説明

β−ピコリンの蒸気相接触塩素化

2−クロロ−5−トリクロロメチルピリジンが、モルデナイトゼオライトもしくは担持パラジウム触媒を用いて、蒸気相でβ−ピコリンを塩素化することによって得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2−クロロ−5−トリクロロメチルピリジンの製造方法に関する。より詳しくは本発明は、触媒の存在下におけるβ−ピコリンの選択的蒸気相塩素化による2−クロロ−5−トリクロロメチルピリジンの製造方法に関するものである。触媒は、脱アルミニウムモルデナイトゼオライトもしくは担持パラジウム触媒からなる群から選択される。
【背景技術】
【0002】
2−クロロ−5−トリクロロメチルピリジン(β−2−tet)は、種々の農業化学製品のキー中間体であり、例えば、フルアジフォップ、ハロキシフォップ、フルアズロン、およびフルアジナムを含む。しかしながらβ−2−tetは、β−ピコリンを直接、塩素化して得るのは難しい。米国特許第3,370,062号および第3,420,833号は、一般的なピコリンの非触媒蒸気相塩素化について記載している。β−ピコリンの非触媒蒸気相塩素化は、米国特許第4,205,175号、第4,241,213号、および第5,247,093号に記載されている。米国特許第4,288,599号は、蒸気相におけるβ−ピコリンの連続塩素化およびフッ素化について記載している。米国特許第4,429,132号は、金属酸化物もしくは金属ハライド触媒の存在下におけるβ−ピコリンの蒸気相塩素化について記載している。β−ピコリンの非触媒液相塩素化が、米国特許第4,483,993号および第4,497,955号に記載されており、β−ピコリンの紫外線触媒された液相塩素化が、米国特許第4,324,627号に記載されている。しかしながらこれらの方法のどれによっても、β−ピコリンからの高い転換率で、β−2−tetを良好な収率で得ることはない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
β−ピコリンの直接塩素化によるβ−2−tetを得ることが困難であるので、β−2−tetへの選択性を改善した直接塩素化方法を開発することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
蒸気相におけるβ−ピコリンの塩素化によって得られる2−クロロ−5−トリクロロメチルピリジンの収量は、触媒の存在下に塩素化を行うことによって増加させることができることが見出された。本発明は、2−クロロ−5−トリクロロメチルピリジン(β−2−tet)(II):
【化3】

を多く含む塩素化混合物を得るための、高温蒸気相におけるβ−ピコリン(I):
【化4】

の改良塩素化方法であって、この改良は、β−ピコリン(I)と塩素とを、脱アルミニウムモルデナイトゼオライトもしくは担持パラジウム触媒の存在下に接触させる工程を含む方法に関するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明の実施において、β−ピコリンと塩素とが脱アルミニウムモルデナイトゼオライトもしくは担持パラジウム触媒の存在下で蒸気相において、テトラクロリネーションがされる条件下で接触させられる。混合物としては、初期生成物としてβ―2tet、さらに種々の数のその他のポリクロロ化されたβピコリンが得られる。
【0006】
本発明の実施において、β−ピコリンの蒸気が、モルデナイトゼオライトもしくは担持パラジウム触媒の存在下、少なくとも175から400℃の温度で、短い接触時間の間、化学量論量を超えた過剰の塩素ガスと混合される。あるいはまた、β−ピコリンの混合蒸気および適切な希釈剤が、モルデナイトゼオライトもしくは担持パラジウム触媒の存在下、少なくとも175から400℃の温度で、短い接触時間の間、気体塩素の化学量論量を超えた過剰の塩素ガスと混合される。
【0007】
化学量論量以上の過剰塩素の量は限定的でなく、化学量論量から、供給原料中のβ−ピコリンの1モルあたり400モル塩素以上の過剰塩素までの範囲であってもよい。好ましくは化学量論量以上の過剰塩素の量は、供給原料中のβ−ピコリン1モルあたり少なくとも20モルであろう。
【0008】
本発明の方法を実施するのに適した希釈剤は、反応条件下に塩素の作用に対して実質的に不活性な材料であり、これは、窒素、アルゴン、二酸化炭素、ペルフルオロカーボン、ペルクロロカーボン、およびペルフルオロペルクロロカーボンを包含する。好ましい希釈剤は、窒素および揮発性ペルクロロハイドロカーボン、例えば四塩化炭素や過塩化エチレンである。希釈剤対β−ピコリンの適切なモル比は、10:1から300:1の範囲のものであってもよい
【0009】
蒸気相反応は、175から400℃の温度範囲で実施される。好ましい範囲は、250から350℃である。
【0010】
滞留時間は限定的でないが、これらの反応体は、長時間、触媒と接触したままにされるべきではない。滞留時間は一般に、60秒を越えない。好ましい接触時間は、250から350℃の温度で0.5から15秒である。
【0011】
操作圧は限定的でなく、大気以下(subatmospheric)〜大気圧以上(super atmospheric)の範囲のものであってもよい。大気圧が好適である。高圧条件は、反応速度を効果的に増加させうる。
【0012】
本発明に用いられるモルデナイト触媒のゼオライト族は、当業者に周知である。一般に、モルデナイト触媒は、酸もしくはH(プロトン)フォームにある(SAR203、東ソー・コーポレーション(TOSOH Corporation)から入手されるHSZ−690HOD)。これは、当業者に周知の手順にしたがって、例えば触媒を鉱酸(またはアミン、アミン塩、もしくは有機酸)で処理し、ついで焼成してアルミナのいくらかを除去し、アルカリ金属を水素(Hフォーム)で置換することによって脱アルミニウム化される。(アラン・ダイアー(Alan Dyer)、「ゼオライト分子篩入門(An introduction to Zeolite Molecular Sieves)」、ジョン・ワィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)編集者、113−115ページ、ニューヨーク(1988年)参照。)175〜250のSARを有する触媒が好ましいが、その理由は、これらが酸性条件に対して抵抗性があり、かつ目的物の良好な収率を提供するからである。
【0013】
本発明に用いられる担持パラジウム触媒もまた、当業者に周知である。一般に、パラジウムは、シリカ、アルミナ、マグネシア、または炭素上に担持することができ、アルミナが好ましい。これらの触媒は、パラジウムに対して0.1から10%(重量比率)範囲にであるが、0.5〜1.0%が好ましい。
【0014】
本発明の触媒は、バインダーの補助によって多様な形態で結合されうる。数多くの型のバインダーが入手しうるが、その例として、粘土、非晶質シリカ、およびアルミナがあげられるが、これらに限定されるわけではない。結合材料の形成方法は、当業者には周知である。バインダー負荷は、通常は30重量%未満であり、好ましくは20重量%未満である。結合された触媒ペレットは、様々なサイズまたは形状を有してもよい。ペレット形状またはサイズは、決定的ではない。典型的な形状は、1/16インチ(1.59ミリメートル(mm))から3/8インチ(9.53mm)直径、ペレット直径の半分未満からペレット直径の20倍までの長さの円筒形であってもよい。あるいはこれに代わるペレット形状、例えば球、管、サドル、またはローブ型(lobed)ペレットは、すべて適切な形態である。
【0015】
適切な反応器であれば、どのようなものでも用いることができる。反応器の入口および出口、ならびに内部表面は、高温における塩素および塩化水素による腐食に抵抗することが周知の材料のものでなければならない。このようにして例えば、暴露表面は、ニッケル、炭素、シリカ、もしくはガラスで裏打ちされるか、またはこれらから構成されていてもよい。実際、耐熱性高シリカガラス、例えばVycor社製、もしくは石英は、小さい反応器用には申し分のないものである。大規模装置において、溶融シリカまたは適切な耐火性の例えばカーボンで裏打ちされたニッケルシェルを用いるのが好都合である。裏打ちされていないニッケルもしくはニッケル合金反応器も適切である。これらの反応体の混合および導入を達成するために、この反応器には、実質的に同時混合をともなって反応体を導入するための混合ノズルが取り付けられていてもよい。あるいはまた、β−ピコリンに希釈剤を加えたもの(βピコリンプラス希釈剤)と塩素は、塩素がβ−ピコリンプラス希釈剤の流入ストリーム中に噴射されるように調節された、別々ではあるが狭い間隔のオリフィスによって、反応器中に導入されてもよい。この反応器は、一部または実質的に触媒で満たされている必要がある。この反応器に適した反応器構成は、シェルおよび管反応器、オープンパイプ、または流動床反応器を包含する。シェルおよび管スタイルの反応器については、この触媒は、管またはシェルのどちらかの側に配置することができる。このことによって、この反応器の反対側を通る熱伝達流体の循環による反応温度の制御が都合よく可能になる。この反応器についての配置は、決定的ではない。好ましい装置形態において、適切な反応器(reactor proper)は、直径の1〜30倍の長さを有する円筒の形態である。この反応器には、触媒が一部負荷されている。従来の付属品、例えば流量計、凝縮器、およびスクラバーも用いられる。
【0016】
この反応の実施において、β−ピコリンプラス希釈剤は、通常は、蒸発器に導入されて、不活性希釈剤蒸気中の気化β−ピコリンを生成する。あるいはまた、β−ピコリンと塩素との目的とする混合物を有する気化ストリームを生成するために、塩素ガスが、蒸発器において用いられうる。この蒸発器は、急速気化が、通常80から250℃、好ましくは100から200℃の範囲内で発生する温度に維持される。どのような気化装置であっても、蒸発器として用いられてもよいが、より大規模なものにはwiped or falling film evaporator)が都合がよい。効率的な操作のためには、β−ピコリンの導入率および/または蒸発器の温度が、β−ピコリンを完全に気化し、かつこれを蒸気状態に保つように維持される必要がある。この蒸発器からの混合蒸気は、反応器に導かれ、ここでこれらは、175から400℃、好ましくは250から350℃の温度で、脱アルミニウムモルデナイトゼオライトもしくは担持パラジウム触媒の存在下に塩素と接触させられる。反応器を通過する蒸気は、塩素化ピコリン生成物を気体塩素、および副生物の塩化水素から分離するために、冷却または急冷される。所望のβ−2−tetは、従来技術、例えば分別蒸留によってほかの塩素化ピコリン生成物から分離される。塩素化が不十分な(under-chlorinated)あらゆるピコリン生成物は、β−2−tetから分離され、反応器へ再循環されうる。小規模装置において、反応器出口ガスは、ガスクロマトグラフィーを用いて特徴決定することができる。
【0017】
次の実施例は、本発明を例証する。
(実施例)
【0018】
実験のための反応器設定:
400℃までの温度に耐えうるオ-ブンに、3つの独立した反応器系が取り付けられた。これらの反応器は、5インチ(”)(12.7センチメートル(cm))長さのロッド形状の、0.25”(6.35mm)ODを有するパイレックス(登録商標)ガラス管からなっていた。この反応器管は、空であるか(対照のために用いられる)、または触媒密度および用いられた触媒の重量に応じて、重さ0.25グラム(g)〜0.5g、長さ30〜75mmの範囲の床を有する触媒が充填された。この触媒および触媒担体系は通常は、より大きいペレットから選択された。これらは、商業的に入手可能であり、かつ粉砕されて、スクリーンを用いて直径1〜2mmのサイズにされた。これらの反応器までの(および反応器からの)加熱された供給(および出口)ラインは通常は、ニッケルもしくはインコネル(Inconel)600からできており、その中での反応体および生成物の凝縮または劣化を避けるために、当分野において周知の温度に維持された。
【0019】
塩素は、独立して各々の個別反応器系に供給された。塩素は、各系について別々の3方向(3-way)バルブおよびマスフロー制御器によって制御された。この3方向バルブは、各反応器中に供給される塩素を制御し、この供給ラインが、用いられていないときに窒素でパージされることを可能にした。このマスフロー制御器は、設定された値、通常は5標準立方センチメートル(sccm)に、この系中の塩素の流量を制御した。塩素は通常は、触媒へ有機蒸気を供給する前に、この反応器系に供給されるべき最初のガスであった。
【0020】
β−ピコリンは、−20から120℃の温度が可能な冷却浴(chiller bath)に入れられている別々の蒸発器装置から各反応器中に供給された。窒素が、これらの蒸発器を通る掃引ガスとして用いられた。これらの蒸発器は、β−ピコリンを窒素ガス流の下に維持する円筒形パイレックス(登録商標)貯蔵器(reservouries)であった。窒素の供給率は典型的には、マスフロー制御器によって設定された10sccmに維持された。これらの蒸発器は、冷却浴において、液体レベル以下に取り付けられた。この冷却浴は典型的には、10または20℃のどちらかで操作され、これは、それぞれ3.09E-3気圧(atm)もしくは5.93E-3atmのβ−ピコリン蒸気圧を生じた。反応器系への供給原料および出口は、大気圧近くもしくはほぼ大気圧で操作された。
【0021】
塩素供給原料は、オーブンの内部で、混合管において反応器入口の前にβ−ピコリン蒸気と混合された。ついでこれら2つの反応体の混合物は、長さ5”、0.25”O.D.のロッド形状のパイレックス(登録商標)ガラス反応器中に供給された。これらの反応器からの生成物ストリームは、8口バルブの方へ向けられ、ついでオンライン分析系か、またはスクラバー系のどちらかへ、有機トラップおよび通気系を通って選択的に送られた。ついでこの反応器には、塩素、ついで窒素中のβ−ピコリンが供給された。触媒状態調節は、反応を250℃の温度で出発させ、ついで限定された時間にわたって、25〜50℃のインクリメントで、反応温度までゆっくりと増加することによって得ることができた。オンライン分析系は、ガスクロマトグラフィー(GC)およびマススペクトル(MS)分析からなっていた。用いられたGCキャピラリーカラムは、RXT−5、15m×0.530mm、1.50μm film)であった。オーブン温度は、最小時間で最大分離を生じるようにプログラミングされた。GC分析の一回の測定時間は、約15分であり、GC分析は、標準サンプルを用いて補正された。この分析は、約15〜60分の規則的な間隔で行われ、ひとたびこの系が所望の反応条件で安定化してしまったら数値は、重量パーセントで算出される。
【0022】
マイクロ反応器系のプロセス制御のために用いられたソフトウエアは、カミーユ(Camile)TGであった。このカミーユTGは、各反応器系の内部の圧力を監視し、オ-ブン、通気ライン、冷却浴、および窒素および塩素供給原料についてのマスフロー制御器についての温度を制御した。反応器オ-ブン温度は、200℃〜400℃の範囲の温度プロフィールを有するマクロプログラム下で操作されるカミーユによって制御された。通気ライン、およびバルブボックスからの分析的移送ラインは、熱透過され、内容物が気相にあることを確実にするために、高温に保持される。
【実施例1】
【0023】
ペレット化された触媒、すなわちアルミナ上の0.5%パラジウム触媒(ハーショー・ケミカル社(Harshaw Chemical Co.))が、きめの粗い粉末に粉砕され、スクリーニングされて、直径1〜2mmの均一サイズが得られた。0.25gの重量の触媒が、0.25”反応器管中に装入され、これを定位置に固定するために、グラスウール(パイレックス(登録商標))が用いられた。250℃の当初温度、5cc/分の塩素供給、0.13mg/分のβ−ピコリン供給率(10℃の冷却装置温度で、10cc/分N2)で操作して、反応器は、約1時間にわたって340℃まで傾斜された。この系が340℃の反応温度で安定化されたとき、生成物ガスは、67.4% β−2−tetを含有していた(条件については表1、結果については表2参照)。
【実施例2】
【0024】
ペレット化された触媒、すなわちシリカバインダーを有する東ソーHSZ−690HOD(SAR203)が、きめの粗い粉末に粉砕され、スクリーニングされて、直径1〜2mmの均一サイズが得られた。0.26gの重量の触媒が、反応器管中に装入され、これを定位置に固定するために、グラスウール(パイレックス(登録商標))が用いられた。5cc/分の塩素供給、0.13mg/分のβ−ピコリン供給率(10℃の冷却装置温度で、10cc/分N2)で操作して、反応体は、250℃の当初温度で反応器へ供給された。この系は当初、325℃まで傾斜され、安定化が可能にされた。これらの条件下、生成物ガスは、18.5% 3−トリクロロメチルピリジン(β−トリ)および65.4% β−2−tetであった。この系が350℃で安定化が可能にされたとき、これらの生成物ガス中のβ−トリの量は、2.6%へ減少され、β−2−tetへの転化率は、68.6%に増加した(表2参照)。
【実施例3】
【0025】
この触媒、すなわちシリカバインダーを有する東ソーHSZ−690HOD(SAR203)が、直径1〜2mmの均一粒子サイズにされた。0.26gの重量の触媒が、反応器管中に装入され、これを定位置に固定するために、グラスウール(パイレックス(登録商標))が用いられた。反応器温度は当初、5cc/分の率で塩素を流す前に250℃に設定された。β−ピコリン供給率は、0.13mg/分(N2流10cc/分、10℃の冷却装置)に設定され、一方、反応器オブンは、1時間にわたって350℃まで傾斜された。350℃において、生成物ガス中に観察されたβ−2−tetの量は、65.6%であった(表2参照)。
【実施例4】
【0026】
触媒、すなわちシリカバインダーを有する東ソーHSZ−690HOD(SAR203)が、直径1〜2mmの均一粒子サイズにされた。0.51gの重量の触媒が、反応器管中に装入され、これを定位置に固定するために、グラスウール(パイレックス(登録商標))が用いられた。反応器温度は当初、5cc/分の率で塩素を流す前に250℃に設定された。β−ピコリン供給率は、10cc/分の窒素流で0.13mg/分(10℃の冷却装置)に設定され、一方、反応器オブンは、2時間にわたって350℃まで傾斜された。この系が350℃で安定してしまったとき、生成物ガス中に観察されたβ−2−tetの量は、71.7%であった(表2参照)。
【実施例5】
【0027】
触媒、すなわちシリカバインダーを有する東ソーHSZ−690HOD(SAR203)が、1〜2mmの均一粒子サイズにされた。0.51gの重量の触媒が、反応器管中に装入され、これを定位置に固定するために、グラスウール(パイレックス(登録商標))が用いられた。反応器温度は当初、5cc/分の率で塩素を流す前に250℃に設定された。β−ピコリン供給率は、0.25mg/分(10cc/分でのN2、20℃の冷却装置)に設定され、一方、反応器オブンは、2時間にわたってゆっくりと350℃まで傾斜された。この系が350℃で安定してしまったとき、生成物ガス中に観察されたβ−2−tetの量は、66.9%であった(表2参照)。
(実施例A)
【0028】
これは、反応器がグラスウール(パイレックス(登録商標))プラグを含み、触媒を含んでいない対照テストである。反応器温度は当初、5cc/分の率で塩素を供給する前に350℃に設定された。β−ピコリン供給率は、350℃のオブン温度で、0.25mg/分(10cc/分でのN2、20℃の冷却装置)に設定された。この系が安定してしまったとき、β−2−tetの量は、8.7%にすぎず、転化率の大部分は、β−トリに行った(65.4%)。温度が400℃に増加されたとき、β−2−tetの量は、46.1%に増加し、β−トリの減少をともなった(21.5%)。かなりな量の過剰塩素化された2,6−ジクロロ−3−トリクロロメチル−ピリジン(β−2,6−ペンタ、12.2%)も、観察された(表2参照)。
【表1】

【表2】

註:
DCP=ジクロロピリジン異性体;
TCP=トリクロロピリジン異性体;
β−トリ=3−トリクロロメチルピリジン;
2C−3DCM=2−クロロ−3−ジクロロメチルピリジン;
2C−5DCM=2−クロロ−5−ジクロロメチルピリジン;
β−2−Tet=2−クロロ−5−トリクロロメチルピリジン;
β−6−Tet=2−クロロ−3−トリクロロメチルピリジン;
β−2,3−ペンタ=2,3−ジクロロ−5−トリクロロメチルピリジン;
β−2,6−ペンタ=2,6−ジクロロ−3−トリクロロメチルピリジン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2−クロロ−5−トリクロロメチルピリジン(β−2−tet)(II):
【化1】

が富化された塩素化混合物を得るための、高温での蒸気相におけるβ−ピコリン(I):
【化2】

の改良塩素化方法であって、この改良が、β−ピコリン(I)と塩素とを、脱アルミニウムモルデナイトゼオライトもしくは担持パラジウム触媒の存在下に接触させる工程を含む方法。

【公表番号】特表2007−534762(P2007−534762A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−510864(P2007−510864)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【国際出願番号】PCT/US2005/014163
【国際公開番号】WO2005/105747
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(501035309)ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー (197)
【Fターム(参考)】