説明

きのこの根切り装置

【課題】
子実体が多数集合して株状になっているぶなしめじ(ヒラタケ)等のきのこに適応できて、不要となる石突の部分を切断する際、この切断部から雑菌が子実体内に侵入する危険性を小にするため、石突の切断に際し、人手を介すことなく自動で根を切断できるきのこの根切り装置を提供する。
【解決手段】
培養瓶26から収穫した子実体16の株を、石突16b部分を露出させて搬送する搬送テーブル2と、搬送テーブル2の上部に対向してきのこにおける子実体16の菌傘16aを石突16b方向へ押圧する押さえベルト8と、搬送テーブル2の下部に対向して石突16bの基部を切断する切り刃7を備え、搬送テーブル2にて搬送される子実体16が押さえベルト8によって菌傘16a側から押さえられつつ切り刃7によって石突16b部分を除去されるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栽培を終えたきのこを出荷する際、不要となる根の部分、すなわち子実体の下方部分となる硬くて通常では食さない石突の部分を切断するためのきのこの根切り装置に関し、より詳しくは、培養瓶にて人工栽培されるぶなしめじ(ヒラタケ)等、子実体が多数集合して株状になっているきのこに適応できるきのこの根切り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、栽培を終えたぶなしめじは、収穫の後に不要となる根の部分すなわち石突の部分を切り取って子実体の部分だけを出荷するのが一般的であり、また、この石突の部分は人手によって切り取られていた。
【0003】
そして、根の部分を切り取る際は包丁等の切断具を用いて行っているが、例えば作業者の手に雑菌が付着していた場合は、手に付着する雑菌が根の切り取り作業の中で包丁の刃に転移し、さらに包丁の刃から子実体の石突が切り取られた後の切断面に転移して雑菌が子実体内に侵入する恐れがあり、また、雑菌が進入する確率はこの石突の切り取り作業中が非常に大であった。
【0004】
このため、根の部分となる石突を自動で切断できる根切り装置の開発が望まれていたが、現状では、ぶなしめじ等のように子実体が多数集合して株状になっているきのこに適応できる根切り装置はなく、子実体が一本ずつ収穫されるきのこに適応する根切り装置(例えば、特許文献1参照)が提案されているだけである。
【0005】
【特許文献1】特開平7−170959号公報(第1〜4頁、図1〜3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、子実体が多数集合して株状になっているぶなしめじ(ヒラタケ)等のきのこに適応できて、不要となる根の部分すなわち石突の部分を切断する際、この切断部から雑菌が子実体内に侵入する危険性を小にするため、石突の切断に際し、人手を介すことなく自動で根の部分すなわち石突の部分を切断できるきのこの根切り装置を提供できるようにした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明に係るきのこの根切り装置は、培養瓶にて栽培されたきのこの子実体の株から石突部分を切断する根切り装置において、培養瓶から収穫した子実体の株を、少なくとも石突部分を露出させて搬送する搬送機構と、この搬送機構に対向し、菌傘を石突方向へ押圧する押さえ機構と、前記搬送機構の押さえ機構とは反対側から対向する切断部材とを備え、前記搬送機構にて搬送される子実体が前記押さえ機構によって菌傘側から押さえられつつ前記切断部材によって石突部分を除去されるように構成したものとしてある。
【0008】
また前記押さえ機構は、前記搬送機構と対向する面がきのこの搬送方向と同じ方向に駆動されるエンドレスベルトを備え、このエンドレスベルトを柔軟性を有する素材で構成したものとしてある。
【0009】
また前記搬送機構は、培養瓶から取り出した子実体の株がセットされる開口を有する搬送用テーブルを備え、この搬送用テーブルの開口は、子実体の石突部分を搬送用テーブルの下方に臨ませ、かつその上縁にて子実体を支持するように構成したものとしてある。
【0010】
さらに、培養瓶にて栽培されたきのこの子実体の株から石突部分を切断する根切り装置において、筒状部の上部に外向きフランジを有するキャップ体の前記筒状部が予め開口に装着された培養瓶にて栽培したきのこを、培養瓶ごと搬送する搬送機構と、搬送される培養瓶からきのこの子実体の株を、前記キャップ体の外向きフランジを上方へ案内する上り斜面にて培養瓶から取り外し、キャップ体の開口下部から石突部分を露出させるリフト部と、このリフト部に対向し、菌傘を石突方向へ押圧する押さえ機構と、前記リフト部の押さえ機構とは反対側から対向する切断部材とを備え、前記搬送機構にて搬送される子実体が前記リフト部においてキャップ体ごと培養瓶から取り外され、リフト部上を搬送されて押さえ機構によって菌傘側から押さえられつつ前記切断部材によって石突部分を除去されるように構成したものとしてある。
【0011】
また前記押さえ機構は、前記リフト部と対向する面がこのリフト部を移動するきのこの搬送方向と同じ方向に駆動されるエンドレスベルトを備え、このエンドレスベルトを柔軟性を有する素材で構成したものとしてある。
【0012】
また前記搬送部が、培養瓶をコンテナに収容した状態でコンテナごと搬送できるように構成したものとしてある。
【発明の効果】
【0013】
本発明のきのこの根切り装置によれば、きのこの出荷に際し不要となる根の部分すなわち石突の部分を人手ではなく機械によって自動で切断しているので、従来のように、石突を切断する際に作業者の手に付着していた雑菌が包丁の刃を介して石突を切断した子実体の切断面に転移し雑菌が子実体内に侵入する恐れを大に低減できる。
【0014】
そして、培養瓶から収穫したきのこを搬送用のテーブルにセットしてきのこの石突部分を切断するきのこの根切り装置における第一の形態のものは、きのこにおける根の部分すなわち石突の部分が搬送途中で切断用の切り刃により自動で切断され、また搬送用のテーブル上に残る子実体が子実体の回収部、例えば回収容器への投入場所まで自動で搬送されるようになっているので、きのこの出荷に際し不要となる根の部分すなわち石突の部分を効率よく切断でき、かつ雑菌が子実体内へ侵入する確立を大に低減できる。
【0015】
さらに、瓶口に予めキャップ体を装着した培養瓶にて栽培したきのこを培養瓶ごと搬送できるようにして、搬送途中でキャップ体の取り外しとともに培養瓶の外部に露出させたきのこの石突部分を切断するきのこの根切り装置における第二の形態のものは、培養瓶が搬送されて行く途中で、子実体がリフト部によりキャップ体ごと培養瓶から取り外されて、これにより培養瓶の外に臨む根の部分すなわち石突の部分が搬送途中で切断用の切り刃により自動で切断されるようになっているので、例えば石突の部分が切断されてキャップ体とともにリフト部上に残る子実体を自動で子実体回収部に回収できるようにすれば、この第二の形態の根切り装置を、きのこの収穫を終えた培養瓶の内部に残る培基を培養瓶から取り出して培養瓶を洗浄するラインに組み入れることもでき、したがってきのこの収穫から培養瓶の洗浄までを自動化できて、きのこの収穫また収穫後の作業における作業効率を大に向上させることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明のきのこの根切り装置を添付図面に基づいて説明する。
【0017】
図1から図3は、培養瓶26(図9参照)から収穫したきのこ、すなわち子実体16(図10参照)の株を搬送機構に有する搬送テーブル2にセットして搬送しながら株の石突16b(図10参照)における基部を切断部材で切断する第一の形態におけるきのこの根切り装置1の具体例を示している。
【0018】
図5から図7は、筒状部27の上部に外向きフランジ27aを有するキャップ体を瓶口に装着した培養瓶26(図11参照)にて栽培したきのこの培養瓶26をコンテナ25(図11参照)に収容し、このコンテナ25に収容した培養瓶26を搬送機構で搬送しながらリフト部でキャップ体の取り外しとともにきのこの石突16b(図10参照)における基部を培養瓶26の外部に露出させて石突16bの基部を切断部材で切断する第二の形態におけるきのこの根切り装置1aの具体例を示している。
【0019】
前記第一の形態におけるきのこの根切り装置1の具体例は、培養瓶26から収穫したきのこ、すなわち子実体16の株を搬送するための駆動および従動からなるプーリ5に架設している搬送ベルト4に支持具3を介して搬送テーブル2を取り付けてなる搬送機構と、搬送機構における搬送テーブル2の上部に対向してきのこにおける子実体16の菌傘16aを石突16b方向へ押圧する駆動および従動からなる各ローラ9に押さえベルト8を架設してなる押さえ機構と、搬送機構における搬送テーブル2の下部に対向して搬送テーブル2の下方に臨むきのこにおける石突16bの基部を切断する切断部材たる切り刃7で構成している。
【0020】
前記搬送機構における搬送テーブル2にはセット開口2aを形成していて、培養瓶26から収穫したきのこは、きのこにおける石突16bの部分をセット開口2aに挿通させて搬送テーブル2の下方に臨ませ、また石突16bの上方に続くきのこにおける子実体16の基部をセット開口2aの上縁にて支持するように構成している。
【0021】
また前記搬送機構における搬送ベルト4およびプーリ5は、駆動ベルト6a、回転軸5aを介してプーリ5に伝達されるモータ6回転を確実に搬送ベルト4に伝達するため、搬送ベルト4を金属あるいは樹脂からなるチェーンもしくはタイミングベルトで、またプーリ5を金属あるいは樹脂からなるギアで構成する場合もある。
【0022】
そして、実施例では、きのこの搬送方向に対し切り刃7の前側に位置するプーリ5を従動用に、切り刃7の後ろ側に位置するプーリ5を駆動用にしていて、このプーリ5を、回転軸5a、駆動ベルト6aを介してモータ6によって駆動している。
【0023】
さらには、実施例では示していないが、前述するように搬送ベルト4で搬送テーブル2をそれぞれのローラ5間に回転移動させるのではなく、搬送テーブル2をねじ棒に螺合させたナットに接続し、このねじ棒の回転によって同ねじ棒に螺合するナットに接続した搬送テーブル2を切断部材たる切り刃7方向に進退移動させる場合もある。
【0024】
前記押さえ機構における駆動および従動からなる各ローラ9は、搬送されるきのこにおける子実体16の上方に、かつきのこの搬送方向に対し一方のローラ9を切り刃7の前側に、他方のローラ9を切り刃7の後側にそれぞれ配設している。
【0025】
このローラ9は、子実体16の菌傘16aを石突16b方向へ押圧する押さえ部材たる押さえベルト8の幅よりも大なる幅のローラを回転軸9aに取り付けてこのローラ9に押さえベルト8を架設しているが、押さえベルト8の幅よりも小なる幅のローラではなくプーリを回転軸9aに適当な間隔を空けて複数平行に配設してこれらプーリに押さえベルト8を架設する場合もある。
【0026】
またローラ9に架設している押さえベルト8がローラ9上でスリップしないようにローラ9表面を凸凹状にしたり、ローラ9に変えて表面が凸凹状の断面略円形の回転体を用いたりする場合もある。
【0027】
実施例では、きのこの搬送方向に対し切り刃7の前側に位置するローラ9を従動用に、切り刃7の後ろ側に位置するローラ9を駆動用にしていて、このローラ9を、回転軸9a、駆動ベルト10aを介してモータ10によって駆動していて、これらローラ9に架設している押さえベルト8を前記搬送機構におけるきのこの搬送テーブル2と同じ速度で移動させている。
【0028】
また前記押さえ機構における押さえベルト8は、きのこにおける子実体16の径よりも幅広で、かつ子実体16の菌傘16aを石突16b方向へ押圧するように上方より押さえていて、同子実体16を押さえる際に優しく押さえられるよう柔軟性を有する素材、例えばウレタン素材等をエンドレスベルト状に形成したものである。
【0029】
そして実施例では押さえベルト8を押え部材として示しているが、子実体16の菌傘16aを石突16b方向へ押圧できるように構成しているものであれば、押さえベルト8以外にも、プレート体、子実体16に被着できる子実体16上において逆椀状になる被着体等を用いて構成する場合もある。
【0030】
前記切断部材たる切り刃7は、きのこにおける石突16bの略基部における径よりも幅広の板状刃をきのこが搬送されてくる方向に対向させ、かつきのこの搬送テーブル2下面に対して略平行に固定して、搬送しているきのこにおける石突16bの基部を切り刃7に押し当ててこの石突16bの部分を切断したり、あるいは鋸歯を有する刃を長手方向に往復動させて、搬送しているきのこにおける石突16bの基部を前記往復動する刃に押し当てたりしてきのこにおける石突16bの部分を切断するようにしている。
【0031】
この第一の形態におけるきのこの根切り装置1の動作を図4にて説明する。
培養瓶26から収穫したきのこを、きのこにおける石突16bの部分を搬送テーブル2のセット開口2aに挿通させて搬送テーブル2の下方に臨ませ、また石突16bの上方に続くきのこにおける子実体16の基部をセット開口2aの上縁にて支持してきのこを搬送させると、きのこにおける子実体16の菌傘16aが押さえベルト8の下向き外周面によって上方より押さえられつつきのこの搬送とともにきのこにおける石突16bの基部が切り刃7に押し当てられて同きのこにおける石突16bの部分と子実体16の部分とが切り離され、次いで、搬送テーブル2のセット開口2a上に残る子実体16を子実体回収部すなわち搬送テーブル2が反転して戻る根切り装置1の端部からガイド板11を介して回収容器12に落下させ、また切り刃7により切断された石突16bを、ガイド板13で構成するシュートを介して回収容器14に自然落下させて回収している。
【0032】
前記第二の形態におけるきのこの根切り装置1aの具体例は、筒状部27の上部に外向きフランジ27aを有するキャップ体を瓶口に装着した培養瓶26(図11参照)にて栽培したきのこの培養瓶26をコンテナ25(図11参照)に収容して搬送する搬送機構と、搬送される培養瓶26からきのこの子実体16の株を、前記キャップ体の外向きフランジ27aを上方へ案内するリフトプレート20の上り斜面22にて培養瓶26から取り外し、キャップ体における筒状部27の開口下部からきのこにおける石突16bの部分を露出させるリフト部と、このリフト部におけるリフトプレート20の上部に対向してきのこにおける子実体16の菌傘16aを石突16b方向へ押圧する駆動および従動からなる各ローラ9に押さえベルト8を架設してなる押さえ機構と、押さえ機構におけるリフトプレート20の下部に対向して培養瓶26の瓶口上方外部に臨むきのこにおける石突16bの基部を切断する切断部材たる切り刃7で構成している。
【0033】
前記搬送機構は、筒状部27の上部に外向きフランジ27aを有するキャップ体を瓶口に装着した培養瓶26を収容するコンテナ25をセットする搬送テーブル18と、搬送テーブル18上の前記コンテナ25をリフト部におけるリフトプレート20の先端21方向に押し進める駆動部19により進退移動する搬送アーム17からなっている。
【0034】
また搬送テーブル18上におけるコンテナ25の搬送方向両側部にはテーブル18面よりも少し高い段部18aを設けていて、コンテナ25が同コンテナ25の幅よりも少し広い幅の搬送テーブル18上における前記段部18aの内側にセットされて搬送アーム17により押し進められた際、コンテナ25が曲がることなく搬送テーブル18上を進行できるようにしている。
【0035】
さらに前記搬送機構には搬送テーブル18に続けて軸23aに回転自在に支持しているローラ23を設けていて、搬送アーム17により押し進められたコンテナ25が先に押し進められているコンテナ25を、例えば次の工程に容易に押し進めることができるようにしている。
【0036】
前記リフト部におけるリフトプレート20は、前記キャップ体の外向きフランジ27aよりも下方に位置する先端21に続けて上り斜面22を配設しているので、コンテナ25の進行とともに、このコンテナ25内の培養瓶26の瓶口に装着しているキャップ体における外向きフランジ27aの下方にリフトプレート20の先端21が進入し、かつこの先端21に続く上り斜面22によって外向きフランジ27aをこの下部に接触するリフトプレート20の上り斜面22で持ち上げてキャップ体を培養瓶26から取り外し、キャップ体における筒状部27の開口下部からきのこにおける石突16bの部分を露出させるようにしている。
【0037】
また、少なくともリフトプレート20における先端21から切断部における切り刃7の上方部分に至る間は、リフトプレート20における先端21、上り斜面22によって培養瓶26の瓶口に装着していたキャップ体とともに持ち上げられたきのこの石突16a部分が通過できるようにスリット22aを設けている。
【0038】
前記押さえ機構における駆動および従動からなる各ローラ9は、搬送されるきのこにおける子実体16の上方に、かつきのこの搬送方向に対し一方のローラ9を切り刃7の前側に、他方のローラ9を切り刃7の後側にそれぞれ配設している。
【0039】
このローラ9は、押さえベルト8の幅よりも大なる幅のローラを回転軸9aに取り付けてこのローラ9に押さえベルト8を架設しているが、押さえベルト8の幅よりも小なる幅のローラではなくプーリを回転軸9aに適当な間隔を空けて複数平行に配設してこれらプーリに押さえベルト8を架設する場合もある。
【0040】
またローラ9に架設している押さえベルト8がローラ9上でスリップしないようにローラ9表面を凸凹状にしたり、ローラ9に変えて表面が凸凹状の断面略円形の回転体を用いたりする場合もある。
【0041】
実施例では、きのこの搬送方向に対し切り刃7の前側に位置するローラ9を従動用に、切り刃7の後ろ側に位置するローラ9を駆動用にしていて、このローラ9を、回転軸9a、駆動ベルト10aを介してモータ10によって駆動していて、これらローラ9に架設している押さえベルト8を前記搬送機構における搬送アーム17と同じ速度で移動させている。
【0042】
また前記押さえ機構における押さえベルト8は、きのこにおける子実体16の径よりも幅広で、かつ子実体16の菌傘16aを石突16b方向へ押圧するように上方より押さえていて、同子実体16を押さえる際に優しく押さえられるよう柔軟性を有する素材、例えばウレタン素材等をエンドレスベルト状に形成したものである。
【0043】
そして実施例では押さえベルト8を押え部材として示しているが、子実体16の菌傘16aを石突16b方向へ押圧できるように構成しているものであれば、
押さえベルト8以外にも、プレート体、子実体16に被着できる子実体16上において逆椀状になる被着体等を用いて構成する場合もある。
【0044】
前記切断部材たる切り刃7は、きのこにおける石突16bの略基部における径よりも幅広の板状刃をきのこが搬送されてくる方向に対向させ、かつリフトプレート20下面に対して略平行に固定して、搬送しているきのこにおける石突16bの基部を切り刃7に押し当ててこの石突16bの部分を切断したり、あるいは鋸歯を有する刃を長手方向に往復動させて、搬送しているきのこにおける石突16bの基部を前記往復動する刃に押し当ててきのこにおける石突16bの部分を切断するようにしている。
【0045】
実施例に示している第二の形態におけるきのこの根切り装置1aでは、切断部の切り刃7で石突16bの部分が切断されてリフトプレート20上にキャップ体とともに残る子実体16の回収部の図示を省略しているが、この子実体16は、例えば所定の回収機構あるいは回収装置によってリフトプレート20上からキャップ体とともに他の回収ラインに分岐させたり、あるいは人手によって回収したりしている。
【0046】
また、切断部の切り刃7で石突16bの部分が切断されて内部に石突16bを残し、かつコンテナ25内に収容されまた状態で搬送機構のローラ23上に残る培養瓶25の回収部の図示を省略しているが、この培養瓶25は、例えば後段に続く培養瓶25の内部に残る培基を同培養瓶25から取り出して培養瓶25を洗浄する自動ラインに搬送したり、あるいは人手によって回収したりしている。
【0047】
この第二の形態におけるきのこの根切り装置1aの動作を図8にて説明する。
筒状部27の上部に外向きフランジ27aを有するキャップ体を瓶口に装着した培養瓶26にて栽培したきのこの培養瓶26を収容するコンテナ25を搬送機構における搬送テーブル18上にセットして搬送アーム17によって押し進める(搬送する)と、リフト部におけるリフトプレート20の先端部21がコンテナ25内の培養瓶26の瓶口に装着しているキャップ体における外向きフランジ27aの下方に進入し、この先端21に続く上り斜面22の上面が外向きフランジ27aの下部に接触するとともに、同外向きフランジ27aを培養瓶26の上方に案内してキャップ体を培養瓶26から取り外し、かつキャップ体における筒状部27の開口下部からきのこにおける石突16bの部分を露出させ、次いで、きのこにおける子実体16の菌傘16aが押さえベルト8の下向き外周面によって上方より押さえられつつきのこの搬送とともにきのこにおける石突16bの基部がリフトプレート20下方の切り刃7に押し当てられ同きのこにおける石突16bの部分と子実体16の部分とが切り離され、次いで、リフトプレート20の上に残るキャップ体および子実体16、また搬送部に残る内部に石突16bを残した培養瓶26を収容しているコンテナ25を自動もしくは手動で所定の回収部に回収したり、後段の処理ラインに搬送したりしている。
【0048】
実施例における図中の符号15、24は、装置の設置場所を変更する際の移動手段たるキャスタ9である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係るきのこの根切り装置の第一の形態を示す構造図。
【図2】図1中の矢印A視における装置上方部分の一部における根切り機構部の押さえ部を省いた状態を示す平面図。
【図3】図1中における矢印B視の装置上方部分の一部を示す正面図。
【図4】第一の形態における根切り装置の動作状態を示す図。
【図5】本発明に係るきのこの根切り装置の第二の形態を示す構造図。
【図6】図5中の矢印C視における装置上方部分の一部における根切り機構部の押さえ部を省いた状態を示す平面図。
【図7】図5中における矢印D視の装置上方部分の一部を示す正面図。
【図8】第二の形態における根切り装置の動作状態を示す図。
【図9】きのこを取り出す前の培養瓶を示す図。
【図10】ぶなしめじの株を示す側面図。
【図11】きのこの根切り処理を行う培養瓶を収容しているコンテナを示す図。
【図12】図8中におけるきのこの根切り処理を終えた状態を示す拡大図。
【符号の説明】
【0050】
1 根切り装置
1a 根切り装置
2 搬送テーブル
2a セット開口
3 支持具
4 搬送ベルト
5 プーリ
5a 回転軸
6 モータ
6a 駆動ベルト
7 切り刃
8 押さえベルト
9 ローラ
9a 回転軸
10 モータ
10a 駆動ベルト
11 ガイド板
12 回収容器
13 ガイド板
14 回収容器
15 キャスタ
16 子実体
16a 菌傘
16b 石突
17 搬送アーム
18 搬送テーブル
18a 段部
19 駆動部
20 リフトプレート
21 先端
22 上り斜面
22a スリット
23 ローラ
23a 軸
24 キャスタ
25 コンテナ
26 培養瓶
27 筒状部
27a 外向きフランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
培養瓶にて栽培されたきのこの子実体の株から石突部分を切断する根切り装置において、培養瓶から収穫した子実体の株を、少なくとも石突部分を露出させて搬送する搬送機構と、この搬送機構に対向し、菌傘を石突方向へ押圧する押さえ機構と、前記搬送機構の押さえ機構とは反対側から対向する切断部材とを備え、前記搬送機構にて搬送される子実体が前記押さえ機構によって菌傘側から押さえられつつ前記切断部材によって石突部分を除去されるように構成してなるきのこの根切り装置。
【請求項2】
前記押さえ機構は、前記搬送機構と対向する面がきのこの搬送方向と同じ方向に駆動されるエンドレスベルトを備え、このエンドレスベルトを柔軟性を有する素材で構成してなる請求項1に記載のきのこの根切り装置。
【請求項3】
前記搬送機構は、培養瓶から取り出した子実体の株がセットされる開口を有する搬送用テーブルを備え、この搬送用テーブルの開口は、子実体の石突部分を搬送用テーブルの下方に臨ませ、かつその上縁にて子実体を支持するように構成してなる請求項1に記載のきのこの根切り装置。
【請求項4】
培養瓶にて栽培されたきのこの子実体の株から石突部分を切断する根切り装置において、筒状部の上部に外向きフランジを有するキャップ体の前記筒状部が予め開口に装着された培養瓶にて栽培したきのこを、培養瓶ごと搬送する搬送機構と、搬送される培養瓶からきのこの子実体の株を、前記キャップ体の外向きフランジを上方へ案内する上り斜面にて培養瓶から取り外し、キャップ体の開口下部から石突部分を露出させるリフト部と、このリフト部に対向し、菌傘を石突方向へ押圧する押さえ機構と、前記リフト部の押さえ機構とは反対側から対向する切断部材とを備え、前記搬送機構にて搬送される子実体が前記リフト部においてキャップ体ごと培養瓶から取り外され、リフト部上を搬送されて押さえ機構によって菌傘側から押さえられつつ前記切断部材によって石突部分を除去されるように構成してなるきのこの根切り装置。
【請求項5】
前記押さえ機構は、前記リフト部と対向する面がこのリフト部を移動するきのこの搬送方向と同じ方向に駆動されるエンドレスベルトを備え、このエンドレスベルトを柔軟性を有する素材で構成してなる請求項4に記載のきのこの根切り装置。
【請求項6】
前記搬送部が、培養瓶をコンテナに収容した状態でコンテナごと搬送できるように構成してなる請求項4に記載のきのこの根切り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−38972(P2009−38972A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−203949(P2007−203949)
【出願日】平成19年8月6日(2007.8.6)
【出願人】(390027454)協全商事株式会社 (13)