説明

かまど兼用椅子

【課題】かまどとして使用する際に、支持台から外した着脱式椅子が単独で椅子として使用可能なようにして、使用者がその着脱式椅子に座って調理できるようにし、かまどの使い勝手を大きく改善することにある。
【解決手段】互いに対向して立設された左右の側壁2を持つ支持台4と、前記左右の側壁の間に取り出し可能に収容されるグリル5と、前記グリルを前記左右の側壁の間にてそれらの側壁の上部に固定する段部2bと、前記左右の側壁の間に取り出し可能に収容されるグレーチング6と、前記グレーチングを前記左右の側壁の間にてそれらの側壁の下部に固定する段部2cと、前記左右の側壁の上方に位置する座部7aおよび、その座部に固定されるとともに前記左右の側壁の内側に前記グリルと前記グレーチングとを跨いで取り出し可能に収容される脚部7cを有する着脱式椅子7と、を具えてなるかまど兼用椅子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時等にかまどとして用い得るかまど兼用椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
災害時等にかまどとして用い得るかまど兼用椅子としては従来、例えば特許文献1記載のものが知られている。このかまど兼用椅子は、手前部と奥部と上部とに開口部を持つ箱状の支持台と、その支持台の内壁の上部と下部とに係止片で着脱可能に支持された支持材と、その支持台内に取り出し可能に収容される釜および二枚の穴あきカバー板と、その支持台上に着脱可能に取り付けられる座板とを具えており、震災時には座板を外して、支持台内から釜を取り出し、二枚の穴あきカバー板を下部と上部の支持材上にそれぞれ載せて下の穴あきカバー板をグレーチングとするとともに上の穴あきカバー板をグリルとするか、または二枚の穴あきカバー板の一枚を下部の支持材上に載せてその穴あきカバー板をグレーチングとするとともに上部の支持材で釜を支持することにより、かまどとして用いることができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3053187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のかまど兼用椅子では、かまどとして使用する際に、外した座板は脚部がないので椅子として使用できないため、使用者は中腰のままで調理をせざるを得ず、使い勝手が良くないという問題があった。
【0005】
それゆえ本発明は、かまどとして使用する際に、支持台から外した座部を単独で椅子として使用できるようにすることで、使用者が椅子に座って調理できるようにして使い勝手を良くしたかまど兼用椅子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を有利に解決するためになされたものであり、本発明のかまど兼用椅子は、互いに対向して立設された左右の側壁を持つ支持台と、前記左右の側壁の間に取り出し可能に収容されるグリルと、前記グリルを前記左右の側壁の間にてそれらの側壁の上部に固定するグリル固定手段と、前記左右の側壁の間に取り出し可能に収容されるグレーチングと、前記グレーチングを前記左右の側壁の間にてそれらの側壁の下部に固定するグレーチング固定手段と、前記左右の側壁の上方に位置する座部および、その座部に固定されるとともに前記左右の側壁の内側に前記グリルと前記グレーチングとを跨いで取り出し可能に収容される脚部を有する着脱式椅子と、を具えてなるものである。
【発明の効果】
【0007】
かかるかまど兼用椅子にあっては、支持台の左右の側壁の上方に位置する、着脱式椅子の座部に固定された脚部が、それら左右の側壁の内側にグリルとグレーチングとを跨いで取り出し可能に収容されるので、通常時は、支持台がその脚部または座部を支持することで、着脱式椅子が椅子として使用可能となっており、一方、災害時等に、かまどとして使用する際には、座部を持ち上げて脚部を支持台から引き出し、その脚部を地面等に降ろすと、その脚部が座部を支持するので、着脱式椅子が単独で椅子として使用可能となり、また支持台の左右の側壁の間にはグリルとグレーチングとが収容されているので、それらを取り出して、グレーチングを左右の側壁の間にて側壁下部にグレーチング固定手段で固定するとともに、グリルを左右の側壁の間にて側壁上部にグリル固定手段で固定することで支持台側をかまどとして使用することが可能になる。
【0008】
従って、本発明のかまど兼用椅子によれば、かまどとして使用する際に、支持台から外した着脱式椅子を単独で椅子として使用できることから、使用者がその着脱式椅子に座って調理できるので、かまどの使い勝手を大きく改善することができる。
【0009】
なお、本発明のかまど兼用椅子においては、前記グリル固定手段は、前記左右の側壁の上部に内向きに形成された段部であってもよく、また前記グレーチング固定手段は、前記左右の側壁の下部に内向きに形成された段部であっても良い。このように、別部材を用いずに側壁に段部を形成してグリルやグレーチングを支持すれば、部品点数を減らしてコストを削減できるのに加えて、高い支持強度を容易に得ることができる。
【0010】
また、本発明のかまど兼用椅子においては、前記左右の側壁の間に取り出し可能に収容される風防と、前記風防を前記左右の側壁の間にてそれらの側壁の奥部に固定する風防固定手段とをさらに具えるか、または前記左右の側壁の間に奥壁を具えても良く、このようにすれば、左右の側壁の間に風が入り込むのを防止し得て、加熱調理用の可燃物の燃焼を安定させることができる。
【0011】
さらに、本発明のかまど兼用椅子においては、前記椅子の前記脚部の下端部は、外側に広がる折り畳み式の足を有していても良く、このようにすれば、支持台から外した着脱式椅子を単独で椅子として使用する際に、着脱式椅子を安定させることができる。
【0012】
そして、本発明のかまど兼用椅子においては、前記着脱式椅子は、スツールまたはベンチであると、公園等に設置するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a),(b),(c)および(d)は、本発明のかまど兼用椅子の一実施例を示す正面図、平面図、側面図および(a)中のA−A線に沿う、風防パネルを省略した断面図である。
【図2】(a),(b),(c)および(d)は、上記実施例のかまど兼用椅子の着脱式椅子を示す正面図、平面図、側面図および脚部下端の足を示す下面図である。
【図3】(a),(b)および(c)は、上記実施例のかまど兼用椅子のグリルを示す正面図、平面図および側面図である。
【図4】(a),(b)および(c)は、上記実施例のかまど兼用椅子のグレーチングを示す正面図、平面図および側面図である。
【図5】(a)および(b)は、上記実施例のかまど兼用椅子の風防パネルを示す平面図および側面図である。
【図6】上記実施例のかまど兼用椅子をかまどとして使用する際のかまどの状態を示す、図1(d)中のB−B線に沿う断面の位置で見た説明図である。
【図7】上記実施例のかまど兼用椅子をかまどとして使用する際のかまどと着脱式椅子との使用状態を示す説明図である。
【図8】(a),(b),(c),(d)および(e)は、本発明のかまど兼用椅子の他の一実施例を示す正面図、平面図、側面図、(b)と同方向から支持台内部を見た透視図および(c)と同方向から支持台内部を見た断面図である。
【図9】(a),(b),(c)および(d)は、上記実施例のかまど兼用椅子の着脱式椅子を示す正面図、平面図、側面図および背面図である。
【図10】上記実施例のかまど兼用椅子のグリルを示す平面図である。
【図11】上記実施例のかまど兼用椅子のグレーチングを支持台内に配置した状態で示す平面図である。
【図12】(a),(b)および(c)は、上記実施例のかまど兼用椅子をかまどとして使用する際のかまどの状態を示す、図8(d)中のC−C線に沿う断面の位置で見た断面図、平面図および図8(e)と同様の位置での断面図である。
【図13】上記実施例のかまど兼用椅子をかまどとして使用する際のかまどと着脱式椅子との使用状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を実施例によって、図面に基づき詳細に説明する。
ここに、図1(a),(b),(c)および(d)は、本発明のかまど兼用椅子の一実施例を示す正面図、平面図、側面図および(a)中のA−A線に沿う、風防パネルを省略した断面図、図2(a),(b),(c)および(d)は、上記実施例のかまど兼用椅子の着脱式椅子を示す正面図、平面図、側面図および脚部下端の足を示す下面図、図3(a),(b)および(c)は、上記実施例のかまど兼用椅子のグリルを示す正面図、平面図および側面図、図4(a),(b)および(c)は、上記実施例のかまど兼用椅子のグレーチングを示す正面図、平面図および側面図、図5(a)および(b)は、上記実施例のかまど兼用椅子の風防パネルを示す平面図および側面図、図6は、上記実施例のかまど兼用椅子をかまどとして使用する際のかまどの状態を示す、図1(d)中のB−B線に沿う断面の位置で見た説明図、図7は、上記実施例のかまど兼用椅子をかまどとして使用する際のかまどと着脱式椅子との使用状態を示す説明図であり、図中符号1は、上記実施例のかまど兼用椅子を示す。
【0015】
図1に示すようにこの実施例のかまど兼用椅子1は、ここでは互いに対向するとともに互いに独立して立設された例えば擬石製の左右二つの側壁2と、それらの側壁2の下端部にそれぞれ一体的に設けられた、地面Gの下の地中に埋設される例えばコンクリート製の基礎3とを有する左右二つの支持台4と、それらの支持台4の左右の側壁2の間に取り出し可能に収容される例えばステンレス鋼製の長方形の網状のグリル5と、そのグリル5を左右の側壁2の間にてそれらの側壁2の上部に固定する、グリル固定手段としての、それらの側壁2の互いに対向する内向きの面2aの上部に形成された段部2bと、左右の側壁2の間に取り出し可能に収容されるこれも例えばステンレス鋼製の、グリル5より少し短い長方形の網状のグレーチング6と、そのグレーチング6を左右の側壁2の間にてそれらの側壁2の下部に固定する、グレーチング固定手段としての、それらの側壁2の互いに対向する内向きの面2aの下部に形成されて上側の段部2bより内側に迫り出した段部2cと、左右の側壁2の上方に位置する例えば再生木材板製の座部7aおよび、その座部7aに例えば角型鋼管製の枠状フレーム7bを介して固定されるとともに左右の側壁2の内側にグリル5とグレーチング6とを概ね跨いで取り出し可能に収容される例えば角型鋼管製の四本の脚部7cを有するベンチ型の着脱式椅子7とを具えている。
【0016】
ここで、左右の側壁2の互いに対向する内向きの面2aの、側壁2の手前(正面)向きの面と奥(背面)向きの面とにそれぞれ隣接する位置には、着脱式椅子7の上記四本の脚部7cを取り出し可能に収容するために、図1(a),(d)に示すように、各々側壁2の上側の段部2bから下側の段部2cまで上下方向に延在するように二本の縦溝部2dが形成されている。
【0017】
また、グリル5は、長手方向両端部に概略グレーチング6の厚さに等しい高さで平面形状がコ字状の脚部5aを設けられるとともに、それらの脚部5aの内側に網のない部分5bを設けられ、図1(a),(d)に示すように、グリル5とグレーチング6とを左右の側壁2の間に収容する際には、グリル5を裏返して脚部5aが上向きになるように水平にし、グリル5の上にグレーチング6を水平に重ねるとともに、グレーチング6よりも両側に突き出たグリル5の両端部の網のない部分5bに、着脱式椅子7の左右端部のそれぞれの二本の脚部7cを挿通する。これにより着脱式椅子7の四本の脚部7cは、概略グリル5とグレーチング6とを跨いだ状態で左右の側壁2の二本の縦溝部2d内に収容され、それらの脚部7cの下端は、下側の段部2cと同じ高さの、縦溝部2dの下端部に支持される。
【0018】
一方、着脱式椅子7の上記四本の脚部7cは各々、図2(c),(d)に示すように、ヒンジ7dでそれらの脚部7cの下端部に後端部を回動可能に結合された折りたたみ式の足7eを有しており、これらの足7eは、脚部7cを側壁2の縦溝部2d内に収容する際には図中破線で示すように脚部7cに沿わせて折り畳み、着脱式椅子7を独立して使用する際には図中実線で示すように外側に回して広げて用いる。
【0019】
この実施例のかまど兼用椅子1はさらに、風防としての金属製の概略長方形状の風防パネル8と、その風防パネル8を左右の側壁2の間にてそれらの側壁2の奥部に固定する、風防固定手段としての、左右の側壁2に二本ずつ形成された上記縦溝部2dとを具え、風防パネル8はその長手方向両端部に、着脱式椅子7の脚部7cとの干渉を避けるための切り欠き部8aを形成されており、この風防パネル8を左右の側壁2の間に収容する際には、グレーチング6の上に風防パネル8を水平に重ねて、着脱式椅子7の枠状フレーム7bとグレーチング6との間に配置する。この時、着脱式椅子7の脚部7cは、風防パネル8の切り欠き部8a内に位置して風防パネル8と掛合し、風防パネル8の抜け出しを防止する。なお、グレーチング6とグリル5との何れかに一方にも、他方の網目と係合する図示しない突起が設けられており、その掛合によりグレーチング6の抜け出しを防止する。
【0020】
かかる実施例のかまど兼用椅子1にあっては、左右の支持台4の側壁2の上方に位置する、着脱式椅子7の座部7aに固定された、着脱式椅子7の脚部7cが、それら左右の側壁2の内側にグリル5とグレーチング6とを跨いで取り出し可能に収容されるので、通常時は、図1に示すように、支持台4がその脚部7cを支持することで、着脱式椅子7がベンチとして使用可能となっており、一方、災害時等にかまどとして使用する際には、座部7aを持ち上げて脚部7cを支持台4から引き出し、その脚部7cを地面等に降ろすと、図2に示すように、その脚部7cが座部7aを支持するので、着脱式椅子7が単独でベンチとして使用可能となり、また左右の支持台4の側壁2の間には、図1(a),(d)に示すように、グリル5とグレーチング6とが収容されているので、それらを取り出して、図6に示すように、グレーチング6を左右の側壁2の間にて側壁2の下部に段部2cで掛止固定するとともに、グリル5を左右の側壁2の間にて側壁2の上部に段部2bで掛止固定し、さらに左右の支持台4の側壁2の奥側の縦溝部2dの奥側の内壁面と、グリル5およびグレーチング6の奥側の外面との間に風防パネル8を立てて配置することで、支持台4側をかまどとして使用することが可能になり、グリル5の上に鍋Pを載せるとともに、グレーチング6の上に薪や炭等の可燃物を置いて燃やすことで、鍋P内の食材を加熱調理することができる。
【0021】
従って、この実施例のかまど兼用椅子1によれば、図7に示すように、支持台4側をかまどとして使用する際に、支持台4から外した着脱式椅子7を単独でベンチとして使用できることから、使用者がその着脱式椅子7に座って調理できるので、かまどの使い勝手を大きく改善することができる。
【0022】
しかも、風防パネル8を具えているので、左右の側壁2の間に風が入り込むのを防止し得て、加熱調理用の可燃物の燃焼を安定させることができる。また、足7eを具えているので、多くの人が座っても着脱式椅子7を安定させることができる。
【0023】
図8(a),(b),(c),(d)および(e)は、本発明のかまど兼用椅子の他の一実施例を示す正面図、平面図、側面図、(b)と同方向から支持台内部を見た透視図および(c)と同方向から支持台内部を見た断面図、図9(a),(b),(c)および(d)は、上記実施例のかまど兼用椅子の着脱式椅子を示す正面図、平面図、側面図および背面図、図10は、上記実施例のかまど兼用椅子のグリルを示す平面図、図11は、上記実施例のかまど兼用椅子のグレーチングを支持台内に配置した状態で示す平面図、図12(a),(b)および(c)は、上記実施例のかまど兼用椅子をかまどとして使用する際のかまどの状態を示す、図8(d)中のC−C線に沿う断面の位置で見た断面図、平面図および図8(e)と同様の位置での断面図、図13は、上記実施例のかまど兼用椅子をかまどとして使用する際のかまどと着脱式椅子との使用状態を示す説明図であり、図中符号11は、上記実施例のかまど兼用椅子を示す。
【0024】
図8に示すように、この実施例のかまど兼用椅子11は、ここでは互いに対向するとともに互いに一体に形成されて立設された例えば擬石製の左右二つの側壁12と、それらの側壁12の下端部に一体的に設けられた、地面Gの下の地中に埋設される例えばコンクリート製の基礎13とを有する一つの支持台14と、その支持台14の左右の側壁12の間に取り出し可能に収容される例えば鋳鋼製の五徳状のグリル15と、そのグリル15を左右の側壁12の間にてそれらの側壁12の上部に固定する、グリル固定手段としての、それらの側壁12の互いに対向する内向きの面12aの上部に形成された段部12bと、左右の側壁12の間に取り出し可能に収容されるこれも例えば鋳鋼製の、長方形の網状のグレーチング16と、そのグレーチング16を左右の側壁12の間にてそれらの側壁12の下部に固定する、グレーチング固定手段としての、それらの側壁12の互いに対向する内向きの面12aの下部に形成されて上側の段部12bより内側に迫り出した段部12cと、左右の側壁12の上方に位置する例えば再生木材板製の座部17aおよび、その座部17aに例えば角型鋼管製の枠状フレーム17bを介して固定されるとともに左右の側壁12の内側にグリル15とグレーチング16とを跨いで取り出し可能に収容される例えば角型鋼管製の四本の脚部17cを有するスツール型の着脱式椅子17とを具えている。
【0025】
ここで、グリル15は、図10および図12(b)に示すように、直径210mm(7L)の寸胴鍋と、直径400mm(45L)の寸胴鍋との何れも載置可能なように放射状に延在する三本の爪15aを設けられており、図8(d),(e)に示すように、グリル15とグレーチング16とを左右の側壁12の間に収容する際には、グリル15とグレーチング16とを重ねるとともに斜めにして、着脱式椅子17の四本の脚部7cの間に配置する。これにより着脱式椅子17の四本の脚部17cは、グリル15とグレーチング16とを跨いだ状態で左右の側壁12の間に収容され、それらの脚部17cの下端は、下側の段部12cよりも低いかまど底部12dに支持される。
【0026】
一方、着脱式椅子17の上記四本の脚部17cのうち手前側の二本には、図9(a),(d)に示すように、平常時から注意を促すために災害時にかまどになる旨のサインが正面に表示されるとともに、上方から見てコ字状に両側部を折り曲げられた表示板17dが設けられており、この表示板17dは、脚部17cを左右の側壁12の間に収容する際には図8(a)に示すように、左右の側壁12の間の手前側の開口部を内側から閉鎖する蓋となる。
【0027】
この実施例のかまど兼用椅子11はさらに、支持台14の左右の側壁12の間にそれらの側壁12と一体に風除けのための奥壁18を具えている。
【0028】
かかる実施例のかまど兼用椅子11にあっては、支持台14の左右の側壁12の上方に位置する、着脱式椅子17の座部17aに固定された、着脱式椅子17の脚部17cが、それら左右の側壁12の内側にグリル15とグレーチング16とを跨いで取り出し可能に収容されるので、通常時は、図8に示すように、支持台14がその脚部17cを支持することで、着脱式椅子17がスツールとして使用可能となっており、一方、災害時等にかまどとして使用する際には、座部17aを持ち上げて脚部17cを支持台14から引き出し、その脚部17cを地面等に降ろすと、図9に示すように、その脚部17cが座部17aを支持するので、着脱式椅子17が単独でスツールとして使用可能となり、また支持台14の左右の側壁12の間には、図8(d),(e)に示すように、グリル15とグレーチング16とが収容されているので、それらを取り出して、図12に示すように、グレーチング16を左右の側壁12の間にて側壁12の下部に段部12cで掛止固定するとともに、グリル15を左右の側壁12の間にて側壁12の上部に段部12bで掛止固定し、さらに左右の側壁12間の奥側は奥壁18で覆われているので、支持台14側をかまどとして使用することが可能になり、グリル15の上に鍋Pを載せるとともに、グレーチング16の上に薪や炭等の燃焼物を置いて燃やすことで、鍋P内の食材を加熱調理することができる。
【0029】
従って、この実施例のかまど兼用椅子11によっても、図13に示すように、支持台14側をかまどとして使用する際に、支持台14から外した着脱式椅子17を単独でスツールとして使用できることから、使用者がその着脱式椅子17に座って調理できるので、かまどの使い勝手を大きく改善することができる。
【0030】
しかも、奥壁18を具えているので、左右の側壁12の間に風が入り込むのを防止し得て、加熱調理用の可燃物の燃焼を安定させることができる。
【0031】
以上、図示例に基づき説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更することができるものであり、例えば、支持台、着脱式椅子、グリル、グレーチングおよび風防の材質や形状は、所用に応じて適宜変更しても良い。
【0032】
また、着脱式椅子は、ベンチやスツール以外のもの、あるいは背凭れ付きのものであっても良く、グリル固定手段やグレーチング固定手段は、グリルやグレーチングに例えば折り畳み可能に設けた脚部でも良い。
【0033】
さらに、通常時の着脱式椅子の支持は、座部またはそれを脚部に結合するフレームを支持台の上端面で支持するようにしても良く、あるいは支持台の内向きの壁面と脚部とを密接させて、脚部の倒れ防止を図っても良い。
【0034】
そして、スツール型の着脱式椅子17の脚部にも、折り畳み式の足7eを設けても良い。
【産業上の利用可能性】
【0035】
かくして本発明のかまど兼用椅子によれば、かまどとして使用する際に、支持台から外した着脱式椅子を単独で椅子として使用できることから、使用者がその着脱式椅子に座って調理できるので、かまどの使い勝手を大きく改善することができる。
【符号の説明】
【0036】
1,11 かまど兼用椅子
2,12 側壁
2a,12a 内向きの面
2b,12b 上側の段部
2c,12c 下側の段部
2d 縦溝部
3,13 基礎
4,14 支持台
5,15 グリル
5a 脚部
5b 網のない部分
6,16 グレーチング
7,17 着脱式椅子
7a 座部
7b フレーム
7c 脚部
7d ヒンジ
7e 足
8 風防パネル
8a 切り欠き部
12d かまど底部
15a 爪
17d 表示板
18 側板部材
G 地面
P 鍋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向して立設された左右の側壁を持つ支持台と、
前記左右の側壁の間に取り出し可能に収容されるグリルと、
前記グリルを前記左右の側壁の間にてそれらの側壁の上部に固定するグリル固定手段と、
前記左右の側壁の間に取り出し可能に収容されるグレーチングと、
前記グレーチングを前記左右の側壁の間にてそれらの側壁の下部に固定するグレーチング固定手段と、
前記左右の側壁の上方に位置する座部および、その座部に固定されるとともに前記左右の側壁の内側に前記グリルと前記グレーチングとを跨いで取り出し可能に収容される脚部を有する着脱式椅子と、
を具えてなる、かまど兼用椅子。
【請求項2】
前記グリル固定手段は、前記左右の側壁の上部に内向きに形成された段部である、請求項1に記載のかまど兼用椅子。
【請求項3】
前記グレーチング固定手段は、前記左右の側壁の下部に内向きに形成された段部である、請求項1または2に記載のかまど兼用椅子。
【請求項4】
前記左右の側壁の間に取り出し可能に収容される風防と、
前記風防を前記左右の側壁の間にてそれらの側壁の奥部に固定する風防固定手段と、
をさらに具える、請求項1〜3のいずれかに記載のかまど兼用椅子。
【請求項5】
前記左右の側壁の間に奥壁を具える、請求項1〜3のいずれかに記載のかまど兼用椅子。
【請求項6】
前記椅子の前記脚部の下端部は、外側に広がる折り畳み式の足を有する、請求項1〜5のいずれかに記載のかまど兼用椅子。
【請求項7】
前記着脱式椅子は、スツールまたはベンチである、請求項1〜6のいずれかに記載のかまど兼用椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−148596(P2009−148596A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49602(P2009−49602)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【基礎とした実用新案登録】実用新案登録第3132344号
【原出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(391004919)株式会社コトブキ (27)
【Fターム(参考)】