説明

まくら木及びその組み立て方法並びに軌道の設置方法

【課題】列車の下部に付着した氷塊を粉砕可能で、かつ作業性が高いまくら木を提供する。
【解決手段】
レール200の下部に配置されるまくら木1において、長尺状のまくら木本体2と、まくら木本体2の上面に設置され列車の下部に付着した氷塊を除去する除去部材3と、まくら木本体2と除去部材3とを固定する固定部材5を有し、除去部材5は、レールの上部側に突出する衝突部11を有しており、衝突部11は、前記列車の下面に接触しない高さまで配置され、まくら木本体2と除去部材3に亘って形成された貫通穴13に前記固定部材5が挿入されて接合されている構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まくら木及びその組み立て方法、並びにそのまくら木を用いた軌道の設置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
寒冷地での列車の走行時においては、列車の通過に伴って巻き上げられた氷雪が溶解し、列車の底面に固着することで氷塊を形成する。その後、列車の下部に付着した氷塊上に溶解した氷雪が再固着していき、氷塊が大きくなっていくことが知られている。列車の底面に付着した氷塊は、ある程度大きくなると、自重に耐えられず、列車の底面から剥離して落下する。その際に、まくら木間に配されたレール駆動シャフトや信号用配線等の制御装置に衝突し、それらを破壊してしまう恐れがあった。そこで、特許文献1では、図29のように大きな塊となった氷塊300の落下を防止するために、列車走行時にまくら木間に配されたレール駆動シャフトや信号用配線等の制御装置301に衝突する前に、まくら木の一部を氷塊300に衝突させることで、レール駆動シャフトや信号用配線等の制御装置301への衝突を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−41254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のまくら木は、まくら木の一部がレールよりも上方に露出しているため、軌道に設置するにあたって、レールをまくら木の上面以上の高さまでに持ち上げる必要があり、非常に煩雑であった。
【0005】
そこで、発明者は、特許文献1のまくら木に倣い、除去部材とまくら木本体を別個独立の部材とし、それらを接着剤にて接合したまくら木を試作した。試作したまくら木は、設置時において、レールを高く持ち上げる必要が無く、作業的には容易なものとなった。しかしながら、試作したまくら木では接着剤のみで接合しているため、接着剤が適切に塗布されていなかったり、接着剤が硬化する時間を十分に取れていなかったりすると、接合強度が十分ではなく、列車の底面に付着した氷塊との衝突によって、まくら木本体から除去部材がずれる、或いは離反する恐れがあった。
【0006】
そこで、本発明は、上記した問題点を解決するものであり、列車の下部に付着した氷塊を粉砕可能で、かつ作業性が高いまくら木を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、レールの下部に配置されるまくら木において、長尺状のまくら木本体と、まくら木本体の上面に設置され列車の下部に付着した氷塊を除去する除去部材と、まくら木本体と除去部材とを固定する固定部材を有し、除去部材は、レールの上部側に突出する衝突部を有しており、前記衝突部は、前記列車の下面に接触しない高さまで配置され、まくら木本体と除去部材に亘って形成された穴に前記固定部材が挿入されて接合されていることを特徴とするまくら木である。
【0008】
ここでいう「氷塊」とは、氷の塊を表し、氷雪等も含む概念である。
ここでいう「接触しない高さ」とは、通常の列車の走行動作では、列車の下面と除去部材の頂点が衝突しない高さのことを表し、好ましくは、列車の下面と除去部材の頂点との間隔が3〜10cm程度である。
ここでいう「穴」とは、底部を有する有底穴や底部を有さない無底穴の両方を含む。
【0009】
かかる構成によれば、衝突部は、前記列車の下面に接触しない高さまで配置されている。即ち、通常の列車の走行動作において、列車車輌に衝突せずに氷雪等の氷塊のみに衝突し、除去することができる。そのため、列車走行時にまくら木間に配されたレール駆動シャフトや信号用配線に衝突する前に、氷塊のみを除去することが可能となり、レール駆動シャフトや信号用配線に氷塊が落下することを防止できる。
また、かかる構成によれば、まくら木本体と除去部材に亘って形成された穴に固定部材が挿入されて接合されている。即ち、まくら木本体と除去部材との接合に、固定部材を用いているため、固定部材が破壊されない限り、まくら木本体に対して除去部材がずれることがない。また、例えば、接着剤と併用することによって、接合強度が増し、より強固な接合が可能である。まくら木本体に対して除去部材がずれることを防止できるため、接着剤が固化するのを待つ必要が無い。即ち、作業性がよい。
【0010】
請求項2に記載の発明は、除去部材は、凸部を有しており、まくら木本体は、凹部を有しており、凹部内に凸部が挿入されており、凹部と凸部に亘って連続した貫通穴を有しており、前記貫通穴に固定部材が挿入されていることを特徴とする請求項1に記載のまくら木である。
【0011】
かかる構成によれば、凹部内に凸部が挿入されており、凹部と凸部に亘って連続した貫通穴に固定部材が挿入されている。即ち、凹部内に凸部が挿入されているため、例え、氷塊に衝突部が接触しても、凸部の一部がまくら木本体の凹部の内壁に接触し、まくら木本体に対する除去部材のずれを防止できる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、除去部材とまくら木本体に亘って連続した複数の貫通穴を有しており、前記貫通穴内に固定部材が挿入されることを特徴とする請求項1又は2に記載のまくら木である。
【0013】
かかる構成によれば、除去部材とまくら木本体に亘って複数の貫通穴を有しており、前記貫通穴内に固定部材が挿入されるため、接合強度が高い。
【0014】
請求項4に記載の発明は、貫前記貫通穴の延伸方向は、天地方向に対して傾斜していることを特徴とする請求項3に記載のまくら木である。
【0015】
かかる構成によれば、貫通穴の延伸方向は天地方向に対して傾斜している。即ち、貫通穴の延伸方向は、少なくとも水平方向の成分と垂直方向の成分に分解可能であり、分解した成分に対して垂直方向への動きを規制できる。即ち、例え、氷塊に衝突部が接触しても、まくら木本体に対する除去部材のずれを防止できる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、前記貫通穴の延伸方向は、他の貫通穴に対してねじれの位置にあることを特徴とする請求項3又は4に記載のまくら木である。
【0017】
かかる構成によれば、貫通穴の延伸方向は、他の貫通穴に対してねじれの位置にある。即ち、貫通穴は3次元全ての方向に対して成分を有し、その貫通穴に固定部材が挿入されるため、例え、氷塊に衝突部が接触しても、まくら木本体に対する除去部材のずれを防止できる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、除去部材は、まくら木の長手方向に突出した張出部を有しており、まくら木本体には前記張出部と係合可能な係合溝が設けられており、前記係合溝は、張出部と係合することによって、張出部の天地方向の動きを規制するものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のまくら木である。
【0019】
かかる構成によれば、前記係合溝は、係合部の天地方向の動きを規制するものであるため、例え、氷塊に衝突部が接触しても、まくら木本体に対する除去部材の上方への離反を防止できる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、除去部材は、繊維補強された材料によって形成されており、その繊維方向は天地方向であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のまくら木ある。
【0021】
かかる構成によれば、その繊維方向は天地方向であるため、天地方向への引っ張り強度が高い。即ち、例え、天地方向に力が加わっても除去部材が破壊されにくい。
【0022】
請求項8に記載の発明は、受け部材を有し、前記受け部材は、前記固定部材を挿入可能な固定受け孔を備えており、前記受け部材は、挿入方向後端にフランジ状の頭部を有しており、前記貫通穴内に挿入されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のまくら木である。
【0023】
かかる構成によれば、受け部材は、挿入方向後端にフランジ状の頭部を有しており、貫通穴内に挿入されている。即ち、例えば固定部材にネジ釘のような軸部から外側に張り出した頭部を有したものを用いた場合であっても、固定部材の頭部が、受け部材の頭部よりも小さければ、固定部材の頭部がまくら木に食い込むことを防止することができる。即ち、固定部材の頭部がまくら木に接触することによって、まくら木の一部が破損したり、固定部材自体が破損したりすることを防止できる。
【0024】
請求項9に記載の発明は、前記固定部材は杭状体であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のまくら木である。
【0025】
ここでいう「杭状体」とは、挿入方向先端部分が鋭くとがった棒状体を表す。
【0026】
かかる構成によれば、固定部材は杭状体であるため、固定部材を挿入方向に打ち込むことで、まくら木内に固定部材の一部又は全部を埋め込むことができる。
【0027】
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至9のいずれかに記載のまくら木の組み立て方法において、あらかじめ、固定部材よりも外径の小さな貫通穴を作製し、その後、固定部材を打ち込むことを特徴とするまくら木の組み立て方法である。
【0028】
かかる方法によれば、固定部材よりも外径の小さな貫通穴を作製し、その後、固定部材を打ち込むため、まくら木に固定部材の軸部が食い込み、高い固定部材とまくら木との接合性が高い。
【0029】
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至10のいずれかに記載のまくら木を用いた軌道の設置方法において、まくら木本体上にレールを設置し、その後、除去部材を接合することを特徴とする軌道の設置方法である。
【0030】
かかる方法によれば、まくら木本体上にレールを設置し、その後、除去部材を接合するため、まくら木本体と除去部材を別々に運搬できる。また、レールをまくら木本体以上の高さに持ち上げる必要が無いため、作業性が高い。
【発明の効果】
【0031】
本発明のまくら木によれば、衝突部は、前記列車の下面に接触しない高さまで配置されている。即ち、通常の列車の走行動作において、列車車輌に衝突せずに氷雪等の氷塊のみに衝突し、除去することができる。そのため、列車走行時にまくら木間に配されたレール駆動シャフトや信号用配線に衝突する前に、氷塊のみを除去することが可能となり、レール駆動シャフトや信号用配線に氷塊が落下することを防止できる。
また、本発明のまくら木によれば、まくら木本体と除去部材に亘って形成された穴に固定部材が挿入されて接合されている。即ち、まくら木本体と除去部材との接合に、固定部材を用いているため、固定部材が破壊されない限り、まくら木本体に対して除去部材がずれることがない。また、例えば、接着剤と併用することによって、接合強度が増し、より強固な接合が可能である。まくら木本体に対して除去部材がずれることを防止できるため、接着剤が固化するのを待つ必要が無い。即ち、作業性がよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施形態のまくら木の軌道設置図である。
【図2】本発明の第1実施形態のまくら木の分解斜視図である。
【図3】図2のまくら木本体の平面図である。
【図4】図1のまくら木のA−A断面図である。
【図5】図1のまくら木を軌道に設置する際の説明図であり、(a)まくら木本体を設置する時、(b)まくら木本体上に除去部材を設置する時、(c)まくら木本体上に除去部材を設置した後、(d)まくら木本体及び除去部材に栓部材を挿入する時の説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態のまくら木の分解斜視図である。
【図7】図6のまくら木を組み立てた状態を示すB−B断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態のまくら木の分解斜視図である。
【図9】図8のまくら木を組み立てた状態を示すC−C断面図である。
【図10】本発明の第4実施形態のまくら木の軌道設置図である。
【図11】図10のまくら木の分解斜視図である。
【図12】図10のまくら木のD−D断面図である。
【図13】図10のまくら木を軌道に設置する際の説明図であり、(a)まくら木本体を設置する時、(b)まくら木本体上にレールを設置する時、(c)まくら木本体上に除去部材を設置した後、(d)まくら木本体及び除去部材に栓部材を挿入する時の説明図である。
【図14】本発明の第5実施形態のまくら木の軌道設置図である。
【図15】図14のまくら木の分解斜視図である。
【図16】図14のまくら木のE−E断面図である。
【図17】本発明の第6実施形態のまくら木の軌道設置図である。
【図18】図17のまくら木の分解斜視図である。
【図19】図17のまくら木のF−F断面図である。
【図20】図17のまくら木を軌道に設置する際の説明図であり、(a)まくら木本体を設置する時、(b)まくら木本体上にレールを設置する時、(c)まくら木本体上に除去部材を設置する途中、(d)まくら木本体及び除去部材に栓部材を挿入する時の説明図である。
【図21】本発明の第7実施形態のまくら木の軌道設置図である。
【図22】図21のまくら木の分解斜視図である。
【図23】図21のまくら木を組み立てた状態を示すG−G断面図である。
【図24】図21のまくら木を軌道に設置する際の説明図であり、(a)まくら木本体上にレールを設置する時、(b)まくら木本体上に除去部材を設置する時、(c)まくら木本体及び除去部材に固定部材を挿入する前、(d)まくら木本体及び除去部材に固定部材を挿入した後の説明図である。
【図25】本発明の第7実施形態のまくら木の分解斜視図である。
【図26】図25のまくら木を組み立てた状態を示すH−H断面図である。
【図27】図25のまくら木を軌道に設置する際の説明図であり、(a)まくら木本体に除去部材の設置途中、(b)貫通穴内に受け部材を設置する時、(c)まくら木本体及び除去部材に固定部材を挿入する前、(d)まくら木本体及び除去部材に固定部材を挿入後の説明図である。
【図28】本発明の第9実施形態のまくら木の斜視図である。
【図29】列車車輌の下部に付着した氷塊に衝突する前の状況を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に本発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、以下の説明において、特に断りがない限り、上下左右の位置関係は、通常の設置位置(図1)を基準に説明する。即ち、図1において、まくら木の長手方向を左右、上下方向を上下、幅方向を前後と表す。
【0034】
第1実施形態にかかるまくら木1は、図1のように鉄道軌道のレール200を支持するものである。鉄道車輌は、図1の矢印Xのようにレール200上をまくら木1の幅方向前方から後方にかけて通過する。まくら木1は、長尺状のまくら木本体2と、レール間に配された除去部材3と、栓部材5(固定部材)を有している。
【0035】
以下、まくら木1の各部材について説明する。
まず、まくら木本体2の構成について説明する。
まくら木本体2は、略直方体状の長尺体であり、その上面に2本で1対のレールが載置される部材である。まくら木本体2は、図2のようにまくら木本体2の長手方向の中央に除去部材3の凸部7を挿入可能な凹部9を有している。また、凹部9は、幅方向の中央位置に配されている。凹部9は略直方体状の有底穴である。即ち、凹部9は、図3のように底部24と、底部24に対して略垂直に設けられた内壁部23a〜23dの4つの内壁と、によって形成されている。そして、まくら木本体2は、まくら木1の幅方向にまくら木1の側面から凹部9まで貫通した固定孔6を複数有している。
【0036】
固定孔6は、図2のように開口形状がほぼ円形の孔であり、栓部材5を挿入可能となっている。固定孔6は、図3のように凹部9の内壁部23の中で前方に位置する内壁部23aと後方に位置する内壁部23dに設けられている。固定孔6は、まくら木本体2の前方側面25(後方側面26)から内壁部23a(内壁部23d)にかけて貫通している。固定孔6の個数は特に限定されないが、本実施形態の固定孔6では、まくら木本体2の長手方向に一列に2箇所ずつ、計4箇所設けられている。固定孔6は、長手方向に隣接する固定孔6と所定の間隔を空けて、長手方向に1列に並んでいる。そして、凹部9に対して前方に設けられた固定孔6aと後方に設けられた固定孔6bは同一投影面上に存在している。固定孔6の内径は、栓部材5の外径とほぼ等しい。
また、まくら木本体2の材質は、特に限定されないが、例えば、繊維補強された樹脂製、木製、PC製などが採用できる。
【0037】
続いて、除去部材3の構成について説明する。
除去部材3は、列車の下部に形成された氷塊に衝突し、列車から氷塊を削りとる部材である。除去部材3は、図2のように氷塊に衝突する除去本体10と、まくら木本体2と係合する凸部7を有している。言い換えると、除去部材3は、図1のように組み立て、完成した状態を基準として、まくら木本体2の上面14から露出した除去本体10と、まくら木本体2の凹部9内に配された凸部7を有している。
【0038】
除去本体10の高さ(下面17から上面18までの高さ)は、レール200の天面よりも高く、図1のように組み立て、完成した状態を基準として、列車車輌の下面に接触しない程度の高さとなっている。また、除去本体10の長手方向(左右方向)の長さは、まくら木本体2に載置されるレール200間の距離よりも短い。除去本体10は、幅方向前方(列車進行方向後方)に衝突部11を有している。
衝突部11は、図2のように複数の突起部12を有している。突起部12は、除去本体10の長手方向全体に亘って設けられている。具体的には、突起部12は、図4のように上面18と、複数の天面部15と、複数の壁部16と、前面27と、によって形成されている。除去本体10の前面27と上面18は、複数の壁部16と複数の天面部15を介して段状に連続している。突起部12の段数は特に限定はされないが、本実施形態の除去本体10では、4段の突起部12を有している。即ち、下から順に前面27、天面部15、壁部16、・・・、天面部15、壁部16、上面18のように階段状となっている。また、前面27と全ての壁部16の上下方向の長さの和は、除去本体10の他の側面の上下方向の長さに等しい。即ち、除去本体10の上面18と下面17は、上下方向に平行となっている。
【0039】
凸部7は、図2のように略直方体状の部位であり、上述したようにまくら木本体2の凹部9に挿入可能となっている。凸部7は、幅方向(前後方向)に貫通した貫通孔8を有している。貫通孔8の位置は、図1のように組み立て、完成した状態を基準として、まくら木本体2の固定孔6に対応する位置に設けられている。
【0040】
続いて、栓部材5(固定部材)の構成について説明する。
栓部材5は、図2のように略円柱状の栓であり、まくら木本体2に対して除去部材3を固定する部材である。栓部材5の材質については特に限定されないが、まくら木本体2の抜け防止の観点から例えば、繊維強化した樹脂製や金属強化したモルタル製や耐腐食性を有する金属製であることが好ましい。栓部材5の長手方向の長さは、まくら木本体2の幅方向の長さにほぼ等しい。栓部材5の外径は、まくら木本体2の固定孔6の内径、及び除去部材3の貫通孔8の内径にほぼ等しい。
【0041】
以下、まくら木1の各部材の位置関係について、まくら木1の設置手順に沿って主に図5を基準に説明する。
【0042】
まず、まくら木本体2を設置する(図5(a))。その後、まくら木本体2上に所定の間隔を空けてレール200を載置する(図5(a)から(b))。そして、まくら木本体2の中央付近に除去部材3を載置する(図5(b)から(c))。この時、除去部材3の凸部7は、まくら木本体2の凹部9内に挿入されている。
その後、まくら木本体2と除去部材3に亘って、電動ドリルなどを用いて一体的に所定の位置にまくら木本体2の固定孔6a、6bと、除去部材3の凸部7の貫通孔8を形成する(図5(c)から(d))。即ち、まくら木本体2の固定孔6a、6bと、除去部材3の凸部7の貫通孔8は、図4のように互いに連続した1つの貫通穴13を形成している。以下、固定孔6と貫通孔8で形成した穴を貫通穴13と称す。貫通穴13の内径の大きさは特に限定されないが、鉛直上方へのまくら木本体2の抜けの防止の観点から直径が10mm以上であることが好ましい。直径が10mmより小さくなると、組み立て時の強度が不十分になることがある。
また、除去部材3の上面18は、レール200の上端よりも上下方向に高い位置に配されている。即ち、レール200から除去部材3の一部又は全部がレール200の上部の位置に露出している。具体的には、除去部材3の上面18は、列車車輌の下面に接触しない程度の高さとなっている。ここでいう「接触しない高さ」とは、通常の列車の走行動作では、列車の下面と除去部材3の頂点が衝突しない高さのことを表し、好ましくは、列車の下面と除去部材3の上面18との間隔が3〜10cm程度である。
その後、まくら木1の幅方向全体に亘って、栓部材5を挿入する(図5(d))。この時、貫通穴13内に栓部材5が挿入されている。
また、まくら木本体2の前面25(後面26)と除去部材3の前面27(後面28)は、図4のように面一となっている。栓部材5の前方の端面(後方の端面)は、まくら木本体2の前面25(後面26)と面一となっている。また、まくら木本体2と、除去部材3と、栓部材5のそれぞれの接合面及び接着面には、例えば、エポキシ樹脂系の接着剤などの公知の接着剤が塗布されていることが好ましい。
【0043】
本実施形態のまくら木1の構成によれば、除去部材3の凸部7は、まくら木本体2の凹部9に挿入されているため、まくら木本体2に対する除去部材3の左右方向及び前後方向の動きを凹部9の内壁部23a〜23dが当接することによって規制している。
また、まくら木本体2と除去部材3の双方に亘って、栓部材5が挿入されているため、まくら木本体2に対して除去部材3の上下方向の動きを規制しており、除去部材3の上方への抜け落ちを防止できる。
【0044】
続いて、以下、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様のものは同じ符番を付して説明を省略する。
【0045】
第2実施形態のまくら木30は、除去部材3の凸部7の設置位置が異なる。
まくら木30のまくら木本体31は、図6のように幅方向の後方に切り欠き部32が設けられている。まくら木本体31の切り欠き部32は、底部24と内壁部23a〜23cから形成されている。即ち、まくら木1の凹部9の内壁部23dがなく、幅方向後方に向けて開放されている。まくら木本体31の切り欠き部32の底部24と、まくら木本体2の上面14は、各内壁部23a〜23cのそれぞれを介して段状に連続している。
【0046】
まくら木30の除去部材34の凸部35は、図7のように幅方向の後方部分に略垂直に立設されている。即ち、凸部35は、除去部材34の後面36に沿って形成されており、下方向に突出している。そして、凸部35は、切り欠き部32と係合可能となっている。
【0047】
以下、まくら木30を組み立て、完成時におけるまくら木30の各部材の位置関係について主に図6を基準に説明する。
【0048】
まくら木30は、まくら木本体31上に除去部材34が配されている。除去部材34の凸部35は、まくら木本体31の切り欠き部32内に挿入されている。そして、まくら木30の幅方向全体に亘って、栓部材5が挿入されている。即ち、まくら木本体2の固定孔6aと、除去部材34の凸部35の貫通孔8は、図7のように互いに連続した1つの貫通穴13を形成しており、そのそれぞれの内部に栓部材5が挿入されている。
また、まくら木本体31の後面26と除去部材34の後面36は、図7のように面一となっている。栓部材5の後方の端面は、除去部材3の後面36と面一となっている。また、まくら木本体31と、除去部材32と、栓部材5のそれぞれの接合面及び接着面には、例えば、エポキシ樹脂系の接着剤などの公知の接着剤が塗布されていることが好ましい。
【0049】
本実施形態のまくら木30の構成によれば、除去部材34の凸部35は、まくら木本体31の切り欠き部32に挿入されているため、まくら木本体31に対する除去部材34の左右方向及び前方向の動きを切り欠き部32の内壁部23a〜23cが当接することによって規制している。また、切り欠き部32の後方は開放されているため、除去部材34を前方に水平移動させることによって、設置することができる。即ち、持ち上げて除去部材34を設置する必要が無い。
また、まくら木本体31と除去部材34の双方に亘って、栓部材5が挿入されているため、まくら木本体31に対して除去部材34の上下方向の動きを規制しており、除去部材34の上方への抜け落ちを防止できる。
【0050】
続いて、以下、本発明の第3実施形態について説明する。なお、第1〜2実施形態と同様のものは同じ符番を付して説明を省略する。
【0051】
第3実施形態のまくら木40の除去部材45は、図8のように第2実施形態の除去部材34の凸部35に加えて、さらに凸部35と幅方向に対向する位置にほぼ同様の形状を有した凸部42を備えている。即ち、凸部35と凸部42は、幅方向両端に所定の間隔を空けて設けられている。凸部42は、凸部35と実質的に同様の形状を有している。
【0052】
まくら木本体41は、図8のように前後方向端部に切り欠き部32、43を有している。切り欠き部32、43は、突出部44を挟んで幅方向に平行に設けられている。切り欠き部43は、切り欠き部32と突出部44を基準に左右対称となっている。まくら木本体41の切り欠き部43は、底部24と内壁部23b〜23dから形成されている。即ち、切り欠き部43は、内壁部23aを有さず、幅方向前方に向けて開放されている。突出部44は、凹部43の内壁面23dと、上面14と、凹部32の内壁面23aと、が連続することによって形成されている。
【0053】
以下、まくら木4を組み立て、完成時のまくら木40の各部材の位置関係について主に図8を基準に説明する。
【0054】
まくら木40は、まくら木本体41上に除去部材45が載置している。除去部材45の凸部35、42は、まくら木本体41の切り欠き部32、43内に挿入されている。そして、まくら木40の幅方向全体に亘って、栓部材5が挿入されている。即ち、まくら木本体41の固定孔6と、除去部材45の凸部35、42の貫通孔8は、図9のように互いに連続した1つの貫通孔13を形成しており、そのそれぞれの内部に栓部材5が挿入されている。除去部材45の凸部35と凸部42は、図9のようにまくら木本体41の突出部43を挟持している。
また、まくら木本体2の前面25と除去部材3の前面46は、図9のように面一となっている。栓部材5の前方の端面は、除去部材3の前面46と面一となっている。また、まくら木本体41と、除去部材45と、栓部材5のそれぞれの接合面及び接着面には、例えば、エポキシ樹脂系の接着剤などの公知の接着剤が塗布されていることが好ましい。
【0055】
本実施形態のまくら木40によれば、除去部材45の凸部35と凸部42は、まくら木本体41の突出部43を挟持しているため、例え、まくら木40の幅方向の外力を受けても、除去部材3の上方への抜け落ちを防止できる。
【0056】
続いて、以下、本発明の第4実施形態について説明する。なお、第1〜3実施形態と同様のものは同じ符番を付して説明を省略する。
【0057】
第4実施形態のまくら木50は、第1〜3実施形態とは、固定方法が異なる。
まくら木50は、図10のようにまくら木本体51と除去部材52と栓部材5を有している。
【0058】
以下、各部材の構成について説明する
まくら木本体51は、図10のようにまくら木本体2と同様、略直方体状の棒体であり、その上面に2本で1対のレール200が載置される部材である。まくら木本体51は、図11のように厚み方向(上下方向)に延伸した固定穴53を有している。固定穴53は、開口形状がほぼ円形の有底穴であり、栓部材5を挿入可能となっている。固定穴53は、水平面に対して垂直に形成された垂直固定穴54(長手方向中央)と、長手方向左側に傾斜した左側固定穴55(長手方向左方)と、長手方向右側に傾斜した右側固定穴56(長手方向右方)とを有している。そして、垂直固定穴54と、左側固定穴55と、右側固定穴56は、長手方向に1列に並んでいる。
【0059】
左側固定穴55及び右側固定穴56は、図12のように長手方向の成分と、上下方向の成分の両方を有している。基準線(水平面)に対する左側固定穴55の傾斜角度αは、水平面に対して45度〜85度傾斜していることが好ましく、水平面に対して60度〜80度傾斜していることがさらに好ましい。基準線(水平面)に対する右側固定穴56の傾斜角度βは、水平面に対して45度〜85度傾斜していることが好ましい。水平面に対して60度〜80度傾斜していることがさらに好ましい。固定穴53の個数は特に限定されるものではなく、垂直固定穴54と、左側固定穴55と、右側固定穴56の内少なくとも2つ設けられていればよい。なお、本実施形態の固定穴53は、垂直固定穴54と、左側固定穴55と、右側固定穴56の計3箇所形成されている。左側固定穴55と右側固定穴56は、下方に向かうにつれて、垂直固定穴54に近接している。
【0060】
まくら木本体51の材質は、特に限定されないが、例えば、繊維補強された樹脂製、木製、PC製などが採用できる。
【0061】
続いて、除去部材52の構成について説明する。
除去部材52は、除去本体10とほぼ同様の形状を有している。即ち、凸部7が存在しない。また、除去部材52は、列車進行方向後方(図10の幅方向前方)に衝突部11を有している。除去部材52は、図12のように上下方向に貫通した貫通孔57を有している。貫通孔57の位置は、図12のように組み立て、完成した状態を基準として、まくら木本体51の固定穴53に対応する位置に設けられている。
【0062】
以下、まくら木50の各部材の位置関係について、まくら木50の設置手順に沿って主に図13を基準に説明する。
【0063】
まず、まくら木本体51を設置する(図13(a))。その後、まくら木本体51上に所定の間隔を空けてレール200を載置する(図13(a)から(b))。そして、まくら木本体51の中央付近に除去部材52を載置する(図13(b)から(c))。その後、まくら木本体51と除去部材52に亘って、電動ドリルなどを用いて一体的に所定の位置にまくら木本体51の固定孔53と、除去部材52の貫通孔57を形成する(図13(c)から(d))。
この時、まくら木本体51の固定穴53と、除去部材52の貫通孔57は、図12のように天地方向(上下方向)に互いに連続した1つの貫通穴58を形成している。貫通穴58の内径の大きさは特に限定されないが、鉛直上方へのまくら木本体51の抜けの防止の観点から直径が10mm以上であることが好ましい。直径が10mmより小さくなると、組み立て時の強度が不十分になることがある。
その後、まくら木1の幅方向全体に亘って、栓部材5を挿入する(図13(d))。この時、貫通穴58内に栓部材5が挿入されている。栓部材5の上方の端面は図12のように除去部材52の上面18と面一となっている。また、まくら木本体51と、除去部材52と、栓部材5のそれぞれの接合面及び接着面には、例えば、エポキシ樹脂系の接着剤などの公知の接着剤が塗布されていることが好ましい。
【0064】
本実施形態のまくら木50の構成によれば、水平面に対して斜め方向に栓部材5がまくら木本体51と除去部材52の双方に亘って挿入されているため、衝突部11に氷塊が衝突しても、まくら木本体51に対する除去部材52のずれを防止できる。
【0065】
続いて、以下、本発明の第5実施形態について説明する。なお、第1〜4実施形態と同様のものは同じ符番を付して説明を省略する。
【0066】
第5実施形態のまくら木60は、まくら木50の栓部材5の挿入方向が異なる。
即ち、まくら木60は、図14のようにまくら木本体61と除去部材62と栓部材5を有している。
まくら木本体61は、まくら木本体51とほぼ同様の形状をしており、固定穴53の延伸方向が異なる。即ち、まくら木本体61の固定穴63は、図15のように開口形状がほぼ円形の有底穴であり、栓部材5を挿入可能となっている。
【0067】
固定穴63は、図16のように水平面に対して垂直に形成された垂直固定穴54(長手方向中央)と、前後方向後方側に傾斜した後側固定穴64(幅方向後方)を有している。そして、垂直固定穴54と、後側固定穴64は、幅方向(前後方向)にずれている。即ち、垂直固定穴54と、後側固定穴64はねじれの関係となっている。ここでいう「ねじれの関係」とは互いに平行でなく、延長上で交差しない関係をいう。
後側固定穴64は、長手方向の成分と幅方向の成分と上下方向の成分の3次元すべての方向の成分を有している。基準線(水平面)に対する後側固定穴64の傾斜角度γは、水平面に対して45度〜85度傾斜していることが好ましく、水平面に対して60度〜80度傾斜していることがさらに好ましい。
固定穴63の個数は特に限定されるものではなく、垂直固定穴54と後側固定穴64が少なくとも1つずつ設けられていればよい。なお、本実施形態の固定穴63は、垂直固定穴54と、後側固定穴64が2箇所ずつ計4箇所に形成されている。また、固定穴63の配列は特に限定されないが、本実施形態では固定穴63は、図15のように長手方向に左方から順に後側固定穴64a、垂直固定穴54a、垂直固定穴54b、後側固定穴64bの順に並んでいる。固定穴63の内径は、栓部材5の外径とほぼ等しい。
【0068】
続いて、除去部材62の構成について説明する。
除去部材62は、除去部材52とほぼ同様の形状を有している。即ち、貫通孔65の延伸方向が異なる。貫通孔65の位置は、図14のように組み立て、完成した状態を基準として、まくら木本体61の固定穴63に対応する位置に設けられている。
【0069】
以下、まくら木60の各部材の位置関係について主に図15を基準に説明する。
【0070】
まくら木60は、まくら木本体61上に除去部材62が載置されている。まくら木60の上下方向全体に亘って、栓部材5が挿入されている。即ち、まくら木本体61の固定孔63と、除去部材62の貫通孔65は、図16のように互いに連続した1つの貫通穴66を形成しており、そのそれぞれの内部に栓部材5が挿入されている。貫通穴66の内径の大きさは特に限定されないが、鉛直上方へのまくら木本体に対する除去部材62の抜けの防止の観点から直径が10mm以上であることが好ましい。直径が10mmより小さくなると、組み立て時の強度が不十分になることがある。
また、栓部材5の上方の端面は、図16のように除去部材62の上面18と面一となっている。また、まくら木本体61と、除去部材62と、栓部材5のそれぞれの接合面及び接着面には、例えば、エポキシ樹脂系の接着剤などの公知の接着剤が塗布されていることが好ましい。
【0071】
本実施形態のまくら木60の構成によれば、前後左右上下の3次元方向のすべての方向に成分を有する栓部材5がまくら木本体61と除去部材62の双方に亘って挿入されているため、衝突部11に氷塊が衝突しても、まくら木本体61に対する除去部材62のずれを防止できる。
【0072】
続いて、以下、本発明の第6実施形態について説明する。なお、第1〜5実施形態と同様のものは同じ符番を付して説明を省略する。
【0073】
第6実施形態のまくら木70は、図17のようにまくら木本体71と除去部材72と栓部材5を有している。
まくら木本体71は、図18のようにまくら木70の幅方向全体に亘って切り欠いた切り欠き部73を有する。切り欠き部73は、長方形状の切り欠きであり、切り欠き深さ(まくら木本体の上面14から切り欠き部73の底部74までの深さ)は、除去部材72の凸部75の上下方向の長さに等しい。
【0074】
まくら木本体71は、図18のように厚み方向(上下方向)に延伸した固定穴80を複数有している。固定穴80は、開口形状がほぼ円形の有底穴であり、栓部材5を挿入可能となっている。固定穴80は、水平面に対して垂直に形成されている。固定穴80の個数は特に限定されるものではない。なお、本実施形態の固定穴80は、長手方向に平行に計2箇所形成されている。固定穴80は、長手方向にそれぞれ平行に配されている。
【0075】
また、まくら木本体71は、切り欠き部73の左右の内壁面76の上端部分から内側方向(中央方向)に突出した突出部77を有している。突出部77は直方体状の部位であり、突出部77の長手方向は、まくら木70の幅方向を向いている。また、図19のようにまくら木本体71の突出部77の下面78と切り欠き部73の底部74との間には、所定の間隔を有している。即ち、除去部材72の張出部79を挿入可能な固定溝82を有している。
【0076】
除去部材72は、図17のように組み立て、完成した状態を基準として、まくら木本体71の上面14から露出する除去本体85と、まくら木本体71の上面14より下部に位置する凸部75から形成されている。凸部75は、図18のように直方体状の部位であり、その左右側面の下端部分に長手方向外側に張り出した張出部79を有している。張出部79は、凸部75の幅方向全体に亘って設けられており、略直方体状の部位である。張出部79の張出長さ(張出部79の先端面から除去本体85の側面までの距離)は、まくら木本体71の突出部77の突出長さ(突出部77の突出方向先端面とまくら木本体71の内壁部76までの長さ)とほぼ等しい。除去部材72は、図18のように上下方向に貫通した貫通孔81を有している。貫通孔81の位置は、図17のように組み立て、完成した状態を基準として、まくら木本体71の固定穴80に対応する位置に設けられている。
【0077】
以下、まくら木70の各部材の位置関係について主に図20を基準に組み立て手順に沿って、説明する。
【0078】
まず、まくら木本体71を設置する(図20(a))。その後、まくら木本体71上に所定の間隔を空けてレール200を載置する(図20(a)から図20(b))。そして、まくら木本体71の切り欠き部73内に幅方向に平行移動させて、除去部材72の凸部75を挿入する(図20(b)から図20(c))。即ち、まくら木本体71の中央付近に除去部材72を載置する。この時、まくら木本体71の突出部77と除去部材72の張出部79は、図19のように互いに係合している。言い換えると、まくら木本体71の固定溝82内に除去部材72の張出部79が嵌合している。その後、まくら木本体71と除去部材72に亘って、電動ドリルなどを用いて一体的に所定の位置にまくら木本体71の固定孔80と、除去部材72の貫通孔81を形成する(図20(c)から図20(d))。
【0079】
この時、まくら木本体71の固定穴80と、除去部材72の貫通孔81は、図19のように天地方向(上下方向)に互いに連続した1つの貫通穴83を形成している。貫通穴83の内径の大きさは特に限定されないが、鉛直上方へのまくら木本体71の抜けの防止の観点から直径が10mm以上であることが好ましい。直径が10mmより小さくなると、組み立て時の強度が不十分になることがある。
【0080】
その後、上下方向に上方から栓部材5を貫通穴83に挿入する(図20(d))。この時、貫通穴83内に栓部材5が挿入されている。また、栓部材5の上方の端面は、除去部材72の上面18と面一となっている。また、まくら木本体71と、除去部材72と、栓部材5のそれぞれの接合面及び接着面には、例えば、エポキシ樹脂系の接着剤などの公知の接着剤が塗布されていることが好ましい。
【0081】
本実施形態のまくら木70の構成によれば、まくら木本体71の固定溝82内に除去部材72の張出部79が嵌合しているため、まくら木本体71に対して除去部材72の上方の離反を規制している。
【0082】
続いて、以下、本発明の第7実施形態について説明する。なお、第1〜6実施形態と同様のものは同じ符番を付して説明を省略する。
【0083】
第7実施形態のまくら木90は、図21のようにまくら木本体91と除去部材92と固定部材93を有している。
まくら木本体91は、まくら木本体51とほぼ同様の形状をしており、固定穴53の延伸方向が異なる。即ち、まくら木本体91の固定穴94は、図22のように開口形状がほぼ円形の有底穴であり、固定部材93を挿入可能となっている。
【0084】
固定穴94は、水平面に対して垂直に形成されている。固定穴94の個数については特に限定されない。即ち、1つでも良いし、複数でもよい。本実施形態の固定穴94は、まくら木本体91の長手方向に所定の間隔を空けて3箇所配設されている。また、そのそれぞれの固定穴94の中心は、まくら木本体91の長手方向に1列に並んでおり、互いに平行に配されている。
固定穴94は、まくら木90を仮組した後に電動ドリルなどを用いて一体的に所定の位置に穿設穴98(図24参照)を形成した後、固定部材93を打設して形成されるものである。即ち、固定穴94は、固定部材93の軸部99の外形に沿った内壁面となっている。
【0085】
続いて、除去部材92の構成について説明する。
除去部材92は、除去部材52とほぼ同様の形状を有している。即ち、除去部材92の貫通孔96は、除去部材52の貫通孔57の延伸方向と形状が異なる。貫通孔96の位置は、図21のように組み立て、完成した状態を基準として、まくら木本体91の固定穴93に対応する位置に設けられている。
また、貫通孔96の内径は、図23のように固定穴94の内径よりも大きくなっている。言い換えると、固定部材93の軸部99の最大外径よりも大きくなっている。即ち、締結時に、固定部材93の軸部99は貫通孔96の内壁には接触しない。それ故に、締結時に、固定部材93の軸部99と貫通孔96の内壁とが接触することにより、除去部材92の一部がえぐられ、除去部材92とまくら木本体91との接着面に凹凸が発生することがない。隙間が生じることを防止できる。即ち、接着力が低下することを防止することができる。
また、貫通孔96の内径は、固定部材93のフランジ部100よりも小さくなっている。言い換えると、頭部用貫通孔103の内径よりも小さくなっている。即ち、頭部用貫通孔103の内壁と貫通孔96の内壁は、段差部104を介して段状に連続している。即ち、固定部材93のフランジ部100の下面と段差部104の上面とが当接し、固定部材93の抜け落ちを防止できる。
貫通孔96の上方の位置には、頭部用貫通孔103が設けられている。頭部用貫通孔103は、固定部材93の頭部97が収納可能な孔となっている。また、頭部用貫通孔103の深さ(上下方向の長さ)は、固定部材93の頭部97の上下方向の長さとフランジ部100の上下方向の長さの和にほぼ等しい。
【0086】
続いて、固定部材93の構成について説明する。
固定部材93は、まくら木本体91と除去部材92を接続する部材である。固定部材93は、図22のように上方から下方に向けて順に、頭部97と、フランジ部100と、軸部99を有している。そして、頭部97と、フランジ部100と、軸部99は連続している。
頭部97は、略直方体状の部位であり、公知のレンチ等と係合可能となっている。
フランジ部100は、軸部99から外側方向にフランジ状に張り出した部位であり、フランジ部100の外周面の上下方向の投影面積は、頭部97の外周面及び軸部99の外周面の投影面積よりも大きい。
軸部99は、固定部材93の長手方向に螺旋状のネジ溝を有している。また、軸部99の先端は杭状に挿入方向先端(下方向)に向けてとがっている。
固定部材93の素材は特に限定されないが、例えば、金属製、繊維補強樹脂製などが用いることができる。
【0087】
以下、まくら木90の各部材の位置関係について主に図24を基準に設置方法に沿って説明する。
【0088】
まず、まくら木本体91を設置する。その後、まくら木本体91上にレール200を載置する(図24(a))。その後、まくら木本体91上に除去部材92を載置する(図24(a)から図24(b))。その後、電動ドリルなどを用いて、まくら木本体91の所定の位置に穿設穴98を形成する(図24(b)から図24(c))。この時、穿設穴98は、まくら木本体91の固定穴94(図22参照)と同位置に設けられている。そして、穿設穴98の内径は、まくら木本体91の固定穴94の内径よりも小さい。
また、穿設穴98の最大内径は、固定部材93の軸部99の最大外径よりも小さければ特に限定されないが、穿設穴98の最大内径と固定部材93の軸部99の最大外径の差は1mm以上5mm以下であることが好ましい。その差が大きすぎると、軸部99をねじ込む際にまくら木本体91が割れてしまったり、軸部99のネジ溝が破損したり、ねじ込むことができなかったりすることがありえる。
【0089】
その後、まくら木本体91に設けられた穿設穴98に固定部材93をねじ込み挿入する(図24(c)から図24(d))。この時、まくら木本体91には固定穴96が形成されている。即ち、まくら木本体91の固定穴96と、除去部材92の貫通孔94と頭部用貫通孔103は、図23のように天地方向(上下方向)に互いに段状に連続した1つの貫通穴101を形成している。貫通穴101の内径の大きさは特に限定されないが、鉛直上方へのまくら木本体91の抜けの防止の観点から直径が10mm以上であることが好ましい。直径が10mmより小さくなると、組み立て時の強度が不十分になることがある。そして、貫通穴101内に固定部材93が挿入されている。固定部材93のフランジ部100は、貫通穴101(頭部用貫通孔103)の段差部104の内側面に当接している。固定部材93の頭部97は、頭部用貫通孔103内に収納されており、固定部材93の頭部97の天面は、除去部材92の上面と同じ、又は、下方に位置している。即ち、除去部材92の上面18から上方に露出していない。
【0090】
続いて、以下、本発明の第8実施形態について説明する。なお、第1〜7実施形態と同様のものは同じ符番を付して説明を省略する。
【0091】
第8実施形態のまくら木110は、まくら木70の基本構造に加えて、固定部材93と受け部材111を備えている。即ち、まくら木110は、図25のようにまくら木本体119と除去部材112と固定部材93と受け部材111を有している。
【0092】
まくら木本体119は、まくら木本体71とほぼ同様の形状を有している。即ち、固定穴80の延伸方向先端(下端)の形状が異なる。本実施形態のまくら木本体119の固定穴120は、図25のように開口形状がほぼ円形の有底穴であり、その延伸方向先端が固定部材93の先端に沿った形状をしている。即ち、固定穴120は内部に固定部材93を挿入可能となっている。
固定穴120は、まくら木110を仮組した後に電動ドリルなどを用いて所定の位置に穿設穴115を形成した後、固定部材93を打設して形成されるものである。即ち、固定穴120は、固定部材93の軸部99の外形に沿った内壁面となっている。
【0093】
除去部材112は、除去部材92とほぼ同様の形状を有している。即ち、除去部材112の貫通孔116は、受け部材111を収納可能な受け孔部121と、固定部材93の軸部99を挿入可能なねじ穴部122を有する。即ち、受け孔部121は、受け部材111の外形に沿った内壁面となっている。
また、ねじ穴部122の内径は、図26のように固定穴120の内径よりも大きくなっている。言い換えると、固定部材93の軸部99の最大外径よりも大きくなっている。即ち、締結時に、固定部材93の軸部99は貫通孔116のねじ穴部122の内壁には接触しない。それ故に、締結時に、固定部材93の軸部99とねじ穴部122の内壁とが接触することにより、除去部材112の一部がえぐられ、除去部材112とまくら木本体119との接着面に凹凸が発生し、隙間が生じることを防止できる。即ち、接着力が低下することを防止することができる。
【0094】
受け部材111は、正面から見て略「T」字状をしている。受け部材111は、固定部材93を挿入可能な固定受け孔118を有する筒部113と、筒部113の上端部分から外側にフランジ状に張り出した受け頭部114(頭部)と、を備えている。
受け部材114の長手方向の長さ(上下方向)は、貫通孔116の延伸長さ(除去部材の上面から下面までの長さ)以下であれば特に限定されない。即ち、貫通孔116の延伸長さと等しくてもよいし、短くてもよい。本実施形態では、受け部材114の長手方向の長さは、貫通孔116の延伸長さの5分の1程度としている。
固定受け孔118の内径は、固定部材93の軸部99の最大外径よりも大きく、かつ、フランジ部100の外径よりも小さければ特に限定されるものではない。また、筒部113の外径は、貫通孔116の受け孔部121の下部の内径とほぼ等しいことが好ましい。
受け頭部114の外径は、穿設穴115よりもやや大きいことが好ましい。
【0095】
以下、まくら木110の各部材の位置関係について主に図27を基準に設置方法に沿って説明する。
【0096】
まず、まくら木本体119を設置する。その後、まくら木本体119上に所定の間隔を空けてレール200を載置する。まくら木本体119の切り欠き部73内に幅方向に平行移動させて、除去部材112の凸部75を挿入する(図27(a))。即ち、まくら木本体119の中央付近に除去部材112を載置する。そして、まくら木本体119に電動ドリルなどを用いて所定の位置に穿設穴115を形成する(図27(a)から図27(b))。この時、穿設穴115は、まくら木本体119の固定穴120と同位置に設けられている。そして、穿設穴115の内径は、まくら木本体119の固定穴120の内径よりも小さい。
また、穿設穴115の最大内径は、固定部材93の軸部99の最大外径よりも小さければ特に限定されないが、穿設穴115の最大内径と固定部材93の軸部99の最大外径の差は1mm以上5mm以下であることが好ましい。その差が大きすぎると、軸部99をねじ込む際にまくら木本体119が割れてしまったり、軸部99のネジ溝が破損したり、ねじ込むことができなかったりすることがありえる。また、受け部材114と貫通孔116との接触面には例えば、エポキシ樹脂系の接着剤などの公知の接着剤が塗布されていることが好ましい。
【0097】
その後、上下方向に上方から穿設穴115内に受け部材114を設置する(図27(b)から図27(c))。この時、受け部材114の上面は除去部材112の上面18よりも下方にある。具体的には、固定部材93の頭部97の厚みだけ除去部材112の上面18よりも下方にある。
【0098】
その後、固定部材93を受け部材114の固定受け孔118に挿入し、穿設穴115の内部までねじ込み挿入する(図27(c)から図27(d))。この時、まくら木本体119には固定穴120が形成されている。即ち、まくら木本体119の固定穴120と、除去部材112の貫通孔116は、図26のように天地方向(上下方向)に互いに連続した1つの貫通穴117を形成している。貫通穴117の内径の大きさは特に限定されないが、鉛直上方へのまくら木本体119の抜けの防止の観点から直径が10mm以上であることが好ましい。直径が10mmより小さくなると、組み立て時の強度が不十分になることがある。また、固定部材93のフランジ部100は、貫通穴117(貫通孔116)の内側面に当接している。受け部材111の受け頭部114は、貫通穴117(貫通孔116)の内側面に当接している。固定部材93の頭部97は、除去部材112の上面18よりも上方に露出していない。
【0099】
本実施形態のまくら木110の構成によれば、除去部材112内に固定部材93のフランジ部100が食い込むことを防止できる。即ち、固定部材93のフランジ部100が除去部材112に接触することによって、除去部材112の一部が破損したり、固定部材93自体が破損したりすることを防止できる。
【0100】
上記した第7実施形態では、固定部材93の頭部97を除去部材92内にねじ込んだが、本発明はこれに限定されるものではなく、固定部材93の頭部97は、除去部材92の上面18から露出していてもよい。また、組み立てた後に頭部97を除去してもよい。
【0101】
上記した第8実施形態では、受け部材111を除去部材112内に埋め込んだが本発明はこれに限定されるものではなく、図28のように除去部材112の上面18上に受け頭部が露出していてもよい(第9実施形態)。
【符号の説明】
【0102】
1、30、40、50、60、70、90、110 まくら木
2、31、41、51、61、71、91 まくら木本体
3、34、45、62、92、112 除去部材
5 栓部材
7、35、42、75 凸部
9 凹部
11 衝突部
13、47、58、66、83、101、117 貫通穴
79 張出部
82 係合溝
93 固定部材
114 受け頭部(頭部)
118 固定受け孔
200 レール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールの下部に配置されるまくら木において、
長尺状のまくら木本体と、まくら木本体の上面に設置され列車の下部に付着した氷塊を除去する除去部材と、まくら木本体と除去部材とを固定する固定部材を有し、
除去部材は、レールの上部側に突出する衝突部を有しており、
前記衝突部は、前記列車の下面に接触しない高さまで配置され、
まくら木本体と除去部材に亘って形成された穴に前記固定部材が挿入されて接合されていることを特徴とするまくら木。
【請求項2】
除去部材は、凸部を有しており、
まくら木本体は、凹部を有しており、
凹部内に凸部が挿入されており、
凹部と凸部に亘って連続した貫通穴を有しており、
前記貫通穴に固定部材が挿入されていることを特徴とする請求項1に記載のまくら木。
【請求項3】
除去部材とまくら木本体に亘って連続した複数の貫通穴を有しており、
前記貫通穴内に固定部材が挿入されることを特徴とする請求項1又は2に記載のまくら木。
【請求項4】
前記貫通穴の延伸方向は、天地方向に対して傾斜していることを特徴とする請求項3に記載のまくら木。
【請求項5】
前記貫通穴の延伸方向は、他の貫通穴に対してねじれの位置にあることを特徴とする請求項3又は4に記載のまくら木。
【請求項6】
除去部材は、まくら木の長手方向に突出した張出部を有しており、
まくら木本体には前記張出部と係合可能な係合溝が設けられており、
前記係合溝は、張出部と係合することによって、張出部の天地方向の動きを規制するものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のまくら木。
【請求項7】
除去部材は、繊維補強された材料によって形成されており、その繊維方向は天地方向であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のまくら木。
【請求項8】
受け部材を有し、
前記受け部材は、前記固定部材を挿入可能な固定受け孔を備えており、
前記受け部材は、挿入方向後端にフランジ状の頭部を有しており、
前記貫通穴内に挿入されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のまくら木。
【請求項9】
前記固定部材は杭状体であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のまくら木。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載のまくら木の組み立て方法において、
あらかじめ、固定部材よりも外径の小さな貫通穴を作製し、その後、固定部材を打ち込むことを特徴とするまくら木の組み立て方法。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載のまくら木を用いた軌道の設置方法において、
まくら木本体上にレールを設置し、その後、除去部材を接合することを特徴とする軌道の設置方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2012−241493(P2012−241493A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115549(P2011−115549)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】