アイアンゴルフクラブセット及びゴルフクラブヘッド
【課題】各番手毎にソール形状が最適化されたクラブセットの提供。
【解決手段】このセット2は、n本(nは2以上の整数)のアイアンゴルフクラブを含んでいる。上記n本のクラブが、ソールのフェース−バック方向中間位置から後方に延びるレールr1を有している。リーディングエッジLeからレール開始点Srまでの距離d1が、リアルロフト角の小さいクラブから順にd1(1)、d1(2)、・・・、d1(n)とされるとき、このセット2は、次の関係を満たす。
d1(1)≦d1(2)≦・・・≦d1(n)且つd1(1)<d1(n)
好ましくは、このセット2は、次の関係を満たす。
d1(1)<d1(2)<・・・<d1(n)
【解決手段】このセット2は、n本(nは2以上の整数)のアイアンゴルフクラブを含んでいる。上記n本のクラブが、ソールのフェース−バック方向中間位置から後方に延びるレールr1を有している。リーディングエッジLeからレール開始点Srまでの距離d1が、リアルロフト角の小さいクラブから順にd1(1)、d1(2)、・・・、d1(n)とされるとき、このセット2は、次の関係を満たす。
d1(1)≦d1(2)≦・・・≦d1(n)且つd1(1)<d1(n)
好ましくは、このセット2は、次の関係を満たす。
d1(1)<d1(2)<・・・<d1(n)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイアンゴルフクラブセット(アイアンセット)及びゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
複数本のアイアン型ゴルフクラブ(アイアンクラブ)を有するアイアンセットが市販されている。通常、このアイアンセットは、リアルロフト角、ライ角及び長さの異なる複数のクラブを含む。セットを構成するクラブのそれぞれは、番手(Iron Number)によって区別される。様々な観点に基づいて、各番手毎に、ヘッドの仕様が決められる。
【0003】
アイアンクラブでは、地面(芝生等)に置かれたボールを打つ機会が多い。アイアンクラブでのショットでは、ソールが地面に接触することが多い。また、アマチュアゴルファーは、ダフリのミスショットを起こしやすい。接地抵抗が大きい場合、振り抜きが悪くなる。アイアンヘッド以外でも、接地抵抗は問題となる。特に、フェアウエイウッド、ユーティリティ型ヘッド及びハイブリッド型ヘッドにおいて、接地抵抗は問題である。
【0004】
振り抜きを良くする観点から、ソールにレールが設けられたヘッドが提案されている。特開平11−104282号公報は、ソール面にスタビライズレールが形成されたヘッドを開示する。このスタビライズレールは、ヘッドの後方に延出形成されている。
【0005】
特開平10−263117号公報は、ソール部に3本以上の突条部が設けられたヘッドを開示する。この突条部は、ソール部の前部から後部方向に延在している。中央部位に配置された突条部の高さは、トウ側及びヒール側に配置された突条部の高さよりも高くされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−104282号公報
【特許文献2】特開平10−263117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特開平11−104282号公報の発明では、アドレスの際にスタビライズレールの突出端部が見えるため、違和感があった。特開平10−263117号公報では、接地抵抗の抑制が不十分であった。特に、ダフリの度合いが大きい場合に、接地抵抗が大きかった。
【0008】
本発明者は、従来技術とは異なる観点から、アイアンセット及びヘッドのソール形状を検討した。その結果、従来技術とは異質な効果を奏しうるソール形状を発明するに至った。
【0009】
本発明の目的は、接地抵抗を低下させうるアイアンセット及びゴルフクラブヘッドの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るアイアンセットは、n本(nは2以上の整数)のアイアンゴルフクラブを含んでいる。これらn本のクラブが、ソールのフェース−バック方向中間位置から後方に延びるレールを有している。リーディングエッジからレール開始点までの距離d1が、リアルロフト角の小さいクラブから順にd1(1)、d1(2)、・・・、d1(n)とされるとき、このセットは、次の関係1を満たしている。
[関係1]: d1(1)≦d1(2)≦・・・≦d1(n)且つd1(1)<d1(n)
【0011】
好ましくは、このセットは、次の関係2を満たしている。
[関係2]:d1(1)<d1(2)<・・・<d1(n)
【0012】
好ましくは、上記レールがバックフェースにまで延在している。
【0013】
好ましくは、上記レールがトウ側に2本設けられ、且つ、これら2本のレールの間にソール溝が形成されている。好ましくは、上記レールがヒール側に2本設けられ、且つ、これら2本のレールの間にソール溝が形成されている。
【0014】
好ましくは、上記ソール溝は、フェース−バック方向中間位置から後方に延びている。リーディングエッジからソール溝開始点までの距離d2が、リアルロフト角の小さいクラブから順にd2(1)、d2(2)、・・・、d2(n)とされるとき、好ましいセットは、次の関係9を満たしている。
[関係9]:d2(1)<d2(2)<・・・<d2(n)
【0015】
好ましくは、フェースセンター位置Pcを接地点とした基準状態において上記レールが接地しない。
【0016】
ヘッドに係る本発明は、ソールのフェース−バック方向中間位置から後方に延びる2本のレールがフェースセンター位置Pcよりもトウ側に配置され、ソールのフェース−バック方向中間位置から後方に延びる2本のレールがフェースセンター位置Pcよりもヒール側に配置されている。フェースセンター位置Pcを接地点とした基準状態において、上記4本のレールが接地しない。
【0017】
好ましくは、上記トウ側の2本のレールの間にソール溝が配置されている。好ましくは、上記ヒール側の2本のレールの間にソール溝が配置されている。好ましくは、これらのソール溝が、フェース−バック方向中間位置から後方に延びている。
【発明の効果】
【0018】
接地抵抗が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の第一実施形態に係るセットを示す底面図である。
【図2】図2は、図1のセットに含まれているヘッド(6番アイアン)の斜視図である。
【図3】図3は、図1のセットに含まれているヘッド(7番アイアン)の斜視図である。
【図4】図4は、図1のセットに含まれているヘッド(8番アイアン)の斜視図である。
【図5】図5は、図1のセットに含まれているヘッド(9番アイアン)の斜視図である。
【図6】図6は、図1のセットに含まれているヘッド(ピッチングウエッジ)の斜視図である。
【図7】図7は、図1のセットに含まれているヘッド(デュアルウエッジ)の斜視図である。
【図8】図8は、図1のセットに含まれているヘッド(サンドウエッジ)の斜視図である。
【図9】図9(a)は、上記ヘッド(6番アイアン)の一部断面斜視図であり、図9(b)はこのヘッドの側面図である。
【図10】図10(a)は、上記ヘッド(9番アイアン)の一部断面斜視図であり、図10(b)はこのヘッドの側面図である。
【図11】図11(a)は、上記ヘッド(サンドウエッジ)の一部断面斜視図であり、図11(b)はこのヘッドの側面図である。
【図12】図12は、上記ヘッド(6番アイアン)の正面図である。
【図13】図13は、上記ヘッド(9番アイアン)の正面図である。
【図14】図14は、上記ヘッド(サンドウエッジ)の正面図である。
【図15】図15は、上記ヘッド(6番アイアン)の底面図である。
【図16】図16は、図15のA−A線に沿った断面図である。
【図17】図17は、上記ヘッド(6番アイアン)の側面図である。
【図18】図18は、図17のB−B線に沿った断面図である。
【図19】図19(a)は、第二実施形態のヘッドの正面図である。図19(b)は、そのヘッドの底面図である。
【図20】図20(a)は、第三実施形態のヘッドの正面図である。図20(b)は、そのヘッドの底面図である。
【図21】図21(a)は、第四実施形態のヘッドの正面図である。図21(b)は、そのヘッドの底面図である。
【図22】図22(a)は、第五実施形態のヘッドの正面図である。図22(b)は、そのヘッドの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0021】
本願における用語の定義は、次の通りである。
【0022】
[基準状態]
基準状態とは、水平面hとの接点がフェースセンター位置Pcとされ、且つ、所定のリアルロフト角でヘッドが水平面h上に載置された状態である。この基準状態では、ヘッドのシャフト孔の中心軸線z(シャフト軸線)が垂直面VP1内に配されている。垂直面VP1は、水平面hに対して垂直である。この基準状態では、フェース面が上記垂直面VP1に対してリアルロフト角で傾いている。ソールと水平面hとの接触が面接触であるとき、上記接点は、当該接触面の図心とされる。所定のリアルロフト角は、例えば、製品カタログ等に記載されている。
【0023】
[トウ−ヒール方向]
上記基準状態のヘッドにおいて、上記VP1と上記水平面hとの交線の方向が、トウ−ヒール方向である。本願において、トウ側及びヒール側というときは、このトウ−ヒール方向が基準とされる。
【0024】
[フェース−バック方向]
上記トウ−ヒール方向に対して垂直であり且つ上記水平面hに平行な方向が、フェース−バック方向である。フェース−バック方向は、前後方向とも称される。本願において、フェース側、前側、バック側及び後側というときは、このフェース−バック方向が基準とされる。
【0025】
[フェースセンター位置Pc]
最も長いフェース溝gvのトウ−ヒール方向中心位置が、フェースセンター位置Pcである(後述の図12参照)。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブセットに用いられているヘッドセット2を示す図である。このゴルフクラブセットは、アイアンセットである。アイアンセットを構成するクラブの数は2本以上であればよい。このクラブセットは、7本のゴルフクラブにより構成されている。なお、アイアン型ゴルフクラブのリアルロフト角は、通常、15度以上70度以下の範囲にある。
【0027】
セット2を構成する7つのヘッドは、リアルロフト角の小さい順に、第一のヘッドh1、第二のヘッドh2、第三のヘッドh3、第四のヘッドh4、第五のヘッドh5、第六のヘッドh6及び第七のヘッドh7である。
【0028】
本実施形態では、第一のヘッドh1は6番アイアンである。第二のヘッドh2は7番アイアンである。第三のヘッドh3は8番アイアンである。第四のヘッドh4は9番アイアンである。第五のヘッドh5はピッチングウエッジ(PW)である。第六のヘッドh6はデュアルウエッジ(DW)である。第七のヘッドh7はサンドウエッジ(SW)である。デュアルウエッジ(DW)は、アプローチウエッジ(AW)とも称される。
【0029】
図示は省略されるが、ヘッドh1からh7のぞれぞれには、シャフト及びグリップが装着される。クラブ長さを調整するため、シャフトの長さが調整される。低い番手ほどクラブ長さが大きい。
【0030】
アイアンセットのクラブ総数mは、2本以上である。本発明の効果を高める観点から、クラブ総数mは、4以上が好ましく、5以上が更に好ましく、6以上が特に好ましい。ゴルフルールでは、プレー中に使用可能はクラブ本数が制限されている。この観点から、クラブ総数mは、11以下が好ましく、10以下がより好ましく、9以下が更に好ましい。
【0031】
図2は、ヘッドh1(6番アイアン)の斜視図である。図3は、ヘッドh2(7番アイアン)の斜視図である。図4は、ヘッドh3(8番アイアン)の斜視図である。図5は、ヘッドh4(9番アイアン)の斜視図である。図6は、ヘッドh5(ピッチングウエッジ)の斜視図である。図7は、ヘッドh6(デュアルウエッジ)の斜視図である。図8は、ヘッドh7(サンドウエッジ)の斜視図である。
【0032】
ヘッドh1は、フェース4、バックフェース5、ホーゼル6及びソール8を有する。ヘッドh2は、フェース10、バックフェース11、ホーゼル12及びソール14を有する。ヘッドh3は、フェース16、バックフェース17、ホーゼル18及びソール20を有する。ヘッドh4は、フェース22、バックフェース23、ホーゼル24及びソール26を有する。ヘッドh5は、フェース28、バックフェース29、ホーゼル30及びソール32を有する。ヘッドh6は、フェース34、バックフェース35、ホーゼル36及びソール38を有する。ヘッドh7は、フェース40、バックフェース41、ホーゼル42及びソール44を有する。
【0033】
バックフェース5は、バックキャビティcv1を有する。バックフェース11は、バックキャビティcv2を有する。バックフェース17は、バックキャビティcv3を有する。バックフェース23は、バックキャビティcv4を有する。バックフェース29は、バックキャビティcv5を有する。バックフェース35は、バックキャビティcv6を有する。バックフェース41は、バックキャビティcv7を有する。ヘッドh1からh7は、キャビティバックアイアンである。全ての番手がキャビティバックアイアンである。
【0034】
図2が示すように、ヘッドh1(6番アイアン)は、ソール8に、複数のレールr1を有している。レールr1の数は4本である。トウ側に2本のレールr1が設けられており、ヒール側に2本のレールr1が設けられている。フェースセンター位置Pcよりもトウ側に2本のレールr1が設けられている。フェースセンター位置Pcよりもヒール側に2本のレールr1が設けられている。フェースセンター位置Pcは、最も長いフェース溝gvを基準として決定される。
【0035】
レールr1は、バックフェース5にまで延在している。全てのレールr1は、バックフェース5にまで延在している。
【0036】
インパクトにおいて、ヘッド2は地面(芝生)に侵入することがある。この侵入は、例えば、ダフリのミスショットにおいて生じる。この侵入は、例えば、ダウンブローのショットにおいて生じる。侵入したヘッド2は、インパクトの最終段階で、地面から抜け出す。ヘッド2が地面から抜け出す際に、ソール8の後部だけではなく、バックフェース5も地面又は芝に接することがある。バックフェース5にまで延在するレールr1により、ヘッドの抜けがスムースとなる(効果A)。また、バックフェース5にまで延在するレールr1は、ヘッドの重心深度を大きくする(効果B)。大きな重心深度は、スイートエリアを拡大し、飛距離の増大に寄与しうる。
【0037】
バックフェース5は、トウ側の2本のレールr1を連結するトウ連結部tr1を有する。バックフェース5は、ヒール側の2本のレールr1を連結するヒール連結部hr1を有する。バックフェース5は、トウ連結部tr1とヒール連結部hr1とを連結する中央連結部cr1を有する。トウ連結部tr1、ヒール連結部hr1及び中央連結部cr1は、ヘッドの重心深度を大きくする(効果C)。この効果Cは、上記効果Bと相乗しうる。
【0038】
ソール8は、ソール溝sv1を有する。2本のソール溝sv1が設けられている。トウ側の2本のレールr1の間に、第一のソール溝sv1が設けられている。ヒール側の2本のレールr1の間に、第二のソール溝sv1が設けられている。
【0039】
ソール溝sv1は、2本のレールr1に隣接している。レールr1の側面の1つが、ソール溝sv1を構成している。ソール溝sv1により、レールr1の高さ(ソール溝sv1側の高さ)が高くされている。ソール溝sv1の深さは、ソール溝sv1側におけるレールr1の高さである。
【0040】
ソール溝sv1の深さは、レールr1のソール面からの高さよりも大きい。深いソール溝sv1により、レールr1が高くされるのと同等の効果が奏される。
【0041】
低すぎるレールでは、レールr1の基本機能(スライド機能及び接地面積低減)が低下する。一方、高すぎるレールは、特にインパクトの初期段階において、地面からの抵抗を受けやすい。
【0042】
ソール溝sv1の存在により、ソール面からの突出高さが抑制されつつ、レール高さが確保されている。レール高さが確保されることで、レールr1の基本機能を高める。一方、ソール面からの突出高さの抑制により、特に、上記初期段階での接地抵抗が抑制される。このように、ソール溝sv1は、レールr1の基本機能を高めつつ、レールが地面から受ける抵抗力を抑制しうる(効果D)。
【0043】
ソール溝sv1には、芝、土又は砂が入り込みうる。芝、土又は砂は、ソール溝sv1を通って、ヘッド2の後方に排出されうる。この排出は、接地抵抗を低減させうる(効果E)。
【0044】
ソール溝sv1は、バックフェース5にまで延在している。全てのソール溝sv1は、バックフェース5にまで延在している。この延在は、上記排出効果を高めうる(効果F)。即ち、この延在は、上記効果E(排出効果)を高めうる。
【0045】
レールr1は、バックキャビティcv1の縁f1にまで延在している。全てのレールr1は、バックキャビティcv1の縁f1にまで延在している。レールr1は、バックキャビティcv1の縁f1の一部を形成している。これらの構成は、上記効果A及び効果Bを高める。
【0046】
トウ連結部tr1は、バックキャビティcv1の縁f1の一部を形成している。ヒール連結部hr1は、バックキャビティcv1の縁f1の一部を形成している。中央連結部cr1は、バックキャビティcv1の縁f1の一部を形成している。これらの構成は、上記効果Cを高める。
【0047】
図3が示すように、ヘッドh2(7番アイアン)は、ソール14に、複数のレールr2を有している。レールr2の数は4本である。トウ側に2本のレールr2が設けられており、ヒール側に2本のレールr2が設けられている。フェースセンター位置Pcよりもトウ側に2本のレールr2が設けられている。フェースセンター位置Pcよりもヒール側に2本のレールr2が設けられている。
【0048】
レールr2は、バックフェース11にまで延在している。全てのレールr2は、バックフェース11にまで延在している。
【0049】
バックフェース11は、トウ側の2本のレールr2を連結するトウ連結部tr2を有する。バックフェース11は、ヒール側の2本のレールr2を連結するヒール連結部hr2を有する。バックフェース11は、トウ連結部tr2とヒール連結部hr2とを連結する中央連結部cr2を有する。
【0050】
ソール14は、ソール溝sv2を有する。2本のソール溝sv2が設けられている。トウ側の2本のレールr2の間に、第一のソール溝sv2が設けられている。ヒール側の2本のレールr2の間に、第二のソール溝sv2が設けられている。
【0051】
ソール溝sv2は、バックフェース11にまで延在している。全てのソール溝sv2は、バックフェース11にまで延在している。
【0052】
全てのレールr2、トウ連結部tr2、ヒール連結部hr2及び中央連結部cr2によって、滑らかに連続する面が形成されている。
【0053】
レールr2は、バックキャビティcv2の縁f2にまで延在している。全てのレールr2は、バックキャビティcv2の縁f2にまで延在している。レールr2は、バックキャビティcv2の縁f2の一部を形成している。トウ連結部tr2は、バックキャビティcv2の縁f2の一部を形成している。ヒール連結部hr2は、バックキャビティcv2の縁f2の一部を形成している。中央連結部cr2は、バックキャビティcv2の縁f2の一部を形成している。
【0054】
図4が示すように、ヘッドh3(8番アイアン)は、ソール20に、複数のレールr3を有している。レールr3の数は4本である。トウ側に2本のレールr3が設けられており、ヒール側に2本のレールr3が設けられている。フェースセンター位置Pcよりもトウ側に2本のレールr3が設けられている。フェースセンター位置Pcよりもヒール側に2本のレールr3が設けられている。
【0055】
レールr3は、バックフェース17にまで延在している。全てのレールr3は、バックフェース17にまで延在している。
【0056】
バックフェース17は、トウ側の2本のレールr3を連結するトウ連結部tr3を有する。バックフェース17は、ヒール側の2本のレールr3を連結するヒール連結部hr3を有する。バックフェース17は、トウ連結部tr3とヒール連結部hr3とを連結する中央連結部cr3を有する。
【0057】
ソール20は、ソール溝sv3を有する。2本のソール溝sv3が設けられている。トウ側の2本のレールr3の間に、第一のソール溝sv3が設けられている。ヒール側の2本のレールr3の間に、第二のソール溝sv3が設けられている。
【0058】
ソール溝sv3は、バックフェース17にまで延在している。全てのソール溝sv3は、バックフェース17にまで延在している。
【0059】
全てのレールr3、トウ連結部tr3、ヒール連結部hr3及び中央連結部cr3によって、滑らかに連続する面が形成されている。
【0060】
レールr3は、バックキャビティcv3の縁f3にまで延在している。全てのレールr3は、バックキャビティcv3の縁f3にまで延在している。レールr3は、バックキャビティcv3の縁f3の一部を形成している。トウ連結部tr3は、バックキャビティcv3の縁f3の一部を形成している。ヒール連結部hr3は、バックキャビティcv3の縁f3の一部を形成している。中央連結部cr3は、バックキャビティcv3の縁f3の一部を形成している。
【0061】
図5が示すように、ヘッドh4(9番アイアン)は、ソール26に、複数のレールr4を有している。レールr4の数は4本である。トウ側に2本のレールr4が設けられており、ヒール側に2本のレールr4が設けられている。フェースセンター位置Pcよりもトウ側に2本のレールr4が設けられている。フェースセンター位置Pcよりもヒール側に2本のレールr4が設けられている。
【0062】
レールr4は、バックフェース23にまで延在している。全てのレールr4は、バックフェース23にまで延在している。
【0063】
バックフェース23は、トウ側の2本のレールr4を連結するトウ連結部tr4を有する。バックフェース23は、ヒール側の2本のレールr4を連結するヒール連結部hr4を有する。バックフェース23は、トウ連結部tr4とヒール連結部hr4とを連結する中央連結部cr4を有する。
【0064】
ソール26は、ソール溝sv4を有する。2本のソール溝sv4が設けられている。トウ側の2本のレールr4の間に、第一のソール溝sv4が設けられている。ヒール側の2本のレールr4の間に、第二のソール溝sv4が設けられている。
【0065】
ソール溝sv4は、バックフェース23にまで延在している。全てのソール溝sv4は、バックフェース23にまで延在している。
【0066】
全てのレールr4、トウ連結部tr4、ヒール連結部hr4及び中央連結部cr4によって、滑らかに連続する面が形成されている。
【0067】
レールr4は、バックキャビティcv4の縁f4にまで延在している。全てのレールr4は、バックキャビティcv4の縁f4にまで延在している。レールr4は、バックキャビティcv4の縁f4の一部を形成している。トウ連結部tr4は、バックキャビティcv4の縁f4の一部を形成している。ヒール連結部hr4は、バックキャビティcv4の縁f4の一部を形成している。中央連結部cr4は、バックキャビティcv4の縁f4の一部を形成している。
【0068】
図6が示すように、ヘッドh5(ピッチングウエッジ)は、複数のレールr5を有している。レールr5の数は4本である。トウ側に2本のレールr5が設けられており、ヒール側に2本のレールr5が設けられている。フェースセンター位置Pcよりもトウ側に2本のレールr5が設けられている。フェースセンター位置Pcよりもヒール側に2本のレールr5が設けられている。但し、これらのレールr5は、ソール32には形成されていない。これらのレールr5は、バックフェース29に形成されている。
【0069】
バックフェース29は、トウ側の2本のレールr5を連結するトウ連結部tr5を有する。バックフェース29は、ヒール側の2本のレールr5を連結するヒール連結部hr5を有する。バックフェース29は、トウ連結部tr5とヒール連結部hr5とを連結する中央連結部cr5を有する。
【0070】
ソール32は、ソール溝sv5を有する。2本のソール溝sv5が設けられている。トウ側の2本のレールr5の間に、第一のソール溝sv5が設けられている。ヒール側の2本のレールr5の間に、第二のソール溝sv5が設けられている。
【0071】
ソール溝sv5は、バックフェース29にまで延在している。全てのソール溝sv5は、バックフェース29にまで延在している。
【0072】
全てのレールr5、トウ連結部tr5、ヒール連結部hr5及び中央連結部cr5によって、滑らかに連続する面が形成されている。
【0073】
レールr5は、バックキャビティcv5の縁f5にまで延在している。全てのレールr5は、バックキャビティcv5の縁f5にまで延在している。レールr5は、バックキャビティcv5の縁f5の一部を形成している。トウ連結部tr5は、バックキャビティcv5の縁f5の一部を形成している。ヒール連結部hr5は、バックキャビティcv5の縁f5の一部を形成している。中央連結部cr5は、バックキャビティcv5の縁f5の一部を形成している。
【0074】
図7が示すように、ヘッドh6(デュアルウエッジ)は、複数のレールr6を有している。レールr6の数は4本である。トウ側に2本のレールr6が設けられており、ヒール側に2本のレールr6が設けられている。フェースセンター位置Pcよりもトウ側に2本のレールr6が設けられている。フェースセンター位置Pcよりもヒール側に2本のレールr6が設けられている。但し、これらのレールr6は、ソール38には形成されていない。これらのレールr6は、バックフェース35に形成されている。
【0075】
バックフェース35は、トウ側の2本のレールr6を連結するトウ連結部tr6を有する。バックフェース35は、ヒール側の2本のレールr6を連結するヒール連結部hr6を有する。バックフェース35は、トウ連結部tr6とヒール連結部hr6とを連結する中央連結部cr6を有する。
【0076】
ソール38は、ソール溝sv6を有する。2本のソール溝sv6が設けられている。トウ側の2本のレールr6の間に、第一のソール溝sv6が設けられている。ヒール側の2本のレールr6の間に、第二のソール溝sv6が設けられている。
【0077】
ソール溝sv6は、バックフェース35にまで延在している。全てのソール溝sv6は、バックフェース35にまで延在している。
【0078】
全てのレールr6、トウ連結部tr6、ヒール連結部hr6及び中央連結部cr6によって、滑らかに連続する面が形成されている。
【0079】
レールr6は、バックキャビティcv6の縁f6にまで延在している。全てのレールr6は、バックキャビティcv6の縁f6にまで延在している。レールr6は、バックキャビティcv6の縁f6の一部を形成している。トウ連結部tr6は、バックキャビティcv6の縁f6の一部を形成している。ヒール連結部hr6は、バックキャビティcv6の縁f6の一部を形成している。中央連結部cr6は、バックキャビティcv6の縁f6の一部を形成している。
【0080】
図8が示すように、ヘッドh7(サンドウエッジ)は、複数のレールr7を有している。レールr7の数は4本である。トウ側に2本のレールr7が設けられており、ヒール側に2本のレールr7が設けられている。フェースセンター位置Pcよりもトウ側に2本のレールr7が設けられている。フェースセンター位置Pcよりもヒール側に2本のレールr7が設けられている。但し、これらのレールr7は、ソール44には形成されていない。これらのレールr7は、バックフェース41に形成されている。
【0081】
バックフェース41は、トウ側の2本のレールr7を連結するトウ連結部tr7を有する。バックフェース41は、ヒール側の2本のレールr7を連結するヒール連結部hr7を有する。バックフェース41は、トウ連結部tr7とヒール連結部hr7とを連結する中央連結部cr7を有する。
【0082】
ソール44は、ソール溝sv7を有する。2本のソール溝sv7が設けられている。トウ側の2本のレールr7の間に、第一のソール溝sv7が設けられている。ヒール側の2本のレールr7の間に、第二のソール溝sv7が設けられている。
【0083】
ソール溝sv7は、バックフェース41にまで延在している。全てのソール溝sv7は、バックフェース41にまで延在している。
【0084】
全てのレールr7、トウ連結部tr7、ヒール連結部hr7及び中央連結部cr7によって、滑らかに連続する面が形成されている。
【0085】
レールr7は、バックキャビティcv7の縁f7にまで延在している。全てのレールr7は、バックキャビティcv7の縁f7にまで延在している。レールr7は、バックキャビティcv7の縁f7の一部を形成している。トウ連結部tr7は、バックキャビティcv7の縁f7の一部を形成している。ヒール連結部hr7は、バックキャビティcv7の縁f7の一部を形成している。中央連結部cr7は、バックキャビティcv7の縁f7の一部を形成している。
【0086】
以下、ヘッド2を構成するヘッド群の代表例として、ヘッドh1(6番アイアン)、ヘッドh4(9番アイアン)及びヘッドh7(サンドウエッジ)が図示される。
【0087】
図9(a)は、ヘッドh1(6番アイアン)の一部断面斜視図である。図9(a)の断面は、フェースセンター位置Pcでの断面である。図9(b)は、ヘッドh1の側面図である。図10(a)は、ヘッドh4(9番アイアン)の一部断面斜視図である。図10(a)の断面は、フェースセンター位置Pcでの断面である。図10(b)は、ヘッドh4の側面図である。図11(a)は、ヘッドh7(サンドウエッジ)の一部断面斜視図である。図11(a)の断面は、フェースセンター位置Pcでの断面である。図11(b)は、ヘッドh7の側面図である。
【0088】
図9(a)に示されるように、レールr1は、ソール8のフェース−バック方向中間位置から後方に延びている。換言すれば、ソール8において、レールr1とリーディングエッジLeとの間には、レールの無い部分が存在する。この構成は、全てのレールr1において共通である。この構成は、全ての番手h1からh7において共通である。インパクトの初期段階においては、レールの無い部分が地面に衝突する。よって、インパクトの初期段階において、レールが地面に衝突しない。フェース−バック方向中間位置よりも後方に設けられたレールr1により、インパクトの初期段階における接地抵抗が抑制されうる(効果H)。
【0089】
図9(a)に示されるように、レールr1の前端部において、レールr1の高さは、ゼロから始まり、徐々に高くされている。レールr1の前端部において、レールr1の表面は、ソール8の表面と滑らかに連続している。これらの構成は、全てのレールr1において共通である。これらの滑らかな連続性は、インパクトの初期段階における接地抵抗を低減させうる(効果I)。この構成は、全ての番手h1からh7において共通である。
【0090】
図12は、ヘッドh1(6番アイアン)の正面図である。図12において、ヘッドh1は上記基準状態にある。図13は、ヘッドh4(9番アイアン)の正面図である。図13において、ヘッドh4は上記基準状態にある。図14は、ヘッドh7(サンドウエッジ)の正面図である。図14において、ヘッドh7は上記基準状態にある。
【0091】
図12に示されるように、上記基準状態において、レールr1は接地していない。即ち、上記基準状態において、レールr1は水平面hに接触していない。上記基準状態において、全てのレールr1は水平面hに接触していない。この構成は、レールr1と地面との衝突による抵抗力を緩和しうる。この構成は、接地抵抗の低減に寄与しうる(効果J)。この構成は、全ての番手h1からh7において共通である。
【0092】
図15は、ヘッドh1(6番アイアン)の底面図である。図15の拡大部において符号Srで示されるのは、レール開始点である。
【0093】
[レール開始点Sr]
レールが認識されるためには、トウ側及びヒール側の両方に高低差が必要である。換言すれば、トウ側又はヒール側のいずれか一方のみに高低差がある場合、レールとは認識されない。よって、図15の拡大部の実施形態において、最もトウ側のレールrtxでは、ソール溝開始点Svは、レール開始点Srとはならない。同様に、トウ側から2つめのレールrtyでも、ソール溝開始点Svは、レール開始点Srとはならない。
【0094】
この観点から、トウ側及びヒール側の両方に高低差がある部分のうち、最もフェース側に位置する位置Pxが決定される(図15の拡大部参照)。この位置Pxにおけるトウ−ヒール方向中心位置が、レール開始点Srと定義される(図15の拡大部参照)。
【0095】
[距離d1]
リーディングエッジLeからレール開始点Srまでの距離d1は、フェース−バック方向に沿って測定される。なお、リーディングエッジLeは、上記基準状態において最も前方に位置する点である(後述の図16参照)。リーディングエッジLeは、トウ−ヒール方向における位置のそれぞれにおいて定まる。
【0096】
[距離d2]
リーディングエッジLeからソール溝開始点Svまでの距離d2は、フェース−バック方向に沿って測定される。
【0097】
図15が示すように、少なくとも1つのソール溝sv1において、ソール溝開始点Svは、そのソール溝sv1の両側に隣接するレールr1のレール開始点Srよりもフェース側に位置する。この構成は、上記効果Eを高めうる。
【0098】
図16は、図15のA−A線に沿った断面図である。図16が示すように、レールr1の表面(下面)は、そのレールr1の前側のソール面と滑らかに連続している。レールr1は、ソール8に位置するレール部r1sと、バックフェース5に位置するレール部r1bとを有する。図16が示すように、レール部r1sの表面とレール部r1bの表面とは滑らかに連続している。
【0099】
図17は、ヘッドh1(6番アイアン)のトウ側面図である。図18は、図17のB−B線に沿った断面図である。図18が示すように、トウ側のレールr1と、ヒール側のレールr1との間に、中央凸部PR1が設けられている。上記基準状態において、この中央凸部PR1が水平面hに接している。
【0100】
この中央凸部は、他の番手にも設けられている。ヘッドh2(7番アイアン)において、トウ側のレールr2と、ヒール側のレールr2との間に、中央凸部PR2が設けられている(図3参照)。ヘッドh3(8番アイアン)において、トウ側のレールr3と、ヒール側のレールr3との間に、中央凸部PR3が設けられている(図4参照)。ヘッドh4(9番アイアン)において、トウ側のレールr4と、ヒール側のレールr4との間に、中央凸部PR4が設けられている(図5参照)。
【0101】
このセット2において、ソールのフェース−バック方向中間位置から後方に延びるレールを有するのは、ヘッドh1(6番アイアン)、ヘッドh2(7番アイアン)、ヘッドh3(8番アイアン)及びヘッドh4(9番アイアン)である。即ち本実施形態では、n=4である。nは2以上の整数である。セット2では、nはmより小さい。nがmに等しくてもよい。
【0102】
一方、ソールのフェース−バック方向中間位置から後方に延びるレールを有さないのは、ヘッドh5(ピッチングウエッジ)、ヘッドh6(デュアルウエッジ)及びヘッドh7(サンドウエッジ)である。本実施形態のセット総本数は7である。即ち、m=7である。
【0103】
リアルロフト角が42度以下の番手は、ソールのフェース−バック方向中間位置から後方に延びるレールを有する。リアルロフト角が42度を超える番手は、ソールのフェース−バック方向中間位置から後方に延びるレールを有さない。
【0104】
ソールのフェース−バック方向中間位置から後方に延びるソール溝を有するのは、全ての番手である。
【0105】
上記距離d1が、リアルロフト角の小さいクラブから順にd1(1)、d1(2)、・・・、d1(n)とされるとき、このセット2は、次の関係1を満たす。
[関係1]:d1(1)≦d1(2)≦・・・≦d1(n)且つd1(1)<d1(n)
【0106】
更にこのセット2は、次の関係2を満たす。
[関係2]:d1(1)<d1(2)<・・・<d1(n)
【0107】
レールが複数である場合、対応するレール同士において関係1又は関係2が判断される。例えば、本実施形態では、最もトウ側に位置するレールrtxにおいて、この関係1又は関係2が満たされていればよい。また、トウ側から2番目に位置するレールrtyにおいて、この関係1又は関係2が満たされていればよい。また、最もヒール側に位置するレールrhxにおいて、この関係1又は関係2が満たされていればよい。また、ヒール側から2番目に位置するレールrhyにおいて、この関係1又は関係2が満たされていればよい。即ち、少なくとも1のレールについて、関係1又は2が満たされているのが好ましい。
【0108】
より好ましくは、レールrtx又はレールrtyと、レールrhx又はレールrhyとにおいて、関係1が満たされる。より好ましくは、レールrtx又はレールrtyと、レールrhx又はレールrhyとにおいて、関係2が満たされる。より好ましくは、レールrtx、レールrty、レールrhx及びレールrhyにおいて、関係1が満たされる。より好ましくは、レールrtx、レールrty、レールrhx及びレールrhyにおいて、関係2が満たされる。
【0109】
レールが複数であり、複数の距離d1が計測される場合、これら距離d1の平均値d1aが計算されうる。この平均値d1aが、リアルロフト角の小さいクラブから順にd1a(1)、d1a(2)、・・・、d1a(n)とされるとき、このセット2は、次の関係3を満たす。
[関係3]:d1a(1)≦d1a(2)≦・・・≦d1a(n)且つd1a(1)<d1a(n)
【0110】
更にこのセット2は、次の関係4を満たす。
[関係4]:d1a(1)<d1a(2)<・・・<d1a(n)
【0111】
レールが複数であり、複数の距離d1が計測される場合、これら距離d1の最大値d1bが決定されうる。この最大値d1bが、リアルロフト角の小さいクラブから順にd1b(1)、d1b(2)、・・・、d1b(n)とされるとき、このセット2は、次の関係5を満たす。
[関係5]:d1b(1)≦d1b(2)≦・・・≦d1b(n)且つd1b(1)<d1b(n)
【0112】
更にこのセット2は、次の関係6を満たす。
[関係6]:d1b(1)<d1b(2)<・・・<d1b(n)
【0113】
レールが複数であり、複数の距離d1が計測される場合、これら距離d1の最小値d1cが決定されうる。この最小値d1cが、リアルロフト角の小さいクラブから順にd1c(1)、d1c(2)、・・・、d1c(n)とされるとき、このセット2は、次の関係7を満たす。
[関係7]:d1c(1)≦d1c(2)≦・・・≦d1c(n)且つd1c(1)<d1c(n)
【0114】
更にこのセット2は、次の関係8を満たす。
[関係8]:d1c(1)<d1c(2)<・・・<d1c(n)
【0115】
本願では、上記関係1から8を総称して、「レール開始位置フロー」ともいう。クラブ長さ等の相違に起因して、番手毎に、ブロー角が相違する。番手毎に、最適なレールの仕様は相違する。上記レール開始位置フローにより、各番手ごとにレールが最適化されうる。
【0116】
リーディングエッジLeからソール溝開始点Svまでの距離d2が、リアルロフト角の小さいクラブから順にd2(1)、d2(2)、・・・、d2(n)とされる。このとき、セット2は、次の関係9を満たす。
[関係9]:d2(1)<d2(2)<・・・<d2(n)
【0117】
ソール溝が複数である場合、番手間で対応するレールにおいて関係9が満たされればよい。例えば、本実施形態では、トウ側に位置するソール溝svtにおいて、この関係9が満たされていればよい。また、ヒール側に位置するソール溝svhにおいて、この関係9が満たされていればよい。好ましくは、ソール溝svt又はソール溝svhにおいて、関9が満たされる。より好ましくは、ソール溝svt及びソール溝svhにおいて、関係9が満たされる。
【0118】
ソール溝が複数であり、複数の距離d2が計測される場合、これら距離d2の平均値d2aが計算されうる。この平均値d2aが、リアルロフト角の小さいクラブから順にd2a(1)、d2a(2)、・・・、d2a(n)とされる。このとき、セット2は、次の関係10を満たす。
[関係10]:d2a(1)<d2a(2)<・・・<d2a(n)
【0119】
ソール溝が複数であり、複数の距離d2が計測される場合、これら距離d2の最大値d2bが決定されうる。この最大値d2bが、リアルロフト角の小さいクラブから順にd2b(1)、d2b(2)、・・・、d2b(n)とされる。このとき、セット2は、次の関係11を満たす。
[関係11]:d2b(1)<d2b(2)<・・・<d2b(n)
【0120】
ソール溝が複数であり、複数の距離d2が計測される場合、これら距離d2の最小値d2cが計算されうる。この最小値d2cが、リアルロフト角の小さいクラブから順にd2c(1)、d2c(2)、・・・、d2c(n)とされる。このとき、セット2は、次の関係12を満たす。
[関係12]:d2c(1)<d2c(2)<・・・<d2c(n)
【0121】
本願では、上記関係9から12を総称して、「ソール溝開始位置フロー」ともいう。このソール溝開始位置フローは、ソール形状を番手毎に最適化しうる。
【0122】
[リアルロフト角L1]
セット2を構成するヘッドのリアルロフト角L1が、リアルロフト角L1の小さいクラブから順にL1(1)、L1(2)、・・・、L1(m)とされる。このセット2では、番手が大きいほど、リアルロフト角L1が大きい。即ち、このセット2は、L1(1)<L1(2)<・・・<L1(m)を満たしている。
【0123】
セット2は、リアルロフト角L1が42°以下であるヘッドと、リアルロフト角L1が42°を超えるヘッドとを含む。セット2において、リアルロフト角L1が42°以下であるヘッドは、6番アイアンから9番アイアンである。セット2において、リアルロフト角L1が42°を超えるヘッドは、ピッチングウエッジ、デュアルウエッジ及びサンドウェッジである。
【0124】
[バンス角θ1]
バンス角θ1は、フェースセンター位置Pcにおいて測定される。バンス角θ1は、フェース−バック方向に沿った断面において決定される。バンス角θ1の測定では、フェースセンター位置Pcにおけるソール断面線の中央点Cpが決定される。この中央点Cpにおける接線TL1(図9(a)参照)と、水平面hとの成す角度が、バンス角θ1である。このバンス角θ1は、上記基準状態のヘッドにおいて測定される。なお中央点Cpは、ソール幅の中心点である。ソール幅は、リーディングエッジLeからトレーリングエッジまでのフェース−バック方向距離である。中央点Cpは、フェース−バック方向距離に基づく中点である。トレーリングエッジは、ソールのバック側の端である。丸みによってトレーリングエッジが不明である場合、曲率半径の極小点がトレーリングエッジとされる。
【0125】
バンス角θ1が、リアルロフト角の小さいクラブから順にθ1(1)、θ1(2)、・・・、θ1(m)とされるとき、セット2は、次の関係13を満たす。
[関係13]θ1(1)≦θ1(2)≦・・・≦θ1(n)且つθ1(1)<θ1(n)
【0126】
更に、セット2は、次の関係14を満たす。
[関係14]θ1(1)≦θ1(2)≦・・・≦θ1(m)且つθ1(1)<θ1(m)
【0127】
更に、セット2は、次の関係15を満たす。
[関係15]θ1(1)<θ1(2)<・・・<θ1(n)
【0128】
更に、セット2は、次の関係16を満たす。
[関係16]θ1(1)<θ1(2)<・・・<θ1(m)
【0129】
本願では、上記関係13から16を総称して、「バンス角フロー」ともいう。
【0130】
このバンス角フローは、ソール面の機能を番手ごとに最適化しうる。リアルロフト角が大きいクラブほど、ダウンブローの傾向が強い。ヘッド軌道(ブロー角)は、番手毎に異なる。このバンス角フローは、これらのヘッド軌道に対応している。バンス角フローは、リアルロフト角が小さいクラブにおいて、ソールが地面に跳ね返されることを抑制する。バンス角フローは、リアルロフト角が大きいクラブにおいて、ヘッドが地面に刺さることを抑制する。
【0131】
上記実施形態では、リアルロフト角が42度以下のヘッドにおいて、上記関係1及び関係2が満たされている。上記実施形態では、リアルロフト角が42度を超えるヘッドにおいて、上記関係1及び関係2が満たされていない。リアルロフト角が42度を超えるヘッドでは、ダウンブローの度合いが大きい。よって、レールの存在が、接地抵抗の低下に寄与しないことがある。また、大きなバンス角θ1を有するソール面に更にレールが付加されると、レールが接地抵抗を増加させることもある。これらの観点から、上記実施形態では、リアルロフト角が42度を超えるヘッドについては、ソールにレールが設けられていない。
【0132】
ソール溝開始位置フローの効果は、バンス角フローの効果と相乗する。リアルロフト角が大きい番手では、バンス角θ1が大きい。この場合、ソール溝開始位置を後方に移動させることで、ブロー角が大きくても、ヘッドと地面との衝突による抵抗が緩和される。よって、インパクトの初期段階における接地抵抗が抑制されうる。一方、リアルロフト角が小さい番手では、バンス角θ1が小さい。この場合、ソール溝開始位置を前方に移動させることで、バンス角θ1が小さくても、ソールの滑りが良好とされる。よって、インパクトの初期段階における接地抵抗が抑制されうる。
【0133】
図19(a)は、第二実施形態に係るヘッドcx1の正面図である。図19(a)は、上記基準状態における正面図である。図19(b)はヘッドcx1の底面図である。レール形状及びソール溝形状を除き、ヘッドcx1は、上記ヘッドh1と同様である。
【0134】
ヘッドcx1のトウ側には、2本のレールr10が設けられている。これら2本のレールr10の間に、ソール溝sv10が設けられている。ヘッドcx1のヒール側には、2本のレールr10が設けられている。これら2本のレールr10の間に、ソール溝sv10が設けられている。全てのレールr10は、フェース−バック方向中間位置から後方に延びている。全てのソール溝sv10は、フェース−バック方向中間位置から後方に延びている。このヘッドcx1は、6番アイアンである。このヘッドcx1では、上記基準状態において、2本のレールr10が水平面hに接する。よって、このヘッドcx1では、上記効果Jは奏されないが、その他の効果は奏されうる。
【0135】
図20(a)は、第三実施形態に係るヘッドcx2の正面図である。図20(b)はヘッドcx2の底面図である。図20(a)は、上記基準状態における正面図である。レール形状及びソール溝形状を除き、ヘッドcx2は、上記ヘッドh1と同様である。
【0136】
ヘッドcx2のトウ側には、2本のレールr11が設けられている。これら2本のレールr11の間に、ソール溝sv11が設けられている。ヘッドcx2のヒール側には、2本のレールr11が設けられている。これら2本のレールr11の間に、ソール溝sv11が設けられている。全てのレールr11は、フェース−バック方向中間位置から後方に延びている。全てのソール溝sv11は、フェース−バック方向中間位置から後方に延びている。このヘッドcx2は、6番アイアンである。このヘッドcx2は、上記基準状態において、2本のレールr11が水平面hに接する。よって、このヘッドcx2では、上記効果Jは奏されないが、その他の効果は奏されうる。
【0137】
図21(a)は、第四実施形態に係るヘッドcx3の正面図である。図21(b)はヘッドcx3の底面図である。図21(a)は、上記基準状態における正面図である。レール形状及びソール溝形状を除き、ヘッドcx3は、上記ヘッドh1と同様である。
【0138】
ヘッドcx3のトウ側には、2本のレールr12が設けられている。これら2本のレールr12の間に、ソール溝sv12が設けられている。ヘッドcx3のヒール側には、2本のレールr12が設けられている。これら2本のレールr12の間に、ソール溝sv12が設けられている。更に、トウ−ヒール方向中央部に、第5のレールr12が設けられている。この第5のレールr12は、フェースセンター位置Pcに設けられている。全てのレールr12は、フェース−バック方向中間位置から後方に延びている。全てのソール溝sv12は、フェース−バック方向中間位置から後方に延びている。このヘッドcx3は、6番アイアンである。このヘッドcx3は、上記基準状態において、第5のレールr12が水平面hに接する。よって、このヘッドcx3では、上記効果Jは奏されないが、その他の効果は奏されうる。
【0139】
図22(a)は、第五実施形態に係るヘッドcx4の正面図である。図22(b)はヘッドcx4の底面図である。図22(a)は、上記基準状態における正面図である。レール形状及びソール溝形状を除き、ヘッドcx4は、上記ヘッドh1と同様である。
【0140】
ヘッドcx4のトウ側には、1本のレールr13が設けられている。ヘッドcx4のヒール側には、1本のレールr13が設けられている。ソール溝は設けられていない。全てのレールr13は、フェース−バック方向中間位置から後方に延びている。このヘッドcx4は、6番アイアンである。このヘッドcx4は、上記基準状態において、2本のレールr13が水平面hに接する。よって、このヘッドcx4では、上記効果Jは奏されない。また、このヘッドcx4には、ソール溝が設けられていないので、上記効果D、E及びFは奏されない。その他の効果は奏されうる。
【実施例】
【0141】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0142】
[実施例1]
図1に示されるセット2と同じセットが作成された。ステンレス鋼を鋳造し、研磨前ヘッドを得た。フェース溝は、切削加工により形成した。表面を研磨し、フェース面にショットブラスト処理を施して、ヘッドを完成させた。各ヘッドに、シャフト及びグリップを装着して、ゴルフクラブセットを得た。
【0143】
各番手のクラブ長さは次の通りとされた。
・6番アイアン: 37.25インチ
・7番アイアン: 36.75インチ
・8番アイアン: 36.25インチ
・9番アイアン: 35.75インチ
・ピッチングウエッジ:35.25インチ
・デュアルウエッジ: 35.25インチ
・サンドウエッジ: 35.125インチ
【0144】
各番手のリアルロフト角は次の通りとされた。
・6番アイアン: 27(degree)
・7番アイアン: 31(degree)
・8番アイアン: 35(degree)
・9番アイアン: 39(degree)
・ピッチングウエッジ:44(degree)
・デュアルウエッジ: 49(degree)
・サンドウエッジ: 54(degree)
【0145】
各番手のバンス角θ1は次の通りとされた。
・6番アイアン: 8.0(degree)
・7番アイアン: 8.3(degree)
・8番アイアン: 8.5(degree)
・9番アイアン: 8.7(degree)
・ピッチングウエッジ: 9.0(degree)
・デュアルウエッジ: 10.0(degree)
・サンドウエッジ: 12.0(degree)
【0146】
[実施例2]
図19で示されるヘッドcx1(6番アイアンのみ)が作成された。実施例1の6番アイアンと同じグリップ及びシャフトを装着して、実施例2のクラブを得た。
【0147】
[実施例3]
図20で示されるヘッドcx2(6番アイアンのみ)が作成された。実施例1の6番アイアンと同じグリップ及びシャフトを装着して、実施例3のクラブを得た。
【0148】
[実施例4]
図21で示されるヘッドcx3(6番アイアンのみ)が作成された。実施例1の6番アイアンと同じグリップ及びシャフトを装着して、実施例4のクラブを得た。
【0149】
[実施例5]
図22で示されるヘッドcx4(6番アイアンのみ)が作成された。実施例1の6番アイアンと同じグリップ及びシャフトを装着して、実施例5のクラブを得た。
【0150】
ハンデキャップが10から20である10名のテスターが試打を行った。10名のテスターの評価を総合すると、実施例1が最も良好であった。実施例1は、実施例2から5と比較して、接地抵抗が少なく、振り抜きが良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0151】
セットに係る本発明は、あらゆるアイアンゴルフクラブに適用されうる。ヘッドに係る本発明は、あらゆるゴルフクラブヘッドに適用されうる。このヘッドとして、アイアン型ヘッド、ユーティリティ型ヘッド、ハイブリッド型ヘッド及びフェアウエイウッドが挙げられる。
【符号の説明】
【0152】
2・・・ヘッドのセット
4、10、16、22、28、34、40・・・フェース
5、11、17、23、29、35、41・・・バックフェース
6、12、18、24、30、36、42・・・ホーゼル
8、14、20、26、32、38、44・・・ソール
h1、h2、h3、h4、h5、h6、h7・・・ヘッド
r1、r2、r3、r4、r5、r6、r6・・・レール
rtx・・・最もトウ側に位置するレール
rty・・・トウ側から2番目に位置するレール
rhx・・・最もヒール側に位置するレール
rhy・・・ヒール側から2番目に位置するレール
sv1、sv2、sv3、sv4、sv5、sv6、sv7・・・ソール溝
svt・・・最もトウ側に位置するソール溝
svh・・・最もヒール側に位置するソール溝
cv1、cv2、cv3、cv4、cv5、cv6、cv7・・・バックキャビティ
Sv・・・ソール溝開始点
Sr・・・レール開始点
gv・・・フェース溝
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイアンゴルフクラブセット(アイアンセット)及びゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
複数本のアイアン型ゴルフクラブ(アイアンクラブ)を有するアイアンセットが市販されている。通常、このアイアンセットは、リアルロフト角、ライ角及び長さの異なる複数のクラブを含む。セットを構成するクラブのそれぞれは、番手(Iron Number)によって区別される。様々な観点に基づいて、各番手毎に、ヘッドの仕様が決められる。
【0003】
アイアンクラブでは、地面(芝生等)に置かれたボールを打つ機会が多い。アイアンクラブでのショットでは、ソールが地面に接触することが多い。また、アマチュアゴルファーは、ダフリのミスショットを起こしやすい。接地抵抗が大きい場合、振り抜きが悪くなる。アイアンヘッド以外でも、接地抵抗は問題となる。特に、フェアウエイウッド、ユーティリティ型ヘッド及びハイブリッド型ヘッドにおいて、接地抵抗は問題である。
【0004】
振り抜きを良くする観点から、ソールにレールが設けられたヘッドが提案されている。特開平11−104282号公報は、ソール面にスタビライズレールが形成されたヘッドを開示する。このスタビライズレールは、ヘッドの後方に延出形成されている。
【0005】
特開平10−263117号公報は、ソール部に3本以上の突条部が設けられたヘッドを開示する。この突条部は、ソール部の前部から後部方向に延在している。中央部位に配置された突条部の高さは、トウ側及びヒール側に配置された突条部の高さよりも高くされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−104282号公報
【特許文献2】特開平10−263117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特開平11−104282号公報の発明では、アドレスの際にスタビライズレールの突出端部が見えるため、違和感があった。特開平10−263117号公報では、接地抵抗の抑制が不十分であった。特に、ダフリの度合いが大きい場合に、接地抵抗が大きかった。
【0008】
本発明者は、従来技術とは異なる観点から、アイアンセット及びヘッドのソール形状を検討した。その結果、従来技術とは異質な効果を奏しうるソール形状を発明するに至った。
【0009】
本発明の目的は、接地抵抗を低下させうるアイアンセット及びゴルフクラブヘッドの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るアイアンセットは、n本(nは2以上の整数)のアイアンゴルフクラブを含んでいる。これらn本のクラブが、ソールのフェース−バック方向中間位置から後方に延びるレールを有している。リーディングエッジからレール開始点までの距離d1が、リアルロフト角の小さいクラブから順にd1(1)、d1(2)、・・・、d1(n)とされるとき、このセットは、次の関係1を満たしている。
[関係1]: d1(1)≦d1(2)≦・・・≦d1(n)且つd1(1)<d1(n)
【0011】
好ましくは、このセットは、次の関係2を満たしている。
[関係2]:d1(1)<d1(2)<・・・<d1(n)
【0012】
好ましくは、上記レールがバックフェースにまで延在している。
【0013】
好ましくは、上記レールがトウ側に2本設けられ、且つ、これら2本のレールの間にソール溝が形成されている。好ましくは、上記レールがヒール側に2本設けられ、且つ、これら2本のレールの間にソール溝が形成されている。
【0014】
好ましくは、上記ソール溝は、フェース−バック方向中間位置から後方に延びている。リーディングエッジからソール溝開始点までの距離d2が、リアルロフト角の小さいクラブから順にd2(1)、d2(2)、・・・、d2(n)とされるとき、好ましいセットは、次の関係9を満たしている。
[関係9]:d2(1)<d2(2)<・・・<d2(n)
【0015】
好ましくは、フェースセンター位置Pcを接地点とした基準状態において上記レールが接地しない。
【0016】
ヘッドに係る本発明は、ソールのフェース−バック方向中間位置から後方に延びる2本のレールがフェースセンター位置Pcよりもトウ側に配置され、ソールのフェース−バック方向中間位置から後方に延びる2本のレールがフェースセンター位置Pcよりもヒール側に配置されている。フェースセンター位置Pcを接地点とした基準状態において、上記4本のレールが接地しない。
【0017】
好ましくは、上記トウ側の2本のレールの間にソール溝が配置されている。好ましくは、上記ヒール側の2本のレールの間にソール溝が配置されている。好ましくは、これらのソール溝が、フェース−バック方向中間位置から後方に延びている。
【発明の効果】
【0018】
接地抵抗が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の第一実施形態に係るセットを示す底面図である。
【図2】図2は、図1のセットに含まれているヘッド(6番アイアン)の斜視図である。
【図3】図3は、図1のセットに含まれているヘッド(7番アイアン)の斜視図である。
【図4】図4は、図1のセットに含まれているヘッド(8番アイアン)の斜視図である。
【図5】図5は、図1のセットに含まれているヘッド(9番アイアン)の斜視図である。
【図6】図6は、図1のセットに含まれているヘッド(ピッチングウエッジ)の斜視図である。
【図7】図7は、図1のセットに含まれているヘッド(デュアルウエッジ)の斜視図である。
【図8】図8は、図1のセットに含まれているヘッド(サンドウエッジ)の斜視図である。
【図9】図9(a)は、上記ヘッド(6番アイアン)の一部断面斜視図であり、図9(b)はこのヘッドの側面図である。
【図10】図10(a)は、上記ヘッド(9番アイアン)の一部断面斜視図であり、図10(b)はこのヘッドの側面図である。
【図11】図11(a)は、上記ヘッド(サンドウエッジ)の一部断面斜視図であり、図11(b)はこのヘッドの側面図である。
【図12】図12は、上記ヘッド(6番アイアン)の正面図である。
【図13】図13は、上記ヘッド(9番アイアン)の正面図である。
【図14】図14は、上記ヘッド(サンドウエッジ)の正面図である。
【図15】図15は、上記ヘッド(6番アイアン)の底面図である。
【図16】図16は、図15のA−A線に沿った断面図である。
【図17】図17は、上記ヘッド(6番アイアン)の側面図である。
【図18】図18は、図17のB−B線に沿った断面図である。
【図19】図19(a)は、第二実施形態のヘッドの正面図である。図19(b)は、そのヘッドの底面図である。
【図20】図20(a)は、第三実施形態のヘッドの正面図である。図20(b)は、そのヘッドの底面図である。
【図21】図21(a)は、第四実施形態のヘッドの正面図である。図21(b)は、そのヘッドの底面図である。
【図22】図22(a)は、第五実施形態のヘッドの正面図である。図22(b)は、そのヘッドの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0021】
本願における用語の定義は、次の通りである。
【0022】
[基準状態]
基準状態とは、水平面hとの接点がフェースセンター位置Pcとされ、且つ、所定のリアルロフト角でヘッドが水平面h上に載置された状態である。この基準状態では、ヘッドのシャフト孔の中心軸線z(シャフト軸線)が垂直面VP1内に配されている。垂直面VP1は、水平面hに対して垂直である。この基準状態では、フェース面が上記垂直面VP1に対してリアルロフト角で傾いている。ソールと水平面hとの接触が面接触であるとき、上記接点は、当該接触面の図心とされる。所定のリアルロフト角は、例えば、製品カタログ等に記載されている。
【0023】
[トウ−ヒール方向]
上記基準状態のヘッドにおいて、上記VP1と上記水平面hとの交線の方向が、トウ−ヒール方向である。本願において、トウ側及びヒール側というときは、このトウ−ヒール方向が基準とされる。
【0024】
[フェース−バック方向]
上記トウ−ヒール方向に対して垂直であり且つ上記水平面hに平行な方向が、フェース−バック方向である。フェース−バック方向は、前後方向とも称される。本願において、フェース側、前側、バック側及び後側というときは、このフェース−バック方向が基準とされる。
【0025】
[フェースセンター位置Pc]
最も長いフェース溝gvのトウ−ヒール方向中心位置が、フェースセンター位置Pcである(後述の図12参照)。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブセットに用いられているヘッドセット2を示す図である。このゴルフクラブセットは、アイアンセットである。アイアンセットを構成するクラブの数は2本以上であればよい。このクラブセットは、7本のゴルフクラブにより構成されている。なお、アイアン型ゴルフクラブのリアルロフト角は、通常、15度以上70度以下の範囲にある。
【0027】
セット2を構成する7つのヘッドは、リアルロフト角の小さい順に、第一のヘッドh1、第二のヘッドh2、第三のヘッドh3、第四のヘッドh4、第五のヘッドh5、第六のヘッドh6及び第七のヘッドh7である。
【0028】
本実施形態では、第一のヘッドh1は6番アイアンである。第二のヘッドh2は7番アイアンである。第三のヘッドh3は8番アイアンである。第四のヘッドh4は9番アイアンである。第五のヘッドh5はピッチングウエッジ(PW)である。第六のヘッドh6はデュアルウエッジ(DW)である。第七のヘッドh7はサンドウエッジ(SW)である。デュアルウエッジ(DW)は、アプローチウエッジ(AW)とも称される。
【0029】
図示は省略されるが、ヘッドh1からh7のぞれぞれには、シャフト及びグリップが装着される。クラブ長さを調整するため、シャフトの長さが調整される。低い番手ほどクラブ長さが大きい。
【0030】
アイアンセットのクラブ総数mは、2本以上である。本発明の効果を高める観点から、クラブ総数mは、4以上が好ましく、5以上が更に好ましく、6以上が特に好ましい。ゴルフルールでは、プレー中に使用可能はクラブ本数が制限されている。この観点から、クラブ総数mは、11以下が好ましく、10以下がより好ましく、9以下が更に好ましい。
【0031】
図2は、ヘッドh1(6番アイアン)の斜視図である。図3は、ヘッドh2(7番アイアン)の斜視図である。図4は、ヘッドh3(8番アイアン)の斜視図である。図5は、ヘッドh4(9番アイアン)の斜視図である。図6は、ヘッドh5(ピッチングウエッジ)の斜視図である。図7は、ヘッドh6(デュアルウエッジ)の斜視図である。図8は、ヘッドh7(サンドウエッジ)の斜視図である。
【0032】
ヘッドh1は、フェース4、バックフェース5、ホーゼル6及びソール8を有する。ヘッドh2は、フェース10、バックフェース11、ホーゼル12及びソール14を有する。ヘッドh3は、フェース16、バックフェース17、ホーゼル18及びソール20を有する。ヘッドh4は、フェース22、バックフェース23、ホーゼル24及びソール26を有する。ヘッドh5は、フェース28、バックフェース29、ホーゼル30及びソール32を有する。ヘッドh6は、フェース34、バックフェース35、ホーゼル36及びソール38を有する。ヘッドh7は、フェース40、バックフェース41、ホーゼル42及びソール44を有する。
【0033】
バックフェース5は、バックキャビティcv1を有する。バックフェース11は、バックキャビティcv2を有する。バックフェース17は、バックキャビティcv3を有する。バックフェース23は、バックキャビティcv4を有する。バックフェース29は、バックキャビティcv5を有する。バックフェース35は、バックキャビティcv6を有する。バックフェース41は、バックキャビティcv7を有する。ヘッドh1からh7は、キャビティバックアイアンである。全ての番手がキャビティバックアイアンである。
【0034】
図2が示すように、ヘッドh1(6番アイアン)は、ソール8に、複数のレールr1を有している。レールr1の数は4本である。トウ側に2本のレールr1が設けられており、ヒール側に2本のレールr1が設けられている。フェースセンター位置Pcよりもトウ側に2本のレールr1が設けられている。フェースセンター位置Pcよりもヒール側に2本のレールr1が設けられている。フェースセンター位置Pcは、最も長いフェース溝gvを基準として決定される。
【0035】
レールr1は、バックフェース5にまで延在している。全てのレールr1は、バックフェース5にまで延在している。
【0036】
インパクトにおいて、ヘッド2は地面(芝生)に侵入することがある。この侵入は、例えば、ダフリのミスショットにおいて生じる。この侵入は、例えば、ダウンブローのショットにおいて生じる。侵入したヘッド2は、インパクトの最終段階で、地面から抜け出す。ヘッド2が地面から抜け出す際に、ソール8の後部だけではなく、バックフェース5も地面又は芝に接することがある。バックフェース5にまで延在するレールr1により、ヘッドの抜けがスムースとなる(効果A)。また、バックフェース5にまで延在するレールr1は、ヘッドの重心深度を大きくする(効果B)。大きな重心深度は、スイートエリアを拡大し、飛距離の増大に寄与しうる。
【0037】
バックフェース5は、トウ側の2本のレールr1を連結するトウ連結部tr1を有する。バックフェース5は、ヒール側の2本のレールr1を連結するヒール連結部hr1を有する。バックフェース5は、トウ連結部tr1とヒール連結部hr1とを連結する中央連結部cr1を有する。トウ連結部tr1、ヒール連結部hr1及び中央連結部cr1は、ヘッドの重心深度を大きくする(効果C)。この効果Cは、上記効果Bと相乗しうる。
【0038】
ソール8は、ソール溝sv1を有する。2本のソール溝sv1が設けられている。トウ側の2本のレールr1の間に、第一のソール溝sv1が設けられている。ヒール側の2本のレールr1の間に、第二のソール溝sv1が設けられている。
【0039】
ソール溝sv1は、2本のレールr1に隣接している。レールr1の側面の1つが、ソール溝sv1を構成している。ソール溝sv1により、レールr1の高さ(ソール溝sv1側の高さ)が高くされている。ソール溝sv1の深さは、ソール溝sv1側におけるレールr1の高さである。
【0040】
ソール溝sv1の深さは、レールr1のソール面からの高さよりも大きい。深いソール溝sv1により、レールr1が高くされるのと同等の効果が奏される。
【0041】
低すぎるレールでは、レールr1の基本機能(スライド機能及び接地面積低減)が低下する。一方、高すぎるレールは、特にインパクトの初期段階において、地面からの抵抗を受けやすい。
【0042】
ソール溝sv1の存在により、ソール面からの突出高さが抑制されつつ、レール高さが確保されている。レール高さが確保されることで、レールr1の基本機能を高める。一方、ソール面からの突出高さの抑制により、特に、上記初期段階での接地抵抗が抑制される。このように、ソール溝sv1は、レールr1の基本機能を高めつつ、レールが地面から受ける抵抗力を抑制しうる(効果D)。
【0043】
ソール溝sv1には、芝、土又は砂が入り込みうる。芝、土又は砂は、ソール溝sv1を通って、ヘッド2の後方に排出されうる。この排出は、接地抵抗を低減させうる(効果E)。
【0044】
ソール溝sv1は、バックフェース5にまで延在している。全てのソール溝sv1は、バックフェース5にまで延在している。この延在は、上記排出効果を高めうる(効果F)。即ち、この延在は、上記効果E(排出効果)を高めうる。
【0045】
レールr1は、バックキャビティcv1の縁f1にまで延在している。全てのレールr1は、バックキャビティcv1の縁f1にまで延在している。レールr1は、バックキャビティcv1の縁f1の一部を形成している。これらの構成は、上記効果A及び効果Bを高める。
【0046】
トウ連結部tr1は、バックキャビティcv1の縁f1の一部を形成している。ヒール連結部hr1は、バックキャビティcv1の縁f1の一部を形成している。中央連結部cr1は、バックキャビティcv1の縁f1の一部を形成している。これらの構成は、上記効果Cを高める。
【0047】
図3が示すように、ヘッドh2(7番アイアン)は、ソール14に、複数のレールr2を有している。レールr2の数は4本である。トウ側に2本のレールr2が設けられており、ヒール側に2本のレールr2が設けられている。フェースセンター位置Pcよりもトウ側に2本のレールr2が設けられている。フェースセンター位置Pcよりもヒール側に2本のレールr2が設けられている。
【0048】
レールr2は、バックフェース11にまで延在している。全てのレールr2は、バックフェース11にまで延在している。
【0049】
バックフェース11は、トウ側の2本のレールr2を連結するトウ連結部tr2を有する。バックフェース11は、ヒール側の2本のレールr2を連結するヒール連結部hr2を有する。バックフェース11は、トウ連結部tr2とヒール連結部hr2とを連結する中央連結部cr2を有する。
【0050】
ソール14は、ソール溝sv2を有する。2本のソール溝sv2が設けられている。トウ側の2本のレールr2の間に、第一のソール溝sv2が設けられている。ヒール側の2本のレールr2の間に、第二のソール溝sv2が設けられている。
【0051】
ソール溝sv2は、バックフェース11にまで延在している。全てのソール溝sv2は、バックフェース11にまで延在している。
【0052】
全てのレールr2、トウ連結部tr2、ヒール連結部hr2及び中央連結部cr2によって、滑らかに連続する面が形成されている。
【0053】
レールr2は、バックキャビティcv2の縁f2にまで延在している。全てのレールr2は、バックキャビティcv2の縁f2にまで延在している。レールr2は、バックキャビティcv2の縁f2の一部を形成している。トウ連結部tr2は、バックキャビティcv2の縁f2の一部を形成している。ヒール連結部hr2は、バックキャビティcv2の縁f2の一部を形成している。中央連結部cr2は、バックキャビティcv2の縁f2の一部を形成している。
【0054】
図4が示すように、ヘッドh3(8番アイアン)は、ソール20に、複数のレールr3を有している。レールr3の数は4本である。トウ側に2本のレールr3が設けられており、ヒール側に2本のレールr3が設けられている。フェースセンター位置Pcよりもトウ側に2本のレールr3が設けられている。フェースセンター位置Pcよりもヒール側に2本のレールr3が設けられている。
【0055】
レールr3は、バックフェース17にまで延在している。全てのレールr3は、バックフェース17にまで延在している。
【0056】
バックフェース17は、トウ側の2本のレールr3を連結するトウ連結部tr3を有する。バックフェース17は、ヒール側の2本のレールr3を連結するヒール連結部hr3を有する。バックフェース17は、トウ連結部tr3とヒール連結部hr3とを連結する中央連結部cr3を有する。
【0057】
ソール20は、ソール溝sv3を有する。2本のソール溝sv3が設けられている。トウ側の2本のレールr3の間に、第一のソール溝sv3が設けられている。ヒール側の2本のレールr3の間に、第二のソール溝sv3が設けられている。
【0058】
ソール溝sv3は、バックフェース17にまで延在している。全てのソール溝sv3は、バックフェース17にまで延在している。
【0059】
全てのレールr3、トウ連結部tr3、ヒール連結部hr3及び中央連結部cr3によって、滑らかに連続する面が形成されている。
【0060】
レールr3は、バックキャビティcv3の縁f3にまで延在している。全てのレールr3は、バックキャビティcv3の縁f3にまで延在している。レールr3は、バックキャビティcv3の縁f3の一部を形成している。トウ連結部tr3は、バックキャビティcv3の縁f3の一部を形成している。ヒール連結部hr3は、バックキャビティcv3の縁f3の一部を形成している。中央連結部cr3は、バックキャビティcv3の縁f3の一部を形成している。
【0061】
図5が示すように、ヘッドh4(9番アイアン)は、ソール26に、複数のレールr4を有している。レールr4の数は4本である。トウ側に2本のレールr4が設けられており、ヒール側に2本のレールr4が設けられている。フェースセンター位置Pcよりもトウ側に2本のレールr4が設けられている。フェースセンター位置Pcよりもヒール側に2本のレールr4が設けられている。
【0062】
レールr4は、バックフェース23にまで延在している。全てのレールr4は、バックフェース23にまで延在している。
【0063】
バックフェース23は、トウ側の2本のレールr4を連結するトウ連結部tr4を有する。バックフェース23は、ヒール側の2本のレールr4を連結するヒール連結部hr4を有する。バックフェース23は、トウ連結部tr4とヒール連結部hr4とを連結する中央連結部cr4を有する。
【0064】
ソール26は、ソール溝sv4を有する。2本のソール溝sv4が設けられている。トウ側の2本のレールr4の間に、第一のソール溝sv4が設けられている。ヒール側の2本のレールr4の間に、第二のソール溝sv4が設けられている。
【0065】
ソール溝sv4は、バックフェース23にまで延在している。全てのソール溝sv4は、バックフェース23にまで延在している。
【0066】
全てのレールr4、トウ連結部tr4、ヒール連結部hr4及び中央連結部cr4によって、滑らかに連続する面が形成されている。
【0067】
レールr4は、バックキャビティcv4の縁f4にまで延在している。全てのレールr4は、バックキャビティcv4の縁f4にまで延在している。レールr4は、バックキャビティcv4の縁f4の一部を形成している。トウ連結部tr4は、バックキャビティcv4の縁f4の一部を形成している。ヒール連結部hr4は、バックキャビティcv4の縁f4の一部を形成している。中央連結部cr4は、バックキャビティcv4の縁f4の一部を形成している。
【0068】
図6が示すように、ヘッドh5(ピッチングウエッジ)は、複数のレールr5を有している。レールr5の数は4本である。トウ側に2本のレールr5が設けられており、ヒール側に2本のレールr5が設けられている。フェースセンター位置Pcよりもトウ側に2本のレールr5が設けられている。フェースセンター位置Pcよりもヒール側に2本のレールr5が設けられている。但し、これらのレールr5は、ソール32には形成されていない。これらのレールr5は、バックフェース29に形成されている。
【0069】
バックフェース29は、トウ側の2本のレールr5を連結するトウ連結部tr5を有する。バックフェース29は、ヒール側の2本のレールr5を連結するヒール連結部hr5を有する。バックフェース29は、トウ連結部tr5とヒール連結部hr5とを連結する中央連結部cr5を有する。
【0070】
ソール32は、ソール溝sv5を有する。2本のソール溝sv5が設けられている。トウ側の2本のレールr5の間に、第一のソール溝sv5が設けられている。ヒール側の2本のレールr5の間に、第二のソール溝sv5が設けられている。
【0071】
ソール溝sv5は、バックフェース29にまで延在している。全てのソール溝sv5は、バックフェース29にまで延在している。
【0072】
全てのレールr5、トウ連結部tr5、ヒール連結部hr5及び中央連結部cr5によって、滑らかに連続する面が形成されている。
【0073】
レールr5は、バックキャビティcv5の縁f5にまで延在している。全てのレールr5は、バックキャビティcv5の縁f5にまで延在している。レールr5は、バックキャビティcv5の縁f5の一部を形成している。トウ連結部tr5は、バックキャビティcv5の縁f5の一部を形成している。ヒール連結部hr5は、バックキャビティcv5の縁f5の一部を形成している。中央連結部cr5は、バックキャビティcv5の縁f5の一部を形成している。
【0074】
図7が示すように、ヘッドh6(デュアルウエッジ)は、複数のレールr6を有している。レールr6の数は4本である。トウ側に2本のレールr6が設けられており、ヒール側に2本のレールr6が設けられている。フェースセンター位置Pcよりもトウ側に2本のレールr6が設けられている。フェースセンター位置Pcよりもヒール側に2本のレールr6が設けられている。但し、これらのレールr6は、ソール38には形成されていない。これらのレールr6は、バックフェース35に形成されている。
【0075】
バックフェース35は、トウ側の2本のレールr6を連結するトウ連結部tr6を有する。バックフェース35は、ヒール側の2本のレールr6を連結するヒール連結部hr6を有する。バックフェース35は、トウ連結部tr6とヒール連結部hr6とを連結する中央連結部cr6を有する。
【0076】
ソール38は、ソール溝sv6を有する。2本のソール溝sv6が設けられている。トウ側の2本のレールr6の間に、第一のソール溝sv6が設けられている。ヒール側の2本のレールr6の間に、第二のソール溝sv6が設けられている。
【0077】
ソール溝sv6は、バックフェース35にまで延在している。全てのソール溝sv6は、バックフェース35にまで延在している。
【0078】
全てのレールr6、トウ連結部tr6、ヒール連結部hr6及び中央連結部cr6によって、滑らかに連続する面が形成されている。
【0079】
レールr6は、バックキャビティcv6の縁f6にまで延在している。全てのレールr6は、バックキャビティcv6の縁f6にまで延在している。レールr6は、バックキャビティcv6の縁f6の一部を形成している。トウ連結部tr6は、バックキャビティcv6の縁f6の一部を形成している。ヒール連結部hr6は、バックキャビティcv6の縁f6の一部を形成している。中央連結部cr6は、バックキャビティcv6の縁f6の一部を形成している。
【0080】
図8が示すように、ヘッドh7(サンドウエッジ)は、複数のレールr7を有している。レールr7の数は4本である。トウ側に2本のレールr7が設けられており、ヒール側に2本のレールr7が設けられている。フェースセンター位置Pcよりもトウ側に2本のレールr7が設けられている。フェースセンター位置Pcよりもヒール側に2本のレールr7が設けられている。但し、これらのレールr7は、ソール44には形成されていない。これらのレールr7は、バックフェース41に形成されている。
【0081】
バックフェース41は、トウ側の2本のレールr7を連結するトウ連結部tr7を有する。バックフェース41は、ヒール側の2本のレールr7を連結するヒール連結部hr7を有する。バックフェース41は、トウ連結部tr7とヒール連結部hr7とを連結する中央連結部cr7を有する。
【0082】
ソール44は、ソール溝sv7を有する。2本のソール溝sv7が設けられている。トウ側の2本のレールr7の間に、第一のソール溝sv7が設けられている。ヒール側の2本のレールr7の間に、第二のソール溝sv7が設けられている。
【0083】
ソール溝sv7は、バックフェース41にまで延在している。全てのソール溝sv7は、バックフェース41にまで延在している。
【0084】
全てのレールr7、トウ連結部tr7、ヒール連結部hr7及び中央連結部cr7によって、滑らかに連続する面が形成されている。
【0085】
レールr7は、バックキャビティcv7の縁f7にまで延在している。全てのレールr7は、バックキャビティcv7の縁f7にまで延在している。レールr7は、バックキャビティcv7の縁f7の一部を形成している。トウ連結部tr7は、バックキャビティcv7の縁f7の一部を形成している。ヒール連結部hr7は、バックキャビティcv7の縁f7の一部を形成している。中央連結部cr7は、バックキャビティcv7の縁f7の一部を形成している。
【0086】
以下、ヘッド2を構成するヘッド群の代表例として、ヘッドh1(6番アイアン)、ヘッドh4(9番アイアン)及びヘッドh7(サンドウエッジ)が図示される。
【0087】
図9(a)は、ヘッドh1(6番アイアン)の一部断面斜視図である。図9(a)の断面は、フェースセンター位置Pcでの断面である。図9(b)は、ヘッドh1の側面図である。図10(a)は、ヘッドh4(9番アイアン)の一部断面斜視図である。図10(a)の断面は、フェースセンター位置Pcでの断面である。図10(b)は、ヘッドh4の側面図である。図11(a)は、ヘッドh7(サンドウエッジ)の一部断面斜視図である。図11(a)の断面は、フェースセンター位置Pcでの断面である。図11(b)は、ヘッドh7の側面図である。
【0088】
図9(a)に示されるように、レールr1は、ソール8のフェース−バック方向中間位置から後方に延びている。換言すれば、ソール8において、レールr1とリーディングエッジLeとの間には、レールの無い部分が存在する。この構成は、全てのレールr1において共通である。この構成は、全ての番手h1からh7において共通である。インパクトの初期段階においては、レールの無い部分が地面に衝突する。よって、インパクトの初期段階において、レールが地面に衝突しない。フェース−バック方向中間位置よりも後方に設けられたレールr1により、インパクトの初期段階における接地抵抗が抑制されうる(効果H)。
【0089】
図9(a)に示されるように、レールr1の前端部において、レールr1の高さは、ゼロから始まり、徐々に高くされている。レールr1の前端部において、レールr1の表面は、ソール8の表面と滑らかに連続している。これらの構成は、全てのレールr1において共通である。これらの滑らかな連続性は、インパクトの初期段階における接地抵抗を低減させうる(効果I)。この構成は、全ての番手h1からh7において共通である。
【0090】
図12は、ヘッドh1(6番アイアン)の正面図である。図12において、ヘッドh1は上記基準状態にある。図13は、ヘッドh4(9番アイアン)の正面図である。図13において、ヘッドh4は上記基準状態にある。図14は、ヘッドh7(サンドウエッジ)の正面図である。図14において、ヘッドh7は上記基準状態にある。
【0091】
図12に示されるように、上記基準状態において、レールr1は接地していない。即ち、上記基準状態において、レールr1は水平面hに接触していない。上記基準状態において、全てのレールr1は水平面hに接触していない。この構成は、レールr1と地面との衝突による抵抗力を緩和しうる。この構成は、接地抵抗の低減に寄与しうる(効果J)。この構成は、全ての番手h1からh7において共通である。
【0092】
図15は、ヘッドh1(6番アイアン)の底面図である。図15の拡大部において符号Srで示されるのは、レール開始点である。
【0093】
[レール開始点Sr]
レールが認識されるためには、トウ側及びヒール側の両方に高低差が必要である。換言すれば、トウ側又はヒール側のいずれか一方のみに高低差がある場合、レールとは認識されない。よって、図15の拡大部の実施形態において、最もトウ側のレールrtxでは、ソール溝開始点Svは、レール開始点Srとはならない。同様に、トウ側から2つめのレールrtyでも、ソール溝開始点Svは、レール開始点Srとはならない。
【0094】
この観点から、トウ側及びヒール側の両方に高低差がある部分のうち、最もフェース側に位置する位置Pxが決定される(図15の拡大部参照)。この位置Pxにおけるトウ−ヒール方向中心位置が、レール開始点Srと定義される(図15の拡大部参照)。
【0095】
[距離d1]
リーディングエッジLeからレール開始点Srまでの距離d1は、フェース−バック方向に沿って測定される。なお、リーディングエッジLeは、上記基準状態において最も前方に位置する点である(後述の図16参照)。リーディングエッジLeは、トウ−ヒール方向における位置のそれぞれにおいて定まる。
【0096】
[距離d2]
リーディングエッジLeからソール溝開始点Svまでの距離d2は、フェース−バック方向に沿って測定される。
【0097】
図15が示すように、少なくとも1つのソール溝sv1において、ソール溝開始点Svは、そのソール溝sv1の両側に隣接するレールr1のレール開始点Srよりもフェース側に位置する。この構成は、上記効果Eを高めうる。
【0098】
図16は、図15のA−A線に沿った断面図である。図16が示すように、レールr1の表面(下面)は、そのレールr1の前側のソール面と滑らかに連続している。レールr1は、ソール8に位置するレール部r1sと、バックフェース5に位置するレール部r1bとを有する。図16が示すように、レール部r1sの表面とレール部r1bの表面とは滑らかに連続している。
【0099】
図17は、ヘッドh1(6番アイアン)のトウ側面図である。図18は、図17のB−B線に沿った断面図である。図18が示すように、トウ側のレールr1と、ヒール側のレールr1との間に、中央凸部PR1が設けられている。上記基準状態において、この中央凸部PR1が水平面hに接している。
【0100】
この中央凸部は、他の番手にも設けられている。ヘッドh2(7番アイアン)において、トウ側のレールr2と、ヒール側のレールr2との間に、中央凸部PR2が設けられている(図3参照)。ヘッドh3(8番アイアン)において、トウ側のレールr3と、ヒール側のレールr3との間に、中央凸部PR3が設けられている(図4参照)。ヘッドh4(9番アイアン)において、トウ側のレールr4と、ヒール側のレールr4との間に、中央凸部PR4が設けられている(図5参照)。
【0101】
このセット2において、ソールのフェース−バック方向中間位置から後方に延びるレールを有するのは、ヘッドh1(6番アイアン)、ヘッドh2(7番アイアン)、ヘッドh3(8番アイアン)及びヘッドh4(9番アイアン)である。即ち本実施形態では、n=4である。nは2以上の整数である。セット2では、nはmより小さい。nがmに等しくてもよい。
【0102】
一方、ソールのフェース−バック方向中間位置から後方に延びるレールを有さないのは、ヘッドh5(ピッチングウエッジ)、ヘッドh6(デュアルウエッジ)及びヘッドh7(サンドウエッジ)である。本実施形態のセット総本数は7である。即ち、m=7である。
【0103】
リアルロフト角が42度以下の番手は、ソールのフェース−バック方向中間位置から後方に延びるレールを有する。リアルロフト角が42度を超える番手は、ソールのフェース−バック方向中間位置から後方に延びるレールを有さない。
【0104】
ソールのフェース−バック方向中間位置から後方に延びるソール溝を有するのは、全ての番手である。
【0105】
上記距離d1が、リアルロフト角の小さいクラブから順にd1(1)、d1(2)、・・・、d1(n)とされるとき、このセット2は、次の関係1を満たす。
[関係1]:d1(1)≦d1(2)≦・・・≦d1(n)且つd1(1)<d1(n)
【0106】
更にこのセット2は、次の関係2を満たす。
[関係2]:d1(1)<d1(2)<・・・<d1(n)
【0107】
レールが複数である場合、対応するレール同士において関係1又は関係2が判断される。例えば、本実施形態では、最もトウ側に位置するレールrtxにおいて、この関係1又は関係2が満たされていればよい。また、トウ側から2番目に位置するレールrtyにおいて、この関係1又は関係2が満たされていればよい。また、最もヒール側に位置するレールrhxにおいて、この関係1又は関係2が満たされていればよい。また、ヒール側から2番目に位置するレールrhyにおいて、この関係1又は関係2が満たされていればよい。即ち、少なくとも1のレールについて、関係1又は2が満たされているのが好ましい。
【0108】
より好ましくは、レールrtx又はレールrtyと、レールrhx又はレールrhyとにおいて、関係1が満たされる。より好ましくは、レールrtx又はレールrtyと、レールrhx又はレールrhyとにおいて、関係2が満たされる。より好ましくは、レールrtx、レールrty、レールrhx及びレールrhyにおいて、関係1が満たされる。より好ましくは、レールrtx、レールrty、レールrhx及びレールrhyにおいて、関係2が満たされる。
【0109】
レールが複数であり、複数の距離d1が計測される場合、これら距離d1の平均値d1aが計算されうる。この平均値d1aが、リアルロフト角の小さいクラブから順にd1a(1)、d1a(2)、・・・、d1a(n)とされるとき、このセット2は、次の関係3を満たす。
[関係3]:d1a(1)≦d1a(2)≦・・・≦d1a(n)且つd1a(1)<d1a(n)
【0110】
更にこのセット2は、次の関係4を満たす。
[関係4]:d1a(1)<d1a(2)<・・・<d1a(n)
【0111】
レールが複数であり、複数の距離d1が計測される場合、これら距離d1の最大値d1bが決定されうる。この最大値d1bが、リアルロフト角の小さいクラブから順にd1b(1)、d1b(2)、・・・、d1b(n)とされるとき、このセット2は、次の関係5を満たす。
[関係5]:d1b(1)≦d1b(2)≦・・・≦d1b(n)且つd1b(1)<d1b(n)
【0112】
更にこのセット2は、次の関係6を満たす。
[関係6]:d1b(1)<d1b(2)<・・・<d1b(n)
【0113】
レールが複数であり、複数の距離d1が計測される場合、これら距離d1の最小値d1cが決定されうる。この最小値d1cが、リアルロフト角の小さいクラブから順にd1c(1)、d1c(2)、・・・、d1c(n)とされるとき、このセット2は、次の関係7を満たす。
[関係7]:d1c(1)≦d1c(2)≦・・・≦d1c(n)且つd1c(1)<d1c(n)
【0114】
更にこのセット2は、次の関係8を満たす。
[関係8]:d1c(1)<d1c(2)<・・・<d1c(n)
【0115】
本願では、上記関係1から8を総称して、「レール開始位置フロー」ともいう。クラブ長さ等の相違に起因して、番手毎に、ブロー角が相違する。番手毎に、最適なレールの仕様は相違する。上記レール開始位置フローにより、各番手ごとにレールが最適化されうる。
【0116】
リーディングエッジLeからソール溝開始点Svまでの距離d2が、リアルロフト角の小さいクラブから順にd2(1)、d2(2)、・・・、d2(n)とされる。このとき、セット2は、次の関係9を満たす。
[関係9]:d2(1)<d2(2)<・・・<d2(n)
【0117】
ソール溝が複数である場合、番手間で対応するレールにおいて関係9が満たされればよい。例えば、本実施形態では、トウ側に位置するソール溝svtにおいて、この関係9が満たされていればよい。また、ヒール側に位置するソール溝svhにおいて、この関係9が満たされていればよい。好ましくは、ソール溝svt又はソール溝svhにおいて、関9が満たされる。より好ましくは、ソール溝svt及びソール溝svhにおいて、関係9が満たされる。
【0118】
ソール溝が複数であり、複数の距離d2が計測される場合、これら距離d2の平均値d2aが計算されうる。この平均値d2aが、リアルロフト角の小さいクラブから順にd2a(1)、d2a(2)、・・・、d2a(n)とされる。このとき、セット2は、次の関係10を満たす。
[関係10]:d2a(1)<d2a(2)<・・・<d2a(n)
【0119】
ソール溝が複数であり、複数の距離d2が計測される場合、これら距離d2の最大値d2bが決定されうる。この最大値d2bが、リアルロフト角の小さいクラブから順にd2b(1)、d2b(2)、・・・、d2b(n)とされる。このとき、セット2は、次の関係11を満たす。
[関係11]:d2b(1)<d2b(2)<・・・<d2b(n)
【0120】
ソール溝が複数であり、複数の距離d2が計測される場合、これら距離d2の最小値d2cが計算されうる。この最小値d2cが、リアルロフト角の小さいクラブから順にd2c(1)、d2c(2)、・・・、d2c(n)とされる。このとき、セット2は、次の関係12を満たす。
[関係12]:d2c(1)<d2c(2)<・・・<d2c(n)
【0121】
本願では、上記関係9から12を総称して、「ソール溝開始位置フロー」ともいう。このソール溝開始位置フローは、ソール形状を番手毎に最適化しうる。
【0122】
[リアルロフト角L1]
セット2を構成するヘッドのリアルロフト角L1が、リアルロフト角L1の小さいクラブから順にL1(1)、L1(2)、・・・、L1(m)とされる。このセット2では、番手が大きいほど、リアルロフト角L1が大きい。即ち、このセット2は、L1(1)<L1(2)<・・・<L1(m)を満たしている。
【0123】
セット2は、リアルロフト角L1が42°以下であるヘッドと、リアルロフト角L1が42°を超えるヘッドとを含む。セット2において、リアルロフト角L1が42°以下であるヘッドは、6番アイアンから9番アイアンである。セット2において、リアルロフト角L1が42°を超えるヘッドは、ピッチングウエッジ、デュアルウエッジ及びサンドウェッジである。
【0124】
[バンス角θ1]
バンス角θ1は、フェースセンター位置Pcにおいて測定される。バンス角θ1は、フェース−バック方向に沿った断面において決定される。バンス角θ1の測定では、フェースセンター位置Pcにおけるソール断面線の中央点Cpが決定される。この中央点Cpにおける接線TL1(図9(a)参照)と、水平面hとの成す角度が、バンス角θ1である。このバンス角θ1は、上記基準状態のヘッドにおいて測定される。なお中央点Cpは、ソール幅の中心点である。ソール幅は、リーディングエッジLeからトレーリングエッジまでのフェース−バック方向距離である。中央点Cpは、フェース−バック方向距離に基づく中点である。トレーリングエッジは、ソールのバック側の端である。丸みによってトレーリングエッジが不明である場合、曲率半径の極小点がトレーリングエッジとされる。
【0125】
バンス角θ1が、リアルロフト角の小さいクラブから順にθ1(1)、θ1(2)、・・・、θ1(m)とされるとき、セット2は、次の関係13を満たす。
[関係13]θ1(1)≦θ1(2)≦・・・≦θ1(n)且つθ1(1)<θ1(n)
【0126】
更に、セット2は、次の関係14を満たす。
[関係14]θ1(1)≦θ1(2)≦・・・≦θ1(m)且つθ1(1)<θ1(m)
【0127】
更に、セット2は、次の関係15を満たす。
[関係15]θ1(1)<θ1(2)<・・・<θ1(n)
【0128】
更に、セット2は、次の関係16を満たす。
[関係16]θ1(1)<θ1(2)<・・・<θ1(m)
【0129】
本願では、上記関係13から16を総称して、「バンス角フロー」ともいう。
【0130】
このバンス角フローは、ソール面の機能を番手ごとに最適化しうる。リアルロフト角が大きいクラブほど、ダウンブローの傾向が強い。ヘッド軌道(ブロー角)は、番手毎に異なる。このバンス角フローは、これらのヘッド軌道に対応している。バンス角フローは、リアルロフト角が小さいクラブにおいて、ソールが地面に跳ね返されることを抑制する。バンス角フローは、リアルロフト角が大きいクラブにおいて、ヘッドが地面に刺さることを抑制する。
【0131】
上記実施形態では、リアルロフト角が42度以下のヘッドにおいて、上記関係1及び関係2が満たされている。上記実施形態では、リアルロフト角が42度を超えるヘッドにおいて、上記関係1及び関係2が満たされていない。リアルロフト角が42度を超えるヘッドでは、ダウンブローの度合いが大きい。よって、レールの存在が、接地抵抗の低下に寄与しないことがある。また、大きなバンス角θ1を有するソール面に更にレールが付加されると、レールが接地抵抗を増加させることもある。これらの観点から、上記実施形態では、リアルロフト角が42度を超えるヘッドについては、ソールにレールが設けられていない。
【0132】
ソール溝開始位置フローの効果は、バンス角フローの効果と相乗する。リアルロフト角が大きい番手では、バンス角θ1が大きい。この場合、ソール溝開始位置を後方に移動させることで、ブロー角が大きくても、ヘッドと地面との衝突による抵抗が緩和される。よって、インパクトの初期段階における接地抵抗が抑制されうる。一方、リアルロフト角が小さい番手では、バンス角θ1が小さい。この場合、ソール溝開始位置を前方に移動させることで、バンス角θ1が小さくても、ソールの滑りが良好とされる。よって、インパクトの初期段階における接地抵抗が抑制されうる。
【0133】
図19(a)は、第二実施形態に係るヘッドcx1の正面図である。図19(a)は、上記基準状態における正面図である。図19(b)はヘッドcx1の底面図である。レール形状及びソール溝形状を除き、ヘッドcx1は、上記ヘッドh1と同様である。
【0134】
ヘッドcx1のトウ側には、2本のレールr10が設けられている。これら2本のレールr10の間に、ソール溝sv10が設けられている。ヘッドcx1のヒール側には、2本のレールr10が設けられている。これら2本のレールr10の間に、ソール溝sv10が設けられている。全てのレールr10は、フェース−バック方向中間位置から後方に延びている。全てのソール溝sv10は、フェース−バック方向中間位置から後方に延びている。このヘッドcx1は、6番アイアンである。このヘッドcx1では、上記基準状態において、2本のレールr10が水平面hに接する。よって、このヘッドcx1では、上記効果Jは奏されないが、その他の効果は奏されうる。
【0135】
図20(a)は、第三実施形態に係るヘッドcx2の正面図である。図20(b)はヘッドcx2の底面図である。図20(a)は、上記基準状態における正面図である。レール形状及びソール溝形状を除き、ヘッドcx2は、上記ヘッドh1と同様である。
【0136】
ヘッドcx2のトウ側には、2本のレールr11が設けられている。これら2本のレールr11の間に、ソール溝sv11が設けられている。ヘッドcx2のヒール側には、2本のレールr11が設けられている。これら2本のレールr11の間に、ソール溝sv11が設けられている。全てのレールr11は、フェース−バック方向中間位置から後方に延びている。全てのソール溝sv11は、フェース−バック方向中間位置から後方に延びている。このヘッドcx2は、6番アイアンである。このヘッドcx2は、上記基準状態において、2本のレールr11が水平面hに接する。よって、このヘッドcx2では、上記効果Jは奏されないが、その他の効果は奏されうる。
【0137】
図21(a)は、第四実施形態に係るヘッドcx3の正面図である。図21(b)はヘッドcx3の底面図である。図21(a)は、上記基準状態における正面図である。レール形状及びソール溝形状を除き、ヘッドcx3は、上記ヘッドh1と同様である。
【0138】
ヘッドcx3のトウ側には、2本のレールr12が設けられている。これら2本のレールr12の間に、ソール溝sv12が設けられている。ヘッドcx3のヒール側には、2本のレールr12が設けられている。これら2本のレールr12の間に、ソール溝sv12が設けられている。更に、トウ−ヒール方向中央部に、第5のレールr12が設けられている。この第5のレールr12は、フェースセンター位置Pcに設けられている。全てのレールr12は、フェース−バック方向中間位置から後方に延びている。全てのソール溝sv12は、フェース−バック方向中間位置から後方に延びている。このヘッドcx3は、6番アイアンである。このヘッドcx3は、上記基準状態において、第5のレールr12が水平面hに接する。よって、このヘッドcx3では、上記効果Jは奏されないが、その他の効果は奏されうる。
【0139】
図22(a)は、第五実施形態に係るヘッドcx4の正面図である。図22(b)はヘッドcx4の底面図である。図22(a)は、上記基準状態における正面図である。レール形状及びソール溝形状を除き、ヘッドcx4は、上記ヘッドh1と同様である。
【0140】
ヘッドcx4のトウ側には、1本のレールr13が設けられている。ヘッドcx4のヒール側には、1本のレールr13が設けられている。ソール溝は設けられていない。全てのレールr13は、フェース−バック方向中間位置から後方に延びている。このヘッドcx4は、6番アイアンである。このヘッドcx4は、上記基準状態において、2本のレールr13が水平面hに接する。よって、このヘッドcx4では、上記効果Jは奏されない。また、このヘッドcx4には、ソール溝が設けられていないので、上記効果D、E及びFは奏されない。その他の効果は奏されうる。
【実施例】
【0141】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0142】
[実施例1]
図1に示されるセット2と同じセットが作成された。ステンレス鋼を鋳造し、研磨前ヘッドを得た。フェース溝は、切削加工により形成した。表面を研磨し、フェース面にショットブラスト処理を施して、ヘッドを完成させた。各ヘッドに、シャフト及びグリップを装着して、ゴルフクラブセットを得た。
【0143】
各番手のクラブ長さは次の通りとされた。
・6番アイアン: 37.25インチ
・7番アイアン: 36.75インチ
・8番アイアン: 36.25インチ
・9番アイアン: 35.75インチ
・ピッチングウエッジ:35.25インチ
・デュアルウエッジ: 35.25インチ
・サンドウエッジ: 35.125インチ
【0144】
各番手のリアルロフト角は次の通りとされた。
・6番アイアン: 27(degree)
・7番アイアン: 31(degree)
・8番アイアン: 35(degree)
・9番アイアン: 39(degree)
・ピッチングウエッジ:44(degree)
・デュアルウエッジ: 49(degree)
・サンドウエッジ: 54(degree)
【0145】
各番手のバンス角θ1は次の通りとされた。
・6番アイアン: 8.0(degree)
・7番アイアン: 8.3(degree)
・8番アイアン: 8.5(degree)
・9番アイアン: 8.7(degree)
・ピッチングウエッジ: 9.0(degree)
・デュアルウエッジ: 10.0(degree)
・サンドウエッジ: 12.0(degree)
【0146】
[実施例2]
図19で示されるヘッドcx1(6番アイアンのみ)が作成された。実施例1の6番アイアンと同じグリップ及びシャフトを装着して、実施例2のクラブを得た。
【0147】
[実施例3]
図20で示されるヘッドcx2(6番アイアンのみ)が作成された。実施例1の6番アイアンと同じグリップ及びシャフトを装着して、実施例3のクラブを得た。
【0148】
[実施例4]
図21で示されるヘッドcx3(6番アイアンのみ)が作成された。実施例1の6番アイアンと同じグリップ及びシャフトを装着して、実施例4のクラブを得た。
【0149】
[実施例5]
図22で示されるヘッドcx4(6番アイアンのみ)が作成された。実施例1の6番アイアンと同じグリップ及びシャフトを装着して、実施例5のクラブを得た。
【0150】
ハンデキャップが10から20である10名のテスターが試打を行った。10名のテスターの評価を総合すると、実施例1が最も良好であった。実施例1は、実施例2から5と比較して、接地抵抗が少なく、振り抜きが良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0151】
セットに係る本発明は、あらゆるアイアンゴルフクラブに適用されうる。ヘッドに係る本発明は、あらゆるゴルフクラブヘッドに適用されうる。このヘッドとして、アイアン型ヘッド、ユーティリティ型ヘッド、ハイブリッド型ヘッド及びフェアウエイウッドが挙げられる。
【符号の説明】
【0152】
2・・・ヘッドのセット
4、10、16、22、28、34、40・・・フェース
5、11、17、23、29、35、41・・・バックフェース
6、12、18、24、30、36、42・・・ホーゼル
8、14、20、26、32、38、44・・・ソール
h1、h2、h3、h4、h5、h6、h7・・・ヘッド
r1、r2、r3、r4、r5、r6、r6・・・レール
rtx・・・最もトウ側に位置するレール
rty・・・トウ側から2番目に位置するレール
rhx・・・最もヒール側に位置するレール
rhy・・・ヒール側から2番目に位置するレール
sv1、sv2、sv3、sv4、sv5、sv6、sv7・・・ソール溝
svt・・・最もトウ側に位置するソール溝
svh・・・最もヒール側に位置するソール溝
cv1、cv2、cv3、cv4、cv5、cv6、cv7・・・バックキャビティ
Sv・・・ソール溝開始点
Sr・・・レール開始点
gv・・・フェース溝
【特許請求の範囲】
【請求項1】
n本(nは2以上の整数)のアイアンゴルフクラブを含んでおり、
これらn本のクラブが、ソールのフェース−バック方向中間位置から後方に延びるレールを有しており、
リーディングエッジからレール開始点までの距離d1が、リアルロフト角の小さいクラブから順にd1(1)、d1(2)、・・・、d1(n)とされるとき、
d1(1)≦d1(2)≦・・・≦d1(n)且つd1(1)<d1(n)を満たしているゴルフクラブセット。
【請求項2】
d1(1)<d1(2)<・・・<d1(n)を満たしている請求項1に記載のゴルフクラブセット。
【請求項3】
上記レールがバックフェースにまで延在している請求項1又は2に記載のゴルフクラブセット。
【請求項4】
上記レールがトウ側に2本設けられ、且つ、これら2本のレールの間にソール溝が形成されており、
上記レールがヒール側に2本設けられ、且つ、これら2本のレールの間にソール溝が形成されている請求項1から3のいずれかに記載のゴルフクラブセット。
【請求項5】
上記ソール溝が、フェース−バック方向中間位置から後方に延びており、
リーディングエッジからソール溝開始点までの距離d2が、リアルロフト角の小さいクラブから順にd2(1)、d2(2)、・・・、d2(n)とされるとき、
d2(1)<d2(2)<・・・<d2(n)を満たしている請求項4に記載のゴルフクラブセット。
【請求項6】
フェースセンター位置Pcを接地点とした基準状態において上記レールが接地しない請求項1から5のいずれかに記載のゴルフクラブセット。
【請求項7】
ソールのフェース−バック方向中間位置から後方に延びる2本のレールがフェースセンター位置Pcよりもトウ側に配置され、
ソールのフェース−バック方向中間位置から後方に延びる2本のレールがフェースセンター位置Pcよりもヒール側に配置され、
フェースセンター位置Pcを接地点とした基準状態において、上記4本のレールが接地しないゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
上記トウ側の2本のレールの間にソール溝が配置されており、
上記ヒール側の2本のレールの間にソール溝が配置されており、
これらのソール溝が、フェース−バック方向中間位置から後方に延びている請求項7に記載のゴルフクラブヘッド。
【請求項1】
n本(nは2以上の整数)のアイアンゴルフクラブを含んでおり、
これらn本のクラブが、ソールのフェース−バック方向中間位置から後方に延びるレールを有しており、
リーディングエッジからレール開始点までの距離d1が、リアルロフト角の小さいクラブから順にd1(1)、d1(2)、・・・、d1(n)とされるとき、
d1(1)≦d1(2)≦・・・≦d1(n)且つd1(1)<d1(n)を満たしているゴルフクラブセット。
【請求項2】
d1(1)<d1(2)<・・・<d1(n)を満たしている請求項1に記載のゴルフクラブセット。
【請求項3】
上記レールがバックフェースにまで延在している請求項1又は2に記載のゴルフクラブセット。
【請求項4】
上記レールがトウ側に2本設けられ、且つ、これら2本のレールの間にソール溝が形成されており、
上記レールがヒール側に2本設けられ、且つ、これら2本のレールの間にソール溝が形成されている請求項1から3のいずれかに記載のゴルフクラブセット。
【請求項5】
上記ソール溝が、フェース−バック方向中間位置から後方に延びており、
リーディングエッジからソール溝開始点までの距離d2が、リアルロフト角の小さいクラブから順にd2(1)、d2(2)、・・・、d2(n)とされるとき、
d2(1)<d2(2)<・・・<d2(n)を満たしている請求項4に記載のゴルフクラブセット。
【請求項6】
フェースセンター位置Pcを接地点とした基準状態において上記レールが接地しない請求項1から5のいずれかに記載のゴルフクラブセット。
【請求項7】
ソールのフェース−バック方向中間位置から後方に延びる2本のレールがフェースセンター位置Pcよりもトウ側に配置され、
ソールのフェース−バック方向中間位置から後方に延びる2本のレールがフェースセンター位置Pcよりもヒール側に配置され、
フェースセンター位置Pcを接地点とした基準状態において、上記4本のレールが接地しないゴルフクラブヘッド。
【請求項8】
上記トウ側の2本のレールの間にソール溝が配置されており、
上記ヒール側の2本のレールの間にソール溝が配置されており、
これらのソール溝が、フェース−バック方向中間位置から後方に延びている請求項7に記載のゴルフクラブヘッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2013−59614(P2013−59614A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−181436(P2012−181436)
【出願日】平成24年8月20日(2012.8.20)
【出願人】(504017809)ダンロップスポーツ株式会社 (701)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年8月20日(2012.8.20)
【出願人】(504017809)ダンロップスポーツ株式会社 (701)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]