説明

SPECT装置

【課題】検査中における被検体に対する心理的圧迫が少ないSPECT装置の提供。
【解決手段】天板21は、被検体が載置される。天板上下動機構19は、天板21を上下動可能に支持する。回転機構3は、第1検出器13と第2検出器15とを中心軸の回りに回転可能に支持する。相互間角度変更機構5は、第1検出器13の検出面中心と中心軸とを結ぶ第1回転半径軸と、第2検出器15の検出面中心と中心軸とを結ぶ第2回転半径軸とが略90度で交わるように、第1検出器13と第2検出器15とを支持する。第2回転半径動機構9は、第2検出器15を第2回転半径軸に沿って移動可能に支持する。機構制御部33は、第1検出器13と第2検出器15との回転中において第1検出器13及び第2検出器15と被検体との間の距離を一定値に維持するように、天板21の上下動と第2検出器15の第2回転半径軸に沿う移動とを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、SPECT装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2台の検出器を利用するSPECT(single photon emission computed tomography)装置がある。2台の検出器は、相互間角度を任意に変更可能にガントリに支持されている。360度分の投影データを利用して画像再構成する場合、相互間角度は、180度に設定される。180度分の投影データを利用して画像再構成する場合、相互間角度は、90度に設定される。すなわち、2台の検出器はL字型に固定される。検査時間の短縮のため、心臓のSPECT検査において180度分の投影データを収集する方式が広く利用されている。
【0003】
図8は、相互間角度が90度に固定された場合における第1検出器101、第2検出器102、及び被検体Pの配置を所定角度毎に示す図である。図9は、相互間角度が90度に固定された場合における第1検出器101、第2検出器102、及び被検体Pの軌跡を示す図である。図8と図9とに示すように、2台の検出器101,102は相互間角度が90度に固定された状態で、回転リングの回転により回転リングの中心軸回りに略90度回転される。回転中、各検出器101,102と被検体Pとの間の距離は一定値に保たれる。SPECT装置は、各検出器101,102と被検体Pとの距離が一定値に保たれるように、回転リングの回転に連動して、天板を上下に移動させたり、ガントリ又は天板を左右に移動させたりしている。ガントリにより左右動を実現する場合、ガントリには1トン以上の重量があるため、ガントリに精巧な機構が要求される。また、天板により左右動を実現する場合、天板の上下動機構との兼ね合いや、被検体の安全の確保といった課題があり寝台構造が複雑になってしまう。また、被検体は、上下左右に動かされるため(ガントリで左右動を実現する場合は、相対的な感覚であるが)、心理的な圧迫や不安が大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−82557号公報
【特許文献2】特開平9−5442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
目的は、検査中における被検体に対する心理的圧迫が少ないSPECT装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態に係るSPECT装置は、被検体が載置される天板と、前記天板を上下動可能に支持する天板支持機構と、前記被検体からのガンマ線を検出する第1検出器と、前記被検体からのガンマ線を検出する第2検出器と、前記第1検出器と前記第2検出器とを中心軸の回りに回転可能に支持する第1支持機構と、前記第1検出器の検出面中心と前記中心軸とを結ぶ第1回転半径軸と前記第2検出器の検出面中心と前記中心軸とを結ぶ第2回転半径軸とが略90度で交わるように前記第1検出器と前記第2検出器とを支持する第2支持機構と、前記第2検出器を前記第2回転半径軸に沿って移動可能に支持する第3支持機構と、前記第1検出器と前記第2検出器との回転中において前記第1検出器及び前記第2検出器と前記被検体との間の距離を一定値に維持するように、前記天板の上下動と前記第2検出器の前記第2回転半径軸に沿う移動とを制御する制御部と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態に係るSPECT装置の構成を示す図。
【図2】図1のガントリの概略的な斜視図。
【図3】図2のガントリ、第1検出器、第2検出器、及び天板の可動方向を模式的に示す図。
【図4】図2の近接センサの配置例を示す図。
【図5】図2の近接センサの配置例を示す他の図。
【図6】本実施形態に係るSPECT検査中における第1検出器、第2検出器、及び被検体の配置を所定角度毎に示す図。
【図7】本実施形態に係るSPECT検査中における第1検出器、第2検出器、及び被検体の軌道を示す図。
【図8】従来に係るSPECT検査中における第1検出器、第2検出器、及び被検体の配置を所定角度毎に示す図。
【図9】従来に係るSPECT検査中における第1検出器、第2検出器、及び被検体の軌道を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わるSPECT装置を説明する。
【0009】
図1は、本実施形態に係るSPECT装置1の構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係るSPECT装置1は、ガントリ(ガンマカメラ)2を備えている。ガントリ2は、回転機構3、相互間角度変更機構5、第1回転半径動機構7、第2回転半径動機構9、及びガントリ左右動機構11を有している。
【0010】
図2は、ガントリ2の概略的な斜視図である。図3は、本実施形態に係るガントリ2、検出器13,15、及び天板21の可動方向を模式的に示す図である。
【0011】
回転機構3は、2台の検出器、すなわち、第1検出器13と第2検出器15とを回転軸RR回りに回転可能に支持している。回転機構3は、機構制御部33からの駆動信号の供給を受けて、第1検出器13と第2検出器15とを回転軸RR回りに回転する。回転機構3は、具体的には、第1検出器13と第2検出器15とを搭載する回転リングにより実現される。回転リングが回転軸RR回りに回転することにより、第1検出器13と第2検出器15とが一体に回転される。
【0012】
本実施形態に係る再構成法は、180度分の投影データを利用する180度再構成法を対象とする。従って、回転開始角度から180度までの角度範囲の投影データが収集される。第1検出器13と第2検出器15とは、心臓検査の場合、約15分かけて定速で回転される。なお第1検出器13と第2検出器15とは、紙面上時計回りでも反時計回りでも何れの方向にも回転可能であるが、以下の説明を具体的に行うため、紙面時計回りに回転するとする。ここで、第1検出器13の検出面中心がガントリ2の最高地点に位置しているとき、回転リングの回転角度は0度であるとし、第1検出器13の検出面中心がガントリ2の最低地点に位置しているとき、回転リングの回転角度は180度であるとする。
【0013】
相互間角度変更機構5は、第1検出器13と第2検出器15との相互間角度を変更可能に支持している。相互間角度は、第1検出器13の基準点PD1と回転軸RRとを結ぶ第1回転半径軸R1と第2検出器15の基準点PD2と回転軸RRとを結ぶ第2回転半径軸R2との間の角度に規定される。相互間角度は、ユーザによる操作部39を介した指示、又はユーザにより手動で変更される。本実施形態において相互間角度変更機構5は、図3に示すように、180度再構成法のために、第1検出器13と第2検出器15とをL字型に固定されるように支持している。すなわち、相互間角度変更機構5は、第1回転半径軸R1と第2回転半径軸R2とが約90度で交わるように第1検出器13と第2検出器15とを支持している。各基準点PD1,PD2は、例えば、各検出器13,15の検出面の中心に規定される。例えば、相互間角度変更機構5は、回転リングに搭載され、回転リングの回転とは独立して稼動される。
【0014】
第1回転半径動機構7は、第1検出器13を第1回転半径軸R1に沿ってスライド可能に支持している。第1回転半径動機構7は、機構制御部33からの駆動信号の供給を受けて、第1検出器13を第1回転半径軸R1に沿ってスライドさせる。第2回転半径動機構9は、第2検出器15を第2回転半径軸R2に沿ってスライド可能に支持している。第2回転半径動機構9は、機構制御部33からの駆動信号の供給を受けて、第2検出器15を第2回転半径軸R2に沿ってスライドさせる。例えば、第1回転半径動機構7と第2回転半径動機構9とは、回転リングに搭載され、回転リングの回転とは独立して稼動される。
【0015】
ガントリ左右動機構11は、ガントリ2を中心軸と鉛直軸とに直交する軸(左右軸)に沿って移動可能に支持している。ガントリ左右動機構11は、機構制御部33からの駆動信号の供給を受けて、左右軸に沿ってガントリ2を移動(左右動)させる。
【0016】
ガントリ2の近傍には、寝台17が設置されている。寝台17は、天板上下動機構19を搭載している。天板上下動機構19は、天板21を鉛直軸RTに沿って移動(上下動)可能に支持している。天板上下動機構19は、機構制御部33からの駆動信号の供給を受けて、天板21を鉛直軸RTに沿って上昇又は下降させる。
【0017】
第1検出器13には第1近接センサ23が取り付けられ、第2検出器15には第2近接センサ25が取り付けられている。各近接センサ23,25は、検出器13,15に被検体の表面が近接していることを光学的又は磁気的に感知するセンサである。図4と図5とは、近接センサ23,25の配置例を示す図である。図4と図5とに示すように、例えば、近接センサ23,25は、被検体の表面を光学的に感知するための発光素子27と受光素子29とからなる。発光素子27と受光素子29とは、互いに対向するような配置で検出器13,15の検出面に取り付けられる。発光素子27としては、例えば、発光ダイオード(LED:light-emitting diode)が採用される。受光素子29としては、例えば、フォトトランジスタ等が採用される。発光素子27は、光を発生する。光としては、例えば、赤外線や紫外線等の光線が利用される。発生された光は、被検体の表面が接近する空間を伝播し、受光素子29に到達する。受光素子29は、発光素子27から発生された光を受光し、受光された光の強度に応じた電気信号を生成する。被検体が発光素子27からの光を遮る場合に受光素子29により生成される電気信号は、被検体が発光素子27からの光を遮えらない場合に受光素子29により生成される電気信号に比して強度が弱い。すなわち、近接センサ23,25は、発光素子27から発生される光の光路に被検体の表面が到達したことを感知することができる。生成された電気信号は、近接状態判定部31に供給される。
【0018】
近接状態判定部31は、第1近接センサ23からの電気信号に基づいて、第1検出器13の検出面と被検体の表面との間の距離(以下、検出面―体表面距離と呼ぶことにする。)が所定距離ht以下であるか否かを判定する。同様にして、近接状態判定部31は、第2近接センサ25からの電気信号に基づいて、第2検出器15の検出面―体表面距離が所定距離ht以下であるか否かを判定する。所定距離htは、例えば、図4に示すように、発光素子27から発生される光の検出面からの最大高さに設定される。所定距離は、最大高さ以下の如何なる値に設定可能である。所定距離は、発光素子27からの光の幅や、後述する閾値の値に応じて任意に変更可能である。判定処理について具体的に説明する。近接状態判定部31は、近接センサ23,25からの電気信号の強度が閾値よりも大きい場合、検出器13,15の検出面と被検体の表面との間の距離(以下、検出面―体表面距離と呼ぶことにする。)が所定距離htより長いと判定する。一方、近接状態判定部31は、近接センサ23,25からの電気信号の強度が閾値よりも小さい場合、検出面―体表面距離が所定距離htより短いと判定する。近接状態判定部31による判定結果のデータは、機構制御部33に供給される。
【0019】
機構制御部33は、回転機構3、相互間角度変更機構5、第1回転半径動機構7、第2回転半径動機構9、ガントリ左右動機構11、及び天板上下動機構19を駆動する。より詳細には、機構制御部33は、第1検出器13と第2検出器15との回転中(回転フレームの回転中)において、第1検出器13の検出面―体表面距離離と第2検出器15の検出面―体表面距離とを所定距離に維持するように、天板21の上下動と第1検出器13又は第2検出器15のスライドとを制御する。
【0020】
各検出器13,15は、被検体Pに投与されたシングルフォトン放出核種(RI)から放出されたシングルフォトンのガンマ線を検出し、検出されたガンマ線のフォトン数に応じたアナログの電気信号を生成する。生成された電気信号は、信号処理部35に供給される。
【0021】
信号処理部35は、電気信号に基づいてガンマ線の入射位置を計算し、計算された入射位置を表す位置データを生成する。また、信号処理部35は、電気信号に基づいてガンマ線のエネルギーを表すエネルギーデータを生成する。位置データに関連付けられたエネルギーデータは、投影データと呼ばれている。投影データは、再構成部37に供給される。
【0022】
再構成部37は、180度分の投影データに基づいて、被検体に投与されたRIの濃度分布を示す核医学画像のデータを再構成する。核医学画像のデータは、システム制御部45を介して記憶部41に供給される。
【0023】
操作部39は、入力機器を介したユーザからの各種指示を受け付ける。入力機器としては、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、モード切替スイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスが適宜利用可能である。
【0024】
記憶部41は、再構成部37により再構成された核医学画像のデータを記憶する。また、記憶部41は、本実施形態に係る機構制御の動作プログラムを記憶している。
【0025】
表示部43は、収集条件の設定画面や核医学画像等の種々の情報を表示機器に表示する。表示機器としては、例えばCRTディスプレイや、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等が適宜利用可能である。
【0026】
システム制御部45は、SPECT装置1の中枢として機能する。SPECT検査の準備が整うとユーザは、操作部39を介してSPECT検査の開始指示を入力する。操作部39を介して開始指示が入力されるとシステム制御部45は、記憶部41に記憶されている動作プログラムを読み出し、この動作プログラムに従って各機構制御部33を制御し、各機構3,5,7,9,11,19を動作させる。
【0027】
以下、機構制御部33の制御のもとに行われるSPECT装置1の動作を具体的に説明する。なお、本実施形態に係るSPECT検査は、如何なる検査部位にも適用可能であるが、説明を具体的に行うため検査部位は心臓であるとする。心臓検査においては、検査時間を短縮するため、上述の180度再構成法が頻繁に利用されている。
【0028】
また、回転リングの回転中、第1検出器13又は第2検出器15のいずれか一方が回転半径軸R1又はR2に沿ってスライドされる。以下の説明を具体的に行うため、機構制御部33は、回転リングの回転に連動して、第2検出器15の第2回転半径軸R2に沿うスライドを制御する。この場合、機構制御部33は、回転リングの回転中において第1検出器13の第1回転半径軸R1に沿う位置を固定している。
【0029】
なお、SPECT検査の開始時点において、ガントリ2の左右軸に沿う位置は、ガントリ左右動機構11により初期位置に設定されているとする。初期位置は、例えば、回転リングが90度又は270度に配置された状態において第1検出器13に被検体を近接させた場合におけるガントリ2の位置に設定される。ここで、近接とは、近接センサ23により被検体が感知されない程度に第1検出器13が被検体に接近している状態をいう。ガントリ2の左右軸に沿う位置は、回転リングの回転中において初期位置で固定される。
【0030】
図6は、SPECT検査中における第1検出器13、第2検出器15、及び被検体Pの配置を所定角度毎に示す図である。
【0031】
SPECT検査中において機構制御部33は、回転機構3を駆動して回転リングを回転させることにより第1検出器13と第2検出器15とを定速で回転させる。心臓検査の場合、例えば、回転リング(第1検出器13)は、225度から315度まで回転される。上述のように、第1検出器13と第2検出器15との相互間角度は略90度に固定されている。つまり、回転リングが225度から315度まで回転することにより、225度から315度+90度までの180度分の投影データが収集される。
【0032】
SPECT検査中において、近接センサ23,25は、所定時間間隔毎又は連続的に、近接状態判定のための電気信号を近接状態判定部31に供給する。近接状態判定部31は、第1近接センサ23から電気信号が供給される毎に第1検出器13の検出面―体表面距離が所定距離以下でるか否かを判定し、第2近接センサ25から電気信号が供給される毎に第2検出器15の検出面―体表面距離が所定距離以下であるか否かを判定する。
【0033】
回転リングの回転に連動して機構制御部33は、各検出器13,15と被検体との間の距離が所定距離を維持するように、天板上下動機構19を駆動して天板21を上昇又は下降させる。具体的には、機構制御部33は、近接状態判定部31により第1検出器13の検出面―体表面距離が所定距離よりも長いと判定された場合、第1検出器13が被検体に接近するように天板21を上昇又は下降させる。一方、機構制御部33は、近接状態判定部31により第1検出器13の検出面―体表面距離が所定距離よりも短いと判定された場合、第1検出器13が被検体から離反するように天板21を上昇又は下降させる。同様にして、機構制御部33は、近接状態判定部31により第2検出器15の検出面―体表面距離が所定距離よりも長いと判定された場合、第2検出器15が被検体に接近するように天板21を上昇又は下降させる。一方、機構制御部33は、近接状態判定部31により第2検出器15の検出面―体表面距離が所定距離よりも短いと判定された場合、第2検出器15が被検体から離反するように天板21を上昇又は下降させる。
【0034】
また、回転リングの回転に連動して機構制御部33は、各検出器13,15の検出面―体表面距離が所定距離を維持するように、第2回転半径動機構9を駆動して第2検出器15を第2回転半径軸R2に沿ってスライドさせる。具体的には、機構制御部33は、各検出器13,15の検出面―体表面距離が所定距離を維持するように、近接状態判定部31からの判定結果に応じた方向に第2検出器15を第2回転半径軸R2に沿ってスライドさせる。例えば、機構制御部33は、第2検出器15の検出面―体表面距離が所定距離よりも長いと判定された場合、第2検出器15が被検体に接近するように、すなわち、第2検出器15を交点に向けて第2回転半径軸R2に沿ってスライドさせる。一方、機構制御部33は、第2検出器15の検出面―体表面距離が所定距離よりも短いと判定された場合、第2検出器15が被検体から離反するように、すなわち、第2検出器を交点から遠ざけるように第2回転半径軸に沿ってスライドさせる。
【0035】
このようにして機構制御部33は、近接センサ23,25からの電気信号を利用して、各検出器13,15の検出面―体表面距離が所定距離を維持するように、回転リングの回転に連動して天板上下動機構19と第2回転半径動機構9とをフィードバック制御する。近接センサ23,25を利用したフィードバック制御により、検出器13,15は、被検体Pに接触せずにできるだけ接近させた状態でガンマ線を検出することができる。これにより核医学画像の画質を向上させることができる。
【0036】
なお、第1回転半径軸R1と第2回転半径軸R2との交点ISは、第2検出器15の第2回転半径軸R2に沿うスライドに因らず、物理空間上において不動である。また、第1検出器13は、相互間角度変更機構5により、第2検出器15の第2回転半径軸R2に沿うスライドを妨げない位置に固定されている。
【0037】
次に図7を参照しながら、本実施形態に係る効果について説明する。図7は、SPECT検査中における第1検出器13、第2検出器15、及び被検体Pの軌道を示す図である。図7に示すように、機構制御部33は、回転リングの回転に連動して、天板21を上下動させ、第2検出器15を第2回転半径軸R2にスライドしている。すなわち、被検体は、天板21の上下動に伴って上下に動くが左右に動かない。これは、図9と比較すれば明瞭なように、従来のように本実施形態に係るSPECT装置1がガントリ2又は天板21を左右に動かしていないことに起因している。
【0038】
上述のように本実施形態に係るSPECT装置1がSPECT検査中において被検体に与える動作は、上下動のみである。従ってSPECT装置1は、従来に比べて、被検体に対する心理的圧迫を軽減することができる。
【0039】
また本実施形態に係るSPECT装置1は、従来装置において必要であった、ガントリ2の左右動と回転リングの回転との連動制御を必要としない。従ってSPECT装置1は、大重量のガントリを高精度に左右動させるための複雑な制御が不要である。この場合、本実施形態に係るSPECT装置1によれば、設計次第ではガントリ左右動機構のモータ駆動を設置しなくともよい。このためSPECT装置1は、従来装置に比べて、ガントリの構造を簡略化することができる。また、従来装置において、ガントリ左右動機構の代わりに天板21を左右動させるための天板左右動機構が設けられる場合がある。この場合であっても、SPECT装置1は、天板21の左右動と回転リングとの連動制御を必要としないので、従来装置に比べて、寝台の構造を簡略化することができる。
【0040】
かくして本実施形態によれば、検査中における被検体に対する心理的圧迫が少ないSPECT装置を提供することが可能となる。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0042】
1…SPECT装置、2…ガントリ、3…回転機構、5…相互間角度変更機構、7…第1半径動機構、9…第2半径動機構、11…ガントリ左右動機構、13…第1検出器、15…第2検出器、17…寝台、19…天板上下動機構、21…天板、23…第1近接センサ、25…第2近接センサ、27…発光素子、29…受光素子、31…近接状態判定部、33…機構制御部、35…信号処理部、37…再構成部、39…操作部、41…記憶部、43…表示部、45…システム制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体が載置される天板と、
前記天板を上下動可能に支持する天板支持機構と、
前記被検体からのガンマ線を検出する第1検出器と、
前記被検体からのガンマ線を検出する第2検出器と、
前記第1検出器と前記第2検出器とを中心軸の回りに回転可能に支持する第1支持機構と、
前記第1検出器の検出面中心と前記中心軸とを結ぶ第1回転半径軸と前記第2検出器の検出面中心と前記中心軸とを結ぶ第2回転半径軸とが略90度で交わるように前記第1検出器と前記第2検出器とを支持する第2支持機構と、
前記第2検出器を前記第2回転半径軸に沿って移動可能に支持する第3支持機構と、
前記第1検出器と前記第2検出器との回転中において前記第1検出器及び前記第2検出器と前記被検体との間の距離を一定値に維持するように、前記天板の上下動と前記第2検出器の前記第2回転半径軸に沿う移動とを制御する制御部と、
を具備するSPECT装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1検出器の前記第1回転半径軸に沿う位置を固定し、前記第2検出器の前記第2回転半径軸に沿って移動させる、請求項1記載のSPECT装置。
【請求項3】
前記第1検出器又は前記第2検出器の検出面と前記被検体の表面との間の距離が前記一定値以下であるか否かを判定する判定部をさらに備え、
前記制御部は、前記距離が前記一定値以下であると判定された場合、前記第1検出器又は前記第2検出器が前記被検体から離反するように、前記距離が前記一定値以下でないと判定された場合、前記第1検出器又は前記第2検出器が前記被検体に近接するように、前記第1検出器又は前記第2検出器を前記第1回転半径軸又は前記第2回転半径軸に沿ってスライドさせる、
請求項1記載のSPECT装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−220305(P2012−220305A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85450(P2011−85450)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】