説明

ε−カプロラクタムの製造法

本発明は、6−ヒドロキシカプロン酸エステルから気相中で触媒としての活性炭の存在下での処理および引続く蒸留により、ε−カプロラクタムを製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、6−ヒドロキシカプロン酸エステルから気相中で触媒としての活性炭の存在下での処理および引続く蒸留により、ε−カプロラクタムを製造する方法に関する。
【0002】
ε−カプロラクタムまたはこれからポリ付加によって製造されるポリカプロラクトンは、ポリウレタンの製造に使用される。
【0003】
Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第5版, 1987,第A8卷,第49頁の記載と同様にシクロヘキサナールおよびシクロヘキサノンへのシクロヘキサンの酸化の際に副生成物として生じるカルボン酸の水溶液、以下、ジカルボン酸溶液(DCL)と呼ぶ、は、(無水で質量%で計算した)一般にアジピン酸10〜40%、6−ヒドロキシカプロン酸10〜40%、グルタル酸1〜10%、5−ヒドロキシ吉草酸1〜10%、1,2−シクロヘキサンジオール1〜5%、1,4−シクロヘキサンジオール1〜5%、蟻酸2〜10%ならびに多数の他のモノカルボン酸およびジカルボン酸、エステル、オキソ化合物およびオキサ化合物、但し、これらの個々の含量は、一般に5%を上廻らないものとする、を含有する。例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、蓚酸、マロン酸、琥珀酸、4−ヒドロキシ酪酸およびγ−ブチロラクトンが挙げられる。
【0004】
また、DCLからのカプロラクトンの製造は、例えばドイツ連邦共和国特許第1618143号明細書に既に記載されている。この場合、脱水されたDCLは、燐酸と熱的に反応され、ジカルボン酸、カプロラクトンならびに多数の別の成分からなる混合物は、分別される。この場合、塔底物は、一部分が固体で難溶性で生じる。しかし、カプロラクトンは、さらなる蒸留による後処理後も98%の純度を有するにすぎない。
【0005】
更に、ドイツ連邦共和国特許第3823213号明細書には、6−ヒドロキシカプロン酸エステルを気相中で酸化物触媒の存在下および不活性キャリヤーガスの存在下でカプロラクトンに反応させることが記載されている。気相中での酸化物触媒の使用は、本発明による方法と比較して不利である。それというのも、この酸化物触媒は、高められた副生成物形成傾向を示すからである。
【0006】
更に、WO 97/31883には、酸素または酸素含有ガスでのシクロヘキサノン/シクロヘキサノールへのシクロヘキサンの酸化の副生成物として反応混合物の水抽出によって得られる、アジピン酸、6−ヒドロキシカプロン酸および微少量の1,4−シクロヘキサンジオールを含有するカルボン酸混合物から1,6−ヘキサンジオールおよびε−カプロラクタムを製造する方法が記載されており、前記混合物は、低分子量アルコールと相応するカルボン酸エステルにエステル化され、得られたエステル化混合物から第1の蒸留工程で過剰のアルコールおよび低沸点物は、取り除かれ、この塔底生成物から第2の蒸留工程で1,4−シクロヘキサンジオールを本質的に含有しないエステル画分とシクロヘキサンジオールを含有する少なくとも大部分の画分との分離が行なわれ、第3の蒸留工程によって本質的に6−ヒドロキシカプロン酸を含有する画分(工程12)が取得され、気相中または液相中でε−カプロラクタムに環化される。
【0007】
アジピン酸エステルの沸騰範囲と6−ヒドロキシカプロン酸エステルの沸騰範囲は、殆んど区別されないので、一般にこれら双方の物質は、いずれにせよ極端に高い蒸留の費用下で、例えば極めて高い分離段数を有する塔の使用および相応する高いエネルギー費によって、または双方のエステル間で1つの沸点を有する異質物質の添加によって取得することができる。
【0008】
分離費用を減少させ、純粋な6−ヒドロキシカプロン酸エステルを取得するために、双方のC6エステルの蒸留による分離は、WO 97/31883の記載の第3の蒸留工程で、1,6−ヘキサンジオールに水素化すべきアジピン酸ジエステルが、アジピン酸エステルと一緒に1,6−ヘキサンジオールに水素化される、6−ヒドロキシカプロン酸エステルの含量に対してなお6−ヒドロキシカプロン酸エステル0.2〜7質量%を含有するようにこれまで実施されてきた。1,6−ヘキサンジオールの需要が高い場合には、分離費用をさらに減少させながらなお大量の6−ヒドロキシカプロン酸エステルをアジピン酸ジエステルと一緒に分離することができ、1,6−ヘキサンジオールに水素化することができる。従って、ジカルボン酸溶液の6−ヒドロキシカプロン酸エステル含量は、これまで完全には、カプロラクトンの製造に利用されることは一度もなかった。
【0009】
極端の大きな蒸留のための費用または異質物質の添加を生じることなく、50%を上廻る、有利に>80%、特に有利に>90%の含量の6−ヒドロキシカプロン酸エステルをカプロラクトンの製造に利用する場合には、6−ヒドロキシカプロン酸エステルの流れの環化は、アジピン酸エステルの存在下でカプロラクトン合成のための全供給原料に対して少なくとも0.5質量%、一般に>1%〜25質量%の量で欠点なしに可能でなければならない。
【0010】
WO 97/31883では、液相中でのカプロラクトンの製造が推奨された。しかし、このWO 97/31883に含まれている比較例1に相応して、6−ヒドロキシカプロン酸エステルに対するアジピン酸エステル5質量%の存在下での液相中の環化に対して、カプロラクトンの収量の明らかな減少が観察される。
【0011】
この収量の減少は、ε−カプロラクタムの環化における重合の副反応に帰因するものである。触媒の存在下でアジピン酸ジエステルおよび6−ヒドロキシカプロン酸エステルから二量体、オリゴマーまたは重合体が生じうる。アジピン酸ジメチルエステルおよび6−ヒドロキシカプロン酸メチルエステルから、例えば二量体エステルのCH3OOC−(CH24−COO−(CH25−COOCH3を形成させることができ、これは、さらに6−ヒドロキシカプロン酸エステルを組み入れながらオリゴマーまたは重合体を形成することができる。この二量体、オリゴマーまたは重合体は、実際になお水素化によって1,6−ヘキサンジオールに対して利用可能な化合物であるが、しかし、気相中での反応の場合には、この高沸点の成分が環化触媒上に堆積するという危険が大きく、したがって、極めて短縮された触媒耐用時間を前もって計算に入れなければならない。
【0012】
更に、欧州特許出願公開第251111号明細書の記載から、アジピン酸ジエステルが触媒の存在下でシクロペンタノンに変換され、それによってもはや例えば1,6−ヘキサンジオールへの変換のような別の用途に使用されないことは、公知である。
【0013】
従って、6−ヒドロキシカプロン酸エステルまたはそのアジピン酸ジエステルとの混合物から出発してカプロラクトンを99%を上廻る純度で製造する方法であって、その際、カプロラクトン製造のために分離費用の減少および50%を上廻る、有利に>80%、特に有利に>90%の含量の6−ヒドロキシカプロン酸エステルの利用を伴ない、重合副反応を回避させることによってε−カプロラクタムの環化において良好な触媒耐用時間、およびカプロラクトンの良好な収量および選択性が達成される、上記製造方法を提供するという課題が課された。その上、できるだけ僅かなアジピン酸エステルが変換されるべきである。それというのも、このアジピン酸エステルは、カプロラクトンの分離後にできるだけなお別の使用に提供されるべきであるからである。
【0014】
この課題は、ε−カプロラクトンを99%を上廻る純度で製造する方法によって解決され、この方法は、アジピン酸ジエステル0〜40質量%を含有する6−ヒドロキシカプロン酸エステルを気相中で150〜450℃で触媒としての活性炭の存在下で環化し、環化生成物から蒸留によってε−カプロラクトンを取得することによって特徴付けられている。
【0015】
6−ヒドロキシカプロン酸エステルがアジピン酸ジエステル0.5〜40質量%を含有する場合には、本発明による方法は、好ましい。
【0016】
アジピン酸ジエステル0〜40質量%を含有する6−ヒドロキシカプロン酸エステルがアジピン酸ジエステルまたはこのエステルを本質的成分として含有する反応体流の接触水素化、水素化排出流の蒸留およびヘキサンジオールの分離によって取得される場合には、本発明による方法は、好ましい。
【0017】
アジピン酸−、6−ヒドロキシカプロン酸−および1,4−シクロヘキサンジオール5質量%までを含有する、酸素または酸素含有ガスでのシクロヘキサノン/シクロヘキサノールへのシクロヘキサンの酸化の副生成物として反応混合物の水抽出によって得られるカルボン酸混合物が1〜12個のC原子を有するアルコールでエステル化され、相応するカルボン酸エステルに変わり、こうして得られたエステル化混合物が少なくとも1つの蒸留工程で、アジピン酸ジエステル0〜40質量%を含有する6−ヒドロキシカプロン酸エステルの流れが得られるように分離される場合には、本発明による方法は、好ましい。
【0018】
アジピン酸ジメチルエステル0〜40質量%を含有する6−ヒドロキシカプロン酸メチルエステルの製造のために、得られたエステル化混合物から第1の蒸留工程で過剰のメタノールおよび低沸点物を取り除き、塔底生成物から第2の蒸留工程でエステル化混合物の元来の含量の1,4−シクロヘキサンジオールに対して20%未満の1,4−シクロヘキサンジオールの含量を有するエステル画分と、エステル混合物の1,4−シクロヘキサンジオールの元来の含量に対して80%を上廻る1,4−シクロヘキサンジオールを含有する画分への分離が実施され、アジピン酸ジメチルエステル0〜40質量%を含有する6−ヒドロキシカプロン酸メチルエステルの流れがエステル画分と第3の蒸留工程で分離される場合には、本発明による方法は、好ましい。
【0019】
窒素、二酸化炭素、水素および希ガスの群から選択された不活性のキャリヤーガスの存在下で環化される場合には、本発明による方法は、好ましい。
【0020】
150〜450℃で環化される場合には、本発明による方法は、好ましい。
【0021】
本発明による方法で使用される6−ヒドロキシカプロン酸エステルは、アジピン酸ジエステルを0〜40質量%、有利に0.5〜25質量%、特に有利に0.6〜15質量%含有し、気相中で150〜450℃で触媒としての活性炭の存在下でε−カプロラクトンに環化され、引続き環化生成物から蒸留によってε−カプロラクトンが取得される。
【0022】
エステル化に使用される、6−ヒドロキシカプロン酸エステルおよびアジピン酸エステルのアルコールとして、一般に1〜12個のC原子を有するアルカノール、5〜7個のC原子を有するシクロアルカノール、7〜8個のC原子を有するアラルカノールまたは6〜8個のC原子を有するフェノールがこれに該当する。この場合には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールまたはイソブタノール、またはn−ペンタノールまたはイソペンタノール、またはアルコールの混合物が使用されてよいが、しかし、好ましくは、1〜4個のC原子を有するアルコール、特に有利にメタノールが使用されてよい。ジオール、例えばブタンジオールまたはペンタンジオールも原理的にこれに該当する。6−ヒドロキシカプロン酸エステルおよびアジピン酸ジエステル中のエステル基は、同一でも異なっていてもよいが、しかし、好ましくは、同一である。特に好ましい反応体は、アジピン酸ジメチルエステル0〜40質量%を含有する6−ヒドロキシカプロン酸メチルエステルである。
【0023】
本発明による方法の反応体の製造、アジピン酸ジエステル0〜40質量%を含有する6−ヒドロキシカプロン酸エステルの製造は、ドイツ連邦共和国特許出願公開第19750532号明細書の記載により行なうこともでき、この場合この刊行物は参考のために挙げたものである。
【0024】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第19750532号明細書の記載によれば、アジピン酸ジエステル0〜40質量%を含有する6−ヒドロキシカプロン酸エステルは、アジピン酸ジエステルまたはこのエステルを本質的成分として含有する反応体流の接触水素化、水素化排出流の蒸留およびヘキサンジオールの分離によって取得される。
【0025】
この場合、水素化は、有利に液相中で実施される。水素化触媒として、前記方法で一般にカルボニル基の水素化に適した不均一な触媒が使用されるが、しかし、不均一な触媒も使用される。前記触媒は、固定配置され、ならびに可動で、例えば渦動床反応器中で使用されることができる。このための例は、例えばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie, 第IV/1c,第16〜26頁中に記載されている。
【0026】
使用すべき水素化触媒の中で、元素の周期律表の第Ib族、第VIb族、VIIb族および第VIIIb族、ならびに第IIIa族、第IVa族および第Va族の1つ以上の元素、殊に銅、クロム、レニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、鉄、白金、インジウム、錫および/またはアンチモンを含有する水素化触媒が好ましい。特に好ましいのは、銅、コバルトおよび/またはレニウムを含有する触媒である。
【0027】
更に、アジピン酸ジエステル0〜40質量%を含有する6−ヒドロキシカプロン酸エステルの製造は、WO 97/31883の記載により行なうことができ、この場合この刊行物は参考のために挙げたものである。
【0028】
アジピン酸ジエステル0〜40質量%を含有する6−ヒドロキシカプロン酸エステルの製造は、WO 97/31883の記載により、アジピン酸、6−ヒドロキシカプロン酸および微少量の1,4−シクロヘキサンジオールを含有する、酸素または酸素含有ガスでのシクロヘキサンからシクロヘキサノン/シクロヘキサノールへの酸化の副生成物として反応混合物の水抽出によって得られるカルボン酸混合物を、低分子量アルコールで相応するカルボン酸エステルにエステル化し、こうして得られたエステル化混合物を少なくとも1つの蒸留工程で分離するようにして行なわれる。
【0029】
1つの好ましい実施態様において、アジピン酸ジメチルエステル0〜40質量%を含有する6−ヒドロキシカプロン酸メチルエステルは、
得られたエステル混合物から第1の蒸留工程で過剰のメタノールおよび低沸点物を取り除き、
塔底生成物から第2の蒸留工程でエステル混合物の1,4−シクロヘキサンジオールの元来の含量に対して20%未満の1,4−シクロヘキサンジオールの含量を有するエステル画分とエステル混合物の1,4−シクロヘキサンジオールの元来の含量に対して80%を上廻る1,4−シクロヘキサンジオールを含有する画分との分離を実施し、
アジピン酸ジメチルエステル0〜40質量%を含有する6−ヒドロキシカプロン酸メチルエステルの流れをエステル画分と第3の蒸留工程で分離することにより得られる。
【0030】
よりいっそう理解するために、ε−カプロラクトンを製造する方法は、WO 97/31883に相応して、個々の処理工程がさらなる段階に分類されている図1により説明され、この場合段階2、3、4ならびに12、13および14は、ε−カプロラクトンを製造するための方法にとって本質的なことであり、段階3および4は、統合することもできる。
【0031】
ジカルボン酸溶液(DCL)は、一般に20〜80質量%の含水量を有する水溶液である。エステル化反応は、平衡反応であるので、その際に水が生じ、なかんずくエステル化反応中に水を、例えば非共沸的に除去することができない場合には、殊に例えばメタノールでのエステル化の際に存在する水を反応前に除去することは、重要である。段階1での脱水は、例えば膜系を用いて行なうことができるか、または有利に蒸留装置によって、10〜250℃、有利に20〜200℃、特に有利に30〜200℃で1〜1500ミリバール、有利に5〜1100ミリバール、特に有利に20〜1000ミリバールの圧力で水は、頭頂部を介して分離されることができ、およびC3〜C7モノカルボン酸、ジカルボン酸および1,4−シクロヘキサンジオールは、塔底部を介して分離されることができる。この場合、塔底部温度は、有利に塔底生成物を液状で取り出すことができるように選択される。塔の塔底部中での含水量は、0.01〜10質量%、有利に0.01〜5質量%、特に有利に0.01〜1質量%であることができる。
【0032】
水の分離は、水が0.5質量%未満のカルボン酸含量を含有するように行なうことができるか、またはDCL中に含有されている、C1〜C3モノカルボン酸に対して60質量%を上廻る蟻酸を有するC1〜C3モノカルボン酸を80%を越えて水で留去することができ、それによってこのカルボン酸がエステル化においてエステル化アルコールを結合しないように行なうことができる。
【0033】
段階1からのカルボン酸エステルには、1〜10個のC原子を有するアルコールROHが混入される。この場合には、メタノール、エタノール、プロパノールまたはイソプロパノール、またはアルコールの混合物が使用されてよいが、しかし、一面でメタノール、またはC4アルコールおよび殊に4〜8個のC原子を有する高級アルコール、有利にn−ブタノールまたはイソブタノール、または他面、n−ペンタノールまたはイソペンタノールが使用されてよい。アルコールとカルボン酸の流れとの混合比(質量比)は、0.1〜30、有利に0.2〜20、特に有利に0.5〜10であることができる。
【0034】
この混合物は、溶融液または溶液として段階2の反応器中に到達し、この反応器中でカルボン酸は、アルコールでエステル化される。エステル化反応は、50〜400℃、有利に70〜300℃、特に有利に90〜200℃で実施されることができる。外部の圧力に置かれてもよいが、しかし、エステル化は、反応系の固有圧力下で実施される。この場合、エステル化装置として、1つの攪拌釜または流動管を使用することができるか、またはそれぞれ複数の攪拌釜または流動管を使用することができる。エステル化に必要な滞留時間は、0.3〜10時間、有利に0.5〜5時間である。エステル化反応は、触媒の添加なしに進行することができるが、しかし、好ましくは、反応速度を上昇させるために触媒が添加される。この触媒は、均一に溶解された触媒であることができる、または固体の触媒であることができる。均一な触媒として、例示的に硫酸、燐酸、塩酸、スルホン酸、例えばp−トルエンスルホン酸、ヘテロポリ酸、例えばタングステン酸燐酸またはルイス酸、例えばアルミニウム化合物、バナジウム化合物、チタン化合物、硼素化合物が挙げられる。好ましいのは、鉱酸、殊に硫酸である。均一な触媒とカルボン酸溶融液との質量比は、一般に0.0001〜0.5、有利に0.001〜0.3である。
【0035】
固体の触媒として酸性または超酸性の材料、例えば酸性の強化のために鉱酸基、例えば硫酸塩または燐酸塩で全てドーピングされていてよい酸性または超酸性の金属酸化物、例えばSiO2、Al23、SnO2、ZrO2、層状ケイ酸塩またはゼオライトが適しているか、またはスルホン酸基またはカルボン酸基を有する有機イオン交換体が適している。固体の触媒は、固定床として配置されていてよいか、または懸濁液として使用されてよい。
【0036】
反応の際に形成された水は、有利に連続的に、例えば膜によって除去されるか、または蒸留により除去される。
【0037】
カルボン酸溶融液中に存在する遊離カルボキシル基の反応の完全性は、反応後に測定される酸価(mg KOH/g)で確認される。この酸価は、触媒として場合により添加される酸に関連して0.01〜50、有利に0.1〜10である。この場合、系中に存在する全てのカルボキシル基は、使用されるアルコールのエステルとして存在する必要はなく、一部分は、ヒドロキシカプロン酸のOH末端基を有する、二量体またはオリゴマーのエステルの形で存在することができる。
【0038】
エステル化混合物は、段階3において、膜系または有利に蒸留塔に供給される。エステル化反応のために、溶解された酸を触媒として使用した場合には、エステル化混合物は、有利に塩基で中和され、この場合には、触媒の酸当量1モル当たり塩基当量1〜1.5モルが添加される。塩基として、一般にアルカリ金属酸化物またはアルカリ土類金属酸化物、アルカリ金属炭酸塩またはアルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物、またはアルカリ金属アルコラートまたはアルカリ土類金属アルコラート、またはアミンが物質で使用されてよく、またはエステル化アルコール中に溶解されて使用されてよい。しかし、塩基は、塩基性イオン交換体で中和されていてもよい。
【0039】
段階3において塔を使用する場合には、塔への供給は、有利に頭頂部の流れと塔底部での流れの間で行なわれる。頭頂部を介して、1〜1500ミリバール、有利に20〜1000ミリバール、特に有利に40〜800ミリバールの圧力および0〜150℃、有利に15〜90℃、殊に25〜75℃の温度で過剰のエステル化アルコールROH、水ならびに蟻酸、酢酸およびプロピオン酸の相応するエステルは、取り出される。この流れは、燃焼されるか、または好ましくは、段階11でさらに後処理される。
【0040】
エステル化混合物は、塔底物として得られ、このエステル化混合物は、主に使用されるアルコールROHとジカルボン酸、例えばアジピン酸およびグルタル酸、ヒドロキシカルボン酸、例えば6−ヒドロキシカプロン酸および5−ヒドロキシ吉草酸、ならびにオリゴマーおよび遊離1,4−シクロヘキサンジオールまたはエステル化1,4−シクロヘキサンジオールからなる。水および/またはアルコールの残留含量を4質量%までエステル混合物中で容認することは、有用である。塔底部温度は、70〜250℃、有利に80〜220℃、特に有利に100〜190℃である。
【0041】
それぞれ5質量%未満の水およびエステル化アルコールROHの残留含量を含有する、段階3の流れは、段階4に供給される。塔は、10〜300℃、有利に20〜270℃、特に有利に30〜250℃の温度および1〜1000ミリバール、有利に5〜500ミリバール、特に有利に10〜200ミリバールの圧力で運転される。
【0042】
頭頂部画分は、残留水および残留アルコールROH、アルコールROHとモノカルボン酸とのエステル、主にヒドロキシカルボン酸、例えば6−ヒドロキシカプロン酸、5−ヒドロキシ吉草酸とのC3〜C6モノカルボン酸エステル、ならびになかんずくジカルボン酸、例えばアジピン酸、グルタル酸および琥珀酸、シクロヘキサンジオール、カプロラクトンおよびバレロラクトンを有するジエステルを100質量%まで含有する。
【0043】
記載された成分は、一緒に頭頂部を介して分離されることができるか、またはもう1つの好ましい実施態様において、段階4の塔内で残留水および残留アルコールならびに3〜5個のC原子を有する上記成分を99質量%まで含有する頭頂部の流れと、C6エステルの上記成分を99質量%まで含有する側方の流れとに分離されることができる。更に、C6酸のエステルを含有する流れは、頭頂部の全ての流れとして、または側方の流れとして、どの位多量のカプロラクトンが製造されるかに応じて、WO 97/31883による好ましい方法により、一部分だけかまたは全体の流れとして段階12に供給されることができる。
【0044】
高沸点成分、即ち二量体またはオリゴマーのエステル、シクロヘキサンジオールならびにDCLの詳細には定義されていない、部分的にポリマーの成分を含有する、段階4からの流れの1,4−シクロヘキサンジオールと等しいかまたはこの1,4−シクロヘキサンジオールより高沸点で沸騰する高沸点成分は、段階4の塔の分離部を介して分離される。この高沸点成分は、燃焼されてもよいし、好ましい実施態様において、所謂エステル交換のためにWO 97/31883に記載された段階8に到達されてもよい。
【0045】
段階3と4は、殊に少量だけが加工される場合に統合されることができる。好ましくは、段階3と4は、毎年100t未満が製造される場合に一緒に運転される。そのために、例えばバッチ法で実施される分別蒸留でC6エステルの流れを取得することができる。
【0046】
カプロラクトンの製造のために、C6酸のエステル99質量%までを含有する、段階4からの流れが使用される。そのために、この流れは、蒸留塔の段階12でアジピン酸ジエステル98質量%までを含有する、頭頂部を介する流れと、主に6−ヒドロキシカプロン酸エステルを含有する、塔底部を介する流れとに分離される。塔は、1〜500ミリバール、有利に5〜350ミリバール、特に有利に10〜200ミリバールの圧力および80〜250℃、有利に100〜200℃、特に有利に110〜180℃の塔底部温度で運転される。この場合、頭頂部温度は、相応して対応される。
【0047】
カプロラクトンの高い純度および高い収量のためには、ヒドロキシカプロン酸エステルの1,2−シクロヘキサンジオールを分離することが重要であり、それというのも、この成分は、共沸混合物を互いに形成するからである。前記段階12において、なかんずくエステルとして好ましいメチルエステルを使用する場合に、1,2−シクロヘキサンジオールとヒドロキシカプロン酸エステルとの分離が完全に成功するとは予測することができなかった。
【0048】
段階12において、アジピン酸ジエステルと一緒に例えばヒドロキシカプロン酸エステルも分離されることは、好ましい。ヒドロキシカプロン酸エステルに対するアジピン酸エステルの含量は、アジピン酸ジエステルが1,6−ヘキサンジオールに水素化される場合に存在し、この場合、好ましくは0.2〜20質量%である。エステルのアルコール成分に応じて、ヒドロキシカプロン酸エステルの前記割合は、アジピン酸ジエステルと一緒に頭頂部(例えば、メチルエステル)を介して、または塔底部(例えば、ブチルエステル)を介して分離される。
【0049】
アジピン酸ジエステル0〜40質量%を有する6−ヒドロキシカプロン酸エステルを含有する流れは、気相中で反応し、アルコールとカプロラクトンに変わる。6−ヒドロキシカプロン酸エステルとアジピン酸ジエステルとの前記混合物は、なお他の成分を含有することができ、この他の成分は、20%までの質量分であることができるが、しかし、好ましくは、10%未満の割合であり、特に好ましくは、5%未満である。前記成分は、例えば1,5−ペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、不飽和アジピン酸ジエステル、ピメリン酸ジエステル、カプロラクトン、5−ヒドロキシカプロン酸エステルならびに6−ヒドロキシカプロン酸エステルを基礎とするジエステルである。
【0050】
蒸発は、180〜300℃で行なわれる。付加的に反応条件下で不活性の溶剤を一緒に蒸発させることは、好ましい。この種の溶剤として、例えばエーテル、例えばテトラヒドロフランまたはジオキサンがこれに該当するが、しかし、アルコールもこれに該当する。好ましくは、本発明による方法の反応体としてのこの種の溶剤中の6−ヒドロキシカプロン酸エステルおよびアジピン酸ジエステルの10〜95質量%の溶液が使用される。
【0051】
不活性のキャリヤーガスは、例えば窒素、二酸化炭素、水素または希ガス、例えばアルゴンである。特に、窒素または水素は、キャリヤーガスとして使用される。一般に蒸気状の6−ヒドロキシカプロン酸エステル1モル当たりキャリヤーガス5〜100モルが使用され、好ましいのは、8〜50モル、特に有利に10〜30モルである。キャリヤーガスは、有利にブロワーまたは圧縮機を用いて循環路中に導かれ、この場合部分的流れは、排出され、相応して新しいガスによって補充されることができる。
【0052】
6−ヒドロキシカプロン酸エステルの環化によってカプロラクトンを製造するための触媒としては、活性炭が適している。この場合、活性炭は、炭素を含有する材料であり、この材料は、例えば木材、鋸引き屑、ココヤシ殻または褐炭から出発して化学的活性化法または物理的活性化法によって製造されることができる(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 第6版, 第6巻, 第326〜350頁)。
【0053】
活性炭は、多孔質であり、高い表面積を有し、黒鉛構造を有する極めて小さな微結晶からなる。微結晶間の中間空間は、無定形の炭素からなる。
【0054】
カプロラクトンの製造のためには、粉末、顆粒または特に有利に成形体の形の活性炭が適している。この活性炭の内部表面積は、400m2/gを上廻り、一般に500m2/g〜1500m2/gである。分枝鎖状の細孔系は、メソ細孔(d=2〜50nm)、ミクロ細孔(d=0.8〜2nm)、サブミクロ細孔(d<0.8nm)およびマクロ細孔(d>50nm)を含有する。
【0055】
細孔容積は、本発明による方法にとって25cm3/100gを上廻る。
【0056】
活性炭の表面上には、活性炭の出発化合物に由来するかまたは活性化処理の際に生じた官能基、例えばカルボニル基、カルボキシル基またはフェノール基が存在する。
【0057】
触媒としての活性炭の存在下での6−ヒドロキシカプロン酸エステルとアジピン酸エステル0〜40%との混合物の環化は、液相中で行なうことができるが、しかし、好ましくは、気相中で行なうことができる。
【0058】
記載された活性炭は、次の金属酸化物、例えば酸化マグネシウム、酸化亜鉛、三酸化硼素、二酸化チタン、二酸化珪素、二酸化錫、酸化ビスマス、酸化銅、酸化ランタン、二酸化ジルコニウム、酸化バナジウム、酸化クロム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化鉛、酸化アンチモン、酸化バリウム、酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび酸化ネオジムのための担体物質として使用されてもよく、この担体物質は、6−ヒドロキシカプロン酸エステルとアジピン酸ジエステルとの混合物の環化に適している。
【0059】
活性炭触媒は、反応帯域中に固定配置されていてよく、6−ヒドロキシカプロン酸エステルとアジピン酸ジエステル0〜40質量%とキャリヤーガスとの蒸気状混合物は、前記の活性炭触媒上に導かれてよい。しかし、触媒が上下に巻き上がる運動(渦動床)で存在することも可能である。好ましくは、毎時触媒1g当たり反応体(6−ヒドロキシカプロン酸エステルと場合によってはアジピン酸ジエステルとの混合物)0.01〜40g、有利に0.05〜20g、殊に0.07〜10gの触媒負荷量が維持される。
【0060】
環化反応は、環化触媒の不在下で作業されてもよい。しかし、この反応には、本発明による方法の場合よりも反応器中での高い温度または長い滞留時間が必要とされる。
【0061】
カプロラクトンへの本発明による反応は、150〜450℃、特に200〜400℃、殊に230〜350℃の温度で実施される。一般に反応は、大気圧下で実施される。しかし、例えば500ミリバールまでの弱く減少された圧力または例えば5バールまでの弱く高められた圧力を使用することも可能である。固定配置された触媒が使用される限り、触媒の前方では触媒の後方よりも高い圧力に調節され、したがって場合により形成される高沸点成分が触媒上に堆積し得ないかまたは殆んど触媒上に堆積し得ないことは、特に有利であることが判明した。
【0062】
反応搬出物は、適当な冷却装置で凝縮される。固定配置された触媒を使用する場合には、反応器、例えばシャフトまたは管束反応器は、上方へ向かって方向付けられた流動形式または下方へ向かって方向付けられた流動形式で運転されることができる。反応は、少なくとも1つの反応器中で行なわれる。
【0063】
環化による反応搬出物は、主要成分として目的生成物のカプロラクトンを含有し、さらに環化の際に遊離されるC1〜C6アルコール、場合によってはアジピン酸ジエステルおよび場合によっては未反応の6−ヒドロキシカプロン酸エステル、場合によってはオリゴエステルおよび場合によっては溶剤を含有する。この混合物は、一工程または数工程の蒸留によって段階14で減圧下で、カプロラクトンが少なくとも99%の純度で取得されるように分離される。好ましくは、純度は、99.5%を上廻り、特に有利には、99.8%を上廻る。
【0064】
カプロラクトンを精製するための一工程または数工程の蒸留は、70〜250℃、有利に90〜230℃、特に有利に100〜210℃の塔底部温度および1〜500ミリバール、有利に5〜200ミリバール、特に有利に10〜150ミリバールの圧力で実施される。
【0065】
そのために塔を使用する場合には、頭頂部を介して、場合によってはなお存在するエステル化アルコールならびに別のC1〜C6低沸点物が分離され、側方の流れを介して、純粋なカプロラクトンが分離され、塔底部を介して、アジピン酸ジエステルおよび場合によっては返送されるなお未反応のヒドロキシカプロン酸エステルが分離される。アジピン酸ジエステルは、場合によっては二量体またはオリゴマーのエステルと一緒に水素化反応器中に流入させることができ、WO 97/31883またはドイツ連邦共和国特許出願公開第19750532号明細書の記載により1,6−ヘキサンジオールに反応させることができる。メタノールをエステル化アルコールとして使用した場合には、頭頂部を介して場合によってはアジピン酸ジメチルエステルとカプロラクトンとの共沸混合物が得られ、この共沸混合物は、1,6−ヘキサンジオールへの水素化に到達することができるか、または前記工程、例えばエステル化後の段階に返送させることができる。
【0066】
未反応の6−ヒドロキシカプロン酸エステルが生じる場合には、このエステルは、有利に回収のためにカプロラクトン合成段階前の蒸留によるエステル分離に導入される。勿論、原則的には、前記エステルをアジピン酸ジエステルと一緒に1,6−ヘキサンジオールへの水素化に供給することも可能である。
【0067】
オリゴマーのC6エステルが生じる場合には、このエステルは、欧州特許第1030827号明細書の記載により同様に1,6−ヘキサンジオールへの水素化に導入されることができる。
【0068】
カプロラクトンを99%を上廻る純度で6−ヒドロキシカプロン酸エステルとアジピン酸ジエステル0〜40質量%との混合物の環化によって触媒としての活性炭の存在下で製造するための本発明による方法は、長い触媒の耐用時間で実施することができる。この場合には、高いエステル変換率で高いカプロラクトン選択性が達成される。
【0069】
本方法を次の実施例につき詳説するが、しかし、それによって決して減縮されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】WO 97/31883に相応して、個々の処理工程がさらなる段階に分類されている、ε−カプロラクトンを製造する方法の1実施態様を示す系統図。
【実施例】
【0071】
実施例1
6−ヒドロキシカプロン酸メチルエステル84.0%、1,4−シクロヘキサンジオール1.6%、1,5−ペンタンジオール1.4%、不飽和のアジピン酸ジメチルエステル5.0%、アジピン酸ジメチルエステル2.8%、ピメリン酸ジメチルエステル0.2%、二量体のエステル1.6%ならびにWO 97/31883の記載に相応して製造された、量的にそれぞれ0.1%未満で存在する他の化合物を含有する6−ヒドロキシカプロン酸メチルエステルの流れを、280℃で蒸発器中にポンプ輸送し、そこからガス状で水素約800NL/hと一緒に280℃および常圧下でSupersorbon K 3000ml(DonauCarbon社、ストランド4mm)上に導いた。反応搬出物を水冷却器により凝縮し、分析した。触媒負荷量は、種々の試験調節の際に毎時触媒1リットル当たり供給原料0.05〜0.09kgであった。全体的に14日間の期間に亘って実施した。この場合、ヒドロキシカプロン酸エステルの変換率は、約95〜97%であり、カプロラクトン収率は、96〜98%であった。更に、生成物として二量体のカプロラクトンが2〜3%の収率で見い出された。(原理的にこのカプロラクトンは、反応に返送され、収率を上昇させる)。飽和アジピン酸ジメチルエステルならびに不飽和アジピン酸ジメチルエステルは、触媒を実際に不変のまま通過した。
【0072】
捕集された反応搬出物を非連続的に1mの充填塔中で蒸留した。カプロラクトンは、10ミリバールで99.8%の純度で得ることができた。
【符号の説明】
【0073】
1、3、4、6、7、11、12、14 段階、 2 段階、エステル化、 5 段階、水素化、 13 段階、環化

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ε−カプロラクトンを99%を上廻る純度で製造する方法において、アジピン酸ジエステル0〜40質量%を含有する6−ヒドロキシカプロン酸エステルを気相中で150〜450℃で触媒としての活性炭の存在下で環化し、環化生成物から蒸留によってε−カプロラクトンを取得することを特徴とする、ε−カプロラクトンを99%を上廻る純度で製造する方法。
【請求項2】
6−ヒドロキシカプロン酸は、アジピン酸ジエステルを0.5〜40質量%含有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
アジピン酸ジエステル0〜40質量%を含有する6−ヒドロキシカプロン酸エステルが、アジピン酸ジエステルまたはこのエステルを本質的成分として含有する反応体流の接触水素化、水素化排出流の蒸留およびヘキサンジオールの分離によって取得される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
アジピン酸−、6−ヒドロキシカプロン酸−および5質量%までの1,4−シクロヘキサンジオールを含有する、酸素または酸素含有ガスでのシクロヘキサノン/シクロヘキサノールへのシクロヘキサンの酸化の副生成物として反応混合物の水抽出によって得られるカルボン酸混合物が1〜12個のC原子を有するアルコールでエステル化され、相応するカルボン酸エステルに変わり、こうして得られたエステル化混合物は少なくとも1つの蒸留工程で、アジピン酸ジエステル0〜40質量%を含有する6−ヒドロキシカプロン酸エステルの流れが得られるように分離される、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
アジピン酸ジメチルエステル0〜40質量%を含有する6−ヒドロキシカプロン酸メチルエステルの製造のために、
得られたエステル混合物から第1の蒸留工程で過剰のメタノールおよび低沸点物を取り除き、
塔底生成物から第2の蒸留工程でエステル混合物の1,4−シクロヘキサンジオールの元来の含量に対して20%未満の1,4−シクロヘキサンジオールの含量を有するエステル画分とエステル混合物の1,4−シクロヘキサンジオールの元来の含量に対して80%を上廻る1,4−シクロヘキサンジオールを含有する画分との分離を実施し、
アジピン酸ジメチルエステル0〜40質量%を含有する6−ヒドロキシカプロン酸メチルエステルの流れをエステル画分と第3の蒸留工程で分離する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
窒素、二酸化炭素、水素および希ガスの群から選択された不活性のキャリヤーガスの存在下で環化する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
150〜450℃で環化する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−506527(P2011−506527A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538576(P2010−538576)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【国際出願番号】PCT/EP2008/067180
【国際公開番号】WO2009/080504
【国際公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】