説明

たくし上げカーテンの昇降装置

【課題】 カーテン生地の損傷を防止しながら、昇降コードの長さの調整によりカーテン生地の下限位置を設定し得るたくし上げカーテンの昇降装置を提供する。
【解決手段】 ヘッドボックス1からカーテン生地2を吊下支持し、ヘッドボックスから垂下される複数本の昇降コード3の一端部でカーテン生地の下縁を吊下支持し、昇降コードの他端部をヘッドボックス外へ案内してコードイコライザー11を介して操作コード12を接続し、操作コードにより昇降コードをヘッドボックスから引出し、あるいはヘッドボックス内に引き込ませてカーテン生地を昇降するたくし上げカーテンにおいて、昇降コード3の他端部を、ヘッドボックス1からカーテン生地2を挿通して該カーテン生地の前方へ案内し、ヘッドボックス1にはコードイコライザー11の上限位置を位置決めする保持板10を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、昇降コードの操作により、カーテン生地の下縁部を昇降するたくし上げカーテンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
たくし上げカーテンは、ヘッドボックスの前面からカーテン生地が吊下支持されるとともに、カーテン生地の後方でヘッドボックスから垂下される複数本の昇降コードでカーテン生地の下端部を昇降することにより、カーテン生地を窓面に沿って昇降可能となっている。
【0003】
このようなたくし上げカーテンの昇降装置の一種類として、複数本の昇降コードの端部をヘッドボックスの一端から引き出すことによりカーテン生地の引き上げ操作を行い、カーテン生地の重量を利用して昇降コードをヘッドボックス内に引き込ませることにより、カーテン生地の下降操作を行うものがある。
【0004】
この昇降装置では、ヘッドボックス外において昇降コードの端部がコードイコライザーを介して操作コードに接続され、コードイコライザーがヘッドボックスに当接するとき、昇降コードはスクリーン下降方向にそれ以上移動不能である。従って、コードイコライザーに対する昇降コードの接続位置を調節して昇降コードの長さを調節することにより、カーテン生地の下限位置を調整可能である。
【0005】
しかし、カーテン生地を昇降操作するために、操作コードをカーテン生地の中央部に向かって斜めに引くと、操作コードがカーテン生地の側縁に干渉するため、操作コードを繰り返し操作すると、カーテン生地が損傷する。
【0006】
また、別の昇降装置では、カーテン生地にハトメを取着し、複数本の昇降コードの端部をカーテン生地の後方からハトメに挿通し、カーテン生地の前方においてコードイコライザーを介して操作コードが接続されている。そして、操作コードを操作して昇降コードをヘッドボックスからハトメを介してカーテン生地の前方に引き出すと、カーテン生地が引き上げられ、昇降コードをハトメを介してヘッドボックス内に引き込ませると、カーテン生地が下降する。
【0007】
この昇降装置では、コードイコライザーがハトメに当接するまで昇降コードを引き込ませてもカーテン生地が撓んでコードイコライザーが位置決めされないため、昇降コードの長さの調整によりカーテン生地の下限位置を決定することは困難である。従って、カーテン生地の下限はカーテン生地自身の丈により設定される。
【0008】
特許文献1には、操作コードの操作により、カーテン裾部の形状を多様に変化させることができる装飾カーテンの昇降装置が開示されている。
【特許文献1】特開2000−116502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のようにヘッドボックスの端部から昇降コードを引き出す昇降装置では、カーテン生地の昇降操作時に、カーテン生地の側縁が損傷し易いという問題点がある。
また、昇降コードをハトメから引き出す昇降装置では、昇降コードの長さの調整によりカーテン生地の下限位置を設定することは困難である。
【0010】
この発明の目的は、カーテン生地の損傷を防止しながら、昇降コードの長さの調整によりカーテン生地の下限位置を設定し得るたくし上げカーテンの昇降装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1では、ヘッドボックスからカーテン生地を吊下支持し、前記ヘッドボックスから垂下される複数本の昇降コードの一端部でカーテン生地の下縁を吊下支持し、前記昇降コードの他端部を前記ヘッドボックス外へ案内してコードイコライザーを介して操作コードを接続し、前記操作コードにより前記昇降コードを前記ヘッドボックスから引出し、あるいはヘッドボックス内に引き込ませて前記カーテン生地を昇降するたくし上げカーテンにおいて、前記昇降コードの他端部を、前記ヘッドボックスから前記カーテン生地を挿通して該カーテン生地の前方へ案内し、前記ヘッドボックスには前記コードイコライザーの上限位置を位置決めする保持板を設けた。
【0012】
請求項2では、前記カーテン生地の下縁は、上方へ折り返した端部を前記昇降コードで昇降可能として無端縁とし、前記昇降コードの一端部には該昇降コードの長さを調整する調整手段を備えた。
【0013】
請求項3では、前記保持板を前記カーテン生地の後方に位置させ、該保持板に前記昇降コードを挿通した。
請求項4では、前記保持板及びカーテン生地には、昇降コードとの摩擦を軽減する緩衝材を取着し、前記コードイコライザーは前記カーテン生地に取着した緩衝材を介して前記保持板に位置決めされる。
【0014】
請求項5では、前記調整手段は、前記昇降コードの他端部を巻き付け可能としたコードキャッチとした。
請求項6では、前記保持板には、前記ヘッドボックスの下面に沿う取付片と、該取付片と前記保持板との間の角度を一定に維持する補強片とを備えた。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、カーテン生地の損傷を防止しながら、昇降コードの長さの調整によりカーテン生地の下限位置を設定し得るたくし上げカーテンの昇降装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明を具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。図1及び図2に示すたくし上げカーテンは、ヘッドボックス1の前面から経木すだれにてなるカーテン生地2が垂下されている。前記カーテン生地2の後方において、前記ヘッドボックス1から複数本の昇降コード3の一端が垂下され、その昇降コード3の一端にコードキャッチ4がそれぞれ取着されている。また、コードキャッチ4は昇降コード3の一端部を巻き付け可能であり、昇降コード3の長さを調整する調整手段としての機能を備えている。
【0017】
前記コードキャッチ4の前面にはフック5が設けられ、前記カーテン生地2の下縁の複数箇所には掛止めリング6が取着されている。そして、その掛止めリング6が前記フック5にそれぞれ吊下支持されている。
【0018】
前記昇降コード3の他端側は、それぞれコードガイド7を介してヘッドボックス1の一端側へ案内され、ストッパー装置8及びコードガイド9を経て、ヘッドボックス1の下方に案内される。そして、ヘッドボックス1の一端部において、同ヘッドボックス1の前面から下方に向かって延びる保持板10に挿通され、さらに前記カーテン生地2に挿通されてカーテン生地2の前方に案内されて、コードイコライザー11に接続されている。
【0019】
前記コードイコライザー11には、操作コード12の一端が接続され、その操作コード12の他端は前記掛止めリング6に接続されている。
前記保持板10は金属板で形成され、図4に示すように、その上部に直角に折り曲げられた取付片17が形成され、その取付片17にはヘッドボックス1に対し位置決めするための係止片18が4箇所形成されている。そして、取付片17をヘッドボックス1の下面にあてがった状態で、同取付片17の両端部がヘッドボックス1にビス止めされる。
【0020】
また、保持板10の上部両側には、前記取付片17側に向かって直角に折り曲げられた補強片19が設けられている。そして、その補強片19が取付片17の下面に当接することにより、保持板10が取付片17側に曲がらないように補強されている。
【0021】
前記保持板10の下部に前記昇降コード3を挿通可能とした透孔が形成され、その透孔の周縁部に昇降コード3との摩擦を軽減する環状の緩衝材13が嵌着されている。
また、前記カーテン生地2には前記昇降コード3を挿通するための挿通孔が前記保持板10の透孔に対応する位置に設けられ、その挿通孔に前記緩衝材13と同様な緩衝材14が嵌着されている。
【0022】
前記緩衝材14,13は、前記昇降コード3のみを挿通可能である。従って、前記コードイコライザー11は緩衝材14に当接すると、保持板10に位置決めされた状態となり、上方へのそれ以上の移動はできないようになっている。
【0023】
そして、コードイコライザー11が緩衝材14に当接する状態では、図2に示すように、カーテン生地2の下端部が上方へ折り返された状態で無端状に吊下支持されるように、昇降コード3の長さが調整されている。
【0024】
前記ヘッドボックス1の前面には、カバープレート15を介してバランス16が取着されている。このバランス16は、カーテン生地2と同材質で形成され、前記ヘッドボックス1の前面及び前記保持板10等が、室内側からの視界から遮られている。
【0025】
さて、上記のように構成されたたくし上げカーテンを引き上げるには、操作コード12を操作して昇降コード3の他端部をヘッドボックス1から引き出す。すると、図3に示すように、カーテン生地2の後方で昇降コード3の一端部が引き上げられ、カーテン生地2の端部が引き上げられて、カーテン生地2の無端状の下縁が上昇する。
【0026】
カーテン生地2を所望位置まで引き上げた後、操作コード12を手放せば、ストッパー装置8の動作により、カーテン生地2の自重降下が阻止される。従って、カーテン生地2が所望位置に吊下支持される。
【0027】
また、操作コード12の操作により、ストッパー装置8の動作を解除すると、カーテン生地2の自重による下降が可能となり、昇降コード3の他端部をヘッドボックス1内に引き込ませれば、カーテン生地2の無端縁が下降する。そして、再びストッパー装置8を作動させれば、カーテン生地2が所望位置に吊下支持される。
【0028】
図2に示すように、コードイコライザー11が保持板10に当接すると、昇降コード3の他端部をそれ以上ヘッドボックス1内に引き込ませることはできない。従って、この状態ではカーテン生地2が下限まで下降した状態となる。
【0029】
上記のように構成されたたくし上げカーテンでは、次に示す作用効果を得ることができる。
(1)カーテン生地2の昇降操作時に、操作コード12をカーテン生地2の前方で操作して、カーテン生地2の側縁との干渉を防止することができる。従って、カーテン生地2の昇降操作にともなう損傷を防止することができる。
(2)コードイコライザー11を位置決めする保持板を10を設けたので、コードイコライザー11が保持板10に位置決めされたとき、カーテン生地2が下限まで下降した状態となる。従って、昇降コード3の長さを調整することにより、カーテン生地2の下限位置を調整可能である。
(3)カーテン生地2の下端部を無端状に吊下支持するたくし上げカーテンでは、カーテン生地2の伸びが生じると、図2に鎖線で示すように、カーテン生地2の下限位置が下がってしまう。また、カーテン生地2が縮んだ場合には、下限位置が上昇する。このような場合には、昇降コード3の一端部をコードキャッチ4に巻き付け、あるいは巻き戻して長さを調整することにより、カーテン生地2の下限を微調整することができる。
(4)保持板10に設けた補強片19により、カーテン生地2を下限まで下降させたとき、カーテン生地2等の重量がコードイコライザー11を介して保持板10に作用しても、保持板10と取付片17との角度を直角に維持して、保持板10の曲がりを防止することができる。
(5)保持板10及びカーテン生地2に取着した緩衝材に13,14により、昇降コード3の操作を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】たくし上げカーテンを示す正面図である。
【図2】たくし上げカーテンを示す側面図である。
【図3】たくし上げカーテンを示す側面図である。
【図4】保持板を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
1…ヘッドボックス、2…カーテン生地、3…昇降コード、4…調整手段(コードキャッチ)、10…保持板、11…コードイコライザー、12…操作コード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドボックスからカーテン生地を吊下支持し、前記ヘッドボックスから垂下される複数本の昇降コードの一端部でカーテン生地の下縁を吊下支持し、前記昇降コードの他端部を前記ヘッドボックス外へ案内してコードイコライザーを介して操作コードを接続し、前記操作コードにより前記昇降コードを前記ヘッドボックスから引出し、あるいはヘッドボックス内に引き込ませて前記カーテン生地を昇降するたくし上げカーテンにおいて、
前記昇降コードの他端部を、前記ヘッドボックスから前記カーテン生地を挿通して該カーテン生地の前方へ案内し、前記ヘッドボックスには前記コードイコライザーの上限位置を位置決めする保持板を設けたことを特徴とするたくし上げカーテンの昇降装置。
【請求項2】
前記カーテン生地の下縁は、上方へ折り返した端部を前記昇降コードで昇降可能として無端縁とし、前記昇降コードの一端部には該昇降コードの長さを調整する調整手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のたくし上げカーテンの昇降装置。
【請求項3】
前記保持板を前記カーテン生地の後方に位置させ、該保持板に前記昇降コードを挿通したことを特徴とする請求項1又は2記載のたくし上げカーテンの昇降装置。
【請求項4】
前記保持板及びカーテン生地には、昇降コードとの摩擦を軽減する緩衝材を取着し、前記コードイコライザーは前記カーテン生地に取着した緩衝材を介して前記保持板に位置決めされることを特徴とする請求項3記載のたくし上げカーテンの昇降装置。
【請求項5】
前記調整手段は、前記昇降コードの他端部を巻き付け可能としたコードキャッチとしたことを特徴とする請求項2記載のたくし上げカーテンの昇降装置。
【請求項6】
前記保持板には、前記ヘッドボックスの下面に沿う取付片と、該取付片と前記保持板との間の角度を一定に維持する補強片とを備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のたくし上げカーテンの昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−280632(P2006−280632A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−105025(P2005−105025)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000250672)立川ブラインド工業株式会社 (224)
【Fターム(参考)】