説明

たばこフィルタートウ、たばこフィルターロッド、たばこフィルターチップ、およびたばこ。

【課題】高捲縮消失エネルギー(UCE)および低フライを有する酢酸セルローストウを含んだたばこフィルタートウを提供する。
【解決手段】平均UCEの平均フライに対する関係が、フライ(g/30分)<0.00009e(0.0209UCE)であり、かつフライ値が最大0.06である、酢酸セルローストウを含んだたばこフィルタートウであって、トウを可塑化するステップと、スタッファーボックスチャネルに連通して誘導捲縮ロール及び蒸気インジェクターを有する捲縮機を用いて、可塑化の後にトウを捲縮するステップとを含んだプロセスによって製造されているたばこフィルタートウ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酢酸セルローストウおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酢酸セルローストウの製造元は、均一な圧力低下(PD)をたばこフィルター製造元に提供している。しかし、トウは重量で販売されている。PDと重量との間の関係を歩留まり(PD/重量)と呼ぶ。歩留まりは、x軸が重量でy軸がPDであるグラフ上の線によって表されることが多い。歩留まり線の最下端は、ロッドがくぼんだ端部を形成する点として定義され、歩留まり線の最上端は、トウが多すぎるためロッドが分裂したり、装置のロールの巻き付きが起こったりする点として定義されている。Browne,C.L.,TheDesign ofCigarettes,Hoechst Celanese Corporation,1990,page66。
【0003】
たばこフィルターは非常に複雑な機構であり、多くの要因が、その製造および性能に影響を与えている。すべての複雑な機構と同様に、これらの要因は相互に関連している場合が多く、そのため、ある要因が変化すると他の要因に影響が生じることになる。本明細書において特に対処されるいくつかの要因としては、硬度、圧力低下、PD変動性、フライ、および開繊性が挙げられる。これらの性質は、トウ供給元よりもフィルター製造元によって考慮されている。ロッドの性質の1つである硬度は、規定の接触時間の間、規定の荷重下でのフィルターロッドの変形のことである。ロードセル重量および接触時間は、使用される機器に依存している。一般に硬度は、維持される直径のパーセント値として表現される(すなわち、パーセント値が高いほど望ましい)。ロッドの性質であるPD変動性は、多数のロッドのPD均一性のことであり、Cv(変動係数)によって定量化されている。フィルター製造元は、たばこ煙成分の供給の変動性を最小限にするため、Cvができる限り低くなることを望んでいる。トウの性質の1つであるフライは、「リント」とも呼ばれ、これは多くの場合定量化されないが、フィルター製造元には容易に明らかとなるように、ベールからまたはロッド製造機からトウを取り出すときに、欠陥フィルターロッド(繊維の塊、虫食い穴)の大きな原因となり、開繊およびロッド製造機械のより頻繁な洗浄の原因となり得る。トウの性質の1つである開繊性は、トウの位置を完全にずらす、すなわち「開花」させるために、ロッド製造設備における開繊の容易さのことであり、ほとんど定量化はされないが、フィルター製造元には容易に明らかとなる。
【0004】
明らかに、フィルター製造元は、所望の硬度および低PD変動性、容易な開繊性を有し、フライを有さないロッドが提供されるトウ製品を要求している。現在の最新技術でも、そのような製品は入手できない。さらに、このような製品を製造する経路は、たばこフィルターおよびたばこフィルタートウの製造に関連する複雑性のために不明瞭である。
【0005】
当業者であれば、硬度、圧力低下、PD変動性、フライ、および開繊性が、トウの捲縮によって影響され得ることを知っている。捲縮は、製造中に合成繊維に付与される縮れのことであり、捲縮レベルは、捲縮消失エネルギー(UCE)として測定することが可能である。当業者であれば、1つの性質を改善させるために捲縮に影響を与えると、他の性質に悪影響を及ぼすことが多いことを理解している。たとえば、UCEを増加させるとフライが増加し(不都合)、PD変動性が低下し(好都合)、開繊性が抑制され(不都合)、他の工程条件は一般に変化しない。
【0006】
非常に高い捲縮を有する製品が製造されているが、問題がないわけではない。たとえば、RhodiaAcetow(登録商標)は、商品名Rhodia SK(登録商標)の製品を製造している。Rhodia SK(登録商標)は、高歩留まりトウ(低重量で高いPDを意味する)であり、高い捲縮でこの結果が得られる。しかし、RhodiaSKは、通常よりもフライが多く、従来のトウに典型的な条件においては開繊が困難である。これは一般通念の通りである。開繊に関する問題は、従来のロッド製造設定を変更する必要性のために見られ、すなわち、トウの位置を完全にずらす、すなわち「開花」させるためにさらなる作業を必要とし、このようなトウは、ロッド製造装置上のねじ付きロール設計、ねじ付きロール圧力、および/またはロール速度比を変化させることによって実現することができる。このような作業が増加すると、繊維が破壊されるためにさらにフライが生じることになる。
【0007】
したがって、開繊が容易であり、所望の硬度、低PD変動性、および低フライを有するフィルターロッドが得られるトウ製品をいかにして製造するかが問題となる。従来技術に基づいた場合、そのような製品は、高捲縮トウ単独によっては得ることができない。
【0008】
特許文献1には、ニップローラーが円周上に溝を有するスタッファーボックス捲縮機が開示されている。
【0009】
特許文献2(1991年12月27日に出願された特許文献3に基づく)は、たばこトウ製造のためのスタッファーボックス捲縮機に関する。この特許は、捲縮前にトウの端部を、25〜50cc/分の供給速度の潤滑剤(すなわち水)で潤滑させることで、フライが減少することを教示している。
【0010】
特許文献4には、スタッファーボックス捲縮機中でポリエステルトウを蒸気捲縮させることが開示されている。20〜40psigの蒸気がスタッファーチャンバー中に導入されている。特許文献5および特許文献6には、蒸気捲縮機の上流、またはトウが捲縮機中にあるときに、トウを蒸気で熱処理することが開示されている。特許文献7には、捲縮機上流でのトウの熱処理が開示されている。特許文献8には、捲縮機のスタッファーボックス中で捲縮させるときに繊維上に噴射されるわずかに過熱した(乾燥)蒸気を使用する、捲縮リオセル(溶媒紡糸セルロース)の製造方法が開示されている。過熱された蒸気は、5psi〜70psiまたはそれを超える圧力である。
【0011】
特許文献9には、捲縮レベルが増加すると、トウのフライ(けば)も増加することが示されている。実施例に注目されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第3353239号明細書
【特許文献2】特許第2964191号公報
【特許文献3】特願平3−358234号公報
【特許文献4】米国特許第3305897号明細書
【特許文献5】米国特許第5225277号明細書
【特許文献6】米国特許第5618620号明細書
【特許文献7】特願昭54−127861号公報
【特許文献8】米国特許第5591388号明細書
【特許文献9】国際公開第02/087366号パンフレット
【発明の概要】
【0013】
たばこフィルタートウが、高捲縮消失エネルギー(UCE)および低フライを有する酢酸セルローストウである。一実施形態においては、平均UCEの平均フライに対する関係が、フライ(g/30分)<0.00009e(0.0209UCE)であり、かつフライ値が最大0.06である、酢酸セルローストウを含んだたばこフィルタートウであって、トウを可塑化するステップと、スタッファーボックスチャネルに連通した誘導捲縮ロール及び蒸気インジェクターを有する捲縮機を用いて、可塑化の後にトウを捲縮するステップとを含んだプロセスによって製造されているたばこフィルタートウ。
【0014】
本発明を説明する目的で、現時点で好ましい形態の図面を示しているが、本発明は、図示される厳密な配列および手段に限定されるものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明によるたばこトウ製造方法の概略図である。
【図2】明確にするため一部を取り外した、本発明により製造されたスタッファーボックス捲縮機の側面図である。
【図3】明確にするため一部を取り外した、図2のスタッファーボックス捲縮機の平面図である。
【図4】明確にするため一部を取り外した、図2のスタッファーボックス捲縮機の入口領域の詳細正面図である。
【図5】フィルターロッドのロッド間圧力低下における、UCEの変動係数(Cv)に対する従来の関係を示すグラフである。
【図6】従来のトウおよび本発明のトウのフライ対UCEの比較グラフである。
【図7】スタッファーボックス蒸気処理を使用して製造したトウ、または使用せずに製造したトウについて、硬度に対する、可塑材料を変化させて製造したフィルターロッドの関係を示すグラフである。
【図8】トウのパーセント(%)全水分(捲縮機出口で測定)のUCEに対する従来の関係を示すグラフである。
【図9】トウのパーセント(%)全水分(捲縮機出口で測定)のフライに対する本発明の関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
一般に、たばこトウは、ドープから複数のフィラメントを紡糸するステップと、そのフィラメントを引き取るステップと、そのフィラメントを潤滑させるステップと、複数のフィラメントを束ねることによってトウを形成するステップと、そのトウを捲縮させるステップと、捲縮したトウを乾燥させるステップと、捲縮して乾燥させたトウをベール梱包するステップとによって製造される。本発明においては、後述するものを除けば、これらの各ステップは従来通りである。
【0017】
ドープとは、ポリマーと溶媒との溶液のことである。好ましいポリマーは酢酸セルロースであり、好ましい溶媒はアセトンである。たばこフィルター材料として使用すると好適な酢酸セルロースは、典型的には3.0未満、好ましくは2.2〜2.8の範囲内、最も好ましくは2.4〜2.6の範囲内の置換度を有する。
【0018】
本発明のフィラメントは、典型的には1〜10デニール/フィラメント(dpf)の範囲である。本発明のフィラメントは、限定するものではないが、円形、小円鋸歯状、Y字型、X字型、およびドッグボーン型などのあらゆる断面形状を有することが可能である。本発明のトウは、10,000〜100,000の総デニールの範囲である。本発明のトウは、捲縮機を出るときの幅(側端から側端まで)が3インチ(8cm)未満である。
【0019】
図1を参照すると、たばこトウプロセス100が示されている。ドープ調製ステーション102は、複数のキャビネット104(3つしか示されていないが、そのように限定される必要はない)を供給するようになっている。キャビネット104中では、従来方法で繊維が製造される。これらの繊維は、引取ローラー106上に引き取られる。これらの繊維は、仕上剤(より詳細には後に説明する)を有する潤滑ステーション108において潤滑される。これらの潤滑された繊維は互いに束ねられて、ローラー110上でトウを形成する。このトウは可塑化ステーション112(より詳細には後に説明する)で可塑化される。次に、トウは捲縮機114(より詳細には後に説明する)に通過する。捲縮したトウは、乾燥機116中で乾燥される。捲縮して乾燥されたトウは、次にベール梱包ステーション118でベール梱包される。
【0020】
一般に、たばこ用フィルターロッドは、ベール梱包を解き、トウを開繊し、ドイツのハンブルク(Hamburg)のハウニ(Hauni)より市販されるハウニ(Hauni)AF−KDF−2EまたはAF−KDF−4などの従来のロッド製造機に開繊したトウを通すことによって製造される。ロッド製造装置中で、トウが開繊または「開花」されて、ロッドが形成され、プラグラップと呼ばれる紙が巻き付けられる。続いて、フィルターロッドは規定の長さに切断されて、たばこに取り付けられる。本発明においては、ロッド製造技術は従来のものである。
【0021】
本発明は主としてたばこトウと関連しているが、本発明はあらゆる紡糸可能なポリマーの製造において使用することも可能である。そのような紡糸可能なポリマーとしては、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、セルロースエステルおよびエーテルならびにそれらの誘導体、ポリ乳酸(PLA)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
第1の潤滑ステーション108において繊維に適用される潤滑剤(または仕上剤)は、鉱油、乳化剤、および水を含んでいる。この鉱油は白色鉱油である。好ましい鉱油は、100°Fにおいて測定して80〜95SUS(サボルト・ユニバーサル・セカンド(SaboltUniversal Second))の粘度を有する無色透明(すなわち透き通った)鉱油である。乳化剤は、好ましくは複数の乳化剤の混合物である。好ましい混合物は、ソルビタンモノラウレート(たとえば、デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,DE)のユニケマ(Uniqema)スパン(SPAN)20)およびPOE20ソルビタンモノラウレート(たとえば、デラウェア州ウィルミントンのユニケマトゥイーン(TWEEN20))である。水は、好ましくは脱塩水、脱イオン水、またはその他の適切に濾過及び処理された水である。潤滑剤は、(%は重量%として表される):62.0〜65.0%の鉱油、27.0〜28.0%の乳化剤、および8.0〜10.0%の水から構成され;好ましくは63.5〜64.0%の鉱油、27.5〜28.0%の乳化剤、8.3〜8.5%の水から構成され;最も好ましくは63.6%の鉱油、28.0%の乳化剤、および8.4%の水から構成されている。乳化剤混合物は、(%は重量%として表され、これら材料中にはある程度水が含まれるが、本明細書においては含まないものと理解されたい):50.0〜52.0%のソルビタンモノラウレートおよび48.0〜50.0のPOE(20)ソルビタンモノラウレート;50.5〜51.5%のソルビタンモノラウレートおよび48.5〜49.5%のPOE(20)ソルビタンモノラウレート;最も好ましくは、50.9〜51.4%のソルビタンモノラウレートおよび49.6〜49.1%のPOE(20)ソルビタンモノラウレートからなる。次に、潤滑剤を水(たとえば、脱イオン水または脱塩水)と混合して、3〜15%の水エマルジョンを形成する。この水エマルジョンをトウ上に加えて、最終的に0.7〜1.8%のFOY(すなわち乾燥機の後)の範囲、好ましくは約1.0%のFOY(FOYは仕上を行った糸のことであり、水に加えられた潤滑剤量が少ないことを表している)が得られる。
【0023】
繊維がトウに束ねられた後で、そのトウが捲縮機に入る前に、可塑化ステーション112でトウが可塑化される。後の捲縮機に関する議論からより明らかとなるが、トウが適切に捲縮機114に入るように、可塑化ステーション112は上下左右に調整可能である。可塑化ステーション112は、捲縮機114から間隔が置かれている。トウに加えられた可塑剤が、トウを可塑化するのに十分な時間を有するようにするため、可塑化ステーション112は捲縮機114の手前に配置される。好ましくは可塑剤ステーション112は、捲縮機ニップより少なくとも1/2メートル、より好ましくは捲縮機ニップより1メートル手前にある。可塑剤ステーション112は、可塑剤、好ましくは水、最も好ましくは脱塩水をトウに加える。可塑剤は、捲縮機ニップロールから過剰の引き返しが起こるまでの最大速度で適用される。この適用速度は、好ましくは、ライン速度200〜1,000m/分において10,000〜100,000の総デニールのトウで300cc/分未満であり、最も好ましくは、ライン速度200〜1,000m/分において10,000〜100,000の総デニールのトウで25〜200cc/分である。アプリケーターは、好ましくは、可塑剤を送達するのに適合した「スプール」型ガイドである。好ましくは、トウの両側を適切に濡らすためにスプールガイドの組が使用される。スプールガイドは、トウがそれらの間を直線で通過するように間隔を置くことが可能であるし、「S」字型の経路の間をトウが通過するようにスプールガイドの間隔を狭くすることも可能である。スプールガイドの表面は、平坦な場合もあるし、湾曲している(たとえば、凹面、凸面、波形、または凹面/凸面)場合もある。スプールガイドは、セラミック材料でできている場合もあるし、セラミックコーティングされている場合もある。スプールガイドは、フランジが付いている場合も付いていない場合もある。スプールガイドは、複数の開口部を有していてもよく、その開口部を通して可塑剤をトウに適用することが可能である。
【0024】
図2には、本発明により製造されるスタッファーボックス捲縮機10が示されている。捲縮機10は、底部フレーム12および上部フレーム14を有している。上部フレーム14が底部フレーム12に対して移動(または「浮遊」)することができるように、底部フレーム12および上部フレーム14は従来通りに互いに連結されている。トウは、矢印Aで示されるように捲縮機を通過するようになっている。
【0025】
図示されていないが、一般に、シャフト23上に取り付けられ、キー21によってその位置に固定される一対の従動ニップローラー20,22(より詳細には後に説明する)によって、トウが引っ張られて捲縮機10を通過するようになっている。上部ニップローラー20は、上部フレーム14上に取り付けられている。下部ニップローラー22は、底部フレーム12上に取り付けられている。シャフト23はモーター(図示せず)と連結されている。トウはニップローラー20,22を離れて、チャネル30と、チャネル30の遠位端にあるフラッパー32とを有するスタッファーボックス(より詳細には後に説明する)に入るようになっている。チャネル30中で、チャネル30内にトウが押し込まれ(または詰め込まれ)フラッパー32に対して生じる背圧によって、トウの移動方向に対して垂直方向にトウが折りたたまれる。この折りたたみによって、トウに捲縮が生じることになる。
【0026】
本発明におけるニップロール20,22は、「誘導捲縮」ロールと呼ばれている。誘導捲縮ロールは、ニップを通過するときにトウにしわを付ける(または折り曲げる)ことによって、捲縮される位置でトウが「しつけられる」(たとえば、捲縮されるトウの領域を優先的に脆弱化させることによってトウの捲縮位置に影響を与える)。これによって、より均一に捲縮したトウが得られる。一態様において、より均一とは、捲縮したトウの頂点(正面から見ると捲縮したトウが概してのこぎり歯の形状を有すると仮定する)が互いに平行となり(上面から見た場合);誘導捲縮ロールを使用しなければ、捲縮したトウの頂点は互いがより不規則な方向となる(均一に平行とはならない)ことを意味している。本発明においては、誘導捲縮ロールが捲縮機のニップロールであることが好ましいが、本発明がそのように限定されるものではない。誘導捲縮ロールは、捲縮機10の手前に配置された別の対のローラーであってもよい。また、誘導捲縮ロールがトウをつかむことによって、すべりが防止されることになる。
【0027】
ニップロールの一方または両方が「誘導捲縮ロール」であってもよい。一方のニップロールは平滑な円周面を有していてもよく、他方が軸方向溝付き円周面を有していてもよいし、あるいは両方のロールが、軸方向溝付き円周面を有していてもよい。軸方向溝付きロールはトウを折り曲げ、それによって均一な方向で捲縮されるようになる。溝付きロールは、対の上部または底部のいずれに配置することも可能であるが、好ましくは底部である。
【0028】
用語「溝付き」は、捲縮を「誘導する」あらゆる表面テクスチャーを意味している。このような表面テクスチャーとしては、溝、くぼみ、またはその他の種類のテクスチャーを挙げることが可能である。溝を有する表面が好ましい。これらの溝は、好ましくは正弦曲線の形態であるが、長方形、三角形、または半円形の切り込み、溝、または隆起部であってもよく、ローラーの面にわたって軸方向(すなわち、側方から側方)にわたって延在する平坦面を間に有する場合も、有さない場合もある。これらの溝は、10〜100溝/インチ(2.5cm)、好ましくは25〜75溝/インチ(2.5cm)、最も好ましくは50溝/インチ(2.5cm)の範囲とすることが可能である。溝深さ(山から谷まで)は、0.5ミル〜5.0ミル(12.5μm〜150μm)、好ましくは1〜2ミル(25〜50μm)の範囲とすることが可能である。
【0029】
平滑なロールである上部ニップロール20は、金属材料またはセラミック材料でできていてもよい。これらの材料としては、鋼/合金結合炭化チタン、炭化タングステン、HIP処理(hipped)または非HIP処理(unhipped)MgO安定化ジルコニア、あるいはHIP処理または非HIP処理イットリア安定化ジルコニア(YTZP)(HIP処理とは熱間静水圧プレスを意味する)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ジルコニア類が好ましい。HIP処理イットリア安定化ジルコニアが、最良の摩耗寿命および耐チップ性を示すため、最も好ましい。表面仕上(テクスチャー)は、好ましくは16rms以下であり、鋭い側縁部を有し、一部欠損は有していない。
【0030】
軸方向溝付きロールである下部ニップロール22は、金属材料またはセラミック材料で形成されていてもよい。これらの材料としては、鋼/合金結合炭化チタン、炭化タングステン、HIP処理または非HIP処理MgO安定化ジルコニア、あるいはHIP処理または非HIP処理イットリア安定化ジルコニア(YTZP)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。ジルコニア類が好ましい。HIP処理イットリア安定化ジルコニアは、最良の摩耗寿命および最も高い耐チップ性を示すため、最も好ましい。表面仕上(テクスチャー)は好ましくは12rms以下であり、鋭い側縁部、丸みを帯びた溝端部を有し、一部欠損は有していない。
【0031】
本発明の別の実施形態においては、ニップロール20,22は、前述の「誘導捲縮」ロールではない(すなわち、ロール20,22のいずれにも軸方向溝が存在しない)。この実施形態においては、ニップロール20,22は、中実(solid、固体)のセラミック材料で形成されている。これは、ロールがセラミックであることを意味している(すなわち、単なるコーティングではない)。このようなセラミック材料としては、非HIP処理またはHIP処理MgO安定化ジルコニア、あるいはHIP処理または非HIP処理イットリア安定化ジルコニア(YTZP)が挙げられる。ジルコニア類が好ましい。HIP処理イットリア安定化ジルコニアは、最良の摩耗寿命および耐チップ性を示すため、最も好ましい。表面仕上(テクスチャー)は好ましくは16rms以下であり、鋭い側縁部を有し、一部欠損は有していない。
【0032】
チークプレート24(図3)は、ニップローラー20,22の両側面上に、ドクターブレード25と隣接して配置されている。チークプレート24は、ニップローラー20,22の間のニップ中にトウを維持するために使用されるものである。チークプレート24は、金属、セラミック、またはセラミックがコーティングされた金属で形成されていてもよい。好ましくは、良好な耐摩耗性およびより低い摩擦のために、チークプレートはアルミナセラミックである。
【0033】
スタッファーボックスは、上部フレーム14に取り付けられた上半体26と、底部フレーム12に取り付けられた下半体28とを有している。これら両半体を合わせると、スタッファーボックスチャネル30が画定されることになる。このチャネルの遠位端にはフラッパー32が配置されている。フラッパー32がチャネル30内を揺動して部分的に閉じることが可能なように、フラッパー32は、好ましくはピボット34を介して上半体26に取り付けられている。フラッパー32の動きは、ロッド38を介してフラッパー32に動作可能に連結されたアクチュエーター36によって制御することが可能となっている。フラッパー32の動きは好ましくは、限定するものではないが重量、または空気圧、または電気、または電子的手段などのあらゆる従来手段によって捲縮の均一性が保証されるように制御されている。
【0034】
ドクターブレード25は好ましくは、スタッファーボックスの上半体26および下半体28の一体部分である。トウがロールを詰まらせることなくチャネル30内に向かうように、ドクターブレード25は、ニップロール20,22の隣(たとえば、約1ミル(25μm)の間隔)に配置されている。
【0035】
スタッファーボックスの上半体26内には、蒸気インジェクター58が配置されている。この蒸気インジェクター58は、ニップロール20と隣接したドクターブレード25の末端と実際的にできるだけ接近して配置されている。蒸気インジェクター58は、フラッパー32と、ニップロール20と隣接したドクターブレード25の末端との間に配置されている。蒸気インジェクター58は、スタッファーボックスのチャネル30と連通している。蒸気インジェクター58は、蒸気によって、チャネル30内のトウの捲縮を硬化させ軽く結合させることが可能となっている。蒸気インジェクター58は、1つまたは複数のスロット、あるいは1つまたは複数の孔などのあらゆる種類の好適な開口部を有することが可能である。蒸気インジェクター58は、好ましくはチャネル30の幅におよぶ複数の円形の孔であり、それによって、チャネル30内のトウの幅にわたって蒸気が均一に分散することにある。蒸気(チャネル内に供給される)は、好ましくは100℃の低圧蒸気である。蒸気は、最も好ましくは100℃の低圧乾燥蒸気である。蒸気圧力は0.01〜5psigの範囲内である。好ましくは、蒸気から粒子を除去するために2μのフィルターを介して蒸気が濾過され、蒸気はフィルターからステンレス鋼管を介してインジェクターに供給されるようになっている。この蒸気は、好ましくは、スタッファーボックスの非常に近くに隣接したニードル弁(他の好適な弁を使用することもできる)によって制御されている。好ましくは、弁とスタッファーボックスとの間に水抜き装置が存在している。蒸気圧力は、蒸気インジェクター58の孔/スロットの大きさおよび形状に依存して変化することになる。蒸気は、たわみ継手である蒸気入口62を介してインジェクター58に向けられ、そのため、スタッファーボックスの上半体26は上部フレーム14と一緒に浮遊する場合がある。
【0036】
スタッファーボックスの下半体28には、蒸気インジェクター60が配置されている。蒸気インジェクター60は、ニップロール22と隣接したドクターブレード25の末端と実際的にできるだけ接近して配置されている。蒸気インジェクター60は、好ましくは、スタッファーボックスの上半体26のインジェクター58のすぐ下に配置されている。蒸気インジェクター60は、スタッファーボックスチャネル30と連通している。蒸気インジェクター60は、蒸気によって、チャネル30内のトウの捲縮を硬化させ軽く結合させることが可能となっている。蒸気インジェクター60は、1つまたは複数のスロット、あるいは1つまたは複数の孔などのあらゆる種類の好適な開口部を有することが可能である。蒸気インジェクター60は、好ましくはチャネル30の幅に及ぶ複数の円形の孔であり(図3)、それによって、チャネル30内のトウの幅にわたって蒸気が均一に分散することになる。蒸気(チャネル内に供給される)は、好ましくは100℃の低圧蒸気である。蒸気は、最も好ましくは100℃の低圧乾燥蒸気である。蒸気圧力は0.01〜5psigの範囲内である。好ましくは、蒸気から粒子を除去するために2μのフィルターを介して蒸気が濾過され、蒸気はフィルターからステンレス鋼管を介してインジェクターに供給されるようになっている。この蒸気は、好ましくは、スタッファーボックスの非常に近くに隣接したニードル弁(他の好適な弁を使用することもできる)によって制御されている。好ましくは、弁とスタッファーボックスとの間に水抜き装置が存在している。蒸気圧力は、蒸気インジェクター60の孔/スロットの大きさおよび形状に依存して変化することになる。蒸気は、蒸気入口64を介してインジェクター60に向けられている。
【0037】
蒸気インジェクター58/60によってスタッファーボックスチャネル中に注入される全蒸気量は、トウの1ポンド(453.593グラム)当たり0.002〜0.08ポンドの範囲内の蒸気であり、好ましくはトウの1ポンド当たり0.005〜0.02ポンドの範囲内の蒸気である。
【0038】
スタッファーボックス捲縮機10に入る前に、トウの端部は潤滑されるようになっている。潤滑剤は、好ましくはスタッファーボックス捲縮機10に入る直前に加えられるものである。潤滑剤は、最も好ましくは、ロール20,22の間のニップにトウが入る直前にトウ端部に加えられる。この端部の潤滑によって、ニップロールとチークプレートとの間でのフィラメントの損傷が最小限になる。この端部潤滑システムは、底部フレーム12に取り付けられた整列台40上に搭載されている。締結機構56(図3)は、従来方法(すなわち、シムおよび/またはくさびを使用)でニップロール20,22に対する位置にチークプレート24を移動させている。図4において、2つの端部潤滑アプリケーター42は、台40上にしっかりと取り付けられているのが示されており、トウが捲縮機10に入ると、トウの端部を水などの好適な潤滑剤で潤滑することが可能となっている。
【0039】
それぞれの端部潤滑アプリケーター42は、アプリケーター面44と受板50とを備えている。受板50は、アプリケーター面44およびチークプレート24(図3)の両方を支持するのに十分な長さである(すなわち両方の後側まで延在している)。アプリケーター面44は、受板50に取り付けられている。アプリケーター面44は、好ましくは、低摩擦性および良好な摩耗性を付与するために、溶射セラミックコーティングされている。チークプレート24は、板50には固定されておらず、その代わりに交換可能または着脱自在に取り付けられている。アプリケーター面44は、長手方向の溝46を有している。トウ端部は、溝46と接触しその間を通過するように構成されており、それによって潤滑が行われるようになっている。1つ以上のオリフィス48(図2)が、アプリケーター42に開けられており、これらは溝46と連通している。オリフィス48は、その機能を果たすのに好適なあらゆる数、大きさ、または形状であってもよい。オリフィス48は、スロットまたは円形の孔であってもよい。好ましくは、オリフィス48は円形であり、同じ直径を有している。この直径は、分散が最良となるよう最適化され、たとえば、好ましくはトウの高さと等しい。入口54は、潤滑剤をアプリケーター42に供給するものである。アプリケーターを介した潤滑剤添加速度は、限定するものではないが一部の例として、トウの速度、トウの大きさ(総デニール)、フィラメントの大きさ(dpf)、および断面形状などの多数の要因に依存して変動するようになっている。潤滑剤は最大速度未満で加えられ、トウラインが振動するか、捲縮機から過剰の拭き戻しがあるかのいずれかの場合には最大速度に到達している。典型的には、潤滑剤添加速度は、1面当たり100cc/分未満、好ましくは1面当たり50cc/分未満、最も好ましくは1面当たり10〜50cc/分の間である。
【0040】
本発明のたばこトウ(すなわち、上述の装置および方法を使用して製造されたもの)は、高捲縮消失エネルギー(UCE)、低フライ、改善された硬度を有し、容易に開繊可能である。さらに、UCEが増加したため、ロッド間の圧力低下変動係数(Cv)が減少している。
【0041】
図5を参照すると、CvとUCEとの間の従来の関係が示されている。UCEが増加すると、Cvは減少することが知られている。図6を参照すると、曲線Aは、UCEとフライとの間の従来の関係を示している。UCEが増加すると、フライが急速に増加することに注目されたい。曲線Aによって示される関係のため、トウ製造元は、図5に示される関係の利点を最大限に利用することができていない。線Dは、フライの許容できる上限の0.06g/30分を示している。
【0042】
一方、図6の曲線Bは、UCEとフライとの間の本発明の関係、すなわち高UCEおよび低フライを示している。この関係は以下のように表すことができる:
フライ(g/30分)=0.00009e0.0209UCE
同等のUCEにおいて、本発明のトウはフライが減少していることに注目されたい。曲線Cは、得られた実験結果(後述の方法)を示している。この実験結果は以下のように表すことができる:
フライ(g/30分)=0.00017UCE−0.0276
UCEが増加しても、フライはほとんど変化しないことに注目されたい。したがって、トウ製造元は、低フライを有する高UCEトウ(より低いCvのトウと言える)を製造することができる。さらに、本発明のトウは、高いUCEを有するにもかかわらず従来のトウと同様に開繊可能であった。
【0043】
図6の曲線Cで表されるトウは、誘導捲縮ローラー(前述)と端部潤滑アプリケーター42(前述)とを有する方法によって製造したが、可塑化ステーション112または蒸気インジェクター58/60は使用しなかった。蒸気インジェクターおよび可塑化ステーションのさらなる利点について以下に説明する。
【0044】
蒸気インジェクターは、プロセスおよび製品に対して少なくとも2つの利点を有し;第1に、UCEがさらに増加することであり、第2にロッド硬度が増加することである。硬度の増加、およびある程度のUCEの増加は、トウの最終弾性率が増加することに起因する。この硬度の利点について以下に説明する。
【0045】
図7を参照すると、所与のロッドに加えられた可塑剤量pz%、(たとえば、繊維結合に使用されるトリアセチンなど)に対する硬度の関係を示している。曲線Aは従来のトウであり、曲線Bは、0.2psigの蒸気で蒸気処理した本発明のトウである。ロッドは長さ108mm×直径24.45mmであり、曲線AおよびBの差は蒸気処理のみであり、他のすべて(たとえば、トウ、プラグラップ、可塑剤(繊維結合用)、ロッド製造装置および試験機)は同一であった。硬度試験については以下に説明する。同等のロッドの場合、硬度は蒸気処理によって改善され、蒸気圧力を増加させるとさらに有益な結果が得られる。蒸気処理の効果によって、ロッド硬度に対して少なくとも0.5硬度単位の改善が可能となる。
【0046】
可塑化ステーションはプロセスおよび方法に対して有益であり、トウの含水率を増加させることが可能である。トウの水分が増加することの利点を以下に説明する。
【0047】
図8を参照すると、捲縮機(捲縮機出口で測定)に入る全水分とUCEとの間の従来の関係が示されている。所与の捲縮機設定でトウの弾性率が低下し、捲縮がより多く付与されるため、UCEが増加している。さらに、図9に示されるように、この水分増加によってフライも減少している。トウの捲縮が容易になると、捲縮に必要な機械的作用が少なくなり、したがってトウの損傷が少なくなる。
【0048】
しかし、多数のプロセス上の問題のため、図8に示される範囲(20%および25%における垂直線)を超えて水分を増加させることは非現実的である。可塑化ステーションによってこの問題が解決され、フライの減少、および時間的により均一な捲縮変動性の利点を有するプロセスおよび生成物が得られる。捲縮機の端部水アプリケーターの使用、および塑化ステーションの使用によるフライ減少の機構は、異なるものであり、賞賛される(complimentary)ものである。端部水アプリケーターは、さらなる潤滑によって、捲縮機の高圧摩耗領域において繊維を保護し、一方、可塑化ステーションは、捲縮のための機械的作用および全般的な繊維の損傷を減少させている。
【0049】
好ましい一実施形態において、トウは以下に示すUCE/フライの関係を有している:
フライ(g/30分)<0.00009e(0.0209UCE)を有し、フライ値の最大値は0.06である。あるいは、トウは:平均UCE>280gcm/cmおよび平均フライ≦0.030g/30分、あるいは平均UCE>265および平均フライ≦0.023、あるいは平均UCE>250および平均フライ≦0.017を有している。さらに、これらのトウは、平均Cv<2.5または2.2または1.75を有している。これらのトウは、セルリアン(Cerulean)(以前はフィルトナ(Filtrona))QTM−7に基づいて80硬度単位以上の硬度も有している。これらのトウは、10,000〜100,000の範囲内の総デニール、および1.5〜4dpfの範囲内のdpfを有している。
【0050】
UCEは、繊維の捲縮消失に必要な仕事量である。本明細書において以下に示されるUCEは、ベール梱包の前、すなわち、乾燥後およびベール梱包前にサンプリングしている。本明細書において使用される場合、UCEは次のように測定される:ウォームアップした(従来の較正の前20分)インストロン(Instron)引張試験機(モデル(Model)1130、クロスヘッドギア(crossheadgear)−ギア番号(Gear #)R1940−1およびR940−2、インストロン・シリーズIX−バージョン6データ収集分析ソフトウェア(InstronSeries IX−Version6 dataacquisition & analysis software)、インストロン(Instron)最大能力50Kgロードセル、インストロントップローラーアセンブリ(Instrontop rollerassembly)、1インチ×4インチ×1/8インチ厚さのハイグレード・ブナ−N70ショアAデュロメーター(high grade Buna−N 70 Shore A durometer)ゴムグリップ面)を使用して、長さの約76cmプレコンディショニングしたトウサンプル(22℃±2℃および相対湿度60%±2%で24時間プレコンディショニング)を、トップローラーの中央に巻き付けて均一に広げ、100g±2g(読み出し表示による)で穏やかに引き上げることでプレテンションを付与し、下部グリップに試料の両端を挟み(使用可能な最大圧力であるが、製造元の推奨値は超えない)、50cmのゲージ長さ(ロバーグリップ(robbergrip)の上端から測定したゲージ長さ)を実現し、次に、クロスヘッド速度30cm/分で破断するまで試験を行う。3回の許容できる試験が行えるまでこの試験を繰り返し、これらの試験からの3つのデータ点の平均を報告する。エネルギー(E)範囲は0.220kg〜10.0kgの間である。変位(D)は事前設定点の10.0kgである。UCEは次式で計算される:
UCE(gcm/cm)=(E×1000)/((D×2)+500)
さらに、本明細書において使用される値は平均UCEである。平均UCEとは、少なくとも35ベールのトウの平均を意味し、存在する変動性に対し95%の信頼性でサンプル間の10UCE差を検出できる能力を意味している。
【0051】
フライは、たばこトウ中の小さく破断したフィラメントである。本明細書において使用されるようなフライは、以下のように測定される:ハウニ(Hauni)AF−2開繊ユニットのねじ付きロールの間の中央に置いた、29.5cm×68.5cmの平坦な黒色フォーマイカ(formica)でできた板の上にフライが集められ、トウは清浄にした(フライなし)ハウニAF−2/KDF−2ロッド製造装置(設定:ロッド製造装置速度−400m/分(5%許容範囲)、ねじ付きロール比−1.5:1、ねじ付きロール圧力−2.5bar、プレテンション圧力−タイプA(TypeA)−1.0bar)に10分間通し、10分後、風袋を引いた(最も近いmg値)マスキングテープ(接着面を外側にシリンダーに取り付けた長さ約6.5cm〜7.5cm)を使用して、すべてのフライを板から集め、次にフライを有するテープの重量を測定している。フライは次式を使用して計算されている:
フライ(g/30分)=(G−T)×3
G=テープ上のフライの総重量
T=テープの風袋重量。
さらに、本明細書において使用される値は平均フライである。平均フライは、少なくとも100ベールのトウの平均を意味し、存在する変動性に対し95%の信頼性でサンプル間の0.01g/30分の差を検出できる能力を意味している。
【0052】
圧力低下は、17.5cc/秒の流速でロッドを介して空気を吸い込むときのフィルターロッドの両端の間の圧力差である。本明細書において使用される場合、圧力低下(ロッド間の圧力低下Cv)は以下のように測定される:封入チューブ−ラテックス製、琥珀色の内径5/16インチ×肉厚0.015インチ、35±5デュロメーターを使用し、認証1.0gおもりおよび円周ロッドおよびガラス用のセルリアン標準物質で較正した、米国バージニア州リッチモンド(Richmond,VA)のセルリアンの圧力低下用品質試験モジュール(QualityTest Module)(QTM−6)を使用し、QTMは、空気圧−50psi、流速−目標17.7cc/秒、封入チューブ−内径5/16インチ×0.015インチ(長さ157mm(8%延伸))ならびに、lf=オン、cr=オン、stop2=オフ、parity=オフ、baud=9600、Pdsettle=0、inches=オフ、Pd=オン、shape=オフ、roundness=オフ、ova=オフ、size−laser=オン、suspend=オフ、wt=オン、QTMld=0、auto cal=オフ、protocal=0(HOST=オンの場合には1)、host=オフ(LIMSまたはPC接続の場合にはオン)、sw2ident=2、sw1 ident=1、batch size=0、cofv=オン、statistics=オン、results=オン、language=GB、printer=オンのように設定され、30のプレコンディショニング(22℃±2℃、相対湿度60%±2%で48時間プレコンディショニング)したロッドについて、測定し、圧力低下およびCvの値を報告する。さらに、本明細書において使用される値は平均Cvである。平均Cvとは、少なくとも400ベールのトウの平均を意味し、95%の信頼性で15%の変化の差を検出できる能力を意味している。
【0053】
硬度(または堅さ)は、圧力下でのフィルターロッドの変形を意味している。硬度は、荷重下で保持される直径の%として報告され、硬度単位と記載される場合もある。

硬度%=(元の直径−減少量)/元の直径×100

本明細書において報告される硬度は、バージニア州リッチモンドのセルリアンのQTM−7を出荷時設定で使用して測定した。
【0054】
本発明は、その意図およびそれらの実質的な特性から逸脱せずに他の形態で実現することができ、したがって、本発明の範囲を示すものとしては、以上の説明ではなく、添付の特許請求の範囲を参照すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均UCEの平均フライに対する関係が、
フライ(g/30分)<0.00009e(0.0209UCE)であり、かつフライ値が最大0.06である、
酢酸セルローストウを含んだたばこフィルタートウであって、
トウを可塑化するステップと、
スタッファーボックスチャネルに連通した誘導捲縮ロール及び蒸気インジェクターを有する捲縮機を用いて、可塑化の後にトウを捲縮するステップと
を含むプロセスによって製造されているたばこフィルタートウ。
【請求項2】
280gcm/cmを超える平均捲縮消失エネルギー、および0.030g/30分以下の平均フライを有する酢酸セルローストウを含んでいる請求項1に記載のたばこフィルタートウ。
【請求項3】
265gcm/cmを超える平均捲縮消失エネルギー、および0.023g/30分以下の平均フライを有する酢酸セルローストウを含んでいる請求項1に記載のたばこフィルタートウ。
【請求項4】
250gcm/cmを超える平均捲縮消失エネルギー、および0.017g/30分以下の平均フライを有する酢酸セルローストウを含んでいる請求項1に記載のたばこフィルタートウ。
【請求項5】
2.5以下の平均ロッド間圧力低下変動係数をさらに有している請求項2〜4のいずれか一項に記載のたばこトウ。
【請求項6】
2.2以下の平均ロッド間圧力低下変動係数をさらに有している請求項5に記載のたばこトウ。
【請求項7】
1.75以下の平均ロッド間圧力低下変動係数をさらに有している請求項5に記載のたばこフィルタートウ。
【請求項8】
80硬度単位以上の硬度をさらに有している請求項1〜7のいずれか一項に記載のたばこフィルタートウ。
【請求項9】
2〜4の範囲内にあるフィラメント当たりのデニール数をさらに有している請求項1〜8のいずれか一項に記載のたばこフィルタートウ。
【請求項10】
請求項1に記載のトウを備えているたばこフィルターロッド。
【請求項11】
請求項1に記載のトウを備えているたばこフィルターチップ。
【請求項12】
請求項1に記載のトウを備えているフィルターチップを有するたばこ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−32629(P2011−32629A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201549(P2010−201549)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【分割の表示】特願2007−518051(P2007−518051)の分割
【原出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【出願人】(506428757)セラニーズ・アセテート・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (9)
【Fターム(参考)】