説明

しわ伸ばしブラシを含むスチームアイロン装置

【課題】衣服の大部分を定位置に保持するのに充分な表面積のアイロン面を格納することが可能な単純な構成のアイロン装置を提供する。
【解決手段】スチームを吹き出させるための少なくとも1つの穴を備えるしわ伸ばしブラシ3に管路2により接続されたスチーム束を生成するための装置を内蔵するベース1を含むスチームアイロン装置であって、前記ベース1が、しわ伸ばしブラシ3の使用時にアイロンをかける衣服が押し当てられるアイロン面50を含み、前記アイロン面を折り曲げるまたは巻き取ることができることを特徴とするスチームアイロン装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチームを吹き出させるための少なくとも1つの穴を備えるしわ伸ばしブラシに管路により接続されたスチーム発生装置を内蔵するベースを含むスチームアイロン装置に関し、より詳細には、ベースが、しわ伸ばしブラシの使用時にアイロンをかける衣服が押し当てられるアイロン面を含む装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スチーム吹き出し穴を備えるしわ伸ばしブラシに管路により接続されたスチーム生成装置を内蔵するベースを含むスチームアイロン装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。本文献においては、ベースは、上端にアーチを具備した伸縮形マストを含み、マストは、しわ伸ばし作業時にアイロンをかける衣服が押し当てられる硬質のアイロン面を含むボードを支持する。
【0003】
そのようなアイロン装置は、製造コストが低く、ファイバーのブラッシングと組み合わせた時、反りまたはアーチ上に垂直に掛けられた衣服のすばやいしわ伸ばしが行える飽和水蒸気束をすばやく生成できるという長所を有し、衣服をしわ伸ばしブラシに当たった状態に保持しより強い張力をファイバーに与えることができる垂直ボードが存在することによりファイバーのブラッシングが容易になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2007/108577号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2004/023957号パンフレット
【特許文献3】欧州特許第1122400号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながらそのような垂直ボードは、寸法がきわめて不充分で、アーチに掛けられた衣服の表面全体を押圧することができないという欠点を有する。さらにそのような垂直ボードは寸法が小さいにも関わらず依然としてかさが大きく伸縮形マストの格納に支障をきたす。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって本発明の目的は、これらの欠点を解消し構造がきわめて単純なアイロン装置を提供することである。
【0007】
この目的のため、本発明は、スチームを吹き出させるための少なくとも1つの穴を備えるしわ伸ばしブラシに管路により接続されたスチーム束を生成するための装置を内蔵するベースを含むスチームアイロン装置において、ベースが、しわ伸ばしブラシの使用時に、アイロンをかける衣服を押し当てられるアイロン面を含み、その格納のためアイロン面を折り曲げるまたは巻き取ることができることを特徴とするスチームアイロン装置を対象とする。
【0008】
本発明の別の特徴によれば、アイロン面は、表面の端部に配設された少なくとも1つの保持要素により展開された状態に保持される柔軟な表面で構成される。
【0009】
本発明の別の特徴によれば、本装置は、柔軟な表面の両端に張力を加える2つの保持要素を含む。
【0010】
本発明の別の特徴によれば、アイロン面は、同面がそのほぼ全長にわたって展開する作業位置と、同面が折り畳まれる格納位置とを占めることができる。
【0011】
本発明の別の特徴によれば、アイロン面は長方形であり、1mを超える長さに展開することができる。
【0012】
本発明の別の特徴によれば、ベースはアイロン面の格納装置を支承する垂直マストを含む。
【0013】
本発明の別の特徴によれば、マストは伸縮形である。
【0014】
本発明の別の特徴によれば、アイロン面は、作業位置にある時、マストに沿って延びる。
【0015】
本発明の別の特徴によれば、マストはその上端でアーチを支持し、アイロン面の保持要素はアーチの基部に配設される。
【0016】
本発明の別の特徴によれば、アイロン面の保持要素は、アイロン面の一端部が固定されたパイプで構成され、前記アイロン面が格納位置にある時は、アイロン面はパイプの周囲に巻き取られ、アイロン面が作業位置にある時は、パイプから展開される。
【0017】
本発明の別の特徴によれば、パイプは長手方向軸を中心として回動可能であり、パイプの周囲へのアイロン面の自動巻き取りを行う復帰手段を含む。
【0018】
本発明の別の特徴によれば、パイプに固定された端部とは反対側のアイロン面の端部は、アイロン面を作業位置に保持するためのベースの要素と協動する固定手段を含む横方向ビームにより補強される。
【0019】
本発明の別の特徴によれば、アイロン面はスチームに対し透過性を有する。
【0020】
本発明の別の特徴によれば、アイロン面は織物である。
【0021】
本発明の別の特徴によれば、アイロン面はPTFE被覆ファイバー織物である。
【0022】
本発明の別の特徴によれば、アイロン面は作業位置において平面である。
【0023】
本発明の目的、態様および長所は、非限定的例として示し添付の図面を参照して行う本発明の特定な一実施形態についての以下の記述により、よりよく理解できよう。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、単純な構成で、衣服の大部分を定位置に保持するのに充分な表面積のアイロン面を格納することが可能な単純な構造のアイロン装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】アイロンカーテンが格納位置にある時の、本発明のある特定の実施形態によるアイロン装置の斜視図である。
【図2】アイロンカーテンが作業位置にある時の、図1の装置の別の斜視図である。
【図3】カーテンが作業位置にある時の、図1の装置の側面図である。
【図4】カーテンが、格納位置と作業位置の間の中間位置にある時の、装置のマストの上端に固定されたアーチの斜視図である。
【図5】カーテンが格納位置にある時の、図4のアーチの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の理解に必要な要素のみを示した。図面の読み取りを平易にするために、図が変わっても同じ要素には同じ符号が付してある。
【0027】
図1から図3は、スチームを吹き出させるための穴を含むしわ伸ばしブラシ3に可とう管路2により接続されたスチームを生成するためのベース1を含むスチームアイロン装置を示し、ベース1は周知の通り、図示しないが、水飽和蒸気束を連続的に発生することが可能な沸騰室に接続されたウォータータンク10を含み、沸騰室は、同沸騰室によって発生された蒸気をしわ伸ばしブラシ3に自由に拭き出させることが可能になるよう、可とう管路2に直接接続される。
【0028】
そのような蒸気発生ベース1は当業者にはよく知られており、たとえば、詳細に記述されているスチーム生成のためのベースに技術的に類似している(たとえば、特許文献2参照)。
【0029】
図1によれば、ベース1は、3つの伸縮形区間と、しわを伸ばす布がセットされるアーチ4を支持する上端とを備えるマスト11を含み、アーチ4は、しわ伸ばしブラシ3用収納部を形成する切り欠き40をその頂上部に含むのが有利である。
【0030】
より詳細には、本発明によれば、図2に記載のように、ベース1は、しわ伸ばしブラシ3を使用して衣服が処理される時には、アイロンをかける衣服のための支持面となるアイロン面50も含む。アイロン面は、面50の端部に配設された2つの保持要素51、52の間に展開された状態で保持される柔軟な表面50であって、アーチ4のベースに配設されたパイプ52を備える格納装置5に取り付けられた布製の長方形カーテン50で構成されるのが有利である面から成り、パイプ52はアーチ4に回動可能に取り付けられる。
【0031】
パイプ52は、2つの保持要素のうちの、カーテン50の長手方向端が固定された要素を構成し、他方の保持要素は、カーテン50の他方の長手方向端に配設される横方向ビーム51で構成され、パイプ52は、カーテン50がパイプ52の周囲に完全に巻き取られる図1から図5に示すような格納位置への自動復帰手段を含む。
【0032】
パイプ52の自動復帰手段は、コイルばね53で構成されるのが有利であり、たとえば、記載されている復帰手段と同様なものとする(たとえば、特許文献3参照)。
【0033】
横方向ビーム51は、カーテン50の全幅にわたって延び、図2に示す作業位置側にカーテン50を展開するためにユーザーがカーテン50に張力を与えることができる把握ハンドル54を含み、作業位置においてはカーテン50はパイプ52の外側に展開され、マスト11に沿って延び、その時カーテン50はほぼ垂直な位置を占め、好ましくは、図3でわかるように、若干、すなわち3°から10°程度傾斜している。
【0034】
図3から図5によれば、把握ハンドル54は、カーテン50を作業位置に保持し、横方向ビーム51が復帰ばね53の作用により格納位置に自動的に復帰するのを防止するために、伸縮形マスト11の下部区間によって支持された固定プレート12と協動するようになる鉤形の部分54Aを有する。
【0035】
好ましくは、固定プレート12は、伸縮形マスト11の下部に沿って平行移動することができ、横方向ビーム51がプレート12に固定された時、カーテン50全体またはカーテンの一部分が展開されるようユーザーが所望の高さに固定プレート12を配置することができるようにする図示しない固定手段を具備する。
【0036】
例として、カーテン50は、たとえば、40cm程度の幅、および110cm程度の長さを有し、その結果、カーテンが完全に展開された時、アーチに掛けられた衣服の大部分を定位置に保持するのに充分な表面積が得られる。カーテン50は、織物加工されPIFE(ポリテトラフルオロエチレン)の被覆が施された厚さ0.3mm程度のグラスファイバー製布で構成されるのが有利であるが、そのような布は、スチームに対する透過性を有しつつもスチームに対する強度を有し、スチーム束をうけても過度に弛緩しないという長所を有する。
【0037】
図3に示すように、ユーザーがしわ伸ばしブラシ3をカーテン50に対し直角に当てた時、しわ伸ばしブラシ3に当たるカーテン50の抵抗を感じ取ることができるよう、パイプ52のばね53は、カーテン50の横方向ビーム51がプレート12に固定された時、カーテンに張力を加えるようになる復帰トルクを発生するよう寸法設計される。
【0038】
このようにして、支持面を形成するフレキシブルカーテン50を含むスチームアイロン装置が得られ、この支持面により、しわ伸ばしブラシ3が当たった時、衣服を良好に保持し、ユーザーがしわ伸ばしブラシ3を使用して衣服に圧力を加えることができるようにし、その結果、アイロンをかける衣服の繊維を緊張させ、アイロンがけの性能を向上させることが可能になる。
【0039】
そのようなカーテン50は、図5に示す格納位置に復帰することも可能であるという長所も有し、この格納位置では、把握ハンドル54の鉤形部分54Aがアーチ4のベースの開口部41に嵌入するようになり、その結果、カーテン50はアーチ4の体積内に完全に組み込まれる。したがって、このようにして格納されたカーテン50は、保存時の装置の体積を減らすために完全に折り畳むことができる伸縮形マスト11のレベルにおいて何ら不都合をもたらさない。
【0040】
さらに、パイプ52の周囲にカーテン50を巻き付けることは、カーテン50が格納位置にある時にカーテンが保護されるという長所があり、それによりカーテン50が埃に触れることを避けることができ、その結果、カーテンは常に清潔であり、ユーザーが装置の使用を所望した場合、すぐに使用可能である。
【0041】
もちろん本発明は、もっぱら例として記述し図示した実施形態に何ら限定されるものではない。特に種々の要素の構成の見地から見て、または同等の技術で置き換えることにより、本発明の保護範囲から逸脱することなく変更が可能である。
【0042】
したがって、図示しない実施の変形形態においては、支持面として使用される布は、スチームに対する透過性を有する別の材料で作製することが可能である。
【0043】
したがって、図示しない別の実施の変形形態においては、パイプへのカーテンの自動復帰システムは、クランクによるパイプへのカーテンの手動巻き取りシステムに置き換えることが可能であり、その場合パイプはラチェットによる固定装置を含むことができる。
【0044】
したがって、図示しない別の実施の変形形態においては、装置は、アーチに加え、またはアーチの代わりに、アイロンをかける衣服をアイロン面に沿って保持することができるクリップを含むことができる。
【0045】
したがって、図示しない別の実施の変形形態においては、アイロン面の格納時、アイロン面がパイプに巻き取られるのではなく、アコーデオン状に折り曲げられるか、扇状に格納および展開できる。
【0046】
したがって、図示しない別の実施の変形形態においては、アイロン面は、アイロン面の外周全体にわたり配設された弾性変形フレームにより展開された状態に保持することができる。
【0047】
したがって、図示しない別の実施の変形形態においては、アイロン面は、パイプへのカーテンの巻付けができるように、横に並べられ相互に連接された一連の硬質ブレードを含むカーテンで構成することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 ベース
2 管路
3 ブラシ
5 格納装置
11 垂直マスト
12 要素
50 アイロン面
51 横方向ビーム
52 パイプ
54A 固定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチームを吹き出させるための少なくとも1つの穴を備えるしわ伸ばしブラシ(3)に管路(2)により接続されたスチーム束を生成するための装置を内蔵するベース(1)を含むスチームアイロン装置であって、前記ベース(1)は、しわ伸ばしブラシ(3)の使用時にアイロンをかける衣服が押し当てられるアイロン面(50)を含み、その格納のため前記アイロン面(50)を折り曲げるまたは巻き取ることができることを特徴とするスチームアイロン装置。
【請求項2】
前記表面(50)は柔軟な表面であり、表面(50)の端部に配設された少なくとも1つの保持要素(51、52)により展開された状態に保持されることを特徴とする請求項1に記載のスチームアイロン装置。
【請求項3】
柔軟な表面(50)の両端に張力を加える2つの保持要素(51、52)を含むことを特徴とする請求項2に記載のスチームアイロン装置。
【請求項4】
前記アイロン面(50)は、アイロン面(50)がそのほぼ全長にわたって展開する作業位置と、前記アイロン面(50)が折り畳まれ巻き取られる格納位置とを占めることができることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のスチームアイロン装置。
【請求項5】
作業位置において、アイロン面(50)は長方形を有し、1mを超える長さに展開することができることを特徴とする請求項4に記載のスチームアイロン装置。
【請求項6】
前記ベース(1)はアイロン面(50)の格納装置(5)を支承する垂直マスト(11)を含むことを特徴とする請求項4または5に記載のスチームアイロン装置。
【請求項7】
マスト(11)は伸縮形であることを特徴とする請求項6に記載のスチームアイロン装置。
【請求項8】
アイロン面(50)は、作業位置にある時、マスト(11)に沿って延びることを特徴とする請求項6または7に記載のスチームアイロン装置。
【請求項9】
前記マスト(11)はその上端でアーチ(4)を支持すること、およびアイロン面(50)の保持要素(52)はアーチ(4)の基部に配設されることを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載のスチームアイロン装置。
【請求項10】
アイロン面(50)の保持要素は、前記アイロン面(50)の一端部が固定されたパイプ(52)で構成され、前記アイロン面(50)が格納位置にある時は、前記アイロン面(50)はパイプ(52)の周囲に巻き取られ、前記アイロン面(50)が作業位置にある時は、パイプから展開されることを特徴とする請求項4から9のいずれか一項に記載のスチームアイロン装置。
【請求項11】
前記パイプ(52)は長手方向軸を中心として回動可能であり、パイプ(52)の周囲へのアイロン面(50)の自動巻き取りを行う復帰手段(53)を含むことを特徴とする請求項10に記載のスチームアイロン装置。
【請求項12】
パイプ(52)に固定された端部とは反対側のアイロン面(50)の端部は、アイロン面(50)を作業位置に保持するためのベース(1)の要素(12)と協動する固定手段(54A)を含む横方向ビーム(51)により補強されることを特徴とする請求項10または11に記載のスチームアイロン装置。
【請求項13】
前記アイロン面(50)はスチームに対する透過性を有することを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載のスチームアイロン装置。
【請求項14】
前記アイロン面(50)は織物であることを特徴とする請求項13に記載のスチームアイロン装置。
【請求項15】
前記アイロン面(50)はPTFE被覆ファイバー織物であることを特徴とする請求項14に記載のスチームアイロン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−90931(P2013−90931A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−233994(P2012−233994)
【出願日】平成24年10月23日(2012.10.23)
【出願人】(594034072)セブ ソシエテ アノニム (63)
【Fターム(参考)】