説明

PCV2抗原の使用によるブタにおける随伴感染の減少

本発明は、豚又は豚の群れにおける、PCV2以外の病原体によって引き起こされる随伴感染の割合を減少させる方法であって、前記豚に有効量のPCV2抗原又はPCV2抗原を有する免疫原性組成物を投与する工程を有することを特徴とする方法に関する。また、本発明は、PCV2以外の病原体への随伴感染に対する豚の抵抗性を向上させる方法であって、前記豚に有効量のPCV2抗原又はPCV2抗原を有する免疫原性組成物を投与する工程を有することを特徴とする方法にも言及する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[配列表]
本願は、紙形式及びコンピュータ可読形式で配列表を有しており、その教示及び内容は参照することにより本明細書に援用される。配列表は、WO06/072065に包含されているものと同一である。
【0002】
[技術分野]
本発明は獣医学の分野、特には感染症に関する。また、本発明は、PCV−2以外の病原体によって引き起こされるブタの随伴感染を減少させる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
1996年に、「離乳後多臓器消耗症候群(PMWS)」と言われる新興症が、それより5年前にカナダで観察されたケースに関連して報告された(Clark T.Pathology of the Postweaning Multisystemic Wasting Syndrome of Pigs.1996 p.22−5)。豚サーコウイルス2型(PCV2)が、この疾患症候群の必須原因病原体として特定された。これまでの間、PMWSは、豚を生産する実質的に世界の全ての地域で観察されている(Brunborg IM,Moldal T,Jonassen CM.J Virol Methods 2004 Dec 15;122(2):171−8)。5〜15週齢の豚は、最も影響を受けることが多い(Allan G,McNeilly F.PMWS/PCVD:Diagnosis,Disease and Control:What do we know? 2006 Jul 16−2006 Jul 19;2006;Allan GM,et al.,Vet Microbiol 2004 Feb 4;98(2):165−8;Chae C.Vet J 2004 Jul;168(1):41−9)。臨床兆候としては、死亡率の顕著な増加、消耗、リンパ節の全体的な拡大、呼吸兆候、時折の蒼白、黄疸、及び下痢が挙げられる(Chae C.Vet J 2005 May;169(3):326−36;Segales J.et al.Vet Microbiol 2004 Feb 4;98(2):151−8)。これらの臨床兆候は、PMWS単一感染した豚の群れの中で必ずしも全て同時に見られるわけではなく、臨床兆候の発現には異なる器官系を優先的に標的にする農場特異的な重病原体(co−pathogens)が間接的に関係しているように思われる。疫学的調査によると、豚繁殖器呼吸器症候群ウイルス(PRRSV)、ブタインフルエンザウイルス(SIV)、豚パルボウイルス(PPV)、ヘモフィルス・パラスイス、アクチノバチルス・プルロニューモニア(APP)、ストレプトコッカス・スイス及びマイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Chae C.Vet J 2004 Jul;168(1):41−9)が、当該疾患症候群と組み合わせて最もよく見られることが示されている。
【0004】
PMWS産生には、免疫系の活性化が極めて重要なイベントであると仮定されている((Krakowka S.et al.,Vet Pathol 2001 Jan;38(1):31−42))。PCV2単独での実験接種を行うと、臨床的無症候性感染とわずかな炎症の組織学的証拠をもたらすのみであるのに対し、PCV2とPPV若しくはPRRSVとの二重感染を行うと、より深刻な臨床兆候、肉眼的及び組織学的病変、より広範な拡大並びに感染組織内でのより高いPCV2ウイルス負荷をもたらす。PRRSV又はPPV単独での感染では、同程度の臨床兆候又は病変はもたらされないため、これらの知見は主にPCV2によって引き起こされるように思われる(Allan et al.,J Comp Pathol 1999 Jul;121(1):1−11;Allan GM,et al.,Arch Virol 2000;145(11):2421−9;Harms PA, et al.,Vet Pathol 2001 Sep;38(5):528−39;Krakowka S,et al.,Vet Pathol 2000 May;37(3):254−63;Ostanello F,et al.,Vet Microbiol 2005 Jul 1;108(3−4):179−86;Rovira A,et al.,J Virol 2002 Apr;76(7):3232−9)。また、豚を不完全フロイントアジュバント中のキーホールリンペットヘモシアニン(KLH/ICFA)で免疫刺激した場合にも、他の重感染性病原体なしで似たような疾患重症度の上昇を達成することが出来た。(Krakowka S.et al.,Vet Pathol 2001 Jan;38(1):31−42)。
【0005】
豚の免疫系におけるPCV2の影響は完全には知られていない。PCV2複製の主要標的細胞は、単球/マクロファージ系列、及び、濾胞樹状細胞などの他の抗原含有細胞であることが報告されている(Darwich L,et al.,Arch Virol 2004 May;149(5):857−74)。PCV2が、分裂細胞、マクロファージ及びBリンパ球に感染し、該B細胞のアポトーシスを引き起こし、これによりリンパ組織にダメージを与え、甚大なリンパ球枯渇をもたらすことを示唆する研究もあった(Darwich L,et al.,Arch Virol 2004 May;149(5):857−74)。特に、PMWS感染の豚は、濾胞中心及び傍濾胞ゾーンの両方の組織球浸潤及びリンパ球枯渇、及びPCV2の存在と関連する兆候を示す(Segales J.et al.Vet Microbiol 2004 Feb 4;98(2):151−8;Darwich L,et al.,Arch Virol 2004 May;149(5):857−74)。これらの事実により、PCV2感染は免疫抑制を引き起こすかもしれないということを提案するものもいた(Darwich L,et al.,Arch Virol 2004 May;149(5):857−74;Krakowka S,et al.,Viral Immunol 2002;15(4):567−82)。
【0006】
DNAワクチンに基づいたPCV2感染、特にはPMWSを治療するアプローチが、U.S.Patent No.6,703,023に記載されている。WO03/049703には、病原性PCV2株の免疫原性遺伝子がPCV1骨格の遺伝子に取って代わったPCV1骨格を含有する生存キメラワクチンの製造が記載されている。WO99/18214では、いくつかのPCV2株及び死滅PCV2ワクチンの製造方法が提供されている。有効なORF−2系のサブユニットワクチンがWO06/072065において報告されている。そのようなワクチンはいずれも、PMWSに対する豚のワクチン接種/治療に用いることを目的とする。
【0007】
様々な豚関連病原体によって引き起こされる随伴感染(混合感染)の発症におけるPCV2感染の潜在的影響について述べた報告は存在しない。特に、アクチノバチルス・プルロニューモニア、ヘモフィルス・パラスイス、マイコプラズマ・ハイオリニス、パスツレラ・ムルトシダ、PRRSV、サルモネラ属、SIV又はストレプトコッカス・スイスなどの特定の病原体に対するPCV2の潜在的影響について述べた報告は存在しない。また、別のPCV2ワクチンが短期間公知であるとしても、豚におけるPCV2以外の随伴感染におけるそれらの影響は未だ知られていない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】PCV2ウイルス血症の分析結果。前もって選択されたプラセボ治療の動物(図1A;n=110)とワクチン接種した動物(図1B;n=110)の血液サンプルを、図に示した時点で回収した。定量的PCRの結果に基づいて、動物を亜臨床的ウイルス負荷(104〜106gE/mL)を有する動物と臨床的関連性のあるウイルス負荷(>106gE/mL)を有する動物に分類した。白色のバーは1サンプリング日当たりの亜臨床的ウイルス負荷を有する動物の割合を表し、黒色のバーは1サンプリング日当たりの臨床的関連性のあるウイルス負荷を有する動物の割合を示す。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、PCV2ワクチンが豚又は豚の群れにおけるPCV2感染の割合だけではなく、サーコウイルス以外、特にはPCV2以外の病原体によって引き起こされる随伴感染の割合をも減少させるという驚くべき知見に基づく。
【0010】
従って、ある態様によると、本発明は、豚若しくは豚の群れにおける、PCV2以外の1又は複数の病原体によって引き起こされる随伴感染の割合を減少させる方法であって、前記豚に有効量のPCV2抗原又はPCV2抗原を有する免疫原性組成物を投与する工程を有することを特徴とする方法に関する。
【0011】
本明細書で用いられる「随伴感染」とは、サーコウイルス以外、特にはPCV2以外の、ウイルス性、細菌性、真菌性、又は寄生虫性(worm)の病原体によって引き起こされる豚の感染を意味するが、これらに限定されるものではないものとする。本明細書で用いられる「随伴病原体」とは、サーコウイルス以外、特にはPCV2以外の豚病原体を意味するが、これらに限定されるものではない。従って他の態様によると、本発明は、豚若しくは豚の群れにおける、サーコウイルス以外、特にはPCV2以外の、1又は複数のウイルス性、細菌性、真菌性又は寄生虫性の病原体によって引き起こされる随伴感染の割合を減少させる方法であって、前記豚に有効量のPCV2抗原又はPCV2抗原を有する免疫原性組成物を投与する工程を有することを特徴とする方法を提供する。好ましくは、前記随伴感染は、1又は複数の細菌性、ウイルス性若しくは真菌性の病原体、又はこれらの組み合わせによって引き起こされる。さらに好ましくは、前記随伴感染は、1又は複数の細菌性若しくはウイルス性の病原体、又はこれらの組み合わせによって引き起こされる。
【0012】
本発明の他の態様によれば、「随伴感染」とは、サーコウイルス以外、特にはPCV2以外の1又は複数の随伴病原体に感染した豚が、PCV2に重感染することをも意味する。従って他の態様によると、本発明は、PCV2に重感染した豚又は豚の群れにおける、サーコウイルス以外、特にはPCV2以外の1又は複数の病原体によって引き起こされる随伴感染の割合を減少させる方法であって、前記豚に有効量のPCV2抗原又はPCV2抗原を有する免疫原性組成物を投与する工程を有する方法を提供する。好ましくは、前記随伴感染は、サーコウイルス以外、特にはPCV2以外の、1又は複数のウイルス性、細菌性、真菌性、又は寄生虫性の病原体によって引き起こされる。
【0013】
本明細書で用いられる「PCV2に重感染した」とは、あらゆる形のPCV2への重感染を意味するが、これらに限定されるものではなく、サーコウイルス以外、特にはPCV2以外の病原体に感染する前、感染と同時、又は感染の後にPCV2感染が起こることを意味する。また、「PCV2に重感染した」とは、亜臨床経過過程、臨床的に明らかな経過過程、激症経過過程、及び慢性経過過程のPCV2感染が含まれる。この文脈において、明らかな経過過程はPMWSには限られず、豚呼吸器複合症(PRDC)、豚皮膚炎腎症症候群(PDNS)、生殖障害、肉芽腫性腸炎、潜在的、先天性けいれん症(congenital tremor)(CT−All)及び周産期心筋症(perinatal myocarditis)などの、あらゆる他の臨床的に明らかなPCV2感染をも含む(Chae,Veterinary J.,2005;169:326−336)。
【0014】
しかしながら、「随伴感染」とは、必ずしも豚又は豚の群れがPCV2に重感染することを意味するものではない。また、「随伴感染」とは、豚又は豚の群れがPCV2にさらされている場合、又はPCV2に感染するリスクが存在する場合をも意味するが、これらに限定されるものではない。従って他の態様によると、本発明は、PCV2にさらされた豚又は豚の群れ、又はPCV2に感染する危険の高い若しくは感染しやすい豚又は豚の群れにおける、サーコウイルス以外、特にはPCV2以外の1又は複数の病原体によって引き起こされる随伴感染の割合を減少させる方法であって、前記豚に有効量のPCV2抗原又はPCV2抗原を有する免疫原性組成物を投与する工程を有することを特徴とする方法を提供する。好ましくは、前記随伴感染は、サーコウイルス以外、特にはPCV2以外の、1又は複数のウイルス性、細菌性、真菌性、又は寄生虫性の病原体によって引き起こされる。
【0015】
「随伴感染の割合を減少させる」とは、非ワクチン接種のコントロール群と比較して、サーコウイルス以外の病原体に感染した豚の数が、前記病原体に関して10%を超えて、好ましくは20%を超えて、より好ましくは30%を超えて、さらにより好ましくは40%を超えて、さらにより好ましくは50%を超えて、さらにより好ましくは60%を超えて、さらにより好ましくは80%を超えて、さらにより好ましくは100%を超えて、減少することを意味するものとする。この文脈において、「非ワクチン接種のコントロール群」とは、有効量のPCV2抗原又はPCV2抗原を有する免疫原性組成物が投与されていない豚のグループを意味するものとする。従って、他の態様によれば、本発明は、豚又は豚の群れにおける、PCV2以外の病原体によって引き起こされる随伴感染の割合を減少させる方法であって、前記豚に有効量のPCV2抗原又はPCV2抗原を含む免疫原性組成物を投与する工程を有し、且つ、非ワクチン接種のコントロール群と比較して、サーコウイルス以外の前記病原体に感染した豚の数が、前記病原体に関して10%を超えて、好ましくは20%を超えて、より好ましくは30%を超えて、さらにより好ましくは40%を超えて、さらにより好ましくは50%を超えて、さらにより好ましくは60%を超えて、さらにより好ましくは80%を超えて、さらにより好ましくは100%を超えて減少することを特徴とする方法をも提供する。前記随伴感染は、サーコウイルス以外、特にはPCV2以外の、ウイルス性、細菌性、又は真菌性の病原体によって引き起こされることが好ましい。前記豚又は豚の群れは、上記で定義するようにPCV2に重感染しているか、PCV2にさらされているか、又は、PCV2に感染する危険にさらされ若しくは感染しやすいことがより好ましい。
【0016】
サーコウイルス以外、特にはPCV2以外のウイルス性、細菌性、又は真菌性病原体によって引き起こされる随伴感染は、感染動物において腸内、呼吸器官、生殖器官、中枢神経、運動器官の症状を引き起こしてもよい。各病原体によって引き起こされるこれらの臨床症状のいずれの発生も減少し得る。従って他の態様によると、本発明は、豚又は豚の群れにおける、PCV2以外の1又は複数の腸内、呼吸器官、生殖器官、中枢神経、又は運動器官の病原体によって引き起こされる随伴感染の割合を減少させる方法であって、前記豚に有効量のPCV2抗原又はPCV2抗原を有する免疫原性組成物を投与する工程を有することを特徴とする方法に関する。前記豚は、上記で定義するようにPCV2に重感染しているか、PCV2にさらされているか、又は、PCV2に感染する危険にさらされ若しくは感染しやすいことが好ましい。非ワクチン接種のコントロール群と比較すると、サーコウイルス以外の腸内、呼吸器官、中枢神経又は運動器官の病原体に感染した豚の数が、前記腸内、呼吸器官、中枢神経又は運動器官の病原体に関して、10%を超えて、好ましくは20%を超えて、より好ましくは30%を超えて、さらにより好ましくは40%を超えて、さらにより好ましくは50%を超えて、さらにより好ましくは60%を超えて、さらにより好ましくは80%を超えて、さらにより好ましくは100%を超えて減少することがより好ましい。
【0017】
腸内病原体は、例えば、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)、エシェリキア・コーライ(E.coli)、ストレプトコッカス・スイス(Streptococcus suis)、クロストリジウム属(Clostridium spp.)、サルモネラ属(Salmonella spp.)、ブラキスピラ属(Brachyspira spp.)、ロタウイルス(rotaviruses)、又はコロナウイルス(coronaviruses)である。呼吸器官の病原体は、例えば、PRRSV、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)、マイコプラズマ・ハイオリニス(M.hyorhinis)である。生殖器官の病原体は、例えば、レプトスピラ属(Leptospira spp.)、PRRSV、クラミジア属(Chlamydia spp.)である。運動器官の病原体は、例えば、ストレプトコッカス・スイス(S.suis)、マイコプラズマ・ハイオリニス(M.hyorhinis)、エリシペロスリクス・ルシオパシエ(Erysipelotrix rusiopathiae)である。中枢神経系の病原体は、例えば、仮性狂犬病ウイルス(Pseudorabies virus)、ストレプトコッカス・スイス(S.suis)、ヘモフィルス属(Haemophilus sp.)である。
【0018】
一般的に「PCV2以外の病原体」とは、以下からなる群から選択される1又は複数の病原体を意味するが、これらに限定されるものではない:アクチノバチルス・スイス(Actinobacillus suis);アルカノバクテリウム・ピオゲネス(Arcanobacterium pyogenes);アクチノバチルス・プルロニューモニア(Actinobacillus pleuropneumonia)(APP);アフリカブタ熱ウイルス(African swine fever virus);アスペルギルス属;アストロウイルス;アスカリス・スウム(Ascaris suum);ブラストシスティス属(Blastocystis spp.);ボルデテラ・ブロンキセプティカ;ブラキスピラ属(Brachyspira spp.)、ブラキスピラ・ヒオディセンテリア(B.hyodysenteriae)、ブラキスピラ・ピロシコリ(B.pilosicoli);ブルセラ・スイス(Brucella suis)、ブルセラ・スイス次亜種(biovars)1、2及び3;カンジダ属(Candida spp.);古典的ブタ熱ウイルス(Classical swine fever virus);クロストリジウム属、特にクロストリジウム・ディフィシル(C.difficile)、クロストリジウム・パーフリンゲンス(C.perfringens)A、B及びC型、クロストリジウム・ノビイ(C.novyi)、クロストリジウム・セプティカム(C.septicum)、クロストリジウム・ディフィシル(C.difficile)、クロストリジウム・テタニ(C.tetani);クラミジア属(Chlamydia spp.)、クリプトスポリジウム属(Cryptosporidium spp.)、脳心筋炎ウイルス(Encephalomyocarditis virus);エペリスロゾーノシス・スイス(Eperythrozoonosis suis);エリシペロスリクス・ルシオパシエ(Erysipelothrix ruhsiopathiae);エシェリキア・コーライ(Escherichia coli);フザリウム属(Fusarium spp.);ヘモフィルス・パラスイス(Haemophilus parasuis);ブタ血球凝集性脳脊髄炎ウイルス(Hemagglutinating encephalomyelitis virus);E型肝炎ウイルス(Hepatitis E virus);日本脳炎ウイルス(Japanese encephalitis virus);ヒオストロンギルス・ルビドゥス(Hyostrongylus rubidus);ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis);レプトスピラ属(Leptospira spp.)、レプトスピラ・オーストラリス(L.australis)、レプトスピラ・カニコーラ(L.canicola)、レプトスピラ・グリポティフォーサ(L.grippotyphosa)、レプトスピラ・ポモナ(L.pomona)、レプトスピラ・イクテロヘモルハジカ(L.icterohaemorrhagicae)、レプトスピラ・インテロガンス(L.interrogans)、レプトスピラ・タラッソビ(L.tarassovi)、レプトスピラ・ハージョ(L.hardjo)、レプトスピラ・セジュロ(L.sejroe)、レプトスピラ・ブラティスラヴァ(L.bratislava);マンヘミア・ヘモリチカ(Mannheimia haemolytica);メナングルウイルス(Menangle virus);マイコバクテリウム属(Mycobacterium spp.)、マイコバクテリウム・アビウム(M.avium)、マイコバクテリウム・イントラセルラーレ(M.intracellulare)、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(M.tuberculosis);マイコプラズマ属(Mycoplasma spp.)、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(M.hyopneumoniae)、マイコプラズマ・ハイオリニス(M.hyorhinis);ニパウイルス(Nipah virus);エソファゴストム属(Oesophagostum spp.)、エソファゴストム・デンタタム(Oesophagostum dentatum)、エソファゴストム・クアドロスピヌラタム(Oesophagostum quadrospinulatum);パスツレラ属(Pasteurella spp.)、パスツレラ・ムルトシダ(P.multocida);ペニシリウム属(Penicillium spp.);豚アデノウイルス(Porcine adenovirus);豚サイトメガロウイルス(Porcine cytomegalovirus);ブタ腸内カリシウイルス(Porcine enteric caliciviruses);ブタ腸内ピコルナウイルス(Porcine enteric picornaviruses);豚パルボウイルス(Porcine parvovirus);豚呼吸器コロナウイルス(Porcine respiratory corona virus);PRRSウイルス(PRRS virus);仮性狂犬病ウイルス(Pseudorabies virus);レオウイルス(Reovirus);ロタウイルス(Rotavirus);ルブラウイルス(Rubulavirus);サルモネラ属(Salmonella spp.)、サルモネラ・チフィリウム(S.typhimurium)、サルモネラ・コレラエスイス(S.choleraesuis)、サルモネラ・ダブリン(S.dublin);ヒゼンダニ属(Sarcoptes spp.);スタフィロコッカス・ハイカス(Staphylococcus hyicus);ストレプトコッカス属(Streptococcus spp.),ストレプトコッカス・スイス(S.suis)、ストレプトコッカス・ポルシナス(S.porcinus)、ストレプトコッカス・ディスガラクティエ(S.dysgalactiae)、ストレプトコッカス・ディスガラクティエ亜種エキシミリス(S.dysgalactiae subsp. equisimilis);糞線虫(Strongyloides ransomi);ブタヘルペスウイルス(Swine herpes virus);ブタインフルエンザウイルス(Swine influenza virus);豚ポックスウイルス(Swine pox virus);ブタ伝染性胃腸炎ウイルス(Transmissible gastroenteritis virus);トリチュリス属(Trichuris spp.);テニア属(Taenia spp.)、トリキネラ・スピラリス(Trichinella spiralis);水疱性口内炎ウイルス(Vesicular stomatitis virus);ブタ水疱疹ウイルス(Virus of vesicular exanthema of swine);ウェストナイルウイルス(West Nile virus); 又はエルシニア属(Yersina spp.)、エルシニア・シュードツベルクローシス(Y.pseudotuberculosis)、エルシニア・エンテロコリティカ(Y.enterocolitica)。
【0019】
従って他の態様によると、本発明は、豚又は豚の群れにおけるPCV2以外の1又は複数の病原体によって引き起こされる随伴感染の割合を減少させる方法であって、前記豚に有効量のPCV2抗原又はPCV2抗原を有する免疫原性組成物を投与する工程を有し、且つ、前記随伴感染を引き起こす前記病原体が以下からなる群から選択されることを特徴とする方法に関する:アクチノバチルス・スイス;アルカノバクテリウム・ピオゲネス;アクチノバチルス・プルロニューモニア(APP);アフリカブタ熱ウイルス;アスペルギルス属;アストロウイルス;アスカリス・スウム;ブラストシスティス属;ボルデテラ・ブロンキセプティカ;ブラキスピラ属、ブラキスピラ・ヒオディセンテリア、ブラキスピラ・ピロシコリ;ブルセラ・スイス、ブルセラ・スイス次亜種1、2及び3;カンジダ属;古典的ブタ熱ウイルス;クロストリジウム属、特にクロストリジウム・ディフィシル、クロストリジウム・パーフリンゲンスA、B及びC型、クロストリジウム・ノビイ、クロストリジウム・セプティカム、クロストリジウム・ディフィシル、クロストリジウム・テタニ;クラミジア属、クリプトスポリジウム属、脳心筋炎ウイルス;エペリスロゾーノシス・スイス;エリシペロスリクス・ルシオパシエ;エシェリキア・コーライ;フザリウム属;ヘモフィルス・パラスイス;ブタ血球凝集性脳脊髄炎ウイルス;E型肝炎ウイルス;日本脳炎ウイルス;ヒオストロンギルス・ルビドゥス;ローソニア・イントラセルラリス;レプトスピラ属、レプトスピラ・オーストラリス、レプトスピラ・カニコーラ、レプトスピラ・グリポティフォーサ、レプトスピラ・ポモナ、レプトスピラ・イクテロヘモルハジカ、レプトスピラ・インテロガンス、レプトスピラ・タラッソビ、レプトスピラ・ハージョ、レプトスピラ・セジュロ、レプトスピラ・ブラティスラヴァ;マンヘミア・ヘモリチカ;メナングルウイルス;マイコバクテリウム属、マイコバクテリウム・アビウム、マイコバクテリウム・イントラセルラーレ、マイコバクテリウム・ツベルクローシス;マイコプラズマ属、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ、マイコプラズマ・ハイオリニス;ニパウイルス;エソファゴストム属、エソファゴストム・デンタタム、エソファゴストム・クアドロスピヌラタム;パスツレラ属、パスツレラ・ムルトシダ;ペニシリウム属;豚アデノウイルス;豚サイトメガロウイルス;ブタ腸内カリシウイルス;ブタ腸内ピコルナウイルス;豚パルボウイルス;豚呼吸器コロナウイルス;PRRSウイルス;仮性狂犬病ウイルス;レオウイルス;ロタウイルス;ルブラウイルス;サルモネラ属、サルモネラ・チフィリウム、サルモネラ・コレラエスイス、サルモネラ・ダブリン;ヒゼンダニ属;スタフィロコッカス・ハイカス;ストレプトコッカス属、ストレプトコッカス・スイス、ストレプトコッカス・ポルシナス、ストレプトコッカス・ディスガラクティエ、ストレプトコッカス・ディスガラクティエ亜種エキシミリス;糞線虫;ブタヘルペスウイルス;ブタインフルエンザウイルス;豚ポックスウイルス;ブタ伝染性胃腸炎ウイルス;トリチュリス属;テニア属、トリキネラ・スピラリス;水疱性口内炎ウイルス;ブタ水疱疹ウイルス;ウェストナイルウイルス;又はエルシニア属、エルシニア・シュードツベルクローシス、エルシニア・エンテロコリティカ。
【0020】
前記随伴感染は以下からなる群から選択される1又は複数の病原体により引き起こされることが好ましい:アクチノバチルス・プルロニューモニア;ヘモフィルス・パラスイス;マイコプラズマ・ハイオリニス(Mycoplasma hyrhinis);パスツレラ・ムルトシダ;PRRS;サルモネラ属及びストレプトコッカス・スイス。前記随伴感染は以下からなる群から選択される1又は複数の病原体により引き起こされることが最も好ましい:アクチノバチルス・プルロニューモニア;ヘモフィルス・パラスイス;マイコプラズマ・ハイオリニス(Mycoplasma hyrhinis);パスツレラ・ムルトシダ;PRRS;サルモネラ属及びストレプトコッカス・スイス。前記随伴感染は以下からなる群から選択される1又は複数の病原体により引き起こされることがより好ましい:アクチノバチルス・プルロニューモニア;マイコプラズマ・ハイオリニス及びPRRS。中でも、マイコプラズマ・ハイオリニス及び/又はPRRSにより引き起こされることが最も好ましい。
【0021】
前記豚は、上記に定義するようにPCV2に重感染しているか、PCV2にさらされているか、又は、PCV2に感染する危険にさらされ若しくは感染しやすいことが好ましい。非ワクチン接種のコントロール群と比較すると、サーコウイルス以外の1又は複数の前記病原体に感染した豚の数は、前記病原体に関して10%を超えて、好ましくは20%を超えて、より好ましくは30%を超えて、さらにより好ましくは40%を超えて、さらにより好ましくは50%を超えて、さらにより好ましくは60%を超えて、さらにより好ましくは80%を超えて、さらにより好ましくは100%を超えて減少することがより好ましい。多重感染の場合には、上記減少率は各特定の病原体に言及する。例えば、多重感染の豚における随伴感染が10%を超えて減少するとは、特定の病原体に関する感染率が10%を超えて減少することを意味する。非ワクチン接種のコントロール群と比較して全病原体に関する感染率が10%を超えて減少すること、又は、豚の群れに関して前記群れの豚の10%未満が前記病原体の全てに感染することを必ずしも意味するものではない。
【0022】
本明細書で用いられる「PCV2抗原」とは、宿主中のPCV2に対する免疫応答を引き起こすアミノ酸配列を意味する。本明細書で用いられる抗原には、あらゆるPCV2タンパクの全長配列、そのアナログ、又はそれらの免疫原性断片が含まれる。
【0023】
「免疫原性断片」とは、1又は複数のエピトープを有しそれ故宿主中の免疫応答を引き起こすタンパク質断片を意味する。そのような断片は、当技術分野でよく知られたさまざまなエピトープマッピング技術を用いて特定することができる。例えば、Methods in Molecular Biology,Vol.66(Glenn E.Morris,Ed.,1996)Humana Press,Totowa,New Jerseyに記載のエピトープマッピングプロトコルを参照することが出来る。例えば、固体支持体上でタンパク質分子の一部分に相当する多数のペプチドを同時に合成し、該ペプチドを支持体に結合させたまま当該ペプチドと抗体とを反応させるなどの方法により、直線状エピトープを決定してもよい。そのような技術は当技術分野において公知であり、例えば、U.S.Patent No.4,708,871;Geysen et al.(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:3998−4002;Geysen et al.(1986)Molec.Immunol.23:709−715に記載されている。同様に、立体構造エピトープは、例えばX線結晶学や二次元核磁気共鳴などにより、アミノ酸の空間配置を求めることによって容易に特定される。例えば、上記エピトープマッピングプロトコルを参照出来る。
【0024】
ポリエピトープ、フランキング(flanking)エピトープ、及び、他の組み換え又は合成由来の抗原などの合成抗原も定義中に含まれる。例えば、Bergmann et al.(1993)Eur.J.Immunol.23:2777−2781;Bergmann et al.(1996),J.Immunol.157:3242−3249;Suhrbier,A.(1997),Immunol.and Cell Biol.75:402−408;Gardner et al.,(1998)12th World AIDS Conference,Geneva,Switzerland,June 28−July 3,1998を参照することが出来る。
【0025】
「免疫応答」とは、宿主における、抗原、目的の免疫原性組成物又はワクチンに対する細胞性及び/又は抗体介在性の免疫応答の発達を意味するが、これらに限定されるものではない。通常、「免疫応答」は以下の効果を1又は複数含むが、これらに限定されるものではない:抗原、又は目的の組成物若しくはワクチン中に含まれる抗原に特異的な、抗体、B細胞、ヘルパーT細胞、サプレッサーT細胞、及び/又は細胞障害性T細胞の産生又は活性化。宿主は、新たな感染に対する抵抗性が高まるように及び/又は病気の臨床的重症度が減少するように、治療免疫(記憶)応答(therapeutic immunological(memory)response)か防御免疫(記憶)応答(protective immunological(memory)response)のいずれかを示すことが好ましい。そのような防御は、ウイルス血症の発症時期の遅れ、ウイルス持続の減少、総合的なウイルス負荷の減少及び/又はウイルス排出の減少の中で、PCV2感染と関連した1若しくは複数の症状の数若しくは重症度の減少、又はその症状の欠如により実証される。
【0026】
本明細書で用いられる「免疫原性組成物」又は「ワクチン」(両用語は同義に用いられる)とは、PCV2抗原を有するあらゆる医薬組成物を意味し、該医薬組成物は問題とするPCV2感染関連疾患若しくは症状を予防又は治療するために使われ得る。免疫原性組成物はPCV2に対する免疫応答を誘発、刺激又は増進することが出来ることが好ましい。従って、上記の用語には、下記のサブユニット免疫原性組成物、並びに、死滅したPCV2又は弱毒化及び/若しくは不活性化したPCV2を含む組成物の両方が含まれる。
【0027】
従って、ある態様によると、本発明は、豚又は豚の群れにおけるPCV2以外の1又は複数の病原体によって引き起こされる随伴感染の割合を減少させる方法であって、前記豚に有効量のPCV2抗原又はPCV2抗原を有する免疫原性組成物を投与する工程を有し、且つ、前記PCV2抗原を有する免疫原性組成物は、サブユニット免疫原性組成物、又は死滅したPCV2若しくは弱毒化及び/若しくは不活性化したPCV2を有する組成物であることを特徴とする方法に関する。前記豚は、上記に定義するようにPCV2に重感染しているか、PCV2にさらされているか、又は、PCV2に感染する危険にさらされ若しくは感染しやすいことが好ましい。非ワクチン接種のコントロール群と比較すると、サーコウイルス以外の前記病原体に感染した豚の数が、1又は複数の前記病原体に関し、10%を超えて、好ましくは20%を超えて、より好ましくは30%を超えて、さらにより好ましくは40%を超えて、さらにより好ましくは50%を超えて、さらにより好ましくは60%を超えて、さらにより好ましくは80%を超えて、さらにより好ましくは100%を超えて減少することがより好ましい。
【0028】
本明細書で用いられる「サブユニット免疫原性組成物」とは、必ずしもPCV2由来の若しくはPCV2由来の抗原と相同な抗原を全て有する必要はないが、PCV2由来の若しくはPCV2由来の抗原と相同な免疫原性ポリペプチド又は抗原を少なくとも1つ有する組成物を意味する。そのような組成物には実質的に無傷のPCV2がない。従って、「サブユニット免疫原性組成物」は、少なくとも部分的に精製若しくは断片化された(好ましくは実質的に精製された)PCV2由来の免疫原性ポリペプチド、又はその組み換えアナログから作られる。サブユニット免疫原性組成物は、PCV2由来の他の抗原若しくはポリペプチドが実質的に存在しない目的のサブユニット抗原若しくは抗原、又はその断片を含有することが出来る。免疫原性サブユニット組成物は、下記PCV2のORF−2タンパク質を有することが好ましい。最も好ましくは、全体を参照することにより本明細書に援用されるWO06/072065の中で提供されるPCV2抗原のいずれかを有するサブユニット組成物である。
【0029】
他の態様によれば、本明細書で用いられる免疫原性組成物は、PCV2のORF−2が発現するポリペプチド、又はその断片を有することが最も好ましい。本明細書において組成物の製造のために用いられ、本明細書で提供される方法の中で用いられるPCV2のORF−2のDNA及びタンパク質は、PCV2分離株中で高度に保存されたドメインであり、それ故、PCV2のORF−2は本明細書で用いられるあらゆるPCV2のORF−2のDNA及び/又はポリペプチドの材料として有効である。PCV2のORF−2タンパク質は、WO06/072065の配列番号11のタンパク質であることが好ましい。また、PCVのORF−2ポリペプチドは、WO06/072065の配列番号5として提供されることがさらに好ましい。しかしながら、この配列は、配列相同性(シークエンスホモロジー)において6〜10%変化しても免疫原性組成物中で有益な抗原特性を保つことが出来ると当業者に理解される。免疫原性組成物の抗原特性は、例えば、WO06/072065の実施例4で提供されるような抗原投与実験により評価出来る。また、WO06/072065の中で提供される配列番号3又は配列番号4のポリヌクレオチド配列にエンコードされたPCV2のORF−2タンパク質と比較して、改良抗原が少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の防御免疫が出来る場合、改良抗原の抗原特性は未だ維持されている。
【0030】
従ってある態様によれば、本発明は、豚又は豚の群れにおける、PCV2以外の病原体によって引き起こされる随伴感染の割合を減少させる方法であって、前記豚に有効量のPCV2抗原又はPCV2抗原を有する免疫原性組成物を投与する工程を有し、且つ、前記PCV2抗原が、WO06/072065の中で提供される配列番号3又は配列番号4のポリヌクレオチド配列によってエンコードされたPCV2のORF−2タンパク質と比較して、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%の防御免疫を有するPCV2のORF−2タンパク質抗原であることを特徴とする方法に関する。前記PCV2のORF−2はWO06/072065の配列番号11又は配列番号5の配列を有することが好ましい。前記豚は、上記に定義するようにPCV2に重感染しているか、PCV2にさらされているか、又は、PCV2に感染する危険にさらされ若しくは感染しやすいことが好ましい。非ワクチン接種のコントロール群と比較すると、サーコウイルス以外の前記病原体に感染した豚の数が、40%を超えて、好ましくは50%を超えて、より好ましくは60%を超えて、さらにより好ましくは80%を超えて、さらにより好ましくは100%を超えて減少することがより好ましい。
【0031】
いくつかの形態において、PCV2のORF−2タンパク質の免疫原性部位は、PCV2抗原を有する免疫原性組成物中の抗原成分として用いられる。本明細書で用いられる「免疫原性部位」とは、PCV2のORF−2タンパク質及び/若しくはポリヌクレオチドそれぞれの切断及び/若しくは置換型又は断片を意味する。そのような切断及び/若しくは置換型又は断片は全長ORF−2ポリペプチドから少なくとも6個の連続したアミノ酸を有することが好ましい。そのような切断及び/若しくは置換型又は断片は、全長ORF−2ポリペプチドから少なくとも10個、より好ましくは少なくとも15個、さらに好ましくは少なくとも19個の連続したアミノ酸を有することがより好ましい。この点に関し、2つの好ましい配列がWO06/072065の配列番号9及び配列番号10として提供される。また、そのような配列は、より大きな断片又は切断型の一部であってもよいものとする。
【0032】
上記の通り、PCV2のORF−2ポリペプチドは、配列番号3又は配列番号4のヌクレオチド配列によりエンコードされるいずれか1つであることがさらに好ましい。しかしながら、この配列は配列相同性において6〜20%変化しても免疫原性組成物中で有益な抗原特性を保つことが出来ると当業者に理解される。いくつかの形態において、このPCV2のORF−2ポリペプチドの切断若しくは置換型又は断片が、当該組成物中の抗原成分として用いられる。そのような切断若しくは置換型又は断片は、例えば配列番号3や配列番号4などの、全長PCV2・ORF−2ヌクレオチド配列から少なくとも18個の連続したヌクレオチドを有することが好ましい。前記切断若しくは置換型又は断片は、例えば配列番号3や配列番号4などの全長PCV2・ORF−2ヌクレオチド配列のうち、少なくとも30個、より好ましくは少なくとも45個、さらに好ましくは少なくとも57個の連続したヌクレオチドを有することがより好ましい。
【0033】
当技術分野で公知の「配列同一性」とは、2以上のポリペプチド配列間又は2以上のポリヌクレオチド配列間の関係、すなわち、参照配列と、当該参照配列と比較される特定の配列との関係を意味する。配列同一性は、一連の参照配列と特定の配列間の一致(マッチ)により求められる配列類似性が高くなるように参照配列と特定の配列を最適に整列し、その後に特定の配列を参照配列と比較することにより求められる。そのような整列について、配列同一性は一点ずつ(position−by−position)確かめられる。例えば、もし特定の場所でヌクレオチド又はアミノ酸残基が同一である場合、その配列は当該場所で「同一」である。その後、そのような場所同一性の合計数を参照配列中のヌクレオチド又は残基の合計数で割り、%配列同一性が得られる。配列同一性は公知の方法により容易に計算できる。例えば、Computational Molecular Biology,Lesk,A.N.,ed.,Oxford University Press,New York(1988),Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W., ed.,Academic Press,New York(1993);Computer Analysis of Sequence Data,Part I,Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey(1994);Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinge,G.,Academic Press(1987);Sequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.,M.Stockton Press,New York(1991);及び、Carillo,H.,and Lipman,D.,SIAM J.Applied Math.,48:1073(1988)に記載の方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記文献の教示は、参照することにより本明細書に援用される。配列同一性を決める方法としては、テストされる配列間で最も大きな一致が得られるように設計された方法が好ましい。配列同一性を求める方法は、特定の配列間の配列同一性を求める公的に入手可能なコンピュータープログラム中に体系化されている。そのようなプログラムとしては、GCGプログラムパッケージ(Devereux, J.,et al.,Nucleic Acids Research,12(1):387(1984))、BLASTP、BLASTN及びFASTA(Altschul,S.F.et al.,J.Molec.Biol.,215:403−410(1990))が挙げられるが、これらに限定されるものではない。BLASTXプログラムはNCBI及び他のソースから公的に入手可能である(BLAST Manual,Altschul,S.et al.,NCVI NLM NIH Bethesda,MD 20894,Altschul,S.F.et al.,J.Molec.Biol.,215:403−410(1990):なお、これらの教示は参照することにより本明細書に援用される)。これらのプログラムは、特定の配列と参照配列との間で最も高いレベルの配列同一性を生み出すために、初期設定値のギャップウェイトを用いて最適に配列を整列させる。例として、参照ヌクレオチド配列に対し、例えば少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の「配列同一性」を有するヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドとは、特定のポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が、参照ヌクレオチド配列100ヌクレオチド当たり15点以下、好ましくは10点以下、より好ましくは5点以下の突然変異を有していてもよいということを除いて、参照配列と同一であることを意味する。つまり、参照ヌクレオチド配列に対して少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の同一性を有するヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドにおいて、参照配列中の15%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下のヌクレオチドは欠失若しくは他のヌクレオチドに置換していてもよく、又は、参照配列中の全ヌクレオチドの15%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下のヌクレオチド数が参照配列中に挿入されていてもよい。参照配列のこれらの突然変異は、参照配列中のヌクレオチドのうちで個別に散在するか、又は、参照配列中の1又は複数の連続したグループ中に散在した形で、参照ヌクレオチド配列の5’若しくは3’末端、又はそれらの末端間のどこかで起きていてもよい。同様に、参照アミノ酸配列に対して例えば少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有する特定のアミノ酸配列を有するポリペプチドとは、特定のポリペプチド配列が、参照アミノ酸配列の100アミノ酸当たり15以下、好ましくは10以下、より好ましくは5以下のアミノ酸の改変を有していてもよいという点を除き、ポリペプチドの特定のアミノ酸配列が参照配列と同一であることを意味する。つまり、参照アミノ酸配列と少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有する特定のポリペプチド配列を得るために、参照配列中の15%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下のアミノ酸残基が、欠失又は他のアミノ酸に置換されていてもよく、参照配列中のアミノ酸残基の合計数の15%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下の数が参照配列中に挿入されていてもよい。参照配列のこれらの改変は、参照配列の残基のうちで個別に散在するか、又は、参照配列中の1又は複数の連続したグループ中に散在した形で、参照アミノ酸配列のアミノ末端若しくはカルボキシ末端、又はそれらの末端間のどこかで起きていてもよい。同一ではない残基位置は、保存アミノ酸置換(conservative amino acid substitutions)により異なることが好ましい。しかしながら、配列同一性を求める際、保存置換は一致として含まれない。
【0034】
本明細書で用いられる「配列相同性」とは、2つの配列の関連性を求める方法を意味する。配列相同性を求めるために、2以上の配列を最適に整列させ、必要に応じてギャップを導入する。しかしながら、「配列同一性」とは対照的に、配列相同性を求める際に保存アミノ酸置換は一致としてカウントされる。つまり、参照配列と95%の配列相同性を有するポリペプチド若しくはポリヌクレオチドを得るためには、参照配列中のアミノ酸残基若しくはヌクレオチドの85%、好ましくは90%、より好ましくは95%が一致するか、他のアミノ酸若しくはヌクレオチドとの保存置換を含有していなければならない。または、参照配列中の保存置換を含まない全アミノ酸残基若しくはヌクレオチドの15%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下のアミノ酸もしくはヌクレオチドが、参照配列中に挿入されていてもよい。相同配列は、一続きで少なくとも50、好ましくは少なくとも100、より好ましくは少なくとも250、さらにより好ましくは少なくとも500ヌクレオチドを有することが好ましい。
【0035】
「保存置換」とは、アミノ酸残基又はヌクレオチドを、全体の機能性が大きく変化しないように、サイズや疎水性などを含めて類似した特徴若しくは特性を有する他のアミノ酸残基又はヌクレオチドに置換することを意味する。
【0036】
「単離された」とは、自然状態から「人の手によって」変えられたということ、すなわち、自然界で生じるとすれば、本来の環境から変えられたか取り除かれた、あるいはその両方であるということを意味する。例えば、生体内に生まれつき存在するポリヌクレオチドやポリペプチドは「単離され」ていないが、自然状態の共存物質から分離した同一のポリヌクレオチドやポリペプチドは本明細書で用いられるように「単離され」ている。
【0037】
従って、ある態様によると、本発明は、豚又は豚の群れにおけるPCV2以外の1又は複数の病原体によって引き起こされる随伴感染の割合を減少させる方法であって、前記豚に有効量のPCV2抗原又はPCV抗原を有する免疫原性組成物を投与する工程を有し、且つ、前記PCV2のORF−2タンパク質が上記のいずれかであることを特徴とする方法に関する。好ましくは、前記PCV2のORF−2タンパク質は、以下のi)〜viii)である:
i) WO06/07065の配列番号5、配列番号6、配列番号9、配列番号10又は配列番号11の配列を含むポリペプチド;
ii) 前記i)のポリペプチドと少なくとも80%相同(ホモログ)なポリペプチド;
iii) 前記i)及び/又はii)のポリペプチドの免疫原性部位;
iv) WO06/072065の配列番号5、配列番号6、配列番号9、配列番号10又は配列番号11の配列に含まれる少なくとも10個の連続したアミノ酸を有する前記iii)の免疫原性部位;
v)WO06/072065の配列番号3又は配列番号4の配列を有するDNAによってエンコードされるポリペプチド;
vi) 前記v)のポリヌクレオチドと少なくとも80%相同であるポリヌクレオチドによってエンコードされるポリペプチド;
vii) 前記v)及び/又はvi)のポリヌクレオチドによってエンコードされるポリペプチドの免疫原性部位;
viii) 前記免疫原性部位をコードするポリヌクレオチドが、WO06/072065の配列番号3又は配列番号4の配列に含まれる少なくとも30個の連続したアミノ酸を有する、前記vii)の免疫原性部位。
【0038】
これらの免疫原性部位のいずれも、WO06/07065の配列番号3又は配列番号4の配列によってエンコードされているPCV2のORF−2タンパク質の免疫原特性を有することが好ましい。
【0039】
前記感染した豚は、上記に定義するようにPCV2に重感染しているか、PCV2にさらされているか、又は、PCV2に感染する危険にさらされ若しくは感染しやすいことが好ましい。非ワクチン接種のコントロール群と比較すると、サーコウイルス以外の前記病原体に感染した豚の数が、1又は複数の前記病原体に関し、10%を超えて、好ましくは20%を超えて、より好ましくは30%を超えて、さらにより好ましくは40%を超えて、さらにより好ましくは50%を超えて、さらにより好ましくは60%を超えて、さらにより好ましくは80%を超えて、さらにより好ましくは100%を超えて減少することがより好ましい。
【0040】
別の態様によれば、PCV2のORF−2タンパク質は、亜臨床的にPCV2に感染した動物の治療に効果的な抗原含有レベルで免疫原性組成物に供給される。当該PCV2のORF−2タンパク質含有レベルは、好ましくは最終的な免疫原性組成物1mL当たり少なくとも0.2μg抗原(μg/ml)であり、より好ましくは約0.2〜約400μg/mLであり、さらにより好ましくは約0.3〜約200μg/mLであり、さらにより好ましくは約0.35〜約100μg/mLであり、さらにより好ましくは約0.4〜約50μg/mLであり、さらにより好ましくは約0.45〜約30μg/mLであり、さらにより好ましくは約0.6〜約15μg/mLであり、さらにより好ましくは約0.75〜約8μg/mLであり、さらにより好ましくは約1.0〜約6μg/mLであり、さらにより好ましくは約1.3〜約3.0μg/mLであり、さらにより好ましくは約1.4〜約2.5μg/mLであり、さらにより好ましくは約1.5〜約2.0μg/mLであり、最も好ましくは約1.6μg/mLである。
【0041】
別の態様によれば、当該PCV2のORF−2タンパク質含有レベルは、最終的な抗原組成物の1回投与当たり少なくとも0.2μgのPCV2・ORF−2タンパク質であり(μg/dose)、より好ましくは約0.2〜約400μg/doseであり、さらにより好ましくは約0.3〜約200μg/doseであり、さらにより好ましくは約0.35〜約100μg/doseであり、さらにより好ましくは約0.4〜約50μg/doseであり、さらにより好ましくは約0.45〜約30μg/doseであり、さらにより好ましくは約0.6〜約15μg/doseであり、さらにより好ましくは約0.75〜約8μg/doseであり、さらにより好ましくは約1.0〜約6μg/doseであり、さらにより好ましくは約1.3〜約3.0μg/doseであり、さらにより好ましくは約1.4〜約2.5μg/doseであり、さらにより好ましくは約1.5〜約2.0μg/doseであり、最も好ましくは約1.6μg/doseである。
【0042】
本発明によれば、免疫原性組成物中で用いられるPCV2のORF−2ポリペプチドは、PCV2のORF2の単離及び精製、標準的なタンパク合成、並びに組み換え(リコンビナント)方法論を含むあらゆる方法で得ることが出来る。PCV2のORF−2ポリペプチドを得る好ましい方法はWO06/072065の中で提供されており、その教示内容は全体を参照することにより本明細書に援用される。簡潔に述べると、感受性細胞をPCV2のORF−2のDNAをコードする配列を有する組み換えウイルスベクターに感染させ、PCV2のORF−2ポリペプチドを当該組み換えウイルスに発現させる。発現したPCV2のORF−2ポリペプチドを濾過により上清から回収し、公知の方法により、好ましくはバイナリーエチレンイミンを用いて不活性化し、その後中和して不活性処理を停止する。
【0043】
本明細書で用いられる免疫原性組成物は、i)好ましくは上記濃度で、上記いずれかのPCV2のORF−2タンパク質、及び、ii)前記PCV2のORF−2タンパク質を発現するウイルスベクター、好ましくは組み換えバキュロウイルスの少なくとも一部、を有する組成物をも意味する。また、当該免疫原性組成物は、i)好ましくは上記濃度で、上記いずれかのPCV2のORF−2タンパク質、ii)前記PCV2のORF−2タンパク質を発現するウイルスベクター、好ましくは組み換えバキュロウイルスの少なくとも一部、及びiii)細胞培養上清の一部、を含有することが出来る。
【0044】
従って、ある態様によると、本発明は、豚又は豚の群れにおけるPCV2以外の1又は複数の病原体によって引き起こされる随伴感染の割合を減少させる方法であって、前記豚に有効量のPCV2抗原又はPCV抗原を有する免疫原性組成物を投与する工程を有し、且つ、前記PCV2抗原が組み換えPCV2のORF−2、好ましくはバキュロウイルスが発現したPCV2のORF−2であることを特徴とする方法に関する。これらの組み換え又はバキュロウイルス発現のPCV2のORF−2は、上記の配列を有することが好ましい。
【0045】
本明細書で用いられる免疫原性組成物は、i)好ましくは上記濃度で、上記いずれかのPCV2のORF−2タンパク質、ii)前記PCV2のORF−2タンパク質を発現するウイルスベクター、好ましくは組み換えバキュロウイルスの少なくとも一部、及びiii)細胞培養の一部、を有し、これらの成分の約90%が1μm未満のサイズを有する組成物をも意味する。
【0046】
本明細書で用いられる免疫原性組成物は、i)好ましくは上記濃度で、上記いずれかのPCV2のORF−2タンパク質、ii)前記PCV2のORF−2タンパク質を発現するウイルスベクター、好ましくは組み換えバキュロウイルスの少なくとも一部、iii)細胞培養の一部、及び、iv)組み換えウイルスベクターを不活性化させる不活性化剤、好ましくはBEIを有し、前記i)〜iii)の成分の約90%が1μm未満のサイズを有する、組成物をも意味する。BEIはバキュロウイルスを不活性化させるのに有効な濃度で、好ましくは2〜約8mM・BEIの量で、より好ましくは約5mM・BEIの量で存在することが好ましい。
【0047】
本明細書で用いられる免疫原性組成物は、i)好ましくは上記濃度で、上記いずれかのPCV2のORF−2タンパク質、ii)前記PCV2のORF−2タンパク質を発現するウイルスベクターの少なくとも一部、iii)細胞培養の一部、iv)組み換えウイルスベクターを不活性化させる不活性化剤、好ましくはBEI、及びv)不活性化剤を介して行われる不活性化を停止する中和剤を有し、前記i)〜iii)の成分の約90%が1μm未満のサイズを有する、組成物をも意味する。不活性化剤がBEIの場合、前記組成物はBEIと等量のチオ硫酸ナトリウムを含有することが好ましい。
【0048】
ポリペプチドは、PCV2感染にかかりやすい動物に投与され得る組成物に包含される。好ましい形態において、当該組成物は当業者に公知の付加成分を含んでもよい(Remington’s Pharmaceutical Sciences.(1990).18th ed.Mack Publ.,Eastonを参照)。また、当該組成物は1又は複数の獣医学的に許容できる担体を含んでいてもよい。本明細書で用いられる「獣医学的に許容できる担体」には、あらゆる溶媒、分散媒、被覆剤、補助剤、安定剤、希釈剤、防腐剤、抗細菌及び抗真菌剤、等張剤、吸着遅延剤(adsorption delaying agents)などが含まれる。好ましい実施態様において、免疫原性組成物は、補助剤、好ましくはカルボポル(Carbopol)、及び生理的食塩水と組み合わせて、本明細書で提供されるPCV2のORF−2タンパク質を好ましくは上記濃度で含有する。
【0049】
当業者であれば、本明細書で用いられる当該組成物が、公知の注射可能な、生理学的に許容できる滅菌溶液を包含してもよいことを理解するであろう。非経口の注射又は注入用の使いやすい溶液を用意するには、例えば生理食塩水などの水溶性等張液や対応するプラズマタンパク質溶液が容易に入手可能である。また、本発明の免疫原性及びワクチン組成物は、希釈剤、等張剤、安定剤又は補助剤を有することが出来る。希釈剤としては、水、生理食塩水、デキストロース、エタノール、グリセロールなどが挙げられる。等張剤としては、特に、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール及びラクトースが挙げられる。安定剤としては、特に、アルブミン及びエチレンジアミン四酢酸のアルカリ塩が挙げられる。
【0050】
本明細書で用いられる「補助剤」には、水酸化アルミニウム及びリン酸アルミニウム、Quil A,QS−21(Cambridge Biotech Inc.,Cambridge MA),GPI−0100(Galenica Pharmaceuticals,Inc.,Birmingham,AL)などのサポニン、W/O(water−in−oil)エマルジョン、O/W(oil−in−water)エマルジョン、W/O/W(water−in−oil−in−water)エマルジョンが含まれ得る。エマルジョンは特に、軽質液体パラフィンオイル(European Pharmacopea type);アルケン、特にイソブテン若しくはデケンのオリゴマー形成から得られるスクアラン若しくはスクアレンオイルなどのイソプレノイドオイル;直鎖アルキル基を有する酸若しくはアルコールのエステル、特に植物オイル、オレイン酸エチル、プロピレングリコールジ−(カプリラート/カプラート)、グリセリルトリ−(カプリラート/カプラート)若しくはプロピレングリコールジオレアート;分岐鎖状の脂肪酸若しくはアルコールのエステル、特にイソステアリン酸エステルを基礎とすることが出来る。当該オイルは乳化剤と組み合わせて用いてエマルジョンを形成する。乳化剤は、非イオン性界面活性剤、特に、エトキシ化されていてもよい、ソルビタンのエステル、マンニド(mannide)(例えば、無水マンニトールオレアート)のエステル、グリコールのエステル、ポリグリセロールのエステル、プロピレングリコールのエステル、及びオレイン酸、イソステアリン酸、リシノール酸若しくはヒドロキシステアリン酸のエステル、並びに、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン共重合体ブロック、特に、プルロニック(Pluronic)製品、特にはL121が好ましい。Hunter et al.,The Theory and Practical Application of Adjuvants(Ed.Stewart−Tull,D.E.S.)、JohnWiley and Sons,NY,pp51−94(1995)、及びTodd et al.,Vaccine 15:564−570(1997)を参照することが出来る。
【0051】
例えば、M.Powell及びM.Newman,Plenum Press,1995による「Vaccine Design,The Subunit and Adjuvant Approach」の第147ページに記載されているSPTエマルジョンや、同じくこの本の第183ページに記載されているエマルジョンMF59を用いることが出来る。
【0052】
補助剤の別例は、アクリル酸又はメタクリル酸のポリマー、及び無水マレイン酸とアルケニル誘導体との共重合体から選択される化合物である。有利なアジュバント化合物は、特には糖類のポリアルケニルエーテル若しくはポリアルコールで架橋されたアクリル酸又はメタクリル酸のポリマーである。これらの化合物は、カルボマー(carbomer)という名称で知られている(Phameuropa Vol.8,No.2,June 1996)。当業者であれば、少なくとも3個のヒドロキシ基、好ましくは8以下のヒドロキシ基を有するポリヒドロキシ化合物であって、該少なくとも3個のヒドロキシル基の水素原子が少なくとも2個の炭素原子を有する不飽和脂肪族基に取って換えられたポリヒドロキシ化化合物で架橋されたアクリル系ポリマーについて述べたU.S.Patent No.2,909,462にも言及することが出来る。好ましい基(不飽和脂肪族基)は炭素数2〜4のものであり、例えば、ビニル基、アリル基、及び他のエチレン性不飽和基である。該不飽和基は、それ自体メチル基などの他の置換基を有していてもよい。カルボポル(Carbopol(BF Goodrich,Ohio,USA))という名称で売られている製品が特に適当である。これらはアリルスクロース又はアリルペンタエリスリトールで架橋されている。これらの中で、カルボポル974P、934P及び971Pが挙げられる。カルボポル、特に、カルボポル971Pを、好ましくは1投与当たり約500μg〜約5mgの量で、より好ましくは1投与当たり約750μg〜約2.5mgの量で、最も好ましくは1投与当たり約1mgの量で用いることが最も好ましい。
【0053】
さらに適した補助剤としては、特に、RIBIアジュバントシステム(Ribi Inc.)、ブロックコポリマー(Block co−polymer(CytRx,Atlanta GA))、SAF−M(Chiron,Emeryville CA)、モノホスホリルリピドA、Avridine脂質−アミン補助剤(Avridine lipid−amine adjuvant)、E.coli由来の熱不安定エンテロトキシン(組み換え若しくはその他)、コレラトキシン、IMS1314、又はムラミルジペプチドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0054】
当該補助剤は、1投与当たり約100μg〜約10mgの量で加えられることが好ましい。当該補助剤は、1投与当たり約100μg〜約10mgの量で加えられることがより好ましい。当該補助剤は、1投与当たり約500μg〜約5mgの量で加えられることがさらにより好ましい。当該補助剤は、1投与当たり約750μg〜約2.5mgの量で加えられることがさらにより好ましい。当該補助剤は、1投与当たり約1mgの量で加えられることが最も好ましい。
【0055】
また、当該組成物は、1又は複数の製薬学的に許容できる担体を含むことが出来る。本明細書で用いられる「製薬学的に許容できる担体」には、あらゆる溶媒、分散媒、被覆剤、補助剤、安定剤、希釈剤、防腐剤、抗細菌及び抗真菌剤、等張剤、吸着遅延剤(adsorption delaying agents)などが含まれる。本明細書で提供される組成物は、in vitro培養細胞の上清から回収したPCV2のORF−2タンパク質を有しており;前記細胞がPCV2のORF−2のDNAを有しPCV2のORF−2タンパク質を発現する組み換えウイルスベクターに感染しており;前記細胞培養がウイルスベクターを不活性化するために約2〜約8mMのBEI、好ましくは約5mMのBEIで処理され;約2〜約8mM、好ましくは約5mMの最終濃度に相当する濃度の中和剤、好ましくはチオ硫酸ナトリウム溶液で処理されることが最も好ましい。
【0056】
別の実施態様によれば、本発明は、豚若しくは豚の群れにおける、PCV2以外の1又は複数の病原体によって引き起こされる随伴感染を減少させる免疫原性組成物を製造するためのPCV2抗原の使用であって、前記免疫原性組成物が、i)好ましくは前記の濃度で前記いずれかのPCV2のORF−2タンパク質、ii)前記PCV2のORF−2タンパク質を発現するウイルスベクターの少なくとも一部、iii)細胞培養の一部、iv)組み換えウイルスベクターを不活性化する不活性化剤、好ましくはBEI、及び、v)前記不活性化剤を介して行われる不活性化を停止する中和剤、好ましくはBEIと等量のチオ硫酸ナトリウム、及び、vi)適した補助剤、好ましくは上記量のカルボポル971を含有し、前記i)〜iii)の成分の約90%が1μm未満のサイズを有することを特徴とする、PCV2抗原の使用にも関する。前記豚は、上記に定義するようにPCV2に重感染しているか、PCV2にさらされているか、又は、PCV2に感染する危険にさらされ若しくは感染しやすいことが好ましい。非ワクチン接種のコントロール群と比較すると、サーコウイルス以外の前記病原体に感染した豚の数が、1又は複数の前記病原体に関し、10%を超えて、好ましくは20%を超えて、より好ましくは30%を超えて、さらにより好ましくは40%を超えて、さらにより好ましくは50%を超えて、さらにより好ましくは60%を超えて、さらにより好ましくは80%を超えて、さらにより好ましくは100%を超えて減少することがより好ましい。
【0057】
他の態様によれば、この免疫原性組成物は、さらに製薬学的に許容できる塩、好ましくはリン酸塩を、生理学的に許容できる濃度で有する。前記免疫原性組成物のpHは、生理的pH、すなわち、約6.5〜7.5の間に調節されることが好ましい。
【0058】
本明細書で用いられる免疫原性組成物は、1mL当たり、i)少なくとも1.6μgの上記PCV2のORF−2タンパク質、ii)前記PCV2のORF−2タンパク質を発現するバキュロウイルスの少なくとも一部、iii)細胞培養の一部、iv)約2〜8mMのBEI、v)BEIと等量のチオ硫酸ナトリウム;及び、vi)約1mgのカルボポル971、及び、vii)生理学的に許容できる濃度のリン酸塩を含有し、前記i)〜iii)の成分の約90%が1μm未満のサイズを有し、且つ、前記免疫原性組成物のpHが約6.5〜7.5に調節されている、組成物をも意味する。
【0059】
当該免疫原性組成物は、例えば、インターロイキン、インターフェロン、若しくは他のサイトカインなどの、1又は複数の他の免疫調節剤をさらに含むことが出来る。当該免疫原性組成物は、ゲンタマイシン及びメルチオラートを含むことも出来る。本発明の状況下で有益な補助剤及び添加剤の量及び濃度は、熟練者であれば容易に決定することが出来るが、本発明は、ワクチン組成物の投与量1mL当たり約50μg〜約2000μg、好ましくは約250μgの補助剤を有する組成物を意図する。従って、本明細書で用いられる免疫原性組成物は、約1μg/mL〜約60μg/mLの抗生物質、より好ましくは約30μg/mL未満の抗生物質を有する組成物をも意味する。
【0060】
本明細書で用いられる免疫原性組成物は、i)好ましくは前記濃度で、前記いずれかのPCV2のORF−2タンパク質、ii)前記PCV2のORF−2タンパク質を発現するウイルスベクターの少なくとも一部、iii)細胞培養の一部、iv)組み換えウイルスベクターを不活性化する不活性化剤、好ましくはBEI、及びv)不活性化剤を介して行われる不活性化を停止する中和剤、好ましくはBEIと等量のチオ硫酸ナトリウム;vi)適した補助剤、好ましくは前記量のカルボポル971;vii)製薬学的に許容できる濃度の緩衝生理食塩水、好ましくはリン酸塩、及び、viii)抗微生物活性剤を含有する組成物であって、前記i)〜iii)の成分の約90%が1μm未満のサイズを有する、組成物をも意味する。
【0061】
本明細書で用いられる免疫原性組成物はインゲルバックサーコフレックス(Ingelvac(登録商標)CircoFLEXTM(Boehringer Ingelheim Vetmedica Inc,St Joseph,MO,USA)),サーコバック(CircoVac(登録商標)(Merial SAS,Lyon,France))、サーコベント(CircoVent(Intervet Inc.,Millsboro,DE,USA))、又は、スバキシンPCV−2ワンドース(Suvaxyn PCV−2 One Dose(登録商標)(Fort Dodge Animal Health,Kansas City,KA,USA))をも意味する。従って、他の態様によると、本発明は、豚若しくは豚の群れにおけるPCV2以外の1又は複数の病原体によって引き起こされる随伴感染の割合を減少させる方法であって、前記豚に有効量のPCV2抗原又はPCV抗原を有する免疫原性組成物を投与する工程を有し、且つ、前記PCV2抗原を有する免疫原性組成物がインゲルバックサーコフレックス、サーコバック、サーコベント及び/又はスバキシンPCV−2ワンドースであり、好ましくはインゲルバックサーコフレックスであることを特徴とする方法に関する。前記感染した豚は、上記に定義するようにPCV2に重感染しているか、PCV2にさらされているか、又は、PCV2に感染する危険にさらされ若しくは感染しやすいことが好ましい。非ワクチン接種のコントロール群と比較すると、サーコウィルス以外の前記病原体に感染した豚の数が、1又は複数の前記病原体に関し、10%を超えて、好ましくは20%を超えて、より好ましくは30%を超えて、さらにより好ましくは40%を超えて、さらにより好ましくは50%を超えて、さらにより好ましくは60%を超えて、さらにより好ましくは80%を超えて、さらにより好ましくは100%を超えて減少することがより好ましい。
【0062】
本明細書で用いられる「有効量のPCV2抗原」とは、前記有効量のPCV2抗原を投与する動物において免疫応答を引き起こすか引き起こし得る量のPCV2抗原を意味するが、これに限定されるものではない。
【0063】
有効量は、ワクチンの成分や投与スケジュールに依存する。一般的には、不活性化ウイルス又は改変された生存ウイルス製剤が組み合わせワクチン中で用いられる場合、ワクチンの量は1投与当たり約102.0〜約109.0TCID50、好ましくは1投与当たり約103.0〜約108.0TCID50、より好ましくは1投与当たり約104.0〜約108.0TCID50を有する。特に、改変された生存PCV2がワクチン中で用いられる場合、感染しやすい動物への推奨投与量は、1投与当たり約103.0TCID50(組織培養感染量50%終点)〜約106.0TCID50が好ましく、1投与当たり104.0TCID50〜105.0TCID50がより好ましい。精製した抗原を用いた場合には、一般的に、抗原の量は、0.2〜5000μgの間且つ102.0〜109.0TCID50の間であり、好ましくは103.0〜106.0TCID50の間であり、より好ましくは104.0〜105.0TCID50の間である。
【0064】
サブユニットワクチンは通常、1投与当たり少なくとも0.2μgの抗原の抗原含有レベルで、好ましくは1投与当たり約0.2〜約400μgで、より好ましくは1投与当たり約0.3〜約200μgで、さらにより好ましくは1投与当たり約0.35〜約100μgで、さらにより好ましくは1投与当たり約0.4〜約50μgで、さらにより好ましくは1投与当たり約0.45〜約30μgで、さらにより好ましくは1投与当たり約0.6〜約16μgで、さらにより好ましくは1投与当たり約0.75〜約8μgで、さらにより好ましくは1投与当たり約1.0〜約6μgで、さらにより好ましくは1投与当たり約1.3〜約3.0μgで投与される。
【0065】
豚にPCV2抗原を投与することは、サーコウイルス以外、特にPCV2以外の病原体によって引き起こされる随伴感染の割合の減少をもたらすのみならず、健康の全体的な改善、特にそのような随伴感染に対する耐性をももたらす。従って、他の態様によれば、本発明は、PCV2以外の1又は複数の病原体への随伴感染に対する豚の抵抗性を向上させる方法であって、前記豚に有効量のPCV2抗原又はPCV抗原を有する免疫原性組成物を投与する工程を有することを特徴とする方法にも関する。前記豚は、上記に定義するようにPCV2に重感染しているか、PCV2にさらされているか、又は、PCV2に感染する危険にさらされ若しくは感染しやすいことが好ましい。
【0066】
本明細書で用いられる「随伴感染に対する豚の耐性の向上」とは、非ワクチン接種のコントロール群と比較すると、サーコウイルス以外の病原体に感染した豚の数が、前記病原体に関して10%を超えて、好ましくは20%を超えて、より好ましくは30%を超えて、さらにより好ましくは40%を超えて、さらにより好ましくは50%を超えて、さらにより好ましくは60%を超えて、さらにより好ましくは80%を超えて、さらにより好ましくは100%を超えて減少する方法を意味するが、これに限定されるものではない。従って、他の態様によれば、本発明は、PCV2以外の1又は複数の病原体によって引き起こされる随伴感染に対する豚の抵抗性を向上させる方法であって、前記豚に有効量のPCV2抗原又はPCV2抗原を含む免疫原性組成物を投与する工程を有し、且つ、非ワクチン接種のコントロール群と比較して、サーコウイルス以外の前記病原体に感染した豚の数が、前記病原体に関して10%を超えて、好ましくは20%を超えて、より好ましくは30%を超えて、さらにより好ましくは40%を超えて、さらにより好ましくは50%を超えて、さらにより好ましくは60%を超えて、さらにより好ましくは80%を超えて、さらにより好ましくは100%を超えて減少する方法にも関する。前記豚は、上記に定義するようにPCV2に重感染しているか、PCV2にさらされているか、又は、PCV2に感染する危険にさらされ若しくは感染しやすいことが好ましい。
【0067】
[好ましい実施態様の詳細な説明]
以下の実施例では、本発明に従って好ましい材料と手順を説明する。本明細書に記載した方法及び材料に類似又は相当するどのような方法及び材料も、本発明を実施及びテストするのに用いることが出来るが、好ましい方法、装置及び材料をここに記載する。しかしながら、これらの実施例は実証のためだけに提供されるものであり、実施例中のいかなるものも本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0068】
<<実施例1>>
<PCV2感染した動物における随伴感染の検出>
[調査対象母集団]
本調査はドイツの南側で行われた。商業的品種交雑の雑種豚(Landrace or Edelschwein (f) x Pietrain (m))を、「豚生産者団体(pig−producer community)」の一部である15の異なる飼育場で観察した。当該飼育場は、サイズ(50〜300雌豚)、管理及び健康状態の点で異なっていた。全飼育場における子豚の日常の予防手段には、鉄注射、切歯及び断尾、並びに、虚勢が含まれていた。約4週齢で離乳した後、異なる飼育場の子豚をオールインオールアウト生産システムを有する生育農場に移した。その子豚を、1囲い当たり60〜120豚入るに設計された囲いを持つ3つの家畜小屋の中に入り混ぜて収容した。生育場での日常の予防手段には、到着後最初の10日間、テトラサイクリン塩酸塩での予防処置が含まれていた。生育期間に食料組成の変更を4回行った。該動物に与える餌は、オオムギ及びミネラルをベースに生育農場が自ら用意した。約12週齢で、豚をオールインオールアウト生産システムを有する肥育農場に移した。その子豚を、1囲い当たり10〜30豚が入るように設計された囲いを持つ2つの家畜小屋の中に入り混ぜて収容した。肥育期間に食料組成の変更を3回行った。与えられる餌は、オオムギ、小麦、コーン及び乳清濃縮物をベースに肥育農場が自ら用意した。13〜18週間、豚を肥育農場に留めた。
【0069】
[病歴]
PMWSの病型は、2002年11月の調査開始より約3年前に臨床的に明らかとなり、2002年12月に血清学的に確認された。生育の最後/肥育の最初に、動物は消耗、呼吸兆候、及び死亡率の顕著な上昇などのPMWSの典型的な兆候を示し始めた。その病気はPRRSVへの重感染を伴っていた。生育中(4〜12週齢)の死亡率は通常3.5〜4.8%であったが、死亡率最大10%のピーク水準も時々報告された。肥育の中期から後期の間に、呼吸兆候及び成長遅延がPCV2感染動物において優位を占めた。肥育中(12〜26週齢)の死亡率は約1.7〜2.4%であり、除外数は1%であった。一日の平均体重増加はわずかであった(719〜731g/日)。調査開始の3ヶ月前、動物が約9〜13週齢のときに起こる臨床兆候とPCV2ウイルス血症に基づいてPMWSの診断結果が検証された。PRRSV及びマイコプラズマ・ハイオリニスが、PCV2感染動物の肺洗浄サンプルにおいて重感染病原体として同定された。
【0070】
[被験品]
PCV2に対する有効なワクチン接種として、不活性化サブユニットワクチン(Ingelvac(登録商標) CircoFLEXTM,Boehringer Ingelheim Vetmedica GmbH)を投与した。当該ワクチンは、活性成分としてPCV2のORF2カプシドタンパク質、補助剤としてカルボマーを含んでいた。当該ORF2配列は、PMWSの兆候を有する2頭の豚の扁桃腺及び肝臓のサンプルから単離されたノースアメリカンPCV2分離株(North American PCV2 isolate)に由来した。次に、ヨトウムシ/スポドプテラ・フルギペルダの卵巣由来の昆虫細胞株(SF+細胞)を宿主として用いて、当該ORF2配列をバキュロウイルス発現系に挿入した。
PCV2カプシドタンパク質フリーの細胞培養上清、及び補助剤としてのカルボマーを含むプラセボを対照品とした。
【0071】
[実験計画]
「臨床試験実施に関する基準(GCP)」の原理に従い、無作為選択で、負の対照品を用いて、二重盲式で、並行の試験方法により、実地実験を行った。最初の体重及び同腹の子の割り当てに関し、合計1519頭の健康な子豚を2つの治療グループに等しく分配した。離乳1週間前に、1方のグループの子豚(n=754)にインゲルバックサーコフレックス(Ingelvac(登録商標) CircoFLEXTM)をワクチン接種し、もう一方のグループ(n=765)にはプラセボ接種を行った。子豚が25.4±3.18日(mean±S.D.)齢のときに、右首領域に筋肉注射で投与量1mLで1回被験品を投与した。離乳後、両方の治療グループは、最大限等しく病原体にさらされるために、仕上げ期の最後まで混合グループ中に保たれた。
【0072】
[ポリメラーゼ連鎖反応]
肺組織サンプル中のPRRSV(Mardassi H,et al.,J Clin Microbiol 1994;32(9):2197−203)、マイコプラズマ・ハイオリニス(Caron J.,et al.,J Clin Microbiol 2000;38(4):1390−6)、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ(Calsamiglia M,et al.,J Vet Diagn Invest 1999 May;11(3):246−51)、ストレプトコッカス・スイス(Wisselink HJ,et al.,J Clin Microbiol 2002 Aug;40(8):2922−9)、パスツレラ・ムルトシダ(Townsend KM,et al.,J Clin Microbiol 1998 Apr;36(4):1096−100)、アクチノバチルス・プルロニューモニア(Schaller A,et al.,Apx toxins in Pasteurellaceae species from animals.Vet Microbiol 2000 Jun 12;74(4):365−76)、ボルデテラ・ブロンキセプティカ((Hozbor D,et al.,Res Microbiol 1999 Jun;150(5):333−41))、及びヘモフィルス・パラスイス(Calsamiglia M,et al.,J Vet Diagn Invest 1999 Mar;11(2):140−5)に特異的な核酸を検出するために、ポリメラーゼ連鎖反応アッセイを用いた。
血清中のPCV2ウイルス負荷の定量化のため、Brunborg et al.,2004;J.Virol Methods 122:171−178に記載の方法に従ってPCV2ゲノム相当物を定量化した。PCV2の増幅のため、PCV2−84−1265U21プライマーとPCV2−84−1319L21プライマーを用いた/用いる。陽性サンプルのカットオフレベルは、検証実験に基づき血清1mL当たり104テンプレートコピーに設定した。バイオスクリーン社(ミュンスター、ドイツ)(bioScreen GmbH,Munster,Germany)により、全てのPCV2DNA定量化アッセイは行われた。
【0073】
<結果>
[PCV2ウイルス血症]
観察されたPMWS特有の臨床兆候及び病変の発症及び重症度が、事前に選択した「サンプル動物」の血液中のPCV2ウイルス血症の発症と関連するか否かを調査した。図1に示すように、PCV2ウイルス血症の発症は、動物が約9〜10週齢のときに、プラセボ治療のグループ内で始まった。動物が約11〜14週齢のときに、PCV2陽性動物が最大85%のピークレベルに到達した。14週齢から肥育の最後まで、再度ベースラインレベルに到達することなく、PCV2ウイルス血症動物の割合は減少していった。個々のウイルス血症持続期間は、平均して56日間続いた(データ未掲載)。
ワクチン接種したグループ中のPCV2陽性動物の割合は、プラセボ治療グループと比較して有意に減少しており(p<0.0001)、ウイルス血症のピークで陽性動物35%以下であった(図1B)。ワクチン接種した動物におけるウイルス血症の平均持続期間は31日減少した(p<0.0001;データ未掲載)。
【0074】
動物におけるウイルス負荷試験に、他の焦点を置いた。この調査において、臨床的関連性のあるウイルス負荷(血清1mL当たり、>106gE)は、動物が約10〜15週齢のウイルス血症の初期段階において、主にプラセボ治療動物に見られた(図1A)。11週齢では、臨床的関連性のあるウイルス負荷を有する動物の割合(40%)は、亜臨床的関連性のあるウイルス負荷を有する動物の割合(37%)よりも高かった。この割合は、臨床的関連性を有する感染の著しい減少のために、ウイルス血症の後期(17〜25週齢)に劇的に変化していった。PCV2に陽性のワクチン接種した動物では、全ての分析時点で亜臨床的感染が優勢であった(図1B)。
要約すると、調査期間中の選択された調査場所におけるPCV2分析結果は、以下のように特徴づけられた:a)PMWSの臨床兆候及び病変の発症と一致する、調査9〜10週でのPCV2ウイルス血症の発症;b)PCV2ウイルス血症の初期でのプラセボ治療動物における高ウイルス負荷;c)プラセボ治療動物と比較した場合の、ワクチン接種した動物におけるウイルス血症の持続期間、並びに臨床的及び亜臨床的関連性のあるウイルス負荷を有する動物の割合の著しい減少。
【0075】
[プラセボ治療動物における随伴感染の存在]
上記で得られた結果により、分析された調査対象母集団におけるPMWSの診断結果が確認され、PCV2に対するワクチン接種によって動物をPMWSから大幅に保護出来ることが示される。従って、このプラセボ制御の予防接種実験により、PMWSが動物における基礎免疫抑制(underlying immunosuppression)を引き起こすという仮説を検証することが出来た。PCV2関連性免疫不全の場合には、PCV2ウイルス血症の発症後、重感染の頻度がワクチン接種の動物よりもプラセボ治療の動物で高くなると推測された。従って、第1段階で、調査動物の日和見菌への暴露をより詳細に分析した。臨床兆候をモニタリングしたところ、動物は主に呼吸兆候から影響を受けることが示されたため、PCRによる個々の病原体スクリーニング用に死亡した動物の肺サンプルを選択することにした。プラセボ治療の動物は最も近似的に自然界の条件を反映していると考えられるため、プラセボ治療の動物のみの結果を表3に示す。
【0076】
PCV2ウイルス血症の発症前に(3〜8週齢)、プラセボ治療動物の肺サンプル5個中2個で検出された唯一の病原体は、ストレプトコッカス・スイスであった。PCV2ウイルス血症の発症時に(9〜10週齢)、プラセボ治療動物の肺サンプル8個中1個がPCV2に陽性であり、分析された肺サンプル8個中4個がPRRSVに陽性反応を示した。単独で又はこれら2つの病原体と組み合わせて少数検出された他の病原体は、マイコプラズマ・ハイオリニス、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ、及びストレプトコッカス・スイスであった。最も大量の重感染病原体が、PCV2ウイルス血症の急性期(11〜16週齢)の間にプラセボ治療動物の肺サンプルで検出された。PCV2に陽性反応を示した肺サンプル17個のうち、12個はPRRSVに対しても陽性であり、13個はマイコプラズマ・ハイオリニスに対しても陽性であった。また、ストレプトコッカス・スイス又はパスツレラ・ムルトシダへの重感染が散発的に検出された。最後に、ウイルス血症の後期では(17〜26週齢)、マイコプラズマ・ハイオニューモニエへの重感染が優勢であったが(PCV2陽性の肺サンプル7個中6個)、マイコプラズマ・ハイオリニス、アクチノバチルス・プルロニューモニア及びストレプトコッカス・スイスへの重感染も見られた。ウイルス血症の発症後の全期間(生後9〜26週)、PCV2のみに対して陽性反応を示したのは、プラセボ治療動物の肺サンプル22個中たった2個であった。PCV2に陽性の肺サンプルの大半では、2又は3の日和見菌の組み合わせが検出された。それ故、この調査期間中、PCV2感染がいくつかの呼吸器随伴感染と関連して見られた。PCV2ウイルス血症の発症及びピークはPRRSV及びマイコプラズマ・ハイオリニス重感染の発症及びピークと一致し、PCV2ウイルス血症の後期にはマイコプラズマ・ハイオニューモニエ感染の発症を伴った。
【0077】
[PCV2に対するワクチン接種による随伴感染の減少]
肺サンプルで検出された呼吸器病原体の頻度を比較したところ、PCV2ウイルス血症の発症前の期間では両治療グループの間で大きな違いは見られなかった(データ未掲載)。PCV2ウイルス血症の発症後(10〜26週齢)、マイコプラズマ・ハイオリニス及びPRRSVに陽性反応を示すワクチン接種した動物の肺サンプルの割合は、それぞれ71%(p=0.0293)及び46%(0.2847)減少した(表1)。
【0078】
【表1】

【0079】
また、プラセボ治療動物の肺サンプルは、散発的にアクチノバチルス・プルロニューモニアに陽性であった。マイコプラズマ・ハイオニューモニエ、ストレプトコッカス・スイス、又はパスツレラ・ムルトシダに陽性の肺サンプル数のわずかな違いが、両治療グループにおける第2調査で観察された。表2に示すように、これらの病原体は、低頻度でのみ存在するか(ストレプトコッカス・スイス、パスツレラ・ムルトシダ)、PCV2感染のかなり後期に現れた(マイコプラズマ・ハイオニューモニエ)。
【0080】
別の調査(調査B05BIVI013)において、表2に示すように、随伴病原体に対する類似した抵抗性がワクチン接種した動物において観察された。
【0081】
【表2】

【0082】
上記の通り、PCV2に対するワクチン接種の影響下で、PCV2感染の頻度、並びに、アクチノバチルス・プルロニューモニア、ヘモフィルス・パラスイス、マイコプラズマ・ハイオリニス、パスツレラ・ムルトシダ、PRRSV、サルモネラ属、ストレプトコッカス・スイス重感染の頻度は顕著に減少した。
【0083】
別の調査において、マイコプラズマ・ハイオニューモニエに対する類似した抵抗性も、ワクチン接種した動物において観察された。
【0084】
[参照文献]
[1] Clark T. Pathology of the Postweaning Multisystemic Wasting Syndrome of Pigs. 1996 p. 22-5.
[2] Brunborg IM, Moldal T, Jonassen CM. Quantitation of porcine circovirus type 2 isolated from serum/plasma and tissue samples of healthy pigs and pigs with postweaning multisystemic wasting syndrome using a TaqMan-based real-time PCR. J Virol Methods 2004 Dec 15;122(2):171-8.
[3] Allan G, McNeilly F. PMWS/PCVD: Diagnosis, Disease and Control: What do we know? 2006 Jul 16-2006 Jul 19; 2006.
[4] Allan GM, McNeilly F, Ellis J, et al. PMWS: experimental model and co-infections. Vet Microbiol 2004 Feb 4;98(2):165-8.
[5] Chae C. Postweaning multisystemic wasting syndrome: a review of aetiology, diagnosis and pathology. Vet J 2004 Jul;168(1):41-9.
[6] Chae C. A review of porcine circovirus 2-associated syndromes and diseases. Vet J 2005 May;169(3):326-36.
[7] Segales J, Domingo M, Chianini F, et al. Immunosuppression in postweaning multisystemic wasting syndrome affected pigs. Vet Microbiol 2004 Feb 4;98(2):151-8.
[8] Krakowka S, Ellis JA, McNeilly F, Ringler S, Rings DM, Allan G. Activation of the immune system is the pivotal event in the production of wasting disease in pigs infected with porcine circovirus-2 (PCV-2). Vet Pathol 2001 Jan;38(1):31-42.
[9] Allan GM, Kennedy S, McNeilly F, et al. Experimental reproduction of severe wasting disease by co-infection of pigs with porcine circovirus and porcine parvovirus. J Comp Pathol 1999 Jul;121(1):1-11.
[10] Allan GM, McNeilly F, Ellis J, et al. Experimental infection of colostrum deprived piglets with porcine circovirus 2 (PCV2) and porcine reproductive and respiratory syndrome virus (PRRSV) potentiates PCV2 replication. Arch Virol 2000;145(11):2421-9.
[11] Harms PA, Sorden SD, Halbur PG, et al. Experimental reproduction of severe disease in CD/CD pigs concurrently infected with type 2 porcine circovirus and porcine reproductive and respiratory syndrome virus. Vet Pathol 2001 Sep;38(5):528-39.
[12] Krakowka S, Ellis JA, Meehan B, Kennedy S, McNeilly F, Allan G. Viral wasting syndrome of swine: experimental reproduction of postweaning multisystemic wasting syndrome in gnotobiotic swine by coinfection with porcine circovirus 2 and porcine parvovirus. Vet Pathol 2000 May;37(3):254-63.
[13] Ostanello F, Caprioli A, Di FA, et al. Experimental infection of 3-week-old conventional colostrum-fed pigs with porcine circovirus type 2 and porcine parvovirus. Vet Microbiol 2005 Jul 1;108(3-4):179-86.
[14] Rovira A, Balasch M, Segales J, et al. Experimental inoculation of conventional pigs with porcine reproductive and respiratory syndrome virus and porcine circovirus 2. J Virol 2002 Apr;76(7):3232-9.
[15] Darwich L, Segales J, Mateu E. Pathogenesis of postweaning multisystemic wasting syndrome caused by Porcine circovirus 2: An immune riddle. Arch Virol 2004 May;149(5):857-74.
[16] Krakowka S, Ellis JA, McNeilly F, et al. Immunologic features of porcine circovirus type 2 infection. Viral Immunol 2002;15(4):567-82.
[17] Batista L. Postweaning Multisystemic Wasting Syndrom (PMWS) in Quebec, is it an emerging disease? 2006 Mar 4-2006 Mar 7; 2006.
[18] Blanchard P, Mahe D, Cariolet R, et al. Protection of swine against post-weaning multisystemic wasting syndrome (PMWS) by porcine circovirus type 2 (PCV2) proteins. Vaccine 2003 Nov 7;21(31):4565-75.
[19] Caron J., Ouardani M., Dea S. Diagnosis and differentiation of Mycoplasma hyopneumoniae and Mycoplasma hyorhinis infections in pigs by PCR amplification of the p36 and p46 genes. J Clin Microbiol 2000;38(4):1390-6.
[20] Calsamiglia M, Pijoan C, Trigo A. Application of a nested polymerase chain reaction assay to detect Mycoplasma hyopneumoniae from nasal swabs. J Vet Diagn Invest 1999 May;11(3):246-51.
[21] Wisselink HJ, Joosten JJ, Smith HE. Multiplex PCR assays for simultaneous detection of six major serotypes and two virulence-associated phenotypes of Streptococcus suis in tonsillar specimens from pigs. J Clin Microbiol 2002 Aug;40(8):2922-9.
[22] Townsend KM, Frost AJ, Lee CW, Papadimitriou JM, Dawkins HJ. Development of PCR assays for species- and type-specific identification of Pasteurella multocida isolates. J Clin Microbiol 1998 Apr;36(4):1096-100.
[23] Schaller A, Kuhnert P, de la Puente-Redondo VA, Nicolet J, Frey J. Apx toxins in Pasteurellaceae species from animals. Vet Microbiol 2000 Jun 12;74(4):365-76.
[24 Hozbor D, Fouque F, Guiso N. Detection of Bordetella bronchiseptica by the polymerase chain reaction. Res Microbiol 1999 Jun;150(5):333-41.
[25] Calsamiglia M, Pijoan C, Solano G, Rapp-Gabrielson V. Development of an oligonucleotide-specific capture plate hybridization assay for detection of Haemophilus

【特許請求の範囲】
【請求項1】
豚又は豚の群れにおける、PCV2以外の1又は複数の病原体によって引き起こされる随伴感染の割合を減少させる方法であって、前記豚に有効量のPCV2抗原又はPCV2抗原を含む免疫原性組成物を投与する工程を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記随伴感染が、ウイルス性、細菌性及び/又は真菌性病原体によって引き起こされることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記随伴感染が、ウイルス性病原体によって引き起こされることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記随伴感染が、PRRSによって引き起こされることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記随伴感染が、細菌性病原体によって引き起こされることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記随伴感染が、腸内病原体によって引き起こされることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記随伴感染が、アクチノバチルス・プルロニューモニア、ヘモフィルス・パラスイス、マイコプラズマ・ハイオリニス、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ、パスツレラ・ムルトシダ、サルモネラ属、ストレプトコッカス・スイスによって引き起こされることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記豚又は豚の群れがPCV2に感染していることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
非ワクチン接種のコントロール群と比較して、前記随伴感染の割合が、1又は複数の前記感染に関して10%より多く減少することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記PCV2抗原が、死滅したPCV2、改変した生存PCV2、又はそれらの免疫原性部分であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記PCV2抗原が、PCV2のORF−2であるか、PCV2のORF−2を含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
PCV2以外の1又は複数の病原体への随伴感染に対する豚の抵抗性を向上させる方法であって、前記豚に有効量のPCV2抗原又はPCV2抗原を含む免疫原性組成物を投与する工程を有することを特徴とする方法。
【請求項13】
前記随伴感染が、ウイルス性、細菌性及び/又は真菌性病原体によって引き起こされることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記随伴感染が、ウイルス性病原体によって引き起こされることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記随伴感染が、PRRSによって引き起こされることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記随伴感染が、細菌性病原体によって引き起こされることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記随伴感染が、腸内病原体によって引き起こされることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記随伴感染が、アクチノバチルス・プルロニューモニア、ヘモフィルス・パラスイス、マイコプラズマ・ハイオリニス、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ、パスツレラ・ムルトシダ、サルモネラ属、ストレプトコッカス・スイスによって引き起こされることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記豚がPCV2に感染していることを特徴とする、請求項11〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
非ワクチン接種のコントロール群と比較して、前記随伴感染の割合が、1又は複数の前記感染に関して10%より多く減少することを特徴とする、請求項11〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記PCV2抗原が、死滅したPCV2、改良した生存PCV2、又はそれらの免疫原性部分であることを特徴とする、請求項11〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記PCV2抗原が、PCV2のORF−2であるか、PCV2のORF−2を含むことを特徴とする、請求項11〜19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
豚又は豚の群れにおけるPCV2以外の1又は複数の病原体によって引き起こされる随伴感染を減少させる免疫原性組成物の製造のための、PCV2抗原の使用。
【請求項24】
前記随伴感染が、ウイルス性、細菌性及び/又は真菌性病原体によって引き起こされることを特徴とする、請求項21に記載の使用。
【請求項25】
前記随伴感染が、ウイルス性病原体によって引き起こされることを特徴とする、請求項22に記載の使用。
【請求項26】
前記随伴感染が、PRRSによって引き起こされることを特徴とする、請求項23に記載の使用。
【請求項27】
前記随伴感染が、細菌性病原体によって引き起こされることを特徴とする、請求項22に記載の使用。
【請求項28】
前記随伴感染が、アクチノバチルス・プルロニューモニア、ヘモフィルス・パラスイス、マイコプラズマ・ハイオリニス、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ、パスツレラ・ムルトシダ、サルモネラ属、ストレプトコッカス・スイスによって引き起こされることを特徴とする、請求項23に記載の使用。
【請求項29】
前記豚又は豚の群れがPCV2に感染していることを特徴とする、請求項21〜26のいずれか1項に記載の使用。
【請求項30】
非ワクチン接種のコントロール群と比較して、前記随伴感染の割合が、1又は複数の前記感染に関して10%を超えて減少することを特徴とする、請求項21〜27のいずれか1項に記載の使用。
【請求項31】
前記PCV2抗原が、死滅したPCV2、改良した生存PCV2、又はそれらの免疫原性部分であることを特徴とする、請求項21〜28のいずれか1項に記載の使用。
【請求項32】
前記PCV2抗原が、PCV2のORF−2であるか、PCV2のORF−2を含むことを特徴とする、請求項21〜29のいずれか1項に記載の使用。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2010−538039(P2010−538039A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523493(P2010−523493)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【国際出願番号】PCT/EP2008/061566
【国際公開番号】WO2009/030684
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(503345374)ベーリンガー インゲルハイム フェトメディカ インコーポレイテッド (26)
【Fターム(参考)】