説明

かくし絵カードおよび同カードを備える絵本

【課題】
一見何も描かれていないように見えるが、任意の場所に描かれている図柄、すなわちかくし絵を簡単かつ明瞭に表出させることができ、電気的な手段を全く利用することなく、シンプルな構成で実現することができ、幼児、児童の知育、教育に好適に利用できるかくし絵カードおよび絵本を提供する。
【解決手段】
台紙3の上面に、透光性を有し、絵や文字よりなる図柄が表示された図柄シート4を備えるとともに、これら台紙と図柄シートとの間に外側から抜き差しできる操作シート6を備え、前記図柄シート4と、前記台紙3の上面の色をともに暗色とし、かつ前記操作シート6の上面の色を明色とし、前記操作シートが挟み込まれていない部分は図柄シートの図柄を殆ど見ることができないかくし絵を構成するが、操作シートが挟み込まれている部分の図柄シートの図柄だけが上面側から見ることができるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的回路を全く使用することなく、一見何も描かれていないように見えるカードに、ユニークな手法で絵柄、文字などの図柄、すなわちかくし絵を表示させることができるようにしたカードおよび同カードを備える絵本に関する。
【背景技術】
【0002】
幼児、児童の教育用の玩具や絵本には、知育、教育を目的として通常の状態で認識できる図柄に変化を与えるように構成したものが種々ある(例えば、特許文献1乃至3参照)。
【0003】
例えば、台紙に描いた絵に、透明シートに描いた絵を重ね合わせることによって、台紙の絵や色彩を変化させるもの(例えば、特許文献1参照)、隠蔽しようとする文字や図の上に、所要の色彩による擬似情報を重ね、有色フィルムで覆うことによって擬似情報をフィルタリングして上記文字や図を表出させるもの(例えば、特許文献2参照)、絵柄の付いた装飾部材をマジックミラーで隠蔽し、このマジックミラーの裏側に設けたバックライトを点灯させることによって装飾部材を表出させるもの(例えば、特許文献3参照)などがある。
【0004】
上述した従来技術のうち、通常は何も図柄が存在しないように見えるが、適宜の手段により、隠れていた図柄が表出する構成のものには、マジックミラーとバックライトを使用したもの(特許文献3)だけであり、電子回路および電源を設けなければならないという問題がある。
【0005】
また、バックライトを設けた部分について図柄を表出させることができるが、任意の部分だけの図柄を表出させるということはできない。
【0006】
【特許文献1】実開昭62−182800号公報(第1頁、第1〜14図)
【特許文献2】登録実用新案第3062475号公報(第1〜9頁、図1〜4)
【特許文献3】登録実用新案第3112711号公報(第1〜6頁、図1〜9)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、一見なにも描かれていないように見えるが、任意の場所に描かれている図柄、すなわちかくし絵を簡単かつ明瞭に表出させることができ、電気的な手段を全く利用することなく、シンプルな構成で実現することができ、幼児、児童の知育、教育に好適に利用できるかくし絵カードおよび絵本を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明に係るかくし絵カードは、台紙の上面に、透光性を有し、絵や文字よりなる図柄が表示された図柄シートを備えるとともに、これら台紙と図柄シートとの間に外側から抜き差しできる操作シートを備え、前記図柄シートと、前記台紙の上面の色をともに暗色とし、かつ前記操作シートの上面の色を明色とし、前記操作シートが挟み込まれていない部分は図柄シートの図柄を殆ど見ることができないかくし絵を構成するが、操作シートが挟み込まれている部分の図柄シートの図柄だけが上面側から見ることができるように構成したものとしてある。
【0009】
また前記台紙と図柄シートは、前記操作シートの挿入口を残して周辺を貼り合わせたもので構成し、さらに前記台紙を、前胴側に窓を有し、開口部を前記操作シートの挿入口とする封筒状のカード本体の後胴で構成し、上記窓に前記図柄シートを設けた構成のものとしてある。
【0010】
本発明に係る絵本は、台紙の上面に、透光性を有し、絵や文字よりなる図柄が表示された図柄シートを備えるとともに、これら台紙と図柄シートとの間に外側から抜き差しできる操作シートを備え、前記図柄シートと、前記台紙の上面の色をともに暗色とし、かつ前記操作シートの上面の色を明色とし、前記操作シートが挟み込まれていない部分は図柄シートの図柄を殆ど見ることができないかくし絵を構成するが、操作シートが挟み込まれている部分の図柄シートの図柄だけが上面側から見ることができるように構成し、前記台紙と図柄シートを、前記操作シートの挿入口を残して周辺を貼り合わせてカードを構成し、上記挿入口以外のカードの辺部のいずれかを他のカードまたは用紙と綴じ合わせて製本してなる構成のものとしてある。
【0011】
また前記台紙を、前胴側に窓を有し、開口部を前記操作シートの挿入口とする封筒状のカード本体の後胴で構成し、上記窓に前記図柄シートを設けた構成のものとしてある。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、暗色の図柄シートに描かれた図柄が、同シート自身の色と、台紙上面の暗色とで図柄を隠蔽し、この図柄をかくし絵となる。
これは、外光が図柄シートと台紙上面の暗色に吸収され、図柄シートに描かれたかくし絵の色彩が図柄シートの外側に殆ど現れなくなるという作用によるものである。
【0013】
そして、図柄シートと台紙との間に操作シートを挿入すると、外光は図柄シートを透過した後、操作シートの明色によって反射し、いわばバックライトと同様の作用により図柄シートに描かれた図柄(かくし絵)が表出して可視状態になる。
【0014】
したがって、操作シートを介在させていない状態では図柄シートの図柄はかくし絵となり、使用者には単に暗色の何も描かれていないシートに見えるが、操作シートを介在させるとその部分に描かれている図柄だけが見えるようになり、あたかも真っ暗で何も見えない場所にライトを当ててライトの照射範囲だけが見えるようになったかのようなユニークな演出を実現することができる。
【0015】
そして、操作シートを移動させることによって可視範囲を任意に移動させることができ、使用者の意思に応じて見える部分が変化するという従来のものでは実現できなかった新鮮な表現をすることができ、広い用途に多彩なバリエーションで対応することができる。
【0016】
また、図柄を表出させる手段として電子的手段や薬品などの化学的手段を全く利用しないので、極めて安全かつ簡単に使用することができ、低年齢の幼児や児童にも安心して利用させることができるという実用上の大なるメリットもある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係るかくし絵カードの実施例を添付図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。
カード本体1は側面に開口1aを有する封筒状に構成してあって、前胴部に窓2を有し、後胴部で台紙3を構成している。
前記窓2内には図柄シート4を貼設してあり、この図柄シートの裏面に絵や文字などの図柄印刷5を施してある。
【0018】
前記図柄シート4は、透光性を有する合成樹脂材よりなるシートで構成してあって、可視光線を通しにくい暗色を呈する、いわゆるスモークシート(フィルム)としてあり、前記図柄印刷5はモノクロだけでなく色彩を有する印刷とすることができる。
【0019】
また、前記台紙3の上面すなわち、カード本体1の後胴部内面にも暗色の印刷を施すかあるいは台紙そのものに暗色のものを用いてある。この台紙上面の色は、図柄シートと同系の色合いのものを採用するのが好ましい。
【0020】
そして操作シート6は、少なくとも上面に明色部分6aを有する構成としてあり、本実施例では基部に懐中電灯の絵を施し、この懐中電灯から放射される光を表す部分を明色部分6aとしてある。
【0021】
上述のように構成した本発明のかくし絵カードは、操作シート6の明色部分6aをカード本体1の開口1aから差し込み、明色部分6aを図柄シート4と台紙3との間に介在させて使用する。
【0022】
かくすると、図5に示されるように、明色部分6aが介在していない部分では外光が図柄シート4への入射、台紙での反射、反射光の図柄シートの透過の3つの時点で減衰され、殆ど表出しないが、明色部分6aを介在させると、上記台紙での反射が明色部分6aでの反射となり、反射光の光量が格段に大となり、この反射光は図柄シート4を透過して図柄印刷5を表出させる。
【0023】
したがって、明色部分6aを介在させた部分の図柄印刷5だけが使用者から視認され、あたかも暗い闇の中を懐中電灯で照らしたかのような演出を図ることができる。
【0024】
なお、上述した実施例のカードでは、カード本体を封筒状のもので構成してあるが、単に台紙と図柄シートとを重ね合わせたものや、1辺だけを綴じ合わせたものとする場合もある。
【0025】
また、図柄印刷5は図柄シート4の裏面に設けてあるが、例えば図柄を印刷した透明フィルムに、暗色のフィルムを積層したラミネートシートとする場合もある。
【0026】
図6は、上述した複数のカード本体1、1を綴じ合わせて構成した絵本7を示しており、カード本体1の開口1a以外の辺部を背側として綴じ合わせたものとしてある。
【0027】
このように、かくし絵カードを用いて絵本(ゲームブックを含む)に構成すれば、絵本の物語にあわせたかくし絵による演出が可能となり、使用者(読者)はより物語の内容を深く理解し、また楽しむことができる。
【0028】
なお、同図6では開口1aを絵本7の小口側に設けてあるが、天または地側に設ける場合もある。
また、絵本は全てのページをかくし絵カードとする必要はなく、通常の絵本のページと混在させる場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係るかくし絵カードの斜視図。
【図2】図1の断面図。
【図3】操作シートを介在させた状態を示すかくし絵カードの斜視図。
【図4】図2の断面図。
【図5】光の透過、反射の状態を示す断面図。
【図6】かくし絵カードよりなる絵本の斜視図。
【符号の説明】
【0030】
1 カード本体
1a 開口
2 窓
3 台紙
4 図柄シート
5 図柄印刷
6 操作シート
6a 明色部分
7 絵本

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台紙の上面に、透光性を有し、絵や文字よりなる図柄が表示された図柄シートを備えるとともに、これら台紙と図柄シートとの間に外側から抜き差しできる操作シートを備え、前記図柄シートと、前記台紙の上面の色をともに暗色とし、かつ前記操作シートの上面の色を明色とし、前記操作シートが挟み込まれていない部分は図柄シートの図柄を殆ど見ることができないかくし絵を構成するが、操作シートが挟み込まれている部分の図柄シートの図柄だけが上面側から見ることができるように構成してなるかくし絵カード。
【請求項2】
前記台紙と図柄シートは、前記操作シートの挿入口を残して周辺を貼り合わせたもので構成してなる請求項1に記載のかくし絵カード。
【請求項3】
前記台紙を、前胴側に窓を有し、開口部を前記操作シートの挿入口とする封筒状のカード本体の後胴で構成し、上記窓に前記図柄シートを設けてなるかくし絵カード。
【請求項4】
台紙の上面に、透光性を有し、絵や文字よりなる図柄が表示された図柄シートを備えるとともに、これら台紙と図柄シートとの間に外側から抜き差しできる操作シートを備え、前記図柄シートと、前記台紙の上面の色をともに暗色とし、かつ前記操作シートの上面の色を明色とし、前記操作シートが挟み込まれていない部分は図柄シートの図柄を殆ど見ることができないかくし絵を構成するが、操作シートが挟み込まれている部分の図柄シートの図柄だけが上面側から見ることができるように構成し、前記台紙と図柄シートを、前記操作シートの挿入口を残して周辺を貼り合わせてカードを構成し、上記挿入口以外のカードの辺部のいずれかを他のカードまたは用紙と綴じ合わせて製本してなるかくし絵カードを備える絵本。
【請求項5】
前記台紙を、前胴側に窓を有し、開口部を前記操作シートの挿入口とする封筒状のカード本体の後胴で構成し、上記窓に前記図柄シートを設けてなる請求項4に記載のかくし絵カードを備える絵本。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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