説明

PONシステム、局側光終端装置および帯域制御方法

【課題】複数のPONインタフェースを収容しかつアップリンクにおいて複数方路宛の転送を可能とし、バッファ量、帯域を効率的に利用可能なPONシステムを得ること。
【解決手段】OLT1は、ONU3−1−1〜3−n−nと接続して局側光終端処理を行うPON−IF12−1〜12−nと、局側光終端処理後のデータを宛先に応じてUplink#1,#2に振り分ける集線SW11と、を備え、PON−IF12−1〜12−nは、ONU3−1−1〜3−n−nから受信した宛先のアップリンクごとの帯域割当要求を集線スイッチ11へ通知し、集線スイッチ11は、宛先のアップリンクごとに、上り帯域の送信許可時間帯を割当てるuDBA13−1,13−2、を備え、PON−IF12−1〜12−nは、uDBA13−1,13−2により割当てられた送信許可時間帯に基づいて、自身が接続するONU3−1−1〜3−n−nに対する上り帯域割当を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PON(Passive Optical Network)システム、局側光終端装置および帯域制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブロードバンドアクセス網を構成する一つの手段としてPON(Passive Optical Network)と呼ばれる方式がある。このPONと呼ばれる方式では、光媒体を共有しており、上り方向と下り方向では波長が異なり、下りはデータを放送形式により送信してLLID(Logical Link IDentifier)により振り分けるが、上りはMPCP(Multi−Point Control Protocol)と呼ばれるアクセス制御により時分割多重することで上り帯域を制御する(非特許文献1参照)。
【0003】
PONシステムにおける通常の局側光終端装置では、光回線を終端するPONインタフェース機能を有するPONインタフェースカードを複数搭載し、その上位にPONインタフェースカードからのデータを集線するレイヤ2スイッチを備える構成をとることが多い。L2スイッチは、アップリンク側の出力帯域を超えないよう帯域制御を行っている。一般に、PONインタフェースカードによる制御とその上位のレイヤ2スイッチとの制御は独立した動作を行っている。このため、せっかくPON区間においてその配下のユーザに対し公平に帯域割り当てを行ったとしても、レイヤ2スイッチでは、多数のPONインタフェースカードを集線することから、大量のバッファメモリを高速に処理するとともに、同様なユーザ毎の公平性制御をさらに行う必要があり、フレームの廃棄ポイントが複数ヶ所となることから、バッファ量や帯域効率の観点で非効率であった。
【0004】
上記の問題を改善するため、特許文献1では、アップリンクにおける帯域を有効に利用することが可能な局側集線装置、アクセス制御装置およびアクセス制御方法が提案されている。特許文献1では複数のPONインタフェースカードを収容し、1つのアップリンクポートに集約するときに、その集約局全体での1つのMPCP制御を行う方法が提案されている。また、特許文献2では、アップリンクにおける帯域を有効に利用するために、1つのアップリンクポートがLink Aggregationをした場合の方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−147626号公報
【特許文献2】特開2009−246446号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】IEEE,“IEEE Std 802.3ahTM−2004”,7 September 2004
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1および特許文献2では、アップリンクの接続先は1つの装置または1つの方路だけを想定したものであり複数方路には対応していない。また、特許文献1および特許文献2の方式により複数方路あてに転送する場合、上位にはさらに振り分けるための装置が必要となるという問題点がある。上位に振り分ける振り分け装置を設置した場合、振り分け装置において帯域が独立に制御されることから、バッファ量や帯域の観点からも非効率になってしまうという問題点がある。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、複数のPONインタフェースを収容しかつアップリンクにおいて複数方路宛の転送を可能とし、バッファ量および帯域を効率的に利用することができるPONシステム、局側光終端装置および帯域制御方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、局側光終端装置と複数の宅内光終端装置とを備えるPONシステムであって、前記宅内光終端装置は、宛先のアップリンクごとの要求送信データ量を含む帯域割当要求を送信し、前記局側光終端装置は、1つ以上の前記宅内光終端装置と接続して局側光終端処理をそれぞれ行う複数のPONインタフェースと、前記PONインタフェースによる前記局側光終端処理後のデータを宛先に応じて1つ以上のアップリンク回線に振り分けて出力する集線スイッチと、を備え、前記PONインタフェースは、前記宅内光終端装置から受信した宛先のアップリンクごとの要求送信データ量を含む帯域割当要求を前記集線スイッチへ通知し、前記集線スイッチは、宛先のアップリンクを同一とする前記宅内光終端装置からの要求送信データ量に基づいて、前記宅内光終端装置に対して当該宛先のアップリンクを送信するための上り帯域の送信許可時間帯を割当てるアップリンク帯域割当部、を宛先のアップリンクごとに備え、前記PONインタフェースは、前記アップリンク帯域割当部により割当てられた前記送信許可時間帯に基づいて、自身が接続する前記宅内光終端装置に対する上り帯域割当を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数のPONインタフェースを収容しかつアップリンクにおいて複数方路宛の転送を可能とし、バッファ量および帯域を効率的に利用することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施の形態1のPONシステムの構成例を示す図である。
【図2】図2は、実施の形態1の帯域制御にかかる論理的および物理的な構成例を示す図である。
【図3】図3は、PON区間において送信許可時間帯が重なる例とその回避方法を示す図である。
【図4】図4は、実施の形態2のPONシステムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明にかかるPONシステム、局側光終端装置および帯域制御方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
実施の形態1.
図1は、本発明にかかるPONシステムの実施の形態1の構成例を示す図である。図1に示すように、本実施の形態のPONシステムは、局側光終端装置(OLT:Optical Line Terminal)1と、スターカプラ2−1〜2−n(nは1以上の整数)と、宅内光終端装置(ONU:Optical Network Unit)3−1−1〜3−n−nと、を備える。
【0014】
OLT1は、集線スイッチ(集線SW)11と、PONインタフェース(PON−IF)12−1〜12−nと、を備える。OLT1は、局側に置かれる光終端装置である。OLT1に内蔵される集線スイッチ11は、複数のPONインタフェース(PONインタフェース12−1〜12−n)を収容し、アップリンク回線(Uplink#1,Uplink#2)へデータを転送するレイヤ2スイッチまたは同等のフレーム多重分離機能を有するスイッチである。OLT1に収容されるPONインタフェース12−i(i=1,2,…,n)は、PON区間の局側の光終端処理機能を持つ1つのカードであり、スターカプラ2−iを介してONU3−i−1〜3−i−nを収容する。例えば、PONインタフェース12−1は、スターカプラ2−1を介してONU3−1−1〜3−1−nを収容する。
【0015】
スターカプラ2−iは、ONU3−i−1〜3−i−nとそれぞれ光ファイバにより接続されている。また、スターカプラ2−iは、PONインタフェースカード12−iと光回線により接続している。例えば、スターカプラ2−1は、ONU3−1−1〜12−1−nと接続し、また、OLT1側ではPONインタフェース12−1に接続している。
【0016】
なお、図1では、PONインタフェースの数(すなわち、n)と、各PONインタフェースが収容するONUの数(すなわち、n)が等しい例を示しているが、PONインタフェースの数と各PONインタフェースが収容するONUの数とは異なっていてもよい。例えば、PONインタフェース12−1がスターカプラ2−1を介してONU3−1−1〜3−1−m(m≠n)を収容してもよい。また、アップリンク回線の数は、Uplink#1,Uplink#2の2つに限定されず、1つ以上であればよい。
【0017】
図2は、本実施の形態の帯域制御にかかる論理的および物理的な構成例を示す図である。集線スイッチ11内のuDBA(アップリンク帯域割当部)13−1はUplink#1宛に転送されるONU3−1−1〜ONU3−n−nの帯域制御を行う機能部であり、uDBA13−2はUplink#2宛に転送されるONU3−1−1〜ONU3−n−nの帯域制御を行う機能部である。
【0018】
PONインタフェース12−1〜12−nは、上述のようにPON区間の光を終端する機能を有し、各々が、自身の収容するONUに対する帯域割当制御を実施する。ここでは、DBA(Dynamic Bandwidth Allocation)による制御を行うとして説明するが、帯域割当の方法はDBAに限定されない。PONインタフェース12−i内でDBA制御を実施する機能部をDBA(PON帯域割当部)14−iとする。例えば、PONインタフェース12−1では、DBA14−1が、ONU3−1−1〜3−1−nとの間の通信に対する帯域割当制御を実施する。DBA14−1〜14−nは、配下のONUとのMPCP制御を行うとともに、上位のuDBA13−1およびuDBA13−2からの帯域制御を終端する。なお、uDBA13−1およびuDBA13−2からの帯域制御方法は、フレームを使用したメッセージを用いた制御方法でも良いし、物理的に直接制御信号により制御する方法でも良い。
【0019】
次に本実施の形態の動作について説明する。簡単のため、n=2の場合、すなわちPONインタフェースはPONインタフェース12−1とPONインタフェース12−nの2枚のみであった場合の動作例を説明する。
【0020】
ここでは、ONU3−1−1、ONU3−n−1、ONU3−n−nがOLT1を介してUplink#1へのデータ送信を行い、ONU3−1−n、ONU3−n−1、ONU3−n−nがOLT1を介してUplink#2へのデータ送信を行うとする。本実施の形態では、Uplink#1に対しては、ONU3−1−1、ONU3−n−1、ONU3−n−nからの送信にそれぞれLLID#1−1、LLID#1−2、LLID#1−3が割り当てられるとする。また、Uplink#2に対しては、ONU3−1−2、ONU3−n−1、ONU3−n−nからの送信にそれぞれLLID#2−1、LLID#2−2、LLID#2−3が割り当てられるとする。すなわち、Uplink#1、Uplink#2への送信をおこなうONU3−n−1およびONU3−n−nは、Uplink#1、Uplink#2についてそれぞれ異なるLLIDが割り当てられることとなる。
【0021】
ONU3−1−1とONU3−1−nは、PONインタフェース12−1から送信されるDiscovery GATEメッセージを受信してDiscovery処理によって、PONインタフェース12−1とPONリンクが確立された状態とする。ONU3−n−1とONU3−n−nは、PONインタフェース12−2から送信されるDiscovery GATEメッセージを受信してDiscovery処理によって、PONインタフェース12−nとのPONリンクが確立された状態とする。PONインタフェース12−1、12−nは、Discovery処理において、検出したONUに対してLLIDを付与する。この際、上述のようにUplink#1、Uplink#2についてそれぞれ異なるLLIDを付与する。
【0022】
なお、OLT1が、どのONUがどのUplinkに対してデータ転送を行うかの対応を把握できる場合には、図2に示すように、Uplink#1のみに転送を行うONU(例えば図2の例ではONU3−1−1)に対してはUplink#1に対応するLLIDのみを割当て、Uplink#2のみに転送を行うONU(例えば図2の例ではONU3−1−n)に対してはUplink#2に対応するLLIDのみを割当てるようにしてもよい。OLT1が、どのONUがどのUplinkに対してデータ転送を行うかの対応を把握できない場合には、PONインタフェース12−1、12−nは、収容する全ONUに対してUplink#1とUplink#2の両方に対応するLLIDをそれぞれ割当てるようにしてもよい。
【0023】
この状態で、ONU3−1−1〜ONU3−n−nにおいて、上り方向に送信すべきデータがあった場合、ONU3−1−1〜ONU3−n−nは、通常のMPCPフレームの1種であるREPORTフレーム(帯域割当要求)に送信すべきデータ量等を格納し、このREPORTフレームを自身が接続するPONインタフェース12−1〜12−nへ送信する。この際、ONU3−1−1〜ONU3−n−nは、上りデータ量をUplink#1宛とUplink#2宛とに分けて求め、Uplink#1宛のデータ量の通知の際にはREPORTフレームにUplink#1用に自身に割当られたLLIDを格納して送信し、Uplink#2宛のデータ量の通知の際にはREPORTフレームにUplink#2用に自身に割当てられたLLIDを格納して送信する。例えば、図2のONU3−n−1では、Uplink#1宛のデータ量の通知ではREPORTフレームにLLID#1−2を格納し、Uplink#2宛のデータ量の通知ではREPORTフレームにLLID#2−2を格納する。
【0024】
PONインタフェース12−1〜12−n内のDBA14−1〜14−nは、受信したREPORTフレームに基づいて、Uplink#1に対応するLLIDが格納されたREPORTフレームにより通知されたデータ量等のREPORT情報をuDBA13−1へ通知し、Uplink#2に対応するLLIDが格納されたREPORTフレームにより通知されたデータ量等のREPORT情報をuDBA13−2へ通知する。図2の例では、LLID#1−1〜#1−3が格納されたREPORTフレームのREPORT情報をuDBA13−1へ通知し、LLID#2−1〜#2−3が格納されたREPORTフレームのREPORT情報をuDBA13−2へ通知する。
【0025】
uDBA13−1、13−2は、REPORT情報の通知を受けると、自身が接続するUplinkにデータ転送する配下のONUに対して上り送信許可時間帯(送信開始時間と送信時間)を割当てる。例えば、図2の例ではuDBA13−1は、IILD#1−1、#1−2、#1−3にそれぞれ対応するONU3−1−1、3−n−1、3−n−nに対して帯域(送信許可時間帯)割当を行う。uDBA13−2は、IILD#2−1、#2−2、#2−3にそれぞれ対応するONU3−1−n、3−n−1、3−n−nに対して帯域割当を行う。そして、uDBA13−1、13−2は、送信許可時間帯の割当結果(LLIDごとの送信開始時間と送信時間)をDBA14−1〜14−nへ通知する。
【0026】
uDBA13−1、13−2は、それぞれ個別に自身の割当対象のLLIDに対して互いに送信許可時間帯が重ならないような割当を行う。このため、同じPON区間において、uDBA13−1からの送信許可時間帯とuDBA13−2からの送信許可時間帯とが重なる場合があり、PON区間での衝突が発生する恐れがある。
【0027】
図3は、PON区間において送信許可時間帯が重なる例とその回避方法を示す図である。図3(1)では、図2のPONインタフェース12−1が収容するPON区間において、LLID#1−1に対する送信許可時間帯41とLLID#2−1に対する送信許可時間帯42とが重なった例を示している。
【0028】
送信許可時間帯が重なった場合、図3(2)に示すように、DBA14−1は、uDBA13−1、13−2から通知された各LLIDの送信開始時刻と送信時間をもとに、衝突を回避するように送信開始時間が遅い方(図3(2)ではLLID#2−1)の送信許可時間帯42を後ろへスライドさせる処理を行う。これにより衝突を回避することとする。このように、DBA14−1、2は、uDBA13−1、13−2から通知された各LLIDの送信開始時刻と送信時間をもとに、自身の配下のPON区間で送信許可時間帯の重なりが生じると判断した場合には、衝突を回避するように送信開始時間が遅い方の送信許可時間帯を後ろへスライドさせるようにする。
【0029】
DBA14−1、2は、uDBA13−1、13−2から通知された各LLIDの送信開始時刻と送信時間をもとに、PON区間で送信許可時間帯の重なりが生じる場合には上述のスライドさせる処理を行い、さらに配下のONUが送信を要求するUplink#1、#2宛以外の上りデータがある場合には、当該上りデータへの送信許可時間帯をUplink#1、#2宛の送信許可時間帯と重複しないように割当てる。そして、DBA14−1、2は、Uplink#1、#2宛の送信許可時間帯を、それぞれ対応するLLIDを格納したGATEフレーム(帯域割当通知)に格納して、収容するONU3−1−1〜3−n−nへ通知する。
【0030】
なお、ここでは、1つのPONインタフェースに収容されるONUを2台としているが、1つのPONインタフェースに3台以上のONUが収容される場合には、3つ以上の送信時間帯が互いに重複することも考えられる。この場合も、例えば、同様に送信開始時間が最も早いLLIDの送信許可時間帯をそのままとし、次に送信開始時間が早いLLIDの送信許可時間帯をスライドさせ送信開始時間が最も早いLLIDと送信許可時間帯が重ならないようにし、さらに次に送信開始時間が早いLLIDの送信許可時間帯をスライドさせ送信開始時間が早い2つの送信許可時間帯と重ならないようにする、という動作を繰り返すことにより衝突を回避することができる。
【0031】
なお、本実施の形態では、宛先のUplinkごとに異なるLLIDを割当てて宛先のUplinkごとに帯域割当を行うようにしたが、これに限定されず、宛先のUplinkごとにONUが送信を要求するデータ量を通知し、uDBA13−1、13−2が宛先のUplinkごとに帯域割当を行う方法であればよい。例えば、LLIDを宛先のUplinkごとに分けずに、REPORTフレームに格納された宛先のUplinkを識別する情報に基づいて、PONインタフェース12−1〜12−nがUplink#1、#2ごとのデータ量を把握して、それぞれuDBA13−1、13−2へ通知するようにしてもよい。
【0032】
以上のように、Uplinkの方路が複数存在する場合、宛先のUplinkごとに異なるLLIDを割当て、宛先のUplinkごとに帯域割当を行い、さらに、PONインタフェース12−1〜12−nのDBA14−1〜14−nは、配下のPON区間で送信許可時間帯の重なりがある場合には送信許可時間帯が重ならないよう送信開始時間の遅いほうの送信開始時間を後ろへスライドさせるようにした。このため、Uplink#1、#2に対応するuDBA13−1、13−2が個別に動作することができ、帯域を効率的に使用できる。また、DBA14−1〜14−nとuDBA13−1、13−2とがまったく独立に帯域制御を行う場合には、集線スイッチ11にバッファを必要とするが、本実施の形態では、DBA14−1〜14−nがuDBA13−1、13−2の割当結果を用いるため、集線SW11にバッファを必要としない。このため、PONシステム全体のバッファ量を有効に利用することができる。
【0033】
また、これらの動作により、帯域を有効利用した上で、接続先(方路)が異なる装置への接続が可能となる。複数方路に接続が可能となることにより、接続する複数のサービスや複数のサービスプロバイダへの接続が容易となる。たとえば1つのUplinkはVoIP(Voice over Internet Protocol)網へ接続し、もう1つのUplinkはWeb網へ接続する等の振り分けが可能となる。
【0034】
実施の形態2.
図4は、本発明にかかるPONシステムの実施の形態2の構成例を示す図である。本実施の形態のPONシステムは、OLT1の替わりにONU1aを備える以外は、実施の形態1のPONシステムと同様である。なお、図4では、スターカプラ2−1〜2−nの図示を省略している。実施の形態1と同様の機能を有する構成要素は実施の形態1と同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0035】
図4に示すように、本実施の形態のOLT1aは、集約スイッチ11と、PONインタフェース12a−1〜12a−nと、を備える。集約スイッチ11は、実施の形態1と同様である。PONインタフェース12a−i(i=1,2,…,n)は、DBA14−iと、Discovery制御部15−iと、を備える。
【0036】
実施の形態1では、Uplinkの複数方路に対して、バッファ量的にも帯域的にもシステム全体で効率的に収容するようにした。本実施の形態では、複数方路に転送する状態において、さらに、PONリンクを確立するためのDiscovery制御を実施する場合に、各々のPONインタフェース配下の送信開始時間および送信時刻に基づいて空き時間を認識し、空き時間に基づいてDiscoveryウインドウの時間を確保することで、より帯域の利用効率を上げる。
【0037】
Discovery制御部15−iは、uDBA13−1、13−2から通知された各LLIDの送信開始時刻と送信時間に基づいて、上り帯域の空き時間(PONインタフェース12a−iの配下のONU3−i−1〜3−1−nに対応するLLIDに送信許可時間帯が割り当てられていない時間)が一定時間以上あることを検知した場合に、当該空き時間内にDiscoveryウインドウを確保するとともに、Discovery GATEフレームを配下のONU3−i−1〜3−1−nに送出する制御を行う。一定時間は、Discoveryウインドウの確保に必要な時間以上とし、例えば200μ秒とする。以上述べた以外の本実施の形態の動作は、実施の形態1と同様である。
【0038】
このように、本実施の形態では、PONインタフェース毎に配下のPON区間の上り帯域の空き時間を利用してDiscoveryウインドウを確保するようにした。このため、実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらにDiscoveryウインドウの時間分の帯域の有効利用が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上のように、本発明にかかるPONシステム、局側光終端装置および帯域制御方法は、複数のPONインタフェースを備えるPONシステムに有用であり、特に、アップリンクに複数の宛先を設定するPONシステムに適している。
【符号の説明】
【0040】
1,1a OLT
2−1〜2−n スターカプラ
3−1−1〜3−n−n ONU
11 集線スイッチ
12−1〜12−n PONインタフェース(PON−IF)
13−1,13−2 uDBA
14−1〜14−n DBA
15−1〜15−n Discovery制御部
41,42 送信許可時間帯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
局側光終端装置と複数の宅内光終端装置とを備えるPONシステムであって、
前記宅内光終端装置は、宛先のアップリンクごとの要求送信データ量を含む帯域割当要求を送信し、
前記局側光終端装置は、
1つ以上の前記宅内光終端装置と接続して局側光終端処理をそれぞれ行う複数のPONインタフェースと、
前記PONインタフェースによる前記局側光終端処理後のデータを宛先に応じて1つ以上のアップリンク回線に振り分けて出力する集線スイッチと、
を備え、
前記PONインタフェースは、前記宅内光終端装置から受信した宛先のアップリンクごとの要求送信データ量を含む帯域割当要求を前記集線スイッチへ通知し、
前記集線スイッチは、
宛先のアップリンクを同一とする前記宅内光終端装置からの要求送信データ量に基づいて、前記宅内光終端装置に対して当該宛先のアップリンクを送信するための上り帯域の送信許可時間帯を割当てるアップリンク帯域割当部、を宛先のアップリンクごとに備え、
前記PONインタフェースは、前記アップリンク帯域割当部により割当てられた前記送信許可時間帯に基づいて、自身が接続する前記宅内光終端装置に対する上り帯域割当を行うことを特徴とするPONシステム。
【請求項2】
前記PONインタフェースは、前記宅内光終端装置に対して宛先のアップリンクごとに異なるLLIDを割当て、
前記宅内光終端装置は、前記帯域割当要求を宛先のアップリンクに対応するLLIDを格納して送信することを特徴とする請求項1に記載のPONシステム。
【請求項3】
前記PONインタフェースは、前記アップリンク帯域割当部により割当てられた前記送信許可時間帯に基づいて、自身が接続する前記宅内光終端装置間で送信許可時間帯が重複すると判断した場合に、前記送信許可時間帯の重複が生じないように前記送信許可時間帯の送信開始時刻が遅い前記宅内光終端装置の送信許可時間帯を遅らせることを特徴とする請求項1または2に記載のPONシステム。
【請求項4】
前記PONインタフェースは、前記アップリンク帯域割当部により割当てられた前記送信許可時間帯に基づいて、自身が接続する前記宅内光終端装置間の上り帯域における空き時間を検出し、前記空き時間内にDiscoveryウインドウを設定することを特徴とする請求項1、2または3に記載のPONシステム。
【請求項5】
複数の宅内光終端装置と接続する局側光終端装置であって、
1つ以上の前記宅内光終端装置と接続して局側光終端処理をそれぞれ行う複数のPONインタフェースと、
前記PONインタフェースによる前記局側光終端処理後のデータを宛先に応じて1つ以上のアップリンク回線に振り分けて出力する集線スイッチと、
を備え、
前記PONインタフェースは、前記宅内光終端装置から受信した宛先のアップリンクごとの要求送信データ量を含む帯域割当要求を前記集線スイッチへ通知し、
前記集線スイッチは、
宛先のアップリンクを同一とする前記宅内光終端装置からの要求送信データ量に基づいて、前記宅内光終端装置に対して当該宛先のアップリンクを送信するための上り帯域の送信許可時間帯を割当てるアップリンク帯域割当部、を宛先のアップリンクごとに備え、
前記PONインタフェースは、前記アップリンク帯域割当部により割当てられた前記送信許可時間帯に基づいて、自身が接続する前記宅内光終端装置に対する上り帯域割当を行うことを特徴とする局側光終端装置。
【請求項6】
局側光終端装置と複数の宅内光終端装置とを備えるPONシステムであって、
前記局側光終端装置は、
1つ以上の前記宅内光終端装置と接続して局側光終端処理をそれぞれ行う複数のPONインタフェースと、
前記PONインタフェースによる前記局側光終端処理後のデータを宛先に応じて1つ以上のアップリンク回線に振り分けて出力する集線スイッチと、
を備え、
前記宅内光終端装置が、宛先のアップリンクごとの要求送信データ量を含む帯域割当要求を送信する第1のステップと、
前記PONインタフェースが、前記宅内光終端装置から受信した宛先のアップリンクごとの要求送信データ量を含む帯域割当要求を前記集線スイッチへ通知する第2のステップと、
前記集線スイッチが、宛先のアップリンクごとに、宛先のアップリンクを同一とする前記宅内光終端装置からの要求送信データ量に基づいて、前記宅内光終端装置に対して当該宛先のアップリンクを送信するための上り帯域の送信許可時間帯を割当てる第3のステップと、
前記PONインタフェースが、前記アップリンク帯域割当部により割当てられた前記送信許可時間帯に基づいて、自身が接続する前記宅内光終端装置に対する上り帯域割当を行う第4のステップと、
を含むことを特徴とする帯域制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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