説明

α−メチレン−γ−ブチロラクトンの製造法

【課題】安価な出発原料、汎用の反応器を使用して、α−メチレン−γ−ブチロラクトンを、安価、簡便且つ高収率で高純度に製造する方法を提供する。
【解決手段】γ−ブチロラクトンとシュウ酸エステル及びアルコラートを作用させ、生成したα−アルキルオキサリル−γ−ブチロラクトンのエノール塩とホルムアルデヒドとを、相間移動触媒の存在下に反応させて、式(V)のα−メチレン−γ−ブチロラクトンを得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、α−メチレン−γ−ブチロラクトンの新規製造方法に関する。α−メチレン−γ−ブチロラクトンは、メタクリル酸エステル類やスチレンなどと共重合することによりガラス転移温度の高い成形材料を製造することができる。
【背景技術】
【0002】
α−メチレン−γ−ブチロラクトンまたはその関連物質の製造方法に関しては、これまで数々の報告がされている。例えば非特許文献1や、非特許文献2、非特許文献3に総説が記載されているが、これらの製造方法を大きく分類すると、何らかの方法でγ−ブチロラクトンを合成し、そのα位を活性化してメチレン基を導入する方法と、すでに存在するオレフィンを利用してα−メチレン−γ−ブチロラクトンを製造する方法に分けられる。
【0003】
非特許文献4にはワンポット反応で、ラクトン環のα位の活性化のためにアルキルオキサリル基を導入した後、ホルムアルデヒド水溶液でメチレン化する下記スキームで示される方法が記載されている。しかし、メチレン化する際に1当量以上の炭酸カリウムを水溶液の状態にして用いるので、コストの面や生産効率の面で実用的な製造法とは言い難い。
【0004】
【化1】

【0005】
また、特許文献1には、γ−ブチロラクトン誘導体とシュウ酸エステル、アルコラートを加温下にて反応させて、ラクトン環のα位をアルキルオキサリル化したオキサリル誘導体のナトリウム塩(エノール塩)を得、このエノール塩を濾過して単離後、ホルムアルデヒド水溶液と炭酸カリウム水溶液とを反応させることによりα−メチレン−γ−ブチロラクトン誘導体を製造する方法が記載されている。しかし、メチレン化する際に使用する副原料をいずれも1当量以上必要とし、且つ水溶液の状態で投入するため、コストの面や生産効率の面で実用的な製造法とは言い難い。
【0006】
以上のように従来からα−メチレン−γ−ブチロラクトン或いはその関連物質に関する製造法は種々開発されていたが、使用する試薬が高価なものであったり、生産効率が低いなど、何れも工業的には大きな問題点があり、低コストで容易に製造できる実用的な工業製法としては必ずしも満足できるものではなかった。
【特許文献1】米国6531616号公報
【非特許文献1】Synthesis, 1975, 67−82
【非特許文献2】Synthesis, 1986, 157−183
【非特許文献3】Synth. Commun. 1975, 5, 245−268
【非特許文献4】Agric. Biol. Chem. 1978, 42, 1585−1588
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の課題は、安価な出発原料、汎用の反応器を使用して、高純度なα−メチレン−γ−ブチロラクトンを安価、簡便且つ高収率で高純度に製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は前記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、エノール塩にホルムアルデヒドを作用させるに際し相間移動触媒を使用することで高収率で高純度なα−メチレン−γ−ブチロラクトンを製造できる方法を見出して本発明に到達した。
【0009】
すなわち、本発明は、(A)下記(1)〜(2)の工程を順次行うα−メチレン−γ−ブチロラクトンの製造方法に関する。
(1)下記一般式(I)
【0010】
【化2】

【0011】
〔式(I)中、Rは直鎖または分岐状の炭素数1〜10のアルキル基を表し、R’は水素原子または直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜10のアルキル基を表す。〕
で表されるγ−ブチロラクトンと一般式(II)
【0012】
【化3】

【0013】
〔式(II)中、Rは直鎖または分岐状の炭素数1〜10のアルキル基を示す。〕
で表されるシュウ酸エステルと一般式(III)
−OM (III)
〔式(III)中、Rは直鎖または分岐状の炭素数1〜10のアルキル基を示し、Mはアルカリ金属を示す。〕
で表されるアルコラートとを作用させ、一般式(IVa)および/または(IVb)
【0014】
【化4】

【0015】
〔式(IVa)および/または(IVb)中、R、R、Rはそれぞれ独立して、直鎖または分岐状の炭素数1〜10のアルキル基を表し、R’は水素原子または直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜10のアルキル基を表し、Mはアルカリ金属を表す。〕
で表されるα−アルキルオキサリル−γ−ブチロラクトンのエノール塩を得る工程、
(2)前記一般式(IVa)および/または(IVb)で表されるエノール塩とホルムアルデヒド類とを反応させて下記一般式(V)
【0016】
【化5】

【0017】
〔式(V)中、R、R’は式(I)におけるR、R’と同義である。〕
で表されるα−メチレン−γ−ブチロラクトンを得る工程
とを有し、前記(2)の工程において、前記式(IVa)および/または(IVb)のエノール塩とホルムアルデヒドとを相間移動触媒の存在下に反応させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、純度の高いα−メチレン−γ−ブチロラクトンを安価な原料から効率および収率よく製造することが可能であり、工業的に有利な方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
まず、工程(1)について説明する。
前記一般式(I)で表されるγ−ブチロラクトンは、「MARCH’S ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY FIFTH EDITION」、484頁 (WILEY−INTERSCIENCE) Michael B. Smith, Jerry Marchに記載された方法などによって製造することができる。
【0020】
γ−ブチロラクトンのアルキルオキサリル化は式(III)で表されるアルコラート、式(II)で表されるシュウ酸エステルおよび式(I)で表されるγ−ブチロラクトンを投入する順番は任意で構わないが、アルコラートに、シュウ酸エステルを滴下し、γ−ブチロラクトンを滴下することにより行うことが好ましい。
【0021】
式(III)のアルコラートとしては、例えば、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムエチラート、カリウムt−ブチラートなどのアルカリ金属アルコラート(アルカリ金属アルコキシド)を挙げることができ、ナトリウムメチラートのメタノール溶液やナトリウムエチラートのエタノール溶液などを用いた方が簡便であるが、アルコラートは紛体状のものを用いても構わない。
【0022】
ナトリウムメチラートのメタノール溶液やナトリウムエチラートのエタノール溶液などを用いた場合、特に溶媒を追加する必要はないが、さらに溶媒を追加する場合や紛体状のものを用いた場合は、メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチルエステルなどのエステル類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、t−ブチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどのアルカン類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルなどの極性溶媒を用いることができる。これらの溶媒は単一で用いても混合して用いても良い。
【0023】
使用する溶媒量が少ないと、反応終了時に化合物(IVa)および/または(IVb)が析出し、反応系全体が固化することがあるので、溶媒量は、化合物(I)の重量に対して0.5〜50倍が望ましく、製造コスト、反応収率、攪拌機の破損の回避などを考えると、1〜10倍がより望ましく、1〜5倍がさらに望ましい。
【0024】
なお、式(II)のシュウ酸エステルおよび式(III)のアルコラートとともにアルコールを用いる場合、シュウ酸エステルとアルコラートと溶媒のアルコールとの組み合わせは任意であるが、反応物を複雑にしないためにはアルコラートと溶媒とシュウ酸エステルの組み合わせは、例えば、ナトリウムメチラート/メタノール/シュウ酸ジメチルエステル、ナトリウムエチラート/エタノール/シュウ酸ジエチルエステルのように同一のアルコールからなる組み合わせが好ましい。
【0025】
しかしながら、製造コストを勘案すると必ずしもこの組み合わせにこだわる必要はない。例えば、シュウ酸ジエチルエステルを使用する場合にナトリウムメチラート/メタノールを使用しても、α−アルキルオキサリル−γ−ブチロラクトンのエステルが一部エステル交換されるだけで、その後の反応には何ら差し支えるものではない。
【0026】
式(III)のアルコラートの使用量は、式(I)のγ−ブチロラクトンに対して0.9〜10当量が望ましく、反応効率、製造コストなどを考慮すると、1〜5当量がより望ましく、式(I)のγ−ブチロラクトンを消費して、高純度なα−メチレン−γ−ブチロラクトンを高収率で製造する観点から、1〜2当量がさらに望ましい。
【0027】
式(II)のシュウ酸エステルの使用量は、式(I)のγ−ブチロラクトンに対して0.9〜10当量が望ましく、反応効率、製造コストなどを考慮すると、1〜5当量がより望ましく、式(I)のγ−ブチロラクトンを消費して、高純度なα−メチレン−γ−ブチロラクトンを高収率で製造する観点から、1〜2当量がさらに望ましい。なお、小過剰のシュウ酸エステルは次工程で除去できる。
【0028】
反応温度は不純物の生成を抑制するために60℃以下にする必要があり、式(I)のγ−ブチロラクトンを消費して、高純度なα−メチレン−γ−ブチロラクトンを高収率で製造できることから、−20℃から60℃の間が好ましく、さらに副生物を低減できる観点から、0℃〜50℃の間がより好ましい。
【0029】
反応時間は任意に設定できるが、反応収率、作業効率を考慮すると0.1〜24時間が望ましく、0.5〜5時間がより望ましい。
【0030】
次に工程(2)について説明する。
【0031】
α−アルキルオキサリル−γ−ブチロラクトンのエノール塩にホルムアルデヒドと相間移動触媒を添加することにより、アルキルオキサリル基をメチレン基に変換することができる。ホルムアルデヒドと相間移動触媒を投入する順番は任意で構わない。ホルムアルデヒドは相間移動触媒と同時に添加しても良いし、相間移動触媒の後に添加しても良い、相間移動触媒の前に添加しても良い。
【0032】
ホルムアルデヒドと相間移動触媒を添加する際のα−アルキルオキサリル−γ−ブチロラクトンのエノール塩の温度は、副生物を低減させる観点から、−10〜60℃の間が好ましく、0〜50℃の間がさらに好ましい。
【0033】
ホルムアルデヒドとしては、例えばホルムアルデヒドおよびその水溶液(ホルマリン)、パラホルムアルデヒド、ホルマールなど、系内でホルムアルデヒドを発生およびその水溶液などが好ましく、通常は、ホルムアルデヒドやパラホルムアルデヒドの水溶液を用いるのが好ましい。
【0034】
ホルムアルデヒドの使用量は特に限定されないが、式(IVa)および/または(IVb)で表されるα−アルキルオキサリル−γ−ブチロラクトンのエノール塩に対して0.9〜10当量が望ましく、コストと反応収率を考えると、1〜3当量がより望ましい。
【0035】
相間移動触媒としては、特に制限はなく一般的に使用できるものであればいずれも使用可能であり、例えば、シグマアルドリッチジャパン株式会社製カタログ「相間移動触媒」やW.P.Weber,G.W.Gokel共著、田伏岩夫、西谷孝子共訳「相間移動触媒」(株)化学同人発行などに記載のものなどを用いることができる。
【0036】
その例として一般にホスホニウム塩、アンモニウム塩、スルホニウム塩などのオニウム塩や、クラウンエーテルのようなポリエーテル類、ピリジニウム塩、ピコリニウム塩、アミン、アミンオキシド、クリプタンド、鎖状ポリエーテルまたはホスホロアミド等を挙げることができる。
【0037】
オニウム塩としては、ホスホニウム塩あるいはアンモニウム塩の場合には、一般式(VI)
3a3b3c3dQZ (VI)
(式中、Qは窒素原子またはリン原子を表す)で表され、スルホニウム塩の場合は、一般式(VII)
3a3b3cSZ (VII)
で表される。
【0038】
式(VI)及び(VII)中、R3a、R3b、R3cおよびR3dはそれぞれ独立して、水素原子、芳香族環やヒドロキシル基が置換した直鎖または分岐状の炭素数1〜20のアルキル基、アリール基であり、R3a、R3b、R3cおよびR3dの各炭素数は通常30以下、好ましくは20以下、より好ましくは10以下である。これらは置換基を有していてもよい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ピリジル基、フリル基、ベンジル基が挙げられる。
式(VI)及び(VII)中、Zはアニオンを表す。
【0039】
これらの相間移動触媒は単一で用いても混合して用いても良い。また、高分子やシリカゲルなどに担持した相間移動触媒も使用することができる。
【0040】
具体的には、アンモニウム塩としては、
塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラプロピルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラオクチルアンモニウム、塩化トリオクチルメチルアンモニウム、塩化トリデシルメチルアンモニウム、塩化トリオクチルエチルアンモニウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム、塩化トリドデシルメチルアンモニウム、塩化トリヘキサデシルメチルアンモニウム、塩化トリオクタデシルメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリプロピルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリプロピルアンモニウム、塩化オクタデシルトリプロピルアンモニウム、塩化ドデジルトリブチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリブチルアンモニウム、塩化オクタデシルトリブチルアンモニウム、塩化ジドデシルジメチルアンモニウム、塩化ジヘキサデシルジメチルアンモニウム、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム等の塩化テトラアルキルアンモニウム類、
前記塩化テトラアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンがフッ素イオンに代わったフッ化テトラアルキルアンモニウム類、
前記塩化テトラアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンが臭素イオンに代わった臭化テトラアルキルアンモニウム類、
前記塩化テトラアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンがヨウ素イオンに代わったヨウ化テトラアルキルアンモニウム類、
前記塩化テトラアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンがヒドロキシドイオンに代わった水酸化テトラアルキルアンモニウム類、
前記塩化テトラアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンが硫酸水素イオンに代わったテトラアルキルアンモニウム硫酸水素塩類、
前記塩化テトラアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンが亜硫酸イオンに代わったテトラアルキルアンモニウム亜硫酸塩類、
前記塩化テトラアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンが過塩素酸イオンに代わった過塩素酸テトラアルキルアンモニウム類、
前記塩化テトラアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンがテトラフルオロホウ酸イオンに代わったテトラフルオロホウ酸テトラアルキルアンモニウム類、
前記塩化テトラアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンがヘキサフルオロリン酸イオンに代わったヘキサフルオロリン酸テトラアルキルアンモニウム類、
前記塩化テトラアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンが酢酸イオンに代わった酢酸テトラアルキルアンモニウム類、
前記塩化テトラアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンがp−トルエンスルホン酸イオンに代わったp−トルエンスルホン酸テトラアルキルアンモニウム類、
【0041】
塩化フェニルトリメチルアンモニウム、塩化フェニルトリエチルアンモニウム、塩化フェニルトリプロピルアンモニウム、塩化フェニルトリブチルアンモニウム、塩化フェニルトリオクチルアンモニウム等の塩化フェニルトリアルキルアンモニウム類、
前記塩化フェニルトリアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンがフッ素イオンに代わったフッ化フェニルトリアルキルアンモニウム類、
前記塩化フェニルトリアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンが臭素イオンに代わった臭化フェニルトリアルキルアンモニウム類、
前記塩化フェニルトリアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンがヨウ素イオンに代わったヨウ化フェニルトリアルキルアンモニウム類、
前記塩化フェニルトリアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンがヒドロキシドイオンに代わった水酸化フェニルトリアルキルアンモニウム類、
前記塩化フェニルトリアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンが硫酸水素イオンに代わったフェニルトリアルキルアンモニウム硫酸水素塩類、
前記塩化フェニルトリアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンが亜硫酸イオンに代わったフェニルトリアルキルアンモニウム亜硫酸塩類、
前記塩化フェニルトリアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンが過塩素酸イオンに代わった過塩素酸フェニルトリアルキルアンモニウム類、
前記塩化フェニルトリアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンがテトラフルオロホウ酸イオンに代わったテトラフルオロホウ酸フェニルトリアルキルアンモニウム類、
前記塩化フェニルトリアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンがヘキサフルオロリン酸イオンに代わったヘキサフルオロリン酸フェニルトリアルキルアンモニウム類、
前記塩化フェニルトリアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンが酢酸イオンに代わった酢酸フェニルトリアルキルアンモニウム類、
前記塩化フェニルトリアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンがp−トルエンスルホン酸イオンに代わったp−トルエンスルホン酸フェニルトリアルキルアンモニウム類、
【0042】
塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化ベンジルトリプロピルアンモニウム、塩化ベンジルトリブチルアンモニウム、塩化ベンジルラウリルジメチルアンモニウム、塩化ベンジルセチルジメチルアンモニウム、塩化ベンジルステアリルジメチルアンモニウム等の塩化ベンジルトリアルキルアンモニウム類、
前記塩化ベンジルトリアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンがヒドロキシドイオンに代わった水酸化ベンジルトリアルキルアンモニウム類、
前記塩化ベンジルトリアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンがフッ素イオンに代わったフッ化ベンジルトリアルキルアンモニウム類、
前記塩化ベンジルトリアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンが臭素イオンに代わった臭化ベンジルトリアルキルアンモニウム類、
前記塩化ベンジルトリアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンがヨウ素イオンに代わったヨウ化ベンジルトリアルキルアンモニウム類、
前記塩化ベンジルトリアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンが硫酸水素イオンに代わったベンジルトリアルキルアンモニウム硫酸水素塩類、
前記塩化ベンジルトリアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンが亜硫酸イオンに代わったベンジルトリアルキルアンモニウム亜硫酸塩類、
前記塩化ベンジルトリアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンが過塩素酸イオンに代わった過塩素酸ベンジルトリアルキルアンモニウム類、
前記塩化ベンジルトリアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンがテトラフルオロホウ酸イオンに代わったテトラフルオロホウ酸ベンジルトリアルキルアンモニウム類、
前記塩化ベンジルトリアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンがヘキサフルオロリン酸イオンに代わったヘキサフルオロリン酸ベンジルトリアルキルアンモニウム類、
前記塩化ベンジルトリアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンが酢酸イオンに代わった酢酸ベンジルトリアルキルアンモニウム類、
前記塩化ベンジルトリアルキルアンモニウム類を構成する塩素イオンがp−トルエンスルホン酸イオンに代わったp−トルエンスルホン酸ベンジルトリアルキルアンモニウム類、塩化ベンザルコニウムなどが挙げられる。
【0043】
ポリエーテル類としては、12−クラウン−4、18−クラウン−6、アザクラウン、チアクラウンなどが挙げられる。
【0044】
ホスホニウム塩としては、塩化テトラエチルホスホニウム、塩化テトラブチルホスホニウム、塩化トリオクチルエチルホスホニウム、塩化トリブチルヘキサデシルホスホニウム等の塩化テトラアルキルホスホニウム類、
前記塩化テトラアルキルホスホニウム類を構成する塩素イオンが臭素イオンに代わった臭化テトラアルキルホスホニウム類、
前記塩化テトラアルキルホスホニウム類を構成する塩素イオンがヨウ素イオンに代わったヨウ化テトラアルキルホスホニウム類、
塩化ベンジルトリメチルホスホニウム、臭化ベンジルトリメチルホスホニウム、ヨウ化ベンジルトリメチルホスホニウム、塩化トリフェニルベンジルホスホニウム、塩化トリフェニルエチルホスホニウム、塩化テトラフェニルホスホニウム等の塩化フェニルホスホニウム類、
前記塩化フェニルホスホニウム類を構成する塩素イオンが臭素イオンに代わった臭化フェニルホスホニウム類、
前記塩化フェニルホスホニウム類を構成する塩素イオンがヨウ素イオンに代わったヨウ化フェニルホスホニウム類などが挙げられる。
【0045】
ピリジニウム塩としては、塩化N−ブチルピリジニウム、塩化N−ペンチルピリジニウム、塩化N−オクチルピリジニウム、塩化N−ドデシルピリジニウム、塩化N−ヘキサデシルピリジニウム、塩化N−オクタデシルピリジニウム、塩化N−ドデシルピリジニウム、塩化N−ヘキサデシルピリジニウム、塩化N−オクタデシルピリジニウム、塩化N−ベンジルピリジニウム等の塩化N−置換ピリジニウム類、
前記塩化N−置換ピリジニウム類を構成する塩素イオンが臭素イオンに代わった臭化N−置換ピリジニウム類、
前記塩化N−置換ピリジニウム類を構成する塩素イオンがヨウ素イオンに代わったヨウ化N−置換ピリジニウム類などが挙げられる。
【0046】
ピコリニウム塩としては、前記塩化N−置換ピリジニウム類を構成するピリジニウムイオンがピコリニウムイオンに代わった塩化N−置換ピコリニウム類、
前記塩化N−置換ピコリニウム類を構成する塩素イオンが臭素イオンに代わった臭化N−置換ピコリニウム類、
前記塩化N−置換ピコリニウム類を構成する塩素イオンがヨウ素イオンに代わったヨウ化N−置換ピコリニウム類などが挙げられる。
【0047】
反応収率の観点から、相間移動触媒としてアンモニウム塩を使用するときは塩化ベンジルトリブチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、塩化トリオクチルメチルアンモニウムが好ましく、ホスホニウム塩を使用するときは塩化テトラブチルホスホニウムが好ましく使用される。経済的な面から考えるとアンモニウム塩を使用することが特に好ましい。
【0048】
反応に用いる相間移動触媒の量は、式(IVa)および/または(IVb)で表されるα−アルキルオキサリル−γ−ブチロラクトンのエノール塩に対して任意に設定できるが、反応収率とコストを考えると、0.0001〜5当量が望ましく、0.001〜1当量がさらに望ましい。
【0049】
工程(2)において、反応溶媒としては、例えば、水単独、有機溶媒単独、水および有機溶媒の混合溶媒が挙げられる。有機溶媒は疎水性有機溶媒でも水と相溶性のある有機溶媒でもよい。中でも相間移動触媒が有効に働くことから、反応溶媒としては水と疎水性有機溶媒との混合溶媒が好ましい。その際、疎水性有機溶媒として、工程(1)で使用した溶媒をそのまま用いてもよいし、必要に応じてさらに溶媒を添加しても良い。水は、例えば、ホルムアルデヒドの水溶液に含まれる水を利用することができるが、別途添加しても良い。疎水性有機溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチルエステルなどのエステル類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、t−ブチルエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどのアルカン類、クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン化物類などが挙げられる。また、メタノール、エタノール、i−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノールなどのアルコール類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、プロピオニトリルなどの極性溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど、水、疎水性有機溶媒あるいは両方と相溶性を有する溶媒も使用できる。これらの疎水性有機溶媒、相溶性のある溶媒は、それぞれ単一で用いても混合して用いても良い。
【0050】
溶媒量は、エノール塩の重量に対して0.01〜30倍が望ましく、釜効率を考慮すると0.1〜10倍がより望ましい。また、水と有機溶媒との混合溶媒を使用する場合の混合割合は任意であり、特に制限されるものではない。
【0051】
反応温度は特に限定されないが、−20℃から溶媒の沸点の間で任意に設定できるが、合成されるα−メチレン−γ−ブチロラクトンが重合しやすい化合物であることを考えると、0〜50℃の間で設定するのが望ましい。
【0052】
反応時間は、反応温度にも因るが特に限定されず、0.1〜24時間の間で任意に設定できるが、製品の安定性などを考慮すると、0.5〜5時間の間で設定するのが望ましい。
【0053】
反応後は、反応液中に塩が析出してくる。この塩を必要に応じてろ過等により除去しても良いし、ろ過せずにそのまま回収工程に移っても構わない。ろ液から、生成したα−メチレン−γ−ブチロラクトンを回収する方法としては、溶媒によって抽出し、抽出液を濃縮する方法が好ましい。用いる溶媒は、α−メチレン−γ−ブチロラクトンを溶解できる溶媒であれば、特に制限されないが、前記疎水性有機溶媒が好ましい。
【0054】
その後、濃縮残渣に対し、減圧蒸留、薄膜蒸留などの精製操作を行い、製品を取得することができる。その際、α−メチレン−γ−ブチロラクトンの重合防止のために、系内に重合防止剤を存在させることが好ましい。重合防止剤の種類は特に限定されないし、単独で用いても2種以上を併用しても良い。
【0055】
重合防止剤は、例えば反応前の原料仕込み時に添加しても良いし、工程(2)の反応液に添加しても良いし、抽出液に添加しても良いし、蒸留前に入れても良い。
【0056】
重合防止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、tert−ブチル−カテコール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、ペンタエリスリトール、テトラキス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメイト)、2−sec−ブチル−4,6−ジニトロフェノールなどのフェノール系化合物、N,N’−ジイソプロピルパラフェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチルパラフェニレンジアミン、N−フェニレン−N’−(1,3−ジメチルブチル)パラフェニレンジアミン、N,N’−ビス(1,4−ジメチルフェニル)−パラフェニレンジアミン、N−(1,4−ジメチルフェニル)−N’−フェニル−パラフェニレンジアミンなどのアミン系化合物、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、ビス(1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケイトなどのN−オキシル系化合物、銅、塩化銅(II)、塩化鉄(III)などの金属化合物などが挙げられる。
【0057】
重合防止剤の使用量は、適宜決めれば良いが、化合物(V)に対して10ppm以上が好ましく、効果を十分発揮させるには50ppm以上がより好ましい。一方、コスト面から考えると重合防止剤の使用量は、10000ppm以下であることが好ましく、5000ppm以下であることがより好ましい。
【0058】
また、反応液中に空気などの分子状酸素含有ガスをバブリングすることによって重合防止をすることもできる。導入する空気などの分子状酸素含有ガスの量は、所望の重合防止効果が得られるように適宜設定できる。例えば、分子状酸素含有ガスとして空気を用いる場合、使用する原料1モルに対して0.5〜3.0ml/minでバブリングすることが好ましい。化合物(V)を含む反応液に重合防止剤を存在させ、併せて反応液中に空気などの分子状酸素含有ガスを導入しながら反応を行うことは重合防止効果の増幅という観点から特に好ましい。
【実施例】
【0059】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0060】
生成物の同定は核磁気共鳴装置(H−NMR)で行い、純度分析はガスクロマトグラフィー(GC)により実施した。
【0061】
<実施例1>
〔α−エチルオキサリル−γ−ブチロラクトンのエノール塩の合成〕
21%ナトリウムエトキシド/エタノール溶液42.1g(0.13モル)をスリーワンモーターに連動した攪拌羽を付けて窒素置換した三口フラスコに仕込み、氷水で冷却した。シュウ酸ジエチルエステル26.3g(0.18モル)を滴下ロートより滴下し、次いでγ−ブチロラクトン8.60g(0.10モル)を約30分かけて滴下した。滴下終了後、室温で3時間攪拌を続け、スラリー状のα−エチルオキサリル−γ−ブチロラクトンのエノール塩を得た。
【0062】
〔α−メチレン−γ−ブチロラクトンの合成〕
得られたエノール塩に、相間移動触媒として塩化ベンジルトリブチルアンモニウム0.93g(0.003モル)、t−ブチルメチルエーテル40g、37%ホルマリン8.1g(ホルムアルデヒドとして0.10モル)を加え、室温で2時間攪拌し、反応液の有機相と水相をデカントにて分離した。水相にt−ブチルメチルエーテルを100mlを加えて目的物をさらに抽出した。デカントした有機相および抽出液に4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル(10mg)を添加して、エバポレーターにより濃縮後、得られた濃縮残渣を減圧蒸留してα−メチレン−γ−ブチロラクトン5.9gを得た(収率:60%GC純度:97%)。
【0063】
<実施例2>
〔α−メチルオキサリル−β−メチル−γ−ブチロラクトンのエノール塩の合成〕
28%ナトリウムメトキシド/メタノール溶液25.1g(0.13モル)、トルエン100mLをスリーワンモーターに連動した攪拌羽を付けて窒素置換した三口フラスコに仕込み、氷水で冷却した。シュウ酸ジメチルエステル21.2g(0.18モル)を投入し、次いでβ−メチル−γ−ブチロラクトン10.0g(0.10モル)を約30分かけて滴下した。滴下終了後、室温で2時間攪拌を続け、スラリー状のα−エチルオキサリル−β−メチル−γ−ブチロラクトンのエノール塩を得た。その後、反応液中のメタノールを水浴50℃に設定したエバポレーターにて減圧下、留去した。
【0064】
〔α−メチレン−β−メチル−γ−ブチロラクトンの合成〕
得られたエノール塩に、相間移動触媒として塩化ベンジルトリブチルアンモニウム0.83g(0.003モル)、37%ホルマリン8.1g(ホルムアルデヒドとして0.10モル)を加え、氷冷下で2時間攪拌し、反応液の有機相と水相をデカントにて分離した。水相にトルエン100mlを加えて目的物をさらに抽出した。デカントした有機相および抽出液に4−メトキシフェノール(100mg)を添加して、水浴40℃に設定したエバポレーターにて濃縮後、得られた濃縮残渣を減圧蒸留してα−メチレン−β−メチル−γ−ブチロラクトン8.4gを得た(収率:75%、GC純度:99%)。
【0065】
<実施例3>
〔α−メチルオキサリル−β−メチル−γ−ブチロラクトンのエノール塩の合成〕
ナトリウムメトキシド7.0g(0.13モル)、トルエン100mLをスリーワンモーターに連動した攪拌羽を付けて窒素置換した三口フラスコに仕込み、氷水で冷却した。シュウ酸ジメチルエステル21.2g(0.18モル)を投入し、次いでβ−エチル−γ−ブチロラクトン11.4g(0.10モル)を約30分かけて滴下した。滴下終了後、室温で2時間攪拌を続け、スラリー状のα−メチルオキサリル−β−エチル−γ−ブチロラクトンのエノール塩を得た。
【0066】
〔α−メチレン−β−エチル−γ−ブチロラクトンの合成〕
得られたエノール塩に、相間移動触媒として塩化トリオクチルメチルアンモニウム1.21g(0.003モル)、37%ホルマリン8.1g(ホルムアルデヒドとして0.10モル)を加え、40℃で2時間攪拌し、反応液の有機相と水相をデカントにて分離した。水相にトルエン100mlを加えて目的物をさらに抽出した。以降は実施例1と同様に操作してα−メチレン−β−エチル−γ−ブチロラクトン9.6gを得た(収率:76%、GC純度:99%)。
【0067】
<実施例4>
〔α−メチルオキサリル−β,γ−ジメチル−γ−ブチロラクトンのエノール塩の合成〕
28%ナトリウムメトキシド/メタノール溶液25.1g(0.13モル)、トルエン100mLをスリーワンモーターに連動した攪拌羽を付けて窒素置換した三口フラスコに仕込み、氷水で冷却した。シュウ酸ジメチルエステル21.2g(0.18モル)を投入し、次いでβ,γ−ジメチル−γ−ブチロラクトン11.4g(0.10モル)を約30分かけて滴下した。滴下終了後、室温で2時間攪拌を続け、スラリー状のα−エチルオキサリル−β,γ−ジメチル−γ−ブチロラクトンのエノール塩を得た。その後、反応液中のメタノールを水浴50℃に設定したエバポレーターにて減圧下、留去した。
【0068】
〔α−メチレン−β,γ−ジメチル−γ−ブチロラクトンの合成〕
得られたエノール塩に、相間移動触媒として塩化テトラブチルホスホニウム0.89g(0.003モル)、37%ホルマリン8.1g(ホルムアルデヒドとして0.10モル)を加え、室温で2時間攪拌し、反応液の有機相と水相をデカントにて分離した。水相にt−ブチルメチルエーテル100mlを加えて目的物をさらに抽出した。デカントした有機相および抽出液を水浴40℃に設定したエバポレーターにて濃縮後、得られた濃縮残渣にp−メトキシフェノール(10mg)を添加後、減圧蒸留してα−メチレン−β,γ−ジメチル−γ−ブチロラクトン8.8gを得た(収率:70%、GC純度:99%)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)下記一般式(I)
【化1】

〔式(I)中、Rは直鎖または分岐状の炭素数1〜10のアルキル基を表し、R’は水素原子または直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜10のアルキル基を表す。〕
で表されるγ−ブチロラクトンと一般式(II)
【化2】

〔式(II)中、Rは直鎖または分岐状の炭素数1〜10のアルキル基を示す。〕
で表されるシュウ酸エステルと一般式(III)
−OM (III)
〔式(III)中、Rは直鎖または分岐状の炭素数1〜10のアルキル基を示し、Mはアルカリ金属を示す。〕
で表されるアルコラートとを作用させ、一般式(IVa)および/または(IVb)
【化3】

〔式(IVa)および/または(IVb)中、R、R、Rはそれぞれ独立して、直鎖または分岐状の炭素数1〜10のアルキル基を表し、R’は水素原子または直鎖もしくは分岐状の炭素数1〜10のアルキル基を表し、Mはアルカリ金属を表す。〕
で表されるα−アルキルオキサリル−γ−ブチロラクトンのエノール塩を得る工程、
(2)前記一般式(IVa)および/または(IVb)で表されるエノール塩とホルムアルデヒド類とを反応させて下記一般式(V)
【化4】

〔式(V)中、R、R’は式(I)におけるR、R’と同義である。〕
で表されるα−メチレン−γ−ブチロラクトンを得る工程
とを有し、前記(2)の工程において、前記式(IVa)および/または(IVb)のエノール塩とホルムアルデヒドとを相間移動触媒の存在下に反応させることを特徴とするα−メチレン−γ−ブチロラクトンの製造方法。