説明

こすり落とし領域を有するモップ

表面を掃除のためのモップを提供する。このモップは、基部と、リビングヒンジによって基部に連結したこすり落とし領域とを含み、こすり落とし力を加えたときにこすり落とし領域が掃除する表面に向かってたわむことができるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モップに関する。一層詳しくは、本発明は、こすり落とし領域を有するモップに関する。
【背景技術】
【0002】
種々多くのタイプのモップが床を掃除するために開発されてきた。このようなモップの多くは、損傷個所、粘着汚点などの床の或る特定の領域をモップでこすり落とす(scrub)ことができるようにした1つまたはそれ以上の仕掛けを含んでいる。
【0003】
たとえば、スポンジ・モップが一般に知られている。いくつかのスポンジ・モップは、ハンドルまたはそこから延びるポールを有する基板ホルダに装着した平らで矩形のスポンジまたはスポンジ状部材を包含する。使用時、ポールを使って床を横切ってスポンジのモップ面を移動させることができる。いくつかのスポンジ・モップは、一般にテクスチャード加工したざらざらの材料で作ってあり、スポンジまたは基板の片面に取り付けたこすり落としストリップも包含する。こすり落としストリップにより、使用者が表面に対して実施する研磨作用を高めることができる。こすり落としストリップを使用するためには、使用者はこすり落としストリップが床に向くようにモップを回転させなければならない。所望のこすり落とし動作が完了した後、こすり離れたほこりをぬぐい取る必要があり、使用者はモップをその当初の位置に戻さなければならない。したがって、このような従来装置は、一度に1つの操作、すなわち、こすり落とし操作またはモップ掛け操作しか行うことができないので、望まれているほど能率良く使用できるわけではないことが示されている。加えて、こすり落とし操作中にポールに加えられる圧力は、通常のモップ掛け掃除中に加えられる圧力とは方向が異なる。したがって、ポールは異なった方向で加えられる圧力または力に耐えるように設計されていなければならない。このことは、ポールのコストを増大させうる。
【0004】
織成シートまたは不織シートのような掃除用の使い捨て掃除シートまたはパッドを利用するモップも一般に知られている。これらのモップは、湿式でも乾式でも使用することができ、この技術分野では普通「床拭きモップ」と呼ばれている。多くの床拭きモップは、掃除シートをほぼ平らなモップ・ヘッド部に着脱自在に固定する。モップ・ヘッド部は、伸長ポールに枢着してあり、使用者が昔ながらのモップ掃除動作を行って掃除シートを平らな表面上で動かせるようにしている。このような床拭きモップが、Theilenの米国特許第4,225,998号に記載されている。残念なことには、これらの床拭きモップはこすり落とし手段を備えておらず、その有用性には限りがある。
【0005】
したがって、上記の欠点および欠陥のうち1つまたはそれ以上を克服および/または軽減し、従来の掃除装置の有用性、機能性、効率性および/またはコストを改善するモップについての要望がこの技術分野では引き続き存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
こすり落とし領域を有するモップを提供することが本発明の一目的である。
基部を有するモップであり、その一部をこすり落とし操作に使用し、他の部分でモップ掛け掃除操作を行えるモップを提供することが本発明の別の目的である。
局所的な圧力増大領域を掃除されつつある表面に作用させることができるモップを提供することが本発明の別の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、表面を掃除するためのモップを提供する。このモップは、基部と、リビングヒンジ(living hinge)によってこの基部に連結したこすり落とし領域とを包含し、こすり落とし力を加えたときにこすり落とし領域を掃除する表面に向かってたわませることができる。
【0008】
剛性基部と、この剛性基部に取り付けた可撓性の基部とを有する、表面を掃除するためのモップもまた提供される。このモップは、剛性基部と反対側の可撓性基部にあるこすり落とし領域と、こすり落とし領域上方で剛性基部に設けたリビングヒンジとを包含する。このようにして、剛性基部に加えられたこすり落とし力が剛性基部をたわませてこすり落とし領域を表面に向かって動かすことができる。
【0009】
いくつかの実施形態において、剛性基部と、この剛性基部に取り付けた可撓性基部とを有するモップは、ヒンジ部材、こすり落とし領域およびリビングヒンジを包含する。ヒンジ部材は、可撓性基部の反対側で剛性基部上にある。こすり落とし領域は、ヒンジ部材下方で可撓性基部にある。リビングヒンジは、ヒンジ部材まわりで剛性基部に設けてあり、その結果、ヒンジ部材に加えられたこすり落とし力が剛性基部をたわませ、こすり落とし領域を表面に向かって動かす。
【0010】
本発明の上記および他の特徴および利点については、以下の詳細な説明、図面および添付の特許請求の範囲から当業者は認識し理解するであろう。
図1は、本開示によるモップの一例示実施形態の斜視図である。
図2は、説明を明確にするために種々の構成要素を省略した、図1のモップの部分展開底面図である。
図3は、通常の使用位置で示す、3−3線に沿った図2のモップの第1断面図である。
図4は、こすり落とし位置で示す、図3のモップの第2断面図である。
【0011】
図面、特に図1を参照して、ここには、本発明によるモップの例示実施形態が全体的に参照符号10で示してある。モップ10は、基部12と伸長ポール14とを包含する。モップ10は、ほぼ矩形の基部12を有する湿式または乾式の床拭きモップとして示してある。
【0012】
図示の実施形態では、基部12は、頂面16と、底面または掃除面18と、掃除面18を横切って湿式または乾式のほこり掃除シート(図示せず)を着脱自在に取り付けるための1つまたはそれ以上のアタッチメント部材20とを有する。一例として、このモップ10は、「Swiffer」なる商品名でProctor and Gambleから市販されているもののような使い捨て掃除シートと共に使用できる。さらに、モップ10は、再使用可能な掃除シートと共に使用することもできる。
【0013】
伸長ポール14はヒンジ部材22によって頂面16に取り付けることができ、このヒンジ部材22により、ポールおよび基部を1つまたはそれ以上の方向に互いに動くことができる。たとえば、ヒンジ部材22は、2004年7月21日に出願された、本出願人の所有する米国特許出願第10/896,246号に記載されているような二重軸線ヒンジであってもよい。この米国特許出願の内容は、参照により本明細書に加入する。
【0014】
使用に当たっては、ポール14に加えられるモップ掛けの力に応答して底面18は1つまたはそれ以上の掃除方向24に床領域上で押される。モップ10が動くにつれて、掃除シートが床からほこりを拾い集める。ひとたび掃除シート16がほこりでいっぱいになったならば、アタッチメント部材20を使ってシートを基部12から取り外し、新しいシートと交換できる。
【0015】
モップ10の基部12は、こすり落とし領域30とリビングヒンジ32とを包含すると良い。これらについては、図2〜4を同時に参照しながら詳しく説明する。
【0016】
リビングヒンジ32により、ポール14を通して基部12に加えられたこすり落とし力34は、図4に示すように、こすり落とし領域30を床38に向かってたわませる。しかしながら、通常の使用時には、モップ掛け掃除力36はポール14を経て基部12にのみ加えられることになり、この場合、モップ掛け掃除力は、図3に示すように、こすり落とし領域30を床38に向かってたわませるには不充分である。
【0017】
すなわち、ポール14にこすり落とし力34を加えると、基部の一部が掃除される表面に向かってたわませられる。こすり落とし力34を加えたときにモップ10から利用できる局所的な圧力上昇を使ってモップ10の一部で床をこすると共に、一方モップの他の部分で床を掃除することができる。さらに、基部12は、こすり落とし中にポール14に加えられる力(すなわち、「こすり落とし力34」)を通常のモップ掛け中にポールに加えられる力(すなわち、「モップ掛け力36」)とほぼ同じ方向とすることができ、これにより、異なった方向に加えられる力に耐えることができるポールについての必要性を減らすことができる。
【0018】
図2を参照して、基部12は、上部40と下部42を包含する。上部40は、実質的に剛性の部材であり、たとえば、成形プラスチックまたは金属で形成できる。下部42は、実質的に可撓性の部材であってもよく、たとえば、連続気泡発泡体、独立気泡発泡体またはそれらの組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。ほんの一例として、下部42は、2004年9月1日に出願された米国仮出願第60/606,234号に示され、記載されているものであってもよい。この米国特許出願の内容は、参照により本明細書に加入する。
【0019】
リビングヒンジ32は、ヒンジ部材22まわりの、すなわち、ポール14が基部に取り付けられている位置で基部12に設けてある。こうすることで、リビングヒンジ32は、ポール14から基部12に加えられるこすり落とし力34で床38に対してこすり落とし領域30を動かすことができる。リビングヒンジ32は、たとえば、上部40の1つまたはそれ以上の肉薄部分44であってもよい。図示の実施形態では、リビングヒンジ32は、単一の連続した肉薄部分44を有するものとして示してある。もちろん、リビングヒンジ32が複数の薄肉部分44を有することも本発明では意図している。
【0020】
リビングヒンジ32が、ここでは、実例としてたとえば、1つまたはそれ以上の薄肉部分44として説明してあることも認識されたい。もちろん、基部12がリビングヒンジ32を有する基部となる他の構造を含むことも意図している。たとえば、上部40は、ヒンジ22まわりに構成した多数の孔または開口部(図示せず)を包含し得る。この場合、孔は、こすり落とし力34が所望に応じて基部をたわませることができるようにヒンジまわりで上部40に充分な弱化部を与えることができる。
【0021】
こすり落とし領域30は、ヒンジ部材22下方で下部42に設けられる。こうすることで、リビングヒンジ32のたわみが床38に向かってこすり落とし領域30を動かす。有利にはリビングヒンジ32のたわみが床38に加わるこすり落とし領域30の圧力を局所的に増大させる。
【0022】
いくつかの実施形態において、上部40は、こすり落とし領域30上方に位置する1つまたはそれ以上の構造リブ46を包含し得る。この場合、リビングヒンジ32のたわみが床38に向かってリブ46を動かし、これがこすり落とし領域30を床に向かって動かす。他の実施態様においては、下部42は、こすり落とし領域30のところに多数のこすり落とし突起48を包含してもよい。この場合、床38に対するこすり落とし領域30のたわみがこすり落とし突起48を床に対して押圧し、モップ10のこすり落とし動作を助ける。
【0023】
モップ10を掃除シートと共に使用する床拭きモップとしてここに図示し、説明したことも認識されたい。しかしながら、本発明では、モップ10をスポンジ・モップと同等に利用することも意図されている。この場合、下部42は、上部に着脱自在に取り付けることができるスポンジであってもよい。この実施形態においては、スポンジ下部は、上記のこすり落とし突起48の領域でスポンジに取り付けたテクスチャード加工したざらざらの材料で全体的に作った、この技術分野では知られているようなこすり落としストリップを包含してもよい。
【0024】
「第1」、「第2」、「第3」、「上方」、「下方」、「内側」、「外側」などの用語がここでは種々の部材を改変するために使用できることにも注目されたい。これらの改変は、特に説明しない限り、改変した部材に空間的、時系列的、階層的な順序を意味するものではない。
【0025】
本発明を1つまたはそれ以上の例示実施形態に関して説明してきたが、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更を行うことができるし、均等物に代えることもできることは理解できよう。それに加えて、多くの変更修正を行って、開示の範囲から逸脱することなく、開示した教示に或る特定の状況または材料を適用できる。したがって、本発明は、意図した最良の形態として開示した特別な実施形態に限られるものではなくて、添付の特許請求の範囲内に含まれ得るすべての実施形態を包含することを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本開示によるモップの一例示実施形態の斜視図である。
【図2】説明を明確にするために省略した種々の構成要素を有する、図1のモップの部分展開底面図である。
【図3】通常の使用位置で示す、3−3線に沿った図2のモップの第1断面図である。
【図4】こすり落とし位置で示す、図3のモップの第2断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を掃除するためのモップであって、基部と、こすり落とし力を加えたときにこの表面に向かってたわむことができるようにしたリビングヒンジによって該基部に連結したこすり落とし領域とを含む、モップ。
【請求項2】
さらに、湿式または乾式の塵埃掃除シートを基部に着脱自在に取り付けるための1つまたはそれ以上のアタッチメント部材を含む、請求項1に記載のモップ。
【請求項3】
さらに、こすり落とし領域のところで基部に取り付けた伸長ポールを含む、請求項1に記載のモップ。
【請求項4】
さらに、伸長ポールとヒンジ部材とを含み、該ヒンジ部材が、こすり落とし領域のところで該伸長ポールを該基部に取り付けている、請求項1に記載のモップ。
【請求項5】
剛性基部と、この剛性基部に取り付けた可撓性基部と、該剛性基部の反対側で該可撓性基部に設けたこすり落とし領域と、該剛性基部に加えられたこすり落とし力が該剛性基部をたわませて表面に向かって該こすり落とし領域を動かすように該こすり落とし領域上方で該剛性基部に設けたリビングヒンジとを含む、表面を掃除するためのモップ。
【請求項6】
リビングヒンジが、剛性基部に設けた1つまたはそれ以上の肉薄部分および/または該剛性基部を貫いて設けた複数の開口部を有する、請求項5に記載のモップ。
【請求項7】
剛性基部が、可撓性基部を覆って湿式または乾式の塵埃掃除シートを着脱自在に取り付けるための1つまたはそれ以上のアタッチメント部材を含む、請求項5に記載のモップ。
【請求項8】
こすり落とし領域が複数のこすり落とし突起を含む、請求項5に記載のモップ。
【請求項9】
剛性基部と、この剛性基部に取り付けた可撓性基部と、この可撓性基部の反対側の該剛性基部上のヒンジ部材と、このヒンジ部材下方で該可撓性基部に設けたこすり落とし領域と、該ヒンジ部材に加えられたこすり落とし力が該剛性基部をたわませて表面に向かって該こすり落とし領域を動かすように該ヒンジ部材まわりで該剛性基部に設けたリビングヒンジとを含む、表面を掃除するためのモップ。
【請求項10】
リビングヒンジが、剛性基部の1つまたはそれ以上の肉薄部分からなる、請求項9に記載のモップ。
【請求項11】
リビングヒンジが、剛性基部を貫いて設けた複数の開口部を有する、請求項9に記載のモップ。
【請求項12】
可撓性基部が、連続気泡発泡体、独立気泡発泡体およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択した材料からなる、請求項9に記載のモップ。
【請求項13】
剛性基部が、可撓性基部を覆って湿式または乾式の塵埃掃除シートを着脱自在に取り付けるための1つまたはそれ以上のアタッチメント部材を含む、請求項9に記載のモップ。
【請求項14】
さらに、ヒンジ部材に取り付けた伸長ポールを含む、請求項9に記載のモップ。
【請求項15】
こすり落とし領域が複数のこすり落とし突起を含む、請求項9に記載のモップ。
【請求項16】
可撓性の基部が剛性基部に着脱自在に取り付けたスポンジを含む、請求項9に記載のモップ。
【請求項17】
こすり落とし領域がスポンジのこすり落としストリップを含む、請求項16に記載のモップ。
【請求項18】
剛性基部と、この剛性基部に取り付けた可撓性基部と、該剛性基部の反対側で該可撓性基部に設けたこすり落とし領域とを含み、該剛性基部が、該こすり落とし領域のところで表面に局所的な圧力増大領域を作用させるように構成してある、表面を掃除するためのモップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−521450(P2008−521450A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530282(P2007−530282)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【国際出願番号】PCT/US2005/030871
【国際公開番号】WO2006/028825
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(506196166)アンガー・マーケティング・インターナショナル・エルエルシー (6)
【Fターム(参考)】