説明

水はね防止カバー

【課題】異なる隙間幅でも容易に取付けることができる水はね防止カバーを提供することを目的とする。
【解決手段】
洗面化粧台1は、洗面ボール2を有する洗面台3と、洗面台3の両側面に水はね防止カバー15を有し、洗面台3の天板5に給水具8が設けられる。水はね防止カバー15は略矩形の第一の側面16と第二の側面17を帯状の四周部18で覆って成る中空偏平形状の袋部19と、この袋部19に気体注入用の注入口20を備える。桝状の補強部材21によって第二の側面17と四周部18の一部領域が挿入保持される。注入口20を介して注入する加圧気体により、袋部19が膨張して洗面台3の側面3aと洗面化粧台1との隙間13が塞がれる。洗面台3の側面3aに対応する第一の側面16は洗面台3の側面3aに当接する下方領域16aと側面に当接しない上方領域16bとからなり、袋部19全域が軟質樹脂材で形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面化粧台、調理台、流し台、等の側面に設けられる水はね防止カバーに関し、特に、建物の躯体壁面との隙間幅が異なる場合にも適応して容易に取付けることができる水はね防止カバーの構造を提供する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗面化粧台で洗顔・洗髪の際に、水・湯が、洗面台の左右に飛散して床面を濡らすという問題があった。この問題を解決するために、水はね防止カバーを洗面化粧台の左右に設ける構造に関して、特許文献1に記載の内容が知られている。
【0003】
この特許文献1によれば、図7(a)、(b)に示す如く、洗面化粧台1は、洗面ボール2を有する洗面台3と、この洗面台3の後方に立設されたミラーキャビネット4とからなり、後壁11と左側の壁面12に沿って立設している。洗面台3の天板5上の左右側面には水はね防止カバー31が設けられる。
【0004】
洗面台3は陶器・人造大理石等からなる天板5と、その下方にキャビネット部9を有している。天板5には、湯水混合栓6が設けられると共に湯水混合栓6から接続された吐出ヘッド7を持つ給水具8が着脱自在に設けられている。
【0005】
洗面台3のキャビネット部9の左右側板10に、合成樹脂やステンレス等の金属からなる取付板35が取り付けられる。取付板35は、キャビネット部9の左右側板10にねじ止めされた側板当接部35aと、この側板当接部35aの上端に連設されて天板5の側面に沿う覆い部35bと、この覆い部35bの上端に連設された断面略L字状の防止板嵌合部35cとから成る。
【0006】
そして、水はね防止カバー31が、その下部に形成された嵌合溝33を介して防止板嵌合部35cに嵌合される。また、水はね防止カバー31の下部と天板5との間は防水シール材36によってシールされる。
【特許文献1】特開平8−56865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記の水はね防止カバーの場合、水はね防止カバー31がその下部に形成された嵌合溝33を介して取付板35の防止板嵌合部35cに嵌合する構造である。このため、洗面台3と左側の壁面12との隙間13の幅Sが異なる場合には、水はね防止カバー31と左側の壁面12との隙間を最小にするために、その都度、防止板嵌合部35cの断面略L字状の形状を変更する必要があった。このため、調整が煩雑で作業性が悪いという問題があった。
【0008】
さらに、水はね防止カバー31の下端と天板5との間は、防水シール材36等によってシールする必要があるので、水はね防止カバー31の取付けに手間がかかり、作業工程が増えるという問題があった。
【0009】
そこで、本発明はかかる従来技術の問題に鑑みなされたものであって、異なる隙間でも適応できる汎用性を有するとともに、取付けが容易な水はね防止カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、洗面化粧台の側面に設けられる水はね防止カバーであって、前記水はね防止カバーは略矩形の第一の側面と第二の側面を帯状の四周部で覆って成る中空偏平形状の袋部と、この袋部に注入する気体用の注入口を備えるとともに、桝状の補強部材によって前記第二の側面と前記四周部が挿入保持され、前記注入口を介して注入する加圧気体により、前記袋部が膨張して前記洗面化粧台の側面と躯体壁面との隙間を塞ぐに、前記洗面化粧台の側面に対応する前記第一の側面は前記洗面化粧台の側面に当接する下方領域と前記側面に当接しない上方領域とからなり、少なくとも前記下方領域が軟質樹脂材で形成されることを特徴としている。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の水はね防止カバーであって、前記上方領域が硬質樹脂材で形成されることを特徴としている。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の水はね防止カバーであって、前記上方領域が不撓性板材で覆われることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、洗面化粧台の側面に設けられる水はね防止カバーは略矩形の第一の側面と第二の側面を帯状の四周部で覆って成る中空偏平形状の袋部である。このため、注入口を介して気体を注入することで袋部が膨張するので容易に前記洗面化粧台の側面と躯体壁面との隙間を塞ぐことができる。
【0014】
さらに、桝状の補強部材によって前記第二の側面と前記四周部が挿入保持されるので、袋部は前記洗面化粧台の側面に向かって確実に膨張できるため、袋部が確実に前記洗面化粧台の側面に当接できる。
【0015】
また、対応する前記第一の側面は前記洗面化粧台の側面に当接する下方領域と前記側面に当接しない上方領域とからなり、少なくとも前記下方領域が軟質樹脂材で形成されるので、この軟質樹脂材によって前記洗面化粧台の側面に確実に密着して当接することができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、前記上方領域が硬質樹脂材で形成されるので、袋部が前記洗面化粧台の側面に向かって膨張する際に、硬質樹脂材の高い面剛性によって前記上方領域は平面状態を保持することができるので、見栄えがよく品質が向上する。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、前記上方領域が不撓性板材で覆われるので、袋部が前記洗面化粧台の側面に向かって膨張する際に、前記上方領域が硬質樹脂材の高い面剛性によって平面状態を確実に保持することができるので、見栄えがよく品質が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
<本発明の第1の実施形態>
以下に、本発明の第1の実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。なお、図7と同構成部分については、図面に同符号を付して説明する。
【0019】
<水はね防止カバーの構成>
図1、図2、図3に示すように、後壁11と左右の壁面12に沿って立設される洗面化粧台1は、天板5に洗面ボール2を有する洗面台3を備え、洗面台3の後方部には天板5より隆起する水止部5aが形成されている。そして、洗面台3の左右の側面3aと左右の壁面12間との隙間13に水はね防止カバー15が設けられる。なお、洗面台3の側面3aは水止部5aの側面3bも含む領域である。
【0020】
洗面台3は、たとえば陶器・人造大理石等からなる天板5と、その下方にキャビネット部9とを有している。天板5には、湯水混合栓6が設けられると共に湯水混合栓6から接続された吐出ヘッド7を持つ給水具8が着脱自在に設けられている。
【0021】
このため、本発明の水はね防止カバー15は、吐出ヘッド7からの水が洗面ボール2から跳ね上り洗面台3の側面3aから飛び出すのを防止するために設けられる。
【0022】
水はね防止カバー15は略矩形の第一の側面16と第二の側面17を帯状の四周部18で覆って成る中空偏平形状の袋部19と、この袋部19に気体注入用の注入口20を備えるとともに、桝状の補強部材21によって第二の側面17と四周部18の一部領域が挿入保持される。注入口20は逆止弁22を備えるとともに補強部材21の一部に形成される孔21aに挿通される。
【0023】
ここで、洗面台3の側面3aに対応する水はね防止カバー15の第一の側面16は洗面台3の側面3aに当接する下方領域16aと側面に当接しない上方領域16bとからなり、袋部19全域(第一の側面16、第二の側面17、四周部18)が軟質樹脂材で形成される。
【0024】
そして、注入口20を介して注入する加圧気体(空気)により、袋部19が膨張して洗面台3の側面3aと壁面12との隙間13が塞がれる。
【0025】
<水はね防止カバーの作用>
図4に示すように、注入口20を介して注入する加圧気体(空気)により、袋部19が矢印の方向に膨張する。このため、図2に示したように、洗面台3の側面3aと壁面12との隙間13が塞がれる。
【0026】
このとき、洗面台3の側面3aに対応する第一の側面16は、洗面台3の側面3aに当接する下方領域16aと、側面3aに当接しない上方領域16bとからなり、両領域が軟質樹脂材Qで形成される。
【0027】
このため、膨張した下方領域16aは隙間13を埋めるとともに、洗面台3の側面3aと確実に水密的に密着することができる。
【0028】
<本発明の第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態を図5に基づいて説明するが、図4と同構成部分については、図面に同符号を付して重複した説明を省略する。
【0029】
図5に示すように、水はね防止カバー15aの袋部19の第一の側面16は洗面台3の側面3aに当接する下方領域16aが軟質樹脂材で形成されるが、上方領域16bは硬質樹脂材Rで形成される。なお、洗面台3の側面3aは水止部5aの側面3bも含む領域である。
【0030】
このため、注入口20を介して注入した加圧気体(空気)により袋部19が矢印の方向に膨張した場合に、下方領域16aは膨張して隙間13を埋めるとともに洗面台3の側面3aに確実に水密的に密着できる。このとき、上方領域16bは硬質樹脂材Rの高い面剛性により表面が撓まないので、平面状に形成されるので見栄えがよく品質が向上する。
【0031】
<本発明の第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態を図6に基づいて説明するが、図4と同構成部分については、図面に同符号を付して重複した説明を省略する。
【0032】
図6に示すように、水はね防止カバー15bの袋部19の第一の側面16は、洗面台3の側面3aに当接する下方領域16aが軟質樹脂材Qで形成され、上方領域16bは硬質樹脂材Rで形成される。さらに、上方領域16bは、硬質樹脂材Rの表面に接着剤を介して不撓性板材23で覆われる。なお、洗面台3の側面3aは水止部5aの側面3bも含む領域である。
【0033】
このため、注入口20を介して注入した加圧気体(空気)により、袋部19が矢印の方向に膨張した場合に、下方領域16aは膨張して隙間13を埋めるとともに洗面台3の側面3aに確実に水密的に密着することができる。このとき、上方領域16bは硬質樹脂材Rの高い面剛性に加えて不撓性板材23の高い面剛性により、さらに確実に表面が撓むことなく平面状に形成されるので見栄えがよく品質がさらに向上する。
【0034】
以上、本発明の実施形態を図面に基づいて説明したが、上記の実施例はいずれも本発明の一例を示したものであり、本発明はこれらに限定されるべきでないということは言うまでもない。
【0035】
下方領域16aと上方領域16bの全域が軟質樹脂材Qの場合に、不撓性板材23をその全域に設けても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1の実施形態における、洗面化粧台1と壁面12間の隙間13に設けられる水はね防止カバー15の状態を示す正面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における、図1のA−A斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における、図2のB−B矢視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における、図3のC−C断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態における、水はね防止カバー15aの断面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態における、水はね防止カバー15bの断面図である。
【図7】従来の、(a)は洗面化粧台1と壁面12間の隙間13に設けられる水はね防止カバー31の状態を示す正面図、(b)は図7(a)のD−D断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 洗面化粧台
2 洗面ボール
3 洗面台
3a 側面
5 天板
8 給水具
13 隙間
15 水はね防止カバー
16 第一の側面
16a 下方領域
16b 上方領域
17 第二の側面
18 四周部
19 袋部
20 注入口
21 補強部材
Q 軟質樹脂材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗面化粧台の側面に設けられる水はね防止カバーであって、
前記水はね防止カバーは略矩形の第一の側面と第二の側面を帯状の四周部で覆って成る中空偏平形状の袋部と、この袋部に注入する気体用の注入口を備えるとともに、桝状の補強部材によって前記第二の側面と前記四周部が挿入保持され、
前記注入口を介して注入する加圧気体により、前記袋部が膨張して前記洗面化粧台の側面と躯体壁面との隙間を塞ぐに、前記洗面化粧台の側面に対応する前記第一の側面は前記洗面化粧台の側面に当接する下方領域と前記側面に当接しない上方領域とからなり、少なくとも前記下方領域が軟質樹脂材で形成されることを特徴とする水はね防止カバー。
【請求項2】
請求項1に記載の水はね防止カバーであって、前記上方領域が硬質樹脂材で形成されることを特徴とする水はね防止カバー。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の水はね防止カバーであって、前記上方領域が不撓性板材で覆われることを特徴とする水はね防止カバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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