説明

ごみ集積システム

【課題】コンテナにごみを積み込むコンパクタ(ごみ積込装置)を備えたごみ集積システム1のコンパクト化を図ると共に、スペース効率を高める。
【解決手段】システム1は、縦方向に移動可能な縦移動台車3と、横方向に移動可能な横移動台車4と、を備える。縦移動台車3は、コンテナ6がごみの積込を受けるための積込位置101と、台車3,4に対してコンテナ6を載せ降ろしするための載降位置102と、の間を往復移動し、横移動台車4は、載降位置102と、コンテナ6を待機させるための待機位置103と、の間を往復移動する。縦方向に並んだ縦移動台車3及び横移動台車4は、コンテナ6を載せ替え可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、ごみをコンテナに集積すると共に、そのコンテナを通じて、ごみをまとめて搬出するためのごみ集積システムに関し、特にコンテナの移動を行うための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えばビル等の各種施設で発生するごみをコンパクタによってコンテナに集積すると共に、コンテナが満杯になったときには、このコンテナごと、コンテナ荷役車両で搬出するようにしたごみ集積システムが知られている。こうしたごみ集積システムにおいて、複数個のコンテナを順次コンパクタに接続し得るように、コンテナを載せ降ろし可能な台車をレールに沿って移動させることでコンテナを移動させるコンテナ移動装置が設けられる場合がある。
【0003】
このようなコンテナ移動装置は、前述した施設内のごみ集積システムに限らず、例えばごみの最終処分場への輸送を効率よく行うため、ごみ収集車で集めたごみを圧縮して大型の運搬車に積み替えるための、いわゆる中継施設においても設けられている。例えば特許文献1には、中継施設でのコンテナ移動装置が記載されており、この文献に記載されたコンテナ移動装置は、コンパクタからコンテナへのごみの積込方向を縦方向としたときに、その積込方向に直交する横方向に延びるように横レールを敷設し、この横レール上を、コンテナを積載した親台車が横方向に往復移動するように構成している。コンパクタは、横レールを間に挟んだ一方の側に配置する一方、他方の側には、前記横方向に等間隔を空けて複数の固定レールを敷設している。この構成のコンテナ移動装置ではさらに、親台車上に、前記縦方向に移動可能な子台車が設けられており、いずれかの固定レールに、コンテナ荷役車両から空のコンテナが降ろされたときには、前記子台車を利用して、当該固定レール上の空のコンテナが親台車に積載されると共に、親台車が横レール上を移動することで、前記空のコンテナがコンパクタ位置まで搬送されて当該コンテナをコンパクタに接続するようにしている。そうしてコンパクタによってごみが積み込まれることによって満杯になったコンテナは、前記とは逆に、親台車によって搬送されると共に、子台車によっていずれかの固定レール上に積載されるようになり、その固定レール上からコンテナ荷役車両にコンテナが積み込まれて搬出されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭59−50561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記特許文献1に記載されたコンテナ移動装置では、横方向に移動する親台車に積載されているコンテナをコンパクタに接続するように構成されている。つまり、コンパクタの直前位置で、コンテナを積載した台車が、横方向に移動するため、コンパクタと台車等との干渉を回避するために、コンパクタと台車との間には、予め所定の空間を設けておかなければならない。このため、コンパクタと台車に積載されているコンテナとの間には大きな間隔が空けられており、そのままではコンパクタとコンテナとを接続することができないことから、例えば特許文献1に記載されているコンテナ移動装置では、コンパクタと台車との間に、前記の間隔を埋めるべく定置台を配置している。
【0006】
このように、コンパクタと台車との間を、ある程度、離さなければならないような構成は、前記中継施設等においてはそれほど大きな問題にはならない。しかしながら、前述したような各種施設内に設置されるごみ集積システムでは設置スペースに制限があることから、ごみ集積システムの設置スペースをできる限りコンパクトにしたいという要求がある。前記特許文献1に記載されたようなコンテナ移動装置は、こうしたコンパクト化の要求を満足させることはできない。
【0007】
また、各種施設内に設置されるごみ集積システムでは、例えばまとまった比較的広い空きスペースを確保したいという要求もあり、スペース効率も重要であるが、前記特許文献1に記載されているコンテナ移動装置では、コンパクタ側と固定レール側とを分断するように横レールが横方向に延びて敷設されるため、コンパクタの真横に小さな空きスペースが確保できるだけであり、スペース効率が悪いという不都合もある。
【0008】
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ごみ集積システムのコンパクト化を図ると共に、スペース効率を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
具体的に、ここに開示するごみ集積システムは、走行可能なコンテナにごみを積み込むごみ積込装置と、前記コンテナを積載すると共に、前記ごみの積み込み方向に対応する縦方向に移動することで前記コンテナを搬送する縦移動台車と、前記コンテナを積載すると共に、前記縦方向に直交する横方向に移動することで前記コンテナを搬送する横移動台車と、を備え、前記縦移動台車は、前記ごみ積込装置に隣接した位置であって、積載しているコンテナがごみの積込を受けるための積込位置と、前記積込位置に対して前記ごみ積込装置から前記縦方向に離れた位置であって、前記台車に対して前記コンテナを載せ降ろしするための載降位置と、の間を前記縦方向に往復移動するように構成され、前記横移動台車は、前記載降位置と、当該載降位置に対し前記横方向に隣接した位置であって、積載しているコンテナを待機させるための待機位置と、の間を横方向に往復移動するように構成され、前記縦移動台車及び横移動台車はさらに、前記縦移動台車が前記積込位置に位置しかつ、前記横移動台車が前記載降位置に位置している状態で、積載している前記コンテナを前記縦方向に往復移動することで、前記縦移動台車と横移動台車との間で前記コンテナを載せ替え可能に構成されている。
【0010】
ここで「走行可能なコンテナ」とは、例えばコンテナの下面に転動輪がついており、当該転動輪によって移動することが可能なコンテナをいい、その駆動源の有無は問わない。
【0011】
この構成によると、縦移動台車と横移動台車とを備えてそれぞれを載降位置に位置付けることが可能であるため、縦移動台車と横移動台車とのそれぞれにコンテナを積載することが可能である。また、縦移動台車と横移動台車とのそれぞれにコンテナを積載可能でありつつも、縦移動台車を積込位置と載降位置との間を往復移動可能にすると共に、横移動台車を載降位置と待機位置との間を往復移動可能にし、さらに、縦移動台車と横移動台車との間でコンテナを移動させてコンテナの載せ替えを可能にすることによって、2つのコンテナをコンパクタに順次接続すると共に、台車から搬出用の車両に順次コンテナを載せて搬出させることが可能である。つまり、ごみ集積システムにおける、ごみの集積及び搬出効率が高まる。
【0012】
一方で、前記の構成では、コンパクタに接続されるコンテナを積載する台車は、コンパクタのごみの積み込み方向、つまり縦方向に移動する縦移動台車であり、ごみの積み込み方向に直交する横方向に移動する横移動台車は、コンパクタから離れた、載降位置と待機位置との間を移動する。このため、コンパクタと横移動台車との干渉を考慮する必要がなく、一方で、縦方向に移動する縦移動台車は、コンパクタに対してできるだけ近づけることが可能である。このことは、前記特許文献1に記載されているようなコンパクタと親台車との間に空間を設けて、そこに定置台を設置する、といったことを省略可能にし、その分、ごみ集積システムの設置スペースを縮小化する。
【0013】
また、前記の構成では、前述したように、横移動台車が横方向に移動する載降位置と待機位置とはコンパクタから離れて位置していることから、前記特許文献1のコンテナ移動装置とは違って、横移動台車の移動経路によってごみ集積システムが分断されない。このことにより、コンパクタ及び積込位置に対し横方向に隣接する位置には、コンパクタ及び積込位置を合わせた分に相当するまとまった空きスペースが設けられる。このことはスペース効率を高め得る。
【0014】
前記縦移動台車及び横移動台車はそれぞれ、前記縦移動台車と前記横移動台車との間で前記コンテナを載せ替える際に当該コンテナを案内する第1ガイドと、前記載降位置に位置して前記コンテナの載せ降ろしをする際に当該コンテナを案内する第2ガイドと、を備えている、としてもよい。
【0015】
前述したように、縦移動台車と横移動台車とは、互いに連続するように縦方向に並んで配置されて、縦移動台車と横移動台車との間でコンテナの載せ替えが行われ得る。また、縦移動台車及び横移動台車は共に載降位置に位置して、例えばコンテナ荷役車両からコンテナの載せ降ろしが行われ得る。このように、前記のごみ集積システムでは、コンテナの移動には2種類が存在していることから、縦移動台車及び横移動台車のそれぞれに、第1ガイド及び第2ガイドを設けることによって、コンテナの載せ替え、及び、コンテナの載せ降ろしのそれぞれにおいて、コンテナを安定して動かすことが可能になる。
【0016】
前記縦移動台車は、前記縦方向に延びて敷設された縦レールに係合する車輪を備えて、当該縦レールに沿って往復移動し、前記横移動台車は、前記横方向に延びて敷設された横レールに係合する車輪を備えて、当該横レールに沿って往復移動し、前記縦レールと横レールとは互いに交差して敷設されており、前記縦レール及び横レールにはそれぞれ、当該交差位置において切れ目が設けられており、前記縦移動台車及び横移動台車はそれぞれ、前記車輪として、前記切れ目を跨ぎ得るように近接配置された一対の車輪を有している、としてもよい。
【0017】
縦レール及び横レールが交差することに伴い、縦レール及び横レールにはそれぞれ切れ目が必要になるが、縦移動台車及び横移動台車はそれぞれ、その切れ目を跨ぎ得るような一対の車輪を有していることで、車輪が切れ目に落ち込むことが回避される。このことは、コンテナの積載状態で台車を安定して移動させることを可能にし、コンテナの搬送を安定して行う上で有利になる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、前記のごみ集積システムによると、縦移動台車と横移動台車とのそれぞれに積載したコンテナを、コンパクタに順次接続し得ると共に、順次搬出し得るため、ごみ集積及び搬出の効率化が図られると共に、横方向に移動する横移動台車を、コンパクタから離れた位置で移動させるようにすることで、従来必要であったコンパクタの直前の定置台を省略して省スペース化が図られると共に、コンパクタとそれに隣接する積込位置の側方に、まとまった空きスペースを確保し得るため、スペース効率が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ごみ集積システムの全体を示す平面図である。
【図2】ごみ集積システムの全体を示す側面図である。
【図3】縦移動台車の平面図である。
【図4】縦移動台車の側面図である。
【図5】横移動台車の平面図である。
【図6】横移動台車の背面図である。
【図7】(a)コンテナの平面図、(b)コンテナの正面図である。
【図8】コンパクタと、コンテナとの接続部分を拡大して示す側面図である。
【図9】コンテナ及び台車の移動手順の例の一部を示す図である。
【図10】コンテナ及び台車の移動手順の例の残りの一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、ごみ集積システムの実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。図1,2はごみ集積システム1の全体図を示しており、このシステム1は、例えばビル等の各種施設の地下等に設置されて、施設内の各所から発生するごみを収集すると共に、収集したごみをコンテナ6に積み込むことによって、このコンテナ6を通じて、ごみをまとめて施設から搬出するためのシステムである。
【0021】
ごみ集積システム1は、コンテナ6にごみを圧縮して積み込むごみ積込装置としてのコンパクタ2と、それぞれコンテナ6が積載される縦移動台車3及び横移動台車4と、を備えて構成されている。尚、以下の説明においては、説明の便宜上、後述するコンパクタのごみの積み込み方向を基準に、コンパクタ2からコンテナ6にごみを積み込む方向の進行側を前、それとは逆側を後と呼ぶと共に、その前後方向を縦方向(つまり、図1,2における紙面左右方向)と呼ぶ場合がある。また、前後方向(縦方向)に対し直交する方向の内、前方を向いたときに左側となる側を左、右側となる側を右と呼び、その左右方向を横方向(つまり、図1における紙面上下方向)と呼ぶ場合がある。
【0022】
コンパクタ2は、その構成の詳細な図示は省略するが、その内部に、コンテナ6にごみを押し込むためのラムが内蔵されたコンパクタ本体21と、コンパクタ本体21内にごみを投入するための投入口22と、コンパクタ本体21に対してコンテナ6を接続するための固縛装置23(図2では図示を省略する)と、施設内の各所において発生したごみを収集したコレクタ(図示省略)がセットされたときに、当該コレクタの上下を反転させて、ごみを前記投入口22に投入するための反転装置24(図2では図示を省略する)とを備えている。コンパクタ本体21の前側の側面には押出口が開口しており、後述するように、図1,2における紙面左側から右側に向かってごみを押し出すことによって、コンパクタ本体21の前側面に連結されたコンテナ6の後端からその内部にごみを積み込むように構成されている。
【0023】
コンテナ6は、図2,7に示すように縦長でかつ、内部空間が密閉された矩形箱状であり、その下面の四隅には転動輪61が配設されており、この転動輪61によってコンテナ6は走行可能に構成されている。コンテナ6の前面(図7(b)参照)には、このコンテナ6を台車3,4に対して載せ降ろしする際に、コンテナ荷役車両7のアーム71の先端のフック72が係合するフック係合部62が取り付けられている(図2参照)。また、コンテナ6の前面における、向かって左側の下部には、詳細は後述するが、縦移動台車3に設けられかつ、台車3,4の上でコンテナ6を移動させるための伸縮シリンダ35の先端部(後述する係止ピン351)が係止する係止孔部63が、コンテナ6の左側方に向かって開口するように取り付けられている。
【0024】
このコンテナ6は、より詳細には後端部に開口が設けられており、この後端開口はテールゲート64によって開閉されるように構成されている。テールゲート64にはまた、図示は省略するが、積込口が開口しており、この積込口はコンテナに対してごみの積み込みを行うとき以外は蓋板によって閉塞されている。コンテナ6に対してごみの積み込みを行うべくコンテナ6の後端がコンパクタ本体21に接続されたときには、前記積込口を閉塞している蓋板が、自動的にコンパクタ本体21のラム先端に固定されるように構成されており、これによって、蓋板はごみの積み込み時には、押し込み板として機能するようになっている。
【0025】
前述したように、コンパクタ2とコンテナ6との接続は、コンパクタ2側に設けられた固縛装置23により自動的に行われる。固縛装置23は、図1,8に示すように、コンテナ6の後端部の所定箇所に係合する、鉤形状を有する左右一対の固縛フック231と、この一対のフック231の間に配設された引寄シリンダ232と、を備えて構成されている。引寄シリンダ232は前後方向に伸縮するシリンダであると共に、その先端部が、前記コンテナ6の後端の所定箇所に係合するように構成されており、伸長した引寄シリンダ232の先端部がコンテナ6に係合した状態で、その引寄シリンダ232が収縮することにより、後述するように、縦移動台車3に積載されているコンテナ6を、コンパクタ2側に引き寄せることが可能になる(図8の一点鎖線参照)。また逆に引寄シリンダ232を伸長させることによって、コンパクタ2に接続されていたコンテナ6をコンパクタ2から引き離すことが可能になる。一方、固縛フック231は、油圧シリンダを含むカムリンク機構233によって、コンパクタ2側に引き寄せられたコンテナ6の所定箇所に引っ掛かると共に、このコンテナ6を、前記コンパクタ2のラムによる、ごみの積み込み力に対抗してコンパクタ2に接続した状態に保持する。
【0026】
縦移動台車3は、縦方向に延びるように予め敷設されている縦レール51に沿って、縦方向に往復移動をする台車であり、縦レール51は、例えば図2に示すように、コンパクタ2の直前位置からコンパクタ2から離れる側に向かって縦方向に延びている。これによって縦移動台車3は、図1に示すように、コンパクタ2の直前の位置と、コンパクタ2から離れた位置との間を往復移動する。コンパクタ2の直前の位置は、縦移動台車3に積載したコンテナ6をコンパクタ2に接続してごみの積み込みを行うための積込位置101であり、コンパクタ2から離れた位置は、図2に仮想的に示すようにコンテナ荷役車両7から縦移動台車3にコンテナ6を載せると共に、縦移動台車3に積載されているコンテナ6をコンテナ荷役車両7に積載するための載降位置102である。尚、後述するように、載降位置102において、横移動台車4にコンテナ6を載せ降ろしする場合もある。
【0027】
縦移動台車3は、図3,4に示すように、コンテナ6が載置される載置面311を有する、平面視で略矩形状の本体31と、本体31の下側に配設されて、縦レール51上を転動する車輪32と、前記載置面311上に設けられて、前記コンテナ6の移動を案内するガイド33,34と、詳細は後述するが、この縦移動台車3と横移動台車4との間でコンテナ6を載せ替える際に用いられる伸縮シリンダ35と、を備えて構成されている。
【0028】
前記車輪32は、矩形状の本体31における前部の左右(図3における紙面上下方向に相当)と、後部の左右とのそれぞれに配設されており、縦レール51に係合してこのレール51上を転動するように、それぞれ、前記左右方向に延びる中心軸回りに回転可能に構成されている。この内、本体31における後部に配設された左右一対の車輪(後輪32r)は、左右方向に延びる駆動軸36によって互いに連結されていると共に、当該駆動軸36に対しては、駆動モータ37が、例えばチェーン・スプロケット機構38を介して駆動連結されている。これにより、駆動モータ37の正転及び逆転駆動に伴い駆動軸36及び後輪32rがそれぞれ正転及び逆転することで、この縦移動台車3は、縦レール51に沿って前進及び後退し、前述した、積込位置101と載降位置102との間を往復移動することになる。
【0029】
これに対し、本体31における前部に配設された車輪(前輪32f)は、その左側及び右側のそれぞれにおいて、前後方向に所定の間隔を空けて配置された一対の車輪32によって構成されている。これは、後述するように、縦レール51に対して交差するよう横レール52が敷設されている関係上、縦レール51の交差箇所には、図4に仮想的に示すように、切れ目511が設けられているが、縦方向に並んだ一対の車輪32は、この切れ目511を跨ぐように配置し得るため、車輪32が切れ目に落ち込んでしまうことを防止する。このことは、コンテナ6を積載した縦移動台車3を、縦レール51に沿って安定して移動させることを可能にする。尚、縦移動台車3を積込位置101と載降位置102との間で往復移動させている間に後輪32rが縦レール51の切れ目511の位置に位置することはない。
【0030】
縦移動台車3の載置面311には、第1及び第2の2種類のガイド33,34が設けられている。この内、第1ガイド33は、縦移動台車3と横移動台車4との間でコンテナ6を移動させる際に、そのコンテナ6の案内をするガイドであり、縦移動台車3の前端部に設けられている。第1ガイド33は、例えば丸棒を所定の形状に折り曲げ加工して縦移動台車3の載置面311に取り付けることによって構成されており、この第1ガイド33は、コンテナ6の転動輪61に対して左右の外側方に位置して、コンテナ6が真っ直ぐに移動するように案内している。
【0031】
これに対し、第2ガイド34は、縦移動台車3が載降位置102に位置したときに、当該縦移動台車3に対してコンテナ6を積み卸しする際に、コンテナ6の案内をするガイドであり、縦移動台車3の前端部を除く部分において、前後方向に延びて配設されている。第2ガイド34は、具体的には、図3に端的に示されるように、断面三角形状のアングル材によって構成されており、この第2ガイド34は、コンテナ6の転動輪61に対して左右の内側方に位置して、コンテナ6を積み卸しする際にコンテナ6が左右に傾いたりすることを規制するようにしている。
【0032】
そうして、この第1ガイド33と第2ガイド34との間に相当する部分が、縦移動台車3の前端から後端まで前後方向に延びると共に、コンテナ6の各転動輪61が転動する転動面312に構成されており、この転動面312には、その前端側及び後端側のそれぞれにおける所定位置に輪止スリット313が設けられている。この輪止スリット313は、コンテナ6の各転動輪61が落ち込んでコンテナ6の移動を抑制するためのものであり、これによって、コンテナ6を積載している縦移動台車3を移動させてもコンテナ6が移動することはなく、コンテナ6を安定して搬送することが可能になる。
【0033】
伸縮シリンダ35は、縦移動台車3の載置面311における左側部に、縦方向に延びて配設されており、この伸縮シリンダ35は図外の油圧源からの油圧供給に応じて、前方に向かって延びるように構成されている。図1に仮想的に示すように、伸縮シリンダ35を最大限に伸長させたときには、その先端は、縦移動台車3の前側に隣接して配置した横移動台車4の前端部付近に到達するように構成されている。伸縮シリンダ35の先端には、油圧の供給に応じて、係止ピン351を、図3に仮想的に示すように右方向に突出するよう駆動する別のシリンダが取り付けられている。係止ピン351は、前述したようにコンテナ6の前面に設けられている係止孔部63に係止するものであり、係止ピン351がコンテナ6の係止孔部63に係止した状態で伸縮シリンダ35が伸長及び収縮することに伴い、前記コンテナ6は、縦移動台車3及び横移動台車4の間を前後方向に移動するようになる。これによって、例えば横移動台車4に積載されているコンテナ6を縦移動台車3側へと移動させて縦移動台車3に積載したり、縦移動台車3に積載されているコンテナ6を横移動台車4側へと移動させて横移動台車4に積載したり、といった、コンテナ6の載せ替えが可能になる。
【0034】
また、縦移動台車3の前端部には、メンテナンスハッチ39が設けられている。このメンテナンスハッチ39は、通常時は蓋体391によって閉塞されている一方、伸縮シリンダ35の係止ピン351の取り外し作業時には、蓋体391が外されてメンテナンスハッチ39が開放されることにより、作業者は、このメンテナンスハッチ39内に、例えば足を入れて、係止ピン351の真横の位置からその取り外し作業を行うことができ、作業性が向上するという利点がある。
【0035】
横移動台車4は、横方向に延びるように予め敷設されている一対の横レール52に沿って、横方向に往復移動をする台車である。横レール52は、例えば図1にその一部を示すように、前記載降位置102から右方向に向かって延びている。これによって横移動台車4は、コンパクタ2から離れた位置において、前記載降位置102と、載降位置102の右隣の待機位置103との間を往復移動する。ここで待機位置103は、後述するように、コンテナ6がコンパクタ2に接続されているときに、それとは別の空のコンテナ6が待機するための位置である。
【0036】
横移動台車4もまた、図5,6に示すように、縦移動台車3と同様に、コンテナ6が載置される載置面411を有する、平面視で略矩形状の本体41と、本体41の下側に配設されて、横レール52上を転動する車輪42と、前記載置面411上に設けられて、前記コンテナ6の移動を案内するガイド43,44と、を備えて構成されている。
【0037】
前記車輪42は、矩形状の本体41における中央部において、前後方向に所定の間隔(一対の横レール52に対応する間隔)を空けて配置されていると共に、左右の両側それぞれに配設されており、横レール52に係合してこのレール52上を転動するように、それぞれ、前記前後方向に延びる中心軸回りに回転可能に構成されている。この内、本体41における右側に配設された前後一対の車輪(右輪42r)は、前後方向に延びる駆動軸46によって互いに連結されていると共に、当該駆動軸46に対して、例えばチェーン・スプロケット機構48を介して駆動モータ47が駆動連結されている。これにより、横移動台車4は、駆動モータ47の正転及び逆転駆動に伴い駆動軸46及び右輪42rがそれぞれ正転及び逆転することで、横レール52に沿って前進(右方向への移動)及び後退(左方向への移動)し、前述した、載降位置102と待機位置103との間を往復移動することになる。
【0038】
これに対し、本体における左側に配設された車輪(左輪42l)は、その前側及び後側のそれぞれにおいて、左右方向に所定の間隔を空けて配置された一対の車輪42によって構成されている。これは、前述したように、横レール52と縦レール51とが交差して敷設されている関係上、横レール52の交差箇所にも、縦レール51の交差位置と同様に、図6に仮想的に示すような切れ目521が設けられるためである。すなわち、左右方向に並んだ一対の車輪42は、この切れ目521を跨ぐように配置し得るため、車輪42が切れ目に落ち込んでしまうことを防止する。このことは、横移動台車4による、コンテナ6の搬送を安定化させる。尚、横移動台車4を載降位置102と待機位置103との間で往復移動させている間に右輪42rが横レール52の切れ目521の位置に位置することはない。
【0039】
横移動台車4の載置面411にもまた、第1及び第2の2種類のガイド43,44が設けられている。この内、第1ガイド43は、縦移動台車3と横移動台車4との間でコンテナ6を移動させる際に、そのコンテナ6の案内をするガイドであり、横移動台車4の前端部に設けられている。第1ガイド43は、例えば丸棒を所定の形状に折り曲げ加工して横移動台車4の載置面に取り付けることで構成されており、この第1ガイド43は、コンテナ6の転動輪61に対して左右の外側方に位置して、コンテナ6が真っ直ぐに移動するように案内している。
【0040】
一方、第2ガイド44は、横移動台車4が載降位置102に位置したときに、当該横移動台車4に対してコンテナ6を積み卸しする際にコンテナ6を案内するガイドであり、横移動台車4の前端部を除く部分において、前後方向に延びて配設されている。第2ガイド44は、図6に示すように、断面三角形状のアングル材によって構成されており、この第2ガイド44は、コンテナ6の転動輪61に対して左右の内側方に位置して、コンテナ6の積み卸しの際にコンテナ6が左右に傾いたりすることを規制する。
【0041】
そうして、この第1ガイド43と第2ガイド44との間に相当する部分が、横移動台車4の前端から後端まで前後方向に延びると共に、コンテナ6の各転動輪61が転動する転動面412に構成されており、横移動台車4の転動面412は、縦移動台車3と横移動台車4とが、それぞれ積込位置101及び載降位置102に配置されて縦方向に並んだときには、図1に示すように、縦移動台車3の転動面312と連続するようになる。これによって、縦移動台車3及び横移動台車4の間でコンテナ6を載せ替えることが可能になる。また、この横移動台車4の転動面412にも、その前端側及び後端側のそれぞれにおける所定位置に、コンテナ6の各転動輪61が落ち込むための輪止スリット413が設けられている。
【0042】
横移動台車4にはまた、その載置面411上の左側部に前後方向に延びるガイドレール49が載置面411から突出して設けられており、このガイドレール49は、前記縦移動台車3の伸縮シリンダ35の先端部を案内するためのガイドである。つまり、図4に示すように、伸縮シリンダ35の先端部にはローラ352が取り付けられており、このローラ352がガイドレール49に係合することによって、伸縮シリンダ35の先端部は前後方向に真っ直ぐに移動をして、コンテナ6が前後方向に安定して移動するようになる。
【0043】
次に、図9,10の模式図を参照しながら、このごみ集積システム1における、コンテナ6及び台車3,4の移動手順を含む、ごみの搬出手順について説明する。図9の工程P1に示すように、コンテナ6が積載されていない縦移動台車3及び横移動台車4がそれぞれ、積込位置101及び載降位置102に位置付けられている状態を初期状態とする。この状態で、空のコンテナ6を積載したコンテナ荷役車両7から、載降位置102に位置している横移動台車4に空の第1コンテナ601が降ろされたとする(工程P2)。続く工程P3では、縦移動台車3の伸縮シリンダ35が伸長すると共に、係止ピン351が突出して第1コンテナ601に係止され、その状態で伸縮シリンダ35が収縮することにより、横移動台車4に積載された第1コンテナ601は後方へと移動をして、縦移動台車3に積載されることになる(工程P4)。
【0044】
縦移動台車3に積載された空の第1コンテナ601は、前述の固縛装置23によりコンパクタ2に接続される(工程P5)。この状態で、コンパクタ2に投入されたごみは適宜、第1コンテナ601に積み込まれることになる。
【0045】
工程P4又はP5では、載降位置102の横移動台車4が空いていることから、ここに、別のコンテナ(第2コンテナ602)を載せることが可能である。図例では、工程P5において、コンテナ荷役車両7から、横移動台車4に空の第2コンテナ602が降ろされて載置されている。続く工程P6では、横移動台車4が待機位置へと移動をし、横移動台車4はこの状態で待機する。
【0046】
そうして前記コンパクタ2に接続されていた第1コンテナ601が満杯になれば(尚、図例では、満杯のコンテナにはハッチングを付すことにより、空のコンテナとは区別している)、工程P7に示すように、第1コンテナ601は、コンパクタ2から引き離されて縦移動台車3に積載された状態となる。そうして、縦移動台車3は、工程P8に示すように、第1コンテナ601を積載したまま、載降位置102まで前方に移動をする。そうして、図10の工程P9,10に示すように、第1コンテナ601は、縦移動台車3からコンテナ荷役車両7に載せられて搬出されることになる。
【0047】
以降は、待機していた第2コンテナ602をコンパクタ2に接続することになるが、手順としては、工程P11で縦移動台車3を積込位置101に移動させ、工程P12で、横移動台車4を載降位置102に移動させる。この状態は、前記工程P2と同じである。そうして、工程P13,P14で、前記と同様に、縦移動台車3の伸縮シリンダ35を利用して、第2コンテナ602を縦移動台車3に載せ替えると共に、固縛装置23によって第2コンテナ602をコンパクタ2に接続する(工程P15)。こうして、第2コンテナ602にごみが積み込まれるようになる。工程P15以降は、例えば工程P5に戻ればよい。
【0048】
このようにして、前記のごみ集積システム1では、縦移動台車3及び横移動台車4と、縦移動台車3及び横移動台車4の間でコンテナ6を載せ替える伸縮シリンダ35を利用して、空のコンテナ6を順次コンパクタ2に接続し得るから、ごみの集積及び搬出作業の効率化が図られる。ここで、コンパクタ2の前側に縦レール51を敷設して、図1に示すように縦移動台車3を縦方向に移動可能にする一方、横レール52は、コンパクタ2から離れた位置で横方向に敷設することにより、図1に示すように、コンパクタ2の側方及び積込位置101の側方には、そのコンパクタ2及び積込位置101を1つにまとめた分の、広い空きスペース104を設けることができ、この空きスペース104を種々の目的に利用することが可能である。つまり、このごみ集積システム1は、スペース効率が高く、設置スペースに制約のあることが一般的な、施設等のごみ集積システムとして特に有効である。
【0049】
また、コンパクタ2の前側(積込位置)に縦レール51を敷設し、この位置に横レール52を敷設しないことで、縦移動台車3に積載したコンテナ6を、コンパクタ2に対してできるだけ近づけて配置することが可能になる。つまり、コンパクタ2の前側に横レールを敷設した場合は、この横レールに沿って台車を横方向に移動させる必要があるため、例えば台車とコンパクタとの干渉回避等の観点から、横レールの位置はコンパクタ2からある程度間隔を空けて敷設しなければならない。そのため、例えば前記の特許文献1に記載されているように、コンパクタと台車との間にその間隔を埋めるように、別の定置台を設置する必要があるが、前記の構成では、図8に拡大して示すように、コンパクタ2と縦移動台車3との間の間隔は小さくなり、前記定置台等は不要である。このことは、システム1を簡略化する上で有利であると共に、システム1の設置スペースを小さくして、ビル等の施設に設置されるごみ集積システムとして有用である。また、コンパクタ2とコンテナ6との距離が短くなることに伴い、前記コンパクタ2の引寄シリンダ232のストローク量を少なくすることも可能になるという利点がある。
【0050】
さらに、縦移動台車3及び横移動台車4のそれぞれに、第1ガイド33,43と、第2ガイド34,44と、の双方を設けることによって、台車3,4間でのコンテナ6の載せ替えと、台車3,4に対するコンテナ6の載せ降ろしとを、安定的に、しかも確実に行うことが可能になる。
【0051】
加えて、このごみ集積システム1では、縦レール51と横レール52とが交差しており、その交差位置に切れ目511,521が設けられているものの、縦移動台車3及び横移動台車4に、この切れ目511,521を跨ぐような一対の車輪32,42を隣接して設けることで、車輪32,42が切れ目511,521に落ち込んでしまうことが防止される。このことはコンテナ6を積載した台車3,4を、レール51,52に沿って安定して移動させることを可能にする。
【0052】
尚、前記の構成では、コンパクタ2が反転装置24を備えているが、例えば反転装置24に代えて、ビルの各階とコンパクタ2とをつなぐシュートを備え、当該シュートを通じてコンパクタ2にごみが投入されるようにしてもよい。
【0053】
また、この構成のごみ集積システムは、前述したようにビル等の施設における集積システムに限定されず、例えば中継施設においても利用し得る。その場合に、必要に応じて横移動台車の数を増やすと共に、その横移動台車を縦方向に並列に並べるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上説明したように、ここに開示したごみ集積システムは、コンパクト化を図り、スペース効率を高め得るから、例えばビル、ホテル、駅等の各種の施設に設置されるごみ集積システムや、ごみの中継施設等に利用し得る点で有用である。
【符号の説明】
【0055】
1 ごみ集積システム
101 積込位置
102 載降位置
103 待機位置
2 コンパクタ(ごみ積込装置)
3 縦移動台車
32 車輪(縦移動台車)
33 第1ガイド(縦移動台車)
34 第2ガイド(縦移動台車)
4 横移動台車
42 車輪(横移動台車)
43 第1ガイド(横移動台車)
44 第2ガイド(横移動台車)
51 縦レール
52 横レール
511 切れ目(縦レール)
521 切れ目(横レール)
6 コンテナ
601,602 コンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行可能なコンテナにごみを積み込むごみ積込装置と、
前記コンテナを積載すると共に、前記ごみの積み込み方向に対応する縦方向に移動することで前記コンテナを搬送する縦移動台車と、
前記コンテナを積載すると共に、前記縦方向に直交する横方向に移動することで前記コンテナを搬送する横移動台車と、を備え、
前記縦移動台車は、前記ごみ積込装置に隣接した位置であって、積載しているコンテナがごみの積込を受けるための積込位置と、前記積込位置に対して前記ごみ積込装置から前記縦方向に離れた位置であって、前記台車に対して前記コンテナを載せ降ろしするための載降位置と、の間を前記縦方向に往復移動するように構成され、
前記横移動台車は、前記載降位置と、当該載降位置に対し前記横方向に隣接した位置であって、積載しているコンテナを待機させるための待機位置と、の間を横方向に往復移動するように構成され、
前記縦移動台車及び横移動台車はさらに、前記縦移動台車が前記積込位置に位置しかつ、前記横移動台車が前記載降位置に位置している状態で、積載している前記コンテナを前記縦方向に往復移動することで、前記縦移動台車と横移動台車との間で前記コンテナを載せ替え可能に構成されているごみ集積システム。
【請求項2】
請求項1に記載のごみ集積システムにおいて、
前記縦移動台車及び横移動台車はそれぞれ、
前記縦移動台車と前記横移動台車との間で前記コンテナを載せ替える際に当該コンテナを案内する第1ガイドと、
前記載降位置に位置して前記コンテナの載せ降ろしをする際に当該コンテナを案内する第2ガイドと、
を備えているごみ集積システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のごみ集積システムにおいて、
前記縦移動台車は、前記縦方向に延びて敷設された縦レールに係合する車輪を備えて、当該縦レールに沿って往復移動し、
前記横移動台車は、前記横方向に延びて敷設された横レールに係合する車輪を備えて、当該横レールに沿って往復移動し、
前記縦レールと横レールとは互いに交差して敷設されており、前記縦レール及び横レールにはそれぞれ、当該交差位置において切れ目が設けられており、
前記縦移動台車及び横移動台車はそれぞれ、前記車輪として、前記切れ目を跨ぎ得るように近接配置された一対の車輪を有しているごみ集積システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−190081(P2011−190081A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59327(P2010−59327)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】