪影響を及ぼすおそれがある。
【0029】
これに対して、本発明による方法では、Mg(OH)2微細結晶体の形成過程において、従来のような有機物を含む物質は、使用されていない。従って、Mg(OH)2微細結晶体中への有機物の混入を、有意に抑制することができる。
【0030】
(2)従来の方法では、基材等の表面に、Mg(OH)2微細結晶体を固定化する際、数百℃程度の温度で、加熱処理が実施される。これは、このような熱処理を実施しないと、基材等の表面と、Mg(OH)2微細結晶体との間に、良好な密着性が得られないためである。また、得られたMg(OH)2微細形成物が非晶質の場合も、これを結晶化させるため、熱処理を実施する必要がある。
【0031】
しかしながら、このような高温での熱処理を行った場合、Mg(OH)2微細結晶体の表面構造および/または結晶構造等が変化してしまい、目的とする機能が得られなくなる可能性がある。また、そもそも、このような高温での加熱処理は、Mg(OH)2微細結晶体を形成する際のコストを増大させる要因となるとともに、形成プロセスが複雑化してしまうという問題がある。
【0032】
これに対して、本発明による方法は、基材として、マグネシウムまたはマグネシウム合金が使用され、この基材がマグネシウムの発生源として利用されるため、得られるMg(OH)2微細結晶体と基材との間に、良好な密着性が得られる。また、得られるMg(OH)2は、結晶質である。
【0033】
従って、本発明では、従来のような高温加熱処理を実施する必要がなくなり、熱処理によって、Mg(OH)2微細結晶体の構造が変化し、特性が劣化してしまうと言う問題を回避することができる。
【0034】
(3)本発明による方法では、溶液のpH、温度および/または反応時間等のパラメータを調節することにより、Mg(OH)2微細結晶体の特性、例えば密度、寸法等を容易に制御することができる。
【0035】
(4)本発明による方法では、溶液中から、基材表面に直接、Mg(OH)2微細結晶体が形成される。従って、本発明による方法は、基材形状の制約を受けにくく、平板状基板の他、各種複雑形状の基材にも、Mg(OH)2微細結晶体を設置することができる。例えば、粒子等の表面にも、Mg(OH)2微細結晶体を設置することができる。
【0036】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例】
【0037】
(Mg(OH)2微細結晶体の形成)
以下の方法で、マグネシウム合金上にMg(OH)2微細結晶体を形成した。
【0038】
まず、硝酸アンモニウム ([NH4]NO3) 0.4002 gを50 mlの超純水中に溶解し、さらに、この溶液中に、0.1Mの水酸化ナトリウムを1mlを加えた。
【0039】
次に、この溶液中に、基板(マグネシウム合金AZ31)を浸漬し、この状態で、基板を溶液ごと昇温装置上に設置した。溶液を150℃に保持し、所定の処理時間(1〜24時間程度)、この状態に保持した。この間、適宜溶液のpHを測定し、pHを7.5に維持した。
【0040】
その後、基板を取り出し、基板をエタノール中で10分間、超音波洗浄し、さらにアルゴンガスで乾燥させた。
【0041】
以上の処理により、基板表面は、黄土色(処理時間が比較的短い場合)〜灰色(処理時間が比較的長い場合)等に着色された。
【0042】
(評価結果)
次に、前述のように処理された基板表面に対して、X線回折分析を行った。得られたXRDパターンの代表例を、図1に示す。図1には、処理時間を6時間、12時間、および24時間とした際に得られた基板表面の結果を示している。また、この図には、前述の処理を実施していない、未処理マグネシウム合金(AZ31)基板表面の結果を同時に示した。
【0043】
図において、処理時間に拘わらず、いずれの処理基板表面においても、2θ=18.5、32.8、37.9、50.8、58.7および62.1°の位置に、回折線が観察された。これらは、それぞれ、Mg(OH)2の001、100、101、102、110および111回折線に相当する(JCPDS No. 44-1482)。この結果から、マグネシウム合金(AZ31)基板上に、Mg(OH)2が形成されていることが確認された。
【0044】
なお、図において、各処理基板表面において、2θ=11.3および22.6°の位置にも回折線が観察されている。これらは、[Mg1-xAl(OH)2](NO3)・nH2Oの003および006回折線に相当する(Z.P.Xu et al.,J.Phys.Chem.B,105,1743−1749(2001))。従って、前述の処理方法では、基板表面に、Mg(OH)2に加えて、[Mg1-xAl(OH)2](NO3)が形成されることがわかった。後者の物質に含まれるアルミニウムは、マグネシウム合金(AZ31)基板に、添加元素として含まれているアルミニウムに由来するものと予想される。
【0045】
図1の結果から、Mg(OH)2の110回折線の強度は、非常に強く、Mg(OH)2の結晶は、高い配向性を示していることが示唆される。なお、回折線半値幅からシェラーの式を用いて、Mg(OH)2の(110)面に垂直な方向の結晶子サイズを算出したところ、結晶子サイズは、約15.17nmと見積もられ、Mg(OH)2は、極めて微細な、ナノスケールオーダの結晶として形成されていることがわかった。
【0046】
図2には、各処理後のマグネシウム合金(AZ31)基板表面のFE−SEM像を示す。図において、(a)は、処理時間が1時間の場合の結果であり、(b)、(c)、(d)および(e)は、それぞれ、処理時間が3時間、6時間、12時間および24時間の場合の結果である。
【0047】
この結果から、Mg(OH)2結晶体は、それぞれが極めて微細な厚さを有する「板状」の形態を有しており、これらの板状片が集合して、特有の網目状構造を形成していることがわかる。この網目状構造は、極めて微細なナノスケールオーダの凹凸を形成している。
【0048】
また、処理時間の増加とともに、板状片の寸法(1辺の長さ)、密度および占有面積(表面上の形成領域)が増加する傾向にあることがわかる。
【0049】
図3の(a)、(b)には、Mg(OH)2微細結晶体のTEM写真を示す。また、図3の(c)には、Mg(OH)2微細結晶体の電子線回折像を示す。さらに、図3の(d)には、(b)の高分解能像を示す。
【0050】
図3(a)から、Mg(OH)2微細結晶体は、層状に配向していることがわかる。また、図3(b)から、Mg(OH)2微細結晶体は、極めて薄いナノオーダーの単層からなることがわかる。さらに、図3(c)から、Mg(OH)2微細結晶体は、101回折線に比べて、110回折線の強度がより強くなっており、BruciteタイプのMg(OH)2単相で構成され、アモルファス相を含まないことがわかった。また図3(d)から、Mg(OH)2微細結晶体は、[001] 方向において、結晶の格子面間隔がd=0.47nmという、極めて微細な周期構造で構成されていることが示唆される。
【0051】
図4には、6時間の処理後に得られたMg(OH)2微細結晶体の酸化状態を、X線光電子分光法(XPS)により測定した結果を示す。この結果から、形成されている微細結晶体は、酸化物(MgO)ではなく、水酸化物(Mg(OH)2)の形態であることが確認された。
【0052】
図5には、6時間の処理後に得られたMg(OH)2微細結晶体の化学結合状態を、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)により測定した結果を示す。
【0053】
波数526.5cm-1付近にMg−O振動に起因するブロードなバンドが観測された。また、波数1384.6cm-1付近に、NO32-に起因する非対称性伸縮振動の鋭いピークが観察された。これは、Mg(OH)2微細結晶体の層間に、[Mg1-xAl(OH)2](NO3)に起因する、NO32-が存在するためと考えられる。また、波数3695.9cm-1付近には、Mg(OH)2のOH基に由来すると思われる、O−Hの伸縮振動に起因する鋭いピークが観察された。
【0054】
さらに、波数3500-1から3750cm-1付近には、ブロードなバンドが観察された。このブロードなバンドは、H2O中のO−HやMg−OHの伸縮振動に起因するものであると考えられる。
【0055】
基板表面に得られたMg(OH)2微細結晶体を、アセトン中で、30分間超音波洗浄し、乾燥後、再度Mg(OH)2微細結晶体を観察した。その結果、Mg(OH)2微細結晶体は、アセトンでの超音波洗浄前の状態と同様であり、特に、損壊や剥離は認められなかった。このことから、基板とMg(OH)2微細結晶体との間には、良好な密着性が得られていることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、生体材料、電子部品、溶液中の毒性公害物質に対する吸着剤、超はっ水表面の構造体、および耐食性皮膜等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】溶液中での各時間の処理によりマグネシウム合金(AZ31)上に形成されたMg(OH)2微細結晶体のXRDパターンを、未処理マグネシウム合金(AZ31)基板の結果と比較して示した図である。
【図2】溶液中での各時間の処理によりマグネシウム合金(AZ31)上に形成されたMg(OH)2微細結晶体のFE−SEM像を示した図である。
【図3】Mg(OH)2微細結晶体のTEM写真((a)、(b)、(d))、およびMg(OH)2微細結晶体の電子線回折像((c))を示した図である。
【図4】溶液中での6時間の処理によりマグネシウム合金(AZ31)上に形成されたMg(OH)2微細結晶体のX線光電子分光(XPS)測定の結果を示したグラフである。
【図5】溶液中での6時間の処理によりマグネシウム合金(AZ31)上に形成されたMg(OH)2微細結晶体のフーリエ変換赤外分光(FT−IR)測定の結果を示したグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Mg(OH)2を含む微細結晶体を形成する方法であって、
(A)マグネシウムまたはマグネシウム合金を含む基材を準備するステップと、
(B)硝酸アンモニウム、炭酸アンモニウムおよび塩化アンモニウムのうちの少なくとも一つを含む溶液を準備するステップと、
(C)前記溶液中に前記基材を浸漬させるステップと、
(D)前記ステップ(C)の状態で、前記基材が浸漬された溶液を、所定の時間、所定の温度に保持するステップであって、これにより、前記基材上に、Mg(OH)2を含む微細結晶体が形成されるステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ステップ(B)において使用される溶液は、さらに、アルカリ金属の水酸化物を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップ(D)は、前記基材が浸漬された溶液を、最大200℃以下の温度に保持するステップを有することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップ(D)の間、前記溶液のpHは、5〜12の範囲に保持されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記ステップ(D)は、前記基材が浸漬された溶液を、前記ステップ(C)の状態で、1時間〜24時間保持するステップを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記微細結晶体は、さらに、[Mg1-xAl(OH)2](NO3)を含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の方法。

【図1】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate