説明

トウモロコシのMIPシンターゼプロモーター

【課題】植物の遺伝子工学に有用なDNA配列および構築物の提供。
【解決手段】トウモロコシのミオ-イノシトール-1-リン酸シンターゼ(MIPシンターゼ)遺伝子およびMIPシンターゼ遺伝子をコードする単離されたDNA配列、およびトランスジェニック植物の胚組織に由来する新規な胚特異的調節配列は、種々の核酸配列の発現を駆動するために使用することができるため、植物の遺伝子工学に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、植物の遺伝子工学に有用なDNA配列および構築物を提供する。より詳細には本発明は、トウモロコシのミオ-イノシトール-1-リン酸シンターゼ(MIPシンターゼ)をコードする単離されたDNA配列、およびトランスジェニック植物の胚組織中で種々の核酸配列の発現を駆動するために使用することができるMIPシンターゼ遺伝子に由来する新規調節配列を提供する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
植物の遺伝子工学プロジェクトには、導入遺伝子の発現を調節するために使用する種々の遺伝子要素に対する取り組みが必要である。第1の例は、転写の開始を調節するプロモーターである。
【0003】
植物の遺伝子工学に使用するためには、種々のプロモーターが存在する必要がある。特に、胚組織で特異的に発現を駆動するプロモーターの存在が必要である。
【発明の概要】
【0004】
配列の簡単な説明
配列番号1は、トウモロコシのMIPシンターゼのDNA配列である。
配列番号2は、トウモロコシのMIPシンターゼのアミノ酸配列である。
配列番号3は、胚に特異的なトウモロコシのMIPシンターゼプロモーターに関するDNA配列である。
【0005】
発明の要約
本発明は、トウモロコシのMIPシンターゼをコードする単離されたDNA分子を提供する。
【0006】
本発明の別の観点では、本発明は配列番号3に対応するかまたは由来する胚に特異的なトウモロコシのMIPシンターゼプロモーターを提供する。
【0007】
本発明の別の観点では、本発明は5'から3'方向へ操作可能に連結された、
a)トウモロコシのMIPシンターゼプロモーター;
b)目的のDNA配列;および
c)3'UTR、
を含んで成るDNA構築物を提供する。
【0008】
本発明の別の観点では、本発明はトウモロコシのMIPシンターゼプロモーター、好ましくは配列番号3のbp7〜2064を含んで成るプラスミドを提供する。
【0009】
本発明の別の観点では、本発明は本発明のDNA構築物を含む少なくとも1つの植物細胞を含んで成る形質転換された植物を提供する。この植物は単子葉植物または双子葉植物でよい。好適な植物はトウモロコシ、イネ、ワタおよびタバコである。
【0010】
本発明の別の観点では、本発明は本発明のDNA構築物を含む種子および穀物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な説明
本発明の構築物中に使用する目的DNA配列は、植物中での発現または下方調節(down regulate)を望む任意の遺伝子でよい。好ましくは有用な遺伝子は、除草剤、昆虫またはウイルスに対する耐性を付与する遺伝子、および改善された栄養価または植物の加工特性を提供する遺伝子である。
【0012】
適当な作物学的に有用な遺伝子の例には、昆虫耐性を付与するためのバチルス サーリンギエンシンス(Bacillus thuringiensis)に由来する殺昆虫遺伝子、および5'-エノールピルビル-3'-ホスホシキメートシンターゼ(EPSPS)遺伝子、およびグリホセート除草剤に対する耐性を付与するそれらの任意の変異体を含む。当業者には容易に理解されるように、所望の特質を付与する、または重要なタンパク質を生産する作物学的に重要な遺伝子を使用することができる。
【0013】
本発明の構築物に使用する3'UTR、すなわち3'非翻訳領域は、mRNAの効率的なプロセッシングを与えるものであり、メッセージの安定性を維持し、そして転写されたmRNA配列の3'末端へのアデノシン リボヌクレオチドの付加を支配する。3'UTRはプロモーター領域に自然なもの、構造遺伝子に自然なもの、または別の起源に由来するものでもよい。植物宿主中で発現することができる遺伝子から得られる広範な終結領域、例えば細菌性、オパイン、ウイルス性および植物遺伝子が利用可能である。適当な3'UTRには限定するわけではないが:例えばper53'UTR(国際公開第98/56921号明細書)、ノパリンシンターゼ(nos)遺伝子の3'UTR、tmL 3'、またはacp3'を含む。
【0014】
本発明は一般に、単子葉植物および双子葉植物の両方の構造遺伝子の発現に応用することができる。本発明は特に限定するわけではないがトウモロコシ、イネ、オオムギ、エンバク、コムギ、モロコシ、ライムギ、サトウキビ、パイナップル、ヤマイモ、タマネギ、バナナ、ヤシおよびチツメヤシを含む単子葉植物(単子葉)ファミリーの員に適当である。本発明の好適な応用は、トランスジェニックトウモロコシ植物の生産である。本発明はイネ科(Graminaceae)のファミリー、特にトウモロコシ、コムギ、イネ、エンバク、オオムギおよびモロコシに応用することができる。双子葉植物種には、タバコ、トマト、ヒマワリ、ワタ、テンサイ、ジャガイモ、レタス、メロン、ダイズおよびカノーラ(ナタネ)を含む。
【0015】
また本発明は、DNA配列が発現に開示した効果を及ぼすことができるように、具体的に開示した調節配列と実質的な配列相同性を有するDNA配列も含む。
【0016】
本出願で使用するように、用語「実質的な配列相同性」とは、ヌクレオチド配列(DNAまたはRNAの場合)あるいはアミノ酸配列(タンパク質またはポリペプチドの場合)が、別のヌクレオチドまたはアミノ酸配列と実質的な、機能的なまたは構造的な均等を表すことを示すために使用する。実質的な配列相同性を有する配列間の任意の機能的または構造的差異は最少になるだろう:すなわちそれらは本出願で示すように機能するための配列の能力に影響を及ぼさない。本明細書に開示する配列と実質的な配列相同性を有する配列は通常、突然変異のような開示した配列の変異体であるが、合成配列でもよい。
【0017】
ほとんどの場合で、本明細書に具体的に開示する配列と95%の相同性を有する配列は均等物として機能し、そして多くの場合でかなり低い相同性、例えば75%または80%も許容されるだろう。重要ではないこれらの配列の部分の配置には時間を要するが、当該技術では日常的であり、そして十分である。
【0018】
上記配列に対応する配列は野生型に由来する配列中に1以上の修飾を含むことができるが、それでも各々の要素を本発明の教示に匹敵できるようにすることを意図する。例えば
上記のように、フラグメントを使用してよい。種々のヌクレオチドの限られた数の付加、欠失または非保存的置換、あるいは多くのヌクレオチドの保存的置換を含む修飾を単離した配列に包含することができる。さらにそのようなDNA分子の構造には、それらの調節制御下に置かれたヘテロロガスな遺伝子の発現の強化を付与することを示した供給源を使用することができる。オリゴヌクレオチド配列を修飾するための例示的な技法には、ポリヌクレオチドが媒介する、部位特異的な突然変異誘発法を使用することを含む。Zoller et al.(1984),DNA,3:479-488;Higuchi et al.(1988),Nucleic Acids Res.,16:7351-7367;Ho et al.(1989),Gene,77:51-59,Horton et al.,(1989),Gene,77:61;およびPCR法:DNA増幅の原理と応用(PCR Technology:Principles and Applications for DNA Amplification)、Erlich(編集)(1989)を含む。
【0019】
生物材料を宿主細胞に導入するための通例の技法には、電気穿孔(Shigekawa and Dower(1988),Biotechniques,6:742;Miller,et al.(1988),Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:856-860;およびPowell,et al(1988),Appl.Environ.Microbiol.,54:655-669を参照にされたい);直接的なDNA取り込みメカニズム(Mandel and Higa(1972),J.Mol.Biol.,53:159-162;Dityatkin,et al.(1972),Biochimica et Biophysica Acta,281:319-323;Wigler,et al.(1979),Cell,16:77;およびUchimiya,et al.(1982),Proc.5th Intl.Cong,Plant Tissue and Cell
Cultureで,A.Fujiwara(編集),Jap.Assoc.for Planr Tissue Culture,Tokyo,pp.507-508を参照にされたい);融合メカニズム(Uchidaz,et al.(1980)、生きている哺乳動物細胞への高分子の導入(Introduction of Macromolecules Into Viable Mammalian Cells)で、Baserga et al.(編集) Wistar Symposium Series,1:169-185を参照にされたい);感染剤(Fraley,et al.(1986),CRC Crit.Rev.Plant Sci.,4;1-46);およびAnderson(1984),Science,226:401-409を参照にされたい);マイクロインジェクションメカニズム(Crossway,et al.(1986),Mol.Gen.Genet.,202:179-185を参照にされたい);および高速発射メカニズム(Miller,Schuchardt,SkokutおよびGould(ダウケミカルカンパニー)への欧州特許第0 405 696号明細書を参照にされたい)。
【0020】
選択した宿主細胞を形質転換するための適切な手順は、使用する宿主細胞に従い選択することができる。今日までの経験に基づき、いったん細胞に挿入されれば遺伝子の発現にそれほど差異はなく、形質転換の方法自体に起因し得ると思われる。いったん植物組織に導入されれば、構造遺伝子の発現は一過性の発現系でアッセイすることができ、あるいは植物ゲノム内への安定な組込みについて選択した後に測定することができる。
【0021】
技法は植物組織のインビトロ培養、および多くの場合で全植物への再生について知られている。成熟トランスジェニック植物を作出する適当な手順は、使用する植物種に従い選択することができる。再生は植物の種毎に変動する。効率的な再生は、培地、遺伝子型および培養の経過に依存するだろう。いったん全植物が得られれば、それらは少なくとも1つの配列のコピーは子孫の細胞に存在する様式で、有性生殖によりまたはクローンにより複製することができる。再生した植物に由来する種子は将来の使用に備えて集め、そしてこの種子から植物を生育することができる。元の形質転換した植物から市販されている有用な栽培種へ導入された遺伝子を転移させるための手法は、当業者には周知である。
【0022】
本発明の1つの観点では、本発明は機能的な植物プロモーターを提供するMIPシンターゼプロモーターの任意の欠失変更体を包含するものとみなす。そのようなプロモーターは、用語「MIPシンターゼプロモーター」に包含される。実施例4のように試験した時、配列がバックグラウンドより高いレベルの一過性のGUS発現を与えるならば、配列は本出願の目的のための「機能的プロモーター」を提供するとみなす。当業者は2058bp配列(配列番号3のbp7〜2064)に由来する種々の欠失は、プロモーターとしての配列の機能性を破壊することなく作成できると理解するだろう。欠失実験は当該技術分野の技術範囲である。好ましくは本発明のプロモーターは、配列番号3のbp7〜2064により定められる配列の
200個の連続する塩基対と同一の200個の連続する塩基対を含んで成る。より好ましくは、配列番号3のbp7〜2064により定められる配列の500個の連続する塩基対に同一の500個の連続する塩基対を含んで成るプロモーターである。
【0023】
以下の実施例では、DNA精製、制限酵素消化、アガロースゲル分析、DNAフラグメントの単離、ライゲーションおよび形質転換の標準法は、Sambrook,J.,Fritsch,E.F.,and Maniatis,T.(1989);モレキュラークローニング:ア ラボラトリーマニュアル(Molecular Cloning a Laboratory Manuald)、第2版、(コールドスプリングハーバー;コールドスプリングハーバーラボラトリー出版)、Ausubel,F.M.,Brent,R.,Kingston,R.,Moore,D.,Smith,J.,Seidman,J.,and Struhl,K.編集、(1987);および分子生物学における現在のプロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)(ニューヨーク:ジョン ウィリー アンド サンズ(John Wiley and Sons)に記載されているように使用した。
【実施例】
【0024】
実施例1
MIPシンターゼをコードするトウモロコシcDNAのクローニング
A.縮重プライマーを使用したトウモロコシMIPシンターゼプローブの単離
プローブは、酵母MIPシンターゼのアミノ酸配列から設計した縮重プライマーを使用して、トウモロコシの胚のcDNAのPCR増幅により単離した。酵母MIPシンターゼ配列のみが知られていた時点で(Johnson,M.and Henry,S.(1989)。酵母におけるイノシトールの生合成:ミオ-イノシトール-1-リン酸シンターゼ(EC 5.5.1.4)の1次構造およびその構造遺伝子、INO1座の機能的分析 (Biosynthesis of Inositol in Yeast:Primary Structure of Myo-Inositol-1-Phosphate Synthase(EC 5.5.1.4)and Functional Analysis of its Structural Gene,the INO1 Locus.)、J.Biol.Chem.264:1274-1283)、MIPシンターゼタンパク質配列の「保存」領域を同定することは不可能であった。代わりに1または2のコドンによりコードされるそのようなアミノ酸が、酵母タンパク質配列中で同定された。これらの低い重複アミノ酸の5以上の延長物をプライマー設計のための領域として選択した。
【0025】
酵母MIPシンターゼと同一性を有するタンパク質に翻訳され得るクローン(MP18)を同定した。MIP18の挿入物をゲル精製し、32Pで標識し、そしてラムダトウモロコシ胚cDNAライブラリーを釣り上げるために使用した。
【0026】
B.トウモロコシのMIP陽性cDNAの単離
ファージ平板法、プラーク精製およびインビボ切り出しのプロトコールは、製造元(ストラタジーン:Straragene、ラジョラ、カリフォルニア州)に薦められた通りであった。幾つかの変更を加え、そしてそれらを以下に記する。
【0027】
大腸菌(E.coli) XL-1 blueは、520nmで1.0の光学密度で0.2%マルトースを含有するNZY培地で増殖させた。細胞を低速遠心により集め、そして10mM MgSO4中に同じ密度で再懸濁した。細胞は4℃で数日間保存し、プラーク形成効率にはほとんど損失がなかった。ファージはFalcon2059管中で室温にて15分間、続いて37℃で15分間、200μLの細胞に前吸着させた。細胞は48℃でNZYプレート上の3mLのNYZアガロース中にまいた。プレートは37℃で一晩インキューベーションした。
【0028】
プレートを冷却し、0.22ミクロンのナイロンフィルターをプレートにやさしくかけ、そしてファージを2分間、吸着させた。次いでフィルターは、0.5M NaOH、1.5M NaClで飽和したブロッティングペーパーに5分間移した。フィルターを5分間乾燥させ、次いで0.5M
Tris pH7.6、1.5M NaClの中和溶液で飽和したブロッティングペーパーに15分間移した。次いでフィルターは、ストラタジーンUV架橋−リンカーを使用して「自動」設定で架橋結合した。次いでフィルターは2×SSC、0.1% SDSを2回変えて洗浄した。プレハイブリダ
イゼーションは、42℃で6×SSC、10×デンハーツ溶液、0.1% SDS、200mg/mL DNA中、最低6時間であった。
【0029】
DNAフラグメントは、キアジェン社(Qiagen Inc.)(チャッツワース、カリフォルニア州)のQiaex 精製法を使用して単離した。ベーリンガーマンハイム(Boehringer Mannheim)Randam Primed DNAラベリングキット(インディアナポリス、インディアナ州)を製造元の使用説明に従い使用した。取り込まれなかったヌクレオチドは、製造元の推薦に従いストラタジーンPUSHカラムに通すゲル濾過により除去した。
【0030】
低緊縮ハイブリダイゼーションのためのハイブリダイゼーション溶液は、6×SSC、10×デンハーツ溶液、0.1% SDS、200mg/mL DNA、42℃、6時間であった。低緊縮洗浄は、40℃、6×SSC、1% SDS、全部で2リットルを4回交換した。
【0031】
高緊縮のためのハイブリダイゼーション溶液は、50%脱イオン化ホルムアミドに調整したことを除き、上記の通りであった。洗浄条件は、0.1%SSC、0.1% SDS、60℃、全部で2リットルを4回交換した。
【0032】
1次スクリーニングでは、2重フィルター上に出現した多くの陽性プラークを生じた。陽性プラークの頻度は1%に達し、遺伝子が胚で高度に発現していることが示された。幾つかのプラークを取り出し、そして第2および第3回のスクリーニングを行った。8つの個別のプラークを純粋なストックから取り出し、そしてcDNA挿入物の分析のためにプラスミドを取り出した(rescued)。
【0033】
8つのMIPシンターゼ陽性クローンを、制限エンドヌクレアーゼEcoRIおよびXho-1で消化し、ベクターから挿入物を離した。酵母の配列に基づき、約2kbのcDNA挿入物を予想し、これは500アミノ酸のコード容量および非翻訳配列の数百塩基対を含む。2つのクローンが2kbマーカーと同時に移動した挿入物を含んだ。他の6つのクローンは、サイズが有意に小さい挿入物を含み、そしてさらに特性を決定しなかった。約2kbのcDNA挿入物を持つ1つのクローンを、DNA配列分析のために選択し、このクローンをクローンpMIP-7と命名した。
【0034】
C.トウモロコシのMIPシンターゼcDNAのDNA配列分析
トウモロコシのMIPシンターゼに関するDNA配列および推定されるアミノ酸配列を、配列番号1に示す。cDNAは1959ヌクレオチド長である。最も5'のATGは、137位に位置し、136ヌクレオチドの推定上の5'非コード領域を与える。大きなオープンリーディングフレイムが137位のATGから1667位の終結コドンに延びている。リーディングフレイムは、510アミノ酸のポリペプチドをコードする。ストップコドンは1667位に位置し、これには3'非翻訳領域の248ヌクレオチドが続く。短いポリ(A)域が1918位に位置している。
【0035】
実施例2
種子における組織特異的および発育的パターンの分析
マイコジェン(Mycogen)所有のトウモロコシ遺伝子型CS608、HO1、CQ806、OQ414およびHiII、ならびに市販されている同系B73は、標準的な温室条件下で生育させた。MIPシンターゼプロモーターの組織特異的な遺伝子発現を分析するために、組織を目的の発育時期に収穫し、そしてRNA抽出まで-70℃で保存した。種子の胚中でMIPの一過性発現パターンを測定するために、穀粒は受粉後の異なる日(DAP)にCQ806およびHO1の穂から切り出した。収穫後、穀粒を直ちに切開し、胚を集め、そしてドライアイス上の50mlのコニカル管中で凍結した。RNAを抽出し、そして標準的な技法を使用してノーザン分析用に調製した。MIPシンターゼハイブリダイゼーションプローブは、プラスミドpMIP7(説明については実施例1を参照にされたい)から、EcoR1およびXho1を用いた消化、続いて約1950bpの挿
入物のゲル精製により調製した。25ナノグラムのゲル精製したフラグメントは、50μCi[α-32P]-dCTP(NEN リサーチ プロダクツ(Research Products))を用いて、READY-TO-GO標識ビーズ(ファルマシア(Pharmacia))を製造元に従い使用して標識し、そしてNUCTRAPプッシュカラム(ストラタジーン)で精製した。標識したプローブは5分間煮沸して変性させ、氷上で5分間冷却し、そしてプレハイブリダイゼーションブロットに直接加えた。ハイブリダイゼーションはSEAL-A-MEAL バッグ(DAZEY 社、インダストリアルエアポート、KA)中、42℃で16時間行った。ブロットは60℃で予め暖めた大過剰(500mL)の洗浄溶液[20mM リン酸ナトリウム pH6.5、50mM NaCl、1mM EDTAおよび0.1% SDS]で30分間、6回洗浄した。ハイブリダイゼーションの結果は、試験したトウモロコシの各遺伝子型に由来する胚組織中でMIPシンターゼが発現したことを示した。胚中の最大の発現は、18〜27DAPで観察された。葉および根では有意な発現は観察されなかった。これらのデータは、MIPシンターゼの発現が胚組織で優先的に調節されたことを示唆した。
【0036】
実施例3
トウモロコシのMIPシンターゼ遺伝子に由来する5'非翻訳領域のクローニング
トウモロコシのMIPシンターゼ5'フランキング配列を、トウモロコシのゲノムDNA、var.OQ41(アグリシキェネティックス社(Agrigenetics Inc.)の所有する系、d/b/a マイコジェン種子(Mycogen Seeds))から単離した。DNAシークエンシングは、ABI Prism DNA シークエンシングキットを使用してAmpliTaq(商標)ポリメラーゼFSを製造元(パーキン エルマー/アプライド バイオシステムズ(Perkin Elmer/Applied BioSystems)部門、フォスター市、カリフォルニア州)による説明のように用いて行った。シークエンシング反応は、アプライドバイオシステムズ 373A DNAシークエンサー(パーキン エルマー/アプライド バイオシステムズ部門)で行った。MIPシンターゼプロモーターに関するDNA配列を配列番号3に与える。
【0037】
ベクターの説明
MIPシンターゼプロモーターをpUC19骨格上のβ-グルクロニダーゼ(GUS)から上流に包含する4つの発現ベクターを構築した。
【0038】
pMipGP339-1およびpMipGN345-1は、一過性のアッセイでGUS発現を試験するために設計した。これら2つのベクター間の差異は、異なる3'非翻訳配列を転写ターミネーターとして使用したことであった。pMipGP339-1はper5 3'UTRを使用し;pMipGN345-1はnos3'UTRを使用した。
【0039】
pMipGP341およびpMipGN350-1は、二重強化35Sプロモーターにより駆動される選択可能なマーカー遺伝子(ストレプトミセス ヒグロスコピカス(Streptomyces hygroscopicus)のホスフィノトリシン アセチル トランスフェラーゼ(BAR)遺伝子(White et al.,(1989) Nucleic Acids Res.18:1062))を加えたpMipGP339-1およびpMipGN345-1の誘導体である。pMipGP341およびpMipGN350-1は、安定に形質転換されたトウモロコシの胚中でMIPシンターゼプロモーター/GUS融合体を試験するために使用した。
【0040】
プラスミドUGP232-4は、一過性の発現実験で陽性対照として使用した。UGP232-4はpMipGP339と同様であるが、GUS遺伝子がMIPシンターゼプロモーターに代わりトウモロコシに由来するユビキチン1(ubi)プロモーターおよびイントロンにより駆動される点が異なる。
【0041】
プラスミドpDAB305は、多数の実験にわたりGUS発現を標準化するために、一過性の発現実験における対照として使用した。pDAB305はpMipGN345-1と同様であるが、GUS遺伝子の発現を駆動するためにpMipGN350-1で使用する二重強化35Sプロモーターを使用する点が異なる。
【0042】
異なるプロモーター変更体により制御される遺伝子からのGUSタンパク質の生産は、発光飛翔昆虫ルシフェラーゼを生産する内部対照遺伝子に対して比較されることが多い(De
Wet et al.(1987).Mol.Cell.Biol.7(2),725-37)。ルシフェラーゼ(LUC)コード領域を含むプラスミド(pT3/T7-1 LUC)を、クローンテック(CLONTEC)(パロ アルト、カリフォルニア州)から購入し、そしてコード領域をその5'および3'末端で標準法により修飾して、NcoIおよびBglIIによる消化後に1702bpフラグメント上の完全なルシフェラーゼコード領域の単離を可能とした。このフラグメントはプラスミドpDAB305のGUS遺伝子を置き換えてルシフェラーゼコード領域が、強化された35Sプロモーターから発現するように使用し、プラスミドpDeLuxを得た。
【0043】
実施例4
Mipシンターゼ-Gus構築物の一過性試験
A.胚での一過性の組織化学的GUS発現
3つの単一(single)遺伝子プラスミドは、トウモロコシの胚におけるMIPシンターゼプロモーターにより駆動されるGUSの一過性発現を試験するために使用した。pUGP232-4(per5 3'UTRでGUSに融合されたトウモロコシのユビキチンプロモーターをコードする)を、陽性対照として役立てた。pMipGP339-1およびpMipGN345-1は、それぞれper5およびNos 3'末端とのMIPシンターゼプロモーター-GUS融合物を含んだ。“Hi-II"遺伝子型に由来する未熟接合胚(Armstrong et al.(1991) Maize Genet.Coop.News Lett.65:92-93)を、受粉から12、18および20日後(DAP)に収穫した。胚は、N6塩およびビタミン類(Chu et al.,(1978) N6培地およびその穀類作物の葯培養への応用(The N6 medium and its application to anther culture of cereal crops.)、Pro.Symp.植物組織培養(Plant Tissue Culture)、ペキン(Peking)出版、第43〜56頁)、1.0mg/L 2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)、25mM L-プロリン、100mg/L カゼイン加水分解物、10mg/L AgNO3、2.5g/L GELRITE(シュバイツァーホール、サウスプレインフィールド、ニュージャージー州)および20g/Lグルコース、オートクレーブ前のpH5.8から成る15Ag10カルス開始培地で1〜2日間培養した。
【0044】
形質転換前に、胚を15Ag10+SM培地(0.2M ソルビトールおよび0.2M マンニトールを含む15Ag10)に4時間の浸透前処理のために移した。ヘリウムブラスティング(blasting)については、12個の胚を約1cm2のブラスティング培地の標的面積に並べ、そして230μmメッシュのステンレス鋼製のスクリーンで覆った。ブラスティング培地は、硝酸銀を含まず、そしてわずか6mM L-プロリンを含有し、そして20g/LのTC寒天(フィトテクノロジー
ラボラトリーズ(PhytoTechnology Laboratories)、LLC、シュワニー ミッション、カンザス州)で固化した点で15Ag10+SM培地とは異なった。
【0045】
DNAは等モル量のGUSプラスミドを使用してブラスティングのために調製した。全部で70μgのDNA、必要な時には試験DNAにBluescript(商標)DNA(ストラタジーン、ラジョラ、カリフォルニア州)を加えたものを、滅菌水で150μLの容量に希釈した。DNAおよび水を30mgの表面を滅菌した1.0μmの球状の金粒子(バイオ−ラッド ラボラトリーズ:Bio-Rad Laboratories、ヘリキュラス、カリフォルニア州)に加えた。混合物をボルテックスで簡単に混合(約15秒間)した後、37μLの2.5M 塩化カルシウムおよび15μLの0.1M スペルミジン(遊離塩基)を加えた。30秒間ボルテックス混合した後、DNAおよび金を溶液から沈殿させた。上清を除去し、そして1mLのエタノールを加えた。DNA/金混合物を形質転換に使用する前に1:4に希釈した。
【0046】
ヘリウムブラスティングは、懸濁したDNA-被覆金粒子を調製した組織標的に向け、そしてその中に加速した。使用したデバイスは、引用により本明細書に編入する米国特許第5,141,131号明細書に記載されたより初期のプロトタイプであった。組織は25インチHgの部
分的真空下でデバイスのチャンバー内に置いた。1500psiのヘリウム圧をいったん使用すると、DNA−被覆金粒子は各胚標的に加速され、各ブラスティングで20μLのDNA/金懸濁液を送達した。ブラスティングの後、胚を15Ag10+SM培地に戻し、そして暗中27℃で18〜24時間インキューベーションした後に、GUS組織化学的アッセイにかけた。
【0047】
胚は、ウェルあたり250〜500μLのアッセイバッファー[0.1M リン酸ナトリウム、pH8.0、0.5mM フェリシアン化カリウム、0.5mM フェロシアン化カリウム、10mM EDTA二ナトリウム、0.95mM 5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-ベータ-D-グルクロニドおよび0.6(容量/容量)% TRITON X-100]を含有する24-ウェルのマイクロタイタープレートにまいた。部分的に2〜15分間、真空に吸引した後、暗中37℃で24〜48時間インキューベーションした。
【0048】
表3は、トウモロコシのユビキチン対照と比べて、MIP-シンターゼプロモーターの一過性GUS発現を試験したこれらの実験の結果をまとめる。各実験で、構築物あたり3〜5個の標的(12個の胚/標的)をブラスティングした。対照ほど強くはないが、per5 3'UTRを含むMIPシンターゼ構築物は12、18および20DAPで収穫した胚中にGUS発現をもたらした。Nos 3'末端を持つMIPシンターゼプラスミドも、20DAPの胚にGUS活性が示された。結論すると、トウモロコシの未熟な接合胚中のMIPシンターゼプロモーターにより穏やかなレべルの一過性発現が観察された。
【0049】
【表1】

【0050】
B.トウモロコシの再生可能なカルスにおける一過性の定量的GUS発現。
プラスミドpMipGP339-1およびpMipGN345-1は、MIPシンターゼプロモーターが構成的発現を駆動するレベルに対する指標について、再生可能なトウモロコシカルス中で試験した。トウモロコシで高度に発現する修飾した35Sプロモーター/GUS構築物(pDAB305)を対照として使用した。pMipGP339-1およびpMipGN345-1のいずれかにより駆動されるGUSの発現は、pDAB305により駆動されるGUSのパーセントとして測定した。
【0051】
pMipGP339-1およびpMipGN345-1は両方ともpDAB305の3%の発現をもたらし、これは対照とは統計的に異なった。上記の胚のデータと関連して、有意ではない構成的な発現は、胚に特異的なプロモーターとしてのMIPシンターゼを強く示している。
【0052】
実施例5
安定に形質転換されたトウモロコシのカルスの生産
II型カルスの培養は、遺伝子型“Hi-II"の未熟な接合胚から開始した(Armstrong et al.(1991) Maize Genet.Coop.Newslett.,65:92-93)。胚はHi-II親AおよびHi-II親Bの交配またはHi-II植物の自家−または兄妹受粉に由来するF2胚から温室で育てた穂から単離した。未熟胚(1.5〜3.5mm)は、本明細書に記載する15Ag10カルス開始培地で培養した。4〜6週間後、カルスをカルス維持培地(AgNO3が除かれ、そしてL-プロリンが6mMに減らされた開始培地)にサブクローン化した。II型カルスの選択は、約12〜16週間行った。
【0053】
プラスミドpMipGN350-1およびpMipGP341は、胚発生カルス組織に個別に形質転換した。ヘリウムブラスティングのための調製には、140μgのプラスミドDNAは、74μLの2.5M CaCl2、H2Oおよび30μLの0.1Mスヘルミジン(遊離塩基)を300μLのプラスミドDNAおよびH2Oに加えることにより、60mgのアルコールですすいだ球状の金粒子(直径1.5〜3.0μm、アルドリッチケミカル社(Aldrich Chemical Co.,Inc.)、ミルウォーキー、ウィスコンシン州)上に沈殿させた。溶液は直ちにボルテックス混合し、そしてDNAを被覆した金粒子を沈殿させた。生成した透明な上清を除去し、そして金粒子を1mlの無水エタノールに再懸濁した。この懸濁液を無水エタノールで希釈して、15mgのDNAで被覆された金/mLを得た。
【0054】
約600mgの胚発生カルス組織を本明細書に記載するII型カルス浸透培地の表面に広げた。4時間の前処理後、組織は本明細書に記載するブラスティング培地を含む培養皿に移した。標的は本明細書に記載するヘリウムブラスティングデバイスを使用して、個々にDNA/金混合物でブラスティングした。組織はステンレス鋼製のスクリーン(104μmの開口)で覆い、そしてデバイスチャンバー中25インチHgの部分的真空下に置いた。DNAで被覆した金粒子はブラスティング前にさらに無水エタノールを用いて1:1に希釈し、そして1500psiのヘリウム圧を使用してカルス標的に向けて4回加速し、1回のブラストあたり20μLのDNA/金懸濁液を送達した。標的を各ブラスト後に180゜回転させた。ブラストしていないカルスを露出するために、手順の中間点で組織も混合した。ブラスティングの直後、組織は16〜24時間の回復期間、II型浸透培地に戻した。その後、組織を小片に分割し、そして選択培地(カゼイン加水分解物およびL-プロリンを欠くが、30mg/LのBASTA(商標)(アグルエボ(AgrEvo)、ベルリン、独国)を含む維持培地に移した。4週間毎に3カ月間、組織片は新鮮な選択培地に非選択的に移した。選択では9週間後、そして21週まで成長が抑制された組織のバックグラウンドに対して増殖していると認められるカルス領域を取り出し、そして単離した。生じたBASTA(商標)-耐性組織は、新しい選択培地中上で隔週毎に継代培養した。
【0055】
実施例6
成熟体細胞胚の発生およびトランスジェニック植物の再生
これらの安定に形質転換されたカルチャーから種子胚として発生させるために、胚発生カルスを60g/Lのシュクロースを含有するMurashigeおよびSkoog基本培地(今後MS培地と言う(Murashige and Skoog,Physiol.Plant.(1962)15:473-497)で成長させることにより、体細胞胚を誘導した。カルスは数日間成長させ、そして次いで体細胞胚は、60g/Lのシュクロースおよび10μMのアブシジン酸(今後ABAと言う)を含有するMS培地に個別に移し、さらに7日間成長させた。成熟の14日後、異なるトランスジェニック系に由来する体細胞胚は、真空に吸引することなく本明細書に記載した約400μLのGUS溶液中に置くことにより、GUS遺伝子の組織化学的発現についてアッセイした。GUSを発現している系およびGUSを発現していない系を同定し、そして再生培地に移した。再生は胚発生カルス組織をサイトカイニンに基づく誘導培地、30g/Lのシュクロース、100mg/Lのmyo-イノシトール、30g/Lのマンニトール、5mg/Lの6-ベンジルアミノプリン(今後BAPと言う)、0.025mg/Lの2,4-D、30mg/LのBASTA(商標)、および2.5g/LのGELRITE、pH5.7を含有するMS培地に移すことにより開始した。カルチャーは1週間、低光(125ft-キャンドル)、続いて1週間、高光(325ft-キャンドル)に置いた。2週間の誘導期の後、組織はホルモンを含まない再
生培地(これは2,4-DおよびBAPを欠くことを除き誘導培地と同一)に非選択的に移し、そして高光に維持した。小さい苗木(3〜5cm)を取り出し、そしてSchenkおよびHildebrandt塩およびビタミン類(今後SH培地という)(Schenk and Hildebrandt,(1972) Can.J.Bot.50:199-204)、10g/Lのシュクロース、100mg/Lのミオ-インシトールおよび2.5g/LのGERITE(商標)、pH5.8を含有する150×25mmの培養管に移した。各々の再生可能な系から少なくとも1つの個別の苗木を、組織化学的なGUSアッセイのために利用した(sacrificed)。完全な苗木(3〜10cm)は、15mLのコニカル遠心管に入れ、そして約5〜10mlのGUSアッセイバッファーに浸水させ、そして本明細書に記載するようにインキューベーションした。アッセイしない苗木は、温室中の約0.25kgのMETRO-MIX 360(ザ スコッツ社(The Scotts Co.)、メリーズビル、オハイオ州)を含む12cmの丸いポットに移すとすぐに成長し、そして十分な根系が発達した。それらは高圧ナトリウムおよびハロゲン化金属ランプの組み合わせにより追加した16時間の光期間で成長させ、そして必要に応じてPeters Excel 肥料配合物(グレース-シエラ ホルチィカルチャルプロダクツ社(Grace-Sierra Horticultural Products Company)、ミルピタッツ、カリフォルニア州)の3回の独立した組み合わせを散布した。6〜8葉の段階で、植物は約4kgのMETRO-MIX 360を含有する5ガロンのポットに移し、そして成熟するまで成長させた。
【0056】
初代再生体はえり抜き(elite)の同系であるOQ414と異系交配させた。R1種子は受粉から約6週間後に集めた。
【0057】
全部で312のII型カルス標的を、pMipGN350-1およびpMipGP341でブラスティングした。36のBasta(商標)-耐性カルス単離物を選択から回収したが、29だけが誘導されて本明細書に記載するような成熟した体細胞胚を形成した。これら発生(event)のうちの24が本明細書に記載する組織化学的GUSアッセイ後に大変かすかな青色から深いインディゴ青の範囲まで幾つかの青色の染色レベルを生じた。これらの発現体の13に加えて1つのトウモロコシユビキチン/GUS/Nos 陽性対照および1つの(非-GUS)トランスジェニック陰性対照を再生させた。約16のR0植物をこれらの各系から再生させた。13体のMIP再生体からの10体がR1種子を生じた。
【0058】
実施例7
トランスジェニック植物のGUS分析
A.胚のGUS分析
pMipGP341-06.06、pMipGN350-05.01、pMipGN350-14.01、1817-02.11(トランスジェニック陰性対照)、Whisker-12.12およびWhisker-12.14(トウモロコシユビキチン-GUS陽性対照)に由来する胚を、受粉から10から30日後(DAP)に5日の間隔で集めた。各回収で穂毎に最高10個の穀粒を、R0植物の種子の組に依存して集めた。本明細書に記載するようにJefferson(1987) Plant Mol.Biol.Rep.5:387-405の方法に従い、胚をGUS発現に関して組織化学的に調査した。
【0059】
トランスジェニック陰性対照(1817-02.11)の胚ではGUS発現は観察されなかった。予期せずに、ユビキチン陽性対照(Whisker-12.12およびWhisker-12.14)の胚にはGUSが検出されなかった。これら植物の成長は発育が阻害され、そして種子は乏しかった。しかし各3つのMIPシンターゼ発生は、R1胚中にGUS発現を示した。pMipGP341-06.06では、発現が早い10DAPに観察された。p350発生については、GUSは最初の15DAPで検出された。すべての系で発現は、30DAPでの成熟まで続いた。分離は一般にメンデルの遺伝パターンに従った。
【0060】
B.根および葉のGUS分析
トランスジェニック発生あたり2つの植物、ならびに2つの非形質転換対照(OQ414)、形質転換陰性対照(1817-02植物)およびトウモロコシのユビキチン−駆動GUS(Whiske
r-12発生体)を発現する陽性対照を、異なる発育段階で利用した。発生あたり1つの植物をV6(6葉)およびVT(発生している雄穂)段階で収穫し、そして葉および根を分析のために別個にプールした。さらに、発生あたり数種の植物の第6葉をV6段階で集め、そしてGUS発現に関して別個に評価した。
【0061】
非形質転換(OQ414)または形質転換陰性(1817-02)対照の葉および根ではGUS活性は検出されなかった。変動するが有意なGUS発現が、陽性対照(Whisker-12発生体、7植物)で観察され、葉では0.45〜2.34ngのGUS当量/μgタンパク質および根では0.28〜0.47の範囲であった。MIPシンターゼ-GUSトランスジェニック発生体は、葉および根での有意なGUS活性が示されず、MIPシンターゼプロモーターが胚に特異的であるという結論を導く。
【0062】
以下に本発明の主な特徴と態様を列挙する。
【0063】
1.MIPシンターゼプロモーターを含んで成る単離されたDNA分子。
【0064】
2.配列番号2の塩基対7〜2064、または植物細胞中でプロモーターとして機能する能力を保持するそのような配列のフラグメント、遺伝的変異体または欠失を含んで成る1.に記載の単離されたDNA分子。
【0065】
3.配列番号2の塩基対7〜2064により定められる配列の200個の連続する塩基対と同一の少なくとも200個の連続する塩基対を含んで成る、1.に記載の分子のフラグメント、遺伝的変異体または欠失。
【0066】
4.配列番号2の塩基対7〜2064に説明される配列の20個の連続する塩基対部分に配列が同一な20個の塩基対のヌクレオチド部分を有する単離されたDNA分子。
【0067】
5.ヘテロロガスな核酸配列に操作可能に連結された、配列番号2と選択的にハイブリダイズするプロモーターを含んで成る、DNA構築物。
【0068】
6.プロモーターが配列番号2の塩基対7〜2064を含んで成る、5.に記載のDNA構築物。
【0069】
7.a)ヘテロロガスな核酸配列に操作可能に連結されたMIPシンターゼプロモーターを含んで成るベクターを植物細胞に導入し;そして
b)該細胞から植物を再生させる、
ことを含んで成る、植物中のヘテロロガスな核酸配列の発現法。
【0070】
8.a)ヘテロロガスな核酸配列に操作可能に連結されたMIPシンターゼプロモーターを含んで成るベクターを植物細胞に導入し;
b)該細胞から植物を再生させ;そして
c)該ヘテロロガスな核酸配列に操作可能に連結された該MIPシンターゼプロモーターを子孫に有性生殖により伝達させる、
ことを含んで成る種子の生産法。
【0071】
9.上記子孫により生産された種子を集める追加の工程を含む、8.に記載の種子の生産法。
【0072】
10.5.に記載のDNA構築物を含む少なくとも1つの植物細胞を含んで成る形質転換した植物。
【0073】
11.5.に記載のDNA構築物を含む種子または穀物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号3の塩基対7〜2064を含んで成るMIPシンターゼプロモーターを含んで成る、単離されたDNA分子。
【請求項2】
ヘテロロガスな核酸配列に操作可能に連結された、請求項1に記載の単離されたDNA分子を含んで成る、DNA構築物。
【請求項3】
a)ヘテロロガスな核酸配列に操作可能に連結されたMIPシンターゼプロモーターを含んで成るベクターを植物細胞に導入し;そして
b)該細胞から植物を再生させる、
ことを含んで成り、ここで該MIPシンターゼプロモーターが配列番号3の塩基対7〜2064を含んで成る、植物中のヘテロロガスな核酸配列の発現法。
【請求項4】
a)ヘテロロガスな核酸配列に操作可能に連結されたMIPシンターゼプロモーターを含んで成るベクターを植物細胞に導入し;
b)該細胞から植物を再生させ;そして
c)該ヘテロロガスな核酸配列に操作可能に連結された該MIPシンターゼプロモーターを子孫に有性生殖により伝達させる、
ことを含んで成り、ここで該MIPシンターゼプロモーターが配列番号3の塩基対7〜2064を含んで成る、種子の生産法。
【請求項5】
上記子孫により生産された種子を集める追加の工程を含む、請求項4に記載の種子の生産法。
【請求項6】
請求項2に記載のDNA構築物を含む少なくとも1つの植物細胞を含んで成る形質転換した植物。
【請求項7】
請求項2に記載のDNA構築物を含む種子または穀物。

【公開番号】特開2012−187117(P2012−187117A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−130852(P2012−130852)
【出願日】平成24年6月8日(2012.6.8)
【分割の表示】特願2001−541177(P2001−541177)の分割
【原出願日】平成12年12月1日(2000.12.1)
【出願人】(390039192)ダウ・アグロサイエンス・エル・エル・シー (20)
【氏名又は名称原語表記】Dow AgroSciences LLC
【Fターム(参考)】