説明

管継手

【課題】挿口部を受口部に挿入する際、受口部内に設けられた弾性部材から受ける抵抗を小さくして嵌合部が嵌合溝から外れることを防ぎながら、一方の流体管の外周面と他方の流体管の内周面との間を水密に保つことができる管継手を提供すること。
【解決手段】受口部4内周面4aにおける嵌合溝4gよりも挿口部5の挿入方向側には、挿口部5との間で弾性変形した膨出部6bが退避する退避溝4jが受口部4の全周に亘って形成され、嵌合溝4gと退避溝4jとの間には、挿口部5との間で膨出部6bを水密に保持する保持溝4iが受口部4の全周に亘って、退避溝4jと連続して退避溝4jよりも小径に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方の流体管の管軸方向の先端部に形成された挿口部と、挿口部が挿入され、他方の流体管の管軸方向の先端部に形成された受口部と、受口部内に配置される環状に形成された弾性部材と、を有する管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、弾性を有し環状に形成されるシール材(弾性部材)と、一方の管(流体管)の管軸方向の先端部に形成された受口(受口部)と、受口に挿入するために他方の管(流体管)の管軸方向の先端部に形成された挿口(挿口部)と、から構成された管継手がある。このような管継手のシール部材は、受口の内面の全周に亘って形成された深溝部(嵌合溝)に嵌合するヒール部(嵌合部)と、ヒール部の縮径側の端部に形成された膨出部と、から構成されている。また、挿口の先端には、挿口の挿入方向に向けて漸次縮径するテーパー面(傾斜面)が形成されており、挿口を受口内に挿入させる際に、テーパー面と受口とで膨出部を変形させた後に挿口と受口との間で膨出部を保持することで、挿口と受口との間を水密に保っている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−42549号公報(第2頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の管継手にあっては、テーパー面(傾斜面)と受口(受口部)のとの間で膨出部を変形させることで、挿口(挿口部)には、テーパー面に膨出部の変形に伴う反力がはたらくため、挿口部と膨出部との間に摩擦力が生じ、この摩擦力によってヒール部(嵌合部)が深溝部(嵌合溝)内から外れて漏水の原因となるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、挿口部を受口部に挿入する際、受口部内に設けられた弾性部材から受ける抵抗を小さくして嵌合部が嵌合溝から外れることを防ぎながら、一方の流体管の外周面と他方の流体管の内周面との間を水密に保つことができる管継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の管継手は、
一方の流体管の管軸方向の先端部に形成された挿口部と、該挿口部が挿入され、他方の流体管の管軸方向の先端部に形成された受口部と、該受口部内に配置される環状に形成された弾性部材と、を有する管継手であって、
前記受口部の内周面全周に亘って前記弾性部材を嵌合するための嵌合溝が形成されているとともに、前記弾性部材は、前記嵌合溝に嵌合される環状に形成された嵌合部及び該嵌合部の内径側端部に連続して形成された膨出部から構成されており、前記受口部内周面における前記嵌合溝よりも前記挿口部の挿入方向側には、前記挿口部との間で弾性変形した前記膨出部が退避する退避溝が前記受口部の全周に亘って形成され、前記嵌合溝と前記退避溝との間には、前記挿口部との間で前記膨出部を水密に保持する保持溝が前記受口部の全周に亘って、前記退避溝と連続して前記退避溝よりも小径に形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、挿口部が受口部内に挿入されることで挿口部が膨出部を退避溝に向けて押圧すると、膨出部は、保持溝と挿口部との間で挿口部の挿入方向に向けて弾性変形しながら押圧されるとともに、更に挿口部が受口部内に挿入されることで、挿口部の先端側にある膨出部の端部が退避溝内に押し出されるため、挿口部は、退避溝内に押し出された膨出部からの摩擦力の影響が抑えられ、嵌合部が嵌合溝から外れることを防ぎながら受口部内に挿入し易くすることができる。
また、挿口部の受口部内への挿入が完了した後は、両流体管内を流れる流体が膨出部を挿口部の受口部からの離脱方向に向けて押圧することで膨出部を挿口部と保持溝とに圧着させ、挿口部と受口部との間をより水密に保持することができる。
【0007】
本発明の管継手は、
前記保持溝と前記退避溝とは、前記挿口部の挿入方向に向けて漸次拡径するテーパー面によって連続していることを特徴としている。
この特徴によれば、挿口部を受口部内に挿入する際に、膨出部の一部がテーパー面に沿って保持溝から退避溝に向けて弾性変形していくため、膨出部の端部をスムーズに退避溝に押し出すことができる。
【0008】
本発明の管継手は、
前記挿口部の先端外周部には、該挿口部の挿入方向に向けて漸次縮径する傾斜面が形成されていることを特徴としている。
この特徴によれば、挿口部を受口部内に挿入する際に、傾斜面で膨出部を退避溝に向けて押圧させることができるとともに、膨出部を挿口部によって傷付けることがない。
【0009】
本発明の管継手は、
前記嵌合溝と前記保持溝との間には、前記受口部の内径方向に向けて突部が突設されていることを特徴としている。
この特徴によれば、挿口部が受口部内に挿入される際に膨出部が挿口部から退避溝に向けて押圧されることで、嵌合部が退避溝に向けて引張られても、突部と嵌合部との間で生じる摩擦力によって嵌合部を嵌合溝内に保持することができる。
【0010】
本発明の管継手は、
前記受口部には、該受口部内に挿入された前記挿口部の外周面に対して係止される係止爪が配置されていることを特徴としている。
この特徴によれば、挿口部と受口部とに地震等の不測の外力が作用しても挿口部の受口部内からの管軸方向への相対移動が係止爪によって規制され、膨出部による挿口部と受口部との間の水密を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例における管継手を示す分解断面図である。
【図2】挿口部が受口部に挿入された状態を示す管継手の縦断側面図である。
【図3】(a)は、挿口部を受口部内に挿入開始した状態を示す管継手の断面図であり、(b)は、挿口部のテーパー面で膨出部を押圧する状態を示す管継手の断面図である。
【図4】(a)は、挿口部を受口部内に挿入させながら膨出部を退避溝に向けて押圧する状態を示す管継手の断面図であり、(b)は、テーパー面が膨出部を乗り越えた状態を示す管継手の断面図である。
【0012】
本発明に係る管継手を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0013】
実施例に係る管継手につき、図1から図4を参照して説明する。図1の符号1は、本発明の適用された管継手である。
【0014】
図1に示すように、本実施例における管継手1は、管軸C方向の先端部に受口部4が形成された流体管2と、管軸C方向の先端部に受口部4内に挿入される挿口部5が形成された流体管3と、弾性を有し受口部4と挿口部5との間から流体が漏出することを防止する本発明における弾性部材としてのシール部材6と、から構成されている。これら流体管2,3は、例えば、内部に流体としての上水を流すための水道管等である。
【0015】
受口部4は、内径が挿口部5の外径よりも大径の内周面4aを有している。この受口部4の先端部には、管軸Cに向けて開口する凹部4bが受口部4の周方向に沿って複数形成されている。これら凹部4b内には、金属材等で構成され、管軸C側を向く端部における挿口部5の受口部4内への挿入方向側に尖鋭刃4dを有している係止爪4cが配置されている。
【0016】
更に、図1及び図2に示すように、受口部4の先端部には、各凹部4bに連通して径方向に貫通したボルト孔4eが周方向に所定間隔おきに複数形成されている。各ボルト孔4eには、ボルト4fが螺着されているため、係止爪4cは、ボルト4fを螺入することによって管軸Cに向けて押圧されるようになっている。尚、受口部4の内周面4aにおける凹部4bよりも挿口部5の挿入方向側には、シール部材6の後述する嵌合部6aが嵌合するための、環状の嵌合溝4gが形成されている。
【0017】
受口部4の内周面4aにおける嵌合溝4gよりも挿口部5の挿入方向側には、縮径方向に向けて環状の突部4hが突設されている。尚、この突部4hの内径は、後述する挿口部5の先端外周部5bの外径よりも大径に形成されている。
【0018】
受口部4の内周面4aにおける突部4hよりも挿口部5の挿入方向側には、管軸Cに向けて開口する環状の保持溝4iが受口部の全周に亘って形成されている。受口部4の内周面4aにおける保持溝4iよりも挿口部5の挿入方向側には、管軸Cに向けて保持溝4iよりも大径に開口する環状の退避溝4jが受口部の全周に亘って形成されている。また、受口部4の内周面4aにおける退避溝4jよりも挿口部5の挿入方向側には、挿口部5の外径よりも小径の内周面4kに連設するように、管軸Cに対して略垂直をなす環状の奥端面4lが形成されている。
【0019】
尚、特に図示はしないが、流体管2の内周面4a,4k及び流体管3の内周面には、流体管2,3内を流れる流体からの防錆を行う防錆処理として、モルタルや防錆塗料によって薄層のコーティング層が形成されている。
【0020】
シール部材6は、ゴム材等の弾性を有する材質で構成されており、図1及び図2に示すように、嵌合溝4gに嵌合される環状の嵌合部6aを備えている。この嵌合部6aの縮径側であって挿口部5の離脱方向側の端部には、挿口部5の挿入方向に向けて漸次縮径方向に傾斜するテーパー面6cが形成されている。
【0021】
また、この嵌合部6aの縮径側の端部からは、挿口部5の挿入方向に向けて受口部4の内周面4aと受口部4内に挿入された挿口部5の外周面5aとの間隙を水密的に密封するための本発明における膨出部としてのバルブ部6bが、嵌合部6aに連続して形成され、挿口部5の挿入方向側に向けて膨出している。
【0022】
一方、挿口部5の受口部4への挿入方向側の端部は、図1及び図2に示すように、係止爪4cが係止する挿口部5の外周面5aよりも僅かに大径である先端外周部5bに形成されている。また、この先端外周部5bの先端部は、挿口部5の挿入方向に向けて漸次縮径方向に傾斜する本発明における傾斜面としてのテーパー面5cに形成されている。
【0023】
次に、前述のように構成した管継手1における挿口部5の受口部4への挿入について説明する。先ず、図3(a)に示すように、受口部4の内周面の全周に亘って嵌合溝4g内に嵌合部6aを嵌合させ、シール部材6を受口部4内に取り付ける。このとき、バルブ部6bのシール部材6における外径側の一部が保持溝4i内に配置される。
【0024】
この状態から、図3(a)、図3(b)に示すように、挿口部5を受口部4内に先端外周部5b側から挿入し、先端外周面5bの外周面をシール部材6における嵌合部6aの縮径側の内周面とに摺接させながらテーパー面5cをバルブ部6bに当接させる。尚、挿口部5を受口部4内に挿入する際には、挿口部5の先端をシール部材6に形成されているテーパー面6cに当接させることで、両流体管2,3の軸心合わせを行うことができる。
【0025】
そして、更に挿口部5を受口部4の内方に挿入していくことで、バルブ部6bをテーパー面5cで保持溝4i内に押圧し、バルブ部6bを保持溝4iとテーパー面4mに沿って挿口部5の挿入方向に向けて弾性変形させ、図4(a)に示すように、挿口部5の先端側にあるバルブ部6bの端部が退避溝4j内に押し出される。
【0026】
図4(b)に示すように、更に挿口部5を受口部4内に挿入し続けることで、バルブ部6bを保持溝4iとテーパー面4m及び退避溝4jに沿って弾性変形させつつ、先端外周部5bをバルブ部6bよりも挿口部5の挿入方向側に移動させる。このとき、退避溝4j内に押し出されたバルブ部6bは、先端外周部5bがバルブ部6bよりも挿口部5の挿入方向側に移動したことで、挿口部5の受口部4からの離脱方向に向けて復元力がはたらき、保持溝4iに向けて管軸C方向に収縮するとともに径方向に膨出し、保持溝4iと挿口部5の外周面5aとの間を密封する。
【0027】
そして、図2に示すように、挿口部5の先端面を受口部4内の奥端面4lに当接させることによって、挿口部5の受口部4内への挿入が完了する。この後、各ボルト4fを受口部4の外方から螺入することによって、各係止爪4cの尖鋭刃4dを挿口部5の外周面5aに食い込ませ、挿口部5を受口部4内で係止する。
【0028】
このように係止爪4cによって挿口部5が受口部4内に係止されることで、挿口部5と受口部4とに地震等の不測の外力が作用して挿口部5が受口部4内から離脱する方向に移動しようとしても、係止爪4cが凹部4b内で管軸C方向に傾動して尖鋭刃4dを外周面5aに食い込ませ、挿口部5の受口部4内からの離脱を規制するようになっている。この状態で受口部4を有する流体管2側から挿口部5を有する流体管3側に向けて上水等の流体を流すことで、バルブ部6bは、両流体管2,3内を流れる流体から挿口部5の受口部4からの離脱方向に向けて押圧される。
【0029】
この流体からの押圧によって、バルブ部6bは、保持溝4iに沿って挿口部5の受口部4からの離脱方向に向けて弾性変形するため、挿口部5の外周面5aと保持溝4iとにバルブ部6bから強力な復元力が加わり、バルブ部6bが挿口部5の外周面5aと保持溝4iの周面とに圧着される。これらバルブ部6bの挿口部5の外周面5aと保持溝4iの周面とによって、挿口部5と受口部4との間が強力に水密に保持される。
【0030】
以上、本実施例における管継手1にあっては、受口部4の内周面4a全周に亘ってシール部材6を嵌合するための嵌合溝4gが形成されているとともに、シール部材6は、嵌合溝4gに嵌合される環状に形成された嵌合部6a及び嵌合部6aの内径側端部に連続して形成されたバルブ部6bから構成されており、受口部4内周面4aにおける嵌合溝4gよりも挿口部5の挿入方向側には、挿口部5との間で弾性変形したバルブ部6bが退避する退避溝4jが受口部4の全周に亘って形成され、嵌合溝4gと退避溝4jとの間には、挿口部5との間でバルブ部6bを水密に保持する保持溝4iが受口部4の全周に亘って、退避溝4jと連続して退避溝4jよりも小径に形成されているので、挿口部5が受口部4内に挿入されることで挿口部5がバルブ部6bを退避溝4jに向けて押圧すると、バルブ部6bは、保持溝4iと挿口部5との間で挿口部5の挿入方向に向けて弾性変形しながら押圧されるとともに、更に挿口部5が受口部4内に挿入されることで、挿口部5の先端側にあるバルブ部6bの端部が退避溝4j内に押し出されるため、挿口部5は、退避溝4j内に押し出されたバルブ部6bからの摩擦力の影響が抑えられ、嵌合部6aが嵌合溝4gから外れることを防ぎながら受口部4内に挿入し易くすることができる。また、挿口部5の受口部4内への挿入が完了した後は、両流体管2,3内を流れる流体がバルブ部6bを挿口部5の受口部4からの離脱方向に向けて押圧することでバルブ部6bを挿口部5と保持溝4iとに圧着させ、挿口部5と受口部4との間をより水密に保持することができる。
【0031】
また、保持溝4iと退避溝4jとは、挿口部5の挿入方向に向けて漸次拡径するテーパー面4mによって連続しているので、挿口部5を受口部4内に挿入する際に、バルブ部6bの一部がテーパー面4mに沿って保持溝4iから退避溝4jに向けて弾性変形していくため、バルブ部6bの端部をスムーズに退避溝4jに押し出すことができる。
【0032】
また、挿口部5の先端外周部5bには、挿口部5の挿入方向に向けて漸次縮径するテーパー面5cが形成されているので、挿口部5を受口部4内に挿入する際に、テーパー面5cでバルブ部6bを退避溝4jに向けて押圧させることができるとともに、バルブ部6bを挿口部5によって傷付けることがない。
【0033】
また、嵌合溝4gと保持溝4iとの間には、受口部4の内径方向に向けて突部4hが突設されているので、挿口部5が受口部4内に挿入される際にバルブ部6bが挿口部5から退避溝4jに向けて押圧されることで、嵌合部6aが退避溝4jに向けて引張られても、突部4hと嵌合部6aとの間で生じる摩擦力によって嵌合部6aを嵌合溝4g内に保持することができる。
【0034】
また、受口部4には、受口部4内に挿入された挿口部5の外周面5aに対して係止される係止爪4cが配置されているので、挿口部5と受口部4とに地震等の不測の外力が作用しても挿口部5の受口部4内からの管軸C方向への相対移動が係止爪4cによって規制され、バルブ部6bによる挿口部5と受口部4との間の水密を維持することができる。
【0035】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0036】
例えば、前記実施例では、係止爪4cの管軸C側を向く端部の挿口部5の受口部4内への挿入方向側に尖鋭刃4dを設け、この尖鋭刃4dを挿口部5の外周面5aに係止させることで、挿口部5の受口部4内からの離脱方向への移動を規制したが、更に係止爪4cの管軸C側を向く端部における挿口部5の受口部4内からの離脱方向側に別の尖鋭刃を設け、当該尖鋭刃を挿口部5の外周面5aに食い込ませることで、挿口部5の受口部4内への過挿入も規制できるようにしてもよい。
【0037】
また、前記実施例では、管軸Cに対し直交方向に形成されたボルト孔4eにボルト4fを螺挿し、係止爪4cを管軸Cに対し直交方向に挿口部5の外周面5aに押圧していたが、例えば、管軸Cに対し傾斜する傾斜方向に形成されたボルト孔にボルトを螺挿することで、係止爪を挿口部の受口部内への挿入方向側に向かう傾斜方向に押圧し、前記係止爪の尖鋭刃が挿口部の外周面に食い込むことで、挿口部の受口部からの離脱方向、もしくはこれに加えて挿口部の受口部内への挿入方向への移動を規制するようにしてもよい。
【0038】
また、前記実施例では、両流体管2,3を内部に上水が流れる水道管として説明したが、両流体管2,3内を流れる流体は上水の他、石油等の水以外の液体でもよく、また、液体とガス等の混合物であってもよい。
【0039】
また、前記実施例では、挿口部5の受口部4への挿入方向側の端部を、係止爪4cが係止する挿口部5の外周面5aよりも僅かに大径である先端外周部5bに形成したが、挿口部5の受口部4への挿入方向側の端部の外周面は、係止爪4cが係止する挿口部5の外周面5aと面一となるように形成してもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 管継手
2,3 流体管
4 受口部
4a 内周面
4c 係止爪
4g 嵌合溝
4h 突部
4i 保持溝
4j 退避溝
4m テーパー面
5 挿口部
5a 外周面
5b 先端外周部
5c テーパー面(傾斜面)
6 シール部材(弾性部材)
6a 嵌合部
6b バルブ部(膨出部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の流体管の管軸方向の先端部に形成された挿口部と、該挿口部が挿入され、他方の流体管の管軸方向の先端部に形成された受口部と、該受口部内に配置される環状に形成された弾性部材と、を有する管継手であって、
前記受口部の内周面全周に亘って前記弾性部材を嵌合するための嵌合溝が形成されているとともに、前記弾性部材は、前記嵌合溝に嵌合される環状に形成された嵌合部及び該嵌合部の内径側端部に連続して形成された膨出部から構成されており、前記受口部内周面における前記嵌合溝よりも前記挿口部の挿入方向側には、前記挿口部との間で弾性変形した前記膨出部が退避する退避溝が前記受口部の全周に亘って形成され、前記嵌合溝と前記退避溝との間には、前記挿口部との間で前記膨出部を水密に保持する保持溝が前記受口部の全周に亘って、前記退避溝と連続して前記退避溝よりも小径に形成されていることを特徴とする管継手。
【請求項2】
前記保持溝と前記退避溝とは、前記挿口部の挿入方向に向けて漸次拡径するテーパー面によって連続していることを特徴とする請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記挿口部の先端外周部には、該挿口部の挿入方向に向けて漸次縮径する傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の管継手。
【請求項4】
前記嵌合溝と前記保持溝との間には、前記受口部の内径方向に向けて突部が突設されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の管継手。
【請求項5】
前記受口部には、該受口部内に挿入された前記挿口部の外周面に対して係止される係止爪が配置されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の管継手。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−226523(P2011−226523A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95414(P2010−95414)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(000105556)コスモ工機株式会社 (270)
【Fターム(参考)】