説明

PTENインヒビター

PTEN媒介性疾患、容態、および損傷の治療におけるPTEN活性のインヒビターの治療上の使用を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2004年4月6日出願の米国仮出願番号60/559,802号、2004年7月20日出願の米国仮出願番号60/590,043号、および2004年11月8日出願の米国仮出願番号60/625,871号の利益を主張する。
発明の分野
本発明は、PTENの阻害およびその治療上の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞過程は、脂質およびタンパク質が関与するリン酸化および脱リン酸化サイクルによってある程度制御される。PTEN(第10染色体上に存在するホスファターゼ)は、重要な脂質二次伝達物質であるホスファチジルイノシトール3,4,5リン酸[Ptlins(3,4,5)P3]を脱リン酸化する二重特異性ホスファターゼである。PTENは、広範な種々の細胞過程(血管形成およびアポトーシス性細胞死が含まれる)を調整する極めて重要なシグナル伝達分子である。PTENは、細胞増殖と、血管形成と、細胞死(アポトーシス)との間の均衡を調整する。
【0003】
PTEN活性により、核腫瘍抑制タンパク質p53が活性化され、ストレス条件下でアポトーシスが誘導される。PTENの阻害により、PIP3レベルが増加し、アポトーシスが阻止されて細胞生存が促進される。したがって、PTENのインヒビターを使用して、遺伝毒性ストレスまたは環境ストレス条件下で重要な細胞集団を保護することができる。
【0004】
ビスペルオキソバナジウム化合物(Schmid,A.C.et al.,FEBS Lett 2004,566,(1−3),35−8)およびアンチセンスオリゴヌクレオチド(Butler,M et al.Diabetes 2002,51,(4),1028−34)などの多種の化合物がPTENインヒビターとして同定されているが、これらは、その臨床的有用性の可能性を低くする性質を有する。さらに、多数の小分子(チオレドキシン−1(Meuillet,E.J.et al,Arch.Biochem and Biophys 2004,429,(2),123−33)、インドールカルボン酸塩(Fujii,N.et al.J Am Chem Soc 2003,125,(40),12074−5)、およびノネナール(Salsman,S.J.H.,et al.2003;Abstract #3470,American Association for Cancer Research 2003))がPTENを阻害すると主張されているが、これらはいずれも、可逆的拮抗様作用によってPTENの脱リン酸化能力を直接阻害するものではなく、有用な小分子薬に発展する可能性が低い。ビスホスホネート アレンドロネートなどの他のホスファターゼインヒビターが公知であるが、これらは、PTEN活性を有することが証明されていない。アポトーシスおよび血管形成におけるPTENの役割の重要性を考慮すると、PTENインヒビターに対する必要が当該分野で依然としてある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、アポトーシスを誘発する1つまたは複数の治療から患者を保護する方法に関する。化合物I〜XIVから選択される薬学的に許容可能な量のPTENインヒビターを含む組成物を患者に投与することができる。治療は癌治療であり得る。PTENインヒビターを、癌治療前、癌治療中、または癌治療後に投与することができる。治療は、化学療法または放射線療法であり得る。
【0006】
本発明はまた、ストレスに起因する正常組織が損傷した患者を治療する方法に関する。化合物I〜XIVから選択される薬学的に許容可能な量のPTENインヒビターを含む組成物を患者に投与することができる。薬剤を、患者が罹患した疾患の治療前、治療中、または治療後に投与することができる。
【0007】
本発明はまた、PI3キナーゼ経路のインヒビターに対して癌細胞を感作する方法に関する。化合物I〜XIVからなる群から選択される薬学的に許容可能な量のPTENインヒビターを含む組成物を患者に投与することができる。
【0008】
本発明はまた、医学的手順に関連するアポトーシスを治療する方法に関する。化合物I〜XIVから選択される薬学的に許容可能な量のPTENインヒビターを含む組成物を患者に投与することができる。本発明はまた、従来の治療に対して癌幹細胞を感作する方法に関する。化合物I〜XIVから選択される薬学的に許容可能な量のPTENインヒビターを含む組成物を患者に投与することができる。本発明はまた、必要とする患者の血管形成を誘導または刺激する方法に関する。化合物I〜XIVから選択される薬学的に許容可能な量のPTENインヒビターを含む組成物を患者に投与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の化合物、生成物、および組成物、ならびに方法を開示し、詳細に説明する前に、本明細書中で使用される術語は特定の実施形態を説明することのみを目的とし、制限することを意図するものではないと理解すべきである。明細書および添付の特許請求の範囲で使用される、単数形「a」、「an」、および「the」には文脈中でそうではないと明言しない限り、複数形が含まれることに留意すべきである。
【0010】
1.定義
本明細書中で使用される、用語「分枝」は、1〜24個の骨格原子を含み、基の骨格鎖が1つまたは複数の主鎖からの下位分枝鎖(subordinate branch)を含む基をいう。ここで好ましい分枝基は、1〜12個の骨格原子を含む。分枝基の例には、イソブチル、t−ブチル、イソプロピル、−CH2CH2CH(CH3)CH2CH3、−CH2CH(CH2CH3)CH2CH3、−CH2CH2C(CH32CH3、および−CH2CH2C(CH33などが含まれるが、これらに制限されない。
【0011】
本明細書中で使用される、用語「非分枝」は、基の骨格鎖が直線状に伸びた1〜24個の骨格原子を含む基をいう。ここで好ましい非分枝基は、1〜12個の骨格原子を含む。
【0012】
本明細書中で使用される、用語「環式」または「シクロ」は、単独または組み合わせて、不飽和または飽和の3〜12個の骨格原子(好ましくは3〜7個の骨格原子)からなる環を有する1つまたは複数の閉環を有する基をいう。
【0013】
本明細書中で使用される、用語「低級」は、1〜6個の骨格原子を有する基をいう。
【0014】
本明細書中で使用される、用語「飽和」は、骨格原子の全ての利用可能な原子価結合が他の原子に結合している基をいう。飽和基の代表例には、ブチル、シクロヘキシル、およびピペリジンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0015】
本明細書中で使用される、用語「不飽和」は、2つの隣接する骨格原子の少なくとも1つの利用可能な原子価結合が他の原子に結合していない基をいう。不飽和基の代表例には、−CH2CH2CH=CH2、フェニル、およびピロールなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0016】
本明細書中で使用される、用語「脂肪族」は、置換または非置換であってよく、飽和または不飽和であってよいが、芳香族ではない非分枝、分枝、または環式炭化水素基をいう。用語「脂肪族」には、炭化水素骨格の1つまたは複数の炭素と置換された酸素原子、窒素原子、硫黄原子、またはリン原子を含む脂肪族基がさらに含まれる。
【0017】
本明細書中で使用される、用語「芳香族」は、置換されていても置換されていなくてもよい4n+2非局在化π(パイ)電子を有する不飽和環式炭化水素基をいう。用語「芳香族」には、炭化水素骨格の1つまたは複数の炭素と置換された窒素原子、酸素原子、または硫黄原子を含む芳香族基がさらに含まれる。芳香族基の例には、フェニル、ナフチル、チエニル、フラニル、ピリジニル、および(イソ)オキサゾリルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0018】
本明細書中で使用される、用語「置換」は、1つまたは複数の水素等の原子が炭素あるいは適切なヘテロ原子から取り出されてさらなる基によって置き換えられた基をいう。本明細書中では好ましい置換された基は、1〜5個、もっと好ましくは1〜3個の置換基によって置換されている。2つの置換基を有する原子を、「ジ」と示すのに対して、2つを超える置換基を有する原子を、「ポリ」と示す。このような置換基の代表例には、脂肪族基、芳香族基、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルコキシ、ハロ、アリールオキシ、カルボニル、アクリル、シアノ、アミノ、ニトロ、リン酸塩含有基、硫黄含有基、ヒドロキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、アシルアミノ、アミジノ、イミノ、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、アルキルスルフィニル、トリフルオロメチル、アジド、ヘテロシクリル、アルキルアリール、ヘテロアリール、セミカルバジド、チオセミカルバジド、マレイミド、オキシイミノ、イミデート、シクロアルキル、シクロアルキルカルボニル、ジアルキルアミノ、アリールシクロアルキル、アリールカルボニル、アリールアルキルカルボニル、アリールシクロアルキルカルボニル、アリールホスフィニル、アリールアルキルホスフィニル、アリールシクロアルキルホスフィニル、アリールホスホニル、アリールアルキルホスホニル、アリールシクロアルキルホスホニル、アリールスルホニル、アリールアルキルスルホニル、アリールシクロアルキルスルホニル、CF3、その組み合わせ、および置換物(substitutions)が含まれるが、これらに限定されない。
【0019】
本明細書中で使用される、用語「非置換」は、基に結合するか置換するいかなるさらなる基も持たない基をいう。
【0020】
本明細書中で使用される、用語「アルキル」は、単独または組み合わせて、分枝または非分枝の飽和脂肪族基をいう。アルキル基の代表例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、オクチル、デシル、テトラデシル、ヘキサデシル、エイコシル、およびテトラコシルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0021】
本明細書中で使用される、用語「アルケニル」は、単独または組み合わせて、鎖に沿った任意の安定な点に存在しうる少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含む分枝または非分枝の不飽和脂肪族基をいう。アルケニル基の代表例には、エテニル、E−およびZ−ペンテニル、およびデセニルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0022】
本明細書中で使用される、用語「アルキニル」は、単独または組み合わせて、鎖に沿った任意の安定な点に存在し得る少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含む分枝または非分枝の不飽和脂肪族基をいう。アルキニル基の代表例には、エチニル、プロピニル、プロパルギル、ブチニル、ヘキシニル、およびデシニルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0023】
本明細書中で使用される、用語「アリール」は、単独または組み合わせて、場合により他の芳香族または非芳香族環式基と縮合していてもよい置換または非置換の芳香族基をいう。アリール基の代表例には、フェニル、ピリジル、フラザン、ベンジル、ナフチル、ベンジリジン、キシリル、スチレン、スチリル、フェネチル、フェニレン、およびベンゼントリイルが含まれるが、これらに限定されない。
【0024】
本明細書中で使用される、用語「アルコキシ」は、単独または組み合わせて、1つの末端エーテル結合を介して結合しているアルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基をいう。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、2−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、2−ペントキシ、3−ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、n−ヘキソキシ、2−ヘキソキシ、3−ヘキソキシ、3−メチルペントキシ、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、クロロメトキシ、ジクロロメトキシ、およびトリクロロメトキシが含まれるが、これらに限定されない。
【0025】
本明細書中で使用される、用語「アリールオキシ」は、単独または組み合わせて、1つの末端エーテル結合を介して結合しているアリール基をいう。
【0026】
本明細書中で使用される、用語「ハロゲン」、「ハライド」、または「ハロ」は、単独または組み合わせて、フッ素「F」、塩素「Cl」、臭素「Br」、ヨウ素「I」、およびアスタチン「At」をいう。ハロ基の代表例には、クロロアセトアミド、ブロモアセトアミド、およびヨードアセトアミドが含まれるが、これらに限定されない。
【0027】
本明細書中で使用される、用語「ヘテロ」は、炭素または水素以外の任意の元素の1つまたは複数の原子を含む基をいう。ヘテロ基の代表例には、ヘテロ原子(窒素、酸素、硫黄、およびリンが含まれるが、これらに限定されない)を含む基が含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
本明細書中で使用される、用語「複素環」は、ヘテロ原子を含む環式基をいう。複素環の代表例には、ピリジン、ピペラジン、ピリミジン、ピリダジン、ピペラジン、ピロール、ピロリジノン、ピロリジン、モルホリン、チオモルホリン、インドール、フラザン、イソインドール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、フラン、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、チアゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾキサゾール、ベンゾチオフェン、キノリン、イソキノリン、アザピン、ナフトピラン、およびフラノベンゾピラノンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
本明細書中で使用される、用語「カルボニル」または「カルボキシ」は、単独または組み合わせて、炭素−酸素二重結合を含む基をいう。カルボニルを含む基の代表例には、アルデヒド(すなわち、ホルミル)、ケトン(すなわち、アシル)、カルボン酸(すなわち、カルボキシル)、アミド(すなわち、アミド)、イミド(すなわち、イミド(imido))、エステル、および無水物などが含まれるが、これらに限定されない。
【0030】
本明細書中で使用される、用語「アクリル」は、単独または組み合わせて、CH2=C(Q)C(O)O−(式中、Qは脂肪族基または芳香族基である)で示される基をいう。
【0031】
本明細書中で使用される、用語「シアノ」、「シアネート」、または「シアニド」は、単独または組み合わせて、炭素−窒素二重結合または炭素−窒素三重結合をいう。シアノ基の代表例には、イソシアネートおよびイソチオシアネートなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0032】
本明細書中で使用される、用語「アミノ」は、単独または組み合わせて、骨格に窒素原子を含む基をいう。アミノ基の代表例には、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、アルキルアリールアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書中で使用される、用語「リン酸含有基」は、少なくとも1つの、酸化状態にあるリン原子を含む基をいう。代表例には、リン酸、ホスフィン酸、リン酸エステル、ホスフィニデン、ホスフィノ、ホスフィニル、ホスフィニリデン、ホスホ、ホスホノ、ホスホラニル、ホスホラニリデン、およびホスホロソなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0034】
本明細書中で使用される、用語「硫黄含有基」は、硫黄原子を含む基をいう。代表例には、スルフヒドリル、スルフェノ、スルフィノ、スルフィニル、スルホ、スルホニル、チオ、およびチオキソなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0035】
本明細書中で使用される、用語「任意選択的の」または「場合により」は、その後に記載する事象または状況が起こっても起こらなくてもよく、この記載には、前記事象または状況が起こる場合または起こらない場合が含まれることを意味する。例えば、句「場合により置換されていてもよいアルキル」は、アルキル基が置換されていても置換されていなくてもよく、この記載には非置換アルキルおよび置換のあるアルキルの両方が含まれることを意味する。
【0036】
本明細書中で提供される化合物、生成物、または組成物に関して使用される場合、用語「有効量」は、所望の結果を得るのに十分な化合物、生成物、または組成物の量を意味する。正確な必要量は、使用される特定の化合物、生成物、または組成物、およびその投与様式などによって変化する。したがって、正確な「有効量」を指定することは常に可能とは限らない。しかし、本開示によって情報を与えられた当業者は、適切な有効量を、日常的実験を用いるだけで決定することができる。
【0037】
本明細書中で使用される、用語「適切な」は、記載の目的のために本明細書中に適用された化合物、生成物、または組成に適合する基をいう。当業者は、記載の目的に適切かどうかを、日常的実験を用いるのみで決定することができる。
【0038】
2.化合物
本発明は、酵素PTENの脱リン酸化能力を有するインヒビター(「PTENインヒビター」)である化合物に関する。この化合物を使用して、患者のPTENを阻害することができ、本明細書中に記載の多数の有益な目的の任意のものを有し得る。
【0039】
a.アスコルビン酸系PTENインヒビター
本発明の化合物は、以下から選択されるアスコルビン酸誘導体またはデヒドロアスコルビン酸誘導体であり得る:
【0040】
【化1】

【0041】
(式中、
1は、H、C1〜C3アルキル、アリール、アルキルアリール、(CH2nCOXR3、(CH2nXCOR3、(CH2nCOR3、(CH2nSO23、(CH2nXR3、(CH2nSO2X−R3、(CH2nXSO23、(CH2nNR34、または(CH2nCO(CH2mXR3を示し、
2は、H、C1〜C3アルキル、アリール、アルキルアリール、(CH2nCOX−R3、(CH2nXCOR3、(CH2nCOR3、(CH2nSO23、(CH2nXR3、(CH2nSO2X−R3、(CH2nXSO23、(CH2nNR34、または(CH2nCO(CH2mXR3を示し、
3、R5、およびR6は、独立して、H、C1〜C4アルキル、アリール、またはアルキルアリールであり、
4は、H、C1〜C4アルキル、アリール、アルキルアリール、NHSO25、NHCO25、またはNR56であり、
m=0〜3、
n=0〜3、
Xは、OまたはNR4を示す)
式IおよびIaの化合物は、R1またはR2にエステル結合を有し得る。
【0042】
(1)一般的合成
アスコルビン酸およびデヒドロアスコルビン酸は共に市販されており、アルコールからのエステルの調製について当該分野で周知の反応性酸塩化物を使用して第一級および第二級アルコール基を容易にアシル化することができる。第一級アルコールは、主に最初にアシル化され、化学量論を1対1に近づけるように調整することによって選択的にアシル化して、R2基が水素である式Iおよび式Iaの化合物を得ることができる。次いで、これらのモノアシル化化合物型を、同一の化学反応(例えば、酸塩化物または活性化エステル)によってさらにアシル化して水素以外のR2を得ることができる。さらに、アスコルビン酸およびデヒドロアスコルビン酸の誘導体を作製するための化学反応は、文献によく記載されている(Manfredini et al.,J.Med.Chem.2002,vol.45,pps.559−562,Hak Hee Kang,et al.,and Bull.Korean Chem.Soc.2003,vol.24,No.8,1169−1171およびその中の参考文献)。
【0043】
b.トリアゾール
本発明の化合物はまた、Olesen et alのWO02/32896号(その内容は本明細書中に参照により援用される)に記載の1,2,3−トリアゾールであり得る。化合物は、式:
【0044】
【化2】

【0045】
の化合物であり得る。式中、
1は、H、C1〜C4アルキル、アリール、アルキルアリール、COXR2、COR2、SO2XR2、SO22であり、
2は、H、C1〜C4アルキル、アリール、アルキルアリール、(CH2nCOXR4、(CH2nXCOR4、(CH2nXR4、(CH2nSO2XR4、(CH2nXSO24、NHSO24、NHCOR4、NHCO24、NHCOCO24、またはNR45を示し、
3は、H、C1〜C4アルキル、アリール、アルキルアリール、(CH2nCOXR4、(CH2nXCOR4、(CH2nXR4、(CH2nSO2XR4、(CH2nXSO24、NHSO24、NHCOR4、NHCO24、NHCOCO24、またはNR45を示し、
4は、H、C1〜C4アルキル、アリール、またはアルキルアリールを示し、
5は、H、C1〜C4アルキル、アリール、アルキルアリール、NHSO26、NHCOR6、NHCO26、NR67、またはN=C(R67)を示し、
6は、H、C1〜C4アルキル、アリール、またはアルキルアリールを示し、
7は、H、C1〜C4アルキル、アリール、またはアルキルアリールを示し、
n=0〜3、
Xは、OまたはNR5を示す。
【0046】
式IIの化合物は、以下であり得る:
【0047】
【化3】

【0048】
式中、
8は、(CH2nXR4または(CH2nSR4を示し、
9は、NHNHSO2アリール、NHNHCOアリール、またはNHN=C(R67)を示し、
10は、H、C1〜C4アルキル、アリール、アルキルアリール、SO26、COR6、またはCO26を示す。
【0049】
(1)一般的合成
式IIAの化合物を、重要中間体2−1から合成することができる(Olesen et al.,(2002),W0200232896−A,71pp;Olesen et al.,(2003),J Med Chem,46,15,3333−41)。
【0050】
【化4】

【0051】
この中間体エステル2−1を、容易に入手可能なフラザンから1工程で合成することができる(Fernandez et al.,(2002),Tetrahed.Let.,43,4741−4745)。脂肪族塩化物を、種々の求核試薬(R8)で置き換えることができる。エステル基を活性化エステルに変換し、上記求核試薬(R9)と反応させることができるか、エステル基を求核試薬と直接反応させてR9置換物を作製することができる。
【0052】
c.ジアミン
化合物はまた、式:
【0053】
【化5】

のジアミドであり得る。
【0054】
式中、
Aは、5員環または6員環であり、
1は、H、C1〜C3アルキル、アリール、アルキルアリール、(CH2nCOXR3、(CH2nXCOR3、(CH2nCOR3、(CH2nSO23、(CH2nXR3、(CH2nSO2X−R3、(CH2nXSO23、NHSO23、NHCO23、NHCOR3、NHCO23、NHCOCO23、NR34、または(CH2nCO(CH2mXR3を示し、
2は、H、C1〜C3アルキル、アリール、アルキルアリール、(CH2nCOXR3、(CH2nXCOR3、(CH2nCOR3、(CH2nSO23、(CH2nXR3、(CH2nSO2XR3、(CH2nXSO23、NHSO23、NHCO23、NHCOR3、NHCO23、NHCOCO23、NR34、または(CH2nCO(CH2mXR3を示し、
3は、H、C1〜C4アルキル、アリール、またはアルキルアリールを示し、
4は、H、C1〜C4アルキル、アリール、アルキルアリール、NHSO25、NHCO25、またはNR56を示し、
5は、H、C1〜C4アルキル、アリール、またはアルキルアリールを示し、
6は、H、C1〜C4アルキル、アリール、またはアルキルアリールを示し、
n=0〜3、
m=0〜3、
Xは、OまたはNR4を示す。
【0055】
環Aは、飽和、不飽和、または芳香族であってよく、場合により、NおよびOを含んでもよい。式IIIの好ましい化合物は、環Aが、複素環系、特に、隣接置換された(vicinally substituted)ピリジン類、ピリミジン類、フラザン類、イミダゾール類、ピラゾール類、フラン類、チアゾール類、オキサザゾール類、およびこれらの飽和アナログから選択される化合物であり、式IIIの他の好ましい化合物は、環Aが、置換および非置換フェニル、ならびにその飽和アナログなどの、全てが炭素である芳香環を含む化合物である。
【0056】
式IIIの化合物は、以下:
【0057】
【化6】

【0058】
から選択される環Aを含み得る。
【0059】
式IIIA、IIIB、IIIC、IIID、IIIEから選択される環Aを含む、式IIIの化合物は、以下のものをさらに含みうる:
1は、H、C1〜C3アルキル、アリール、アルキルアリール、(CH2nCOR3、または(CH2nSO23を示し、
3は、H、C1〜C4アルキル、アリール、またはアルキルアリールを示し、
7は、H、C1〜C4アルキル、ハロゲン、NO2、CF3、アリール、カルボキシレート、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、シアノ、イソシアネート、アルコキシカルボニル、またはハロアルキルを示し、
8は、H、C1〜C4アルキル、ハロゲン、NO2、CF3、アリール、カルボキシレート、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、シアノ、イソシアネート、アルコキシカルボニル、またはハロアルキルを示し、
m=1、2、3。
【0060】
ここでアルキルアリールは、式IIIFまたはIIIGから選択される。
【0061】
【化7】

【0062】
式IIIの化合物はまた、式:
【0063】
【化8】

【0064】
(式中、
Aは、5員環または6員環であり、
9は、H、C1〜C3アルキル、アリール、アルキルアリール、(CH2nCOXR3、(CH2nXCOR3、(CH2nCOR3、CH2(CH2nSO23、CH2(CH2nXR3、CH2(CH2nSO2XR3、またはCH2(CH2nXSO23を示し、
10は、H、C1〜C3アルキル、アリール、アルキルアリール、(CH2nCOXR3、(CH2nXCOR3、(CH2nCOR3、CH2(CH2nSO23、CH2(CH2nXR3、CH2(CH2nSO2XR3、またはCH2(CH2nXSO23を示す)の化合物であり得る。R3、X、およびnは、式IIIに記載のものと同一である。
【0065】
式IIIHおよびIIIJの環Aは、飽和、不飽和、または芳香族であってよく、場合により、CおよびNで置換されていてもよい。
【0066】
(1)一般的合成
(a)アミドリンカー
化合物IIIを、置換1,2ジアミノアリール環または1,2二置換脂肪族環として合成することができる。コア芳香環は、任意の5員環または6員環の芳香環または複素環であり得る。特定のコアは、置換および非置換のジアミノベンゼン類、ベンゼン類、ピリジン類ピリミジン類、フラザン類、ならびに他の芳香環および複素環から誘導しうる。フラザンコアジアミド系を、適切な活性化エステルにカップリングした市販の(Aacros Organics)の3,4−ジアミノフラザン(Fernandez et al.(2002),Tetrahed Let.,43,4741−4745)から合成することができる。脂肪環は、1,2ジアミノシクロペンタンまたは1,2ジアミノシクロヘキサンであり得る。以下に示すように、フェノキシアセチルクロリドおよび他の酸塩化物は、アリールアミンコアと反応して所望の生成物を得ることができる(Sorba et al.,Archiv der Pharmazie(1989),322(9),579−80)。この反応の化学量論の変更により、一置換コア環(3−1)または二置換コア環(3−2)を得ることができる。
【0067】
【化9】

【0068】
本明細書中に示した生物活性に基づいて、活性化エステルまたは酸塩化物は、適切な長さのテザー(tehter)を介して結合したアリール環を含み得る。酸塩化物(または活性化エステル)は、市販の安息香酸類、桂皮酸類、ヒドロ桂皮酸類、フェノキシ酢酸類、フェニルプロピオン酸、フェニルイソシアネート類、ベンジルオキシ酢酸類から誘導しうる。テザー中の芳香環は、チオフェン類、ピリジン類、ピリミジン類、フェニル、およびフラン類からなり得る。芳香族部分をコアフラザンに結合させるテザーは、自由に回転することができるか(例えば、脂肪族)、二重結合または三重結合によって拘束されていてもよい。さらに、対応するスルファミド化合物を合成することができる。
【0069】
(b)脂肪族リンカー
フラザンコアと芳香環含有基との間のリンカーは、2工程還元的アルキル化を介した対応するアルデヒド基またはケトン基由来の脂肪族アミンであり得る(Zelenin and Trudell (1997),J.Heterocycl.Chem.,34,3 1057−1060)。この反応の化学量論の変更により、一置換コア環または二置換コア環を得ることができる。
【0070】
【化10】

【0071】
d.アリールイミダゾールカルボニル誘導体
本発明の化合物はまた、式:
【0072】
【化11】

【0073】
(式中、
1は、H、C1〜C4アルキル、アリール、アルキルアリール、(CH2nCOXR3、(CH2mXCOR3、(CH2mXR3、(CH2nCOR3、(CH2nSO2XR3、または(CH2mXSO23を示し、
2は、H、C1〜C4アルキル、アリール、またはアルキルアリールを示し、
3は、H、C1〜C4アルキル、アリール、またはアルキルアリールを示し、
4は、H、C1〜C4アルキル、アリール、アルキルアリール、NHSO25、NHCO25、N=C(R56)、またはNR56を示し、
5は、H、C1〜C4アルキル、アリール、またはアルキルアリールを示し、
6は、H、C1〜C4アルキル、アリール、またはアルキルアリールを示し、
m=1〜3、
n=0〜3、
Xは、OまたはNR4を示す)の化合物であり得る。
【0074】
式IVの化合物は、式:
【0075】
【化12】

(式中、R7はXR4を示す)の化合物であり得る。
【0076】
式IVの化合物はまた、式:
【0077】
【化13】

【0078】
(式中、R8は、H、C1〜C4アルキル、アリール、アルキルアリール、(CH2nCOX−R3、(CH2nXCOR3、(CH2nX−R3、(CH2nCOR3、(CH2nSO2XR3、または(CH2nXSO23を示し、
9は、H、C1〜C4アルキル、アリール、またはアルキルアリールを示す)の化合物であり得る。
【0079】
式IVBの化合物はまた、以下から選択され得る:
【0080】
【化14】

【0081】
(1)アリールイミダゾールカルボニル誘導体の一般的合成
式IVの化合物を、イミダゾールカルボニルコアを使用して合成することができる。メチル4−イミダゾールカルボキシレートを、銅触媒N−アリール化を介してアリールハライドとカップリングすることができる(Kiyomori et al.(1999),Tetrahed.Lett.,40,14 2657−2660)。あるいは、カップリング反応のためにアリールボロン酸を使用することができる(Collman and Zhong (2000) Org.Lett.2000 2 (9),1233−1236 and Combs et al.(1999),Tetrahed.Lett.40 (−9]1623−1626)。標準的なアシル化/アルキル化化学を使用して、ヒドラジンを一端でイミダゾール部分および他端で種々のアシル基/アルキル基とカップリングして、インヒビターの電気的性質、かさ、および全体の長さを細かく調整することが可能である。
【0082】
【化15】

【0083】
さらに、ヒドラジド中間体(4−2)のアルデヒドまたはケトンでの処理により、対応するイミン4−3を生成することができる。
【0084】
【化16】

【0085】
e.ポリアミド系
本発明の化合物はまた、以下から選択されるポリアミドであり得る:
【0086】
【化17】

【0087】
f.PTEN阻害のための市販の公知のPTPインヒビター
本発明の化合物を、以下から選択することもできる:
【0088】
【化18】

【0089】
【化19】

【0090】
【化20】

【0091】
g.フェナントロリン
本発明の化合物はまた、式:
【0092】
【化21】

【0093】
(式中、
1は、O、C1〜C4アルキル、(CH2nCOXR2、(CH2nXCOR2、(CH2nXR2、(CH2nCOR2、(CH2nSO2XR2、(CH2nXSO22、または(CH2nSO22を示し、
2は、H、C1〜C4アルキル、アリール、アルキルアリール、NHSO24、NHCOR4、NHCO24、NHCOCO24、またはNR45を示し、
3は、H、C1〜C4アルキル、アリール、アルキルアリール、NHSO24、NHCOR4、NHCO24、NHCOCO24、またはNR45を示し、
4は、H、C1〜C4アルキル、アリール、またはアルキルアリールを示し、
5は、H、C1〜C4アルキル、アリール、またはアルキルアリールを示し、
各R6は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、NO2、NR410、C1〜C4アルキル、NH(CH2pCO(CH2qXR2、(CH2pCOXR2、(CH2pXCOR2、(CH2pXR2、(CH2pCOR2、(CH2pSO2XR2、または(CH2pXSO22から選択され、
7は、H、C1〜C4アルキル、アリール、アルキルアリール、SO24、NHSO24、NHCO24、またはNR89を示し、
8は、独立して、H、C1〜C4アルキル、アリール、アルキルアリール、(CH2nCOXR2、または(CH2nXR2を示し、
9は、独立して、H、C1〜C4アルキル、アリール、アルキルアリール、(CH2nCOXR2、(CH2nXR2、(CH2pCOXR2、(CH2pXCOR2、(CH2pXR2、(CH2pCOR2、(CH2pSO2XR2、(CH2pXSO22、または(CH2pSO22を示し、
R10は、H、C1〜C4アルキルR7=H、C1〜C4アルキル、アリール、アルキルアリール、SO2R4、NHSO2R4、NHCO2R4、またはNR8R9を示し、
mは独立して0または1であり、
n=1〜5、
p=0〜5、
q=0〜5、
Xは、OまたはNR3を示し、
Z=OまたはNR7
の置換1,10−フェナントロリン−5,6−ジオンであり得る。
【0094】
式VIIの化合物の環内の窒素は中性であり得る。少なくとも1つのmが1である場合、R1基(第四級塩)に結合する時は窒素は荷電していてもよい。本発明の化合物を、式VIIa、VIIb、およびVIIc:
【0095】
【化22】

から選択することもできる。
【0096】
(1)一般的合成
1,10−フェナントロリンを臭素化してモノ付加物またはジ付加物のいずれかを得ることができる(Boldron et al.,(2001),Synlett,10,1629−1631)。ブロモアレーンを反応させて対応する置換芳香環系を得ることができる。
【0097】
公知の方法を使用して1,10−フェナントロリンを対応する1,10−フェナントロリン−5,6−ジオン(5−9)に容易に酸化することができる(Hiort et al.,(1993),J.Am.Chem.Soc.,115,9,3448− 3454;and Lopez et al.,(1996),Tetrahed.Lett.,37,31,5437−5440)。
【0098】
CH2Cl2中のMeIまたはCF3SO3CH3を使用して、1,10−フェナントロリン(7−1)を対応するフェナントロリニウム塩(7−2)に変換し(Geisler et al.,(2003),Synthesis,8,1215−1220)、その後、対応する1,10−フェナントロリン−5,6−ジオン(7−3)に酸化することができる。
【0099】
【化23】

【0100】
さらに、フェナントロリン7−1中の窒素を、80℃のベンゼン−AcOH中H22で7−4へと酸化し、その後、7−5に酸化することができる。
【0101】
【化24】

【0102】
対応する5−アミノイソキノリン(7−6)(Jastrzebska−Glapa and Mlochowski,(1976),RocznikiChemii,50,5,987−91;およびMarkees,(1983),Helvetica Chimica Acta,66,2,620−6)を、アクロレインと反応させて1,8フェナントロリン7−7を得ることによって式7−8の1,8−フェナントロリン−5,6−ジオンを合成することができる。これを、式7−8の所望の化合物へと容易に酸化することができる。
【0103】
【化25】

【0104】
1,10−フェナントロリン−5,6−ジオン(7−9)を芳香族アミンまたは脂肪族アミンと反応させ、脱水して7−10を得ることができる。強制条件(forcing condition)下で1,10−フェナントロリン−5,6−ジオンを反応性ハロ化合物と反応させて、式VIIの第四級塩を調製することもできる。
【0105】
【化26】

【0106】
h.フェナントレンジオン
本発明の化合物はまた、式:
【0107】
【化27】

【0108】
(式中、
1は、H、NO2、NR56、ハロゲン、シアノ、アルキル、アルキルアリール、カルボニル、カルボキシ、COR2、またはCONR56を示し、
2およびR3は、独立して、H、C1〜C4アルキル、アリール、またはアルキルアリールを示し、
4は、H、C1〜C4アルキル、アリール、アルキルアリール、SO2−R2、NHSO22、NHCOR2、NHCO22、N=CR23、またはNR56を示し、
5は、H、C1〜C4アルキル、アリール、アルキルアリール、(CH2nCOXR2、(CH2nXR2、(CH2nCO(CH2mXR2、SO22、(CH2nCO(CH2nCOXR2、または(CH2nCOR2を示し、
6は、H、C1〜C4アルキル、アリール、アルキルアリール、(CH2nCOX−R2、(CH2nXR2、(CH2nCO(CH2mXR2、SO22、(CH2nCO(CH2nCOXR2、または(CH2nCOR2を示し、
m=0〜3、
n=0〜3、
XはCR23、O、NR4を示す)の置換フェナントレン−9,10−ジオンであり得る。
【0109】
式VIIIの化合物は、式:
【0110】
【化28】

の化合物であり得る。
【0111】
(1)一般的合成
フェナントレン−9,10−ジオンをニトロ化して対応する2−ニトロ−フェナントレン−9,10−ジオンを得ることができ、還元(H2、Pd/C、メタノール)により対応する2−アミノフェナントレン−9,10−ジオンが得られる。このアミンを種々の求核試薬と反応させ、上記生成物を得ることができる(Urbanek et al.,(2001),J Med Chem,44,11,1777−93)。
【0112】
【化29】

【0113】
フェナントレン−9,10−ジオンを芳香族アミンまたは脂肪族アミンと反応させ、脱水して対応するイミノケトン化合物を得ることができる。一般的合成を以下に示す。
【0114】
【化30】

【0115】
i.イサチンについての記述
本発明の化合物はまた、式:
【0116】
【化31】

【0117】
(式中、
1は、H、NO2、NR56、ハロゲン、シアノ、アルキル、アルキルアリール、カルボニル、カルボキシ、COR2、CONR56、SO32、またはSO2NR23を示し、
2およびR3は、独立して、H、C1〜C4アルキル、アリール、またはアルキルアリールを示し、
4は、H、C1〜C4アルキル、アリール、アルキルアリール、SO2−R2、NHSO22、NHCOR2、NHCO22、N=CR23、またはNR56を示し、
5は、H、C1〜C4アルキル、アリール、アルキルアリール、(CH2nCOX−R2、(CH2nX−R2、(CH2nCO(CH2mXR2、SO22、(CH2nCO(CH2nCOXR2、または(CH2nCOR2を示し、
6は、H、C1〜C4アルキル、アリール、アルキルアリール、(CH2nCOX−R2、(CH2nX−R2、(CH2nCO(CH2mXR2、SO22、(CH2nCO(CH2nCOXR2、または(CH2nCOR2を示し、
m=0〜3、
n=0〜3、
XはCR23、O、NR4を示す)のイサチンであり得る。
【0118】
式IXの化合物を、以下:
【0119】
【化32】

から選択することができる。
【0120】
(1)一般的合成
式IXの化合物を、適切な置換アニリンから容易に合成することができる。ヒドロキシルアミンおよび抱水クロラールと共にの古典的Sandmeyer反応によって置換アニリンを中間体イソニトロソアセトアニリドに変換し、その後、濃硫酸中で環化してイサチンを調製することができる。メタ置換アニリンの別経路も公知である(Bramson et al.,(2001),Journal Of Medicinal Chemistry,44,25,4339−4358)。一般的合成を以下に示す。
【0121】
【化33】

【0122】
次いで、置換または非置換イサチン(すなわち、9−1)を、エタノール中のアリールヒドラジンと反応させて、対応するイサチンヒドラゾン(9−2)を得ることができる。あるいは、置換または非置換イサチンを、古典的Wolf Kishner反応条件を使用して対応するオキシインドール9−3に還元することができる。置換または非置換アルデヒドまたはケトンとオキシインドール(9−3)との縮合により、対応するエノン生成物9−4を得ることができる。式9−4の一般的合成を以下に示す。
【0123】
【化34】

【0124】
j.フェナントロール
本発明の化合物はまた、式:
【0125】
【化35】

【0126】
(式中、
1は、H、NO2、NR56、ハロゲン、シアノ、アルキル、アルキルアリール、カルボニル、カルボキシ、COR2、またはCONR56を示し、
2およびR3は、独立して、H、C1〜C4アルキル、アリール、またはアルキルアリールを示し、
4は、H、C1〜C4アルキル、アリール、アルキルアリール、SO2−R2、NHSO22、NHCOR2、NHCO22、N=CR23、またはNR56を示し、
5は、H、C1〜C4アルキル、アリール、アルキルアリール、(CH2nCOXR2、(CH2nX−R2、(CH2nCO(CH2mXR2、SO22、(CH2nCO(CH2nCOXR2、または(CH2nCOR2を示し、
6は、H、C1〜C4アルキル、アリール、アルキルアリール、(CH2nCOX−R2、(CH2nX−R2、(CH2nCO(CH2mXR2、SO22、(CH2nCO(CH2nCOXR2、または(CH2nCOR2を示し、
m=0〜3、
n=0〜3、
XはCR23、O、NR4を示す)の置換フェナントレン−9−オールであり得る。
【0127】
(1)一般的合成
式Xの多数のフェナントロールを、以下の手法を使用して調製することができる。
【0128】
【化36】

【0129】
一般式Xの9−フェナントロールの合成は、市販のフェノールから出発し、アシル化して対応するカルバメートを得ることができ、その後フリース転位を受けてアミド10−1を得ることができる。アミドを対応するトリフレートに変換することができ、これは金属媒介カップリング条件下でのアリールブロミドによる処理により置換ビフェニルアミド10−2を得ることができる。強塩基でのメチルH−の引き抜きおよびその後のアミドへの攻撃により、所望の置換フェナントール(10−3)を得ることができる(Cai,X.et al.Can.J.Chem.(2004),82(2),195−205およびFu,J.M;Snieckus,V.Can.J.Chem.(2000),78(6),905−919)。
【0130】
別のアプローチを、容易に利用可能な置換ビフェニルカルボン酸から開始する(Chatterjea et al.,(1979),Indian Journal of Chemistry,Section B:Organic Chemistry Including Medicinal Chemistry,17B,4,329−32)。
【0131】
【化37】

【0132】
9−ブロモ−3−フェナントロール(10−4)が得られる非置換9−フェナントロールの選択的臭素化も報告されている(Ota and Shintani,(1987),Nippon Kagaku Kaishi,4,762−4)。
k.ナフタレン−1,2−ジオン
本発明の化合物はまた、式:
【0133】
【化38】

【0134】
(式中、
1は、独立して、H、NO2、NR34、ハロゲン、シアノ、アルキル、アルキルアリール、カルボニル、カルボキシ、(CH2nCOXR3、COR2、SO3−R2、SO2N−R34、NHSO2−R3、NHCO23、NHCOR3、NHCOCO22、NR34、またはCONR34から選択され、
2は、H、C1〜C4アルキル、アリール、またはアルキルアリールを示し、
3およびR4は、独立して、H、C1〜C4アルキル、アリール、アルキルアリール、(CH2nCOXR2、(CH2nCO(CH2mXR2、または(CH2nOR2を示し、
m=0〜3、
n=0〜3、
Xは、O、NR2を示す)の置換ナフタレン−1,2−ジオンであり得る。
【0135】
式XIの化合物を、以下から選択することができる。
【0136】
【化39】

【0137】
(1)一般的合成
式XIの化合物を、置換ナフトールを使用し、以下の手法を使用して合成することができる(Ahn et al.,(2002),Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,12,15,1941−1946)。
【0138】
【化40】

【0139】
容易に利用可能なナフタレン−1,2−ジオンをアリールカップリングに供して、11−1を得ることもできる(Urbanek et al.,(2001),JMed Chem,44,11,1777−93)。
【0140】
【化41】

【0141】
式XIAの化合物(リナカンソン(rhinacanthone)天然産物)を、Kongkathip et al.,(2003),Bioorganic & Medicinal Chemistry,11,14,3179−3191に記載の方法を使用して合成することができる。式XIIBの化合物を、置換1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から調製することができる(Kongkathip et al.,(2003),Bioorganic & Medicinal Chemistry,11,14,3179−3191)。
【0142】
l.ナフタレン−1,4−ジオン
本発明の化合物はまた、式:
【0143】
【化42】

【0144】
(式中、
1は、H、NO2、NR34、ハロゲン、シアノ、アルキル、アルキルアリール、カルボニル、カルボキシ、(CH2nCOXR3、COR2、SO32、SO2N−R34、NHSO2−R3、NHCO23、NHCOR3、NHCOCO22、NR34、またはCON−R34を示し、
2は、H、C1〜C4アルキル、アリール、またはアルキルアリールを示し、
3およびR4は、独立して、H、C1〜C4アルキル、アリール、アルキルアリール、(CH2nCOXR2、(CH2nCO(CH2mXR2、または(CH2nOR2を示し、
m=0〜3、
n=0〜3、
Xは、O、NR2を示す)の置換ナフタレン−1,4−ジオンであり得る。
【0145】
(1)一般的合成
標準的な公知の方法を使用して、置換1−ナフトールを、対応するナフタレン−1,4ジオン系に変換することができる(Kongkathip et al.;(2003),Bioorganic & Medicinal Chemistry,11,14,3179−3191)。市販のナフタレン−1,4−ジオンをさらに修飾することもできる。
【0146】
m.バナデート系PTENインヒビター
本発明の化合物はまた、以下から選択されるバナデート系化合物であり得る。
【0147】
【化43】

【0148】
いくつかのバナデートは、タンパク質チロシンホスファターゼ(PTPアーゼ)の可逆的競合インヒビターである(Posner,B.I.;,et al.,J Biol Chem 1994,269,(6),4596−604)。最近、Woscholskiとその共同研究者は、PTENインヒビターとしてのビスペルオキソバナジウム(bpV)その他のバナデート誘導体の使用を記載している。興味深いことに、bpVは、本明細書中に報告されているアッセイ条件を使用したPTENに対する選択的阻害を示していなかった(Schmid,A.C.;Byrne,R.D.;Vilar,R.;Woscholski,R.,FEBS Lett 2004,566,(1−3),35−8.;およびSchmid,A.C.;Woscholski,R.,Biochem Soc Trans 2004,32,(Pt 2),348−9)。
n.T1−ループ結合要素
本発明の化合物はまた、化合物をPTENの触媒的脱リン酸化結合ポケットに物理的に適合させることが可能な構造要素を含み得る。PTENの結晶構造(Jie−Oh Lee et al.,Cell,99:323−334,1999)から、PTENの触媒結合ポケットは、PTP1BおよびVHRなどの他のホスファターゼの結合ポケットよりも幅が広いことが明らかである。結晶構造の調査から、PTENの結合ポケットの余分な幅は、T1ループに起因する(Jie−Oh Lee et al.,Cell,99:323−334,1999)。したがって、このような構造要素を含む化合物は、ホスファターゼ触媒部位中の結合によってPTENを阻害することができ、PTENのT1ループの存在によって利用可能になった空間も占める。
【0149】
PTENの基質(イノシトール−3,4,5−三リン酸)のイノシトール環基の4位および5位(特に、5位)のT1ループ中に存在すると考えられる高い正電荷(PTENが高負電荷リン酸基を受け入れる能力のため)により、本発明の化合物は、生理学的pHにて有意な陰イオン形態で存在する基を含み得る(pH7.4で少なくとも5%の分子種などが陰性に荷電している)。陰イオン性の基は、溶液中でペプチド構造のT1ループにおいてPTENに結合することができる。このような基の代表例を、以下から選択することができる:
【0150】
【化44】

【0151】
式中、
Rは、独立して、H、OH、O−アルキル、アルキル、SH、S−アルキル、NH2、NH−アルキル、N−(アルキル)2から選択され、アルキルは小さなC1〜C4アルキル部分である。破線は、上記の式I〜XIIIに記載の本発明の化合物の式への結合を示す。基を、T1ループ空間を満たす能力について標準的な分子ドッキング手順によりin silicoでさらに評価することができる。
【0152】
このようなT1−ループ結合基を、式I〜XIIIの化合物に組み込むことができる。基の組み込みにより、分子のPTEN阻害に対する分子の選択性が付与され得る。基XIVa〜XIVdの調製は、文献で十分に確立されている。式XIVeの化合物を、Wilson et al.,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,vol 6,No.9,pp1043−1046,1996に開示の方法によって調製することができる。これらの基の本発明の式I〜XIIIへの組み込みは当業者が容易に達成可能な標準的合成方法による。適切な出発材料の簡潔な使用によるこのような組み込みの例は、7−9の上記基を組み込んだものへの変換である。
【0153】
【化45】

【0154】
例えば、示すように、化合物14−1を、強制条件下での四級化(quaternization)によって市販のジオン7−9から調製することができる。示したヨードアセトアルデヒドを、ジメチルアセタールまたはジエチルアセタールなどの等価物としてマスクするか、より安定な市販のクロロアセトアルデヒドまたはクロロアセトアルデヒドジメチルアセタールまたはクロロアセトアルデヒドジエチルアセタールを用いたハロゲン交換(NaI/アセトニトリル)からin situで作製することもできる。アルデヒドの多数の亜リン酸種(アミノホスホン酸が含まれる)への変換は、文献で十分に確立されており、水酸基の還元および塩基性条件下でのモノホスホン酸14−4への切断が含まれる。同様に、アルデヒドのモノホスホン酸およびジホスホン酸ならびにホスホン酸模倣物として作用することができるこれらのエステルへの変換を示す文献も存在する(MS Smyth et al;“A General Method for the Preparation of Benzylic α,α−Difluorophosphonic Acids:Non−Hydrolyzable Mimetics of Phosphotyrosine”;Tetrahedron Letters,vol 33,No.29,pp4137−4140,1992)。さらに、中間体アルデヒド14−1を、種々の条件下(還元およびその後の三塩化リン)でクロロ種14−9に変換し、14−9を水素化ナトリウムを使用して14−10分子から得た求核試薬と反応させて(Wilson et al “Bone Targeted Drugs 2.Identification of Heterocycles with Hydroxyapatite Affinity”,Bioroganic & Medicinal Chemistry Letters,vol 6,No.9,pp1047−1050,1996)14−11のような化合物が得られ、これからメチルエステルを切断してリン酸模倣基を得ることができる。また、14−9を、シアノ基に変換し(KCN求核転移)、アジ化ナトリウムおよび亜鉛塩を使用して、式14−13に示す親油性リン酸模倣基に変換することができる(ZP Demko,KB Sharpless “Preparation of 5−Substituted 1H−Tetrazoles from nitriles in water”;J.Org.Chem.2001,66(24),pp7945−50)。さらに、14−1を還元的に14−6にアミン化し、オキサリルモノ等価物によってアシル化してやはりリン酸模倣物である14−7のようなオキサミド酸が得られるか、スルホニル化して14−8などのスルホンアミドを得ることができる。最後に、中間体シアノ14−12を、強酸性条件下で酸14−13に加水分解し、この酸をヒドロキシルアミンを使用した標準的なカップリング条件によって変換して、14−14などのヒドロキサム酸を得ることができる。
【0155】
3.塩
本発明の化合物は、種々の薬学的に許容可能な塩形態で有用である。用語「薬学的に許容可能な塩」は、薬剤師にとっては明らかな塩形態(すなわち、実質的に無毒であり、所望の薬物動態学的性質、嗜好性、吸収、分配、代謝、または排泄が得られる塩形態)をいう。選択においても重要である、本質的により実用的な他の要因は、得られたバルク製剤の原材料のコスト、結晶化の容易さ、収率、安定性、吸湿性、および流動性である。便宜上、薬学的組成物を、薬学的に許容可能なキャリアと組み合わせて、有効成分またはその薬学的に許容可能な塩から調製することができる。
【0156】
本発明の方法および組成物での使用に適切な化合物の薬学的に許容可能な塩には、種々の有機酸および無機酸(塩酸、ヒドロキシメタンスルホン酸、臭化水素、メタンスルホン酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、マレイン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルファミン酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、パモン酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸(isethonic acid)など)と形成された塩が含まれるがこれらに限定されず、またその他の様々な薬学的に許容可能な塩(例えば、硝酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、およびサリチル酸塩など)が含まれる。第四級アンモニウムイオンなどの陽イオンは、陰イオン部分の薬学的に許容可能な対イオンとして考えられる。
【0157】
本発明の化合物の塩には、塩酸塩、メタンスルホン酸塩、およびトリフルオロ酢酸塩が含まれ、メタンスルホン酸塩がより好ましい。さらに、化合物の薬学的に許容可能な塩を、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム、およびリチウムなど)アルカリ土類金属(カルシウムおよびマグネシウムなど)、有機塩基(ジシクロヘキシルアミン、トリブチルアミン、およびピリジンなど)、およびアミノ酸(アルギニンおよびリジンなど)を使用して形成することができる。
【0158】
薬学的に許容可能な塩を、従来の化学的方法によって合成することができる。一般に、適切な溶媒または溶媒の組み合わせ中で、遊離塩基または遊離酸と、化学量論的量または過剰量の、所望の塩を形成する無機または有機の酸または塩基とを反応させることによって塩を調製する。
【0159】
一般に、化合物の塩の対イオンを、化合物の合成のために使用する反応物によって決定する。反応物質に依存して、塩の対イオンの混合物が存在し得る。例えば、反応促進のためにNaIを添加した場合、対イオンは、Cl対陰イオンとI対陰イオンとの混合物であり得る。さらに、分取HPLCにより、溶離物中に酢酸が存在する場合、元の対イオンを酢酸陰イオンに交換することができる。塩の対イオンを、異なる対イオンと交換することができる。対イオンを、好ましくは、薬学的に許容可能な対イオンと交換して上記の塩を形成する。対イオンの交換手順は、WO2002/042265、WO2002/042276、およびS.D.Clas,“Quatemized Colestipol,an improved bile salt adsorbent:In Vitro studies.”Journal of Pharmaceutical Sciences,80(2):128−131(1991)(その内容は本明細書中に参照により援用される)に記載されている。明快さのために、対イオンは、本明細書中の化学構造中にははっきりとは示さない。さらに、カルボン酸およびリン酸などの普通の荷電基を、プロドラッグ様式でそのエステル対応物として使用することができ、この場合エステルがin vivoで切断されて活性なPTENインヒビターを生成する。
【0160】
4.組成物
本発明はまた、1つまたは複数の本発明の化合物を含む組成物に関する。組成物は、さらに、ミョウバン、安定剤、抗菌薬、緩衝液、着色料、香味物質、およびアジュバントなどの1つまたは複数の薬学的に許容可能な成分を含み得る。
【0161】
a.処方
組成物は、従来の様式で処方された錠剤またはロゼンジの形態であり得る。例えば、経口投与のための錠剤およびカプセルは、従来の賦形剤(結合剤、充填剤、潤滑剤、崩壊剤、および湿潤剤が含まれるが、これらに限定されない)を含み得る。結合剤には、シロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、デンプン糊、およびポリビニルピロリドンが含まれるが、これらに限定されない。充填剤には、ラクトース、糖、微結晶性セルロース、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、およびソルビトールが含まれるが、これらに限定されない。潤滑剤には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコール、およびシリカが含まれるが、これらに限定されない。崩壊剤には、ジャガイモデンプンおよびデンプングリコール酸ナトリウムが含まれるが、これらに限定されない。湿潤剤には、ラウリル硫酸ナトリウムが含まれるが、これらに限定されない。当該分野で周知の方法にしたがって、錠剤をコーティングすることができる。
【0162】
組成物はまた、液体処方物(水性または油性の懸濁液、溶液、乳化液、シロップ、およびエリキシルが含まれるが、これらに限定されない)であり得る。組成物を、使用前に水または他の適切な溶剤で構成するための乾燥生成物として処方することもできる。このような液体調製物は、添加物(懸濁剤、乳化剤、非水性溶剤、および防腐剤が含まれるが、これらに限定されない)を含み得る。懸濁剤には、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、グルコース/シュガーシロップ、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アンモニウムゲル、および水素化食用脂が含まれるが、これらに限定されない。乳化剤には、レシチン、ソルビタンモノオレイン酸、およびアカシアが含まれるが、これらに限定されない。非水性溶剤には、食用油、アーモンド油、分留ココナッツ油、油性エステル、プロピレングリコール、およびエチルアルコールが含まれるが、これらに限定されない。防腐剤には、メチルp−ヒドロキシベンゾエートまたはプロピルp−ヒドロキシベンゾエート、およびソルビン酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0163】
組成物を、座剤として処方することもでき、座剤は、座剤の基剤(ココアバターまたはグリセリドが含まれるが、これらに限定されない)を含み得る。本発明の組成物を、吸入のために処方することができ、乾燥粉末として投与することができる溶液、懸濁液、もしくは乳濁液の形態またはジクロロフルオロメタンもしくはトリクロロフルオロメタンなどの噴射剤を使用したエアゾールの形態であり得るがこれらに限定されない。本発明の組成物を、水性または非水性の溶剤(クリーム、軟膏、ローション、ペースト、薬用硬膏、パッチ、または膜が含まれるが、これらに限定されない)を含む経皮処方物を処方することもできる。
【0164】
組成物を、非経口投与(注射または持続注入が含まれるが、これらに限定されない)のために処方することもできる。注射用処方物は、油性または水性溶剤中の懸濁液、溶液、またはクリームの形態であってよく、処方剤(懸濁剤、安定剤、および分散剤が含まれるが、これらに限定されない)を含み得る。組成物を、適切な溶剤(滅菌水、無ピロゲン水が含まれるが、これらに限定されない)による再構成のための粉末形態で得ることもできる。
【0165】
組成物を、移植または筋肉内注射によって投与することができるデポー調製物として処方することもできる。組成物を、適切な高分子材料または疎水性材料(例えば、許容可能なオイル中の乳濁液として)、イオン交換樹脂を使用して処方するか、難溶性誘導体として(例えば、難溶性の塩として)処方することができる。
【0166】
組成物を、リポソーム調製物として処方することもできる。リポソーム調製物は、目的の細胞または角質層を透過して細胞膜と融合し、それにより、リポソームの内容物が細胞に送達されるリポソームを含み得る。例えば、Yaroshの米国特許第5,077,211号、Redziniak et al.の米国特許第4,621,023号、またはRedziniak et al.の米国特許第4,508,703号などに記載のリポソームを使用することができる。皮膚条件に対処することを意図する組成物を、UVまたは酸化的損傷を引き起こす薬剤への哺乳動物皮膚の曝露前、曝露中、または曝露後に投与することができる。他の適切な処方物は、ニオソームを使用することができる。ニオソームはリポソームに類似する脂質小胞であって、大部分が非イオン性脂質からなる膜を有し、そのいくつかの形態は角質層を通過する化合物の輸送に有効である。
【0167】
組成物を、任意の様式(経口、非経口、舌下、経皮、直腸、経粘膜、局所、吸入、口腔への投与、またはこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない)で投与することができる。非経口投与には、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、鞘内、および関節内が含まれるが、これらに限定されない。化合物を、他の治療薬と同時にまたは周期的に投与することができる。本明細書中で使用される、用語「同時」または「同時に」は、他の治療薬および本発明の化合物を互いに48時間以内、好ましくは24時間以内、より好ましくは12時間以内、さらにより好ましくは6時間以内、最も好ましくは3時間またはそれ未満の間隔で投与することを意味する。本明細書中で使用される、用語「周期的に」は、本発明の化合物を他の治療薬とは異なる時間に、および他の治療薬の反復投与に対して一定の頻度で投与することを意味する。
【0168】
5.治療
本発明はまた、PTEN活性に関連する容態を罹患した患者を治療する方法に関する。PTEN活性は、正常、異常、過剰、または構成的活性であり得る。PTEN活性の阻害により、血管形成などの活性を促進することができる。
【0169】
ストレスによってPTEN活性を誘導することもできる。PTEN活性の阻害により、心筋細胞、神経細胞、および骨髄細胞などの正常細胞を、細胞ストレスに起因するアポトーシスから保護することができる。細胞ストレスは、例えば、高熱、低酸素症、または癌治療、心臓切開手術、外科手術一般、浸潤性心血管処置、および全身麻酔などの医学的処置に起因し得る。処置に対し、PTENインヒビターを手順前、手順中、手順後、またはその組み合わせで投与することができる。一旦細胞が保護または修復されると、PTEN活性を、PTENインヒビター投与の停止によって正常レベルまで修復することができる。
【0170】
本発明はまた、心臓発作を罹患した患者を治療することに関する。PTENインヒビターを、心臓発作を罹患した患者または心臓発作を罹患しているリスクのある患者に投与することができる。PTEN活性の抑制により、ストレスを受けた心臓細胞(低酸素症を罹患した心臓細胞が含まれる)のアポトーシスを防止することができる。さらに、PTEN活性の減少は、in vivoでの(例えば、罹患心臓または損傷心臓)新規の血管の成長を促進しうる。
【0171】
本発明はまた、放射線療法または化学療法を受けている患者の治療に関する。PTENインヒビターを、癌治療を受けている患者に投与することができる。PTEN活性の抑制により、造血系(免疫系が含まれる)、消化管上皮、および毛包などの感受性組織をアポトーシスから保護することができる。事故またはテロリストの活動によって電離放射線または薬物中毒に曝露された軍人または市民などの動物およびヒトを保護するためにPTENインヒビターを投与することができる。癌を治療する場合、本発明の化合物を、細胞傷害薬、細胞増殖抑制薬、またはこれらの組み合わせなどの化学療法と組み合わせて投与することができる。細胞傷害薬は、(1)DNAを複製する細胞の能力の妨害および(2)癌細胞の細胞死および/またはアポトーシスの誘導によって細胞の増殖を防止する。細胞増殖抑制薬は、時折低レベルを保って、細胞増殖を調節する細胞シグナル伝達過程の調整、妨害、または阻害を介して作用する。
【0172】
細胞傷害薬として使用することができる化合物クラスには、以下が含まれる:アルキル化剤(ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、アルキルスルホネート、ニトロソ尿素、およびトリアゼンが含まれるが、これらに限定されない):ウラシルマスタード、クロロメチン、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標))、イフォスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ピポブロマン、トリエチレン−メラミン、トリエチレンチオホスホラミン、ブスルファン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ダカルバジン、およびテモゾロマイド;代謝拮抗剤(葉酸アンタゴニスト、ピリミジンアナログ、プリンアナログ、およびアデノシンデアミナーゼインヒビターが含まれるが、これらに限定されない):メトトレキセート、5−フルオロウラシル、フロキシウリジン、シタラビン、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、リン酸フルダラビン、ペントスタチン、およびゲムシタラビン;天然産物およびその誘導体(例えば、ビンカアルカロイド、抗腫瘍抗生物質、酵素、リンホカイン、およびエピポドフィロトキシン):ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ara−c、パクリタキセル(パクリタキセルは、Taxol(登録商標)として市販されている)、ミトラマイシン、デオキシコ−ホルマイシン、マイトマイシン−c、l−アスパラギナーゼ、インターフェロン(好ましくは、IFN−α)、エトポシド、およびテニポシド。
【0173】
他の増殖性細胞傷害薬は、ナベルベン(navelbene)、CPT−11、アナスタゾール、レトラゾール、カペシタビン、レロキサフィン(reloxafine)、シクロホスファミド、イフォスファミド、およびドロロキサフィン(doroloxafine)である。
【0174】
微小管作用薬(microtubule affecting agent)は、細胞有糸分裂を妨害し、その細胞傷害活性が当該分野で周知である。本発明で有用な微小管作用薬には、アロコルヒチン(NSC 406042)、ハリコンドリンB(NSC 609395)、コルヒチン(NSC 757)、コルヒチン誘導体(例えば、NSC 33410)、ドラスタチン10(NSC 376128)、メイタンシン(NSC 153858)、リゾキシン(NSC 332598)、パクリタキセル(Taxol(登録商標)、NSC 125973)、Taxol(登録商標)誘導体(例えば、誘導体(例えば、NSC 608832)、チオコルヒチンNSC 361792)、トリチルシステイン(NSC 83265)、硫酸ビンブラスチン(NSC 49842)、硫酸ビンクリスチン(NSC 67574)、天然および合成のエポチロン(エポチロンA、エポチロンB、ディスコデルモライド(Service,(1996)Science,274:2009を参照のこと)が含まれるが、これらに限定されない)、エストラムスチン、ノコダゾール、ならびにMAP4などが含まれるが、これらに限定されない。このような薬剤の例は、Bulinski(1997)J.Cell Sci.110:3055 3064;Panda(1997)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:10560−10564;Muhlradt(1997)Cancer Res.57:3344−3346;Nicolaou(1997)Nature 387:268−272;Vasquez(1997)Mol.Biol.Cell.8:973−985;およびPanda(1996)J.Biol.Chem 271:29807−29812にも記載されている。
【0175】
エピポドフィロトキシン、抗新生物酵素、トポイソメラーゼインヒビター、プロカルバジン、ミトキサントロン、シスプラチンおよびカルボプラチンなどの白金配位錯体、生物学的応答調節物質、成長インヒビター、抗ホルモン治療薬、ロイコボリン、テガフル、および造血成長因子などの細胞傷害薬も適切である。
【0176】
使用することができる細胞増殖抑制薬には、ホルモンおよびステロイド(合成アナログが含まれる):17−α−エチニルエストラジオール、ジエチルスチルベストロール、テストステロン、プレドニゾン、フルオキシメステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、テストラクトン、メゲストロールアセテート(megestrolacetate)、メチルプレドニゾロン、メチル−テストステロン、プレドニゾロン、トリアムシノロン、クロロトリアニセン(hlorotrianisene)、ヒドロキシプロゲステロン、アミノグルテチミド、エストラムスチン、メドロキシプロゲステロンアセテート、ロイプロリド、フルタミド、トレミフェン、ゾラデックスが含まれるが、これらに限定されない。
【0177】
他の細胞増殖抑制薬は、マトリックスメタロプロテイナーゼインヒビターおよび抗VEGF抗体などの他のVEGFインヒビターなどの抗血管形成薬であり、ZD6474およびSU6668などの小分子も含まれる。Genetechの抗Her2抗体も使用することができる。適切なEGFRインヒビターは、EKB−569(不可逆的インヒビター)である。EGFRに免疫特異的なImcloneの抗体C225およびsrcインヒビターも含まれる。
【0178】
アンドロゲン依存性癌腫を非増殖性にするCasodex(登録商標)(ビカルタミド、Astra Zeneca)も細胞増殖抑制薬としての使用に適切である。細胞増殖抑制薬のさらに別の例は、エストロゲン依存性乳癌の増殖または成長を阻害する抗エストロゲンTamoxifen(登録商標)である。細胞増殖シグナルの形質導入のインヒビターは細胞増殖抑制薬である。代表例には、上皮成長因子インヒビター、Her−2インヒビター、MEK−1キナーゼインヒビター、MAPKキナーゼインヒビター、PI3キナーゼインヒビター、Srcキナーゼインヒビター、およびPDGFインヒビターが含まれる。
【0179】
本発明によれば以下の種々の癌(膀胱癌(進行性および転移性膀胱癌が含まれる)、乳癌、結腸癌(結腸直腸癌が含まれる)、腎臓癌、肝臓癌、肺癌(小細胞性肺癌、非小細胞性肺癌、および肺腺癌が含まれる)、卵巣癌、前立腺癌、精巣癌、尿生殖路癌、リンパ系の癌、直腸癌、咽頭癌、膵臓癌(膵臓外分泌部の癌腫が含まれる)、食道癌、胃癌、胆嚢癌、頸癌、甲状腺癌、および皮膚癌(扁平上皮癌が含まれる)が含まれる癌腫、白血病、急性リンパ球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛様細胞リンパ腫、組織球性リンパ腫、およびバーキットリンパ腫が含まれるリンパ系の造血器腫瘍、急性および慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、骨髄性白血病、および骨芽急性白血病が含まれる骨髄細胞系列の造血器腫瘍、星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、および神経鞘腫が含まれる中枢神経系および末梢神経系の腫瘍、線維肉腫、横紋筋肉腫、および骨肉腫が含まれる間葉起源の腫瘍、黒色腫、色素性乾皮症(xenoderma pigmentosum)、角化棘細胞腫、精上皮腫、甲状腺濾胞癌、および奇形癌が含まれる他の腫瘍が含まれるが、これらに限定されない)を治療することができる。
【0180】
本発明はまた、PI3キナーゼ経路のインヒビターに対して癌細胞の感度を高めるためのPTENインヒビターの使用に関する。PTENインヒビターを、PI3キナーゼ媒介性シグナル(p−AKTおよびmTORなどの下流シグナルが含まれるが、これらに限定されない)に癌細胞をより依存させるのに十分な期間投与することができる。一旦PTENインヒビターの投与が中断されると、癌細胞は、PI3キナーゼ経路における破壊あるいは変化を受ける。PI3キナーゼ経路の破壊は、経路のいずれでも(上流成長因子受容体が含まれる)起こり得る。理論に拘束されないが、癌細胞は、得られた死滅促進シグナル条件を十分に迅速に調整することができずに死ぬか、生存促進シグナル条件が少なくとも破壊され得る。
【0181】
本発明はまた、癌「幹細胞」を刺激し、それにより承認された治療およびPI3キナーゼ経路インヒビターなどを使用した現在開発中の治療に対する感度をより高める状態にするためのPTENインヒビターの使用に関する。癌幹細胞が静止期にあり化学療法および放射線療法に耐性を示すため、癌幹細胞は癌が治療に抵抗性である根拠であると考えられている。癌幹細胞に関するさらなる考察については、Dean,M.,Fojo,T.,and Bates,S.“Tumour Stem Cells and Drug Resistance”;Nature Reviews:Cancer,volume 5,April 2005 p276−284を参照のこと。
【0182】
本発明はまた、ニューロン再生におけるEPO活性の再生または増強に関する。Mucke HAM,Neuroprotection and Neuroregeneration − Annual Global Conference,Innsbruck,Austria,Investigational Drug Database MEETING REPORT 2005,March 7−9,Thomson Scientificに考察されているように、PI3K/Akt経路は、反アポトーシス性で再生を増強するEPO作用に関与する。本発明により、免疫の増大のためにPTENを阻害するための小分子で患者を処置し、脳血管損傷およびグラム陰性菌敗血症におけるアポトーシスを防止し、細胞老化を阻害することができる(米国特許出願公開US2002/0150954号)(本明細書中で参考として援用される))。
【0183】
本発明は、以下の非限定的な実施例によって例証される複数の態様を有する。
【実施例1】
【0184】
一般的なHPLC法A
Shimadzu LCMS−2010によって流速3ml/分および出発B濃度5%でHPLC分析を行った。溶媒Bを、5.0分時点で95%になる直線勾配にし、95%で6.0分間時点まで保持し、6.5分間時点で5%となるよう直線勾配で減少させ、7.5分で運転を終了するまで保持した。質量検出に加えて、LC検出は、以下の3チャネルからなる:254nmでのUV吸収、214nmでのUV吸収、および蒸発光散乱(Alltech ELSD 2000)。蒸発光散乱検出器を、1.5L/分の窒素流を使用して50℃で運転した。Shimadzu LCMS−2010のCDLおよびブロック温度は共に300℃であり、窒素ネブライザーのガス流は4.5L/分であった。正および負のマススペクトルを、50〜2000m/zから検出した。カラムは、YMC CombiScreen ODS−AQ、粒子サイズS−5μ、長さ50mm、内径4.6mmであった。移動相Aを、0.1%(v/v)HOAcを添加したHPLC用B&J水を使用して作製し、移動相Bは、0.1%(v/v)HOAcを添加したHPLC用B&Jアセトニトリルであった。このシステムでは、参照用標準として使用した標準的な市販の物質(4−ヒドロキシフェニル酢酸:Aldrich Catalog H5000−4; 融点149−151℃)の保持時間は1.50〜1.60分である。
【実施例2】
【0185】
一般的な分取HPLC法
SIL−10Aオートサンプラーに接続した2つのLC−8Aポンプから構成され、逆相カラム(YMC,cat CCAQSOS052OWT;ODS−AQ CombiPrep,20mm×50mm)で溶離し、その後にMRA容量可変スプリッターを通過させる勾配分取HPLCをShimadzuシステム上で行い、LC−10ADVP補給水ポンプ(MeOH)を使用して3mL/分までのより小さな流れをつくり、溶離物を可変2チャネル波長UV検出器に通過させ、蒸発光散乱検出器(1.5L/分の窒素流を使用して50℃で運転)およびShimadzu2010質量分析器におよそ6:1に分割し、MRAスプリッターからのより大きな流れを、質量、UV吸収、またはELSピークサイズによって始動するフラクションコレクターとしての機能を果たすGilson215液体ハンドラーに流入させた。
【0186】
より水の多い溶媒Aから開始し、種々の濃度までのBにする異なる勾配で運転した。移動相Aを、0.1%(v/v)HOAcを添加したHPLC用B&J水を使用して作製し、移動相Bは、0.1%(v/v)HOAcを添加したHPLC用B&Jアセトニトリルであった。
【実施例3】
【0187】
PTEN阻害アッセイ:一般的スクリーニング
PTENタンパク質は、ホスファチジルイノシトール3,4,5−三リン酸などのイノシトールリン脂質のD−3位を脱リン酸化し、ポリグルタミン−チロシンペプチド(EEEEYp)nの残基上のリン酸基を除去することができるホスファターゼである。PTEN脱リン酸化反応の生成物である遊離リン酸を、市販のマラカイトグリーン溶液(Upstate)を使用した比色反応によって検出することができる。PTENインヒビターを、2mMジチオスレイトール(DTT)、0.1mMTris緩衝液(pH8.0)、および3μgまでのPTENの全タンパク質を含むウェルあたり25μl総体積で、半容積96ウェルプレートで行った阻害アッセイで評価した。少容量の試験インヒビター候補(DMSO中の25mMストック濃縮溶液)を、PTEN溶液と室温で約10分間混合し、基質を添加した。反応混合物を、37℃で20分間インキュベートした。この次に、100μl分のマラカイトグリーン緩衝液(Upstate,Charlottesville,VA)を添加し、暗所にて室温で発色させた(この溶液は脱リン酸化反応も停止させた)。SpectraMax Plus分光光度プレートリーダー(Molecular Devices,Sunnydale,CA)を使用して、650nmでの光学濃度を測定した。インヒビター候補の初期スクリーニング濃度は250μMであり、非インヒビターコントロール群と比較して50%を超える阻害を示す候補を、IC50値を決定するためにさらに評価した。PTENタンパク質を、文献に記載の方法によって調製することもできる(すなわち、遺伝子再構成グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)−PTEN融合タンパク質を発現する細菌の細胞抽出物から;GST−PTENを含む細胞抽出物をグルタチオンSepharose4Bゲル(Amersham,Piscataway,NJ)に結合させて精製する)。PTENはまた商業的供給源から調達できる。
【0188】
PTENの反応基質であるPIP3リン脂質ベシクル(PLV)を、最終反応混合物中で約50μMで使用した(成分濃度に基づく)。文献に記載の方法(Upstate product manual:www.upstate.com/img/coa;Maehama T,Taylor GS,Slama JT and Dixon JE;2000,Analytical Biochemistry 279,248−250)に基づいてPLVを作製した。合成リン脂質ブレンドDOPC/DOPS(Avantilipids,Alabaster,AL)の存在下での超音波処理によって1,2ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホ−1−D−ミオ−イノシトール−3,4,5−トリスリン酸(Biomol,Plymouth Meeting,PA)からPLVを調製した。別のPTEN反応基質(水溶性PIP3 Echelon Biosciences,Salt Lake City,UT)を、100μMの作用濃度で使用した。第3の使用PTEN基質は、(EEEEYp)n(式中、n=2または3)(Biofacilities of Indiana University,Indianapolis,IN)と呼ばれるリン酸化ポリグルタミン−チロシンペプチドであった。リン酸化チロシン基質の作用濃度は200μMであった。アッセイを複数の状況で行い、阻害率がわずかに異なった場合、阻害を見いだされた阻害範囲として報告する。
【実施例4】
【0189】
PTEN阻害アッセイ:IC50の決定
潜在的PTENインヒビターの用量応答を決定するために、1nM〜250μM(最終反応混合物濃度)の範囲の試験化合物の用量を、一般的なPTEN阻害アッセイで評価した。実施したIC50データを得るために、2つの異なる用量応答アッセイラウンドを実施した。第1ラウンドでは、1nm〜250μMの範囲の10倍希釈系列でのインヒビターの存在下でPTEN活性を試験した。一旦、PTEN活性が劇的に変化する濃度範囲が決定されると、この範囲内の2つのさらなる濃度データポイントを加え、その後、第2ラウンドのPTEN阻害アッセイを再度実施した。50%のPTEN活性(リン酸塩生成によって測定し、非阻害コントロールサンプルと比較する)が見出されたインヒビター濃度としてPTEN阻害(IC50)を示す。Prismソフトウェア(GraphPad Software,San Diego,CA)を使用して、データからIC50を決定した。アッセイを複数の状況で行い、IC50がわずかに異なった場合、IC50を見いだされたIC50範囲として報告する。
【実施例5】
【0190】
PTP1Bの一般的な阻害アッセイ
タンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP1B)は、ポリペプチド(EEEEYp)nおよびp−ニトロフェニルリン酸(pNPP)を脱リン酸化する。PTP1B脱リン酸化反応の生成物である遊離リン酸を、マラカイトによって検出した(市販のマラカイトグリーン溶液(Upstate)での比色反応によって検出した)。2mMジチオスレイトール(DTT)および0.1mM Tris緩衝液(pH8.0)を含む25μlの総体積で半容積96ウェルプレートでPTP1B阻害アッセイを行った。インヒビター候補を、PTP1B(Upstate,Charlottesville,VA)と室温で10分間反応させ、基質を添加し、反応混合物を、37℃で20分間インキュベートした。100μlのマラカイトグリーン緩衝液(Upstate,Charlottesville,VA)を添加し、暗所にて室温で発色させた。SpectraMax Plus分光光度プレートリーダー(Molecular Devices,Sunnydale,CA)を使用して、650nmでの光学濃度を測定した。潜在的PTP1Bインヒビタースクリーニングは、250μMのインヒビター濃度を使用したこのPTP1B阻害アッセイに基づいていた。非インヒビターコントロールと比較して50%を超えた化合物を、用量応答およびIC50の決定のためにさらに評価した。反応基質であるポリグルタミンチロシンポリペプチド((EEEEYp)n)(式中、n=2または3)(Biofacilities of Indiana University,Indianapolis,IN)またはpNPP,(Aldrich,Milwaukee,WI)を使用した。
【実施例6】
【0191】
PTP1B阻害アッセイ:IC50の決定
潜在的PTP1Bインヒビターの用量応答を決定するために、1nM〜250μM(最終反応混合物濃度)の範囲の試験化合物の用量を、一般的なPTP1B阻害アッセイで評価した。正確なIC50データを得るために、2つの異なる用量応答アッセイラウンドを実施した。第1ラウンドでは、1nm〜250μMの範囲の10倍希釈系列でのインヒビターの存在下でPTP1B活性を試験した。一旦、PTEN活性が劇的に変化する濃度範囲が決定されると、この範囲内の2つのさらなる濃度データポイントを加え、その後、第2ラウンドでPTP1B阻害アッセイを再度実施した。50%のPTP1B活性(リン酸塩生成によって測定し、非阻害コントロールサンプルと比較する)が見出されたインヒビター濃度としてPTP1B阻害(IC50)を示す。Prismソフトウェア(GraphPad Software,San Diego,CA)を使用して、データからIC50を決定した。
【実施例7】
【0192】
一般的なMTT細胞傷害アッセイ
MTT(ジメチルチアゾール−ジフェニル−テトラゾリウムブロミド、Alodrich,Milwaukee,WI)取り込みを使用して、ヒト脳内皮細胞(HBEC)、マウス胚線維芽細胞(MEF)、およびマウス線維芽細胞NIH3T3細胞に及ぼすPTENインヒビター候補の毒作用を評価した。アッセイを96ウェルプレートで行った。細胞処置1日前に、5000個の細胞を、完全血清培地(10%ウシ胎児血清)中または血清枯渇条件下(1%ウシ胎児血清培地)で各ウェルに播種した。ウシ胎児血清(FBS)は、Invitrogen,Carlsbad,CAから入手した。次いで、プレートを、5%CO2下にて37℃で一晩インキュベートした。次いで、細胞を、1pM〜1mMの範囲の用量の試験PTENインヒビターで処置した(試験溶液は、完全血清培地または血清枯渇培地を含む)。次いで、細胞を、5%CO2下にて37℃で24時間インキュベートした。次いで、培地を吸引し、接着細胞を、200μl/ウェルの0.5mg/ml MTTの37℃で4時間の添加によって染色した。次いで、MTT溶液を吸引し、各ウェルを、150μL/ウェルのジメチルスルホキシド(DMSO)で処置して細胞結合MTT染色物を溶解した。SpectraMax Plus分光光度プレートリーダー(Molecular Devices,Sunnydale,CA)を使用して、570nmでの各ウェルの光学濃度を測定した。各インヒビターのIC50を、最も高い光学濃度(OD570nm)の50%が観察された濃度(50%の細胞が生存していることを示す)として示す。Prismソフトウェア(GraphPad Software,San Diego,CA)を使用して、データからIC50を決定した。
【実施例8】
【0193】
毒性決定のためのMTTアッセイ
潜在的PTENインヒビター(SF1720、SF1773、SF1777、SF1670、SF1674、およびSF1770)の細胞毒性を、ヒト脳内皮細胞(HBEC)、ヒト前立腺癌細胞(PC−3)、およびヒト非小細胞肺癌細胞(H1299)を含む3つの細胞系列においてMTTアッセイを使用して試験した。細胞を、10%FBSを補充したRPMI1640培地に10,000〜20,000/100μl/ウェルで96ウェルプレートにプレートし、5%CO2の雰囲気を含むインキュベーターにて37℃にて一晩インキュベートした。翌日、培地を交換し、100μLの無血清培地中に3時間置くことによって細胞を飢餓させた。希釈系列試験化合物をウェルに添加し、細胞と共に37℃で2時間インキュベートした。化合物を、溶解性に依存して、1mM〜0.1nMの範囲で試験した。MTTを最終濃度5μg/mlでウェルに添加し、細胞と共にさらに3時間インキュベートした。インキュベーションの最後に、培地を吸引し、細胞中のMTT染色物を100μlのDMSOの添加によって溶解した。SpectraMax Plus分光光度プレートリーダー(Molecular Devices,Sunnydale,CA)を使用して、570nmでの各ウェルの光学濃度を測定した。Prismソフトウェア(GraphPad Software,San Diego,CA)を使用して、データからIC50を決定した。以下の表は、このやり方で試験されたPTENインヒビターのIC50(μM)を示す。
【0194】
【表1】

【0195】
これらの結果は、いくつかのPTENインヒビターは広い治療濃度域を有し、細胞に悪影響を及ぼすのに必要な化合物の濃度がPTENのホスファターゼ活性の50%の阻害に必要な濃度よりはるかに高いことを示す。
【実施例9】
【0196】
in vitro大動脈輪血管形成アッセイ
PTENインヒビターが血管形成過程を刺激する能力を、このマウス大動脈輪血管形成モデルを使用してin vitroで試験した(Burbridge MF et al,Rat Aortic Ring:3D model of Angiogenesis in Vitro.Page185,in Angiogenesis Protocols,Edited by J.Clifford Murray,2000)。ヌードマウスから胸大動脈を採取し、立体顕微鏡下で1〜1.5mmの輪に切断した。大動脈輪を無血清DMEM培地で3回リンスし、96ウェルプレート中の100μlのMatrigelパッド上に置いた(ウェルあたり1輪)。50μlの無血清培地のみ(コントロールとして)、5μMのPTENインヒビター(試験溶液)を含む培地、または40μMのLY294002を含む培地を、輪の上へとウェルに添加した。部分的にマトリゲルに埋めこまれ、且つ上部の溶液に曝露された輪を、インキュベーターにて37℃で5日間インキュベートした。次いで、マトリゲルに埋めこまれた輪を、40倍の光学顕微鏡下で観察し、輪からの直接的な「幹」の成長数および「幹」から突出した付属物である「枝」の数を数えた。以下の表に示した幹および枝の総数の範囲は、2つの異なる実験の2連の処置の平均であり、負のコントロール(試験化合物なし)と比較して正規化している。LY29002は、抗血管形成効果を有すると文献で報告されているので、さらなる負のコントロールとして使用した。これらの結果は、PTENインヒビターが血管形成過程を刺激することができることを明確に示す。
【0197】
【表2】

【実施例10】
【0198】
一般的な移動アッセイ
PTENインヒビターの存在下または非存在下で、MEF(MEF PTENヌル)のPTEN遺伝子ノックアウトと共に、神経膠腫細胞U87MG(PTENヌル)、PTENを有する神経膠腫細胞(遺伝子再構成U87MG/PTEN)(Su et al.,Cancer Research 2003,Vol.63,pps.3585−3592)、マウス胚線維芽細胞MEF(天然にPTENを含む=PTEN野生型=wt)の移動能力を試験するために、孔サイズが8μmのCostarトランスウェル(CorningCostar,Cambridge,MA)を使用して移動アッセイを行った。細胞添加前に、トランスウェルの上部カップの下側に10μg/mlのビトロネクチン(BD Biosciences,Bedford,MA)でコーティングし、37℃で1時間インキュベートした。細胞を、一晩予め血清枯渇させた(無血清培地を使用)。接着細胞を、トリプシン−EDTA(Invitrogen,Carlsbad,CA)でトリプシン処理し、カップあたり200万個の細胞を、トランスウェルのビトロネクチンコーティングした上部カップに添加した。次いで、種々の用量のPTENインヒビターを含む600μlの無血清培地を、トランスウェルの下の各室に添加した。次いで、トランスウェル全体を、5%CO2雰囲気中にて37℃で4時間インキュベートした。次いで、トランスウェルの上部カップ(膜の両側)を、1mg/mlのクリスタルバイオレット、50mMホウ酸、15mMボレックス(全てAldrich,Milwaukee,WIの試薬)にて室温で一晩染色した。カップを水でリンスし、カップの上側を綿棒で拭き取り、トランスウェルカップの下側の染色細胞数を顕微鏡下で計数した。いくつかの実験を2連で行った。それぞれの染色されたトランスウェルカップの下部を、顕微鏡下の5つの無作為な観察によって試験した。各移動データポイントは平均移動数を得るために、標準偏差(Stdev)と共に10の値に由来する。次いで、これらの数をインヒビター数の濃度「0」と比較し、0.05以下のp値で示される統計的有意性に到達した、。
【0199】
【表3】

【0200】
【表4】

【0201】
PTENが遺伝的に抑制され、変異され、あるいは存在しないことにより、PTENヌル細胞は高度に移動する細胞を生み出す。PTEN含有細胞は、細胞ビトロネクチン媒介性移動を調節する上での活性PTENの影響によってその移動傾向がはるかに低い。(インヒビターの濃度「0」は基本移動データであることに留意のこと)。全ての場合、PTENインヒビターは、PTEN保有細胞の移動度を増加させ、これは、これらの細胞中のPTENの細胞内阻害と一致し、遺伝子が不活性なPTENを有する細胞にむしろ近い挙動を示す。
【0202】
U87MG神経膠腫細胞を使用した以下の類似の結果は、移動表現型の誘導のための至適PTENインヒビター濃度が存在し、両方の場合(SF1670およびSF1740)、30nMで最大の移動誘導が起こったことを示す。より高濃度のインヒビターはコントロールと比較して統計的に有意ではなく、30nM近辺での最大の生物学的有効性がさらに支持された。予想されたとおり、インヒビターはPTENヌル細胞に対して有意な効果を示さなかったことに留意すべきである。
【0203】
【表5】

【実施例11】
【0204】
一般的創傷治癒アッセイ
創傷治癒アッセイを使用して、細胞の先端が外側に移動する速度を決定した。複数の6cmの組織培養皿を使用して、培地にPTENインヒビターを添加してあるいはしないで治癒速度を試験した。細字のSharpieマーカーを使用して6つの水平方向の線および1つの交差する垂直方向の線を、6cmの各組織培養皿の底に描いた。200万個のHBEC(ヒト脳内皮細胞)を、それぞれの印をつけた皿にプレートした。プレートした細胞を、5%CO2雰囲気下にて37℃で24時間インキュベートした。細胞スクレイパーの平坦なエッジを使用して、印をつけた垂直方向の線上にスクレイパーの一方の縁を当て、このスクレイパーを6つの水平方向の線を横切るように移動させて、密集した細胞層に幅が約1cmの本発明者らが「創傷」と呼ぶ割れ目を作製することによって「創傷」を作製した。細胞を皿中でPBSにて洗浄して破片を除去し、培地をPTENインヒビターを溶解した培地と交換した。次いで、目盛り付きレンズを使用した顕微鏡下で、最初の創傷の縁から成長した細胞の距離を、垂直方向および水平方向の軌跡の6つの交点に沿って測定した。したがって、各皿から6つのデータポイントを得た。5%CO2環境下にて37℃で2、4、6、および24時間インキュベートした後、同一の位置で細胞が軌跡に沿って成長した距離を顕微鏡下で測定し、mmで示す。
【0205】
【表6】

【0206】
各データポイントは、創傷の縁が前に移動した距離の6〜9の異なる測定の平均(mm)である。上記表の全化合物処置サンプルは、各時点について「非処置コントロール」からの統計的差異を有する(p<0.05)。これらの結果は、コントロールと比較して、PTENインヒビター(SF1720およびSF1740)が細胞(HBEC)のより速い移動を誘導することを明確に示す。
【0207】
上記実験を低濃度で繰り返し、他のPTENインヒビター(SF1670、SF1770、およびSF1773)を試験した。これらの結果は、PTENインヒビター(SF1670、SF1770、およびSF1773)がin vitroで人工的に作製したギャップ(「創傷」)を横切ったHBEC細胞のより迅速な移動を誘導することを示す。
【0208】
【表7】

【実施例12】
【0209】
固定したPTEN
PTEN阻害アッセイでは、PTENインヒビター候補が単層PIP3脂質ベシクル(PLV)と相互作用してPTENあるいは人工模倣PTENによる阻害をさせない可能性を排除するために、PTENを固体支持体に結合させ、インヒビターで処置し、インヒビターを洗い流し、結合PTENのPLVを脱リン酸化する能力を決定した。このアプローチでは、100μlのゲルスラリー(グルタチオンSepharose4Bゲル(Amersham,Piscataway,NJ))をインキュベートし、200μgのGST−PTEN融合タンパク質と室温で3時間震盪した。ゲルを遠心分離し、3回洗浄し、再度遠心分離した。ゲルを、100mM Tris(pH8.0)、10%グリセロールに再懸濁し、4℃で保存した。次いで、ゲルを、PTENインヒビター(SF1720)と室温で1時間インキュベートし、遠心分離し、3回洗浄し、再懸濁し、基質(PLV)を添加し、混合物を37℃で20分間インキュベートした。次いで、100μlのマラカイトグリーン緩衝液(Upstate,Charlottesville,VA)を添加し、暗所にて室温で発色させた。SpectraMax Plus分光光度プレートリーダー(Molecular Devices,Sunnydale,CA)を使用して、マラカイトグリーンと遊離した無機リン酸塩との反応に起因する650nmでの光学濃度を測定した。光学濃度の測定値を、リン酸塩−マラカイトグリーン検量線を使用して検出したリン酸塩(nmol)に変換した。結果を以下に示す(数値は、検出された無機リン酸塩(nmol)である)。
【0210】
【表8】

【0211】
これらの結果は、固定化PTENによって遊離されたリン酸塩の量がSF1720で1時間予め処置した(その後、過剰のインヒビターを洗い流した)固定化PTENよりもはるかに多いことを明確に示す。第1列のデータは、基質のみによって生成したリン酸塩の量であり(すなわち、インヒビターを添加しない)、本質的に、バックグラウンドレベルのリン酸塩である。第2列は、PTENとDMSO(PTENインヒビターを導入するために通常使用する量)を添加したPLV基質との溶液反応であり、PLV基質中のPIP3の脱リン酸化由来の無機リン酸塩の旺盛な生成を示している。第3列は、DMSO中のSF1720の添加によって、本質的にバックグラウンド量のリン酸塩へとこのようなPTEN脱リン酸化が阻害されたことを示す。第4列は、Sepharoseゲル(固定化)に結合した非阻害PTENによってPLVから遊離したリン酸塩の量を示す。第5列は、Sepharoseゲルに結合したPTENによってPLV基質から遊離したリン酸塩の量を示すが、このPTENはインヒビターSF1720に予め曝露し、十分に洗浄していかなる非結合SF1720インヒビターも除去されている。第5列で見出されたリン酸塩の量の少なさにより、SF1720インヒビターがPTENに結合し、洗浄しても固定化PTENと共に保持され、このようなSF1720−PTEN相互作用によってPTENはPLV基質を有意に脱リン酸化できない(すなわち、この実験部分で遊離されたリン酸塩はバックグラウンドリン酸塩に非常に近い)ことが強く示唆される。この実験は、PTENインヒビターはPTENタンパク質と共に残存することができ、PTENの阻害は基質の利用可能性の妨害に起因せず、小分子インヒビターのPTENタンパク質との相互作用に起因することを証明する。
【実施例13】
【0212】
インヒビターの存在下でのPTENの反応速度
100μM PTENインヒビターの添加タイミングが異なる3群にPTENを基質(PLV)と混合した:例えば、1)インヒビターを添加しない、2)PTENの基質との反応直後にインヒビターを添加する、および3)PTENと基質との反応が10分進んだところでインヒビターを添加する。0、1、5、15、20、30、60分後、PTEN反応混合物の一部分を、PTENの触媒性スルフヒドリル基と共有結合的に反応し、任意のさらなる脱リン酸化を遮断する5倍体積の200mM N−エチルマレイミドから構成される停止溶液に添加した。次いで、マラカイトグリーンへの曝露によってサンプルを定量し、OD650nmでの吸光度を測定して遊離リン酸塩量を決定した。光学濃度の測定値を、リン酸塩−マラカイトグリーン標準検量線を使用して検出したリン酸塩(nmol)に変換した。結果を以下に示す(実験は2連で行った)。
【0213】
【表9】

【0214】
結果は、約15分間PTENが高速でリン酸塩を遊離し、その後停止する(コントロール−最上欄)ことを示す。反応開始からのPTENインヒビター(SF1589)の連続的存在下では(中欄)、リン酸塩の生成量は、コントロール実験と比較して全時点で非常に減少する。PTENインヒビターを10分後に反応に添加した場合(下欄)は、PTENはインヒビターを添加するまで活発に無機リン酸塩を生成し、その時点で、負のコントロールサンプルよりもはるかに低いレベルに低下することを示し、これは、できるだけ早くインヒビターを添加するほどPLV基質のさらなる脱リン酸化を実際にさらに阻害したことを示す。
【実施例14】
【0215】
バナジウム酸塩系PTENインヒビター
市販のバナジウム酸塩(EMD Biosciences,Inc.)を、実施例3の方法にしたがって濃度250μMでのPTENアッセイで審査し、表10に示すように、リン酸化の阻害が見出された。PTENは、PtdIns(3,4,5)P3およびIns(1,3,4,5)P4のイノシトール環の3位でリン酸塩を加水分解する。天然基質からのリン酸塩の放出を、製造者の説明書にしたがったマラカイトグリーン試薬(Upstate)の使用による比色アッセイで測定した。650nmでの吸光度をELISAプレートリーダーに記録した。各アッセイで検量線を作成し、遊離リン酸塩の量を、検量線適合データから計算した。
【0216】
【表10】

【0217】
バナジウム酸化合物を、合成GluTyr基質(社内で合成した(Glu4Tyr[P])2の10量体)およびp−ニトロフェニルリン酸(pNPP)の両方を使用したPTP1Bアッセイで審査した。各実験を、3連で行った。
【0218】
本明細書中で報告したアッセイ条件を使用したとき、bpVsは、PTP1Bと比べた場合にPTENの選択的阻害は示さなかった。さらに、PTENアッセイで認められた阻害は、大まかには文献に報告された阻害よりもずっと弱いものだった(Schmid,A.C.;Byrne,R.D.;Vilar,R.;Woscholski,R.,Bisperoxovanadium compounds are potent PTEN inhibitors.FEBS Lett 2004,566,(1−3),35−8)(以下のチャートを参照のこと)。
【0219】
【表11】

【0220】
*−Schmid,A.C.;Byrne,R.D.;Vilar,R.;Woscholski,R.,Bisperoxovanadium compounds are potent PTEN inhibitors.FEBS Lett 2004,566,(1−3),35−8

**Garlich J.R.Small Molecule PTEN Inhibitors:Therapeutic Applications and Implications,in Signal Transduction Targets for Effictive Therapeutics,2004,Boston,MA.
【実施例15】
【0221】
PTENインヒビターとしての4−ヒドロキシノネナールの評価
4−ヒドロキシノネナール(HNE)(これまで制癌性が示されている脂肪酸の過酸化の遍在副産物)は、in vitroにてμmol濃度でPTEN活性を阻害すると報告されている(Salsman,S.J.H.,Kenneth;Floyd,Robert A.In4−Hydroxynoneal inhibits PTEN phosphatase in vitro,2003;Proceeding of the AACR,Vol.44,2nd ed.July 2003)。本明細書中に報告したアッセイ条件を使用して、HNEは250μMで有意なPTEN阻害活性を示さなかった。
【0222】
【表12】

【実施例16】
【0223】
実施例16 アレンドロン酸塩の評価
アレンドロン酸塩(4−アミノ−1−ヒドロキシブチリデン−1,1−ビスホスホネート)は、破骨細胞の骨吸収を阻害し、骨粗鬆症の治療での有効性が証明されている強力なビスホスホネートである(Skorey,K.;Ly,H.D.;Kelly,J.;Hammond,M.;Ramachandran,C.;Huang,Z.;Gresser,M.J.;Wang,Q.,How does alendronate inhibit protein−tyrosine phosphatases? J Biol Chem 1997,272,(36),22472−80.;Schmidt,A.;Rutledge,S.J.;Endo,N.;Opas,E.E.;Tanaka,H.;Wesolowski,G.;Leu,C.T.;Huang,Z.;Ramachandaran,C.;Rodan,S.B.;Rodan,G.A.,Protein−tyrosine phosphatase activity regulates osteoclast formation and function:inhibition by alendronate.Proc Natl Acad SciU S A 1996,93,(7),3068−73)。タンパク質−チロシン−ホスファターゼ−meg1(PTPmeg1)の強力なインヒビターとしても報告されている(Opas,E.E.;Rutledge,S.J.;Golub,E.;Sterm,A.;Zimolo,Z.;Rodan,G.A.;Schmidt,A.,Alendronate inhibition ofprotein−tyrosine−phosphatase−meg1.Biochem Pharmacol 1997,54,(6),721−7)。本明細書中に報告したアッセイ条件を使用して、アレンドロン酸塩を審査し、250μMで最小の活性を有することが見出された。これらの結果は、アレンドロン酸塩が有意なホスファターゼインヒビターといわれているが、PTENを再現可能且つ有意に阻害しないことを示す。
【0224】
【表13】

【実施例17】
【0225】
トリアゾールに基づいたPTENインヒビター
試薬会社から販売されている化合物(ChemNavigator(登録商標))を、本明細書中に報告したPTENアッセイで試験し、結果を以下に示した。これらの化合物は、フラザン環に直接結合したコアトリアゾールに環を含み、以下の式である。
【0226】
【化46】

【0227】
【表14】

【実施例18】
【0228】
ジアミド系−フラザンコア
ジアミド系は、フラザン環から構成されるコア環系を有する対称的分子から出発させた(SF1518)。対称的R基、コア環系、および分子の対称性の阻害効果を決定するために、誘導体を合成した。以下の表中の化合物は、アミド結合を介してコアフラザン環に結合したR基の例を示す。実施例3のPTENアッセイにおける250μmolでの阻害%を得た。
【0229】
【化47】

【0230】
【表15】

【0231】
1.ジアミド系の一般的合成手順
過剰量の塩化チオニルを、2当量の置換フェノキシ酢酸に添加し、12時間撹拌した。反応物を濃縮し、対応する酸塩化物を1当量の芳香族ジアミンおよび2当量のジイソプロピルエチルアミンの無水塩化メチレン溶液に添加し、12時間撹拌した。反応混合物を、1N HCl、10%w/w NaHCO3、および乾燥(MgSO4)で洗浄し、減圧濃縮した。粗反応物を、フラッシュクロマトグラフィ(SiO2、塩化メチレン/メタノール(98:2))によって精製した。生成物の同一性および純度を、方法Aを使用したエレクトロスプレーLC−MSによって確認した。
【実施例19】
【0232】
ジアミド系−非芳香環コア系PTENインヒビター
以下に示すように、コア環系として二置換シクロヘキサンを使用した代表例を調製し、PTEN阻害を試験した。
【0233】
【化48】

【0234】
【表16】

【0235】
化合物SF1647を、以下の手順によって調製した。5mL塩化メチレン中の3.25mmolの1,2ジアミノシクロヘキサン(1当量)に、6.57mmolのフェノキシアセチルクロリド(2当量)(Vogel,A.I.;Fumiss,B.S.;Vogel,A.I.,Vogel’sTextbook of practical organic chemistry.5th ed.;Longman Scientific & Technical:New York,1989;p 968に記載のように対応する置換フェノールおよびクロロ酢酸から合成した)、6.57mmolのジイソプロピルエチルアミン(2当量)を添加し、一晩撹拌した。反応物を減圧濃縮し、SiO2フラッシュクロマトグラフィ(塩化メチレン/メタノール、98:2)によって精製して、0.04gの所望の生成物が得られ、LC/MS(液体クロマトグラフィー/質量分析)は純度90%超の所望のピークを示した(Rt=3.61)。
【実施例20】
【0236】
ジアミド系−芳香族フェニル環コア
コアフラザンをフェニル環と置換したライブラリーを合成した。以下の表中の化合物は、アミド結合を介してコアフェニル環に結合したR基の例を示す。化合物を、実施例18の一般的手順を使用して合成した。置換フェノキシ酢酸を、対応するフェノールおよびクロロ酢酸から合成した。生成物の純度および同一性を、方法Aを使用したエレクトロスプレーLC−MSによって確認した。これらの実施例では、生成物を、紫外線(UV)検出ピークまたはELS(蒸発光散乱検出器)ピークに対応する[M+H]+陽イオンまたは[M−H]-陰イオンのいずれかによって同定した。
【0237】
【化49】

【0238】
【表17】

【実施例21】
【0239】
ジアミド系−複素芳香環コア
コアフラザンを他の芳香環と置換した(特に、ピリジル環およびピリミジル環を組み込んだ)ライブラリーを合成した。
【0240】
【化50】

【0241】
【表18】

【0242】
実施例18の一般的手順を使用して化合物を合成した。置換フェノキシ酢酸を、対応する置換フェノールおよびクロロ酢酸から合成した(Vogel,A.I.;Furniss,B.S.;Vogel,A.I.,Vogel’s Textbook of practical organic chemistry.5th ed.;Longman Scientific & Technical:New York,1989;p 986)。生成物の同一性および純度を、方法Aを使用したエレクトロスプレーLC−MSによって確認した。
【実施例22】
【0243】
モノアミド系−フラザン環コア
コア環系に及ぼす一置換の影響を試験した。実施例18に記載のものに類似した一置換フラザンアナログを合成した。合成は、化学量論的に同一量の反応物を使用すること以外は、前の実施例と同一である。生成物の同一性および純度を、方法Aを使用したエレクトロスプレーLC−MSによって確認した。
【0244】
【化51】

【0245】
【表19】

【実施例23】
【0246】
モノアミド系−フェニル環コア
コア環系に及ぼす一置換の影響を試験した。実施例22で合成したものに相当する遊離アミノフェニルアナログを合成した。合成は、主に1つのアミンが確実にアシル化されるために化学量論的に同一量の反応物を使用すること以外は、前の実施例と同一である。生成物の同一性および純度を、方法Aを使用したエレクトロスプレーLC−MSによって確認した。
【0247】
【化52】

【0248】
【表20】

【実施例24】
【0249】
モノアミド系−フェニル環コア
コア環系に及ぼす一置換の影響を試験した。実施例21で合成したものに相当する遊離アミノフェニルアナログを合成した。合成は、化学量論的に同一量の反応物を使用すること以外は、前の実施例18と同一である。生成物の同一性および純度を、方法Aを使用したエレクトロスプレーLC−MSによって確認した。
【0250】
【化53】

【0251】
【表21】

【実施例25】
【0252】
3−カルボニルイミダゾール系
アリール置換3−カルボニルイミダゾールのライブラリーを合成し、カルボニル基に及ぼす置換の影響を試験した。
【0253】
【化54】

【0254】
【表22】

【実施例26】
【0255】
SF1699−000の調製
10.0mgの1−(6−メチル−2−ピリジニル)−1H−イミダゾール−4−カルボヒドラジド(Bionet Research,cat.no.6P−707)のジクロロメタン溶液を、2−ナフチルクロリド(1.2当量)およびジイソプロピルエチルアミン(1.2当量)で処理した。混合物を一晩撹拌し、ジクロロメタンで希釈し、10%w/w重炭酸ナトリウムで洗浄した。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去して18.4mgの黄褐色の固体を得た。表題化合物の存在を、方法Aを使用したエレクトロスプレーLC−MSによって確認した;tR=3.1分。MS[M=C211752]m/z372(MH+);435(MNa−CH3CN+)。
【実施例27】
【0256】
SF1702−000の調製
10.0mgの1−(6−メチル−2−ピリジニル)−1H−イミダゾール−4−カルボヒドラジド(Bionet Research,cat.no.6P−707)のアセトニトリル溶液を、p−トルエンスルホニルクロリド(1.2当量)およびジイソプロピルエチルアミン(1.2当量)で処理した。混合物を55℃で一晩撹拌し、ジクロロメタンで希釈し、10%w/w重炭酸ナトリウムで洗浄した。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去して物質が得られ、メタノール−ジクロロメタン溶離液を使用したシリカゲルクロマトグラフィに供して、2.5mgのオイルを得た。表題化合物の存在を、方法Aを使用したエレクトロスプレーLC−MSによって確認した;tR=3.1分。MS[M=C171753S]m/z372(MH+);394(MNa+);435(MNa−CH3CN+)。
【実施例28】
【0257】
SF1707−000の調製
SF1707−000を、2ステップ過程によって調製した。ステップ1(4−フェニルブタノイルクロリド):200mgの4−フェニル酪酸のジクロロメタン溶液を、塩化オキサリル(3.0当量)で処理し、一晩撹拌した。溶媒および過剰な塩化オキサリルを除去して、透明なオイルとして227mgの4−フェニルブタノイルクロリドを得た。表題化合物の存在を、サンプルのメタノールへの溶解によって表題化合物をメチルエステルに変換し、これを方法Aを使用したエレクトロスプレーLC−MSによって分析することによって確認した;tR=3.7分。エステルは、UV活性のみを示す(ELSシグナルはなし)。これは、保持時間がより早く、且つELS活性を示す出発材料と対照的である。
【0258】
ステップ2:15.0mgの1−(6−メチル−2−ピリジニル)−1H−イミダゾール−4−カルボヒドラジド(Bionet Research,cat.no.6P−707)のジクロロメタン溶液を、4−フェニルブタノイルクロリド(上記で調製、1.2当量)およびジイソプロピルエチルアミン(1.2当量)で処理した。混合物を一晩撹拌し、ジクロロメタンで希釈し、10%w/w重炭酸ナトリウムで洗浄した。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去して物質が得られ、メタノール−ジクロロメタン溶離液を使用したシリカゲルクロマトグラフィに供して、8.5mgのオイルを得た。表題化合物の存在を、方法Aを使用したエレクトロスプレーLC−MSによって確認した;tR=3.0分。MS[M=C202152]m/z364(MH+);386(MNa+);427(MNa−CH3CN+)。
【実施例29】
【0259】
SF1708−000の調製
12.0mgの1−(6−メチル−2−ピリジニル)−1H−イミダゾール−4−カルボヒドラジド(Bionet Research,cat.no.6P−707)のジクロロメタン溶液を、4−tert−ブチルベンゾイルクロリド(1.2当量)およびジイソプロピルエチルアミン(1.2当量)で処理した。混合物を一晩撹拌し、ジクロロメタンで希釈し、10%w/w重炭酸ナトリウムで洗浄した。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去して物質が得られ、メタノール−ジクロロメタン溶離液を使用したシリカゲルクロマトグラフィに供して、4.3mgの黄色固体を得た。表題化合物の存在を、方法Aを使用したエレクトロスプレーLC−MSによって確認した;tR=3.4分。MS[M=C212352]m/z378(MH+);400(MNa+);441(MNa−CH3CN+)。
【実施例30】
【0260】
SF1709−000の調製
12.0mgの1−(6−メチル−2−ピリジニル)−1H−イミダゾール−4−カルボヒドラジド(Bionet Research,cat.no.6P−707)のアセトニトリル溶液を、4−tert−ブチルベンゼンスルホニルクロリド(1.2当量)およびジイソプロピルエチルアミン(1.2当量)で処理した。混合物を50℃で一晩撹拌し、ジクロロメタンで希釈し、10%w/w重炭酸ナトリウムで洗浄した。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去して物質が得られ、メタノール−ジクロロメタン溶離液を使用したシリカゲルクロマトグラフィに供して、4.4mgのオイルを得た。表題化合物の存在を、方法Aを使用したエレクトロスプレーLC−MSによって確認した;tR=3.7分。MS[M=C202353S]m/z414(MH+);477(MNa−CH3CN+)。
【実施例31】
【0261】
SF1730−000の調製
12.0mgの1−(6−メチル−2−ピリジニル)−1H−イミダゾール−4−カルボヒドラジド(Bionet Research,cat.no.6P−707)のジクロロメタン溶液を、4−ニトロベンゾイルクロリド(1.2当量)およびジイソプロピルエチルアミン(1.2当量)で処理した。混合物を一晩撹拌し、ジクロロメタンで希釈し、10%w/w重炭酸ナトリウムで洗浄した。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去して物質が得られ、メタノール−ジクロロメタン溶離液を使用したシリカゲルクロマトグラフィに供して、1.1mgの所望の生成物を得た。表題化合物の存在を、方法Aを使用したエレクトロスプレーLC−MSによって確認した;tR=2.7分。MS[M=C171464]m/z367(MH+);408(M−CH3CN+);430(MNa−CH3CN+)。
【実施例32】
【0262】
SF1731−000の調製
12.0mgの1−(6−メチル−2−ピリジニル)−1H−イミダゾール−4−カルボヒドラジド(Bionet Research,cat.no.6P−707)のアセトニトリル溶液を、4−ニトロベンゼンスルホニルクロリド(1.2当量)およびジイソプロピルエチルアミン(1.2当量)で処理した。混合物を50℃で一晩撹拌し、ジクロロメタンで希釈し、10%w/w重炭酸ナトリウムで洗浄した。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去して物質が得られ、メタノール−ジクロロメタン溶離液を使用したシリカゲルクロマトグラフィに供して、4.8mgの黄色オイルを得た。表題化合物の存在を、方法Aを使用したエレクトロスプレーLC−MSによって確認した;tR=3.1分。MS[M=C161465S]m/z403(MH+);444(M−CH3CN+)。
【実施例33】
【0263】
SF1732−000の調製:3ステップ過程によって調製された
SF1732−000を、3ステップ過程によって調製した。ステップ1(4−tert−ブチルベンゾヒドラジド):4−tert−ブチルベンゾイルクロリド(300mg)を、766μL(10当量)のヒドラジン一水和物のジクロロメタン溶液に添加し、混合物を3時間撹拌し、10%w/w重炭酸ナトリウムで洗浄した。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去して白色固体として257mgの4−tert−ブチルベンゾヒドラジドを得た。化合物の存在を、方法Aを使用したエレクトロスプレーLC−MSによって確認した;tR=3.1分。MS[M=C11162O]m/z403(MH+);444(MH−CH3CN+)。
【0264】
ステップ2(4−イミダゾールカルボニルクロリド):100mgの4−イミダゾールカルボン酸のアセトニトリル溶液を、塩化チオニル(4.0当量)で処理し、75℃で2時間撹拌した。溶媒および過剰な塩化チオニルを除去して4−イミダゾールカルボニルクロリドが黄褐色固体として得られ、これを直接次のステップで使用した。
【0265】
ステップ3:アミド形成:ステップ2由来の4−イミダゾールカルボニルクロリドを、4−tert−ブチルベンゾヒドラジド(1.5当量、ステップ1由来)のジクロロメタン溶液で処理したアセトニトリルに溶解した。トリエチルアミン(1.2当量)を添加し、混合物を一晩撹拌し、ジクロロメタンで希釈し、10%w/w重炭酸ナトリウムおよび飽和塩化ナトリウムで洗浄した。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去して物質が得られ、メタノール−ジクロロメタン溶離液を使用したシリカゲルクロマトグラフィに供して、7.7mgの黄色の固体を得た。表題化合物の存在を、方法Aを使用したエレクトロスプレーLC−MSによって確認した;tR=2.6分。MS[M=C151842]m/z287(MH+);450(MNa−CH3CN+)。
【実施例34】
【0266】
SF1733−000の調製
SF1732−000の調製では、クロマトグラフィステップから9.2mgのSF1733−000も得られた。これは合成ステップ1で生成され、ステップ3へと運ばれた。化合物の存在を、方法Aを使用したエレクトロスプレーLC−MSによって確認した;tR=4.1分。MS[M=C222822]m/z353(MH+);416(MNa−CH3CN+);351(M−H-)。
【実施例35】
【0267】
SF1739−000の調製
15.0mgの1−(6−メチル−2−ピリジニル)−1H−イミダゾール−4−カルボヒドラジド(Bionet Research,cat.no.6P−707)のアセトニトリル溶液を、4−tert−ブチルベンズアルデヒド(3.0当量)および触媒量のp−トルエンスルホン酸で処理した。混合物を一晩撹拌し、ジクロロメタンで希釈し、10%w/w重炭酸ナトリウムで洗浄した。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去して物質が得られ、メタノール−ジクロロメタン溶離液を使用したシリカゲルクロマトグラフィに供して、9.0mgの白色固体を得た。表題化合物の存在を、方法Aを使用したエレクトロスプレーLC−MSによって確認した;tR=4.0分。MS[M=C21235O]m/z362(MH+);425(MNa−CH3CN+)。二重結合周辺の立体化学は決定しなかった。
【実施例36】
【0268】
SF1775−000の調製
この化合物を、Kiyomori,Marcoux,Buchwald,Tetrahedron Lett.,1999,p.2647によって報告された方法に基づいた方法によって調製した。簡単に述べれば、反応容器にメチル4−イミダゾールカルボキシレート(1.5当量)、1,10−フェナントロリン(1.0当量)、trans,trans−ジベンジリデンアセトン(0.10当量)、および炭酸セシウム(1.1当量)を入れた。キシレンを添加し、その後に2−ブロモ−6−メチル−ピリジン(1.0当量)およびトリフルオロメタンスルホン酸銅(II)(0.10当量)を添加した。混合物を90℃で一晩加熱し、ジクロロメタンで希釈し、飽和塩化アンモニウムおよび飽和塩化ナトリウムで洗浄した。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を除去して物質が得られ、逆相HPLCによって精製して、4.4mgの灰色がかった固体を得た。表題化合物の存在を、方法Aを使用したエレクトロスプレーLC−MSによって確認した;tR=2.4分。MS[M=C111132]m/z218(MH+);259(MH−CH3CN+);281(MNa−CH3CN+)。
【実施例37】
【0269】
PTENインヒビターのポリアミド系
以下に示すように、市販のライブラリーの広範なスクリーニングから、PTEN阻害活性を有するいくつかの化合物を発見した。
【0270】
【表23】

【実施例38】
【0271】
PTEN阻害について評価した市販の公知のPTPインヒビター
いくつかの公知のPTPインヒビター(EMD Biosciences,Incから入手)を、PTEN阻害活性について試験し、結果を以下に示す。
【0272】
【表24】

【実施例39】
【0273】
フェナントロリン系PTENインヒビター
市販の1,10−フェナントロリン−5,6−ジオン(Aldrich)(SF1720(R=H))をPTENアッセイおよびPTP1Bアッセイで評価し、その各IC50を決定した。SF1720は、PTP1BよりもPTENを50倍より大きく選択的に阻害した。
【0274】
【化55】

【0275】
【表25】

【実施例40】
【0276】
フェナントレンジオン系PTENインヒビター
以下に示す一般的構造の種々のフェナントレン−9,10−ジオンを入手するか合成し、実施例3に記載のPTEN阻害アッセイで試験した。
2. 3置換フェナントレンジオンの一般的合成手順
水素ガス中で、メタノール中の10%Pd/炭素を使用した3−ニトロフェナントレン−5,6−ジオンの水素化により、対応する3アミノフェナントレン−5,6−ジオンが生成された。この生成物をセライトを使用して濾過し、減圧濃縮し、さらに精製せずに使用した。等化学量論量のアミン、ジイソプロピルエチルアミン、および酸塩化物を含む塩化メチレンを一晩撹拌した。反応物を10%HCl、10%w/w重炭酸ナトリウムで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧濃縮した。粗物質を、メタノール−ジクロロメタン溶離液を使用したシリカゲルクロマトグラフィに供するか、分取HPLCによって精製した。純粋な生成物を、方法Aを使用したエレクトロスプレーLC−MSによって確認した。SF1740などの作製のために使用した置換フェノキシアセチルクロリドを、文献(Vogel,A.I.;Fumiss,B.S.;Vogel,A.I.,Vogel’s Textbook of practical organic chemistry.5th ed.;Longman Scientific & Technical:New York,1989;p xxviii,1514)に報告されている方法に基づいた方法によって、対応する置換フェノール(Aldrich)およびクロロ酢酸から合成した。
【0277】
【化56】

【0278】
いくつかのフェナントレン−9,10−ジオンを、PTENアッセイおよびPTP1Bアッセイで試験し、結果を以下に示す。
【0279】
【表26】

【実施例41】
【0280】
イサチン系PTENインヒビター
5−ニトロインドリン−2,3−ジオンをAldrichから入手した。ニトロ基をアミノ基に還元し、多数の酸塩化物でアミノ基をアシル化した。これらの化合物のPTEN阻害を、以下に示す。
【0281】
【化57】

【0282】
【表27】

【0283】
3.5−置換イサチンの一般的合成手順
水素ガスによるメタノール中の10%Pd/炭素を使用した5−ニトロインドリン−2,3−ジオン(Aldrich)の水素化により、対応する5−アミノインドリン−2,3−ジオンが生成された。この生成物をセライトを使用して濾過し、減圧濃縮し、さらに精製せずに使用した。等化学量論量のアミン、ジイソプロピルエチルアミン、および各酸塩化物を含むDMFを一晩撹拌し、HPLCによって精製した。生成物の純度を、方法Aを使用したエレクトロスプレーLC−MSによって確認した。SF1781の作製のために使用した置換フェノキシアセチルクロリドを、文献(Vogel,A.I.;Fumiss,B.S.;Vogel,A.I.,Vogel’s Textbook of practical organic chemistry.5th ed.;Longman Scientific & Technical:New York,1989;p xxviii,1514)に報告されている方法に基づいた方法によって、対応する置換フェノールおよびクロロ酢酸から合成した。
【実施例42】
【0284】
種々のモノケトンおよびジケトンに基づいたPTENインヒビター
PTEN活性阻害で果たされるジケトン官能性の役割を決定するために、種々のモノカルボニル化合物およびジカルボニル化合物を試験し、250μMで有意なPTEN活性を有することが示された。以下の表に示すように、これらの化合物は全てPTENアッセイにおいて2桁μmolの低濃度でIC50活性を示した。
【0285】
【化58】

【0286】
【表28】

【実施例43】
【0287】
好ましいPTENインヒビターのIC50値
PTENのIC50および別のリン酸塩(PTP1B)のIC50を決定するために、種々の開示のPTENインヒビターをさらに評価した。示した値は、一回のアッセイから見出されたIC50を示し、値の範囲が示されている場合は、1つを超える実験で得られた値の範囲を示す。

【0288】
【表29】

【0289】

【0290】
これらの結果は、本明細書中に開示の多数のPTENインヒビターが強いPTEN阻害活性を有することを示す。これらの結果はまた、多数の開示のPTENインヒビターについてのPTP1Bホスファターゼと比較して場合のPTEN阻害の有意な選択性を示す。
【実施例44】
【0291】
PTENインヒビターを使用したRAC活性化の証明
野生型PTEN+/+動物由来のマウス胚線維芽細胞(MEF)を、PTENインヒビター(SF1670(0.125μM、0.25μM、および0.5μM)およびSF1740(1μMおよび3μM))にて37℃で30分間予め処置した。処置後、細胞を、ビトロネクチンをコーティングした(20μg/ml)10cmの非組織培養ペトリ皿中にて37℃で15分間刺激した。25mM HEPES(pH7.5)、150mM NaCl、1% IgepalCA630、10mM MgCl2、1mM EDTA、10%グリセロール、10μg/mlロイペプチン、10μg/mlアプロチニン、25mMフッ化ナトリウム、および1mMオルソバナジウム酸ナトリウム中に細胞溶解物を調製した。RAC1−GTP活性反応を、各サンプルへの12μlのPAK1アガロース(E.coli中で発現し、グルタチオンアガロースに結合させられたCRIBドメイン(ヒトPAK1のPBD)のp21結合に対応するGST融合タンパク質)の添加および4℃で45分間のインキュベーションによって測定した。ビーズを溶解緩衝液で3回洗浄し、2×Laemmliサンプル緩衝液中に再懸濁し、12%SDS−PAGEで分離した。総RAC1を免疫ブロッティングして、細胞溶解物中に同量の総RACが存在することを確認した。
【0292】
RACは、走化プロセスにとって重要であり、通常、移動細胞の先端で活性化される。上記の免疫ブロット由来の生化学的結果により、+/+MEFと比較して−/−MEFの高いGTPRACレベルが証明され、これにより、PTENがインテグリン刺激下でこれらの細胞におけるRACGTPレベルを調節することが確認された。0.125μMのSF1670および1および3μMのSF1740は、そのGTP結合状態へのRACのインテグリン誘導性活性化を増加させた。結合アッセイで使用した溶解物中の総RACタンパク質レベルは同様のレベルであった。これらのデータから、本発明者らは、PTENインヒビター(SF1670およびSF1740)はPTENホスファターゼがRAC GTPアーゼ(細胞移動の公知のメディエーター)の活性化状態を下方制御する能力を阻害し、それにより、この生化学データは、PTENインヒビターがビトロネクチンによるインテグリン依存性細胞移動を調節する能力(公知のPTEN調節細胞過程)に直接相関すると結論づけた。
【実施例45】
【0293】
pAktレベルに及ぼすPTENインヒビターの影響
SF1740がPTEN機能を阻害する能力を、PTEN陽性および陰性のマウス胚線維芽細胞(MEF)を使用したin vitro系で試験した。細胞を、2〜0.125μMの範囲の異なる濃度のSF1740で2時間予めインキュベートし、その後、IGF−1で30分間刺激した。次いで、細胞を採取し、シグナル伝達経路のPTEN上流によって調節されるAktの活性化についてウェスタンブロッティングによって分析した。リン酸化AktレベルはPTENノックアウトMEFで同様に高い一方で、2つの最も高い濃度(2μMおよび1μM)のSF1740により、PTEN陽性MEFにおいてコントロールと比較してホスホ−Akt発現が増加した。これは、小分子でのPTENの阻害によって細胞中のAktを活性化することができることを証明する。
【実施例46】
【0294】
腫瘍細胞の感作のためのPTENインヒビターの使用
小分子PTENインヒビターを、適合可能な従来の処方物または薬物送達法(徐放性処方物、デポー、リポソーム、微粒子、ナノ粒子、およびそれを分解性および/またはターゲティング化したものなど)として、投与経路(経口、静脈内、皮下、静脈内点滴、筋肉内、エアゾールとして鼻腔内、皮膚パッチ、粘膜曝露などが含まれるが、これらに限定されない)を介して癌患者に投与する。少なくとも10%の基底レベルのホスホ−Akt由来の癌細胞をレベルが少なくとも10%増加したホスホ−Aktに変換するのに十分な制限された期間でインヒビターを投与する。
【0295】
次いで、患者にPTENインヒビターでさらに処置せず、その後に、以下のPI3キナーゼ経路のインヒビターで処置する:a)成長因子レギュレーターおよび成長因子受容体インヒビター(抗体および/または受容体トリシンキナーゼインヒビター−イレッサなど)、b)PI3キナーゼインヒビター(例えば、特異的イソ型(例えば、p110αイソ型)が含まれる)(LY294002(および米国特許出願第10/818,145号(参考として援用される)に記載のそのプロドラッグ)、ウォルトマニン、および他の公知のインヒビター(Piramedによって開示されているものなど)などであるが、これに限定されない)、c)PDKインヒビター、d)Aktインヒビター、e)mTORインヒビター(ラパマイシン、CCI−779などであるが、これらに限定されない)、f)mdm2インヒビター、g)nfkbインヒビター、h)インテグリンアンタゴニスト、i)プロテオソームインヒビター、j)チロシンキナーゼインヒビター、k)HIFインヒビター、l)などが単独または組み合わせて含まれるが、これらに限定されない。PI3キナーゼ経路インヒビターを使用した治療の代わりとして、化学療法、放射線療法、免疫療法、または他の腫瘍学的方法の任意の単独または組み合わせを使用して、癌細胞および癌幹細胞の生存能力、存続能力、または再生能力に影響を与える。
【0296】
正常細胞への毒性を最小にするために、PTENインヒビターおよびPI3キナーゼ経路インヒビターの投与が少しの程度重複してもよいこと以外は上記のように患者を処置することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アポトーシスを誘発する1つまたは複数の治療から患者を保護する方法であって、化合物I〜XIVからなる群から選択される薬学的に許容可能な量のPTENインヒビターを含む組成物を患者に投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記治療が癌治療である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記PTENインヒビターを、癌治療前、癌治療中、または癌治療後に投与する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記治療が化学療法または放射線療法である、請求項6に記載の方法。
【請求項5】
ストレスに起因する正常組織が損傷した患者を治療する方法であって、化合物I〜XIVからなる群から選択される薬学的に許容可能な量のPTENインヒビターを含む組成物を患者に投与することを含む、方法。
【請求項6】
前記PTENインヒビターを、患者が罹患した疾患の治療前、治療中、または治療後に投与する、請求項7に記載の方法。
【請求項7】
PI3キナーゼ経路のインヒビターに対して癌細胞を感作する方法であって、化合物I〜XIVからなる群から選択されるPTENインヒビターをこのような治療を必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項8】
医学的手順に関連するアポトーシスを治療する方法であって、化合物I〜XIVからなる群から選択されるPTENインヒビターをこのような治療を必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項9】
放射線または化学物質への曝露から患者を保護する方法であって、化合物I〜XIVからなる群から選択される薬学的に許容可能な量のPTENインヒビターを含む組成物を患者に投与することを含む、方法。
【請求項10】
前記PTENインヒビターを、前記放射線または化学物質への曝露前、曝露中、または曝露後に投与する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
化合物I〜XIVからなる群から選択されるPTENインヒビターへの細胞の曝露による、癌幹細胞を感作する方法。
【請求項12】
前記PTENインヒビターを、患者が罹患した疾患の治療前、治療中、または治療後に投与する、請求項9に記載の方法。

【公表番号】特表2007−532552(P2007−532552A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−507462(P2007−507462)
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/011626
【国際公開番号】WO2005/097119
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(505363307)セマフォア ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】