説明

すかし表示装置

【課題】 すかし入り紙体のすかしの確認操作を、取扱者以外の人には気付かれないように操作できるすかし表示装置に関する。
【解決手段】 枠体の表面に位置した透光性薄板の裏面側には、電気発光体と、この電気発光体への通電電流を制御するスイッチ素子とを設け、この電気発光体と対向する透光性薄板の表面に光の透光部を形成しながら、その透光部の周囲に覆い板を配置している。そして、この覆い板はその全部もしくは透光部の外周全体が含まれる部分を磁性体薄板で形成し、また、不透光性の非磁性体素材で形成した筒状体の着脱面には複数個の磁石を取り付け、筒状体はこの磁石によって磁性体薄板に吸着保持できる。すかし入り紙体はすかしの部分を透光部に位置させ、筒状体と磁性体薄板との間で仮留めしてスイッチ素子に導通すると、筒状体の正面にいる人だけすかしの確認ができ、側方にいる人はすかしの確認操作に気付くことはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
すかし入り紙体である、例えばお札のすかしを普通の金銭受領操作の間で確認することができるすかし表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、すかし入りの紙体におけるすかしの有無は、手近かな場所にある光源から発生した光をすかし入りの紙体の裏面から当てれば、誰でも簡単にその有無を確認することができる。また、大量に判定するときには光源と、この光源の上に配置した透光板とを有する装置を使い、この透光板の上にすかし入りの紙体、例えば紙幣を置いてすかしの有無を確認することができる。そして、このすかしの有無を確認する必要性は、低金額の物品の購入時の支払いが高額のお札で行われてつり銭を出すときであり、普通はレジスターの付近に光源が置かれ、この光源によって紙幣のすかしの確認が行われる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように、レジスターの付近に光源を置いたり、それとわかる装置を使って紙体であるお札のすかしの確認作業は、特にその行為をレジ係りが行うときには、支払われた紙幣を偽札と疑っている動作であり、また、この確認するための動作は物品の購入者にも直ぐわかるから不快な思いをする人も出てくる。また、この確認行為に対してクレームをつける人もおり、紙体に仕込まれたすかしを確認する作業が誰でも非常に簡単にできるといっても、レジ係りの金銭受領過程の操作でお札のすかしの確認をおこなうことは、それに気付かれて実際の確認作業は行いにくいものであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は上記課題を解決するもので、透光性薄板1の裏面には、電気発光体2と、この電気発光体2への通電電流を制御するスイッチ素子3とを配置し、透光性薄板1の表面には、前記電気発光体2と対向する位置に光の透光部4を形成する覆い板5を配置し、前記覆い板5の表面には、不透光性の非磁性体素材で形成した筒状体6を着脱自在に配置し、この筒状体6の中央に前記透光部4を位置させると共に、前記覆い板5と着脱する筒状体6の着脱面には複数個の磁石7を取り付け、かつ、前記覆い板5はその全部もしくは透光部4の外周全体が含まれる部分を磁性体薄板8で形成し、前記筒状体6は磁石7の磁力によって覆い板5との間にすかし入り紙体9を挟んで着脱自在に吸着しており、前記電気発光体2が点灯すればすかしが確認できる。
【0005】
また、前記スイッチ素子3は磁力により開閉制御される感磁性スイッチ素子で構成し、前記筒状体6を前記磁性体薄板8に吸着する磁石7の磁力によって感磁性のスイッチ素子3に導通して前記電気発光体2に点灯するから、すかし入り紙体9を挟めば直ぐにすかしが確認できる。
【0006】
また、前記磁性体薄板8は中央の透光部4の外周に位置する一個所にスリット部10を形成し、感磁性スイッチ素子で形成したスイッチ素子3は前記スリット部10に対向する透光性薄板1の裏面に配置されており、前記筒状体6に取り付けた磁石7の磁力が弱くとも確実にスイッチ素子3を閉路にできる。
【0007】
また、前記筒状体6の着脱面に取り付けた複数個の磁石7は等間隔に配置されており、前記磁性体薄板8は前記スリット部10の他にも第二スリット11を形成し、前記筒状体6の相隣り合う磁石7が、前記スリット部10と第二スリット11との間の磁性体薄板8にそれぞれ各一個吸着するように、前記第二スリット11が配置されているから、前記筒状体6に取り付けた磁石7の吸着位置の影響を受けずに確実にスイッチ素子3を閉路にできる。
【0008】
また、前記前記透光性薄板1は枠体12の表面に取り付けられており、その枠体12内には複数個のLED素子2aで構成した前記電気発光体2と、前記筒状体6に取り付けた磁石7の磁力で開閉する感磁性のスイッチ素子3と、前記電気発光体2のための電池電源13とを備え、前記枠体12の裏面には固定磁石14を取り付けて、その固定磁石14によって磁性体表面に枠体12を吸着固定して使用できるようになったから、すかしを確認しようとする取扱者の使いやすい場所ですかし入り紙体9の確認ができるようになった。
【発明の効果】
【0009】
この発明の電気発光体2からの光を透過する透光性薄膜1の透光部4の外周には磁性体薄膜8が取り付けてあり、一方、この透光部4が中央に位置することができる筒状体6の着脱面には複数個の磁石7を取り付けたから、すかし入り紙体9のすかし部分を透光部4に位置させながら、このすかし入り紙体9を磁性体薄膜8と筒状体6の間に挟んで保持することができるようになった。
【0010】
そして、このすかし入り紙体9を保持した状態で、スイッチ素子3に導通して前記電気発光体2から発光すれば、この光はすかし部分を透過して筒状体6の内部へ光が届き、取扱者はこの筒状体6の正面からこのすかしを確認できると共に、このすかしを透過した光は、筒状体6に邪魔されて側方にいる人からは見ることができないものである。また、筒状体6は不透光性であるから外部の光が遮断され、電気発光体の光量が弱くとも確実にすかしが確認できるようになった。
【0011】
したがって、この発明の装置を商店の金銭の受領操作を行うレジスターの付近で、この筒状体6の正面にレジ係りが位置するようにセットすれば、つり銭を要求される紙幣を受け取ったときに、この紙幣のすかし部分を透光部4に位置させながら筒状体6ですかし入り紙体(紙幣)9を挟んで前記電気発光体2を点灯すれば、紙幣のすかしの有無が直ちに確認でき、偽造紙幣でないときには、つり銭の小銭を出してレシートと一緒に物品の購入者に渡すことができる。
【0012】
この受け取ったすかし入り紙体(紙幣)9を磁石7のついた筒状体6を使って保持しながらレジスターを操作する動作は、特に違和感のある動作はなく、ごくありふれた金銭受領操作であり、また、前記電気発光体2の光はつり銭やレシートを受領する物品の購入者からは筒状体6に遮られて見ることはできず、この物品の購入者はレジ係りがすかし入り紙体(紙幣)9の確認動作を行っているとは気が付かず、レジ係りとの間で気まずい雰囲気やトラブルの発生を防ぐことができ、また、使用された紙幣が偽造されたものであれば直ぐに発見できるという効果が得られた。一般に、偽造されたお札の使用目的はつり銭を横領することにあるから、複数枚同時に使われることは稀であり、また、真券と同時に使えば手触りでその違いに気付かれやすいので、このような危険な使用法は行われない。このため、偽造紙幣は一枚使用がほとんどであるからレジ係りが確実に発見できるようになった。また、2〜3枚程度であればすかしの有無やすかしの数は確認できるので、すかしのない紙幣を見つけることができる。
【0013】
更に、この発明の前記電気発光体2に通電するためのスイッチ素子3として、感磁性スイッチ素子3で形成し、このスイッチ素子3を透光部4の外側の磁性体薄板8に接近する透光性薄板1の裏面に取り付けたから、筒状体6を吸着する磁石7によって磁性体薄板8が磁化された時の磁力線は、透光性薄板1の裏面まで届いて前記感磁性のスイッチ素子3が閉路となる。このため、すかし入り紙体9を挟んで筒状体6を磁性体薄板8に吸着させると、同時に前記スイッチ素子3が閉路となるので、直ちに電気発光体2は点灯するから特別なスイッチ素子3を閉路とする動作は不要であり、これはレジ係りが受け取った紙幣を仮止めする動作だけであるので不自然さはなく、すかしの確認動作が行われていることに気付かれにくくなった。
【0014】
更に、この発明の筒状体6が吸着する磁性体薄板8は透光部4の外周に位置する一個所にスリット部10を設け、前記感磁性スイッチ素子3を前記スリット部10に対向する透光性薄板1の裏面に取り付けたから、筒状体6の磁石7が吸着して磁性体薄板8が磁化された時の磁力線はスリット部10の磁気抵抗が大となり、この部分では散乱した磁力線が透光性薄板1の裏面まで容易に届き、弱い磁力の磁石7を使っていてもスイッチ素子3を確実に閉路とすることができた。
【0015】
また、前記筒状体6の着脱面に等間隔に取り付けた複数個の磁石7は、隣接する2個の磁石7が前記磁性体薄板8のスリット部10を挟んだ両側の磁性体薄板8に吸着するが、その吸着位置によっては磁化された磁性体薄板8の磁気は、この磁性体薄板8のスリット部10のない反対側に磁力線が迂回して誘導され、磁石7の吸着力が弱いときには感磁性スイッチ素子3が閉路にならないときがあった。
この発明の実施例では、スリット部10とは別に第二スリット11を前記磁性体薄板8に形成し、筒状体6の隣り合う磁石7がスリット部10と第二スリット11との間の磁性体薄板8の部分に、それぞれ各一個吸着するようになったから、磁化された磁性体薄板8の磁気は第二スリット11によって迂回方向は大きな磁気抵抗となっているから、スリット部10を通過する磁力線が多くなって確実にスイッチ素子3を閉路にすることができるようになった。
【0016】
また、図に示す実施例では、前記透光性薄板1は枠体12の表面に位置しており、この枠体12内にスイッチ素子3と、複数個のLED素子2aで構成した電気発光体2と、電池電源13とを配置すると共に、この枠体12の裏面には固定磁石14を取り付けたから、金属製のレジスターなどの磁性体の表面にこの枠体12が固定磁石14によって吸着固定できるようなり、現在使用中のレジスターの適所でレジ係りから良く見える場所に本願発明装置が簡単に取り付けできるので使い勝手が良くなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1はすかし入り紙体(紙幣)の確認状態を示す斜視図、図2はその断面図であって、12は本願発明装置を組み込む枠体、1はこの枠体12の表面の少なくとも一部を覆うように設置するガラスや透明樹脂で形成した透光性薄板、2はこの透光性薄板1の裏面の枠体12内に配置した電気発光体、3はこの枠体12内に配置して前記電気発光体2を点灯・消灯するスイッチ素子である。5は前記透光性薄板1の表面や枠体12の表面を覆うように配置した覆い板、4は前記電気発光体2と対向する位置の透光性薄板1から光が透過する面積やその形状を特定する透光部であり、この透光部4は前記覆い板5が不透光板材で構成されているときには板材からなる覆い板5を切り抜いた丸孔などで形成している。また、この覆い板5は所定形状の透光部4を残した外周に不透光性の塗料を付着させた塗料膜で形成しても良い。いずれにしても、この覆い板5は枠体12内の電気発光体2の光を所定形状の透光部4から透過させる働きがあればよく、透光部4以外からの光の漏洩を防いでいる。
【0018】
6は前記透光部4の上に配置する筒状に形成された筒状体、6aはこの筒状体6に形成された中央孔であり、この筒状体6は筒状の中央孔6aが形成されておれば外形形状が円筒状に限定されるべきではなく、テーパー状や半球状でもよい。また、筒状体6はその全体またはその外表面や内表面などが不透光体によって形成されており、この筒状体6を前記透光性薄板1の上に配置したときに、透光部4の外周よりも筒状体6の装着面を大きくしてこの不透光体によって光が直接筒状体6の外方から見えないようになっており、透光部4の光は筒状体6の内側の中央孔6aからのみ見ることができるようになっている。
したがって、内面の中央孔6aが貫通する筒状に形成されておればその外面に各種の掘り込み細工を施したものでも動作上は全く問題がない。また、この中央孔6aはこの部分から光が透過できればよいから、その内部が実質的に空洞になっているものだけに限定されるのではなく、光にとって空洞と同一視できる透明な棒状の樹脂でも同じ効果が得られており、透明の棒状樹脂の外周に不透光性部分が配置されておれば、この不透光性部分が前記筒状体6の働きをすることになる。
【0019】
8は覆い板5の全部もしくは透光性薄板1の透光部4の外周全体が含まれる部分に配置した磁性体薄板であり、前記覆い板5が鉄系金属板からなる磁性を持つ薄板で形成されている時には、この磁性体薄板8と覆い板5とを兼用させることができる。また、前記覆い板5が塗料の薄膜や合成樹脂の薄板で形成しているときには、この覆い板5は磁性体ではないから、前記透光部4の外周に位置してリング状の鉄系金属板を貼り付けるなどして磁性体薄板8を配置することになる。
【0020】
7は前記透光部4の上に筒状体6を配置して保持するために筒状体6の着脱面に複数個取り付けた磁石であり、前記筒状体6は非磁性体素材で構成してこの複数個の磁石7の磁力によって前記透光部4の外周に取り付けられた覆い板5を構成する磁性体薄板8に吸着することができ、このとき、前記透光部4のある面が傾斜面であっても、正しく筒状体6は中央孔6aを透光部4に位置させて吸着保持することができる。9はすかし入り紙体であって、この代表である紙幣は透光部4の上にすかしが位置した状態で、磁性体薄板8と筒状体6とによって狭着して固定しておくことができ、この状態で前記スイッチ素子3を閉路とすれば電気発光体2が発光し、この電気発光体2の光は筒状体6で固定された透かし入り紙体9のすかし部分を透過し、このすかしは前記筒状体6の中央孔6aを介して取扱者が確認することができる。
【0021】
そして、この透光部4からの光によって透過されたすかし入り紙体9のすかしは、前記筒状体6が不透光性状となっているからこの筒状体6の中央孔6aからのみ見ることができ、中央孔6aの正面にいない側方にいる人はこのすかしを見ることができず、また、すかしの確認が行われていることに気が付くことはない。
このため、商店などで金銭受領の操作をするときに、この発明の装置をレジスターの付近に設置し、筒状体6の中央孔6aがレジ係りだけに向くように透光部4の面を配置しておけば、物品の購入者から受け取った高額の紙幣を磁性体薄板8と筒状体6の間に狭着して、つり銭を用意しながら前記スイッチ素子3を閉路とすれば、すかし入り紙体(紙幣)9のすかしが確認でき、万一受け取った紙幣が偽造紙幣の時には物品の購入者に気付かれずに他の人と連絡をとって対応することができるようになった。
【0022】
一方、図に示す実施例は、このスイッチ素子3を閉路とする動作がすかし入り紙体9を磁性体薄板8と筒状体6の磁石7によって狭着するときに自動的に行なわれる構造を開示しており、前記スイッチ素子3は磁力により接点が開閉されるリードスイッチと呼ばれる感磁性のスイッチ素子で構成し、この感磁性スイッチ素子3を前記磁性体薄板8の裏面である透光性薄板1の裏面に配置している。このため、前記筒状体6に取り付けた磁石7が間隔を置いて複数個設置してあっても、この磁石7が吸着した磁性体薄板8の全体が磁石の働きをするようになるから、この裏面に配置した感磁性スイッチ素子3は磁性体薄板8が磁性を持ったときにこの磁力線に反応して接点を閉ざし、磁性体薄板8と筒状体6との間にすかし入り紙体9を挟着すれば直ちに前記電気発光体2が点灯するようになり、スイッチ素子3を単独で操作する必要はなく、取扱いが非常にシンプルとなった。
【0023】
ところで、この感磁性のスイッチ素子3の接点が切り替わる仕組みは、前記磁石7が吸着した磁性体薄板8は磁化されて磁力線が隣り合う磁石7の間の磁性体薄板8の中を流れると共に、この磁化された磁性体薄板8から磁力線が漏れ出ており、前記感磁性スイッチ素子3はこの漏れ出た磁力線で接点を切り替えしている。このためには使用する磁石7の磁力線が強いほうが好ましいが、この磁石7が強力であると前記筒状体6と磁性体薄板8との間に挟んだすかし入り紙体9を取り外す操作に大きな力が必要になって取扱いが面倒になる。そして、取扱い易くするには磁石7の吸着力を弱くしたいが、この磁石7の吸着力を弱くすると吸着した筒状体6の磁石7の位置によっては、前記感磁性スイッチ素子3を閉路とする磁力線が得られなくなってしまうことがある。
【0024】
実施例を示す図3は新たにこの問題を解決するために前記磁性体薄板8の形状を特定したものであり、10は磁性体薄板8の透光部4の外周に位置する一個所に形成したスリット部であり、磁性体薄板8はこのスリット部10によって分割、もしくは、スリット部10に設けた小さな接続部だけで連続するように構成している。また、このスリット部10に対向する透光性薄板1の裏面に前記感磁性スイッチ素子3を配置している。
この構造では吸着した磁石7によって磁性体薄板8が磁化されたとき、隣り合う磁石7の間の磁力線が磁性体薄板8の中を流れようとすると、この二つの磁石7の間に前記スリット部10があるから、この部分は磁力線にとって大きな磁気抵抗となり、磁性体薄板8を磁化した磁力線は磁気抵抗が大きいこのスリット部10で散乱して透光性薄板8の裏面まで磁力線が届くようになる。このため、弱い磁力の磁石7を使っていても前記感磁性スイッチ素子3は確実に接点を閉路とすることができるようになり、前記筒状体6と磁性体薄板8との間に挟み込んだすかし入り紙体9は簡単に取り外すことができた。
【0025】
また、図3に示す実施例において、11は等間隔に配置した複数個の磁石7のうちで磁性体薄板8に吸着する隣り合う磁石7の間に設けたスリット部10の他に形成した第二スリットであり、この第二スリット11の設置位置は、この第二スリット11と前記スリット部10との間の磁性体薄板8に筒状体6の相隣り合う磁石7が各一個吸着するようになっている。
【0026】
このため、磁石7によって磁化した磁性体薄板8の第二スリット11も磁力線にとっては大きな磁気抵抗となっているから、上記の実施例のようにスリット部10だけのときには、磁石7の取り付け位置によってはスリット部10の磁気抵抗部分を迂回して逆方向に多くの磁力線が流れてスリット部10で散乱する磁力線が少なくなる場合があったが、この迂回方向にも第二スリット11があるあるから、スリット部10を挟んで隣り合う磁石7の磁力線は感磁性スイッチ素子3を裏面に設けた磁気抵抗が大きなスリット部10を通過するようになり、前記筒状体6に取り付けた磁石7の吸着位置の影響を受けずに確実にスイッチ素子3を閉路にすることができるようになった。
【0027】
一方、この発明となるすかし表示装置は別の目的の枠体、たとえばレジスターの枠体の中に構成しても良いが、取り扱いやすくするためには専用の枠体12の中に組み込まれることが好ましい。図に示す実施例は薄形の専用の枠体12の中にすかし表示装置が組み込まれており、図2に枠体12の縦断面、図4に枠体12の横断面を表している。14はこの薄形枠体12の四隅の裏面に取り付けた固定磁石であり、前記枠体12はこの固定磁石14によって鉄系の鋼板などで構成する装置の表面に吸着固定することができる。また、すかし表示装置を取り付けたい装置が非磁性体である合成樹脂の樹脂加工品であれば、表面に鉄板を両面接着テープなどで密着することにより、この鉄板を使ってこの発明品のすかし表示装置を取り付けることができる。
【0028】
このため、すかし入り紙体9のすかしが確認しやすい位置にこの発明品が取り付けできるようになり、すかしを確認しようとする取扱者の使いやすい場所ですかし入り紙体9の確認ができるようになったから、金銭受領の操作が行なわれるレジスターの付近のレジ係りが立った位置からこの透光部4が良く見える場所に本願発明装置を取り付けることができ、レジ係りが受け取った紙幣を仮止めしながら、おつりとレシートを手渡す過程で、すかし入り紙体(紙幣)9のすかしの確認動作が行なわれ、このすかしの確認動作は物品の購入者には気付かれることはなく、トラブルに発展するおそれはほとんどなくなった。
【0029】
また、図に示す実施例の枠体12はベース板12aと上板12bの2枚の薄板を接着して構成され、この枠体12の中には電源部も組み込まれており、13はコイン型の電池電源、15はこの電池電源を装着するための引き出し型のトレイ、16は前記ベース板12aに設けられて前記トレイ15が出し入れできる電池収納部であり、この電池収容部16の上面はベース板12aの上に密着した上板12bが位置しており、前記枠体12の側方から薄形のコイン型の電池電源13を載せたトレイ15を、枠体12電池収納部16に差し込むことで電源部の装着が完了する。17はこの電池収納部17に先端を位置させた電池電源13の電極と接触する接点板であり、この接点板17はベース板12aと上板12bとを密着するときにその間に挟まれて固定されている。
【0030】
また、2aは前記電気発光体2を構成するための複数個のLED素子、18はこのLED素子2aを取り付けたLED基板、19は前記ベース板12aに形成した円形の凹部であり、この凹部19内にLED素子2aを備えたLED基板18が配置されている。前記感磁性スイッチ素子3はベース板12aと上板12bとの間に挟まれて固定されており、また、前記電池電源13の接点板17と感磁性スイッチ素子3とLED素子2aを取り付けたLED基板18との間の配線20も、ベース板12aと上板12bとの間に挟まれて固定されている。
【0031】
また、このベース板12aの上に密着する上板12bは、前記感磁性スイッチ素子3とLED基板18の部分が開口しており、この開口部分を覆うように前記透光性薄板1が枠体12の表面に埋め込まれて枠体12の表面全体が均一な平面を形成し、この透光性薄板1や上板12bの表面に前記覆い板5を構成する磁性体薄板8が密着して取り付けられている。そして、この磁性体薄板8に筒状体6の磁石7が吸着すれば、磁性体薄板8の直ぐ裏側に感磁性スイッチ素子3が位置するから、このスイッチ素子3は閉路となって複数個のLED素子2aを点灯させることができた。
【0032】
以上のように、この実施例では予め部品の配置位置が決められた薄板厚のベース板12aの上に各部品を配置し、その上から薄板厚の上板12bを密着し、この上板12bに透光性薄板1と磁性体薄板8を密着する工程によって、枠体12が完成するものであり、この枠体12の組み立ては簡単で、取扱者に安価に提供できるようになった。
【0033】
実施例を示す図5は筒状体6の他の実施例を示しており、この実施例の筒状体6は薄板厚の筒体で形成されており、薄板であるから磁性体薄板8に吸着する磁石7を直接取り付けることは困難である。21は合成樹脂で形成した透明円盤であり、この透明円盤21の外縁に前記筒状体6が立設している。そして、この筒状体6に取り付けた透明円盤21には前記磁石7が取り付けられており、薄板の筒状体6はこの透明円盤21を利用することで磁石7の取り付けが可能となった。また、この透明円盤21は前記透光性薄板1と同様に電気発光体2の光を透過することができ、筒状体6と透明円盤21が前記磁性体薄板8との間にすかし入り紙体9を挟んだときには、この透明円盤21がない時と同様に電気発光体2の光ですかしを確認することができる。また、透明円盤21の下面全体ですかし入り紙体9を透光性薄板1に押し付けながら挟むから、このすかし入り紙体9に皺や強い折り目があっても平らに伸ばすことができ、このように凸凹のあるすかし入り紙体9でもすかしの確認が行いやすくなった。
【0034】
また、図5に示す実施例において、22は筒状体6の上部の開口部分を閉ざす透明蓋であり、この透明蓋22の存在はこの筒状体6の側方にいる人にもわかり、この筒状体6はこの側方にいる人には穴のある筒体とは理解されず、穴のないひとつの塊として認識されるようになる。もし筒体であれば側方にいる人はこの中央の穴に気がつき、あの穴は何だろうとの疑問を持たれる恐れがあったが、この実施例では磁石7のついたひとつの塊としての認識となるから、この物体の中に透光部が形成されて、さらに、この磁石7のついたこの物体によって、挟まれた透かし入り紙体9のすかしを確認するものであるとは気付かれることはない。このため、レジスターの付近でレジ係りがすかし入り紙体(紙幣)9の確認を物品の購入者に気兼ねなく行うことができるようになった。また、図5の実施例の変形として、透明円盤21と透明蓋22とが一体で構成され、内部に空洞のない全体が透明体で形成されるときにも、これらの効果を得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明の実施例の使用中の斜視図である。
【図2】図1の実施例の使用中の状態を示す縦断面図である。
【図3】この発明を構成する部品である枠体の実施例を示す平面図である。
【図4】図3の実施例における枠体の横断面図である。
【図5】この発明を構成する部品である筒状体の他の実施例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 透光性薄板
2 電気発光体
2a LED素子
3 スイッチ素子
4 透光部
5 覆い板
6 筒状体
7 磁石
8 磁性体薄板
9 すかし入り紙体
10 スリット部
11 第二スリット
12 枠体
13 電池電源
14 固定磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性薄板1の裏面には、電気発光体2と、この電気発光体2への通電電流を制御するスイッチ素子3とを配置し、
透光性薄板1の表面には、前記電気発光体2と対向する位置に光の透光部4を形成する覆い板5を配置し、
前記覆い板5の表面には、不透光性の非磁性体素材で形成した筒状体6を着脱自在に配置し、この筒状体6の中央に前記透光部4を位置させると共に、
前記覆い板5と着脱する筒状体6の着脱面には複数個の磁石7を取り付け、かつ、前記覆い板5はその全部もしくは透光部4の外周全体が含まれる部分を磁性体薄板8で形成し、前記筒状体6は磁石7の磁力によって覆い板5との間にすかし入り紙体9を挟んで着脱自在に吸着することを特徴とするすかし表示装置。
【請求項2】
前記スイッチ素子3は磁力により開閉制御される感磁性スイッチ素子で構成し、前記筒状体6を前記磁性体薄板8に吸着する磁石7の磁力で感磁性のスイッチ素子3に導通して前記電気発光体2に点灯することを特徴とする請求項2に記載のすかし表示装置。
【請求項3】
前記磁性体薄板8は中央の透光部4の外周に位置する一個所にスリット部10を形成し、感磁性スイッチ素子で形成したスイッチ素子3は前記スリット部10に対向する透光性薄板1の裏面に配置されていることを特徴とする請求項2に記載のすかし表示装置。
【請求項4】
前記筒状体6の着脱面に取り付けた複数個の磁石7は等間隔に配置されており、前記磁性体薄板8は前記スリット部10の他にも第二スリット11を形成し、
前記筒状体6の相隣り合う磁石7が、前記スリット部10と第二スリット11との間の磁性体薄板8にそれぞれ各一個吸着するように、前記第二スリット11が配置されていることを特徴とする請求項3に記載のすかし表示装置。
【請求項5】
前記前記透光性薄板1は枠体12の表面に取り付けられており、その枠体12内には複数個のLED素子2aで構成した前記電気発光体2と、前記筒状体6に取り付けた磁石7の磁力で開閉する感磁性のスイッチ素子3と、前記電気発光体2のための電池電源13とを備え、
前記枠体12の裏面には固定磁石14を取り付けて、その固定磁石14によって磁性体表面に枠体12を吸着固定して使用する請求項2から請求項4のいずれか1項に記載のすかし表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−285927(P2006−285927A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−130360(P2005−130360)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【特許番号】特許第3760179号(P3760179)
【特許公報発行日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(502126677)東洋建物振興株式会社 (1)
【出願人】(596174813)
【Fターム(参考)】