説明

まな板

【課題】自由な幅で食材を切断しようとすれば単位マスもしくは単位目盛りの倍数を読み込みながら切断する必要があり、単位マスもしくは単位目盛りは同じ模様であるため、マスや目盛りを読み間違え易く、さらに、目盛りやマスよりも小さい間隔で切りたい場合なども困難であること。
【解決手段】平板上の少なくとも一辺2側から他辺3側にかけて等間隔で広がるように形成された放射状線4と、該放射状線と交差するとともに前記一辺または他辺に対して平行な平行線5とを有すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材を切断する際に下敷きとして使用されるまな板に関すものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ロールケーキや、蒲鉾、明太子などの食材のように、均等に切分けることが求められ、これに適したまな板が発明されてきた。
【0003】
例えば、図5の特許文献1では、格子状にマスが形成されており、この単位マスを目安に食材を切断することが示されている。
【0004】
また例えば、図6の特許文献2では、その図3において長辺に平行な平行線に対して右上がり及び左上がり斜めに引かれた平行線が示されている。
【特許文献1】特開2007−283040号公報
【特許文献2】特開平10−276918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2によれば、所定の幅で食材を切断しようとすれば、単位マスの所定の倍数毎に間隔を読み込みながら切断する必要があったが、まな板上の単位マスはどれも同じ模様であるため区別することが難しく、間隔を読み間違え易いという問題点があった。これは切断する際に使用しない不必要なマスや目盛りが目障りとなって、間違いを起こすからである。
【0006】
さらに、単位マスよりも小さい間隔で食材を切りたい場合は、正確に切断することが困難になり、自由な寸法での切断には制約があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記に鑑みて本発明は、平板上の少なくとも一辺側から他辺側にかけて等間隔で広がるように形成された放射状線と、該放射状線と交差するとともに前記一辺または他辺に対して平行な平行線とを有することを特徴とする。
【0008】
さらに、前記平行線は等間隔に複数形成されていることを特徴とする。
【0009】
さらに、前記平板の前記一辺または他辺に対して垂直な中心線を軸として、前記放射状線が線対称に形成されたことを特徴とする。
【0010】
さらに、前記平行線は2種類の線によって交互に形成されたことを特徴とする。
【0011】
さらに、前記放射状線と平行線との交差部分毎に目盛りが形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、切断する際に使用しない不必要なマスや目盛りは存在せず、単位マスを数えながら切断する必要がない。
【0013】
さらに、蒲鉾のような直方体に近い食材であれば、放射状線が食材と交わる部分に合わせて自由な幅で切りやすくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図1〜4を用いて説明する。
【0015】
各図において、まな板1と、その一辺2、それに対向する他辺3、一辺から延びる放射状線4、一辺に平行な平行線5(線A、B、C、D)、放射状線の中心線6、放射状線4と平行線5との交差部分7が示されている。
【0016】
本発明の一実施形態は、平板上の少なくとも一辺2側から他辺3側にかけて等間隔で広がるように形成された放射状線4と、該放射状線4と交差するとともに前記一辺2または他辺3に対して平行な平行線5とを有するものである。これにより、自由な幅設定で食材8を切断する目安とすることが用意になる。
【0017】
例えば、図1は食材8を平行線5に略平行に置いて線Dの幅に包丁を合わせて切る場合であり、これは比較的広い幅で切るときに適している。
【0018】
また例えば、図2は食材8を平行線5に略平行に置いて線Bの幅に包丁を合わせて切る場合であり、これは比較的狭い幅で切るときに適している。
【0019】
また例えば、図3は線A、B、C、Dの間を細分化する線a、b、cを備えたものであり、食材8を平行線5に略平行に置いて線aの幅に包丁を合わせて切る場合であり、これは幅を微調整するときに適している。
【0020】
また例えば、図4は食材8を放射状線4と交わる部分に包丁を合わせて切る場合であるが、食材8に直線部分があれば、この直線部分を平行線5に平行にすることで、直線部分と放射状線4との交差部分を目安に包丁を合わせて自由な幅で切り易くなる。
【0021】
さらに、本発明の一実施形態は、図3に示されるように前記平行線は等間隔に複数形成されたものである。これにより、隣り合う放射状線4の間隔は平行線5上では一定となり、平行線5に沿って食材8を置けば、等間隔で切断する目安になる。ここで放射状線4及び平行線5は任意の単位(間隔)で設定し易くなる。
【0022】
さらに、本発明の一実施形態は、前記平板の前記一辺または他辺に対して垂直な中心線を軸として、前記放射状線が線対称に形成されたものである。これにより、各放射状線4を基準として食材8を容易にまな板1の中央にセンタリングし易くなる。
【0023】
さらに、本発明の一実施形態は、前記平行線は2種類の線によって交互に形成されたものである。これにより、各線の区別を容易にし、煩雑で目障りになることによる間違いを低減することができる。
【0024】
さらに、本発明の一実施形態は、図3に示されるように前記放射状線と平行線との交差部分毎に目盛りが形成されたものである。これにより、食材の定量を容易にすることができる。
【0025】
まな板1の材料は任意であり、木製であれば加熱した電熱線をまな板1の表面に押し当てる方法、あるいは、まな板1の表面にレーザー刻印をする方法で、本願の平行線5や放射状線4を形成する。また、エラストマー系樹脂やセラミックスであればスクリーン印刷処理等で線を形成する。
【実施例】
【0026】
<まな板の仕様>
本願のまな板の仕様は図1〜4に示されるものを使用し、引用文献1のまな板の仕様は図5、引用文献2のまな板の仕様は図6に示されるものを使用した。それぞれ1cm毎に目盛りもしくはマス目が付いている。
<評価方法>
無作為に20〜60代の主婦100人を選出し、京セラ製セラミックナイフを用いて、今回の評価を実施してもらった。
【0027】
実施例として図1〜4に示される本発明の一実施形態のまな板1と、図5,6の引用文献1,2に相当するまな板1とを用いて、ロールケーキを2cm幅で切断するテスト(実施例1)、4cm幅で切断するテスト(実施例2)、3cm幅で切断するテスト(実施例3)することによって、ロールケーキを当分に切り分けるテストをおこない、それぞれを切り分けるための所要時間を表1に示した。示された所要時間は100人の主婦の平均値である。
【0028】
【表1】

【0029】
また同時に、それぞれを切り分けた幅とそのばらつき(寸法分布)を表2に示した。示された寸法分布は100人の主婦の平均値である。
【0030】
【表2】

【0031】
<評価結果>
表1,2の実施例1,2において、本発明の一実施形態のまな板1では切り分ける時間が最も短く、寸法分布も最も小さかった。
【0032】
一方、引用文献1,2のまな板1では、切り分ける時間が長くかかってしまい、寸法分布も大きいものとなってしまった。これは、引用文献1,2のまな板1では、包丁をマスや目盛りに合わせるときに、マス目や目盛りを数え間違えるためである。よって、不必要なマスや目盛りは存在しない方がよいということができる。
【0033】
また実施例3においては、本発明の一実施形態及び引用文献1,2のまな板1では、3cm毎の目安になるようなマスも目盛りもないが、本発明の一実施形態のまな板1であれば3cm毎に正確に切り分けることが容易であった。これは、本発明の一実施形態のまな板1において、放射状線4の間隔が2cmになる平行線5の位置と、放射状線4の間隔が4cmになる平行線5の位置との間を3cmの目安にしておくことで容易にすることができる。
【0034】
一方、引用文献1,2のまな板1では不必要な線が多すぎるので、切り分ける時間がさらに長くなり、また目安にするものもないので、寸法分布も大きくなってしまった。
【0035】
なお、今回はロールケーキでの結果しか示していないが、蒲鉾や明太子などの食材8でも同様の結果を得ることができた。特に蒲鉾では食材8自身に直線部分がある場合が多いので、この直線部分と放射状線4との交差する部分で切り分けることが容易であった。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明のまな板の一実施形態の上面図である。
【図2】本発明のまな板の一実施形態の上面図である。
【図3】本発明のまな板の一実施形態の上面図である。
【図4】本発明のまな板の一実施形態の上面図である。
【図5】先行文献1のまな板の上面図である。
【図6】先行文献2のまな板の上面図である。
【符号の説明】
【0037】
1:まな板
2:一辺
3:他辺
4:放射状線
5:平行線
6:中心線
7:交差部分
8:食材
9:目盛り

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板上の少なくとも一辺側から他辺側にかけて等間隔で広がるように形成された放射状線と、
該放射状線と交差するとともに前記一辺または他辺に対して平行な平行線とを有する
ことを特徴とするまな板。
【請求項2】
前記平行線は等間隔で複数形成されていることを特徴とする請求項1に記載のまな板。
【請求項3】
前記平板の前記一辺または他辺に対して垂直な中心線を軸として、前記放射状線が線対称に形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載のまな板。
【請求項4】
前記平行線は2種類の線によって交互に形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のまな板。
【請求項5】
前記放射状線と平行線との交差部分毎に目盛りが形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のまな板。




















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−75475(P2010−75475A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247695(P2008−247695)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】