おむつ
【課題】介護者の負担を軽減できるおむつを提供する。
【解決手段】おむつ本体101の股間領域に開口部43が設けられており、吸収パッド51がおむつ本体101から分離可能であることから、おむつ本体101を脱がせることなく、吸収パッド51のみをおむつ本体101から分離して、開口部43より外に取り出すことができる。従って、例えば排泄物で吸収パッド51が汚れた場合、おむつ本体101から吸収パッド51を分離して、開口部43より股間を清浄し、汚れた吸収パッド51を取り出して、新しい吸収パッド51をおむつ本体101の内部に挿入できる。この場合、おむつ本体101を脱がせる必要がないので、介護者の負担を大幅に軽減できる。
【解決手段】おむつ本体101の股間領域に開口部43が設けられており、吸収パッド51がおむつ本体101から分離可能であることから、おむつ本体101を脱がせることなく、吸収パッド51のみをおむつ本体101から分離して、開口部43より外に取り出すことができる。従って、例えば排泄物で吸収パッド51が汚れた場合、おむつ本体101から吸収パッド51を分離して、開口部43より股間を清浄し、汚れた吸収パッド51を取り出して、新しい吸収パッド51をおむつ本体101の内部に挿入できる。この場合、おむつ本体101を脱がせる必要がないので、介護者の負担を大幅に軽減できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、おむつ本体と吸収パッドとが分離可能なおむつに係り、特に、排泄物を自動的に処理するシステムでの利用に適したおむつに関するものである。
【背景技術】
【0002】
寝たきりになった被介護者の排泄物を取り除いて股間を清浄にする作業は、介護者のみならず被介護者にも大きな負担を強いるため、これを簡易化することが要望されている。下記の特許文献1〜4では、被介護者が横たわった状態でも排泄物を自動的に処理できる装置が記載されている。
【0003】
一般的な排泄物自動的処理システムでは、汚物タンクに接続された排泄部受容器(以下、「カップ」と記す場合がある)が被介護者の股間にあてがわれる。カップには便や尿を検知するためのセンサが設けられており、排泄が検知されるとポンプ等の動作によってカップから汚物タンクへ排泄物が吸引される。
【特許文献1】実用新案登録第3130483号公報
【特許文献2】実用新案登録第3137626号公報
【特許文献3】実用新案登録第3137627号公報
【特許文献4】実用新案登録第3137628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような装置は必ずしも終日の使用を要求されるものではなく、人手による介護との併用が望ましいケースもある。例えば、被介護者が排便を知らせることが可能な場合、介護者のいる日中はおむつを着用し、夜間はカップを装着するといった使い方が考えられる。しかしながら、現在広く流通している通常の使い捨ておむつは、上記のような排泄物の処理システムを想定して作られていないため、カップを装着する際には被介護者からおむつを脱がさなければならず、これが介護者の負担になる。
【0005】
他方、パンツ型の使い捨ておむつは、少量の排泄物でもおむつ全体を取り換えなければならならないため、ランニングコストが高いという問題を有する。そこで一般には、パンツ型の使い捨ておむつの内側に吸収パッドを敷いておき、少量の排泄物であれば吸収パッドのみを交換しておむつを使用し続けるというようなことが行われている。ところが、吸収パッドを交換する場合、おむつを被介護者から脱がさなければならないため、この作業が介護者の負担となっている。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、介護者の負担を軽減できるおむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るおむつは、股間領域に開口部を有するおむつ本体と、前記開口部を前記おむつ本体の内側から塞ぐ吸収パッドと、前記吸収パッドを前記おむつ本体に分離可能に固定する固定手段とを備える。
【0008】
上記のおむつによれば、前記おむつ本体の股間領域に開口部が設けられており、また、前記吸収パッドが前記おむつ本体から分離可能であることから、前記おむつ本体をおむつ着用者から脱がせることなく、前記吸収パッドを前記おむつ本体から分離し、前記開口部より取り外すことが可能となる。
そして、前記吸収パッドを取り外した後、股間領域の前記開口部に排泄物受容器をあてがうことが可能である。
また、前記吸収パッドを取り外した後、前記開口部から新しい吸収パッドを前記おむつ本体の内側に挿入することも可能である。
更に、上記のおむつによれば、前記固定手段によって前記おむつ本体に前記吸収パッドが固定されるため、前記吸収パッドはおむつ着用者の股間領域からずれ難い。
また、前記吸収パッドが前記おむつ本体の内側から前記開口部を塞いでおり、排泄物によって前記開口部の縁が汚れることが少ないことから、前記おむつ本体の再利用が可能である。
【0009】
好適に、前記固定手段は、前記開口部において前記おむつ本体の外側に露出する前記吸収パッドの外面領域に接着する第1接着面と、前記おむつ本体の外面に接着する第2接着面とを有した接着部材を含む。
上記の構成によれば、前記吸収パッドと前記おむつ本体との接着を外側から容易に分離できる。
【0010】
また好適に、上記おむつは、前記開口部において前記おむつ本体の外側に露出する前記吸収パッドの外面領域に設けられた把持手段を有する。
前記把持手段により、前記吸収パッドを掴みやすくなり、前記開口部から前記吸収パッドを取り外しやすくなる。
【0011】
また、上記おむつは、前記開口部の縁の少なくとも一部に設けられた接着部材と、前記接着部材の接着面を覆う剥離シートとを有してもよい。
これにより、前記吸収パッドを前記おむつ本体から取り外した後、前記剥離シートを前記接着部材の接着面から剥がして、当該接着面を排泄物受容器に接着させることが可能になる。前記開口部の縁を排泄物受容器に接着させることで、排泄物の漏れが抑えられる。
【0012】
更に、上記おむつは、前記開口部の縁の少なくとも一部に設けられた伸縮弾性部材を有してもよい。
これにより、前記吸収パッドを前記おむつ本体から取り外した後、前記伸縮弾性部材を伸ばして前記開口部を広げ、当該開口部の内側に排泄物受容器を挿入することが可能に
なる。挿入後、前記伸縮弾性部材が縮んで排泄物受容器に密着することで、排泄物の漏れが抑えられる。
この場合、上記おむつは、前記伸縮弾性部材の周辺領域と前記おむつ本体とを着脱可能に接着する接着部材を有してもよい。前記伸縮弾性部材と前記おむつ本体とを着脱可能にすれば、前記おむつ本体を使い捨てとしても、前記伸縮弾性部材は再利用可能となる。
【0013】
また、本発明の他の観点に係るおむつは、股間領域に開口部を有するおむつ本体と、前記開口部を前記おむつ本体の内側から塞ぐ吸収性パッドと、前記開口部を前記おむつ本体の外側から塞ぐ閉塞手段とを備える。
例えば、前記開口部は、条状の切れ目を含み、前記閉塞手段は、前記おむつ本体の外面において、前記切れ目の近接した両縁の近傍領域にそれぞれ接着する接着部材を含む。
【0014】
なお、特に断らない限り、本明細書においておむつの「内側」とは、おむつ着用者の身体に接する側を意味し、おむつの「外側」とは、身体に接しない側を意味する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、おむつ着用者からおむつ本体を脱がせることなく吸収パッドのみを取り外せるため、介護者の負担を軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るおむつの例を図解した斜視図である。図2は外側からみたおむつの展開図を示し、図3は内側からみたおむつの展開図を示す。
第1の実施形態に係るおむつ100は、例えば図1に示すように、股間領域に開口部43を有するおむつ本体101と、その開口部43をおむつ本体の内側から塞ぐ吸収パッド51と、吸収パッド51とおむつ本体101とを分離可能に固定する固定手段としての接着部材31を有する。
【0017】
おむつ本体101は、前見頃10及び後見頃20と、これらの間に設けられた股間領域30を有する。前見頃10と後見頃20は、例えば図2,図3に示すように分離して形成されており、両端部を互いに重ねることで、胴を通すための開口部41と、脚を通すための2つの開口部42L,42Rが形成される。図の例において、後見頃20は前見頃10に比べて胴回り方向に長くなっており、前見頃10の外側に重ねられる。後見頃20の両端部は、着用者の腹側において接着部材21により接着される。接着部材21には、例えば粘着テープや面ファスナなどが用いられる。
【0018】
また、おむつ本体101は、例えば、その外側が親水化処理を施した不織布などの液透過性シートにより形成され、内側が透湿性のあるプラスチックフィルムなどの液不透過性シートにより形成される。そして、これらのシートの間には、液透過性シートを透過した尿などの液体を吸収するため、高吸収性ポリマーや綿状パルプ等よりなる吸収体52が内包される。吸収体52は、股間領域30の開口部43を囲んで、腹側と尻側の領域に広く敷かれている。
【0019】
開口部43は、例えば、後述する排泄物受容器200を直接あてがうことができるように、おむつ着用者の肛門と排尿器官が露出する程度の大きさで、股間領域30の前後方向に縦長に伸びて開いている。吸収パッド51は、この開口部43より広くなるように形成されており、おむつ本体101の内側から開口部43の全体を塞ぐことができる。吸収パッド51は、例えば矩形状に形成されており、おむつ着用者の肛門と排尿器官を包み込んで排泄物を吸収若しくは受容する。吸収パッド51は、例えばおむつ本体と同様に、身体側(内側)の表面が液透過性シート、その反対側(外側)の面が透湿性のある液不透過性シートにより形成されており、両シートの間に吸収体が充填されている。
【0020】
接着部材31は、吸収パッド51とおむつ本体101とを外側から分離できるような態様で接着する。例えば、接着部材31は、開口部43において外側に露出する吸収パッド51の外面領域に接着する接着面(第1接着面)と、おむつ本体101の外面に接着する接着面(第2接着面)とを有している。接着面をおむつ本体101の外側に設けることで、吸収パッド51の取り外しが容易になる。
【0021】
接着部材31は、例えば、粘着テープや面ファスナなどの着脱可能な部材を用いて構成可能である。この場合、第1接着面及び第2接着面の両方を着脱可能な部材で構成してもよいし、何れか一方を着脱可能にするとともに他方を着脱できない仕方で接着してもよい。
また、接着部材31は、片方の端部にのみ接着面を形成し、他方の端部はおむつ本体101若しくは吸収パッド51の外面シートと一体に形成してもよい。
【0022】
図4は、排泄物自動的処理システムの構成の一例を示す図である。
図4に示す排泄物自動処理システムは、利用者の股間にあてて排泄物を受容する排泄物受容器200と、排泄物受容器200から排泄物を吸引して処理する排泄物処理装置300と、排泄物受容器200及び排泄物処理装置300を接続するホースユニット400とを有する。
【0023】
排泄物処理装置300は、排泄物受容器200からの汚物の吸引やその洗浄を行う。すなわち、排泄物処理装置300は、排泄物受容器200に設けられたセンサにおいて排泄物が検出されると、吸引器を作動させて排泄物受容器200から排泄物を吸引するとともに、内部に備える水槽から水と空気を送り出して排泄物受容器200の内面を洗浄する。このとき、排泄物で汚れた肛間を洗浄するための温水も排泄物受容器200へ送り出す。排泄部受容器200から吸引された排泄物と汚水は、排泄物処理装置300の内部の汚物タンクに貯蔵される。汚物の吸引と洗浄が終わると、排泄物処理装置300は排泄物受容器200に空気を送りだして湿気を取り除く。
【0024】
ホースユニット400は、例えば、汚物を吸引するためのホース、容器を洗浄するための水と空気を送りだすホース、股間を洗浄するための水を送りだすホース、センサからの信号を伝送する信号ケーブル、センサに電源を供給する給電ケーブルなどから構成されている。
【0025】
排泄物受容器200は、カップ部210と、弾性部材220と、板部230を有している。
【0026】
カップ部210は、被介護者の股間にあてて排泄物を受容するための開口部を備える。開口部の縁は、被介護者の肛門と陰部をとり囲むように鞍状に湾曲している。この開口部の縁に沿って、弾性部材220が設けられている。
【0027】
カップ部210は、被介護者の腹側で排泄物を受ける前カップ211及び尻側で排泄物を受ける後カップ213と、これらの間に介在する中間カップ212を備える。
前カップ211と後カップ213の開口部は、中間カップ212の開口部に比べて幅が広くなっており、先端が丸みを帯びている。後カップ213は被介護者の臀部によってベッドに押し付けられるため、臀部を安定に支えられるように、後カップ213の底面(開口部に対して反対側の面)は平らになっている。中間カップ212は、この底面に対してほぼ垂直に立っており、被介護者の股間に無理なく挟まる程度の横幅を有している。中間カップ212と前カップ211とをつなぐ部分には、例えば、上下方向へ自在に曲げることが可能なベローズ部が設けられている。ベローズ部を曲げることにより、被介護者の体型に合わせて前カップ211を動かすことができる。
【0028】
弾性部材220は、カップ部210の開口部の縁に沿って帯状に設けられている。弾性部材220は、例えばシリコンゴムなどのエラストマを用いて一体成型されたゴム材であり、被介護者の股間が押しあてられると柔軟に変形する。
【0029】
板部230は、後カップ213から被介護者の上半身の方向に延びた弾性のある板であり、カップ部210に跨った被介護者の臀部と腰を支えるように広がっている。
【0030】
図5は、おむつ本体101を着用した状態で排泄物受容器200を使用する例を図解した図である。図示の都合上、人体の図解は省略されている。
おむつ100を着用した状態で排泄物受容器200を使用する場合、吸収パッド51はおむつ本体101から取り外される。被介護者の股間は、開口部43より外側へ露出した状態にされる。この状態で、被介護者の股間にカップ部210があてがわれる。開口部43は、おむつ本体101の外側からカップ部210によって包囲される。これにより、被介護者の便や尿は、開口部43を通ってカップ部210に直接排泄される。
【0031】
図5の使用例において、カップ部210はおむつ本体101の外側から被介護者の股間にあてがわれる。この例においては、汚水が外側へ漏れないようにするため、被介護者の股間を排泄物受容器200の弾性部材230に密着させて使用する。しかしながら、カップ部210に対する股間の位置がずれて隙間が生じると、そこから汚水が漏れる可能性がある。
そこで、図5の使用例においては、寝具に汚水が漏れるのを防止するための補助おむつを併用してもよい。図6は、その補助おむつとしての腰巻シート150の一例を示す図である。
【0032】
腰巻シート150は、例えば図6に示すように、胴回り方向に長い帯状の形態を有しており、その端部に面ファスナや粘着テープなどの接着部材152が設けられている。腰巻シート150は、例えば図7に示すように、排泄物受容器200ごと外側から被介護者の腰に巻きつけられる。腰巻シート150の端部は、例えば被介護者の腹側において接着部材152により固定される。腰巻シート150は、例えばおむつ本体101と同様に、その外側が不織布などの液透過性シートにより形成され、内側が透湿性のある液不透過性シートにより形成され、両シートの間に高吸収性ポリマー等を含んだ吸収体が内包されている。
このような腰巻シート150で被介護者の下半身を覆うことにより、寝具への汚水の漏れが効果的に防止される。
【0033】
以上説明したように、本実施形態に係るおむつ100によれば、おむつ本体101の股間領域に開口部43が設けられており、吸収パッド51がおむつ本体101から分離可能であることから、おむつ本体101を脱がせることなく、吸収パッド51のみをおむつ本体101から分離して、開口部43より外に取り出すことができる。
従って、例えば排泄物で吸収パッド51が汚れた場合、おむつ本体101から吸収パッド51を分離して、開口部43より股間を清浄し、汚れた吸収パッド51を取り出して、新しい吸収パッド51をおむつ本体101の内部に挿入できる。この場合、おむつ本体101を脱がせる必要がないので、介護者の負担を大幅に軽減できる。
また、例えば排泄物自動処理システムを使用する場合、吸収パッド51を取り外した状態で、そのままおむつ本体101の開口部43に排泄物受容器200をあてがえばよいので、排泄物受容器200の使用が非常に容易になる。
【0034】
更に、本実施形態に係るおむつ100によれば、接着部材31によっておむつ本体101に吸収パッド51が固定されるため、吸収パッド51はおむつ着用者の股間領域からずれ難い。また、吸収パッド51がおむつ本体101の内側から開口部43を塞いでおり、排泄物によって開口部43の縁が汚れることが少ない。これにより、排泄物でおむつ本体101が汚れるケースを低減できるので、おむつ本体101の再利用性が向上し、ランニングコストを低減できる。
【0035】
また、接着部材31の接着面が、おむつ本体101や吸収パッド51の外面領域に設けられているため、おむつ本体101と吸収パッド51との接着を外側から容易に分離できる。これにより、吸収パッド51の取り外し作業が容易になる。
【0036】
ところで、本実施形態に係るおむつにおける開口部は、内側の吸収パッド51を外側に取り出せる程度の大きさを有するものであればよく、その形状は任意である。従って、開口部は、上述した図1〜図3に示すように股間領域30の一部を切り抜いた形状としてもよいが、例えば図8、図9に示すように、股間領域30の一部に切れ目を入れた形状としてもよい。
【0037】
図8,図9は、本実施形態の一変形例を示す図である。図8は外側からみたおむつの展開図を示し、図9は内側からみたおむつの展開図を示す。図1〜図3と図8及び図9の同一符号は同一の構成要素を示す。
【0038】
図8、図9に示すおむつ本体101Aは、図1〜図3に示すおむつ本体101と同様に、前見頃10、後見頃20及び股間領域30を有しており、股間領域30には開口部43が設けられ、後見頃20の両端部には接着部材21が設けられている。
【0039】
また、おむつ本体101Aの股間領域30の両側部には、ギャザー44が形成されている。ギャザー44は、おむつ本体101を着用した際に脚回りの隙間から汚水が漏れるのを防止する。例えば、股間領域30の両側部には、内側シートと外側シートの間に伸長状態で挟着された弾性部材が設けられており、この弾性部材が縮むことでギャザー44が形成される。
【0040】
図8、図9の例において、股間領域30の中央部分には縦方向(前身頃10から後身頃20へ延びる方向)に一条の切れ込みが入っており、この切れ込みが開口部43として吸収パッド51の出し入れに使用される。開口部43の周囲には、吸収体52が充填されておらず、内側シートと外側シートとを直接貼り付けた領域が設けられている。吸収体52は、開口部43を両側から挟むように配設されており、図8、図9の例では、前身頃20において先端部が分離している。
【0041】
吸収パッド51は、この開口部43全体を覆うことができる十分な広さを持っており、図8、図9の例では縦長の矩形状に形成されている。吸収パッド51は、おむつ本体101Aの内側に敷かれ、おむつ着用者の股間にあてがわれる。
【0042】
接着部材31は、おむつ本体101Aの外面における開口部43の両縁付近の領域に接着するとともに(第1接着面)、その両縁の間から外側に露出する吸収パッド51に接着する(第2接着面)。例えば図8に示すように、開口部43の複数の箇所を接着部材31により接着する。
【0043】
図8、図9に示すように、開口部を条状の切れ目にすることで、開口部を切り欠いて形成する場合に比べて製造・加工が容易になり、コストを削減できる。
【0044】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態は、吸収パッドに把持手段を設けたものであり、おむつの他の構成については上述した第1の実施形態と同様である。
【0045】
図10は、把持手段の第1の例を図解した図である。図10(A)は吸収パッド51を外側(身体に接触しない側)から見た図であり、図10(B)は吸収パッド51を側面から見た図である。
図10の例では、おむつ本体101の開口部43から外側に露出する吸収パッド51の外面領域に、保持手段としてタブ53が設けられている。タブ53は、例えば、正方形若しくは長方形のシートの対向する2つの辺を近接させて外面領域に接合させたものであり、シートの中央部の弛んだ部分をつまむことができる。タブ53は、例えば吸収パッド51の外面シートと同じ素材(不織布など)で形成することができる。
【0046】
図11は、把持手段の第2の例を図解した図である。図11(A)は吸収パッド51を外側から見た図であり、図11(B)は吸収パッド51を側面からみた図である。
図11の例では、吸収パッド51の外面領域に、保持手段としてポケット54が設けられている。ポケット54は、例えば、正方形若しくは長方形のシートの3辺を外面領域に接合させたものであり、接合されていない辺から指を入れて引っかけることができる。ポケット54についても、吸収パッド51の外面シートと同じ素材(不織布など)で形成可能である。
なお、図の例ではシートの3つの辺を外面領域に接合させているが、対向する2つの辺のみ接合させても同様の把持機能を果たすことが可能である。
【0047】
このように、吸収パッド51の外面領域に前記把持手段を設けることで、吸収パッド51を掴みやすくなるので、開口部43から吸収パッド51を取り外しやすくなり、作業性が向上する。
【0048】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図1に示すおむつ100では、被介護者の股間と排泄物受容器200との隙間から汚水が漏れる可能性があり、そうすると腰巻シート150の交換が必要になる。本実施形態は、上記のような隙間が生じても汚水を漏れ難くするおむつに関するものである。
【0049】
図12は、第3の実施形態に係るおむつの一例を示す図であり、おむつ本体101Bの内側からみた展開図を示す。図12と図1〜図3の同一符号は同一の構成要素を示す。
本実施形態に係るおむつは、図1〜図3に示すおむつ本体101を図12に示すおむつ本体101Bに置き換えたものであり、他の構成要素(吸収パッド51,接着部材31等)は先に説明したおむつ100と同様である。
【0050】
おむつ本体101Bは、図1〜図3に示すおむつ本体101と同様に、前見頃10、後見頃20及び股間領域30を有しており、股間領域30に開口部43が設けられ、後見頃20の両端部には接着部材21が設けられている。また、おむつ本体101Bの股間領域30の両側部には、ギャザー44が形成されている。
【0051】
更に、おむつ本体101Bの開口部43の縁には、例えば粘着テープなどによる接着部材32が設けられている。接着部材32の接着面は、例えば図12に示すようにおむつ本体101の内側に形成されており、剥離シート33で被覆されている。
吸収パッド51を使用する場合、接着部材32の接着面は剥離シート33によって被覆された状態とされる。剥離シート33の被覆によって、吸収パッド51は接着部材32に接着されないため、開口部43から吸収パッド51を取り出す際の作業が容易になる。
一方、排泄物受容器200を使用する場合は、まず開口部43より吸収パッド51が取り出され、次いで剥離シートがはがされて、接着部材32の接着面が排泄物受容器200に接着される。
【0052】
図13は、おむつ本体101Bを着用した状態で排泄物受容器200を使用する例を図解した図である。図10に示すように、排泄物受容器200のカップ部210は、開口部43からおむつ本体101Bの内側へ挿入され、おむつ本体101Bによってすっぽり包み込まれた状態にされる。この状態で、開口部43の縁が接着部材32によりカップ部210に接着される。カップ部210において排泄物を受容する空間は、おむつ本体101Bの内側に密閉される。
【0053】
なお、開口部43は、カップ部210の形状と適合するように、図12の例では中央部が細くくびれた形状になっている。開口部43は、カップ部210と隙間なく密着するように、カップ部210の形状に合わせて形成される。
また、開口部43とカップ部210との接着を強化するため、図13の例では、外側から接着部材32Aによる補強が行われている。
【0054】
このように、本実施形態に係るおむつによれば、開口部43の縁を接着部材32によってカップ部210に接着させることで、被介護者の股間とカップ部210との間に隙間が生じても、汚水をおむつ本体101Bの内側に留まらせることができる。これにより、寝具への汚水の漏れが防止されるので、腰巻シート150の交換頻度を低減できる。また、汚水の漏えいがほとんど発生しない場合は、腰巻シート150を省略することも可能となる。
【0055】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は、おむつ本体の開口部の縁に伸縮弾性部材を設けたおむつに関する。
【0056】
図14は、第4の実施形態に係るおむつの一例を示す図であり、おむつ本体101Cの外側からみた展開図を示す。図14と図10の同一符号は同一の構成要素を示す。
本実施形態に係るおむつは、図1〜3に示すおむつ本体101を図14に示すおむつ本体101Cに置き換えたものであり、他の構成要素(吸収パッド51,接着部材31等)は第1の実施形態に係るおむつと同様である。おむつ本体101Cは、図1〜3に示すおむつ本体101と同様に、前見頃10、後見頃20及び股間領域30を有しており、股間領域30に開口部43が設けられ、後見頃20の両端部には接着部材21が設けられている。また、股間領域30の両側部にギャザー44が形成されている。
【0057】
おむつ本体101Cの開口部43の縁には、伸縮弾性部材35が設けられている。伸縮弾性部材35は、例えばリング状のゴム輪などを用いて構成される。伸縮弾性部材35の周辺領域34は、例えば図14に示すように吸収体52が敷かれておらず、外側シートと内側シートがそのまま貼り合わされている。そのため、伸縮弾性部材35を伸ばして開口を広げると、周辺領域34は皺を伴って弛んだ状態になる。
【0058】
おむつ本体101Cを着用した状態で排泄物受容器200を使用する場合は、まず、接着部材31を剥がして吸収パッド51をおむつ本体101Cから分離し、伸縮弾性部材35の開口を広げて吸収パッド51を取り出す。次いで、伸縮性部材35を広げた状態で、その開口からカップ部210を挿入し、おむつ本体101Cの内側にカップ部210の排泄物受容空間を密閉させる。
【0059】
本実施形態に係るおむつを使用する場合、カップ部の外面に、伸縮弾性部材35を引っかけて止めるための突起や溝を設けてもよい。図15は、カップ部の外面に溝を設ける例を図解した図である。図13に示すように、カップ部210Aの外面には一条の環状の溝206が設けられており、伸縮弾性部材35はこの溝206に嵌め込まれる。
【0060】
本実施形態によれば、おむつ本体101Cの開口部43の縁に伸縮弾性部材35を設けているため、開口部43の大きさを容易に変更可能である。従って、開口部43を広げて吸収パッド51を取り外し、カップ部210をおむつ本体101Bの内側に挿入できる。また、挿入後、伸縮弾性部材35が縮むことで伸縮弾性部材35とカップ部210との密着性が向上するので、汚水の漏れを効果的に防止できる。また、伸縮弾性部材35が縮んだ状態では開口部43が小さくなるため、開口部43からの吸収パッド51の脱落を有効に防止できる。
【0061】
なお、開口部43とカップ部210との接着を強化するため、図13と同様に、外側から接着部材32Aによる補強を行ってもよい。
【0062】
また、上記の例では、伸縮弾性部材35の周辺領域34をおむつ本体101Cの他の領域と同じ材料(外面シート,内面シート)で構成しているが、周辺領域34を縁部分のように伸縮性のある部材で構成すれば、周辺領域34とカップ部210との密着性も向上するので、汚水の漏れをより効果的に防止できる。
【0063】
また、伸縮弾性部材35は、上述した図15に示すようにおむつ本体101Cと一体に形成してもよいが、例えば図16に示すように、両者を着脱可能に形成してもよい。
図16は、伸縮弾性部材35を着脱可能に形成する例を図解した図であり、図14と図16の同一符号は同一の構成要素を示す。図16(A)に示すおむつ本体101Dは、股間領域に開口部43Cが設けられており、その外側の縁部に面ファスナや粘着テープなどによる接着部材37が設けられている。図16(B)に示す伸縮弾性部材35及び周辺領域34は、おむつ本体101Dから独立している。周辺領域34の内側の縁部には、面ファスナや粘着テープなどによる接着部材36が設けられている。
伸縮弾性部材35及び周辺領域34を、接着部材36,37によっておむつ本体101Dと着脱可能に接着することで、おむつ本体101Dを使い捨てにする場合でも、伸縮弾性部材35及び周辺領域34を有効に再利用できる。
【0064】
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
上述した実施形態ではおむつ本体の内側に吸収パッドを挿入していたが、本実施形態に係るおむつでは、吸収パッドを外側からおむつ本体に固定する。
【0065】
図17は、本発明の第5の実施形態に係るおむつの一例を図解した斜視図であり、図1と図17の同一符号は同一の構成要素を示す。
図17に示すおむつ100Eは、開口部43の外側を吸収パッド51で塞ぐ点において図1に示すおむつ100と異なっているが、両者の構成要素についてはほぼ同じである。本実施形態に係るおむつでは、吸収パッド51をおむつ本体101の外側に固定するため、吸収パッド51の取り外しがより簡単になる。
【0066】
なお、図17に示すおむつ100Eにおいては、おむつ本体101からの吸収パッド51の脱落を防止するため、接着部材31(固定手段)による固定箇所を増やしてもよい。また、吸収パッド51の内側の縁部の少なくとも一部に、面ファスナや粘着テープなどによる固定手段を設けてもよい。これにより、おむつ本体101の開口部43の縁と吸収パッド51の内側の縁とを良好に固定できる。
【0067】
本発明は上述した実施形態には限定されない。
すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
【0068】
例えば、本発明の固定手段は、粘着テープや面ファスナに限定されず、例えばボタンやジッパーなどを固定の用途に使用することも可能である。
【0069】
また、本発明の固定手段は、双方を再接着不能な状態で接合するものでもよい。例えば、接合部分や連結部分を紙等の切断可能な材料で構成し、分離する際にこれらの部分を切ったり剥したりしてもよい。
【0070】
吸収パッドをおむつの内側に固定する場合、本発明の固定手段は、開口部の内側の周縁部や、吸収パッドの外縁部の少なくとも一部に設けられた接着部材(粘着テープや面ファスナなど)を含むものでもよい。例えば、図12に示すおむつにおいて剥離シート33を省略し、吸収パッド51の外面を接着部材32によっておむつ本体101Bに固定してもよい。
これにより、吸収パッドをおむつ本体から取り外した後、当該接着面を排泄物受容器に接着させることが可能になる。
【0071】
上述の各実施形態では、固定手段によって吸収パッドをおむつ本体に固定する例を挙げているが、本発明はこれに限定されない。例えば、吸収パッドをおむつ本体に固定することなく、開口部をおむつ本体の外側から塞ぐような閉塞手段を設けてもよい。
例えば図8、図9に示すように条状の切れ目を含んだ開口部をおむつ本体に形成する場合は、おむつ本体の外面において、切れ目の近接した両縁の近傍領域を接着部材により接着して、開口部を塞ぐようにしてもよい。また、切れ目の縁に重なり合う部分を設けて、縁同士を接着部材により直接接着するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るおむつの一例を図解した斜視図である。
【図2】外側からみたおむつの展開図である。
【図3】内側からみたおむつの展開図である。
【図4】排泄物自動的処理システムの構成の一例を示す図である。
【図5】おむつ本体を着用した状態で排泄物受容器を使用する例を図解した図である。
【図6】おむつの補助として用いる腰巻シートの一例を図解した図である。
【図7】腰巻シートの使用態様の一例を示す図である。
【図8】第1の実施形態に係るおむつの一変形例を示す図であり、外側からみたおむつの展開図を示す。
【図9】第1の実施形態に係るおむつの一変形例を示す図であり、内側からみたおむつの展開図を示す。
【図10】把持手段の第1の例を図解した図である。
【図11】把持手段の第2の例を図解した図である。
【図12】第3の実施形態に係るおむつの一例を示す図であり、おむつ本体の内側からみた展開図を示す。
【図13】図10に示すおむつ本体を着用した状態で排泄物受容器200を使用する例を図解した図である。
【図14】第4の実施形態に係るおむつの一例を示す図であり、おむつ本体の外側からみた展開図を示す。
【図15】カップ部の外面に溝を設ける例を図解した図である。
【図16】開口部の伸縮弾性部材を着脱可能に形成する例を図解した図である。
【図17】第5の実施形態に係るおむつの一例を図解した斜視図である。
【符号の説明】
【0073】
100,100D…おむつ、101,101A,101B,101C,101D,101E…おむつ本体、10…前身頃、20…後身頃、21,31,32,32A,36,37…接着部材、30…股間領域、33…剥離シート、34…周辺領域、35…伸縮弾性部材、41,41L,42R,43,43C…開口部、51…吸収パッド、52…吸収体、53…タブ、54…ポケット、150…腰巻シート、200…排泄物受容器、210…カップ部、220…弾性部材、230…板部、300…排泄物処理装置、400…ホースユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、おむつ本体と吸収パッドとが分離可能なおむつに係り、特に、排泄物を自動的に処理するシステムでの利用に適したおむつに関するものである。
【背景技術】
【0002】
寝たきりになった被介護者の排泄物を取り除いて股間を清浄にする作業は、介護者のみならず被介護者にも大きな負担を強いるため、これを簡易化することが要望されている。下記の特許文献1〜4では、被介護者が横たわった状態でも排泄物を自動的に処理できる装置が記載されている。
【0003】
一般的な排泄物自動的処理システムでは、汚物タンクに接続された排泄部受容器(以下、「カップ」と記す場合がある)が被介護者の股間にあてがわれる。カップには便や尿を検知するためのセンサが設けられており、排泄が検知されるとポンプ等の動作によってカップから汚物タンクへ排泄物が吸引される。
【特許文献1】実用新案登録第3130483号公報
【特許文献2】実用新案登録第3137626号公報
【特許文献3】実用新案登録第3137627号公報
【特許文献4】実用新案登録第3137628号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような装置は必ずしも終日の使用を要求されるものではなく、人手による介護との併用が望ましいケースもある。例えば、被介護者が排便を知らせることが可能な場合、介護者のいる日中はおむつを着用し、夜間はカップを装着するといった使い方が考えられる。しかしながら、現在広く流通している通常の使い捨ておむつは、上記のような排泄物の処理システムを想定して作られていないため、カップを装着する際には被介護者からおむつを脱がさなければならず、これが介護者の負担になる。
【0005】
他方、パンツ型の使い捨ておむつは、少量の排泄物でもおむつ全体を取り換えなければならならないため、ランニングコストが高いという問題を有する。そこで一般には、パンツ型の使い捨ておむつの内側に吸収パッドを敷いておき、少量の排泄物であれば吸収パッドのみを交換しておむつを使用し続けるというようなことが行われている。ところが、吸収パッドを交換する場合、おむつを被介護者から脱がさなければならないため、この作業が介護者の負担となっている。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、介護者の負担を軽減できるおむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るおむつは、股間領域に開口部を有するおむつ本体と、前記開口部を前記おむつ本体の内側から塞ぐ吸収パッドと、前記吸収パッドを前記おむつ本体に分離可能に固定する固定手段とを備える。
【0008】
上記のおむつによれば、前記おむつ本体の股間領域に開口部が設けられており、また、前記吸収パッドが前記おむつ本体から分離可能であることから、前記おむつ本体をおむつ着用者から脱がせることなく、前記吸収パッドを前記おむつ本体から分離し、前記開口部より取り外すことが可能となる。
そして、前記吸収パッドを取り外した後、股間領域の前記開口部に排泄物受容器をあてがうことが可能である。
また、前記吸収パッドを取り外した後、前記開口部から新しい吸収パッドを前記おむつ本体の内側に挿入することも可能である。
更に、上記のおむつによれば、前記固定手段によって前記おむつ本体に前記吸収パッドが固定されるため、前記吸収パッドはおむつ着用者の股間領域からずれ難い。
また、前記吸収パッドが前記おむつ本体の内側から前記開口部を塞いでおり、排泄物によって前記開口部の縁が汚れることが少ないことから、前記おむつ本体の再利用が可能である。
【0009】
好適に、前記固定手段は、前記開口部において前記おむつ本体の外側に露出する前記吸収パッドの外面領域に接着する第1接着面と、前記おむつ本体の外面に接着する第2接着面とを有した接着部材を含む。
上記の構成によれば、前記吸収パッドと前記おむつ本体との接着を外側から容易に分離できる。
【0010】
また好適に、上記おむつは、前記開口部において前記おむつ本体の外側に露出する前記吸収パッドの外面領域に設けられた把持手段を有する。
前記把持手段により、前記吸収パッドを掴みやすくなり、前記開口部から前記吸収パッドを取り外しやすくなる。
【0011】
また、上記おむつは、前記開口部の縁の少なくとも一部に設けられた接着部材と、前記接着部材の接着面を覆う剥離シートとを有してもよい。
これにより、前記吸収パッドを前記おむつ本体から取り外した後、前記剥離シートを前記接着部材の接着面から剥がして、当該接着面を排泄物受容器に接着させることが可能になる。前記開口部の縁を排泄物受容器に接着させることで、排泄物の漏れが抑えられる。
【0012】
更に、上記おむつは、前記開口部の縁の少なくとも一部に設けられた伸縮弾性部材を有してもよい。
これにより、前記吸収パッドを前記おむつ本体から取り外した後、前記伸縮弾性部材を伸ばして前記開口部を広げ、当該開口部の内側に排泄物受容器を挿入することが可能に
なる。挿入後、前記伸縮弾性部材が縮んで排泄物受容器に密着することで、排泄物の漏れが抑えられる。
この場合、上記おむつは、前記伸縮弾性部材の周辺領域と前記おむつ本体とを着脱可能に接着する接着部材を有してもよい。前記伸縮弾性部材と前記おむつ本体とを着脱可能にすれば、前記おむつ本体を使い捨てとしても、前記伸縮弾性部材は再利用可能となる。
【0013】
また、本発明の他の観点に係るおむつは、股間領域に開口部を有するおむつ本体と、前記開口部を前記おむつ本体の内側から塞ぐ吸収性パッドと、前記開口部を前記おむつ本体の外側から塞ぐ閉塞手段とを備える。
例えば、前記開口部は、条状の切れ目を含み、前記閉塞手段は、前記おむつ本体の外面において、前記切れ目の近接した両縁の近傍領域にそれぞれ接着する接着部材を含む。
【0014】
なお、特に断らない限り、本明細書においておむつの「内側」とは、おむつ着用者の身体に接する側を意味し、おむつの「外側」とは、身体に接しない側を意味する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、おむつ着用者からおむつ本体を脱がせることなく吸収パッドのみを取り外せるため、介護者の負担を軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るおむつの例を図解した斜視図である。図2は外側からみたおむつの展開図を示し、図3は内側からみたおむつの展開図を示す。
第1の実施形態に係るおむつ100は、例えば図1に示すように、股間領域に開口部43を有するおむつ本体101と、その開口部43をおむつ本体の内側から塞ぐ吸収パッド51と、吸収パッド51とおむつ本体101とを分離可能に固定する固定手段としての接着部材31を有する。
【0017】
おむつ本体101は、前見頃10及び後見頃20と、これらの間に設けられた股間領域30を有する。前見頃10と後見頃20は、例えば図2,図3に示すように分離して形成されており、両端部を互いに重ねることで、胴を通すための開口部41と、脚を通すための2つの開口部42L,42Rが形成される。図の例において、後見頃20は前見頃10に比べて胴回り方向に長くなっており、前見頃10の外側に重ねられる。後見頃20の両端部は、着用者の腹側において接着部材21により接着される。接着部材21には、例えば粘着テープや面ファスナなどが用いられる。
【0018】
また、おむつ本体101は、例えば、その外側が親水化処理を施した不織布などの液透過性シートにより形成され、内側が透湿性のあるプラスチックフィルムなどの液不透過性シートにより形成される。そして、これらのシートの間には、液透過性シートを透過した尿などの液体を吸収するため、高吸収性ポリマーや綿状パルプ等よりなる吸収体52が内包される。吸収体52は、股間領域30の開口部43を囲んで、腹側と尻側の領域に広く敷かれている。
【0019】
開口部43は、例えば、後述する排泄物受容器200を直接あてがうことができるように、おむつ着用者の肛門と排尿器官が露出する程度の大きさで、股間領域30の前後方向に縦長に伸びて開いている。吸収パッド51は、この開口部43より広くなるように形成されており、おむつ本体101の内側から開口部43の全体を塞ぐことができる。吸収パッド51は、例えば矩形状に形成されており、おむつ着用者の肛門と排尿器官を包み込んで排泄物を吸収若しくは受容する。吸収パッド51は、例えばおむつ本体と同様に、身体側(内側)の表面が液透過性シート、その反対側(外側)の面が透湿性のある液不透過性シートにより形成されており、両シートの間に吸収体が充填されている。
【0020】
接着部材31は、吸収パッド51とおむつ本体101とを外側から分離できるような態様で接着する。例えば、接着部材31は、開口部43において外側に露出する吸収パッド51の外面領域に接着する接着面(第1接着面)と、おむつ本体101の外面に接着する接着面(第2接着面)とを有している。接着面をおむつ本体101の外側に設けることで、吸収パッド51の取り外しが容易になる。
【0021】
接着部材31は、例えば、粘着テープや面ファスナなどの着脱可能な部材を用いて構成可能である。この場合、第1接着面及び第2接着面の両方を着脱可能な部材で構成してもよいし、何れか一方を着脱可能にするとともに他方を着脱できない仕方で接着してもよい。
また、接着部材31は、片方の端部にのみ接着面を形成し、他方の端部はおむつ本体101若しくは吸収パッド51の外面シートと一体に形成してもよい。
【0022】
図4は、排泄物自動的処理システムの構成の一例を示す図である。
図4に示す排泄物自動処理システムは、利用者の股間にあてて排泄物を受容する排泄物受容器200と、排泄物受容器200から排泄物を吸引して処理する排泄物処理装置300と、排泄物受容器200及び排泄物処理装置300を接続するホースユニット400とを有する。
【0023】
排泄物処理装置300は、排泄物受容器200からの汚物の吸引やその洗浄を行う。すなわち、排泄物処理装置300は、排泄物受容器200に設けられたセンサにおいて排泄物が検出されると、吸引器を作動させて排泄物受容器200から排泄物を吸引するとともに、内部に備える水槽から水と空気を送り出して排泄物受容器200の内面を洗浄する。このとき、排泄物で汚れた肛間を洗浄するための温水も排泄物受容器200へ送り出す。排泄部受容器200から吸引された排泄物と汚水は、排泄物処理装置300の内部の汚物タンクに貯蔵される。汚物の吸引と洗浄が終わると、排泄物処理装置300は排泄物受容器200に空気を送りだして湿気を取り除く。
【0024】
ホースユニット400は、例えば、汚物を吸引するためのホース、容器を洗浄するための水と空気を送りだすホース、股間を洗浄するための水を送りだすホース、センサからの信号を伝送する信号ケーブル、センサに電源を供給する給電ケーブルなどから構成されている。
【0025】
排泄物受容器200は、カップ部210と、弾性部材220と、板部230を有している。
【0026】
カップ部210は、被介護者の股間にあてて排泄物を受容するための開口部を備える。開口部の縁は、被介護者の肛門と陰部をとり囲むように鞍状に湾曲している。この開口部の縁に沿って、弾性部材220が設けられている。
【0027】
カップ部210は、被介護者の腹側で排泄物を受ける前カップ211及び尻側で排泄物を受ける後カップ213と、これらの間に介在する中間カップ212を備える。
前カップ211と後カップ213の開口部は、中間カップ212の開口部に比べて幅が広くなっており、先端が丸みを帯びている。後カップ213は被介護者の臀部によってベッドに押し付けられるため、臀部を安定に支えられるように、後カップ213の底面(開口部に対して反対側の面)は平らになっている。中間カップ212は、この底面に対してほぼ垂直に立っており、被介護者の股間に無理なく挟まる程度の横幅を有している。中間カップ212と前カップ211とをつなぐ部分には、例えば、上下方向へ自在に曲げることが可能なベローズ部が設けられている。ベローズ部を曲げることにより、被介護者の体型に合わせて前カップ211を動かすことができる。
【0028】
弾性部材220は、カップ部210の開口部の縁に沿って帯状に設けられている。弾性部材220は、例えばシリコンゴムなどのエラストマを用いて一体成型されたゴム材であり、被介護者の股間が押しあてられると柔軟に変形する。
【0029】
板部230は、後カップ213から被介護者の上半身の方向に延びた弾性のある板であり、カップ部210に跨った被介護者の臀部と腰を支えるように広がっている。
【0030】
図5は、おむつ本体101を着用した状態で排泄物受容器200を使用する例を図解した図である。図示の都合上、人体の図解は省略されている。
おむつ100を着用した状態で排泄物受容器200を使用する場合、吸収パッド51はおむつ本体101から取り外される。被介護者の股間は、開口部43より外側へ露出した状態にされる。この状態で、被介護者の股間にカップ部210があてがわれる。開口部43は、おむつ本体101の外側からカップ部210によって包囲される。これにより、被介護者の便や尿は、開口部43を通ってカップ部210に直接排泄される。
【0031】
図5の使用例において、カップ部210はおむつ本体101の外側から被介護者の股間にあてがわれる。この例においては、汚水が外側へ漏れないようにするため、被介護者の股間を排泄物受容器200の弾性部材230に密着させて使用する。しかしながら、カップ部210に対する股間の位置がずれて隙間が生じると、そこから汚水が漏れる可能性がある。
そこで、図5の使用例においては、寝具に汚水が漏れるのを防止するための補助おむつを併用してもよい。図6は、その補助おむつとしての腰巻シート150の一例を示す図である。
【0032】
腰巻シート150は、例えば図6に示すように、胴回り方向に長い帯状の形態を有しており、その端部に面ファスナや粘着テープなどの接着部材152が設けられている。腰巻シート150は、例えば図7に示すように、排泄物受容器200ごと外側から被介護者の腰に巻きつけられる。腰巻シート150の端部は、例えば被介護者の腹側において接着部材152により固定される。腰巻シート150は、例えばおむつ本体101と同様に、その外側が不織布などの液透過性シートにより形成され、内側が透湿性のある液不透過性シートにより形成され、両シートの間に高吸収性ポリマー等を含んだ吸収体が内包されている。
このような腰巻シート150で被介護者の下半身を覆うことにより、寝具への汚水の漏れが効果的に防止される。
【0033】
以上説明したように、本実施形態に係るおむつ100によれば、おむつ本体101の股間領域に開口部43が設けられており、吸収パッド51がおむつ本体101から分離可能であることから、おむつ本体101を脱がせることなく、吸収パッド51のみをおむつ本体101から分離して、開口部43より外に取り出すことができる。
従って、例えば排泄物で吸収パッド51が汚れた場合、おむつ本体101から吸収パッド51を分離して、開口部43より股間を清浄し、汚れた吸収パッド51を取り出して、新しい吸収パッド51をおむつ本体101の内部に挿入できる。この場合、おむつ本体101を脱がせる必要がないので、介護者の負担を大幅に軽減できる。
また、例えば排泄物自動処理システムを使用する場合、吸収パッド51を取り外した状態で、そのままおむつ本体101の開口部43に排泄物受容器200をあてがえばよいので、排泄物受容器200の使用が非常に容易になる。
【0034】
更に、本実施形態に係るおむつ100によれば、接着部材31によっておむつ本体101に吸収パッド51が固定されるため、吸収パッド51はおむつ着用者の股間領域からずれ難い。また、吸収パッド51がおむつ本体101の内側から開口部43を塞いでおり、排泄物によって開口部43の縁が汚れることが少ない。これにより、排泄物でおむつ本体101が汚れるケースを低減できるので、おむつ本体101の再利用性が向上し、ランニングコストを低減できる。
【0035】
また、接着部材31の接着面が、おむつ本体101や吸収パッド51の外面領域に設けられているため、おむつ本体101と吸収パッド51との接着を外側から容易に分離できる。これにより、吸収パッド51の取り外し作業が容易になる。
【0036】
ところで、本実施形態に係るおむつにおける開口部は、内側の吸収パッド51を外側に取り出せる程度の大きさを有するものであればよく、その形状は任意である。従って、開口部は、上述した図1〜図3に示すように股間領域30の一部を切り抜いた形状としてもよいが、例えば図8、図9に示すように、股間領域30の一部に切れ目を入れた形状としてもよい。
【0037】
図8,図9は、本実施形態の一変形例を示す図である。図8は外側からみたおむつの展開図を示し、図9は内側からみたおむつの展開図を示す。図1〜図3と図8及び図9の同一符号は同一の構成要素を示す。
【0038】
図8、図9に示すおむつ本体101Aは、図1〜図3に示すおむつ本体101と同様に、前見頃10、後見頃20及び股間領域30を有しており、股間領域30には開口部43が設けられ、後見頃20の両端部には接着部材21が設けられている。
【0039】
また、おむつ本体101Aの股間領域30の両側部には、ギャザー44が形成されている。ギャザー44は、おむつ本体101を着用した際に脚回りの隙間から汚水が漏れるのを防止する。例えば、股間領域30の両側部には、内側シートと外側シートの間に伸長状態で挟着された弾性部材が設けられており、この弾性部材が縮むことでギャザー44が形成される。
【0040】
図8、図9の例において、股間領域30の中央部分には縦方向(前身頃10から後身頃20へ延びる方向)に一条の切れ込みが入っており、この切れ込みが開口部43として吸収パッド51の出し入れに使用される。開口部43の周囲には、吸収体52が充填されておらず、内側シートと外側シートとを直接貼り付けた領域が設けられている。吸収体52は、開口部43を両側から挟むように配設されており、図8、図9の例では、前身頃20において先端部が分離している。
【0041】
吸収パッド51は、この開口部43全体を覆うことができる十分な広さを持っており、図8、図9の例では縦長の矩形状に形成されている。吸収パッド51は、おむつ本体101Aの内側に敷かれ、おむつ着用者の股間にあてがわれる。
【0042】
接着部材31は、おむつ本体101Aの外面における開口部43の両縁付近の領域に接着するとともに(第1接着面)、その両縁の間から外側に露出する吸収パッド51に接着する(第2接着面)。例えば図8に示すように、開口部43の複数の箇所を接着部材31により接着する。
【0043】
図8、図9に示すように、開口部を条状の切れ目にすることで、開口部を切り欠いて形成する場合に比べて製造・加工が容易になり、コストを削減できる。
【0044】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態は、吸収パッドに把持手段を設けたものであり、おむつの他の構成については上述した第1の実施形態と同様である。
【0045】
図10は、把持手段の第1の例を図解した図である。図10(A)は吸収パッド51を外側(身体に接触しない側)から見た図であり、図10(B)は吸収パッド51を側面から見た図である。
図10の例では、おむつ本体101の開口部43から外側に露出する吸収パッド51の外面領域に、保持手段としてタブ53が設けられている。タブ53は、例えば、正方形若しくは長方形のシートの対向する2つの辺を近接させて外面領域に接合させたものであり、シートの中央部の弛んだ部分をつまむことができる。タブ53は、例えば吸収パッド51の外面シートと同じ素材(不織布など)で形成することができる。
【0046】
図11は、把持手段の第2の例を図解した図である。図11(A)は吸収パッド51を外側から見た図であり、図11(B)は吸収パッド51を側面からみた図である。
図11の例では、吸収パッド51の外面領域に、保持手段としてポケット54が設けられている。ポケット54は、例えば、正方形若しくは長方形のシートの3辺を外面領域に接合させたものであり、接合されていない辺から指を入れて引っかけることができる。ポケット54についても、吸収パッド51の外面シートと同じ素材(不織布など)で形成可能である。
なお、図の例ではシートの3つの辺を外面領域に接合させているが、対向する2つの辺のみ接合させても同様の把持機能を果たすことが可能である。
【0047】
このように、吸収パッド51の外面領域に前記把持手段を設けることで、吸収パッド51を掴みやすくなるので、開口部43から吸収パッド51を取り外しやすくなり、作業性が向上する。
【0048】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図1に示すおむつ100では、被介護者の股間と排泄物受容器200との隙間から汚水が漏れる可能性があり、そうすると腰巻シート150の交換が必要になる。本実施形態は、上記のような隙間が生じても汚水を漏れ難くするおむつに関するものである。
【0049】
図12は、第3の実施形態に係るおむつの一例を示す図であり、おむつ本体101Bの内側からみた展開図を示す。図12と図1〜図3の同一符号は同一の構成要素を示す。
本実施形態に係るおむつは、図1〜図3に示すおむつ本体101を図12に示すおむつ本体101Bに置き換えたものであり、他の構成要素(吸収パッド51,接着部材31等)は先に説明したおむつ100と同様である。
【0050】
おむつ本体101Bは、図1〜図3に示すおむつ本体101と同様に、前見頃10、後見頃20及び股間領域30を有しており、股間領域30に開口部43が設けられ、後見頃20の両端部には接着部材21が設けられている。また、おむつ本体101Bの股間領域30の両側部には、ギャザー44が形成されている。
【0051】
更に、おむつ本体101Bの開口部43の縁には、例えば粘着テープなどによる接着部材32が設けられている。接着部材32の接着面は、例えば図12に示すようにおむつ本体101の内側に形成されており、剥離シート33で被覆されている。
吸収パッド51を使用する場合、接着部材32の接着面は剥離シート33によって被覆された状態とされる。剥離シート33の被覆によって、吸収パッド51は接着部材32に接着されないため、開口部43から吸収パッド51を取り出す際の作業が容易になる。
一方、排泄物受容器200を使用する場合は、まず開口部43より吸収パッド51が取り出され、次いで剥離シートがはがされて、接着部材32の接着面が排泄物受容器200に接着される。
【0052】
図13は、おむつ本体101Bを着用した状態で排泄物受容器200を使用する例を図解した図である。図10に示すように、排泄物受容器200のカップ部210は、開口部43からおむつ本体101Bの内側へ挿入され、おむつ本体101Bによってすっぽり包み込まれた状態にされる。この状態で、開口部43の縁が接着部材32によりカップ部210に接着される。カップ部210において排泄物を受容する空間は、おむつ本体101Bの内側に密閉される。
【0053】
なお、開口部43は、カップ部210の形状と適合するように、図12の例では中央部が細くくびれた形状になっている。開口部43は、カップ部210と隙間なく密着するように、カップ部210の形状に合わせて形成される。
また、開口部43とカップ部210との接着を強化するため、図13の例では、外側から接着部材32Aによる補強が行われている。
【0054】
このように、本実施形態に係るおむつによれば、開口部43の縁を接着部材32によってカップ部210に接着させることで、被介護者の股間とカップ部210との間に隙間が生じても、汚水をおむつ本体101Bの内側に留まらせることができる。これにより、寝具への汚水の漏れが防止されるので、腰巻シート150の交換頻度を低減できる。また、汚水の漏えいがほとんど発生しない場合は、腰巻シート150を省略することも可能となる。
【0055】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は、おむつ本体の開口部の縁に伸縮弾性部材を設けたおむつに関する。
【0056】
図14は、第4の実施形態に係るおむつの一例を示す図であり、おむつ本体101Cの外側からみた展開図を示す。図14と図10の同一符号は同一の構成要素を示す。
本実施形態に係るおむつは、図1〜3に示すおむつ本体101を図14に示すおむつ本体101Cに置き換えたものであり、他の構成要素(吸収パッド51,接着部材31等)は第1の実施形態に係るおむつと同様である。おむつ本体101Cは、図1〜3に示すおむつ本体101と同様に、前見頃10、後見頃20及び股間領域30を有しており、股間領域30に開口部43が設けられ、後見頃20の両端部には接着部材21が設けられている。また、股間領域30の両側部にギャザー44が形成されている。
【0057】
おむつ本体101Cの開口部43の縁には、伸縮弾性部材35が設けられている。伸縮弾性部材35は、例えばリング状のゴム輪などを用いて構成される。伸縮弾性部材35の周辺領域34は、例えば図14に示すように吸収体52が敷かれておらず、外側シートと内側シートがそのまま貼り合わされている。そのため、伸縮弾性部材35を伸ばして開口を広げると、周辺領域34は皺を伴って弛んだ状態になる。
【0058】
おむつ本体101Cを着用した状態で排泄物受容器200を使用する場合は、まず、接着部材31を剥がして吸収パッド51をおむつ本体101Cから分離し、伸縮弾性部材35の開口を広げて吸収パッド51を取り出す。次いで、伸縮性部材35を広げた状態で、その開口からカップ部210を挿入し、おむつ本体101Cの内側にカップ部210の排泄物受容空間を密閉させる。
【0059】
本実施形態に係るおむつを使用する場合、カップ部の外面に、伸縮弾性部材35を引っかけて止めるための突起や溝を設けてもよい。図15は、カップ部の外面に溝を設ける例を図解した図である。図13に示すように、カップ部210Aの外面には一条の環状の溝206が設けられており、伸縮弾性部材35はこの溝206に嵌め込まれる。
【0060】
本実施形態によれば、おむつ本体101Cの開口部43の縁に伸縮弾性部材35を設けているため、開口部43の大きさを容易に変更可能である。従って、開口部43を広げて吸収パッド51を取り外し、カップ部210をおむつ本体101Bの内側に挿入できる。また、挿入後、伸縮弾性部材35が縮むことで伸縮弾性部材35とカップ部210との密着性が向上するので、汚水の漏れを効果的に防止できる。また、伸縮弾性部材35が縮んだ状態では開口部43が小さくなるため、開口部43からの吸収パッド51の脱落を有効に防止できる。
【0061】
なお、開口部43とカップ部210との接着を強化するため、図13と同様に、外側から接着部材32Aによる補強を行ってもよい。
【0062】
また、上記の例では、伸縮弾性部材35の周辺領域34をおむつ本体101Cの他の領域と同じ材料(外面シート,内面シート)で構成しているが、周辺領域34を縁部分のように伸縮性のある部材で構成すれば、周辺領域34とカップ部210との密着性も向上するので、汚水の漏れをより効果的に防止できる。
【0063】
また、伸縮弾性部材35は、上述した図15に示すようにおむつ本体101Cと一体に形成してもよいが、例えば図16に示すように、両者を着脱可能に形成してもよい。
図16は、伸縮弾性部材35を着脱可能に形成する例を図解した図であり、図14と図16の同一符号は同一の構成要素を示す。図16(A)に示すおむつ本体101Dは、股間領域に開口部43Cが設けられており、その外側の縁部に面ファスナや粘着テープなどによる接着部材37が設けられている。図16(B)に示す伸縮弾性部材35及び周辺領域34は、おむつ本体101Dから独立している。周辺領域34の内側の縁部には、面ファスナや粘着テープなどによる接着部材36が設けられている。
伸縮弾性部材35及び周辺領域34を、接着部材36,37によっておむつ本体101Dと着脱可能に接着することで、おむつ本体101Dを使い捨てにする場合でも、伸縮弾性部材35及び周辺領域34を有効に再利用できる。
【0064】
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
上述した実施形態ではおむつ本体の内側に吸収パッドを挿入していたが、本実施形態に係るおむつでは、吸収パッドを外側からおむつ本体に固定する。
【0065】
図17は、本発明の第5の実施形態に係るおむつの一例を図解した斜視図であり、図1と図17の同一符号は同一の構成要素を示す。
図17に示すおむつ100Eは、開口部43の外側を吸収パッド51で塞ぐ点において図1に示すおむつ100と異なっているが、両者の構成要素についてはほぼ同じである。本実施形態に係るおむつでは、吸収パッド51をおむつ本体101の外側に固定するため、吸収パッド51の取り外しがより簡単になる。
【0066】
なお、図17に示すおむつ100Eにおいては、おむつ本体101からの吸収パッド51の脱落を防止するため、接着部材31(固定手段)による固定箇所を増やしてもよい。また、吸収パッド51の内側の縁部の少なくとも一部に、面ファスナや粘着テープなどによる固定手段を設けてもよい。これにより、おむつ本体101の開口部43の縁と吸収パッド51の内側の縁とを良好に固定できる。
【0067】
本発明は上述した実施形態には限定されない。
すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。
【0068】
例えば、本発明の固定手段は、粘着テープや面ファスナに限定されず、例えばボタンやジッパーなどを固定の用途に使用することも可能である。
【0069】
また、本発明の固定手段は、双方を再接着不能な状態で接合するものでもよい。例えば、接合部分や連結部分を紙等の切断可能な材料で構成し、分離する際にこれらの部分を切ったり剥したりしてもよい。
【0070】
吸収パッドをおむつの内側に固定する場合、本発明の固定手段は、開口部の内側の周縁部や、吸収パッドの外縁部の少なくとも一部に設けられた接着部材(粘着テープや面ファスナなど)を含むものでもよい。例えば、図12に示すおむつにおいて剥離シート33を省略し、吸収パッド51の外面を接着部材32によっておむつ本体101Bに固定してもよい。
これにより、吸収パッドをおむつ本体から取り外した後、当該接着面を排泄物受容器に接着させることが可能になる。
【0071】
上述の各実施形態では、固定手段によって吸収パッドをおむつ本体に固定する例を挙げているが、本発明はこれに限定されない。例えば、吸収パッドをおむつ本体に固定することなく、開口部をおむつ本体の外側から塞ぐような閉塞手段を設けてもよい。
例えば図8、図9に示すように条状の切れ目を含んだ開口部をおむつ本体に形成する場合は、おむつ本体の外面において、切れ目の近接した両縁の近傍領域を接着部材により接着して、開口部を塞ぐようにしてもよい。また、切れ目の縁に重なり合う部分を設けて、縁同士を接着部材により直接接着するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るおむつの一例を図解した斜視図である。
【図2】外側からみたおむつの展開図である。
【図3】内側からみたおむつの展開図である。
【図4】排泄物自動的処理システムの構成の一例を示す図である。
【図5】おむつ本体を着用した状態で排泄物受容器を使用する例を図解した図である。
【図6】おむつの補助として用いる腰巻シートの一例を図解した図である。
【図7】腰巻シートの使用態様の一例を示す図である。
【図8】第1の実施形態に係るおむつの一変形例を示す図であり、外側からみたおむつの展開図を示す。
【図9】第1の実施形態に係るおむつの一変形例を示す図であり、内側からみたおむつの展開図を示す。
【図10】把持手段の第1の例を図解した図である。
【図11】把持手段の第2の例を図解した図である。
【図12】第3の実施形態に係るおむつの一例を示す図であり、おむつ本体の内側からみた展開図を示す。
【図13】図10に示すおむつ本体を着用した状態で排泄物受容器200を使用する例を図解した図である。
【図14】第4の実施形態に係るおむつの一例を示す図であり、おむつ本体の外側からみた展開図を示す。
【図15】カップ部の外面に溝を設ける例を図解した図である。
【図16】開口部の伸縮弾性部材を着脱可能に形成する例を図解した図である。
【図17】第5の実施形態に係るおむつの一例を図解した斜視図である。
【符号の説明】
【0073】
100,100D…おむつ、101,101A,101B,101C,101D,101E…おむつ本体、10…前身頃、20…後身頃、21,31,32,32A,36,37…接着部材、30…股間領域、33…剥離シート、34…周辺領域、35…伸縮弾性部材、41,41L,42R,43,43C…開口部、51…吸収パッド、52…吸収体、53…タブ、54…ポケット、150…腰巻シート、200…排泄物受容器、210…カップ部、220…弾性部材、230…板部、300…排泄物処理装置、400…ホースユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
股間領域に開口部を有するおむつ本体と、
前記開口部を前記おむつ本体の内側から塞ぐ吸収性パッドと、
前記吸収性パッドと前記おむつ本体とを分離可能に固定する固定手段と
を備えるおむつ。
【請求項2】
前記固定手段は、
前記開口部において前記おむつ本体の外側に露出する前記吸収性パッドの外面領域に接着する第1接着面と、前記おむつ本体の外面に接着する第2接着面とを有した接着部材を含む、
請求項1に記載のおむつ。
【請求項3】
前記開口部において前記おむつ本体の外側に露出する前記吸収性パッドの外面領域に設けられた把持手段を有する、
請求項1に記載のおむつ。
【請求項4】
前記開口部の縁の少なくとも一部に設けられた接着部材と、
前記接着部材の接着面を覆う剥離シートと
を有する、
請求項1に記載のおむつ。
【請求項5】
前記開口部の縁の少なくとも一部に設けられた伸縮弾性部材を有する、
請求項1に記載のおむつ。
【請求項6】
前記伸縮弾性部材の周辺領域と前記おむつ本体とを着脱可能に接着する接着部材を有する、
請求項5に記載のおむつ。
【請求項7】
股間領域に開口部を有するおむつ本体と、
前記開口部を前記おむつ本体の内側から塞ぐ吸収性パッドと、
前記開口部を前記おむつ本体の外側から塞ぐ閉塞手段と
を備えるおむつ。
【請求項8】
前記開口部は、条状の切れ目を含んでおり、
前記閉塞手段は、前記おむつ本体の外面において、前記切れ目の近接した両縁の近傍領域にそれぞれ接着する接着部材を含む、
請求項7に記載のおむつ。
【請求項1】
股間領域に開口部を有するおむつ本体と、
前記開口部を前記おむつ本体の内側から塞ぐ吸収性パッドと、
前記吸収性パッドと前記おむつ本体とを分離可能に固定する固定手段と
を備えるおむつ。
【請求項2】
前記固定手段は、
前記開口部において前記おむつ本体の外側に露出する前記吸収性パッドの外面領域に接着する第1接着面と、前記おむつ本体の外面に接着する第2接着面とを有した接着部材を含む、
請求項1に記載のおむつ。
【請求項3】
前記開口部において前記おむつ本体の外側に露出する前記吸収性パッドの外面領域に設けられた把持手段を有する、
請求項1に記載のおむつ。
【請求項4】
前記開口部の縁の少なくとも一部に設けられた接着部材と、
前記接着部材の接着面を覆う剥離シートと
を有する、
請求項1に記載のおむつ。
【請求項5】
前記開口部の縁の少なくとも一部に設けられた伸縮弾性部材を有する、
請求項1に記載のおむつ。
【請求項6】
前記伸縮弾性部材の周辺領域と前記おむつ本体とを着脱可能に接着する接着部材を有する、
請求項5に記載のおむつ。
【請求項7】
股間領域に開口部を有するおむつ本体と、
前記開口部を前記おむつ本体の内側から塞ぐ吸収性パッドと、
前記開口部を前記おむつ本体の外側から塞ぐ閉塞手段と
を備えるおむつ。
【請求項8】
前記開口部は、条状の切れ目を含んでおり、
前記閉塞手段は、前記おむつ本体の外面において、前記切れ目の近接した両縁の近傍領域にそれぞれ接着する接着部材を含む、
請求項7に記載のおむつ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−17385(P2010−17385A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−181389(P2008−181389)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(504120028)株式会社セレモ (11)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(504120028)株式会社セレモ (11)
【Fターム(参考)】
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