説明

α−ヒドロキシカルボン酸の濃縮液及び結晶の製造方法

【課題】α−ヒドロキシカルボン酸水溶液の濃縮時にその二量体の生成を抑制し、高純度でかつ着色の少ないα−ヒドロキシカルボン酸を得ること。
【解決手段】 α−ヒドロキシカルボン酸水溶液を温度70〜100℃かつpH2.0〜6.0に維持して1〜30質量%に濃縮するα−ヒドロキシカルボン酸濃縮液の製造方法、及び前記の方法で得られたα−ヒドロキシカルボン酸濃縮液から結晶を析出させ、次いで固液分離するα−ヒドロキシカルボン酸結晶の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医農薬原料、液晶材料及び光学分割剤として有用なα−ヒドロキシカルボン酸の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
α−ヒドロキシカルボン酸の製造方法としては、アルデヒド化合物とシアニドとの付加反応を実施し、α-ヒドロキシニトリルを得、次いで酸加水分解することによる製造方法が知られている(特許文献1)。α−ヒドロキシカルボン酸を合成後、晶析を行う前に水溶液中のα−ヒドロキシカルボン酸の濃度を上げるために、濃縮工程を必要とする。しかし、酸性雰囲気下で濃縮を行った場合、副生成物であるα−ヒドロキシカルボン酸の二量体が、平衡反応により時間と共に増加するという問題があった。この二量体が最終的に得られるα−ヒドロキシカルボン酸の結晶粒径を小さくしたり、二量体の極端な増加が製品純度を低下させる原因となっていた。また、生物学的触媒によってα-ヒドロキシニトリルを合成した場合、加水分解後に濃縮してα−ヒドロキシカルボン酸を晶析すると結晶に濃い赤褐色の着色が生じるという問題があった。
【0003】
【特許文献1】特開平10−59895号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、α−ヒドロキシカルボン酸水溶液の濃縮時に副生成物として生成されるα-ヒドロキシカルボン酸の二量体の生成を抑制し、高純度でかつ着色の少ないα−ヒドロキシカルボン酸を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、α−ヒドロキシカルボン酸水溶液を温度70〜100℃かつpH2.0〜6.0に維持して1〜30質量%に濃縮するα−ヒドロキシカルボン酸濃縮液の製造方法である。また、本発明は、前記方法で得られたα−ヒドロキシカルボン酸濃縮液から結晶を析出させ、次いで固液分離するα−ヒドロキシカルボン酸結晶の製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、副生成物であるα−ヒドロキシカルボン酸の二量体の生成が抑制され、高純度でかつ着色の少ないα−ヒドロキシカルボン酸を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明におけるα−ヒドロキシカルボン酸としては、マンデル酸(2−ヒドロキシ−2−フェニル酢酸)、3−フェノキシマンデル酸(2−ヒドロキシ−2−(3−フェノキシフェニル)酢酸)、4−メチルマンデル酸(2−ヒドロキシ−2−(p−トリル)酢酸)、2−クロロマンデル酸(2−(2−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ酢酸)、3−クロロマンデル酸(2−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ酢酸)、4−クロロマンデル酸(2−(4−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ酢酸)、3−ニトロマンデル酸(2−ヒドロキシ−2−(3−ニトロフェニル)酢酸)、3,4−メチレンジオキシマンデル酸(2−ヒドロキシ−2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)酢酸)、2,3−メチレンジオキシマンデル酸(2−ヒドロキシ−2−(2,3−メチレンジオキシフェニル)酢酸)、2−(2−フリル)−2−ヒドロキシ酢酸、2−(2−ピリジル)−2−ヒドロキシ酢酸、2−アリール−2−ヒドロキシ酢酸等が挙げられる。好ましくはマンデル酸、2−クロロマンデル酸、3−クロロマンデル酸、4−クロロマンデル酸、2−(2−ピリジル)−2−ヒドロキシ酢酸等が挙げられる。尚、これらα−ヒドロキシカルボン酸はラセミ体でも光学活性体でも良い。
【0008】
本発明において濃縮の対象となるα−ヒドロキシカルボン酸水溶液は、如何なる方法で得られたものでも良く、通常は、カルボニル化合物とシアン化水素を出発原料として用い、得られたシアノヒドリンを酸加水分解することによって得られる。又は、カルボニル化合物とシアン化水素を鉱酸で一括反応させて得ることもできる。上記方法で得られるα−ヒドロキシカルボン酸水溶液中には副生成物であるα−ヒドロキシカルボン酸の二量体が含まれる。
【0009】
濃縮操作前のα−ヒドロキシカルボン酸水溶液の濃度は、0.1〜20質量%の範囲であることが好ましい。この範囲内であると、α−ヒドロキシカルボン酸水溶液の濃縮時にα−ヒドロキシカルボン酸の二量体の生成が抑制され、得られるα−ヒドロキシカルボン酸濃縮液及び結晶の着色を抑制することができる。濃度は0.5〜15質量%の範囲であることがより好ましい。
【0010】
本発明において、α−ヒドロキシカルボン酸水溶液の濃縮時の温度は、70〜100℃の範囲に維持する。この範囲内であると、濃縮時間が短く、工業的に有利である。また、α−ヒドロキシカルボン酸の二量体の生成が抑制され、濃縮液及び結晶の着色を抑制することができる。温度は80〜90℃の範囲とすることがより好ましい。
【0011】
本発明において、α−ヒドロキシカルボン酸水溶液の濃縮時のpHは2.0〜6.0の範囲に維持する。この範囲内であると、α−ヒドロキシカルボン酸の二量体の生成が抑制され、濃縮液及び結晶の着色を抑制することができる。pHは3.0〜4.0の範囲がより好ましく、pH3.3〜3.7が特に好ましい。
【0012】
濃縮時間は、5〜100時間の範囲とすることが好ましい。濃縮時間は、短時間である方が工業的に有利である。
【0013】
濃縮中のα−ヒドロキシカルボン酸水溶液を含む容器の内圧は、30〜760Torrの範囲とすることが好ましい。この範囲内であると、工業的規模の製造に適し、安定に製造することができる。内圧は、100〜760Torrの範囲とすることがより好ましい。
【0014】
本発明において、α−ヒドロキシカルボン酸水溶液は、濃度が1〜30質量%の範囲となるまで濃縮する。この範囲内とすることにより、α−ヒドロキシカルボン酸の二量体の生成が抑制され、生産性が向上する。また、α−ヒドロキシカルボン酸の二量体の生成を抑制できる。この濃度は15〜25質量%の範囲とすることがより好ましい。
【0015】
α−ヒドロキシカルボン酸は上述の濃縮操作後、通常、冷却し結晶を析出させてから固液分離され、結晶として採取される。
α−ヒドロキシカルボン酸濃縮液の固液分離の方法については、特に限定されないが、例えば、加圧ろ過、自然ろ過、加熱ろ過又は遠心分離による方法等が挙げられる。固液分離操作は、不活性ガス雰囲気下又は大気中で行うことができる。着色を防止する点から不活性ガス雰囲気下で実施することが好ましく、窒素雰囲気下が特に好ましい。また、常圧下、加圧下、又は減圧下のいずれの条件でも行うことができる。
【0016】
また、この固液分離操作は、例えば、α−ヒドロキシカルボン酸の飽和温度より低い温度で、かつ、水溶液相の凝固点以上で実施することが好ましい。即ち、飽和溶液となる温度以下となるまで濃縮液を冷却した後、析出した結晶を固液分離することにより、α−ヒドロキシカルボン酸の結晶を採取することができる。例えば、α−ヒドロキシカルボン酸が(S)−マンデル酸水溶液の場合の飽和温度は、濃度10質量%で25℃であり、また濃度13質量%で30℃である。
晶析時の冷却速度は、30℃/時間以下とすることが好ましく、10℃/時間以下とすることがより好ましい。冷却速度の下限は特に限定されないが、通常は0.1℃/時間以上とすることが好ましく、晶析の効率を考慮すると、0.5℃/時間以上とすることがより好ましい。
本発明においては、α−ヒドロキシカルボン酸の二量体の含有割合をより低減させるために、採取された結晶を水に溶解して、同様の固液分離操作を繰り返すことができる。
【0017】
固液分離後のα−ヒドロキシカルボン酸の結晶は必要に応じて溶媒等で洗浄することができる。洗浄する場合は、α−ヒドロキシカルボン酸の結晶を1〜5回洗浄すればよい。
洗浄に用いる溶媒は、例えば、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の極性溶媒、メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール等のアルコール溶媒、または、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒等である。これらの溶媒は単一で用いても組み合わせて用いても良い。
【実施例】
【0018】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳しく説明する。
なお、マンデル酸の化学純度、マンデル酸類の二量体の含有割合、及び光学純度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用い、下記の分析条件で決定した。
<マンデル酸の化学純度及びマンデル酸の二量体の含有割合の分析>
試料調製方法: 試料約20mgをキャリヤー25mLに溶解
装置: カラムオーブン 日本分光社製 865−CO
UV 日本分光社製 870−UV
ポンプ 日本分光社製 880−PU
インテグレーター 島津製作所社製 C−R3A
カラム: ODS−2(GLサイエンス社製)
キャリヤー: アセトニトリル/水(リン酸にてpH3に調整)=30/70(容積比)
カラム温度: 40℃
流速: 1mL/min
波長: 220nm
検出限界値: マンデル酸結晶中の二量体含有割合0.015%(面積百分率)((S)−マンデル酸とその二量体のHPLC分析結果の吸収ピーク面積合計を100面積%とした場合)
リテンションタイム: 4.9min((S)−マンデル酸)
<マンデル酸類の光学純度分析>
試料調製方法: 試料約20mgをキャリヤー25mLに溶解
装置: カラムオーブン 日本分光社製 865−CO
UV 日本分光社製 870−UV
ポンプ 日本分光社製 880−PU
インテグレータ 島津製作所社製 C−R3A
カラム: CHIRALCEL OJ−H(ダイセル化学工業社製)
キャリヤー: Hexane/IPA/トリフルオロ酢酸=90/10/0.1(容積比)
カラム温度: 35℃
流速: 1.0ml/min
波長: 220nm
リテンションタイム: 16.0min(R体)、18.2min(S体)
光学純度はエナンチオマー過剰率(%ee)で示した。
(S)−マンデル酸の二量体の含有割合は、HPLC分析より得られた吸収ピークの面積百分率よりマンデル酸とその二量体の面積値を合わせた値を100面積%として算出した。
(S)−マンデル酸の光学純度は、HPLC分析より得られた吸収ピークのS体及びR体の面積値より、次の(1)式により算出した。
S体光学純度(%ee)
=(S体面積値−R体面積値)/(S体面積値+R体面積値)×100 (1)
<着色度合い>
比色管によりAPHA標準色と比較することで数値化(ハーゼン色数、定量限界は500番)した。
【0019】
[調製例1] (S)−マンデロニトリル水溶液の調製
温度センサー及びコンデンサーを備えた500mL容フラスコに(S)−オキシニトリラーゼ酵素水溶液(1072U/mL)4.1g、50mMリン酸水素ナトリウム/50mMクエン酸緩衝液(pH6.0)29.6g、及びターシャルブチルメチルエーテル(和光純薬工業社製)119.0gを秤り取り、16〜18℃で攪拌を継続した。ベンズアルデヒド(和光純薬工業社製)2.0g(0.02モル)を添加後、次いで、シアン化水素32.4g(1.20モル)及びベンズアルデヒド82.7g(0.78モル)を2時間かけて撹拌しながら連続的に滴下添加した。添加終了後、18℃で4時間撹拌した後、HPLCによりベンズアルデヒドの消失を確認した。このときの(S)−マンデロニトリルの転化率及び光学純度は、それぞれ99.0質量%、98.5%eeであった。その後、ターシャルブチルメチルエーテル及び50mMリン酸水素ナトリウム/50mMクエン酸緩衝液をエバポレーターにより、系内の水分が5質量%以下になるまで留去した。これにより、95質量%(S)−マンデロニトリル水溶液を得た。
【0020】
[調製例2] (S)−マンデル酸水溶液の調製
温度センサー及びコンデンサーを備えた2000mL容フラスコに35質量%塩酸(関東化学社製)156.4g(1.50モル)を秤り取り、フラスコ内の温度を35℃に設定した。この状態で、調製例1で得られた95質量%(S)−マンデロニトリル水溶液133.2g(0.95モル)を1時間かけて撹拌しながら連続的に滴下添加した。添加終了後、35〜40℃で5時間撹拌した。その後、HPLCによりマンデロニトリルの消失を確認し、純水1031.2gを添加し、70℃で3時間攪拌した。次いで、48質量%水酸化ナトリウム水溶液96.2g(1.15モル)を添加して、pHを3.5に調整した。このpH調整した水溶液に活性炭を1.0g添加して、60℃で1時間攪拌し、反応液を吸引ろ過して活性炭を除去した。このときの(S)−マンデル酸の化学純度及び光学純度は、それぞれ10.0質量%、96.8%eeであった。色調は150番であった。これにより、10質量%(S)−マンデル酸水溶液を得た。
【0021】
[実施例1]
(1)(S)-マンデル酸濃縮液の製造
温度センサー、コンデンサー、及び減圧コック弁を備えた500mL容フラスコに調製例2で得られた10質量%(S)−マンデル酸水溶液(pH3.5)500g(0.33モル)を秤り取った。オイルバスの温度が140℃、フラスコ内の圧力が460Torr及びフラスコ内部温度が90℃の条件で濃縮操作を72時間継続した。操作終了後の(S)−マンデル酸濃縮液の濃度は、25質量%であった。濃縮液中の(S)−マンデル酸の二量体の含有割合、光学純度及び色調を測定し、その結果を表1に示した。
(2)(S)-マンデル酸結晶の製造
上記(1)の濃縮操作終了後、オイルバスの温度を60℃にし、フラスコ内の圧力を常圧に戻した。その後、60℃からゆっくりと温度を下げ、濃縮液から(S)−マンデル酸の結晶を析出させた。このときのフラスコ内部温度は50℃であった。濃縮液から結晶の析出を確認した後、濃縮液を冷却速度10℃/時間で30℃まで冷却し、30℃到達後1時間攪拌し冷却晶析した。
冷却晶析終了後、桐山ロートを用いて減圧ろ過を行った。大気中で、固液分離を行い、湿粉の(S)−マンデル酸の結晶及び分離ろ液を取得した。(S)−マンデル酸結晶の回収率は、92.7質量%で結晶中の二量体含有割合は0.88%(面積百分率)であった。
二量体をさらに低減するため、再度、晶析を行った。得られた(S)−マンデル酸結晶32.8g(含水率8.5%)を純水61.0g中に添加し、(S)−マンデル酸水溶液の濃度を32質量%に調製した。この水溶液を50℃にして、(S)−マンデル酸を完全に溶解させた。その後、50℃からゆっくりと温度を下げ、水溶液から(S)−マンデル酸の結晶を析出させた。このときのフラスコ内部温度は35℃であった。水溶液から結晶の析出を確認した後、水溶液を冷却速度を10℃/時間で25℃まで冷却し、25℃到達後1時間攪拌し冷却晶析した。
冷却晶析終了後、桐山ロートを用いて減圧ろ過を行った。大気中で固液分離を行い、湿粉の(S)−マンデル酸の結晶及び分離ろ液を取得した。(S)−マンデル酸の結晶の回収率は、76.3質量%で結晶中の二量体含有割合は検出限界値以下であった。
【0022】
[実施例2]
オイルバスの温度を145℃、フラスコ内の内圧を400Torrにした以外は、実施例1(1)と同様の操作を行い、濃度30質量%の(S)−マンデル酸濃縮液を得た。得られた濃縮液中の(S)−マンデル酸の二量体の含有割合、光学純度及び色調を測定し、その結果を表1に示した。
【0023】
[実施例3]
濃縮時の(S)−マンデル酸水溶液のpHを5.0に変えた以外は、実施例1(1)と同様の操作を行った。濃縮液中の(S)−マンデル酸の二量体の含有割合、光学純度及び色調を測定し、その結果を表1に示した。
【0024】
[実施例4]
濃縮時の(S)−マンデル酸水溶液のpHを2.0に変えた以外は、実施例1(1)と同様の操作を行った。濃縮液中の(S)−マンデル酸の二量体の含有割合、光学純度及び色調を測定し、その結果を表1に示した。
【0025】
[実施例5]
濃縮時の(S)−マンデル酸水溶液のフラスコ内部温度を100℃にするため、フラスコ内の圧力を380Torr変えた以外は、実施例1(1)と同様の操作を行った。濃縮液中の(S)−マンデル酸の二量体の含有割合、光学純度及び色調を測定し、その結果を表1に示した。
【0026】
[比較例1]
濃縮時の(S)−マンデル酸水溶液のpHを7.0に変えた以外は、実施例1(1)と同様の操作を行った。濃縮液中の(S)−マンデル酸の二量体の含有割合、光学純度及び色調を測定し、その結果を表1に示した。色調は、濃い赤褐色を呈したため定量不可能であった。
【0027】
[比較例2]
オイルバスの温度を145℃、フラスコ内の圧力を360Torrに制御した以外は、実施例1(1)と同様の操作を行い、濃度35質量%の(S)−マンデル酸濃縮液を得た。濃縮液中の(S)−マンデル酸の二量体の含有割合、光学純度及び色調を測定し、その結果を表1に示した。
【0028】
[比較例3]
濃縮時の(S)−マンデル酸水溶液のpHを1.0に変えた以外は、実施例1(1)と同様な操作を行った。濃縮液中の(S)−マンデル酸の二量体の含有割合、光学純度及び色調を測定し、その結果を表1に示した。色調は、濃い赤褐色を呈したため定量不可能であった。
【0029】
[比較例4]
濃縮時の(S)−マンデル酸水溶液のフラスコ内部温度を120℃にするため、フラスコ内の内圧を270Torr変えた以外は、実施例1(1)と同様な操作を行った。濃縮液中の(S)−マンデル酸の二量体の含有割合、光学純度及び色調を測定し、その結果を表1に示した。色調は、濃い赤褐色を呈したため定量不可能であった。
【0030】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
α−ヒドロキシカルボン酸水溶液を温度70〜100℃かつpH2.0〜6.0に維持して1〜30質量%に濃縮するα−ヒドロキシカルボン酸濃縮液の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法で得られたα−ヒドロキシカルボン酸濃縮液から結晶を析出させ、次いで固液分離するα−ヒドロキシカルボン酸結晶の製造方法。

【公開番号】特開2006−232678(P2006−232678A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−45458(P2005−45458)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】