説明

Ni基単結晶超合金

成分が重量比で、Al:5.0重量%以上7.0重量%以下、Ta:4.0重量%以上10.0重量%以下、Mo:1.1重量%以上4.5重量%以下、W:4.0重量%以上10.0重量%以下、Re:3.1重量%以上8.0重量%以下、Hf:0重量%以上0.50重量%以下、Cr:2.0重量%以上5.0重量%以下、Co:0重量%以上9.9重量%以下、Ru:4.1重量%以上14.0重量%以下を含有し、残部がNiと不可避的不純物からなる組成を有するNi基単結晶超合金を採用することにより、高温下でのTCP相の析出を防止して強度の向上を図ることが可能なNi基単結晶超合金を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、Ni基単結晶超合金に関し、特に、クリープ特性の向上を目的としたNi基単結晶超合金の改良に関する。
【背景技術】
航空機、ガスタービンなどの高温下の動・静翼用の材料として開発されているNi基単結晶超合金の代表的な組成には、例えば表1に示したものが挙げられる。

上記Ni基単結晶超合金では、所定の温度で溶体化処理を行った後、時効処理を行ってNi基単結晶超合金を得ている。この合金は、いわゆる析出硬化型合金と呼ばれており、母相であるγ相中に、析出相であるγ’相が析出した形態を有している。
表1に挙げた合金のうち、CMSX−2(キャノン・マスケゴン社製、米国特許第4,582,548号参照)は第1世代合金、CMSX−4(キャノン・マスケゴン社製、米国特許第4,643,782号参照)は第2世代合金、Rene’N6(ゼネラル・エレクトリック社製、米国特許第5,455,120号参照)、CMSX−10K(キャノン・マスケゴン社製、米国特許第5,366,695号参照)は第3世代合金、3B(ゼネラル・エレクトリック社製、米国特許第5,151,249号参照)は第4世代合金と呼ばれている。
上記の第1世代合金であるCMSX−2や、第2世代合金であるCMSX−4は、低温下でのクリープ強度は遜色ないものの、高温の溶体化処理後においても共晶γ’相が多量に残存し、第3世代合金と比較して高温下でのクリープ強度が劣る。
また、上記の第3世代であるRene’N6やCMSX−10Kは、第2世代合金よりも高温下でのクリープ強度の向上を目的とした合金である。しかしながら、Reの組成比(5重量%以上)が母相(γ相)へのRe固溶量を越えるため、余剰のReが他の元素と化合して高温下でいわゆるTCP相(Topologically Close Packed相)を析出させ、高温下における長時間の使用によりこのTCP相の量が増加してクリープ強度が低下するという問題があった。
また、Ni基単結晶超合金のクリープ強度を向上させるには、析出相(γ’相)の格子定数を母相(γ相)の格子定数よりわずかに小さくすることが有効であるが、各相の格子定数は合金の構成元素の組成比により大きく変動するため、格子定数の微妙な調整が困難であるためにクリープ強度の向上を図ることが難しいという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、高温下でのTCP相の析出を防止して強度の向上を図ることが可能なNi基単結晶超合金の提供を目的とする。
【発明の開示】
上記の目的を達成するために、本発明では以下の構成を採用した。
本発明のNi基単結晶超合金は、成分が重量比で、Al:5.0重量%以上7.0重量%以下、Ta:4.0重量%以上10.0重量%以下、Mo:1.1重量%以上4.5重量%以下、W:4.0重量%以上10.0重量%以下、Re:3.1重量%以上8.0重量%以下、Hf:0重量%以上0.50重量%以下、Cr:2.0重量%以上5.0重量%以下、Co:0重量%以上9.9重量%以下、Ru:4.1重量%以上14.0重量%以下を含有し、残部がNiと不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする。
また、本発明のNi基単結晶超合金は、成分が重量比で、Al:5.0重量%以上7.0重量%以下、Ta:4.0重量%以上6.0重量%以下、Mo:1.1重量%以上4.5重量%以下、W:4.0重量%以上10.0重量%以下、Re:3.1重量%以上8.0重量%以下、Hf:0重量%以上0.50重量%以下、Cr:2.0重量%以上5.0重量%以下、Co:0重量%以上9.9重量%以下、Ru:4.1重量%以上14.0重量%以下を含有し、残部がNiと不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする。
また、本発明のNi基単結晶超合金は、成分が重量比で、Al:5.0重量%以上7.0重量%以下、Ta:4.0重量%以上6.0重量%以下、Mo:2.9重量%以上4.5重量%以下、W:4.0重量%以上10.0重量%以下、Re:3.1重量%以上8.0重量%以下、Hf:0重量%以上0.50重量%以下、Cr:2.0重量%以上5.0重量%以下、Co:0重量%以上9.9重量%以下、Ru:4.1重量%以上14.0重量%以下を含有し、残部がNiと不可避的不純物からなる組成を有することを特徴とする。
上記のNi基単結晶超合金によれば、Ruを添加することにより、強度低下の原因となるTCP相が高温使用時に析出するのが抑制される。また、他の構成元素の組成比を最適な範囲に設定することにより母相(γ相)の格子定数と析出相(γ’相)の格子定数とを最適な値にすることが可能になる。これらにより、高温下での強度を向上させることが可能になる。また、Ruの組成比が4.1重量%以上14.0重量%以下であるので、高温使用時における、クリープ強度低下の原因となるTCP相の析出が抑制される。
また、先に記載のNi基単結晶超合金において、成分が重量比で、Al:5.9重量%、Ta:5.9重量%、Mo:3.9重量%、W:5.9重量%、Re:4.9重量%、Hf:0.10重量%、Cr:2.9重量%、Co:5.9重量%、Ru:5.0重量%を含有し、残部がNiと不可避的不純物からなる組成を有することが望ましい。
上記組成のNi基単結晶超合金によれば、137MPa、1000時間でのクリープ耐用温度を1344K(1071℃)とすることが可能になる。
また、先に記載のNi基単結晶超合金において、成分が重量比で、Co:5.8重量%、Cr:2.9重量%、Mo:3.1重量%、W:5.8重量%、Al:5.8重量%、Ta:5.6重量%、Ru:5.0重量%、Re:4.9重量%、Hf:0.10重量%を含有し、残部がNiと不可避的不純物からなる組成を有することが望ましい。
上記組成のNi基単結晶超合金によれば、137MPa、1000時間でのクリープ耐用温度を1366K(1093℃)とすることが可能になる。
また、先に記載のNi基単結晶超合金において、成分が重量比で、Co:5.8重量%、Cr:2.9重量%、Mo:3.9重量%、W:5.8重量%、Al:5.8重量%、Ta:5.8重量%(5.82重量%)あるいは5,6重量%、Ru:6.0重量%、Re:4.9重量%、Hf:0.10重量%を含有し、残部がNiと不可避的不純物からなる組成を有することが望ましい。
上記組成のNi基単結晶超合金によれば、137MPa、1000時間でのクリープ耐用温度を1375K(1102℃)あるいは1379K(1106℃)とすることが可能になる。
また、先に記載のNi基単結晶超合金において、重量比で、0重量%以上2.0重量%以下のTiをさらに含有してもよい。
また、先に記載のNi基単結晶超合金において、重量比で、0重量%以上4.0重量%以下のNbをさらに含有してもよい。
また、先に記載のNi基単結晶超合金において、B、C、Si、Y、La、Ce、V、Zrのうちの少なくとも一つを含んでもよい。
この場合、個々の成分は、重量比で、B:0.05重量%以下、C:0.15重量%以下、Si:0.1重量%以下、Y:0.1重量%以下、La:0.1重量%以下、Ce:0.1重量%以下、V:1重量%以下、Zr:0.1重量%以下であるのが好ましい。
また、先に記載のNi基単結晶超合金は、さらに望ましくは、成分が重量比で、Al:5.0重量%以上7.0重量%以下、Ta:4.0重量%以上10.0重量%以下、Mo:1.1重量%以上4.5重量%以下、W:4.0重量%以上10.0重量%以下、Re:3.1重量%以上8.0重量%以下、Hf:0重量%以上0.50重量%以下、Cr:2.0重量%以上5.0重量%以下、Co:0重量%以上9.9重量%以下、Ru:10.0重量%以上14.0重量%以下、Nb:4.0重量%以下、Ti:2.0重量%以下、B:0.05重量%以下、C:0.15重量%以下、Si:0.1重量%以下、Y:0.1重量%以下、La:0.1重量%以下、Ce:0.1重量%以下、V:1重量%以下、Zr:0.1重量%以下からなる組成を有する。
また、先に記載のNi基単結晶超合金は、さらに望ましくは、成分が重量比で、Al:5.8重量%以上7.0重量%以下、Ta:4.0重量%以上5.6重量%以下、Mo:3.3重量%以上4.5重量%以下、W:4.0重量%以上10.0重量%以下、Re:3.1重量%以上8.0重量%以下、Hf:0重量%以上0.50重量%以下、Cr:2.9重量%以上4.3重量%以下、Co:0重量%以上9.9重量%以下、Ru:4.1重量%以上14.0重量%以下、Nb:4.0重量%以下、Ti:2.0重量%以下、B:0.05重量%以下、C:0.15重量%以下、Si:0.1重量%以下、Y:0.1重量%以下、La:0.1重量%以下、Ce:0.1重量%以下、V:1重量%以下、Zr:0.1重量%以下からなる組成を有する。
また、先に記載のNi基単結晶超合金は、さらに望ましくは、成分が重量比で、Al:5.0重量%以上7.0重量%以下、Ta:4.0重量%以上10.0重量%以下、Mo:1.1重量%以上4.5重量%以下、W:4.0重量%以上10.0重量%以下、Re:3.1重量%以上8.0重量%以下、Hf:0重量%以上0.50重量%以下、Cr:2.9重量%以上5.0重量%以下、Co:0重量%以上9.9重量%以下、Ru:6.5重量%以上14.0重量%以下、Nb:4.0重量%以下、Ti:2.0重量%以下、B:0.05重量%以下、C:0.15重量%以下、Si:0.1重量%以下、Y:0.1重量%以下、La:0.1重量%以下、Ce:0.1重量%以下、V:1重量%以下、Zr:0.1重量%以下からなる組成を有する。
また、先に記載のNi基単結晶超合金は、さらに望ましくは、成分が重量比で、Al:5.0重量%以上7.0重量%以下、Ta:4.0重量%以上6.0重量%以下、Mo:3.3重量%以上4.5重量%以下、W:4.0重量%以上10.0重量%以下、Re:3.1重量%以上8.0重量%以下、Hf:0重量%以上0.50重量%以下、Cr:2.0重量%以上5.0重量%以下、Co:0重量%以上9.9重量%以下、Ru:4.1重量%以上14.0重量%以下、Nb:4.0重量%以下、Ti:2.0重量%以下、B:0.05重量%以下、C:0.15重量%以下、Si:0.1重量%以下、Y:0.1重量%以下、La:0.1重量%以下、Ce:0.1重量%以下、V:1重量%以下、Zr:0.1重量%以下からなる組成を有する。
また、先に記載のNi基単結晶超合金は、さらに望ましくは、成分が重量比で、Al:5.0重量%以上7.0重量%以下、Ta:4.0重量%以上5.6重量%以下、Mo:3.3重量%以上4.5重量%以下、W:4.0重量%以上10.0重量%以下、Re:3.1重量%以上8.0重量%以下、Hf:0重量%以上0.50重量%以下、Cr:2.0重量%以上5.0重量%以下、Co:0重量%以上9.9重量%以下、Ru:4.1重量%以上14.0重量%以下、Nb:4.0重量%以下、Ti:2.0重量%以下、B:0.05重量%以下、C:0.15重量%以下、Si:0.1重量%以下、Y:0.1重量%以下、La:0.1重量%以下、Ce:0.1重量%以下、V:1重量%以下、Zr:0.1重量%以下からなる組成を有する。
また、先に記載のNi基単結晶超合金は、さらに望ましくは、成分が重量比で、Al:5.0重量%以上7.0重量%以下、Ta:4.0重量%以上10.0重量%以下、Mo:3.1重量%以上4.5重量%以下、W:4.0重量%以上10.0重量%以下、Re:3.1重量%以上8.0重量%以下、Hf:0重量%以上0.50重量%以下、Cr:2.0重量%以上5.0重量%以下、Co:0重量%以上9.9重量%以下、Ru:4.1重量%以上14.0重量%以下、Nb:4.0重量%以下、B:0.05重量%以下、C:0.15重量%以下、Si:0.1重量%以下、Y:0.1重量%以下、La:0.1重量%以下、Ce:0.1重量%以下、V:1重量%以下、Zr:0.1重量%以下からなる組成を有する。
また、先に記載のNi基単結晶超合金は、さらに望ましくは、成分が重量比で、Al:5.8重量%以上7.0重量%以下、Ta:4.0重量%以上10.0重量%以下、Mo:3.1重量%以上4.5重量%以下、W:4.0重量%以上10.0重量%以下、Re:3.1重量%以上8.0重量%以下、Hf:0重量%以上0.50重量%以下、Cr:2.0重量%以上5.0重量%以下、Co:0重量%以上9.9重量%以下、Ru:4.1重量%以上14.0重量%以下、Nb:4.0重量%以下、Ti:2重量%以下、B:0.05重量%以下、C:0.15重量%以下、Si:0.1重量%以下、Y:0.1重量%以下、La:0.1重量%以下、Ce:0.1重量%以下、V:1重量%以下、Zr:0.1重量%以下からなる組成を有する。
また、先に記載のNi基単結晶超合金は、さらに望ましくは、成分が重量比で、Al:5.0重量%以上7.0重量%以下、Ta:4.0重量%以上10.0重量%以下、Mo:3.1重量%以上4.5重量%以下、W:4.0重量%以上10.0重量%以下、Re:3.1重量%以上8.0重量%以下、Hf:0重量%以上0.50重量%以下、Cr:2.9重量%以上4.3重量%以下、Co:0重量%以上9.9重量%以下、Ru:4.1重量%以上14.0重量%以下、Nb:4.0重量%以下、Ti:2重量%以下、B:0.05重量%以下、C:0.15重量%以下、Si:0.1重量%以下、Y:0.1重量%以下、La:0.1重量%以下、Ce:0.1重量%以下、V:1重量%以下、Zr:0.1重量%以下からなる組成を有する。
また、本発明のNi基単結晶超合金は、さらに望ましくは、成分が重量比で、Al:5.0重量%以上7.0重量%以下、Ta+Nb+Ti:4.0重量%以上10.0重量%以下、Mo:3.3重量%以上4.5重量%以下、W:4.0重量%以上10.0重量%以下、Re:3.1重量%以上8.0重量%以下、Hf:0重量%以上0.50重量%以下、Cr:2.0重量%以上5.0重量%以下、Co:0重量%以上9.9重量%以下、Ru:4.1重量%以上14.0重量%以下、B:0.05重量%以下、C:0.15重量%以下、Si:0.1重量%以下、Y:0.1重量%以下、La:0.1重量%以下、Ce:0.1重量%以下、V:1重量%以下、Zr:0.1重量%以下からなる組成を有する。
さらに、本発明のNi基単結晶超合金は、先に記載のNi基単結晶超合金であって、母相の格子定数をa1とし、析出相の格子定数をa2としたとき、a2≦0.999a1であることを特徴とする。
上記のNi基単結晶超合金によれば、母相の格子定数をa1とし、析出相の格子定数をa2としたとき、a1とa2の関係がa2≦0.999a1であり、析出相の格子定数a2が母相の格子定数a1のマイナス0.1%以下であるので、母相中に析出する析出相が荷重方向の垂直方向に連続して延在するように析出し、応力下で転位欠陥が合金組織中を移動することが少なくなる。その結果、従来のNi基単結晶超合金に比べ、高温時の強度を高めることが可能になる。
この場合、さらに望ましくは、析出相の結晶の格子定数a2を母相の結晶の格子定数a1の0.9965以下とする。
さらに、本発明のNi基単結晶超合金は、合金中の転移網間隔が40nm以下であることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
図1は、格子ミスフィットとクリープ寿命との関係を示す図である。
図2は、転移網間隔とクリープ寿命との関係を示す図である。
図3は、本発明のNi基単結晶超合金の転移網及びその間隔を例示する、Ni基単結晶超合金の透過電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明のNi基単結晶超合金は、Al、Ta、Mo、W、Re、Hf、Cr、Co、Ru等の成分、及びNi(残部)を含有し、さらに不可避的不純物を含有する合金である。
上記のNi基単結晶超合金は、例えば、組成比がAl:5.0重量%以上7.0重量%以下、Ta:4.0重量%以上10.0重量%以下、Mo:1.1重量%以上4.5重量%以下、W:4.0重量%以上10.0重量%以下、Re:3.1重量%以上8.0重量%以下、Hf:0重量%以上0.50重量%以下、Cr:2.0重量%以上5.0重量%以下、Co:0重量%以上9.9重量%以下、Ru:4.1重量%以上14.0重量%以下であり、残部がNiと不可避的不純物からなる合金である。
また、上記のNi基単結晶超合金は、例えば、組成比がAl:5.0重量%以上7.0重量%以下、Ta:4.0重量%以上6.0重量%以下、Mo:1.1重量%以上4.5重量%以下、W:4.0重量%以上10.0重量%以下、Re:3.1重量%以上8.0重量%以下、Hf:0重量%以上0.50重量%以下、Cr:2.0重量%以上5.0重量%以下、Co:0重量%以上9.9重量%以下、Ru:4.1重量%以上14.0重量%以下を含有し、残部がNiと不可避的不純物からなる合金である。
また、上記のNi基単結晶超合金は、例えば、組成比がAl:5.0重量%以上7.0重量%以下、Ta:4.0重量%以上6.0重量%以下、Mo:2.9重量%以上4.5重量%以下、W:4.0重量%以上10.0重量%以下、Re:3.1重量%以上8.0重量%以下、Hf:0重量%以上0.50重量%以下、Cr:2.0重量%以上5.0重量%以下、Co:0重量%以上9.9重量%以下、Ru:4.1重量%以上14.0重量%以下を含有し、残部がNiと不可避的不純物からなる合金である。
上記合金はいずれも、オーステナイト相たるγ相(母相)と、この母相中に分散析出した中間規則相たるγ’相(析出相)とを有している。γ’相は、主としてNi3Alで表される金属間化合物からなり、このγ’相によりNi基単結晶超合金の高温強度が向上する。
Crは耐酸化性に優れた元素であり、Ni基単結晶超合金の高温耐食性を向上させる。
Crの組成比は,Cr:2.0重量%以上5.0重量%以下の範囲が好ましく、2.9重量%以上5.0重量%以下の範囲がより好ましく、2.9重量%以上4.3重量%以下の範囲がさらに好ましく、2.9重量%とすることが最も好ましい。
Crの組成比が2.0重量%未満であると、所望の高温耐食性を確保できないので好ましくなく、Crの組成比が5.0重量%を越えると、γ’相の析出が抑制されるとともにσ相やμ相などの有害相が生成し、高温強度が低下するので好ましくない。
Moは、W及びTaとの共存下にて、母相であるγ相に固溶して高温強度を増加させるとともに析出硬化により高温強度に寄与する。また、Moは、本合金の特徴である格子ミスフィット及び転位網間隔(後述)に大きく寄与する。
Moの組成比は、1.1重量%以上4.5重量%以下の範囲が好ましく、2.9重量%以上4.5重量%以下の範囲がより好ましく、3.1重量%以上4.5重量%以下の範囲、あるいは、3.3重量%以上4.5重量%以下の範囲がさらに好ましく、3.1重量%あるいは3.9重量%とすることが最も好ましい。
Moの組成比が1.1重量%未満であると、所望の高温強度を確保できないので好ましくなく、一方、Moの組成比が4.5重量%を越えても、高温強度が低下し、更には高温耐食性も低下するので好ましくない。
Wは、上記のようにMo及びTaとの共存下にて固溶強化と析出硬化の作用により、高温強度を向上させる。
Wの組成比は、4.0重量%以上10.0重量%以下の範囲が好ましく、5.9重量%あるいは5.8重量%とすることが最も好ましい。
Wの組成比が4.0重量%未満であると、所望の高温強度を確保できないので好ましくなく、Wの組成比が10.0重量%を越えると高温耐食性が低下するので好ましくない。
Taは、上記のようにMo及びWとの共存下にて固溶強化と析出硬化の作用により高温強度を向上させ、また一部がγ’相に対して析出硬化し、高温強度を向上させる。
Taの組成比は、4.0重量%以上10.0重量%以下の範囲が好ましく、4.0重量%以上6.0重量%以下の範囲がより好ましく、4.0重量%以上5.6重量%以下の範囲がさらに好ましく、5.6重量%あるいは5.82重量%とすることが最も好ましい。
Taの組成比が4.0重量%未満であると、所望の高温強度を確保できないので好ましくなく、Taの組成比が10.0重量%を越えると、σ相やμ相が生成するようになって高温強度が低下するので好ましくない。
Alは、Niと化合し、母相中に微細均一に分散析出するγ’相を構成するNiAl)で表される金属間化合物を、体積分率で60〜70%の割合で形成し、高温強度を向上させる。
Alの組成比は、5.0重量%以上7.0重量%以下の範囲が好ましく、5.8重量%以上7.0重量%以下の範囲がより好ましく、5.9重量%あるいは5.8重量%とすることが最も好ましい。
Alの組成比が5.0重量%未満であると、γ’相の析出量が不十分となり、所望の高温強度を確保できないので好ましくなく、Alの組成比が7.0重量%を越えると、共晶γ’相と呼ばれる粗大なγ相が多く形成され、溶体化処理が不可能となり、高い高温強度を確保できなくなるので好ましくない。
Hfは粒界偏析元素であり、γ相とγ’相の粒界に偏在して粒界を強化し、これにより高温強度を向上させる。
Hfの組成比は、0.01重量%以上0.50重量%以下の範囲が好ましく、0.10重量%とすることが最も好ましい。
Hfの組成比が0.01重量%未満であると、γ’相の析出量が不十分となり、所望の高温強度を確保できないので好ましくない。但し、必要に応じ、Hfの組成比を0重量%以上0.01重量%未満とする場合もある。また、Hfの組成比が0.50重量%を越えると、局部溶融を引き起こして高温強度を低下させるおそれがあるので好ましくない。
Coは、Al、Ta等の母相に対する高温下での固溶限度を大きくし、熱処理によって微細なγ’相を分散析出させ、高温強度を向上させる。
Coの組成比は、0.1重量%以上9.9重量%以下の範囲が好ましく、5.8重量%とすることが最も好ましい。
Coの組成比が0.1重量%未満であると、γ’相の析出量が不十分となり、所望の高温強度を確保できないので好ましくない。但し、必要に応じ、Coの組成比を0重量%以上0.1重量%未満とする場合もある。また、Coの組成比が9.9重量%を越えると、Al、Ta、Mo、W、Hf、Cr等の他の元素とのバランスがくずれ、有害相が析出して高温強度が低下するので好ましくない。
Reは母相であるγ相に固溶し、固溶強化により高温強度を向上させる。また耐蝕性を向上させる効果もある。一方でReを多量に添加すると、高温時に有害相であるTCP相が析出し、高温強度が低下するおそれがある。
Reの組成比は、3.1重量%以上8.0重量%以下の範囲が好ましく、4.9重量%とすることが最も好ましい。
Reの組成比が3.1重量%未満であると、γ相の固溶強化が不十分となって所望の高温強度を確保できないので好ましくなく、Reの組成比が8.0重量%を越えると、高温時にTCP相が析出し、高い高温強度を確保できなくなるので好ましくない。
Ruは、TCP相の析出を抑え、これにより高温強度を向上させる。
Ruの組成比は、4.1重量%以上14.0重量%以下の範囲、あるいは、10.0重量%以上14.0重量%以下の範囲、あるいは6.5重量%以上14.0重量%以下の範囲が好ましく、5.0重量%あるいは6.0重量%あるいは7.0重量%とすることが最も好ましい。
Ruの組成比が1.0重量%未満であると、高温時にTCP相が析出し、高い高温強度を確保できなくなる。さらに、Ruの組成比が4.1重量%未満であると、Ruの組成比が4.1重量%以上の場合に比べて、高温強度が低くなる。また、Ruの組成比が14.0重量%を越えると、ε相が析出して高温強度が低下するので好ましくない。
本発明では、Al、Ta、Mo、W、Hf、Cr、Co、Re及びNiの組成比を最適なものに調整することにより、γ相の格子定数とγ’相の格子定数により算出される格子ミスフィット及び転移網間隔(後述)を最適な範囲に設定して高温強度を向上させるとともに、Ruを添加することにより、TCP相の析出を抑制できる。また、特にAlとCrとTaとMoの組成比を上記のように設定することにより、合金の製造コストを抑えることができる。さらに、比強度の向上や、格子ミスフィットや転移網間隔の最適値への設定が実施可能となる。
また、1273K(1000℃)から1373K(1100℃)のような高温での使用環境において、母相であるγ相を構成する結晶の格子定数をa1とし、析出相であるγ’相を構成する結晶の格子定数をa2としたとき、a1とa2の関係がa2≦0.999a1であることが好ましい。即ち、析出相の結晶の格子定数a2が母相の結晶の格子定数a1のマイナス0.1%以下であることが好ましい。さらに好ましくは、析出相の結晶の格子定数a2が母相の結晶の格子定数a1の0.9965以下であるとよい。この場合、上述したa1とa2の関係は、a2≦0.9965a1となる。なお、以下の記載中、母相の結晶の格子定数a1に対する析出相の結晶の格子定数a2のパーセンテージを、「格子ミスフィット」と呼称する。
両者の格子定数がこのような関係を有する場合、熱処理によって母相中に析出相が析出する際に、析出相が荷重方向の垂直方向に連続して延在するように析出するので、応力下で転位欠陥が合金組織中を移動することが少なくなり、クリープ強度が高められる。
格子定数a1と格子定数a2の関係をa2≦0.999a1とするためには、Ni基単結晶超合金を構成する構成元素の組成を適宜調整する必要がある。
格子ミスフィットと合金がクリープ破断するまでの時間(クリープ寿命)との関係を図1に示す。
図1において、格子ミスフィットがほぼ−0.35以下であれば、クリープ寿命が要求値(図の縦軸に点線で示した値)をほぼ満たすことがわかる。よって、本発明では、より好ましい格子ミスフィットを、−0.35以下に設定した。格子ミスフィットを−0.35以下とするためには、Moの組成比を高めに維持しつつ、他の構成元素の組成比を調整する必要がある。
上記のNi基単結晶超合金によれば、Ruを添加することにより、クリープ強度低下の原因となるTCP相が高温使用時に析出するのが抑制される。また、他の構成元素の組成比を最適な範囲に設定することにより、母相(γ相)の格子定数と析出相(γ’相)の格子定数とを最適な値にすることが可能になる。これらにより、高温下でのクリープ強度を向上できる。
また、上記のNi基単結晶超合金は、Tiをさらに含有してもよい。この場合、Tiの組成比は、0重量%以上2.0重量%以下の範囲が好ましい。Tiの組成比が2.0重量%を超えると、有害相が析出して高温強度が低下するので好ましくない。
また、上記のNi基単結晶超合金は、Nbをさらに含有してもよい。この場合、Nbの組成比は、0重量%以上4.0重量%以下であるのが好ましい。Nbの組成比が4.0重量%を超えると、有害相が析出して高温強度が低下するので好ましくない。
あるいは、TaとNbとTiの組成比を、両者の合計(Ta+Nb+Ti)で4.0重量%以上10.0重量%以下とすることによっても、高温強度を向上させることができる。
また、上記のNi基単結晶超合金において、不可避的不純物以外に、例えば、B、C、Si、Y、La、Ce、V、Zrなどを含んでもよい。B、C、Si、Y、La、Ce、V、Zrのうちの少なくとも一つを含む場合、個々の成分の組成比は、B:0.05重量%以下、C:0.15重量%以下、Si:0.1重量%以下、Y:0.1重量%以下、La:0.1重量%以下、Ce:0.1重量%以下、V:1重量%以下、Zr:0.1重量%以下であるのが好ましい。上記個々の成分の組成比が上記範囲を超えると、有害相が析出して高温強度が低下するので好ましくない。
また、上記のNi基単結晶超合金において、合金中の転移網間隔が40nm以下であることが望ましい。転移網とは、合金中に網目状に形成された転位(線状に繋がっている原子の変位)を示す。その網目の間隔を転位網間隔と定義する。転移網間隔と合金がクリープ破断するまでの時間(クリープ寿命)との関係を図2に示す。
図2において、転移網間隔がほぼ40nm以下であれば、クリープ寿命が要求値(図の縦軸に点線で示した値)を満たすことがわかる。よって、本発明では、好ましい転移網間隔を、40nm以下に設定した。転移網間隔を40nm以下とするためには、Moの組成比を高めに維持しつつ、他の構成元素の組成比を調整する必要がある。
また、図3は、本発明(後述する実施例3)のNi基単結晶超合金の転移網及びその間隔を例示する、Ni基単結晶超合金の透過電子顕微鏡写真である。図3から、本発明のNi基単結晶超合金では、転移網間隔が40nm以下であることがわかる。
なお、従来のNi基単結晶超合金には、逆分配を起こす合金が存在するが、本発明に係るNi基単結晶超合金は、逆分配を起こさない。
【実施例】
次に、実施例を示し、本発明の効果について説明する。
真空溶解炉を用いて各種のNi基単結晶超合金の溶湯を調整し、この合金溶湯を用いて組成の異なる複数の合金インゴットを鋳造した。各合金インゴット(参考例1〜6、実施例1〜14)の組成比を表2に示す。

次に、合金インゴットに対して溶体化処理及び時効処理を行い、合金組織の状態を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。溶体化処理は、1573K(1300℃)で1時間保持した後、1603K(1330℃)まで昇温し、5時間保持した。また、時効処理は、1273K〜1423K(1000℃〜1150℃)で4時間保持する1次時効処理と、1143K(870℃)で20時間保持する2次時効処理を連続して行った。
その結果、各試料ともに、組織中にTCP相は確認されなかった。
次に、溶体化処理及び時効処理を施した各試料に対して、クリープ試験を行った。クリープ試験は、表3に示す温度及び応力の各条件下で各試料(参考例1〜6、及び実施例1〜14)がクリープ破断するまでの時間を寿命として測定した。また、格子ミスフィットの値を併せて計測した。これらの結果を表3に示す。さらに、表1に示した従来の合金(比較例1〜比較例5)の格子ミスフィットの値を併せて計測した。これらの結果を表4に示す。


表3から明らかなように、参考例1〜6、及び実施例1〜14の試料はいずれも、1273K(1000℃)以上の高温の条件下であっても高い強度を有していることがわかる。特に、Ruの組成比が4.0重量%である参考例5、及びRuの組成比がほぼ5.0重量%である実施例1、2、4、9、10、及び11、Ruの組成比が6.0重量%である実施例3及び12、13、Ruの組成比が7.0重量%である実施例14は、高い高温強度を有していることがわかる。
また、表3、4から明らかなように、比較例の格子ミスフィットは、−0.35以上であるのに対して、参考例1〜6、及び実施例1〜14の試料は、いずれも、格子ミスフィットは−0.35以下であることがわかる。
さらに、表1に示した従来の合金(比較例1〜比較例5)、及び表2に示した各試料(参考例1〜6、及び実施例1〜14)に対して、クリープランチャー特性(耐用温度)を比較した。その結果を表5に示す。クリープランチャー特性は、137MPaの応力を1000時間印加した条件で試料が破断するまでの温度を測定した結果、または試料の破断温度をその条件下に換算したものを用いている。

表5から明らかなように、参考例1〜6の試料、及び実施例1〜14の試料はいずれも、従来の合金(比較例1〜比較例5)に比べて同等以上の高い耐用温度を有していることがわかる。特に、実施例1〜14はいずれも、高い耐用温度(実施例1:1344K(1071℃)、実施例2:1368K(1093℃)、実施例3:1375K(1102℃)、実施例4:1372K(1099℃)、実施例5:1379K(1106℃)、実施例6:1379K(1106℃)、実施例7:1379K(1106℃)、実施例8:1363K(1090℃)、実施例9:1358K(1085℃)、実施例10:1362K(1089℃)、実施例11:1361K(1088℃)、実施例12:1363K(1090℃)、実施例13:1366K(1093℃)、実施例14:1384K(1111℃))を有していることがわかる。
従って、本実施例1〜14は、従来のNi基単結晶超合金と比較して高い耐熱温度を有しており、優れた高温強度を有していることがわかる。
なお、Ni基単結晶超合金では、Ruが必要以上に増えると、ε相が析出して高温強度が低下するため、Ruの含有量は、他の元素とのバランスがくずれない範囲内(例えば、4.1重量%以上14.0重量%以下)に定められるのが好ましい。
【図1】

【図2】

【図3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分が重量比で、Al:5.0重量%以上7.0重量%以下、Ta:4.0重量%以上10.0重量%以下、Mo:1.1重量%以上4.5重量%以下、W:4.0重量%以上10.0重量%以下、Re:3.1重量%以上8.0重量%以下、Hf:0重量%以上0.50重量%以下、Cr:2.0重量%以上5.0重量%以下、Co:0重量%以上9.9重量%以下、Ru:4.1重量%以上14.0重量%以下を含有し、残部がNiと不可避的不純物からなる組成を有するNi基単結晶超合金。
【請求項2】
成分が重量比で、Al:5.0重量%以上7.0重量%以下、Ta:4.0重量%以上6.0重量%以下、Mo:1.1重量%以上4.5重量%以下、W:4.0重量%以上10.0重量%以下、Re:3.1重量%以上8.0重量%以下、Hf:0重量%以上0.50重量%以下、Cr:2.0重量%以上5.0重量%以下、Co:0重量%以上9.9重量%以下、Ru:4.1重量%以上14.0重量%以下を含有し、残部がNiと不可避的不純物からなる組成を有するNi基単結晶超合金。
【請求項3】
成分が重量比で、Al:5.0重量%以上7.0重量%以下、Ta:4.0重量%以上6.0重量%以下、Mo:2.9重量%以上4.5重量%以下、W:4.0重量%以上10.0重量%以下、Re:3.1重量%以上8.0重量%以下、Hf:0重量%以上0.50重量%以下、Cr:2.0重量%以上5.0重量%以下、Co:0重量%以上9.9重量%以下、Ru:4.1重量%以上14.0重量%以下を含有し、残部がNiと不可避的不純物からなる組成を有するNi基単結晶超合金。
【請求項4】
成分が重量比で、Al:5.9重量%、Ta:5.9重量%、Mo:3.9重量%、W:5.9重量%、Re:4.9重量%、Hf:0.10重量%、Cr:2.9重量%、Co:5.9重量%、Ru:5.0重量%を含有し、残部がNiと不可避的不純物からなる組成を有する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のNi基単結晶超合金。
【請求項5】
成分が重量比で、Al:5.8重量%、Ta:5.6重量%、Mo:3.1重量%、W:5.8重量%、Re:4.9重量%、Hf:0.10重量%、Cr:2.9重量%、Co:5.8重量%、Ru:5.0重量%を含有し、残部がNiと不可避的不純物からなる組成を有する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のNi基単結晶超合金。
【請求項6】
成分が重量比で、Al:5.8重量%、Ta:5.8重量%、Mo:3.9重量%、W:5.8重量%、Re:4.9重量%、Hf:0.10重量%、Cr:2.9重量%、Co:5.8重量%、Ru:6.0重量%を含有し、残部がNiと不可避的不純物からなる組成を有する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のNi基単結晶超合金。
【請求項7】
重量比で、2.0重量%以下のTiをさらに含有する請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のNi基単結晶超合金。
【請求項8】
重量比で、4.0重量%以下のNbをさらに含有する請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のNi基単結晶超合金。
【請求項9】
B、C、Si、Y、La、Ce、V、Zrのうちの少なくとも一つを含有する請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のNi基単結晶超合金。
【請求項10】
重量比で、B:0.05重量%以下、C:0.15重量%以下、Si:0.1重量%以下、Y:0.1重量%以下、La:0.1重量%以下、Ce:0.1重量%以下、V:1重量%以下、Zr:0.1重量%以下である請求項9に記載のNi基単結晶超合金。
【請求項11】
成分が重量比で、Al:5.0重量%以上7.0重量%以下、Ta:4.0重量%以上10.0重量%以下、Mo:1.1重量%以上4.5重量%以下、W:4.0重量%以上10.0重量%以下、Re:3.1重量%以上8.0重量%以下、Hf:0重量%以上0.50重量%以下、Cr:2.0重量%以上5.0重量%以下、Co:0重量%以上9.9重量%以下、Ru:10.0重量%以上14.0重量%以下、Nb:4.0重量%以下、Ti:2.0重量%以下、B:0.05重量%以下、C:0.15重量%以下、Si:0.1重量%以下、Y:0.1重量%以下、La:0.1重量%以下、Ce:0.1重量%以下、V:1重量%以下、Zr:0.1重量%以下を含有する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のNi基単結晶超合金。
【請求項12】
成分が重量比で、Al:5.8重量%以上7.0重量%以下、Ta:4.0重量%以上5.6重量%以下、Mo:3.3重量%以上4.5重量%以下、W:4.0重量%以上10.0重量%以下、Re:3.1重量%以上8.0重量%以下、Hf:0重量%以上0.50重量%以下、Cr:2.9重量%以上4.3重量%以下、Co:0重量%以上9.9重量%以下、Ru:4.1重量%以上14.0重量%以下、Nb:4.0重量%以下、Ti:2.0重量%以下、B:0.05重量%以下、C:0.15重量%以下、Si:0.1重量%以下、Y:0.1重量%以下、La:0.1重量%以下、Ce:0.1重量%以下、V:1重量%以下、Zr:0.1重量%以下を含有する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のNi基単結晶超合金。
【請求項13】
成分が重量比で、Al:5.0重量%以上7.0重量%以下、Ta:4.0重量%以上10.0重量%以下、Mo:1.1重量%以上4.5重量%以下、W:4.0重量%以上10.0重量%以下、Re:3.1重量%以上8.0重量%以下、Hf:0重量%以上0.50重量%以下、Cr:2.9重量%以上5.0重量%以下、Co:0重量%以上9.9重量%以下、Ru:6.5重量%以上14.0重量%以下、Nb:4.0重量%以下、Ti:2.0重量%以下、B:0.05重量%以下、C:0.15重量%以下、Si:0.1重量%以下、Y:0.1重量%以下、La:0.1重量%以下、Ce:0.1重量%以下、V:1重量%以下、Zr:0.1重量%以下を含有する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のNi基単結晶超合金。
【請求項14】
成分が重量比で、Al:5.0重量%以上7.0重量%以下、Ta:4.0重量%以上6.0重量%以下、Mo:3.3重量%以上4.5重量%以下、W:4.0重量%以上10.0重量%以下、Re:3.1重量%以上8.0重量%以下、Hf:0重量%以上0.50重量%以下、Cr:2.0重量%以上5.0重量%以下、Co:0重量%以上9.9重量%以下、Ru:4.1重量%以上14.0重量%以下、Nb:4.0重量%以下、Ti:2.0重量%以下、B:0.05重量%以下、C:0.15重量%以下、Si:0.1重量%以下、Y:0.1重量%以下、La:0.1重量%以下、Ce:0.1重量%以下、V:1重量%以下、Zr:0.1重量%以下を含有する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のNi基単結晶超合金。
【請求項15】
成分が重量比で、Al:5.0重量%以上7.0重量%以下、Ta:4.0重量%以上5.6重量%以下、Mo:3.3重量%以上4.5重量%以下、W:4.0重量%以上10.0重量%以下、Re:3.1重量%以上8.0重量%以下、Hf:0重量%以上0.50重量%以下、Cr:2.0重量%以上5.0重量%以下、Co:0重量%以上9.9重量%以下、Ru:4.1重量%以上14.0重量%以下、Nb:4.0重量%以下、Ti:2.0重量%以下、B:0.05重量%以下、C:0.15重量%以下、Si:0.1重量%以下、Y:0.1重量%以下、La:0.1重量%以下、Ce:0.1重量%以下、V:1重量%以下、Zr:0.1重量%以下を含有する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のNi基単結晶超合金。
【請求項16】
成分が重量比で、Al:5.0重量%以上7.0重量%以下、Ta:4.0重量%以上10.0重量%以下、Mo:3.1重量%以上4.5重量%以下、W:4.0重量%以上10.0重量%以下、Re:3.1重量%以上8.0重量%以下、Hf:0重量%以上0.50重量%以下、Cr:2.0重量%以上5.0重量%以下、Co:0重量%以上9.9重量%以下、Ru:4.1重量%以上14.0重量%以下、Nb:4.0重量%以下、Ti:2重量%以下、B:0.05重量%以下、C:0.15重量%以下、Si:0.1重量%以下、Y:0.1重量%以下、La:0.1重量%以下、Ce:0.1重量%以下、V:1重量%以下、Zr:0.1重量%以下を含有する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のNi基単結晶超合金。
【請求項17】
成分が重量比で、Al:5.8重量%以上7.0重量%以下、Ta:4.0重量%以上10.0重量%以下、Mo:3.1重量%以上4.5重量%以下、W:4.0重量%以上10.0重量%以下、Re:3.1重量%以上8.0重量%以下、Hf:0重量%以上0.50重量%以下、Cr:2.0重量%以上5.0重量%以下、Co:0重量%以上9.9重量%以下、Ru:4.1重量%以上14.0重量%以下、Nb:4.0重量%以下、Ti:2重量%以下、B:0.05重量%以下、C:0.15重量%以下、Si:0.1重量%以下、Y:0.1重量%以下、La:0.1重量%以下、Ce:0.1重量%以下、V:1重量%以下、Zr:0.1重量%以下を含有する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のNi基単結晶超合金。
【請求項18】
成分が重量比で、Al:5.0重量%以上7.0重量%以下、Ta:4.0重量%以上10.0重量%以下、Mo:3.1重量%以上4.5重量%以下、W:4.0重量%以上10.0重量%以下、Re:3.1重量%以上8.0重量%以下、Hf:0重量%以上0.50重量%以下、Cr:2.9重量%以上4.3重量%以下、Co:0重量%以上9.9重量%以下、Ru:4.1重量%以上14.0重量%以下、Nb:4.0重量%以下、Ti:2重量%以下、B:0.05重量%以下、C:0.15重量%以下、Si:0.1重量%以下、Y:0.1重量%以下、La:0.1重量%以下、Ce:0.1重量%以下、V:1重量%以下、Zr:0.1重量%以下を含有する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のNi基単結晶超合金。
【請求項19】
成分が重量比で、Al:5.0重量%以上7.0重量%以下、Ta+Nb+Ti:4.0重量%以上10.0重量%以下、Mo:3.3重量%以上4.5重量%以下、W:4.0重量%以上10.0重量%以下、Re:3.1重量%以上8.0重量%以下、Hf:0重量%以上0.50重量%以下、Cr:2.0重量%以上5.0重量%以下、Co:0重量%以上9.9重量%以下、Ru:4.1重量%以上14.0重量%以下、B:0.05重量%以下、C:0.15重量%以下、Si:0.1重量%以下、Y:0.1重量%以下、La:0.1重量%以下、Ce:0.1重量%以下、V:1重量%以下、Zr:0.1重量%を含有するNi基単結晶超合金。
【請求項20】
母相の格子定数をa1とし、析出相の格子定数をa2としたとき、a2≦0.999a1である請求項1から請求項19のいずれか一項に記載のNi基単結晶超合金。
【請求項21】
析出相の結晶の格子定数a2が母相の結晶の格子定数a1の0.9965以下である請求項20に記載のNi基単結晶超合金。
【請求項22】
析出相の結晶の格子定数a2が母相の結晶の格子定数a1の0.9965以下であり、かつ成分中にRe、Ruを含有し、さらに重量比で、Mo:2.9重量%以上4.5重量%以下を含有するNi基単結晶超合金。
【請求項23】
析出相の結晶の格子定数a2が母相の結晶の格子定数a1の0.9965以下であり、かつ成分中に重量比で、Mo:2.9重量%以上4.5重量%以下、Re:3.1重量%以上8.0重量%以下、Ru:4.1重量%以上14.0重量%以下を含有するNi基単結晶超合金。
【請求項24】
合金中の転移網間隔が40nm以下である請求項1から請求項23のいずれか一項に記載のNi基単結晶超合金。

【国際公開番号】WO2004/053177
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【発行日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−558425(P2004−558425)
【国際出願番号】PCT/JP2003/015619
【国際出願日】平成15年12月5日(2003.12.5)
【出願人】(301023238)独立行政法人物質・材料研究機構 (1,333)
【出願人】(000000099)石川島播磨重工業株式会社 (5,014)