説明

N−アルキル−ピリジンメタンアミン類の精製方法

【課題】 ピリジンメタンアミン類の含有量の少ない高純度のN−アルキル−ピリジンメタンアミン類を簡便に製造できる、N−アルキル−ピリジンメタンアミン類の精製方法を提供すること。
【解決手段】 粗N−アルキル−ピリジンメタンアミン類を精製するにあたり、粗N−アルキル−ピリジンメタンアミン類を式(1):
−CHO (1)
(式中、Rは、アリール基、ヘテロアリール基又はアラルキル基を示し、ヘテロアリール基であって、ヘテロ原子が窒素原子又は硫黄原子である場合には、窒素原子又は硫黄原子がアルキル基又はアラルキル基と結合して形成されたカチオンとその対イオンであるアニオンからなる第4級アンモニウム塩残基又はスルホニウム塩残基であってもよい。)で表されるアルデヒド類又は分子内に少なくとも1個のアルデヒド基を有するポリマーで処理することを特徴とするN−アルキル−ピリジンメタンアミン類の精製方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬用原料として有用なN−アルキル−ピリジンメタンアミン類の精製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、N−メチル−3−ピリジンメタンアミン、N−エチル−3−ピリジンメタンアミン等に代表されるN−アルキル−ピリジンメタンアミン類の製造方法としては、シアノピリジン類と対応するモノアルキルアミンを、接触水素化条件下で反応させる方法が知られているが(例えば、特許文献1又は2参照。)、当該方法は、ピリジンメタンアミン類を副生する場合がある。しかし、不純物としてピリジンメタンアミン類を含有するN−アルキル−ピリジンメタンアミン類(以下、粗N−アルキル−ピリジンメタンアミン類という。)からピリジンメタンアミン類を除去する方法については全く記載がない。そこで本発明者らは、蒸留によるN−アルキル−ピリジンメタンアミン類の精製を試みたが、ピリジンメタンアミン類を除去することは困難であった(後述の比較例1参照。)
【特許文献1】米国特許2798077号
【特許文献2】特開平11−171862
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、ピリジンメタンアミン類の含有量の少ない高純度のN−アルキル−ピリジンメタンアミン類を簡便に得ることができる、N−アルキル−ピリジンメタンアミン類の精製方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは上記課題を解決すべく種々検討を行った結果、粗N−アルキル−ピリジンメタンアミン類を特定のアルデヒド化合物で処理したところ、ピリジンメタンアミン類がN−アルキル−ピリジンメタンアミン類よりも優先的に当該アルデヒド化合物と反応してN−アルキル−ピリジンメタンアミン類との分離が容易なイミン化合物に転化するために、粗N−アルキル−ピリジンメタンアミン類からピリジンメタンアミン類を簡便に除去することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち、本発明は、粗N−アルキル−ピリジンメタンアミン類を精製するにあたり、粗N−アルキル−ピリジンメタンアミン類を式(1):
−CHO (1)
(式中、Rは、アリール基、ヘテロアリール基又はアラルキル基を示し、ヘテロアリール基であって、ヘテロ原子が窒素原子又は硫黄原子である場合には、窒素原子又は硫黄原子がアルキル基又はアラルキル基と結合して形成されたカチオンとその対イオンであるアニオンからなる第4級アンモニウム塩残基又はスルホニウム塩残基であってもよい。)で表されるアルデヒド類(以下、アルデヒド類(1)という。)又は分子内に少なくとも1個のアルデヒド基を有するポリマー(以下、アルデヒド基含有ポリマーという。)で処理することを特徴とするN−アルキル−ピリジンメタンアミン類の精製方法に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の方法によれば、ピリジンメタンアミン類が容易に除去されて、高純度のN−アルキル−ピリジンメタンアミン類を簡便に製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、アルデヒド類(1)とアルデヒド基含有ポリマーを総称して、アルデヒド化合物(I)という。
本発明のN−アルキル−ピリジンメタンアミン類は、少なくともピリジン環の炭素原子に結合する1個のN−アルキルアミノメチル基を有するものであり、好ましくは式(2):
【0008】
【化1】

(式中、R及びRは同じであっても異なっていてもよく、炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは0〜4の整数を示す。)で表されるN−アルキル−ピリジンメタンアミン類(以下、N−アルキル−ピリジンメタンアミン類(2)という。)である。式中、R及びRで示される炭素数1〜4のアルキル基としては、直鎖又は分岐鎖状の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられ、具体的には、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。また、nは0〜4の整数であり、nが2以上のとき複数のRで表される炭素数1〜4のアルキル基は、同じであっても異なっていてもよい。
【0009】
N−アルキル−ピリジンメタンアミン類(2)の具体例としては、N−メチル−2−ピリジンメタンアミン、N−エチル−2−ピリジンメタンアミン、N−プロピル−2−ピリジンメタンアミン、N−イソプロピル−2−ピリジンメタンアミン、N−ブチル−2−ピリジンメタンアミン、N−メチル−2−(3−メチルピリジン)メタンアミン、N−エチル−2−(3−メチルピリジン)メタンアミン、N−プロピル−2−(3−メチルピリジン)メタンアミン、N−イソプロピル−2−(3−メチルピリジン)メタンアミン、N−ブチル−2−(3−メチルピリジン)メタンアミン、N−メチル−2−(4−メチルピリジン)メタンアミン、N−エチル−2−(4−メチルピリジン)メタンアミン、N−プロピル−2−(4−メチルピリジン)メタンアミン、N−イソプロピル−2−(4−メチルピリジン)メタンアミン、N−ブチル−2−(4−メチルピリジン)メタンアミン、N−メチル−2−(5−メチルピリジン)メタンアミン、N−エチル−2−(5−メチルピリジン)メタンアミン、N−プロピル−2−(5−メチルピリジン)メタンアミン、N−イソプロピル−2−(5−メチルピリジン)メタンアミン、N−ブチル−2−(5−メチルピリジン)メタンアミン、N−メチル−2−(6−メチルピリジン)メタンアミン、N−エチル−2−(6−メチルピリジン)メタンアミン、N−プロピル−2−(6−メチルピリジン)メタンアミン、N−イソプロピル−2−(6−メチルピリジン)メタンアミン、N−ブチル−2−(6−メチルピリジン)メタンアミン、N−メチル−2−(3,5−ジメチルピリジン)メタンアミン、N−エチル−2−(3,5−ジメチルピリジン)メタンアミン、N−プロピル−2−(3,5−ジメチルピリジン)メタンアミン、N−イソプロピル−2−(3,5−ジメチルピリジン)メタンアミン、N−ブチル−2−(3,5−ジメチルピリジン)メタンアミン、N−メチル−2−(4,6−ジメチルピリジン)メタンアミン、N−エチル−2−(4,6−ジメチルピリジン)メタンアミン、N−プロピル−2−(4,6−ジメチルピリジン)メタンアミン、N−イソプロピル−2−(4,6−ジメチルピリジン)メタンアミン、N−ブチル−2−(4,6−ジメチルピリジン)メタンアミン、N−メチル−2−(4−エチルピリジン)メタンアミン、N−エチル−2−(4−エチルピリジン)メタンアミン、N−プロピル−2−(4−エチルピリジン)メタンアミン、N−イソプロピル−2−(4−エチルピリジン)メタンアミン、N−ブチル−2−(4−エチルピリジン)メタンアミン、N−メチル−2−(5−エチルピリジン)メタンアミン、N−エチル−2−(5−エチルピリジン)メタンアミン、N−プロピル−2−(5−エチルピリジン)メタンアミン、N−イソプロピル−2−(5−エチルピリジン)メタンアミン、N−ブチル−2−(5−エチルピリジン)メタンアミン、N−メチル−2−(5−ブチルピリジン)メタンアミン、N−エチル−2−(5−ブチルピリジン)メタンアミン、N−プロピル−2−(5−ブチルピリジン)メタンアミン、N−イソプロピル−2−(5−ブチルピリジン)メタンアミン、N−ブチル−2−(5−ブチルピリジン)メタンアミン、
【0010】
N−メチル−3−ピリジンメタンアミン、N−エチル−3−ピリジンメタンアミン、N−プロピル−3−ピリジンメタンアミン、N−イソプロピル−3−ピリジンメタンアミン、N−ブチル−3−ピリジンメタンアミン、N−メチル−3−(2−メチルピリジン)メタンアミン、N−エチル−3−(2−メチルピリジン)メタンアミン、N−プロピル−3−(2−メチルピリジン)メタンアミン、N−イソプロピル−3−(2−メチルピリジン)メタンアミン、N−ブチル−3−(2−メチルピリジン)メタンアミン、N−メチル−3−(4−メチルピリジン)メタンアミン、N−エチル−3−(4−メチルピリジン)メタンアミン、N−プロピル−3−(4−メチルピリジン)メタンアミン、N−イソプロピル−3−(4−メチルピリジン)メタンアミン、N−ブチル−3−(4−メチルピリジン)メタンアミン、N−メチル−3−(5−メチルピリジン)メタンアミン、N−エチル−3−(5−メチルピリジン)メタンアミン、N−プロピル−3−(5−メチルピリジン)メタンアミン、N−イソプロピル−3−(5−メチルピリジン)メタンアミン、N−ブチル−3−(5−メチルピリジン)メタンアミン、N−メチル−3−(6−メチルピリジン)メタンアミン、N−エチル−3−(6−メチルピリジン)メタンアミン、N−プロピル−3−(6−メチルピリジン)メタンアミン、N−イソプロピル−3−(6−メチルピリジン)メタンアミン、N−ブチル−3−(6−メチルピリジン)メタンアミン、N−メチル−3−(2,5−ジメチルピリジン)メタンアミン、N−エチル−3−(2,5−ジメチルピリジン)メタンアミン、N−プロピル−3−(2,5−ジメチルピリジン)メタンアミン、N−イソプロピル−3−(2,5−ジメチルピリジン)メタンアミン、N−ブチル−3−(2,5−ジメチルピリジン)メタンアミン、N−メチル−3−(4−エチルピリジン)メタンアミン、N−エチル−3−(4−エチルピリジン)メタンアミン、N−プロピル−3−(4−エチルピリジン)メタンアミン、N−イソプロピル−3−(4−エチルピリジン)メタンアミン、N−ブチル−3−(4−エチルピリジン)メタンアミン、
【0011】
N−メチル−4−ピリジンメタンアミン、N−エチル−4−ピリジンメタンアミン、N−プロピル−4−ピリジンメタンアミン、N−イソプロピル−4−ピリジンメタンアミン、N−ブチル−4−ピリジンメタンアミン、N−メチル−4−(2−メチルピリジン)メタンアミン、N−エチル−4−(2−メチルピリジン)メタンアミン、N−プロピル−4−(2−メチルピリジン)メタンアミン、N−イソプロピル−4−(2−メチルピリジン)メタンアミン、N−ブチル−4−(2−メチルピリジン)メタンアミン、N−メチル−4−(3−メチルピリジン)メタンアミン、N−エチル−4−(3−メチルピリジン)メタンアミン、N−プロピル−4−(3−メチルピリジン)メタンアミン、N−イソプロピル−4−(3−メチルピリジン)メタンアミン、N−ブチル−4−(3−メチルピリジン)メタンアミン、N−メチル−4−(2,6−ジメチルピリジン)メタンアミン、N−エチル−4−(2,6−ジメチルピリジン)メタンアミン、N−プロピル−4−(2,6−ジメチルピリジン)メタンアミン、N−イソプロピル−4−(2,6−ジメチルピリジン)メタンアミン、N−ブチル−4−(2,6−ジメチルピリジン)メタンアミン、N−メチル−4−(3−エチルピリジン)メタンアミン、N−エチル−4−(3−エチルピリジン)メタンアミン、N−プロピル−4−(3−エチルピリジン)メタンアミン、N−イソプロピル−4−(3−エチルピリジン)メタンアミン、N−ブチル−4−(3−エチルピリジン)メタンアミン等が挙げられる。
【0012】
粗N−アルキル−ピリジンメタンアミン類に不純物として含有するピリジンメタンアミン類は、少なくともピリジン環の炭素原子に結合する1個のアミノメチル基を有するものであり、好ましくは式(3):
【0013】
【化2】

(式中、R及びnは前記に同じ。)で示されるピリジンメタンアミン類(以下、ピリジンメタンアミン類(3)という。)である。ピリジンメタンアミン類(3)の具体例としては、2−ピリジンメタンアミン、2−(3−メチルピリジン)メタンアミン、2−(4−メチルピリジン)メタンアミン、2−(5−メチルピリジン)メタンアミン、2−(6−メチルピリジン)メタンアミン、2−(3,5−ジメチルピリジン)メタンアミン、2−(4,6−ジメチルピリジン)メタンアミン、2−(4−エチルピリジン)メタンアミン、2−(5−エチルピリジン)メタンアミン、2−(5−ブチルピリジン)メタンアミン、3−ピリジンメタンアミン、3−(2−メチルピリジン)メタンアミン、3−(4−メチルピリジン)メタンアミン、3−(5−メチルピリジン)メタンアミン、3−(6−メチルピリジン)メタンアミン、3−(2,5−ジメチルピリジン)メタンアミン、3−(4−エチルピリジン)メタンアミン、4−ピリジンメタンアミン、4−(2−メチルピリジン)メタンアミン、4−(3−メチルピリジン)メタンアミン、4−(2,6−ジメチルピリジン)メタンアミン、4−(3−エチルピリジン)メタンアミン等が挙げられる。
【0014】
本発明に用いられる粗N−アルキル−ピリジンメタンアミン類は、ピリジンメタンアミン類を含有していれば特に限定されないが、例えば、接触水素化条件下で、シアノピリジン類をモノアルキルアミン類と反応せしめることで、得られる場合がある。この場合、本発明の粗N−アルキル−ピリジンメタンアミン類には、接触水素化反応後の反応混合物、該反応混合物から水素化触媒を除去した混合物、水素化触媒を除去した混合物を蒸留してN−アルキル−ピリジンメタンアミン類と蒸留分離が容易な副生物を除去したN−アルキル−ピリジンメタンアミン類等が包含される。
以下、当該接触水素化反応により得られた粗N−アルキル−ピリジンメタンアミン類を本発明の精製方法に用いる場合について例示する。
【0015】
シアノピリジン類は、少なくともピリジン環の炭素原子に結合する1個のシアノ基を有するシアノピリジン類であり、好ましくは式(4):
【0016】
【化3】

(式中、R及びnは前記に同じ。)で示されるシアノピリジン類(以下、シアノピリジン類(4)という。)である。シアノピリジン類(4)の具体例としては、2−シアノピリジン、3−メチル−2−シアノピリジン、4−メチル−2−シアノピリジン、5−メチル−2−シアノピリジン、6−メチル−2−シアノピリジン、3,5−ジメチル−2−シアノピリジン、4,6−ジメチル−2−シアノピリジン、4−エチル−2−シアノピリジン、5−エチル−2−シアノピリジン、5−ブチル−2−シアノピリジン、3−シアノピリジン、2−メチル−3−シアノピリジン、4−メチル−3−シアノピリジン、5−メチル−3−シアノピリジン、6−メチル−3−シアノピリジン、2,5−ジメチル−3−シアノピリジン、4−エチル−3−シアノピリジン、4−シアノピリジン、2−メチル−4−シアノピリジン、3−メチル−4−シアノピリジン、2,6−ジメチル−4−シアノピリジン、3−エチル−4−シアノピリジン等が挙げられる。
【0017】
モノアルキルアミン類は、好ましくは式(5):
−NH (5)
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。)で示されるモノアルキルアミン類(以下、モノアルキルアミン(5)という。)である。モノアルキルアミン類(5)の具体例としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン等が挙げられる。
【0018】
水素化触媒の存在下で、上述のシアノピリジン類(4)、モノアルキルアミン類(5)及び水素を反応させると対応する粗N−アルキルピリジンメタンアミン類が製造され得る。ここで、モノアルキルアミン類(5)の使用量は、シアノピリジン類(4)1モルに対して、通常0.5〜5モル、好ましくは0.8〜3.5モルである。
【0019】
かかる反応に用いられる水素化触媒としては、シアノピリジン類(4)をモノアルキルアミン類(5)と反応してN−アルキル−ピリジンメタンアミン類(2)を製造する従来公知の方法に使用されている触媒が挙げられ、具体的には、ラネーニッケル、ラネーコバルト等のラネー触媒、パラジウム触媒、ロジウム触媒、白金触媒等の貴金属触媒が例示できる。水素化触媒の使用量は特に制限はないが、ラネー触媒を用いる場合は、シアノピリジン類1重量部に対して、通常0.1〜0.2重量部、貴金属触媒を用いる場合は、シアノピリジン類1重量部に対して、通常0.01〜0.5重量部である。
【0020】
接触水素化には、溶媒は使用してもしなくてもよいが、溶媒不使用又は有機溶媒を用いる非水系で接触水素化を行うのが好ましい。溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコール溶媒、例えばブタン、イソブタン、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素溶媒、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、イソペンチルベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒が挙げられ、これらの1種以上を使用することができる。溶媒を使用するとき、溶媒の使用量はシアノピリジン類(4)1重量部に対して、通常0.3〜3重量部、好ましくは0.5〜2重量部である。
【0021】
反応温度は、通常40〜150℃であり、好ましくは60〜120℃である。また反応における水素圧は、通常0.2〜5.0MPaであり、好ましくは、1.0〜4.0MPaである。反応により水素が消費されるので水素を導入しながら上記水素圧に保ち、上記温度で反応を行う。反応が終了すると水素の吸収が認められなくなる。
【0022】
式(1)中、Rで示されるアリール基としては、例えばフェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、2,4−キシリル基、2,5−キシリル基、2,6−キシリル基、3,4−キシリル基、3,5−キシリル基、インデニル基、フルオレニル基、ナフチル基等が挙げられる。Rで示されるヘテロアリール基としては、上述のアリール基の、芳香環上の少なくとも1つ以上の炭素原子が窒素原子又は硫黄原子にかえたものが挙げられ、具体的には例えば、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、3−メチル−2−ピリジル基、4−メチル−2−ピリジル基、5−メチル−2−ピリジル基、6−メチル−2−ピリジル基、2−メチル−3−ピリジル基、4−メチル−3−ピリジル基、5−メチル−3−ピリジル基、6−メチル−3−ピリジル基、2−メチル−4−ピリジル基、3−メチル−4−ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、インドリル基、カルバゾリル基、キノリル基、チオフェニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基等が挙げられる。Rで示されるアラルキル基としては、例えばベンジル基、1−フェネチル基、2−フェネチル基等が挙げられる。かかるアリール基、ヘテロアリール基及びアラルキル基には、ヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボキシル基等の置換基を有していてもよい。
【0023】
また、Rで示される、窒素原子又は硫黄原子がアルキル基又はアラルキル基と結合して形成されたカチオンとその対イオンであるアニオンからなる第4級アンモニウム塩残基およびスルホニウム塩残基の具体例としては、1−メチルピリジニウム塩残基、1−エチルピリジニウム塩残基、1−プロピルピリジニウム塩残基、1−ブチルピリジニウム塩残基、1−ヘキシルピリジニウム塩残基、1−オクチルピリジニウム塩残基、1−ベンジルピリジニウム塩残基、1,2−ジメチルピリジニウム塩残基、1−エチル−2−メチルピリジニウム塩残基、1−プロピル−2−メチルピリジニウム塩残基、1−ブチル−2−メチルピリジニウム塩残基、1−ヘキシル−2−メチルピリジニウム塩残基、1−オクチル−2−メチルピリジニウム塩残基、1−ベンジル−2−メチルピリジニウム塩残基、1,3−ジメチルピリジニウム塩残基、1−エチル−3−メチルピリジニウム塩残基、1−プロピル−3−メチルピリジニウム塩残基、1−ブチル−3−メチルピリジニウム塩残基、1−ヘキシル−3−メチルピリジニウム塩残基、1−オクチル−3−メチルピリジニウム塩残基、1−ベンジル−3−メチルピリジニウム塩残基、1,4−ジメチルピリジニウム塩残基、1−エチル−4−メチルピリジニウム塩残基、1−プロピル−4−メチルピリジニウム塩残基、1−ブチル−4−メチルピリジニウム塩残基、1−ヘキシル−4−メチルピリジニウム塩残基、1−オクチル−4−メチルピリジニウム塩残基、1−ベンジル−4−メチルピリジニウム塩残基、1−メチルチオフェニウム塩残基、1−エチルチオフェニウム塩残基、1−プロピルチオフェニウム塩残基、1−ブチルチオフェニウム塩残基、1−ヘキシルチオフェニウム塩残基、1−オクチルチオフェニウム塩残基、1−ベンジルチオフェニウム塩残基、1,2−ジメチルチオフェニウム塩残基、1−エチル−2−メチルチオフェニウム塩残基、1−プロピル−2−メチルチオフェニウム塩残基、1−ブチル−2−メチルチオフェニウム塩残基、1−ヘキシル−2−メチルチオフェニウム塩残基、1−オクチル−2−メチルチオフェニウム塩残基、1−ベンジル−2−メチルチオフェニウム塩残基、1,3−ジメチルチオフェニウム塩残基、1−エチル−3−メチルチオフェニウム塩残基、1−プロピル−3−メチルチオフェニウム塩残基、1−ブチル−3−メチルチオフェニウム塩残基、1−ヘキシル−3−メチルチオフェニウム塩残基、1−オクチル−3−メチルチオフェニウム塩残基、1−ベンジル−3−メチルチオフェニウム塩残基等が挙げられる。
【0024】
アルデヒド類(1)の具体例としては、ベンズアルデヒド、2−メチルベンズアルデヒド、3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、2,3−ジメチルベンズアルデヒド、2,4−ジメチルベンズアルデヒド、2,5−ジメチルベンズアルデヒド、2,6−ジメチルベンズアルデヒド、3,4−ジメチルベンズアルデヒド、3,5−ジメチルベンズアルデヒド、1−ナフツアルデヒド、2−ナフツアルデヒド、2−ピリジンカルボキシアルデヒド、3−ピリジンカルボキシアルデヒド、4−ピリジンカルボキシアルデヒド、3−メチル−2−ピリジンカルボキシアルデヒド、4−メチル−2−ピリジンカルボキシアルデヒド、5−メチル−2−ピリジンカルボキシアルデヒド、6−メチル−2−ピリジンカルボキシアルデヒド、2−メチル−3−ピリジンカルボキシアルデヒド、4−メチル−3−ピリジンカルボキシアルデヒド、5−メチル−3−ピリジンカルボキシアルデヒド、6−メチル−3−ピリジンカルボキシアルデヒド、2−メチル−4−ピリジンカルボキシアルデヒド、3−メチル−4−ピリジンカルボキシアルデヒド、ベンジルアルデヒド、1−フェネチルアルデヒド、2−フェネチルアルデヒド、2−ピラジンカルボキシアルデヒド、3−メチル−2−ピラジンカルボキシアルデヒド、5−メチル−2−ピラジンカルボキシアルデヒド、6−メチル−2−ピラジンカルボキシアルデヒド、2−ピリミジンアルデヒド、4−ピリミジンカルボキシアルデヒド、5−ピリミジンカルボキシアルデヒド、インドール−3−カルボキシアルデヒド、インドール−4−カルボキシアルデヒド、インドール−5−カルボキシアルデヒド、インドール−6−カルボキシアルデヒド、インドール−7−カルボキシアルデヒド、カルバゾール−2−カルボキシアルデヒド、カルバゾール−3−カルボキシアルデヒド、2−キノリンカルボキシアルデヒド、3−キノリンカルボキシアルデヒド、4−キノリンカルボキシアルデヒド、チオフェン−2−カルボキシアルデヒド、チオフェン−3−カルボキシアルデヒド、ベンゾチオフェン−3−カルボキシアルデヒド、ベンゾチオフェン−4−カルボキシアルデヒド、ベンゾチオフェン−5−カルボキシアルデヒド、ベンゾチオフェン−6−カルボキシアルデヒド、ベンゾチオフェン−7−カルボキシアルデヒド、ベンゾチアゾール−4−カルボキシアルデヒド、ベンゾチアゾール−5−カルボキシアルデヒド、ベンゾチアゾール−6−カルボキシアルデヒド、ベンゾチアゾール−7−カルボキシアルデヒド、
【0025】
1−メチルピリジニウム=クロリド、1−エチルピリジニウム=クロリド、1−プロピルピリジニウム=クロリド、1−ブチルピリジニウム=クロリド、1−ヘキシルピリジニウム=クロリド、1−オクチルピリジニウム=クロリド、1−ベンジルピリジニウム=クロリド、1,2−ジメチルピリジニウム=クロリド、1−エチル−2−メチルピリジニウム=クロリド、1−プロピル−2−メチルピリジニウム=クロリド、1−ブチル−2−メチルピリジニウム=クロリド、1−ヘキシル−2−メチルピリジニウム=クロリド、1−オクチル−2−メチルピリジニウム=クロリド、1−ベンジル−2−メチルピリジニウム=クロリド、1,3−ジメチルピリジニウム=クロリド、1−エチル−3−メチルピリジニウム=クロリド、1−プロピル−3−メチルピリジニウム=クロリド、1−ブチル−3−メチルピリジニウム=クロリド、1−ヘキシル−3−メチルピリジニウム=クロリド、1−オクチル−3−メチルピリジニウム=クロリド、1−ベンジル−3−メチルピリジニウム=クロリド、1,4−ジメチルピリジニウム=クロリド、1−エチル−4−メチルピリジニウム=クロリド、1−プロピル−4−メチルピリジニウム=クロリド、1−ブチル−4−メチルピリジニウム=クロリド、1−ヘキシル−4−メチルピリジニウム=クロリド、1−オクチル−4−メチルピリジニウム=クロリド、1−ベンジル−4−メチルピリジニウム=クロリド、1−メチルチオフェニウム=クロリド、1−エチルチオフェニウム=クロリド、1−プロピルチオフェニウム=クロリド、1−ブチルチオフェニウム=クロリド、1−ヘキシルチオフェニウム=クロリド、1−オクチルチオフェニウム=クロリド、1−ベンジルチオフェニウム=クロリド、1,2−ジメチルチオフェニウム=クロリド、1−エチル−2−メチルチオフェニウム=クロリド、1−プロピル−2−メチルチオフェニウム=クロリド、1−ブチル−2−メチルチオフェニウム=クロリド、1−ヘキシル−2−メチルチオフェニウム=クロリド、1−オクチル−2−メチルチオフェニウム=クロリド、1−ベンジル−2−メチルチオフェニウム=クロリド、1,3−ジメチルチオフェニウム=クロリド、1−エチル−3−メチルチオフェニウム=クロリド、1−プロピル−3−メチルチオフェニウム=クロリド、1−ブチル−3−メチルチオフェニウム=クロリド、1−ヘキシル−3−メチルチオフェニウム=クロリド、1−オクチル−3−メチルチオフェニウム=クロリド、1−ベンジル−3−メチルチオフェニウム=クロリド、
【0026】
1−メチルピリジニウム=ブロミド、1−エチルピリジニウム=ブロミド、1−プロピルピリジニウム=ブロミド、1−ブチルピリジニウム=ブロミド、1−ヘキシルピリジニウム=ブロミド、1−オクチルピリジニウム=ブロミド、1−ベンジルピリジニウム=ブロミド、1,2−ジメチルピリジニウム=ブロミド、1−エチル−2−メチルピリジニウム=ブロミド、1−プロピル−2−メチルピリジニウム=ブロミド、1−ブチル−2−メチルピリジニウム=ブロミド、1−ヘキシル−2−メチルピリジニウム=ブロミド、1−オクチル−2−メチルピリジニウム=ブロミド、1−ベンジル−2−メチルピリジニウム=ブロミド、1,3−ジメチルピリジニウム=ブロミド、1−エチル−3−メチルピリジニウム=ブロミド、1−プロピル−3−メチルピリジニウム=ブロミド、1−ブチル−3−メチルピリジニウム=ブロミド、1−ヘキシル−3−メチルピリジニウム=ブロミド、1−オクチル−3−メチルピリジニウム=ブロミド、1−ベンジル−3−メチルピリジニウム=ブロミド、1,4−ジメチルピリジニウム=ブロミド、1−エチル−4−メチルピリジニウム=ブロミド、1−プロピル−4−メチルピリジニウム=ブロミド、1−ブチル−4−メチルピリジニウム=ブロミド、1−ヘキシル−4−メチルピリジニウム=ブロミド、1−オクチル−4−メチルピリジニウム=ブロミド、1−ベンジル−4−メチルピリジニウム=ブロミド、1−メチルチオフェニウム=ブロミド、1−エチルチオフェニウム=ブロミド、1−プロピルチオフェニウム=ブロミド、1−ブチルチオフェニウム=ブロミド、1−ヘキシルチオフェニウム=ブロミド、1−オクチルチオフェニウム=ブロミド、1−ベンジルチオフェニウム=ブロミド、1,2−ジメチルチオフェニウム=ブロミド、1−エチル−2−メチルチオフェニウム=ブロミド、1−プロピル−2−メチルチオフェニウム=ブロミド、1−ブチル−2−メチルチオフェニウム=ブロミド、1−ヘキシル−2−メチルチオフェニウム=ブロミド、1−オクチル−2−メチルチオフェニウム=ブロミド、1−ベンジル−2−メチルチオフェニウム=ブロミド、1,3−ジメチルチオフェニウム=ブロミド、1−エチル−3−メチルチオフェニウム=ブロミド、1−プロピル−3−メチルチオフェニウム=ブロミド、1−ブチル−3−メチルチオフェニウム=ブロミド、1−ヘキシル−3−メチルチオフェニウム=ブロミド、1−オクチル−3−メチルチオフェニウム=ブロミド、1−ベンジル−3−メチルチオフェニウム=ブロミド、
【0027】
1−メチルピリジニウム=ヨージド、1−エチルピリジニウム=ヨージド、1−プロピルピリジニウム=ヨージド、1−ブチルピリジニウム=ヨージド、1−ヘキシルピリジニウム=ヨージド、1−オクチルピリジニウム=ヨージド、1−ベンジルピリジニウム=ヨージド、1,2−ジメチルピリジニウム=ヨージド、1−エチル−2−メチルピリジニウム=ヨージド、1−プロピル−2−メチルピリジニウム=ヨージド、1−ブチル−2−メチルピリジニウム=ヨージド、1−ヘキシル−2−メチルピリジニウム=ヨージド、1−オクチル−2−メチルピリジニウム=ヨージド、1−ベンジル−2−メチルピリジニウム=ヨージド、1,3−ジメチルピリジニウム=ヨージド、1−エチル−3−メチルピリジニウム=ヨージド、1−プロピル−3−メチルピリジニウム=ヨージド、1−ブチル−3−メチルピリジニウム=ヨージド、1−ヘキシル−3−メチルピリジニウム=ヨージド、1−オクチル−3−メチルピリジニウム=ヨージド、1−ベンジル−3−メチルピリジニウム=ヨージド、1,4−ジメチルピリジニウム=ヨージド、1−エチル−4−メチルピリジニウム=ヨージド、1−プロピル−4−メチルピリジニウム=ヨージド、1−ブチル−4−メチルピリジニウム=ヨージド、1−ヘキシル−4−メチルピリジニウム=ヨージド、1−オクチル−4−メチルピリジニウム=ヨージド、1−ベンジル−4−メチルピリジニウム=ヨージド、1−メチルチオフェニウム=ヨージド、1−エチルチオフェニウム=ヨージド、1−プロピルチオフェニウム=ヨージド、1−ブチルチオフェニウム=ヨージド、1−ヘキシルチオフェニウム=ヨージド、1−オクチルチオフェニウム=ヨージド、1−ベンジルチオフェニウム=ヨージド、1,2−ジメチルチオフェニウム=ヨージド、1−エチル−2−メチルチオフェニウム=ヨージド、1−プロピル−2−メチルチオフェニウム=ヨージド、1−ブチル−2−メチルチオフェニウム=ヨージド、1−ヘキシル−2−メチルチオフェニウム=ヨージド、1−オクチル−2−メチルチオフェニウム=ヨージド、1−ベンジル−2−メチルチオフェニウム=ヨージド、1,3−ジメチルチオフェニウム=ヨージド、1−エチル−3−メチルチオフェニウム=ヨージド、1−プロピル−3−メチルチオフェニウム=ヨージド、1−ブチル−3−メチルチオフェニウム=ヨージド、1−ヘキシル−3−メチルチオフェニウム=ヨージド、1−オクチル−3−メチルチオフェニウム=ヨージド、1−ベンジル−3−メチルチオフェニウム=ヨージド等が挙げられる。
【0028】
アルデヒド基含有ポリマーとしては、分子内に少なくとも1個のアルデヒド基(即ち、−CHOである)を有するエチレン性不飽和単量体(以下、アルデヒド単量体という)のホモポリマー;アルデヒド単量体と、これと共重合し得るエチレン性不飽和単量体とのコポリマー;アルデヒド基を導入したポリマー;アルデヒド基を有する化合物を固定したポリマーなどが挙げられる。
【0029】
アルデヒド単量体としては、(メタ)アクロレイン、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド、ホルミルスチレン、ホルミル−α−メチルスチレンなどが挙げられる。アルデヒド単量体と共重合し得るエチレン性不飽和単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニルなどが挙げられる。
【0030】
アルデヒド基を導入したポリマーとしては、架橋剤によって架橋されてもよい芳香族エチレン性不飽和単量体のポリマーに化学的にアルデヒド基を導入したものが挙げられる。その導入方法としては、芳香族エチレン性不飽和単量体のポリマーがハロアルキル基(例えばクロロメチル基、クロロエチル基が挙げられる)を有している場合には、そのポリマーを酸化してハロアルキル基をアルデヒド基に転化して導入する方法、芳香族エチレン性不飽和単量体のポリマーがハロアルキル基を有しない場合には、そのポリマーをハロアルキル化したのち酸化して導入する方法が挙げられる。芳香族エチレン性不飽和単量体としては、スチレン、メチルスチレン、クロルスチレン、クロルメチルスチレン、エチルスチレン、クロルエチルスチレン、ビニルキシレン、ビニルナフタレンなどが挙げられる。架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、トリビニルベンゼン、トリビニルキシレンなどが挙げられる。
【0031】
アルデヒド基を有する化合物を固定したポリマーとしては、上記の芳香族エチレン性不飽和単量体のポリマーであって上記のハロアルキル基を有するもの(例えばメリフィールド樹脂等が挙げられる)とアルデヒド基を有する第3級アミン又はアルデヒド基を有するスルフィドとのオニウム塩生成反応により、化学的に固定されたものが挙げられる。アルデヒド基を有する第3級アミンとしては、例えば2−ピリジンカルボキシアルデヒド、3−ピリジンカルボキシアルデヒド、4−ピリジンカルボキシアルデヒド、3−メチル−2−ピリジンカルボキシアルデヒド、4−メチル−2−ピリジンカルボキシアルデヒド、5−メチル−2−ピリジンカルボキシアルデヒド、6−メチル−2−ピリジンカルボキシアルデヒド、2−メチル−3−ピリジンカルボキシアルデヒド、4−メチル−3−ピリジンカルボキシアルデヒド、5−メチル−3−ピリジンカルボキシアルデヒド、6−メチル−3−ピリジンカルボキシアルデヒド、2−メチル−4−ピリジンカルボキシアルデヒド、3−メチル−4−ピリジンカルボキシアルデヒド等のピリジンカルボキシアルデヒド類、例えば2−ピラジンカルボキシアルデヒド、3−メチル−2−ピラジンカルボキシアルデヒド、5−メチル−2−ピラジンカルボキシアルデヒド、6−メチル−2−ピラジンカルボキシアルデヒド等のピラジンカルボキシアルデヒド類、例えば2−ピリミジンカルボキシアルデヒド、4−ピリミジンカルボキシアルデヒド、5−ピリミジンカルボキシアルデヒド等のピリミジンカルボキシアルデヒド類、例えばインドール−3−カルボキシアルデヒド、インドール−4−カルボキシアルデヒド、インドール−5−カルボキシアルデヒド、インドール−6−カルボキシアルデヒド、インドール−7−カルボキシアルデヒド等のインドールカルボキシアルデヒド類、例えばカルバゾール−2−カルボキシアルデヒド、カルバゾール−3−カルボキシアルデヒド等のカルバゾールカルボキシアルデヒド類、例えば2−キノリンカルボキシアルデヒド、3−キノリンカルボキシアルデヒド、4−キノリンカルボキシアルデヒド等のキノリンカルボキシアルデヒド類等が挙げられる。アルデヒド基を有するスルフィドとしては、例えばチオフェン−2−カルボキシアルデヒド、チオフェン−3−カルボキシアルデヒド等のチオフェンカルボキシアルデヒド類、例えばベンゾチオフェン−3−カルボキシアルデヒド、ベンゾチオフェン−4−カルボキシアルデヒド、ベンゾチオフェン−5−カルボキシアルデヒド、ベンゾチオフェン−6−カルボキシアルデヒド、ベンゾチオフェン−7−カルボキシアルデヒド等のベンゾチオフェンカルボキシアルデヒド類、例えばベンゾチアゾール−4−カルボキシアルデヒド、ベンゾチアゾール−5−カルボキシアルデヒド、ベンゾチアゾール−6−カルボキシアルデヒド、ベンゾチアゾール−7−カルボキシアルデヒド等のベンゾチアゾールカルボキシアルデヒド類等が挙げられる。アルデヒド基を有する化合物を固定したポリマーを用いれば、ピリジンメタンアミン類(3)と当該アルデヒド基が反応して得られるイミン化合物はポリマーに固定されるので、ピリジンメタンアミン類(3)はろ過により除去することができる。
【0032】
アルデヒド類(1)の使用量は、ピリジンメタンアミン類(3)1モルに対して、通常0.8モル以上、好ましくは0.8〜20モル、特に好ましくは0.9〜10モルである。
アルデヒド基含有ポリマーは、ピリジンメタンアミン類(3)1モルに対して、通常0.8モル以上、好ましくは0.8〜20モル、特に好ましくは0.9〜10モルのアルデヒド基に相当する量(重量部)を使用する。
【0033】
本発明の精製方法には、必要に応じて溶媒を用いることもできる。溶媒としては、蒸留時にN−アルキル−ピリジンメタンアミン類(2)と容易に分離するものであって、ピリジンメタンアミン類とアルデヒド類(1)の反応を阻害しないもの、またアルデヒド基含有ポリマーを用いる場合は該ポリマーを溶解しないものであれば特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素系溶媒等が挙げられる。溶媒は単独で用いても良いし、二種類以上を混合して用いても良い。その使用量は特に限定されるものではないが、N−アルキル−ピリジンメタンアミン類(2)1重量部に対して、通常10重量部以下であり、好ましくは6重量部以下である。
【0034】
アルデヒド化合物(I)による粗N−アルキル−ピリジンメタンアミン類の処理は、減圧下、加圧下又は常圧下のいずれでも実施することができ、常圧下で行うのが簡便であり好ましい。常圧下で処理するとき、その温度は、通常10℃以上、好ましくは10〜60℃である。
【0035】
上記のようにしてN−アルキル−ピリジンメタンアミン類(2)に含有するピリジンメタンアミン類(3)をアルデヒド化合物(I)で処理した後、所望の分離操作、例えばろ過、蒸留等を行えば、従来の蒸留では分離困難であったピリジンメタンアミン類(3)の含有量を減少せしめた高純度のN−アルキル−ピリジンメタンアミン類(2)を容易に得ることができる。
【実施例】
【0036】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、N−アルキル−ピリジンメタンアミン類(2)の純度及びピリジンメタンアミン類(3)の含有量はガスクロマトグラフィー分析(以下、GC分析という。)により算出した。
【0037】
比較例1
オートクレーブに、3−シアノピリジン104.4g(1.0モル)、70重量%エチルアミン水溶液193.2g(3.0モル)、5%パラジウム炭素触媒20.9g、トルエン52.2gを仕込み、水素圧3MPa、100℃で2時間反応した。反応終了後、濾過して5%パラジウム炭素触媒を濾別し、濾液を濃縮して得られた濃縮液121.5g[N−エチル−3−ピリジンメタンアミン純度;79.9%、3−ピリジンメタンアミン11.1%含有]を50cmDixon蒸留塔(理論段数20段相当)にて蒸留した。還流比10で70〜72℃/2mmHgの留分を本留分として、N−エチル−3−ピリジンメタンアミン104.5g[純度;87.2%、3−ピリジンメタンアミン12.6%含有]を得た。
【0038】
実施例1
比較例1で得られた本留分102.6g[N−エチル−3−ピリジンメタンアミン純度;87.2%、3−ピリジンメタンアミン12.6%含有]、トルエン51.3gを反応器に仕込み、50重量%ベンズアルデヒド/トルエン溶液28gを、25℃、15分で滴下し、同温度で12時間撹拌した。得られた混合物に、3−ピリジンメタンアミンは殆ど含まれていなかった。その混合物を濃縮後、単蒸留して、純度98.6%のN−エチル−3−ピリジンメタンアミン56.7gを得た。得られたN−エチル−3−ピリジンメタンアミンに3−ピリジンメタンアミンは含まれていなかった。
【0039】
実施例2
3−ピリジンメタンアミンを9.43%含有するN−エチル−3−ピリジンメタンアミンを調整し、該N−エチル−3−ピリジンメタンアミン2g、トルエン10g及びポリスチレンカルボアルデヒド10g(Argonaut社製、アルデヒド基:1.0mmol/g含有)を混合して、25℃で24時間撹拌した。得られた混合物をろ過し、ろ液をGC分析した結果、3−ピリジンメタンアミンの含有量は0.12%であった。
【0040】
参考例1
メルフィールド樹脂(東京化成工業株式会社製、塩素基:2.0〜2.5mmol/g含有)25g(63mmol相当)をDMF100gと混合し、70℃に加熱した後、4−アルデヒドピリジン15.4g(144mmol)を滴下し、同温度で24hr撹拌した。得られた樹脂をろ別し、ジエチルエーテルで洗浄して、4−アルデヒドピリジンが4級塩で固定されたメルフィールド樹脂35.9gを得た。
【0041】
実施例3
比較例1と同様にして得られた濃縮液1.0g[N−エチル−3−ピリジンメタンアミン純度;81.0%、3−ピリジンメタンアミン6%含有]、参考例1で得られた4−アルデヒドピリジンが固定されたメルフィールド樹脂1.0g及びトルエン5gを混合し、25℃で12時間撹拌した。その後、樹脂をろ別し、ろ液をGC分析した結果、3−ピリジンメタンアミンの含有量は0.19%であった。
【0042】
参考例2
ベンジルクロリド1.3g(10mmol)をトルエン10gと混合し、4−アルデヒドピリジン1.1g(10mmol)を滴下後、25℃で12時間攪拌した。析出した固体をろ別して1−ベンジル−4−アルデヒドピリジニウム=クロリド500mgを得た。
【0043】
実施例4
3−ピリジンメタンアミンを9.43%含有するN−エチル−3−ピリジンメタンアミンを調整し、該N−エチル−3−ピリジンメタンアミン2g、トルエン10g及び参考例2で得られた1−ベンジル−4−アルデヒドピリジニウム=クロリド500mgを混合して、50℃で12時間撹拌した。得られた混合物をGC分析した結果、3−ピリジンメタンアミンは含まれていなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不純物としてピリジンメタンアミン類を含有するN−アルキル−ピリジンメタンアミン類を精製するにあたり、当該N−アルキル−ピリジンメタンアミン類を式(1):
−CHO (1)
(式中、Rは、アリール基、ヘテロアリール基又はアラルキル基を表し、ヘテロアリール基であって、ヘテロ原子が窒素原子又は硫黄原子である場合には、窒素原子又は硫黄原子がアルキル基又はアラルキル基と結合して形成されてカチオンとその対イオンであるアニオンからなる第4級アンモニウム塩残基又はスルホニウム塩残基であってもよい。)で示されるアルデヒド類又は分子内に少なくとも1個のアルデヒド基を有するポリマーで処理することを特徴とするN−アルキル−ピリジンメタンアミン類の精製方法。
【請求項2】
不純物としてピリジンメタンアミン類を含有するN−アルキル−ピリジンメタンアミン類が、接触水素化条件下で、シアノピリジン類をモノアルキルアミン類と反応して得られるN−アルキル−ピリジンメタンアミン類である請求項1記載の精製方法。
【請求項3】
シアノピリジン類が式(4):
【化1】

(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは0〜4の整数を表す。)で示されるシアノピリジン類、モノアルキルアミン類が式(5):
−NH (5)
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を表す。)で示されるモノアルキルアミン、N−アルキル−ピリジンメタンアミン類が式(2):
【化2】

(式中、R、R及びnは前記に同じ。)で示されるN−アルキル−ピリジンメタンアミン類及びピリジンメタンアミン類が式(3):
【化3】

(式中、R及びnは前記に同じ。)で示されるピリジンメタンアミン類である、請求項1又は2に記載の精製方法。
【請求項4】
分子内に少なくとも1個のアルデヒド基を有するポリマーが、架橋剤によって架橋されてもよい芳香族エチレン性不飽和単量体のポリマーに化学的にアルデヒド基を導入したものであって、架橋剤がジビニルベンゼンで、芳香族エチレン性不飽和単量体がスチレンである請求項1〜3のいずれかに記載の精製方法。
【請求項5】
分子内に少なくとも1個のアルデヒド基を有するポリマーが、アルデヒド基を有する化合物を固定したポリマーであって、メリフィールド樹脂とピリジンアルデヒド類とから得られるものである請求項1〜3のいずれかに記載の精製方法。

【公開番号】特開2007−269774(P2007−269774A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−23696(P2007−23696)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【出願人】(000167646)広栄化学工業株式会社 (114)
【Fターム(参考)】