びんの吊手バンド及びびん
【課題】びんに対する着脱作業が容易で、しかもタイトに取り付けることのできるびんの吊手バンドを開発する。
【解決手段】A端4とB端5を接続しリング状にしてびん外周に捲止するバンド本体2と、U字状で両端部がバンド本体2の対向位置に係止された吊手3を有する吊手バンド1において、A端4は波形面Aを有し、B端5は波形面Aと対応する波形面Bを有すると共に、外周にカム面を形成したカムレバー9が、カム面と波形面Bが対向するように回動自在に軸着され、A端4をB端5の波形面Bとカム面の間に挿入し、カムレバー9を回動させることで波形面Bとカム面の間隔が狭まり、波形面A,Bが密着してA,B端4,5が強固に接続される。
【解決手段】A端4とB端5を接続しリング状にしてびん外周に捲止するバンド本体2と、U字状で両端部がバンド本体2の対向位置に係止された吊手3を有する吊手バンド1において、A端4は波形面Aを有し、B端5は波形面Aと対応する波形面Bを有すると共に、外周にカム面を形成したカムレバー9が、カム面と波形面Bが対向するように回動自在に軸着され、A端4をB端5の波形面Bとカム面の間に挿入し、カムレバー9を回動させることで波形面Bとカム面の間隔が狭まり、波形面A,Bが密着してA,B端4,5が強固に接続される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梅酒びんなどのびんに取り付けて吊手を形成する吊手バンド、及びこの吊手バンドを装着したびんに関する。
【背景技術】
【0002】
梅酒びんなどのびんに取り付ける吊手バンドは、びんに簡単に取り付けることができ、またびん洗浄などのときに容易に取り外しのできるものが望まれている。
このような吊手バンドは、例えば下記特許文献1〜3に開示されている。
【0003】
特許文献1で提案されているものは、バンド本体の中間にジグザグ形折返しを有する外方迂回部を形成し、外方迂回部が変形することでバンド本体の径が拡大するのでびんに対する着脱が可能となり、外方迂回部に適合する凹部を有する止具を外側から嵌着することで外方迂回部の変形及び径の拡大が拘束され、びん外周に固定されるものである。
【0004】
特許文献2で提案されているものは、バンド本体の両端部を接続してリング状にするもので、一端に凹凸面を形成し、他端に内部に凸凹面を有する断面がコ字状のコ字状部を形成し、一端を他端のコ字状部内に挿入して凹凸面と凸凹面を係合させ、外側から補強カバーを取り付けて両端を接続するものである。
【0005】
特許文献3で提案されているものは、バンド本体の両端部を接続してリング状にするもので、一端に鋸歯状の突条を備えた挿入片を形成し、他端に挿入片が挿入される挿入孔と、挿入片の突条と係合して挿入片の脱落を阻止する弾性ストッパを形成し、これにより両端を接続するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平5−23471号公報
【特許文献2】実開昭64−2735号公報
【特許文献3】特開2009−35329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1の吊手バンドは、端部のないリング状であるので、びんに対する着脱にやや難があった。すなわち、びん口部に対して着脱する場合、バンド本体がびんのビード(口部の環状突条)を乗り越えさせなければならないが、リング状であるためにこの作業がやや煩雑となる。
【0008】
前記特許文献1,2の吊手バンドは、止具又は補強カバーが別部品となっているので、びんを洗浄する際にびんから取り外し、止具又は補強カバーが紛失すると再使用不能になってしまうという問題がある。
【0009】
前記特許文献2,3の吊手バンドは、バンド本体がびん外周にタイトになるように、両端を相互に強い力で押し付け、バンド径が最小となるようにしてびんに取り付けるので、取り付け作業に強い力を必要とし、ややもするとびんに対して緩く取り付けられることがあった。
【0010】
前記特許文献3の吊手バンドは、びんから取り外す際に、弾性ストッパをその弾性に逆らって外側に引き起こさなければならないので、取り外し作業が煩雑であった。
【0011】
本発明は、びんに対する着脱作業が容易で、しかもタイトに取り付けることのできるびんの吊手バンドを開発することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
〔請求項1〕
本発明は、A端とB端を接続しリング状にしてびん外周に捲止するバンド本体と、U字状をなし、両端部が前記バンド本体の対向位置に係止された吊手を有する吊手バンドにおいて、前記A端は波形面Aを有し、前記B端は前記波形面Aと対応する波形面Bを有すると共に、外周にカム面を形成したカムレバーが、該カム面と前記波形面Bが対向するように回動自在に軸着され、前記A端を前記B端の波形面Bとカム面の間に挿入し、前記カムレバーを回動させることで波形面Bとカム面の間隔が狭まり、前記波形面A,Bが密着してA,B端が強固に接続されることを特徴とするびんの吊手バンドである。
【0013】
波形面の波形はどのようなものでもよいが、鋸歯状とするのが最も好ましい。
カムレバーのカム面は、軸心からカム面までの径が角度位置によって変化しているもので、カムレバーを回動させることでカム面と波形面Bの間隔寸法が変化するものである。
【0014】
本発明の吊手バンドは、カムレバーを回動させるだけで吊手バンドをびんに対して着脱できるので、着脱作業がきわめて簡単である。
びんに取り付ける際に、カムレバーを回動させたとき、波形面Aの背面とカム面の摩擦により、A端がバンド本体の径が小さくなる方向に力を受けるようにできるので、吊手バンドをびん外周にタイトに取り付けることができる。
吊手バンドをびんから取り外したときに別部品が生じないので、別部品を紛失して再使用不能になるおそれがない。
【0015】
〔請求項2〕
また本発明は、前記波形面Aを前記A端の内周面に形成し、前記波形面Bを前記B端の外周面に形成し、前記カムレバーを前記B端から水平方向外側に張り出した受板部に軸着した請求項1に記載の吊手バンドである。
【0016】
波形面A,Bの形成位置、カムレバーの軸着位置は、具体的には上記の構成とすることができ、このようにするのが最も合理的である。
なお、波形面AをA端に上向き又は下向きに設け、これに対応して波形面BをB端に下向き又は上向きに設けることも可能である。そのときは、カムレバーを回動軸が水平方向となるようにB端に軸着する。
【0017】
〔請求項3〕
また本発明は、前記波形面Aの背面と、前記カム面が粗面となっており、前記カムレバーを回動させたときに、前記波形面Aの背面とカム面の摩擦により、前記A端がバンド本体の径が小さくなる方向に力を受ける請求項1又は2に記載の吊手バンドである。
【0018】
波形面Aの背面とカム面を粗面にすると、カムレバーを回動させたときに、波形面Aの背面とカム面の摩擦により、A端がバンド本体の径が小さくなる方向に強い力を受け、バンド径が締まってバンド本体がびん外周にタイトに取り付けられる。
粗面の凹凸形状は、多数の小突起を形成したもの、多数の浅い縦溝又は縦の小突条を形成したものなど、どのようなものでもよい。
【0019】
〔請求項4〕
また本発明は、前記カムレバーが鈎状部を有し、前記A端が鈎受部を有し、前記カムレバーを回動してA,B端を接続したときに、前記鈎状部が前記鈎受部に係止される請求項1〜3のいずれかに記載の吊手バンドである。
【0020】
バンド本体のA,B端を接続したときに、カムレバーの鈎状部がB端の鈎受部に係止されるようにすると、不用意にカムレバーが回動して吊手バンドがびんから脱落するのを防止することができる。
【0021】
〔請求項5〕
また本発明は、請求項1〜4のいずれかの吊手バンドを口部外周に捲止したびんである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の吊手バンドは、カムレバーを回動させるだけで吊手バンドをびんに対して着脱できるので、着脱作業がきわめて簡単である。
びんに取り付ける際に、カムレバーを回動させたとき、波形面Aの背面とカム面の摩擦により、A端がバンド本体の径が小さくなる方向に力を受けるようにできるので、吊手バンドをびん外周にタイトに取り付けることができる。
吊手バンドをびんから取り外したときに別部品が生じないので、別部品を紛失して再使用不能になるおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例の吊手バンド1の下面図である。
【図2】吊手バンド1の正面図である。
【図3】図2におけるX−X線断面図である。
【図4】A端の下面図である。
【図5】A端の正面図である。
【図6】B端の下面図である。
【図7】B端の正面図である。
【図8】カム面10の説明図である。
【図9】A,B端接続の説明図である。
【図10】A,B端接続の説明図である。
【図11】吊手バンド1を取り付けたガラスびん20の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0024】
以下、実施例を表した図面に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は実施例の吊手バンド1の下面図、図2は吊手バンド1の正面図、図3は図2におけるX−X線断面図、図4はA端の下面図、図5はA端の正面図、図6はB端の下面図、図7はB端の正面図、図8はカム面10の説明図、図9,10はA,B端接続の説明図、図11は吊手バンド1を取り付けたガラスびん20の正面図である。
【0025】
実施例の吊手バンド1はプラスチック製で、バンド本体2と吊手3からなる。
バンド本体2はA端4とB端5で分断されており、A,B端を接続することでリング状に形成される。A,B端から約90°の位置に、2個所の吊手取付部15が対向して設けられている。吊手取付部15には軸受孔が設けられ、U字状の吊手3の端部の軸部16をこの軸受孔に軸着し、吊手3がバンド本体2に回動自在に係止されている。
【0026】
A端は、先端部の内周面に鋸歯状の波形面A(6)を有し、そのやや根元よりの外周面に鈎受部7が形成されている。波形面Aの背面6aは粗面(多数の小突起が形成されている面)となっている。(図4,5)
【0027】
B端は、先端部の外周面に鋸歯状の波形面B(8)を有し、その下部から水平方向外側に受板部7が張り出し形成されている。受板部7には軸受孔が形成され、これにカムレバー9の回動軸11が軸着されている。
【0028】
カムレバー9は、レバーの上面の概略円柱状部分の外周がカム面10となっており、その上に円柱状の回動軸11、さらにその上に截頭円錐形状の抜止部12が形成されている。カム面10は、粗面(多数の小突起が形成されている面)となっている。カムレバー9は、抜止部12及び回動軸11を受板部7の軸受孔に押し込むことで、回動自在に受板部7に軸着されている。
カム面10と波形面B(8)は対向する位置関係にあり、その間には隙間が形成されている。(図6,7)
カムレバー9の先端部には鈎状部13が形成さている。
【0029】
カム面10は、回動軸11の軸心11aからの径が、角度位置によって異なっている。
図8において、B点〜A点〜D点の径はR1で最も大きな径、C点の径はR2で最も小さな径であり、B点からC点及びD点からC点はR1からR2まで徐々に径が小さくなっている。
A点は、A,B端を接続したとき(図10)に、波形面A背面6aと接する点である。
【0030】
次に、図9,10に基づいて、A,B端の接続について説明する。
先ず、カムレバーの角度を、図9に示されるような角度にする。このとき、カム面10のC点付近(図8)が波形面B(8)に対向しており、波形面B(8)とカム面10の隙間はA端の先端部の厚みよりもやや広くなっている。この状態で、図9の矢印Eで示すようにA端先端部を波形面B(8)とカム面10の隙間に挿入する。その後、カムレバー9を図9の矢印Fの方向に回動させると、波形面B(8)とカム面10の隙間が徐々に狭まり、次いでカム面10と波形面A背面6aが接触し、さらにカム面10が波形面A背面6aを波形面B(8)方向に押圧し、波形面A(6)が波形面B(8)に圧接される。この状態でさらにカムレバー9を矢印F方向に回動すると、波形面A背面6aとカム面10の摩擦により、A端が矢印E方向(すなわち、バンド本体の径が小さくなる方向)に強い力を受け、バンド本体をびん外周に対して緩みなく捲止することができる。
【0031】
カムレバー9を最後まで回動し、鈎状部13を鈎受部7に係止すると、図10の状態となり、A,B端が完全に接続される。このとき、カム面10のA点(図8)が波形面A背面6aに接触している。
【0032】
吊手バンド1をびんから取り外すときは、図10の状態から、鈎状部13を鈎受部7から外し、カムレバー9を図9矢印Fと反対方向に回動すると、カム面10と波形面B(8)の隙間が拡がり、A端を容易にB端のカム面10と波形面B(8)の間から抜き去ることができる。
【0033】
吊手バンド1は,図11に示されるように、果実酒用のガラスびん20に捲止することができる。
ガラスびん20は口部にビード21が形成され、蓋22が装着されている。吊手バンド1は、バンド本体をびん20口部のビード21の下部の外周に捲止することで、びん20に装着される。
【符号の説明】
【0034】
1 吊手バンド
2 バンド本体
3 吊手
4 A端
5 B端
6 波形面A
6a 波形面A背面
7 鈎受部
8 波形面B
9 カムレバー
10 カム面
11 回動軸
11a 軸心
12 抜止部
13 鈎状部
14 受板部
15 吊手取付部
16 軸部
20 ガラスびん
21 ビード
22 蓋
【技術分野】
【0001】
本発明は、梅酒びんなどのびんに取り付けて吊手を形成する吊手バンド、及びこの吊手バンドを装着したびんに関する。
【背景技術】
【0002】
梅酒びんなどのびんに取り付ける吊手バンドは、びんに簡単に取り付けることができ、またびん洗浄などのときに容易に取り外しのできるものが望まれている。
このような吊手バンドは、例えば下記特許文献1〜3に開示されている。
【0003】
特許文献1で提案されているものは、バンド本体の中間にジグザグ形折返しを有する外方迂回部を形成し、外方迂回部が変形することでバンド本体の径が拡大するのでびんに対する着脱が可能となり、外方迂回部に適合する凹部を有する止具を外側から嵌着することで外方迂回部の変形及び径の拡大が拘束され、びん外周に固定されるものである。
【0004】
特許文献2で提案されているものは、バンド本体の両端部を接続してリング状にするもので、一端に凹凸面を形成し、他端に内部に凸凹面を有する断面がコ字状のコ字状部を形成し、一端を他端のコ字状部内に挿入して凹凸面と凸凹面を係合させ、外側から補強カバーを取り付けて両端を接続するものである。
【0005】
特許文献3で提案されているものは、バンド本体の両端部を接続してリング状にするもので、一端に鋸歯状の突条を備えた挿入片を形成し、他端に挿入片が挿入される挿入孔と、挿入片の突条と係合して挿入片の脱落を阻止する弾性ストッパを形成し、これにより両端を接続するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平5−23471号公報
【特許文献2】実開昭64−2735号公報
【特許文献3】特開2009−35329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1の吊手バンドは、端部のないリング状であるので、びんに対する着脱にやや難があった。すなわち、びん口部に対して着脱する場合、バンド本体がびんのビード(口部の環状突条)を乗り越えさせなければならないが、リング状であるためにこの作業がやや煩雑となる。
【0008】
前記特許文献1,2の吊手バンドは、止具又は補強カバーが別部品となっているので、びんを洗浄する際にびんから取り外し、止具又は補強カバーが紛失すると再使用不能になってしまうという問題がある。
【0009】
前記特許文献2,3の吊手バンドは、バンド本体がびん外周にタイトになるように、両端を相互に強い力で押し付け、バンド径が最小となるようにしてびんに取り付けるので、取り付け作業に強い力を必要とし、ややもするとびんに対して緩く取り付けられることがあった。
【0010】
前記特許文献3の吊手バンドは、びんから取り外す際に、弾性ストッパをその弾性に逆らって外側に引き起こさなければならないので、取り外し作業が煩雑であった。
【0011】
本発明は、びんに対する着脱作業が容易で、しかもタイトに取り付けることのできるびんの吊手バンドを開発することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
〔請求項1〕
本発明は、A端とB端を接続しリング状にしてびん外周に捲止するバンド本体と、U字状をなし、両端部が前記バンド本体の対向位置に係止された吊手を有する吊手バンドにおいて、前記A端は波形面Aを有し、前記B端は前記波形面Aと対応する波形面Bを有すると共に、外周にカム面を形成したカムレバーが、該カム面と前記波形面Bが対向するように回動自在に軸着され、前記A端を前記B端の波形面Bとカム面の間に挿入し、前記カムレバーを回動させることで波形面Bとカム面の間隔が狭まり、前記波形面A,Bが密着してA,B端が強固に接続されることを特徴とするびんの吊手バンドである。
【0013】
波形面の波形はどのようなものでもよいが、鋸歯状とするのが最も好ましい。
カムレバーのカム面は、軸心からカム面までの径が角度位置によって変化しているもので、カムレバーを回動させることでカム面と波形面Bの間隔寸法が変化するものである。
【0014】
本発明の吊手バンドは、カムレバーを回動させるだけで吊手バンドをびんに対して着脱できるので、着脱作業がきわめて簡単である。
びんに取り付ける際に、カムレバーを回動させたとき、波形面Aの背面とカム面の摩擦により、A端がバンド本体の径が小さくなる方向に力を受けるようにできるので、吊手バンドをびん外周にタイトに取り付けることができる。
吊手バンドをびんから取り外したときに別部品が生じないので、別部品を紛失して再使用不能になるおそれがない。
【0015】
〔請求項2〕
また本発明は、前記波形面Aを前記A端の内周面に形成し、前記波形面Bを前記B端の外周面に形成し、前記カムレバーを前記B端から水平方向外側に張り出した受板部に軸着した請求項1に記載の吊手バンドである。
【0016】
波形面A,Bの形成位置、カムレバーの軸着位置は、具体的には上記の構成とすることができ、このようにするのが最も合理的である。
なお、波形面AをA端に上向き又は下向きに設け、これに対応して波形面BをB端に下向き又は上向きに設けることも可能である。そのときは、カムレバーを回動軸が水平方向となるようにB端に軸着する。
【0017】
〔請求項3〕
また本発明は、前記波形面Aの背面と、前記カム面が粗面となっており、前記カムレバーを回動させたときに、前記波形面Aの背面とカム面の摩擦により、前記A端がバンド本体の径が小さくなる方向に力を受ける請求項1又は2に記載の吊手バンドである。
【0018】
波形面Aの背面とカム面を粗面にすると、カムレバーを回動させたときに、波形面Aの背面とカム面の摩擦により、A端がバンド本体の径が小さくなる方向に強い力を受け、バンド径が締まってバンド本体がびん外周にタイトに取り付けられる。
粗面の凹凸形状は、多数の小突起を形成したもの、多数の浅い縦溝又は縦の小突条を形成したものなど、どのようなものでもよい。
【0019】
〔請求項4〕
また本発明は、前記カムレバーが鈎状部を有し、前記A端が鈎受部を有し、前記カムレバーを回動してA,B端を接続したときに、前記鈎状部が前記鈎受部に係止される請求項1〜3のいずれかに記載の吊手バンドである。
【0020】
バンド本体のA,B端を接続したときに、カムレバーの鈎状部がB端の鈎受部に係止されるようにすると、不用意にカムレバーが回動して吊手バンドがびんから脱落するのを防止することができる。
【0021】
〔請求項5〕
また本発明は、請求項1〜4のいずれかの吊手バンドを口部外周に捲止したびんである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の吊手バンドは、カムレバーを回動させるだけで吊手バンドをびんに対して着脱できるので、着脱作業がきわめて簡単である。
びんに取り付ける際に、カムレバーを回動させたとき、波形面Aの背面とカム面の摩擦により、A端がバンド本体の径が小さくなる方向に力を受けるようにできるので、吊手バンドをびん外周にタイトに取り付けることができる。
吊手バンドをびんから取り外したときに別部品が生じないので、別部品を紛失して再使用不能になるおそれがない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例の吊手バンド1の下面図である。
【図2】吊手バンド1の正面図である。
【図3】図2におけるX−X線断面図である。
【図4】A端の下面図である。
【図5】A端の正面図である。
【図6】B端の下面図である。
【図7】B端の正面図である。
【図8】カム面10の説明図である。
【図9】A,B端接続の説明図である。
【図10】A,B端接続の説明図である。
【図11】吊手バンド1を取り付けたガラスびん20の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0024】
以下、実施例を表した図面に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は実施例の吊手バンド1の下面図、図2は吊手バンド1の正面図、図3は図2におけるX−X線断面図、図4はA端の下面図、図5はA端の正面図、図6はB端の下面図、図7はB端の正面図、図8はカム面10の説明図、図9,10はA,B端接続の説明図、図11は吊手バンド1を取り付けたガラスびん20の正面図である。
【0025】
実施例の吊手バンド1はプラスチック製で、バンド本体2と吊手3からなる。
バンド本体2はA端4とB端5で分断されており、A,B端を接続することでリング状に形成される。A,B端から約90°の位置に、2個所の吊手取付部15が対向して設けられている。吊手取付部15には軸受孔が設けられ、U字状の吊手3の端部の軸部16をこの軸受孔に軸着し、吊手3がバンド本体2に回動自在に係止されている。
【0026】
A端は、先端部の内周面に鋸歯状の波形面A(6)を有し、そのやや根元よりの外周面に鈎受部7が形成されている。波形面Aの背面6aは粗面(多数の小突起が形成されている面)となっている。(図4,5)
【0027】
B端は、先端部の外周面に鋸歯状の波形面B(8)を有し、その下部から水平方向外側に受板部7が張り出し形成されている。受板部7には軸受孔が形成され、これにカムレバー9の回動軸11が軸着されている。
【0028】
カムレバー9は、レバーの上面の概略円柱状部分の外周がカム面10となっており、その上に円柱状の回動軸11、さらにその上に截頭円錐形状の抜止部12が形成されている。カム面10は、粗面(多数の小突起が形成されている面)となっている。カムレバー9は、抜止部12及び回動軸11を受板部7の軸受孔に押し込むことで、回動自在に受板部7に軸着されている。
カム面10と波形面B(8)は対向する位置関係にあり、その間には隙間が形成されている。(図6,7)
カムレバー9の先端部には鈎状部13が形成さている。
【0029】
カム面10は、回動軸11の軸心11aからの径が、角度位置によって異なっている。
図8において、B点〜A点〜D点の径はR1で最も大きな径、C点の径はR2で最も小さな径であり、B点からC点及びD点からC点はR1からR2まで徐々に径が小さくなっている。
A点は、A,B端を接続したとき(図10)に、波形面A背面6aと接する点である。
【0030】
次に、図9,10に基づいて、A,B端の接続について説明する。
先ず、カムレバーの角度を、図9に示されるような角度にする。このとき、カム面10のC点付近(図8)が波形面B(8)に対向しており、波形面B(8)とカム面10の隙間はA端の先端部の厚みよりもやや広くなっている。この状態で、図9の矢印Eで示すようにA端先端部を波形面B(8)とカム面10の隙間に挿入する。その後、カムレバー9を図9の矢印Fの方向に回動させると、波形面B(8)とカム面10の隙間が徐々に狭まり、次いでカム面10と波形面A背面6aが接触し、さらにカム面10が波形面A背面6aを波形面B(8)方向に押圧し、波形面A(6)が波形面B(8)に圧接される。この状態でさらにカムレバー9を矢印F方向に回動すると、波形面A背面6aとカム面10の摩擦により、A端が矢印E方向(すなわち、バンド本体の径が小さくなる方向)に強い力を受け、バンド本体をびん外周に対して緩みなく捲止することができる。
【0031】
カムレバー9を最後まで回動し、鈎状部13を鈎受部7に係止すると、図10の状態となり、A,B端が完全に接続される。このとき、カム面10のA点(図8)が波形面A背面6aに接触している。
【0032】
吊手バンド1をびんから取り外すときは、図10の状態から、鈎状部13を鈎受部7から外し、カムレバー9を図9矢印Fと反対方向に回動すると、カム面10と波形面B(8)の隙間が拡がり、A端を容易にB端のカム面10と波形面B(8)の間から抜き去ることができる。
【0033】
吊手バンド1は,図11に示されるように、果実酒用のガラスびん20に捲止することができる。
ガラスびん20は口部にビード21が形成され、蓋22が装着されている。吊手バンド1は、バンド本体をびん20口部のビード21の下部の外周に捲止することで、びん20に装着される。
【符号の説明】
【0034】
1 吊手バンド
2 バンド本体
3 吊手
4 A端
5 B端
6 波形面A
6a 波形面A背面
7 鈎受部
8 波形面B
9 カムレバー
10 カム面
11 回動軸
11a 軸心
12 抜止部
13 鈎状部
14 受板部
15 吊手取付部
16 軸部
20 ガラスびん
21 ビード
22 蓋
【特許請求の範囲】
【請求項1】
A端とB端を接続しリング状にしてびん外周に捲止するバンド本体と、
U字状をなし、両端部が前記バンド本体の対向位置に係止された吊手を有する吊手バンドにおいて、
前記A端は波形面Aを有し、
前記B端は前記波形面Aと対応する波形面Bを有すると共に、外周にカム面を形成したカムレバーが、該カム面と前記波形面Bが対向するように回動自在に軸着され、
前記A端を前記B端の波形面Bとカム面の間に挿入し、前記カムレバーを回動させることで波形面Bとカム面の間隔が狭まり、前記波形面A,Bが密着してA,B端が強固に接続されることを特徴とするびんの吊手バンド。
【請求項2】
前記波形面Aを前記A端の内周面に形成し、前記波形面Bを前記B端の外周面に形成し、前記カムレバーを前記B端から水平方向外側に張り出した受板部に軸着した請求項1に記載の吊手バンド。
【請求項3】
前記波形面Aの背面と、前記カム面が粗面となっており、前記カムレバーを回動させたときに、前記波形面Aの背面とカム面の摩擦により、前記A端がバンド本体の径が小さくなる方向に力を受ける請求項1又は2に記載の吊手バンド。
【請求項4】
前記カムレバーが鈎状部を有し、前記A端が鈎受部を有し、前記カムレバーを回動してA,B端を接続したときに、前記鈎状部が前記鈎受部に係止される請求項1〜3のいずれかに記載の吊手バンド。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかの吊手バンドを口部外周に捲止したびん。
【請求項1】
A端とB端を接続しリング状にしてびん外周に捲止するバンド本体と、
U字状をなし、両端部が前記バンド本体の対向位置に係止された吊手を有する吊手バンドにおいて、
前記A端は波形面Aを有し、
前記B端は前記波形面Aと対応する波形面Bを有すると共に、外周にカム面を形成したカムレバーが、該カム面と前記波形面Bが対向するように回動自在に軸着され、
前記A端を前記B端の波形面Bとカム面の間に挿入し、前記カムレバーを回動させることで波形面Bとカム面の間隔が狭まり、前記波形面A,Bが密着してA,B端が強固に接続されることを特徴とするびんの吊手バンド。
【請求項2】
前記波形面Aを前記A端の内周面に形成し、前記波形面Bを前記B端の外周面に形成し、前記カムレバーを前記B端から水平方向外側に張り出した受板部に軸着した請求項1に記載の吊手バンド。
【請求項3】
前記波形面Aの背面と、前記カム面が粗面となっており、前記カムレバーを回動させたときに、前記波形面Aの背面とカム面の摩擦により、前記A端がバンド本体の径が小さくなる方向に力を受ける請求項1又は2に記載の吊手バンド。
【請求項4】
前記カムレバーが鈎状部を有し、前記A端が鈎受部を有し、前記カムレバーを回動してA,B端を接続したときに、前記鈎状部が前記鈎受部に係止される請求項1〜3のいずれかに記載の吊手バンド。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかの吊手バンドを口部外周に捲止したびん。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−84302(P2011−84302A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−237882(P2009−237882)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(000222222)東洋ガラス株式会社 (102)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(000222222)東洋ガラス株式会社 (102)
【Fターム(参考)】
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