説明

X線撮影画像処理装置

【課題】 X線画像の幾何変換に対する切り出し領域の連動を適切に行うことにより、X線画像処理のユーザーの利便性を向上させることを目的とする。
【解決手段】 X線撮影画像と当該X線撮影画像の切り出し領域とを表示手段に表示させる表示制御手段と、前記表示手段に表示された前記X線撮影画像を幾何変換させる第一の幾何変換手段と、前記第一の幾何変換手段の幾何変換に連動して、前記表示手段に表示された前記切り出し領域を幾何変換させる第二の幾何変換手段と、前記X線撮影画像の撮影条件に基づき、前記第二の幾何変換手段による幾何変換を制限する制限手段と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線撮影画像に対して画像処理を行うX線撮影画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルX線撮影技術が向上し、X線フィルムが不要なデジタルX線撮影装置が普及している。デジタルX線撮影装置では、被写体を透過したX線をデジタルX線検出器で検出し、デジタルX線画像を取得する。取得されたデジタルX線画像は、モニタなどに表示され、医師の診断などに使用される。
モニタに表示されたデジタルX線画像はデジタル画像であるため、様々な画像処理などの変換処理を容易に行うことが出来る。例えば、診断において重要なX線画像上の箇所へのアノテーション情報の付加や、診断に必要な領域のみをX線画像から切り出す処理が行われている。X線画像から所定の領域を切り出す技術として、特許文献1には、被検査体に応じて、X線画像から切り出す領域を決定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−177215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている技術では、被検査体に応じて、適切な切り出し領域を設定することが可能である。
【0005】
しかし、モニタに表示されたX線画像に対して反転や回転処理を行った場合、X線画像と切り出し領域との相対位置がずれてしまう。このため、一般的には、X線画像に対して反転や回転処理を行った場合、連動して切り出し領域も反転や回転処理を行うことが行われている。
【0006】
ただし、一方で、X線画像が定期健診用である場合、複数の被験者のX線画像を一律に管理するため、切り出し領域を固定しておきたいという要望もある。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、X線画像の幾何変換に対する切り出し領域の連動を適切に行うことにより、X線画像処理のユーザーの利便性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
X線撮影画像と当該X線撮影画像の切り出し領域とを表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記表示手段に表示された前記X線撮影画像を幾何変換させる第一の幾何変換手段と、
前記第一の幾何変換手段の幾何変換に連動して、前記表示手段に表示された前記切り出し領域を幾何変換させる第二の幾何変換手段と、
前記X線撮影画像の撮影条件に基づき、前記第二の幾何変換手段による幾何変換を制限する制限手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、X線画像の幾何変換に対する切り出し領域の連動を適切に行うことにより、X線画像処理のユーザーの利便性を向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態におけるX線画像処理装置の概略を示す図である。
【図2】本実施形態における撮影制御部の機能構成を示す図である。
【図3】本実施形態におけるX線画像の切り出し領域の設定画面を示す図である。
【図4】本実施形態における照射野認識領域基準の固定位置切り出しを説明する図である。
【図5】本実施形態におけるX線画像全体基準の固定位置切り出しを説明する図である。
【図6】本実施形態におけるX線画像の確認画面を示す図である。
【図7】本実施形態におけるX線画像内の切り出し領域の変更画面を示す図である。
【図8】X線画像の画像回転により画像切り出しを行う場合の処理手順を示したフローチャート図である。
【図9】X線画像の画像反転により画像切り出しを行う場合の処理手順を示したフローチャート図である。
【図10】画像全体基準の固定位置切り出し状態にある画像を右回転した場合の切り出し領域を示した図である。
【図11】照射野認識領域基準の固定位置切り出し状態にある画像を右回転した場合の切り出し領域を示した図である。
【図12】画像全体基準の固定位置切り出し状態にある画像を上下反転した場合の切り出し領域を示した図である。
【図13】照射野認識領域基準の固定位置切り出し状態にある画像を上下反転した場合の切り出し領域を示した図である。
【図14】固定位置ボタン押下により固定位置切り出しを行う場合の処理手順を示したフローチャート図である。
【図15】右回転90度、左右反転状態にあり、固定位置基準が画像全体基準である画像に対し固定位置ボタン押下で固定位置切り出しした場合の切り出し領域を示した図である。
【図16】右回転90度、左右反転状態にあり、固定位置基準が照射野認識領域基準である画像に対し固定位置ボタン押下で固定位置切り出しした場合の切り出し領域を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第一の実施形態)
以下、本発明を実施可能な実施形態について説明する。
【0012】
図1は、本実施形態におけるX線撮影画像処理装置の概略を示す図である。
【0013】
本実施形態におけるX線撮影画像処理装置は、X線管101を制御するX線管制御部102と、X線検出手段であるX線検出器ユニット103を制御するX線検出器制御部104と、X線管制御部102およびX線検出器制御部104を制御する撮影制御部105から構成される。
【0014】
撮影制御部105は、画像データに関する画像処理や、モニタ106へ画像を表示する画像表示処理や、画像の保存処理なども行われる。107はネットワークであり、画像データは撮影制御部105からネットワーク107を介して不揮発性記憶装置108やプリンタ109へ出力される。次に、上記画像処理に関して、撮影制御部105の機能構成について説明する。図2は、本実施形態における撮影制御部105の機能構成を示す図である。
【0015】
201は、X線画像の回転指示や反転指示を行う幾何変換指示部201である。
202は、X線画像の画像回転処理や画像反転処理を行う画像処理部202である。
203は、X線画像の切り出し領域を決定する切り出し領域決定部203である。
204は、切り出し設定を記憶する切り出し設定記憶部204である。
205は、切り出し領域を記憶する切り出し領域記憶部205である。
206は、切り出し領域が固定位置切り出し状態であるか否かを記憶する固定位置切り出し状態記憶部206である。
【0016】
本実施形態におけるX線画像処理は、上記機構構成により実行される。
【0017】
幾何変換指示部201は、画像処理部202と切り出し領域決定部203へ回転指示や反転指示を行う機能を有する。また、画像処理部202は、幾何変換指示部201の回転指示や反転指示を受けて画像の回転や反転処理を行う機能を有する。
【0018】
切り出し領域決定部203は、幾何変換指示部201の回転指示や反転指示を受けて、切り出し設定記憶部204、切り出し領域記憶部205、固定位置切り出し状態記憶部206それぞれに記憶されている情報を取得する。
【0019】
そして、取得された情報に基づき切り出し領域を決定し、決定した切り出し領域を切り出し領域記憶部205へ出力する。
【0020】
切り出し領域記憶部205は、切り出し領域決定部203から出力された切り出し領域を受け取り、記憶する。尚上記各構成の主な処理は、各処理を実行するためのコンピュータプログラムが格納された記録媒体から当該コンピュータプログラムを読み出し、実行することによって達成される。
【0021】
次に、ユーザーによる切り出し領域の設定について説明する。
【0022】
図3は、本実施形態におけるX線画像の切り出し領域の設定画面を示す図である。図3は、撮影プロトコルにプリセットされている設定情報の編集画面の内のひとつで、画像の切り出し方を設定することが可能になっている。
【0023】
本実施形態における撮影プロトコルとは、X線撮影するための様々な条件がプリセットされたものである。具体的には、X線検出器を制御するための制御情報、X線管制御部を制御するための制御情報、更には、撮影制御部で撮影した結果の画像に対する画像処理条件や画像を表示するための表示条件などの情報が含まれる。
【0024】
また、X線検出器が複数存在する場合もあるためX線検出器を特定するための情報およびX線検出器の縦横方向の向きなどがある。特に、画像切り出し位置については、切り出し位置合わせの基準、アライメント、切り出しサイズなどをあらかじめ設定することができる。
【0025】
301は、撮影後の画像切り出し領域を設定するための切り出し方法選択ボックス301を示す。ユーザーは、切り出し方法選択ボックス301から切り出しをどのように行うかを選択することが出来る。選択される項目は、照射野認識領域、画像全面、X線検出器読み取りエリア、固定である。
【0026】
302は、固定で切り出しを行う場合の基準位置を選択するための固定位置基準選択ボックス302である。切り出し方法選択ボックス301で切り出し方法を固定に設定した場合、ユーザーは、固定位置基準選択ボックス302からどこを基準に固定切り出しを行うかを選択する。選択される項目は、照射野認識領域、画像全体である。尚、後述するが、照射野認識領域を選択した場合、表示されるX線画像に対する回転・反転などの第一の幾何変換処理を行った場合、当該幾何変換に連動して切り出し領域に対しても回転・反転などの第二の幾何変換処理を行う。一方、画像全体を選択した場合、切り出し領域に対しても回転・反転などの第二の幾何変換処理は行わない。上記選択は、ユーザー指示によって行われるものとして説明したが、撮影モードなどの撮影条件に応じて自動的に設定するようにしてもよい。例えば、定期健診などでX線撮影を行う場合、X線画像を一律に管理するため、切り出し領域を固定にしておきたい場合もある。よって、不図示の設定画面でユーザーが定期健診モードでX線撮影を行うことを選択した場合、自動的に画像全体を固定切り出し基準にしてもよい。
【0027】
303は、固定で切り出しを行う場合にどの位置に合わせて切り出するかを選択するアライメント選択ボックス303である。選択される項目は、左上合わせ、上合わせ、右上合わせ、左中央合わせ、中央合わせ、右中央合わせ、左下合わせ、下合わせ、右下合わせの9種類である。
【0028】
最終的に合わせられる位置は固定位置基準選択ボックス302により選択される固定位置基準によって異なる。
【0029】
図4は、照射野認識領域基準の固定位置切り出しを説明する図である。また、X線画像全体基準の固定位置切り出しを説明する図である。
【0030】
例えば、上合わせであれば、照射野認識領域の上辺に切り出し位置の上辺を合わせ、水平位置を中央にする。固定位置基準が画像全体である場合、図5に示すように、画像全体の領域に対して位置合わせする。例えば、上合わせであれば、画像の上辺に切り出し位置の上辺を合わせ、水平位置を中央にする。
【0031】
304は、固定で切り出しを行う場合の切り出しサイズを設定するための固定サイズ入力ボックス304である。ユーザーは、固定サイズ入力ボックス304で、X線検出器ユニットの正位置対する幅×高さをピクセル単位で入力する。入力上限はX線検出器ユニットのサイズである。
【0032】
図3の画面での変更内容は、ユーザーがOKボタン305を押下することにより確定し、切り出し設定記憶部204へ保存した後、図3の画面の処理は終了する。図3における選択結果は、後の幾何変換における処理に用いられる。
【0033】
尚、ユーザーがキャンセルボタン306を押下すると、変更内容を無効にして図3の画面の処理は終了する。
【0034】
次に、図3における処理の終了後、撮影画像の確認、幾何変換および各種画像処理を行う処理について説明する。
【0035】
図6は、撮影画像の確認および、画像に対する幾何変換や各種画像処理を行う画面を示す図である。尚、図3で示した画面の設定は、X線画像の撮影前にあらかじめ行っておけば、X線画像の撮影直後に再設定を行わなくてもよい。
【0036】
よって、X線画像を撮影する場合、図示しない撮影準備画面にて撮影プロトコルを選択し撮影を行い、撮影後、通常は図6の画像確認画面へ自動的に遷移する。
【0037】
601は、表示されるX線画像の患者情報を表示する患者情報表示部601である。
602は、撮影されたX線画像を表示制御手段により表示する画像表示部602である。
603は、撮影されたX線画像の切り出し領域を示す切り出し枠603である。
【0038】
前述した通り、図3で示した画面の設定をあらかじめ行っておけば、撮影後、通常は撮影プロトコルにプリセットされている切り出し設定に基づき自動的に画像切り出しを行い、切り出した領域を切り出し枠603により表示する。
【0039】
切り出し方法が照射野認識領域の場合は、照射野認識領域の外接四角形を切り出し、固定位置切り出し状態記憶部206へは、固定位置切り出し状態ではないと保存する。
【0040】
切り出し方法が全面の場合は画像全面を切り出し、固定位置切り出し状態記憶部206へは固定位置切り出し状態ではないと保存する。
【0041】
切り出し方法がX線検出器読み取りエリアの場合は、X線検出器の読み取りエリアを切り出し、固定位置切り出し状態記憶部206へは固定位置切り出し状態ではないと保存する。
【0042】
切り出し方法に固定が選択されている場合は、撮影プロトコルにプリセットされている固定切り出し設定に基づいた固定位置を切り出し、固定位置切り出し状態記憶部206へは固定位置切り出し状態であると保存する。
【0043】
図6の画面では、各種幾何変換や画像処理を行うための操作ツール群が用意されている。
【0044】
画像を右回転する右回転ボタン604、画像を左回転する左回転ボタン605、画像を左右反転する左右反転ボタン606、画像を上下反転する上下反転ボタン607があり、ボタン押下により画像に対しそれぞれ対応する幾何変換処理を行う。
【0045】
また、画像切り出しの処理も再度併せて行うことが可能である。切り出し領域の変更を行うには、切り出し領域変更ボタン608を押下する。
【0046】
図7は、本実施形態におけるX線画像内の切り出し領域の変更画面を示す図である。
【0047】
図6の画面において、切り出し領域変更ボタン608を押下すると、図7に示す切り出し領域変更画面へ遷移する。
【0048】
701は、図6の601と同様に患者情報表示部であり、702は図6の602と同様の画像表示部であり、703は図6の603と同様の切り出し枠である。
【0049】
照射野認識領域ボタン704が押下されると、照射野認識領域の外接四角形を切り出し、固定位置切り出し状態でなくなる。画像全面ボタン705が押下されると、画像全面を切り出し、固定位置切り出し状態でなくなる。
【0050】
ユーザーにより固定位置ボタン706が押下されると、撮影プロトコルにプリセットされている固定切り出し設定に基づいた固定位置を切り出し、固定位置切り出し状態になる。
【0051】
707は切り出し枠移動ボタンであり、押下したボタンが示す方向へ切り出し枠を移動する。切り出し枠703は、マウスやタッチパネルのドラッグ操作により直接掴んで移動させることもできる。
【0052】
いずれにしろ移動可能範囲は画像領域内であり、移動後、固定位置切り出し状態でなくなる。また、切り出し枠703は、任意にサイズ変更することができる。
【0053】
切り出し枠703の四隅のいずれか、または四辺中央のいずれかをドラッグ操作することによりサイズ変更できる。サイズ変更後は、固定位置切り出し状態でなくなる。
【0054】
画像領域上の任意位置に対し始点、終点を指定することで、新たに切り出し枠703を設定する方法もあり、この方法で切り出した後固定位置切り出し状態でなくなる。
【0055】
切り出し領域の変更内容はOKボタン709の押下により確定し、図6の画像確認画面へ戻る。
【0056】
確定時、切り出し領域を切り出し領域記憶部205へ保存し、固定位置切り出し状態であるか否かを固定位置切り出し状態記憶部206へ保存する。
【0057】
キャンセルボタン708を押下すると変更内容を無効にして図6の画像確認画面へ戻る。
【0058】
図6の検査終了ボタン609を押下すると、切り出し枠603の領域の画像をPACS、及びフィルムイメージャーへ画像出力処理を行い、検査終了する。
【0059】
次に、画像回転により画像切り出しを行う処理を説明する。画像回転により画像切り出しを行う場合のフローチャートを図8に示す。
【0060】
(ステップS801)ステップS801では、右回転ボタン604または左回転ボタン605が押下され、幾何変換指示部201は切り出し領域決定部203へ回転指示を行う。回転指示が行われた場合、ステップS802へ処理を進める。
【0061】
(ステップS802)ステップS802では、切り出し領域決定部203は、固定位置切り出し状態記憶部206より切り出し領域が固定位置切り出し状態であるか否かの情報を読み出し、ステップS803へ進む。
【0062】
尚、切り出し方法が固定にプリセットされている撮影プロトコルで画像撮影し、撮影直後自動的に固定位置切り出しを行い、その後図7の切り出し領域編集画面で切り出し領域が編集されていなければ固定位置切り出し状態であると記憶され、図7の切り出し領域編集画面で固定位置ボタン706の押下により固定位置切り出ししていれば固定位置切り出し状態であると記憶される。
【0063】
切り出し方法が固定以外にプリセットされている撮影プロトコルで画像撮影し、撮影直後自動的に固定位置切り出し以外、即ち照射野認識領域、画像全面、X線検出器読み取りエリアで切り出しを行っていれば固定位置切り出し状態ではないと記憶され、切り出し領域編集画面で照射野認識領域ボタン704や画像全面ボタン705を押下して固定位置以外の切り出し領域にしたり、切り出し領域移動ボタン707の押下で切り出し枠703を移動したり、切り出し枠703のドラッグ操作で切り出し枠703を移動したり、サイズ変更した場合は固定位置切り出し状態ではないと記憶される。
【0064】
(ステップS803)ステップS803では、ステップS802で読み出した情報により、切り出し領域が固定位置切り出し状態であればステップS804へ進み、固定位置切り出し状態でなければステップS807へ進む。つまり、読み出した情報に基づき、X線撮影画像の幾何変換に切り出し領域の幾何変換を連動させるか否かを判定して、切り出し領域の幾何変換を制限している。
【0065】
(ステップS804)ステップS804では、切り出し領域決定部203は切り出し設定記憶部204から切り出し設定を読み出し、ステップS805へ進む。
【0066】
(ステップS805)ステップS805では、切り出し領域決定部203はステップS804で読み出した切り出し設定の固定位置基準が照射野認識領域であるか画像全体であるかを判断する。照射野認識領域基準であればステップS807へ進み、画像全体基準であればステップS806へ進む。
【0067】
(ステップS806)ステップS806では、ステップS804で読み出した切り出し設定に基づき、切り出し領域決定部203が切り出し領域を初期状態にする。
【0068】
例えば、撮影プロトコルにプリセットされている切り出し設定が画像全体基準の上合わせであれば、図10に示すように回転した画像に対して切り出し領域の上辺を合わせ、水平位置を中央にする。切り出し設定の固定サイズは画像回転に連動せず、設定通りの幅×高さで切り出す。ステップS806における切り出し処理後、ステップS809へ進む。
【0069】
(ステップS807)ステップS807では、切り出し領域決定部203は切り出し領域記憶部205から切り出し領域を読み出し、ステップS808へ進む。
【0070】
(ステップS808)ステップS808では、切り出し領域決定部203がステップS807で読み出した切り出し領域を、ステップS801の画像回転方向に合わせて回転移動する。例えば、図11に示すように、画像右回転に合わせ切り出し領域を回転移動する。ステップS808で切り出し領域を回転移動後、ステップS809へ進む。
【0071】
(ステップS809)ステップS809では、ステップS806やステップS808により決定された切り出し領域を、切り出し領域決定部203が切り出し領域記憶部205へ出力し、切り出し領域記憶部205は切り出し領域決定部203から出力された切り出し領域を記憶する。
【0072】
次に、X線画像の画像反転により画像切り出しを行う場合の処理を説明する。
【0073】
図9は、X線画像の画像反転により画像切り出しを行う場合の処理のフローチャートである。
【0074】
(ステップS901)ステップS901では、左右反転ボタン606または上下反転ボタン607が押下され、幾何変換指示部201は切り出し領域決定部203へ反転指示する。幾何変換指示部201より反転指示を受けた場合、ステップS902に処理を進める。
【0075】
(ステップS902)ステップS902では、切り出し領域決定部203が、固定位置切り出し状態記憶部206より切り出し領域が固定位置切り出し状態であるか否かの情報を読み出し、ステップS903へ進む。尚、切り出し方法が固定にプリセットされている撮影プロトコルで画像撮影し、撮影直後自動的に固定位置切り出しを行い、その後図7の切り出し領域編集画面で切り出し領域が編集されていなければ固定位置切り出し状態であると記憶され、図7の切り出し領域編集画面で固定位置ボタン706の押下により固定位置切り出ししていれば固定位置切り出し状態であると記憶される。
【0076】
切り出し方法が固定以外にプリセットされている撮影プロトコルで画像撮影し、撮影直後自動的に固定位置切り出し以外、即ち照射野認識領域、画像全面、X線検出器読み取りエリアで切り出しを行っていれば固定位置切り出し状態ではないと記憶されて、切り出し領域編集画面で照射野認識領域ボタン704や画像全面ボタン705を押下して固定位置以外の切り出し領域にしたり、切り出し領域移動ボタン707の押下で切り出し枠703を移動したり、切り出し枠703のドラッグ操作で切り出し枠703を移動したりサイズ変更したりした場合は固定位置切り出し状態ではないと記憶される。
【0077】
(ステップS903)ステップS903では、ステップS902で読み出した情報により、切り出し領域が固定位置切り出し状態であればステップS904へ進み、固定位置切り出し状態でなければステップS907へ進む。つまり、読み出した情報に基づき、X線撮影画像の幾何変換に切り出し領域の幾何変換を連動させるか否かを判定して、切り出し領域の幾何変換を制限している。
【0078】
(ステップS904)ステップS904では、切り出し領域決定部203は切り出し設定記憶部204から切り出し設定を読み出し、ステップS905へ進む。
【0079】
(ステップS905)ステップS905では、切り出し領域決定部203はステップS904で読み出した切り出し設定の固定位置基準が照射野認識領域であるか画像全体であるかを判断する。
【0080】
照射野認識領域基準であればステップS907へ進み、画像全体基準であればステップS906へ進む。
【0081】
(ステップS906)ステップS906では、ステップS904で読み出した切り出し設定に基づき、切り出し領域決定部203が切り出し領域を初期状態にする。
【0082】
例えば撮影プロトコルにプリセットされている切り出し設定が画像全体基準の上合わせであれば、図12に示すように反転した画像に対して切り出し領域の上辺を合わせ、水平位置を中央にする。
【0083】
切り出し設定の固定サイズは画像反転に連動せず、設定通りの幅×高さで切り出す。ステップS906で切り出し後、ステップS909へ進む。
【0084】
(ステップS907)ステップS907では、切り出し領域決定部203は切り出し領域記憶部205から切り出し領域を読み出し、ステップS908へ進む。
【0085】
(ステップS908)ステップS908では、切り出し領域決定部203がステップS907で読み出した切り出し領域を、ステップS901の画像回転方向に合わせて反転移動する。
【0086】
例えば図13に示すように、画像上下反転に合わせ切り出し領域を反転移動する。ステップS908で切り出し領域を回転移動後、ステップS909へ進む。
【0087】
(ステップS909)ステップS909では、ステップS906やステップS908により決定された切り出し領域を、切り出し領域決定部203が切り出し領域記憶部205へ出力し、切り出し領域記憶部205は切り出し領域決定部203から出力された切り出し領域を記憶する。
【0088】
固定位置ボタン706の押下により固定位置を切り出す場合のフローチャートを図14に示す。
【0089】
(ステップS1401)ステップS1401では、固定位置ボタン706が押下される。固定位置ボタン706の押下を受けて、ステップS1402では切り出し領域決定部203が切り出し設定記憶部204から切り出し設定を読み出し、ステップS1403へ進む。
【0090】
(ステップS1403)ステップS1403で、切り出し領域決定部203はステップS1402で読み出した切り出し設定の固定位置基準が照射野認識領域であるか画像全体であるかを判断する。つまり、読み出した情報に基づき、X線撮影画像の幾何変換に切り出し領域の幾何変換を連動させるか否かを判定して、切り出し領域の幾何変換を制限している。
【0091】
照射野認識領域基準であればステップS1405へ進み、画像全体基準であればステップS1404へ進む。
【0092】
(ステップS1404)ステップS1404では、ステップS1402で読み出した切り出し設定に基づき、切り出し領域決定部203が切り出し領域を初期状態にする。
【0093】
例えば撮影プロトコルにプリセットされている切り出し設定が画像全体基準の上合わせであれば、図15に示すように右回転90度、左右反転状態にある画像に対して切り出し領域の上辺を合わせ、水平位置を中央にする。
【0094】
切り出し設定の固定サイズは画像の回転反転状態に連動せず、設定通りの幅×高さで切り出す。
【0095】
(ステップS1405)ステップS1405では、ステップS1402で読み出した切り出し設定に基づき、切り出し領域決定部203が切り出し領域をまず初期状態にし、次に画像の現在の回転反転状態に連動させて切り出し領域を回転移動及び反転移動する。
【0096】
例えば撮影プロトコルにプリセットされている切り出し設定が照射野認識領域基準の上合わせであれば、図16に示すように、まず切り出し設定通りに照射野認識領域に対し中央上合わせした後、画像が右回転90度、左右反転状態にあるので、切り出し領域を右回転90度移動、左右反転移動する。
【0097】
即ちこの切り出し領域は、切り出し方法が固定、固定位置基準が照射野認識領域、アライメントが上合わせが初期状態である切り出し領域を右回転90度操作、左右反転操作したものに等しい。
【0098】
上記の各工程は、ネットワーク又は各種記憶媒体を介して取得したソフトウエア(プログラム)をパソコンなどの処理装置(CPU、プロセッサ)にて実行することでも実現できる。
【符号の説明】
【0099】
101 X線管
102 X線管制御部
103 X線検出器ユニット
104 X線検出器制御部
105 撮影制御部
106 モニタ
107 ネットワーク
108 不揮発性記憶装置
109 プリンタ
201 幾何変換指示部
202 画像処理部
203 切り出し領域決定部
204 切り出し設定記憶部
205 切り出し領域記憶部
206 固定位置切り出し状態記憶部
301 切り出し方法選択ボックス
302 固定位置基準選択ボックス
303 アライメント選択ボックス
304 固定サイズ入力ボックス
305 OKボタン
306 キャンセルボタン
601 患者情報表示部
602 画像表示部
603 切り出し枠
604 右回転ボタン
605 左回転ボタン
606 左右反転ボタン
607 上下反転ボタン
608 切り出し領域変更ボタン
609 検査終了ボタン
701 患者情報表示部
702 画像表示部
703 切り出し枠
704 照射野認識領域ボタン
705 画像全面ボタン
706 固定位置ボタン
707 切り出し領域移動ボタン
708 キャンセルボタン
709 OKボタン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線撮影画像と当該X線撮影画像の切り出し領域とを表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記表示手段に表示された前記X線撮影画像を幾何変換させる第一の幾何変換手段と、
前記第一の幾何変換手段の幾何変換に連動して、前記表示手段に表示された前記切り出し領域を幾何変換させる第二の幾何変換手段と、
前記X線撮影画像の撮影条件に基づき、前記第二の幾何変換手段による幾何変換を制限する制限手段と、を有することを特徴とするX線撮影画像処理装置。
【請求項2】
前記第一の幾何変換手段による幾何変換は、前記X線撮影画像の回転処理であり、
前記第二の幾何変換手段による幾何変換は、前記切り出し領域の回転処理であることを特徴とする請求項1に記載のX線撮影画像処理装置。
【請求項3】
前記第一の幾何変換手段による幾何変換は、前記X線撮影画像の反転処理であり、
前記第二の幾何変換手段による幾何変換は、前記切り出し領域の反転処理であることを特徴とする請求項1に記載のX線撮影画像処理装置。
【請求項4】
前記切り出し領域を、画像全体を基準として固定するか照射野認識領域を基準で固定するかを選択する選択手段を有し、
前記制限手段は、前記選択手段の選択結果に基づき、前記第二の幾何変換手段による幾何変換を制限することを特徴とする請求項1に記載のX線撮影画像処理装置。
【請求項5】
前記選択手段は、ユーザー指示に基づき、画像全体を基準として固定するか照射野認識領域を基準で固定するかを選択することを特徴とする請求項1に記載のX線撮影画像処理装置。
【請求項6】
前記制限手段は、前記X線撮影画像が定期健診モードで撮影された画像である場合、前記第二の幾何変換手段による幾何変換を制限することを特徴とする請求項1に記載のX線撮影画像処理装置。
【請求項7】
X線撮影画像と当該X線撮影画像の切り出し領域とを表示手段に表示させる表示制御工程と、
前記表示手段に表示された前記X線撮影画像を幾何変換させる第一の幾何変換工程と、
前記第一の幾何変換工程における幾何変換に連動して、前記表示手段に表示された前記切り出し領域を幾何変換させる第二の幾何変換工程と、
前記X線撮影画像の撮影条件に基づき、前記第二の幾何変換工程における幾何変換を制限する制限工程と、を有することを特徴とするX線撮影画像処理方法。
【請求項8】
コンピュータを、
X線撮影画像と当該X線撮影画像の切り出し領域とを表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記表示手段に表示された前記X線撮影画像を幾何変換させる第一の幾何変換手段と、
前記第一の幾何変換手段の幾何変換に連動して、前記表示手段に表示された前記切り出し領域を幾何変換させる第二の幾何変換手段と、
前記X線撮影画像の撮影条件に基づき、前記第二の幾何変換手段による幾何変換を制限する制限手段と、を有することを特徴とするX線撮影画像処理装置として機能させるためのコンピュータプログラム。
【請求項9】
コンピュータを、
X線撮影画像と当該X線撮影画像の切り出し領域とを表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記表示手段に表示された前記X線撮影画像を幾何変換させる第一の幾何変換手段と、
前記第一の幾何変換手段の幾何変換に連動して、前記表示手段に表示された前記切り出し領域を幾何変換させる第二の幾何変換手段と、
前記X線撮影画像の撮影条件に基づき、前記第二の幾何変換手段による幾何変換を制限する制限手段と、を有することを特徴とするX線撮影画像処理装置として機能させるためのコンピュータプログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−39199(P2013−39199A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177131(P2011−177131)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】