アイカラー化粧用具
【課題】一定量のアイカラーを塗布することが可能であり、しかもアイカラーメイクを簡単に行うことができるアイカラー化粧用具の提供を目的とする。
【解決手段】アイカラー塗布具31がケース本体12に挿入されて収納保管される際、アイカラー塗布具の塗布部32がケース本体の底部のアイカラー25と対向するようにしてケース本体12内に収納され、蓋体17でケース本体12が閉じられることにより、アイカラー塗布具31の把持部35が蓋体17で押圧されて塗布部32が圧縮された状態でアイカラー25に圧着し、塗布部32の表面にアイカラーが付着するようにされ、アイカラーメイクの際、ケース11からアイカラー塗布具31が取り出されてアイカラーが付着している塗布部32の表面が瞼の上に押し付けられるように構成した。
【解決手段】アイカラー塗布具31がケース本体12に挿入されて収納保管される際、アイカラー塗布具の塗布部32がケース本体の底部のアイカラー25と対向するようにしてケース本体12内に収納され、蓋体17でケース本体12が閉じられることにより、アイカラー塗布具31の把持部35が蓋体17で押圧されて塗布部32が圧縮された状態でアイカラー25に圧着し、塗布部32の表面にアイカラーが付着するようにされ、アイカラーメイクの際、ケース11からアイカラー塗布具31が取り出されてアイカラーが付着している塗布部32の表面が瞼の上に押し付けられるように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイカラーとアイカラー塗布具がケースに収納されたアイカラー化粧用具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アイカラーのメイクを行う場合、ケースに収納されたアイカラーをチップの先端で掻き出し、チップの先端に付着させたアイカラーを瞼の上(表面)に塗布している。また、アイカラーと共にチップをケースに収納したものがある。図12は、アイカラー71と共にチップ73が収納可能にされたケース70の一例である。
【0003】
しかしながら、毎回、チップの先端にアイカラーを一定量付着させて、同じようにアイカラーを瞼の上に塗布することは難しく、瞼の上に塗布したアイカラーの濃さやグラディエーションがメイク毎にばらつく問題がある。例えば、憧れの女優さんをまねてアイカラーメイクを行っても、ある日は上手にでき、また別の日には上手くできないことがある。さらに、アイカラーメイクを行う際に、何度も瞼の上に塗り絵のようにアイカラーを塗り重ねる必要があり、メイクに手間がかかる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−333725号公報
【特許文献2】特開2004−243015号公報
【特許文献3】特開2009−214912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、一定量のアイカラーを瞼の上に塗布することができ、しかもアイカラーメイクを簡単に行うことができるアイカラー化粧用具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、ケースと、前記ケース内に配置されたアイカラーと、前記ケースに収納保管され、アイカラーメイクの際に前記ケースから取り出されるアイカラー塗布具とよりなり、前記ケースは、一側が開口したケース本体と前記ケース本体の一側の開口を開閉する蓋体とよりなり、前記アイカラーは、前記ケース本体内の底部に配置され、前記アイカラー塗布具は、連続気泡構造の弾性発泡体からなる塗布部と前記塗布部よりも硬度の高い部材からなる把持部との積層体からなって、前記積層体の両端間の長さが、前記ケース本体の開口を閉じた状態の前記蓋体と前記ケース本体内のアイカラーとの間隔よりも大にされ、前記アイカラー塗布具が前記ケース本体の開口からケース本体内に挿入されて収納保管される際、前記アイカラー塗布具は前記塗布部が前記ケース本体の底部のアイカラーと対向するようにして前記ケース本体内に収納され、前記蓋体で前記ケース本体の開口が閉じられることにより、前記アイカラー塗布具の把持部が前記蓋体で押圧されて前記塗布部が圧縮された状態で前記アイカラーに圧着し、前記アイカラーに圧着した前記塗布部の表面にアイカラーが付着するようにされ、アイカラーメイクの際、前記ケースから前記アイカラー塗布具が取り出され、前記アイカラーが付着している前記塗布部の表面が瞼の上に押し付けられることを特徴とするアイカラー化粧用具に係る。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1において、前記アイカラー塗布具の塗布部は、前記収納保管時に前記アイカラーに圧着することとなる表面が予め傾斜して設けられ、前記アイカラー塗布具の収納保管時における前記塗布部の圧縮量が、前記アイカラーに圧着する塗布部の位置によって異なるようにされていることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1において、前記ケース本体内の底部に配置された前記アイカラーは、前記アイカラー塗布具の収納保管時に前記塗布部の表面と圧着するアイカラーの表面が傾斜して設けられ、前記アイカラー塗布具の収納保管時における前記塗布部の圧縮量が、前記アイカラーに圧着する塗布部の位置によって異なるようにされていることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1において、前記ケース本体の底部に、前記アイカラーが徐々に色を変化させてあるいは前記底部の所定範囲毎に色を異ならせて配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、アイカラー塗布具をケースに収納保管することにより、アイカラー塗布具の塗布部がアイカラーに圧着して塗布部表面にアイカラーが付着するため、アイカラーメイクをする際には、ケースからアイカラー塗布部の把持部を掴んで取り出し、アイカラーが付着している塗布部の表面を瞼の上に押し付け、必要に応じて擦るだけでアイカラーメイクを行うことができ、メイクを簡単に行うことができる。
【0011】
さらに、請求項1の発明によれば、アイカラー塗布具がケースに収納保管されることによって、ケース内のアイカラーに塗布部の表面が一定の圧力で圧着するため、塗布部表面へのアイカラーの付着量が一定し、メイク毎のばらつきを抑えることができる。
【0012】
請求項2及び3の発明によれば、アイカラー塗布具がケースに収納保管された際に、ケース内のアイカラーと圧着する塗布部の表面が傾斜していることにより、あるいは塗布部の表面と圧着するアイカラーの表面が傾斜していることにより、塗布部はアイカラーとの圧着位置によって圧縮量が異なり、塗布部の表面とアイカラーとの圧着力が異なったものとなる。従って、圧着力が大の位置、すなわち塗布部の表面がアイカラーに強く押し付けられている部位ではアイカラーの付着量が多くなり、一方、圧着力が小の位置、すなわち塗布部の表面がアイカラーに弱く押し付けられている部位ではアイカラーの付着量が少なくなるため、塗布部表面におけるアイカラーの付着量が、塗布部表面の傾斜あるいはアイカラー表面の傾斜に応じて徐々に変化したものとなる。そのため、アイカラーメイク時に、アイカラーの付着量が徐々に変化している塗布部の表面を瞼の上に押し付けることにより、グラディエーションを有するアイカラーメイクを容易に、かつメイク毎のばらつきを抑えて行うことができる。
【0013】
請求項4の発明によれば、ケースに収納保管されたアイカラー塗布具の塗布部表面に、アイカラーが色を徐々に変化して(濃度の変化を含む)付着し、あるいはアイカラーが所定範囲毎に色を異ならせて(濃度が異なる場合を含む)付着するため、アイカラーメイク時に、アイカラーの付着している塗布部の表面を瞼の上に押し付けることにより、グラディエーションや所定範囲毎に色が異なるアイカラーメイクを容易に、かつメイク毎のばらつきを抑えて行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明におけるアイカラー化粧用具の第一実施形態の図である。
【図2】本発明におけるアイカラー塗布具の第一実施形態の斜視図である。
【図3】第1実施形態におけるアイカラー塗布具の収納保管の際を示す断面図である。
【図4】第1実施形態におけるアイカラー塗布具の取り出し時を示す断面図である。
【図5】第2実施形態におけるアイカラー塗布具の収納保管の際を示す断面図である。
【図6】第2実施形態におけるアイカラー塗布具の取り出し時を示す断面図である。
【図7】第3実施形態におけるアイカラー塗布具の収納保管の際を示す断面図である。
【図8】第3実施形態におけるアイカラー塗布具の取り出し時を示す断面図である。
【図9】第4実施形態におけるアイカラー塗布具の収納保管の際を示す断面図である。
【図10】第4実施形態におけるアイカラー塗布具の取り出し時を示す断面図である。
【図11】アイカラーメイクを行う際の瞼付近を示す図である。
【図12】アイカラーと共にチップがされた従来のケースの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のアイカラー化粧用具の実施形態について説明する。図1に示す第1実施形態のアイカラー化粧用具10は、ケース11と、前記ケース内に配置されたアイカラー(アイカラー化粧料)25と、前記ケース11に収納保管され、アイカラーメイクの際に前記ケース11から取り出されるアイカラー塗布具31とよりなる。
【0016】
前記ケース11は、図3にも示すように、ケース本体12と蓋体17とよりなる。
前記ケース本体12は、一側(図示の例では上側)が開口した容器状からなる。符号16はケース本体の開口である。前記ケース本体12内の底部13は、略平面で構成され、前記底部13に所定色のアイカラー25が配置されている。前記ケース本体12の横断面形状(図1のA−A断面図に示す断面形状)は、前記アイカラー塗布具31の横断面と略等しくされ、前記アイカラー塗布具31をケース本体12内に開口16から挿入可能な形状となっている。
【0017】
前記蓋体17は、前記ケース本体12の一側の開口16を開閉するものであり、前記ケース本体12の開口16を塞ぐことのできる大きさからなる。前記蓋体17とケース本体12は、図示の例では、ヒンジ21で連結されたプラスチック成形品からなり、前記ヒンジ21とは反対側に係合突部18と係合凹部14からなる係合手段が設けられている。前記係合突部18と係合凹部14は、前記開口16を蓋体17で閉じた際に係合して閉状態を維持する。なお、前記蓋体17とケース本体12は、ヒンジで連結されることなく分離したものとし、前記ケース本体12の開口16に嵌着可能にしてもよい。
【0018】
前記アイカラー25は、所定の色をしたパウダー等の化粧料からなり、前記ケース本体12内の底部13上に層状に設けられている。
【0019】
前記アイカラー塗布具31は、塗布部32と把持部35とが積層一体化された積層体で構成されている。
前記塗布部32は、連続気泡構造の弾性発泡体からなる。連続気泡構造とすることにより、前記アイカラー25に塗布部32が圧着した際に、塗布部32の表面33に良好にアイカラー25を付着させることができる。連続気泡構造の弾性発泡体としては、好ましくはセル数が20〜100個/25mm(JIS K6400準拠)、より好ましくは40〜80個/25mm、硬さが20〜70N/314cm2(ILD準拠)、より好ましくは30〜40N/314cm2のものである。前記セル数の範囲とすることにより、前記塗布部32の表面にアイカラーを密に付着させることができ、また、前記硬さの範囲とすることにより、アイカラー塗布具31を前記ケース11に収納保管した際に、前記塗布部32を圧縮させてアイカラー25に圧着させることができる。前記塗布部32の厚み(高さ)a1は適宜設定されるが、好ましくは通常5〜50mm、より好ましくは10〜30mmである。前記塗布部32の表面33の形状は、アイカラーメイクを行う瞼の上(表面)の範囲(形状)に合わせるのが好ましい。
【0020】
前記把持部35は、アイカラー塗布具31を使用する際に掴まれる部分であり、前記塗布部32よりも硬度の高い材質、好ましくは60kPa以上(BS ISO 7214 1998準拠)の硬さを有する材質からなる。前記把持部35の材質としては、前記塗布部32よりも硬度の高い材質であれば特に限定されるものではなく、発泡体、非発泡のプラスチック、木製、金属製等を挙げることができる。前記把持部35は、接着等によって前記塗布部32と接合されている。前記把持部35の厚み(高さ)a2は、把持し易い寸法であればよく、例えば10〜50mm程度を挙げる。また、図示の例では、前記把持部35の側部形状は前記塗布部32の側部形状と等しくされているが、把持部35を掴むことができる形状であればよく、特に限定されるものではない。
【0021】
前記塗布部32と把持部35からなる積層体の両端間の長さ(すなわちアイカラー塗布具31の両端間の長さ(距離))aは、前記ケース本体11の開口16を閉じた状態の前記蓋体17と前記ケース本体11内のアイカラー25との間隔f(図3の(3−3)に示す)よりも大にされている。
【0022】
前記アイカラー化粧用具10は、非メイク時、図3の(3−1)〜(3−3)に示すように、前記アイカラー塗布具31が前記ケース本体12の開口16からケース本体12内に挿入されて収納保管される。その際、前記アイカラー塗布具31は、前記塗布部32が前記ケース本体12の底部のアイカラー25と対向するようにして前記ケース本体12内に収納され、前記蓋体17で前記ケース本体12の開口16が閉じられる。これにより、図3の(3−3)に示すように、前記アイカラー塗布具31の把持部35が前記蓋体17で押圧されて前記塗布部32が圧縮された状態で前記アイカラー25に圧着し、前記アイカラー25に圧着した前記塗布部32の表面にアイカラーが付着する。
【0023】
一方、アイカラーメイクの際には、図4のように前記蓋体17を開け、前記ケース本体12から突出した前記把持部35を掴んで前記ケース11から前記アイカラー塗布具31を取り出し、アイカラー29(前記ケース本体12の底部のアイカラ−25と同じもの)が付着している前記塗布部32の表面を、図11に示す瞼41の上(表面)に押し付け、前記塗布部25のアイカラー29を瞼41の上(表面)に塗布する。このようにしてアイカラーメイクを行えるため、アイカラーメイク毎のばらつきを抑えることができ、しかも簡単にメイクすることができる。
【0024】
図1〜図4のアイカラー化粧用具10の材質、寸法等について一例を具体的に示す。
前記ケース本体12及び蓋体17は材質ポリスチレンからなり、ケース本体11の開口16を閉じた状態の蓋体17とケース本体11内のアイカラー25との間隔fが40mmである。
前記アイカラー塗布具31は、右瞼用のものであり、積層体の両端間の長さ(すなわちアイカラー塗布具31の両端間の長さ(距離))aが50mm、大側の幅bが40mm、小側の幅eが35mm、大側の奥行きcが30mm、小側の奥行きdが20mmである。
前記塗布部32は、セル数58個/25mm(JIS K6400準拠)、硬さ35N/314cm2(ILD)の軟質ポリウレタンフォームからなり、厚み(高さ)a1が25mmである。
前記把持部35は、硬さ69kPa(BS ISO 7214 1998準拠)のポリエチレンフォームからなり、厚み(高さ)a2が25mmである。
【0025】
図5及び図6に示す第2実施形態のアイカラー化粧用具10Aは、アイカラー塗布具31Aの収納保管時にケース本体12A内の底部13Aのアイカラー25Aと圧着することとなるアイカラー塗布具31Aの塗布部32Aの表面33Aが、傾斜して設けられている。前記ケース本体12A内の底部13Aは、第1実施形態のケース本体12内の底部13と同様に傾斜の無い平面となっている。その他の構成は、第1実施形態のアイカラー化粧用具10と同様である。なお、第2実施形態では、第1実施形態の同一名称の部材と区別するため、符号にAを併記した。図5はアイカラー化粧用具10Aをケース11Aに収納保管する際を示し、一方、図6はアイカラーメイク時にアイカラー化粧用具10Aをケース11Aから取り出す際を示す。
【0026】
第2実施形態のアイカラー化粧用具10Aにおいては、前記アイカラー塗布具31Aが前記ケース11Aに収納保管された際、ケース11A内のアイカラー25Aと圧着する前記塗布部32Aの表面33Aが傾斜していることにより、前記塗布部32Aはアイカラー25Aとの圧着位置によって圧縮量が異なり、前記塗布部32Aの表面33Aとアイカラー25Aとの圧着力が塗布部32Aの表面33Aの位置によって異なったものとなる。従って、圧着力が大の位置、すなわち塗布部32Aの表面33Aがアイカラー25Aに強く押し付けられている部位331Aではアイカラーの付着量が多くなり、一方、圧着力が小の位置、すなわち塗布部32Aの表面33Aがアイカラー25Aに弱く押し付けられている部位332Aではアイカラーの付着量が少なくなるため、図6に示すように塗布部32Aの表面33Aにおけるアイカラー29Aの付着量が、塗布部の表面33Aの傾斜に応じて徐々に変化したものとなる。符号291Aはアイカラーの付着量大側、符号292Aはアイカラーの付着量小側である。そのため、アイカラーメイク時に、アイカラー29Aの付着量が徐々に変化している塗布部32Aの表面33Aを瞼41の上(表面)に押し付けることにより、グラディエーションを有するアイカラーメイクを容易に、かつメイク毎のばらつきを抑えて行うことができる。さらに、前記塗布部32Aの表面33Aの傾斜角度を異ならせることによってアイカラーの付着量の変化を調節することができるため、使用者の好みに応じた多種類のアイカラー化粧用具を用意することもできる。
【0027】
図7及び図8に示す第3実施形態のアイカラー化粧用具10Bは、ケース本体12B内の底部13Bが傾斜して設けられ、該傾斜した底部13B上にアイカラー25Bが層状に配置されている。アイカラー塗布具31Bにおける塗布部32Bの表面33Bは、第1実施形態の塗布部32の表面33と同様に傾斜の無い平面となっている。その他の構成は、第1実施形態のアイカラー化粧用具10と同様である。なお、第3実施形態では、第1実施形態の同一名称の部材と区別するため、符号にBを併記した。図7はアイカラー化粧用具10Bをケース11Bに収納保管する際を示し、一方、図8はアイカラーメイク時にアイカラー化粧用具10Bをケース11Bから取り出す際を示す。
【0028】
第3実施形態のアイカラー化粧用具10Bにおいては、前記アイカラー塗布具31Bが前記ケース11Bに収納保管された際、前記塗布部32Bの表面33Bと圧着するアイカラー25Bの表面が傾斜していることにより、前記塗布部32Bはアイカラー25Bとの圧着位置によって圧縮量が異なり、塗布部32Bの表面33Bとアイカラー25Bとの圧着力が異なったものとなる。従って、圧着力が大の位置、すなわち前記塗布部32Bの表面33Bがアイカラー25Bに強く押し付けられている部位331Bではアイカラーの付着量が多くなり、一方、圧着力が小の位置、すなわち前記塗布部32Bの表面33Bがアイカラー25Bに弱く押し付けられている部位332Bではアイカラーの付着量が少なくなるため、図8に示すように前記塗布部32Bの表面33Bにおけるアイカラー29Bの付着量が、前記アイカラー25Bの表面の傾斜に応じて徐々に変化したものとなる。符号291Bはアイカラーの付着量大側、符号292Bはアイカラーの付着量小側である。そのため、アイカラーメイク時に、アイカラー29Bの付着量が徐々に変化している塗布部32Bの表面を瞼の上に押し付けることにより、グラディエーションを有するアイカラーメイクを容易に、かつメイク毎のばらつきを抑えて行うことができる。さらに、前記ケース本体12B内の底部13Bの傾斜角度を異ならせることによってアイカラーの付着量の変化を調節することができるため、使用者の好みに応じた多種類のアイカラー化粧用具を用意することもできる。
【0029】
図9及び図10に示す第4実施形態のアイカラー化粧用具10Cは、ケース本体12C内の底部13C上にアイカラー251C、252C、253Cが、前記底部13Cの所定範囲毎に色を異ならせて配置されている。符号251C、252C、253Cは互いに異なる色のアイカラーである。異ならせる色には、濃度、青や緑などの色の種類等を含む。ケース本体12Cの底部13C及びアイカラー塗布具31Cにおける塗布部32Cの表面33Cは、第1実施形態の底部13及び塗布部32の表面33と同様に傾斜の無い平面となっている。その他の構成は、第1実施形態のアイカラー化粧用具10と同様である。なお、第4実施形態では、第1実施形態の同一名称の部材と区別するため、符号にCを併記した。図9はアイカラー化粧用具10Cをケース11Cに収納保管する際を示し、一方、図10はアイカラーメイク時にアイカラー化粧用具10Cをケース11Cから取り出す際を示す。
【0030】
第4実施形態のアイカラー化粧用具10Cにおいては、前記ケース11Cに収納保管されたアイカラー塗布具31Cの塗布部32Cの表面33Cに、所定範囲毎に色を異ならせたアイカラー251C、252C、253Cが付着するため、図10に示すように、アイカラーメイク時には、前記色の異なるアイカラー291C(前記アイカラー251Cの付着物)、292C(前記アイカラー252Cの付着物)、293C(前記アイカラー253Cの付着物)が付着している塗布部32Cの表面33Cを、瞼の上に押し付けることにより、グラディエーションや所定範囲毎に色が異なるアイカラーメイクを容易に、かつメイク毎のばらつきを抑えて行うことができる。
【0031】
また、前記第4実施形態においては、前記ケース本体12Cの底部13Cに所定範囲毎にアイカラーの色を変化させて設けたが、それに代えて色を徐々に変化させて設けてもよい。このようにアイカラーの色を徐々に変化させて前記ケース本体12Cの底部13Cに配置すれば、連続的に色を変化(濃度変化を含む)させたアイカラーメイクを容易に、かつメイク毎のばらつきを抑えて行うことができる。
【0032】
このように、本発明のアイカラー化粧用具は、ケースからアイカラー塗布部を取り出し、アイカラーが付着している塗布部の表面を瞼の上に押し付け、必要に応じて擦るだけでアイカラーメイクを行うことができ、メイクを簡単に行うことができる。さらに、アイカラー塗布具がケースに収納保管されることによって、ケース内のアイカラーに塗布部の表面が一定の圧力で圧着するため、塗布部表面へのアイカラー付着量が一定し、メイク毎のばらつきを抑えることができる。
【0033】
なお、前記の実施形態では、塗布部を左右の瞼毎に異ならせて形成する例を示したが、前記塗布部の表面形状を左右の瞼で共通にし、一つのアイカラー塗布具で左右の瞼をアイカラーメイクできるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0034】
10,10A,10B,10C アイカラー化粧用具
11,11A,11B,11C ケース
12,12A,12B,12C ケース本体
13,13B,13B,13C 底部
17,17A,17B,17C 蓋体
25,25A,25B,251C,252C,253C ケース本体のアイカラー
29,29A,29B,291C,292C,293C 塗布部表面のアイカラー
31,31A,31B,31C アイカラー塗布具
32,32A,32B,32C 塗布部
35,35A,35B,35C 把持部
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイカラーとアイカラー塗布具がケースに収納されたアイカラー化粧用具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アイカラーのメイクを行う場合、ケースに収納されたアイカラーをチップの先端で掻き出し、チップの先端に付着させたアイカラーを瞼の上(表面)に塗布している。また、アイカラーと共にチップをケースに収納したものがある。図12は、アイカラー71と共にチップ73が収納可能にされたケース70の一例である。
【0003】
しかしながら、毎回、チップの先端にアイカラーを一定量付着させて、同じようにアイカラーを瞼の上に塗布することは難しく、瞼の上に塗布したアイカラーの濃さやグラディエーションがメイク毎にばらつく問題がある。例えば、憧れの女優さんをまねてアイカラーメイクを行っても、ある日は上手にでき、また別の日には上手くできないことがある。さらに、アイカラーメイクを行う際に、何度も瞼の上に塗り絵のようにアイカラーを塗り重ねる必要があり、メイクに手間がかかる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−333725号公報
【特許文献2】特開2004−243015号公報
【特許文献3】特開2009−214912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであって、一定量のアイカラーを瞼の上に塗布することができ、しかもアイカラーメイクを簡単に行うことができるアイカラー化粧用具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、ケースと、前記ケース内に配置されたアイカラーと、前記ケースに収納保管され、アイカラーメイクの際に前記ケースから取り出されるアイカラー塗布具とよりなり、前記ケースは、一側が開口したケース本体と前記ケース本体の一側の開口を開閉する蓋体とよりなり、前記アイカラーは、前記ケース本体内の底部に配置され、前記アイカラー塗布具は、連続気泡構造の弾性発泡体からなる塗布部と前記塗布部よりも硬度の高い部材からなる把持部との積層体からなって、前記積層体の両端間の長さが、前記ケース本体の開口を閉じた状態の前記蓋体と前記ケース本体内のアイカラーとの間隔よりも大にされ、前記アイカラー塗布具が前記ケース本体の開口からケース本体内に挿入されて収納保管される際、前記アイカラー塗布具は前記塗布部が前記ケース本体の底部のアイカラーと対向するようにして前記ケース本体内に収納され、前記蓋体で前記ケース本体の開口が閉じられることにより、前記アイカラー塗布具の把持部が前記蓋体で押圧されて前記塗布部が圧縮された状態で前記アイカラーに圧着し、前記アイカラーに圧着した前記塗布部の表面にアイカラーが付着するようにされ、アイカラーメイクの際、前記ケースから前記アイカラー塗布具が取り出され、前記アイカラーが付着している前記塗布部の表面が瞼の上に押し付けられることを特徴とするアイカラー化粧用具に係る。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1において、前記アイカラー塗布具の塗布部は、前記収納保管時に前記アイカラーに圧着することとなる表面が予め傾斜して設けられ、前記アイカラー塗布具の収納保管時における前記塗布部の圧縮量が、前記アイカラーに圧着する塗布部の位置によって異なるようにされていることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1において、前記ケース本体内の底部に配置された前記アイカラーは、前記アイカラー塗布具の収納保管時に前記塗布部の表面と圧着するアイカラーの表面が傾斜して設けられ、前記アイカラー塗布具の収納保管時における前記塗布部の圧縮量が、前記アイカラーに圧着する塗布部の位置によって異なるようにされていることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1において、前記ケース本体の底部に、前記アイカラーが徐々に色を変化させてあるいは前記底部の所定範囲毎に色を異ならせて配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、アイカラー塗布具をケースに収納保管することにより、アイカラー塗布具の塗布部がアイカラーに圧着して塗布部表面にアイカラーが付着するため、アイカラーメイクをする際には、ケースからアイカラー塗布部の把持部を掴んで取り出し、アイカラーが付着している塗布部の表面を瞼の上に押し付け、必要に応じて擦るだけでアイカラーメイクを行うことができ、メイクを簡単に行うことができる。
【0011】
さらに、請求項1の発明によれば、アイカラー塗布具がケースに収納保管されることによって、ケース内のアイカラーに塗布部の表面が一定の圧力で圧着するため、塗布部表面へのアイカラーの付着量が一定し、メイク毎のばらつきを抑えることができる。
【0012】
請求項2及び3の発明によれば、アイカラー塗布具がケースに収納保管された際に、ケース内のアイカラーと圧着する塗布部の表面が傾斜していることにより、あるいは塗布部の表面と圧着するアイカラーの表面が傾斜していることにより、塗布部はアイカラーとの圧着位置によって圧縮量が異なり、塗布部の表面とアイカラーとの圧着力が異なったものとなる。従って、圧着力が大の位置、すなわち塗布部の表面がアイカラーに強く押し付けられている部位ではアイカラーの付着量が多くなり、一方、圧着力が小の位置、すなわち塗布部の表面がアイカラーに弱く押し付けられている部位ではアイカラーの付着量が少なくなるため、塗布部表面におけるアイカラーの付着量が、塗布部表面の傾斜あるいはアイカラー表面の傾斜に応じて徐々に変化したものとなる。そのため、アイカラーメイク時に、アイカラーの付着量が徐々に変化している塗布部の表面を瞼の上に押し付けることにより、グラディエーションを有するアイカラーメイクを容易に、かつメイク毎のばらつきを抑えて行うことができる。
【0013】
請求項4の発明によれば、ケースに収納保管されたアイカラー塗布具の塗布部表面に、アイカラーが色を徐々に変化して(濃度の変化を含む)付着し、あるいはアイカラーが所定範囲毎に色を異ならせて(濃度が異なる場合を含む)付着するため、アイカラーメイク時に、アイカラーの付着している塗布部の表面を瞼の上に押し付けることにより、グラディエーションや所定範囲毎に色が異なるアイカラーメイクを容易に、かつメイク毎のばらつきを抑えて行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明におけるアイカラー化粧用具の第一実施形態の図である。
【図2】本発明におけるアイカラー塗布具の第一実施形態の斜視図である。
【図3】第1実施形態におけるアイカラー塗布具の収納保管の際を示す断面図である。
【図4】第1実施形態におけるアイカラー塗布具の取り出し時を示す断面図である。
【図5】第2実施形態におけるアイカラー塗布具の収納保管の際を示す断面図である。
【図6】第2実施形態におけるアイカラー塗布具の取り出し時を示す断面図である。
【図7】第3実施形態におけるアイカラー塗布具の収納保管の際を示す断面図である。
【図8】第3実施形態におけるアイカラー塗布具の取り出し時を示す断面図である。
【図9】第4実施形態におけるアイカラー塗布具の収納保管の際を示す断面図である。
【図10】第4実施形態におけるアイカラー塗布具の取り出し時を示す断面図である。
【図11】アイカラーメイクを行う際の瞼付近を示す図である。
【図12】アイカラーと共にチップがされた従来のケースの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のアイカラー化粧用具の実施形態について説明する。図1に示す第1実施形態のアイカラー化粧用具10は、ケース11と、前記ケース内に配置されたアイカラー(アイカラー化粧料)25と、前記ケース11に収納保管され、アイカラーメイクの際に前記ケース11から取り出されるアイカラー塗布具31とよりなる。
【0016】
前記ケース11は、図3にも示すように、ケース本体12と蓋体17とよりなる。
前記ケース本体12は、一側(図示の例では上側)が開口した容器状からなる。符号16はケース本体の開口である。前記ケース本体12内の底部13は、略平面で構成され、前記底部13に所定色のアイカラー25が配置されている。前記ケース本体12の横断面形状(図1のA−A断面図に示す断面形状)は、前記アイカラー塗布具31の横断面と略等しくされ、前記アイカラー塗布具31をケース本体12内に開口16から挿入可能な形状となっている。
【0017】
前記蓋体17は、前記ケース本体12の一側の開口16を開閉するものであり、前記ケース本体12の開口16を塞ぐことのできる大きさからなる。前記蓋体17とケース本体12は、図示の例では、ヒンジ21で連結されたプラスチック成形品からなり、前記ヒンジ21とは反対側に係合突部18と係合凹部14からなる係合手段が設けられている。前記係合突部18と係合凹部14は、前記開口16を蓋体17で閉じた際に係合して閉状態を維持する。なお、前記蓋体17とケース本体12は、ヒンジで連結されることなく分離したものとし、前記ケース本体12の開口16に嵌着可能にしてもよい。
【0018】
前記アイカラー25は、所定の色をしたパウダー等の化粧料からなり、前記ケース本体12内の底部13上に層状に設けられている。
【0019】
前記アイカラー塗布具31は、塗布部32と把持部35とが積層一体化された積層体で構成されている。
前記塗布部32は、連続気泡構造の弾性発泡体からなる。連続気泡構造とすることにより、前記アイカラー25に塗布部32が圧着した際に、塗布部32の表面33に良好にアイカラー25を付着させることができる。連続気泡構造の弾性発泡体としては、好ましくはセル数が20〜100個/25mm(JIS K6400準拠)、より好ましくは40〜80個/25mm、硬さが20〜70N/314cm2(ILD準拠)、より好ましくは30〜40N/314cm2のものである。前記セル数の範囲とすることにより、前記塗布部32の表面にアイカラーを密に付着させることができ、また、前記硬さの範囲とすることにより、アイカラー塗布具31を前記ケース11に収納保管した際に、前記塗布部32を圧縮させてアイカラー25に圧着させることができる。前記塗布部32の厚み(高さ)a1は適宜設定されるが、好ましくは通常5〜50mm、より好ましくは10〜30mmである。前記塗布部32の表面33の形状は、アイカラーメイクを行う瞼の上(表面)の範囲(形状)に合わせるのが好ましい。
【0020】
前記把持部35は、アイカラー塗布具31を使用する際に掴まれる部分であり、前記塗布部32よりも硬度の高い材質、好ましくは60kPa以上(BS ISO 7214 1998準拠)の硬さを有する材質からなる。前記把持部35の材質としては、前記塗布部32よりも硬度の高い材質であれば特に限定されるものではなく、発泡体、非発泡のプラスチック、木製、金属製等を挙げることができる。前記把持部35は、接着等によって前記塗布部32と接合されている。前記把持部35の厚み(高さ)a2は、把持し易い寸法であればよく、例えば10〜50mm程度を挙げる。また、図示の例では、前記把持部35の側部形状は前記塗布部32の側部形状と等しくされているが、把持部35を掴むことができる形状であればよく、特に限定されるものではない。
【0021】
前記塗布部32と把持部35からなる積層体の両端間の長さ(すなわちアイカラー塗布具31の両端間の長さ(距離))aは、前記ケース本体11の開口16を閉じた状態の前記蓋体17と前記ケース本体11内のアイカラー25との間隔f(図3の(3−3)に示す)よりも大にされている。
【0022】
前記アイカラー化粧用具10は、非メイク時、図3の(3−1)〜(3−3)に示すように、前記アイカラー塗布具31が前記ケース本体12の開口16からケース本体12内に挿入されて収納保管される。その際、前記アイカラー塗布具31は、前記塗布部32が前記ケース本体12の底部のアイカラー25と対向するようにして前記ケース本体12内に収納され、前記蓋体17で前記ケース本体12の開口16が閉じられる。これにより、図3の(3−3)に示すように、前記アイカラー塗布具31の把持部35が前記蓋体17で押圧されて前記塗布部32が圧縮された状態で前記アイカラー25に圧着し、前記アイカラー25に圧着した前記塗布部32の表面にアイカラーが付着する。
【0023】
一方、アイカラーメイクの際には、図4のように前記蓋体17を開け、前記ケース本体12から突出した前記把持部35を掴んで前記ケース11から前記アイカラー塗布具31を取り出し、アイカラー29(前記ケース本体12の底部のアイカラ−25と同じもの)が付着している前記塗布部32の表面を、図11に示す瞼41の上(表面)に押し付け、前記塗布部25のアイカラー29を瞼41の上(表面)に塗布する。このようにしてアイカラーメイクを行えるため、アイカラーメイク毎のばらつきを抑えることができ、しかも簡単にメイクすることができる。
【0024】
図1〜図4のアイカラー化粧用具10の材質、寸法等について一例を具体的に示す。
前記ケース本体12及び蓋体17は材質ポリスチレンからなり、ケース本体11の開口16を閉じた状態の蓋体17とケース本体11内のアイカラー25との間隔fが40mmである。
前記アイカラー塗布具31は、右瞼用のものであり、積層体の両端間の長さ(すなわちアイカラー塗布具31の両端間の長さ(距離))aが50mm、大側の幅bが40mm、小側の幅eが35mm、大側の奥行きcが30mm、小側の奥行きdが20mmである。
前記塗布部32は、セル数58個/25mm(JIS K6400準拠)、硬さ35N/314cm2(ILD)の軟質ポリウレタンフォームからなり、厚み(高さ)a1が25mmである。
前記把持部35は、硬さ69kPa(BS ISO 7214 1998準拠)のポリエチレンフォームからなり、厚み(高さ)a2が25mmである。
【0025】
図5及び図6に示す第2実施形態のアイカラー化粧用具10Aは、アイカラー塗布具31Aの収納保管時にケース本体12A内の底部13Aのアイカラー25Aと圧着することとなるアイカラー塗布具31Aの塗布部32Aの表面33Aが、傾斜して設けられている。前記ケース本体12A内の底部13Aは、第1実施形態のケース本体12内の底部13と同様に傾斜の無い平面となっている。その他の構成は、第1実施形態のアイカラー化粧用具10と同様である。なお、第2実施形態では、第1実施形態の同一名称の部材と区別するため、符号にAを併記した。図5はアイカラー化粧用具10Aをケース11Aに収納保管する際を示し、一方、図6はアイカラーメイク時にアイカラー化粧用具10Aをケース11Aから取り出す際を示す。
【0026】
第2実施形態のアイカラー化粧用具10Aにおいては、前記アイカラー塗布具31Aが前記ケース11Aに収納保管された際、ケース11A内のアイカラー25Aと圧着する前記塗布部32Aの表面33Aが傾斜していることにより、前記塗布部32Aはアイカラー25Aとの圧着位置によって圧縮量が異なり、前記塗布部32Aの表面33Aとアイカラー25Aとの圧着力が塗布部32Aの表面33Aの位置によって異なったものとなる。従って、圧着力が大の位置、すなわち塗布部32Aの表面33Aがアイカラー25Aに強く押し付けられている部位331Aではアイカラーの付着量が多くなり、一方、圧着力が小の位置、すなわち塗布部32Aの表面33Aがアイカラー25Aに弱く押し付けられている部位332Aではアイカラーの付着量が少なくなるため、図6に示すように塗布部32Aの表面33Aにおけるアイカラー29Aの付着量が、塗布部の表面33Aの傾斜に応じて徐々に変化したものとなる。符号291Aはアイカラーの付着量大側、符号292Aはアイカラーの付着量小側である。そのため、アイカラーメイク時に、アイカラー29Aの付着量が徐々に変化している塗布部32Aの表面33Aを瞼41の上(表面)に押し付けることにより、グラディエーションを有するアイカラーメイクを容易に、かつメイク毎のばらつきを抑えて行うことができる。さらに、前記塗布部32Aの表面33Aの傾斜角度を異ならせることによってアイカラーの付着量の変化を調節することができるため、使用者の好みに応じた多種類のアイカラー化粧用具を用意することもできる。
【0027】
図7及び図8に示す第3実施形態のアイカラー化粧用具10Bは、ケース本体12B内の底部13Bが傾斜して設けられ、該傾斜した底部13B上にアイカラー25Bが層状に配置されている。アイカラー塗布具31Bにおける塗布部32Bの表面33Bは、第1実施形態の塗布部32の表面33と同様に傾斜の無い平面となっている。その他の構成は、第1実施形態のアイカラー化粧用具10と同様である。なお、第3実施形態では、第1実施形態の同一名称の部材と区別するため、符号にBを併記した。図7はアイカラー化粧用具10Bをケース11Bに収納保管する際を示し、一方、図8はアイカラーメイク時にアイカラー化粧用具10Bをケース11Bから取り出す際を示す。
【0028】
第3実施形態のアイカラー化粧用具10Bにおいては、前記アイカラー塗布具31Bが前記ケース11Bに収納保管された際、前記塗布部32Bの表面33Bと圧着するアイカラー25Bの表面が傾斜していることにより、前記塗布部32Bはアイカラー25Bとの圧着位置によって圧縮量が異なり、塗布部32Bの表面33Bとアイカラー25Bとの圧着力が異なったものとなる。従って、圧着力が大の位置、すなわち前記塗布部32Bの表面33Bがアイカラー25Bに強く押し付けられている部位331Bではアイカラーの付着量が多くなり、一方、圧着力が小の位置、すなわち前記塗布部32Bの表面33Bがアイカラー25Bに弱く押し付けられている部位332Bではアイカラーの付着量が少なくなるため、図8に示すように前記塗布部32Bの表面33Bにおけるアイカラー29Bの付着量が、前記アイカラー25Bの表面の傾斜に応じて徐々に変化したものとなる。符号291Bはアイカラーの付着量大側、符号292Bはアイカラーの付着量小側である。そのため、アイカラーメイク時に、アイカラー29Bの付着量が徐々に変化している塗布部32Bの表面を瞼の上に押し付けることにより、グラディエーションを有するアイカラーメイクを容易に、かつメイク毎のばらつきを抑えて行うことができる。さらに、前記ケース本体12B内の底部13Bの傾斜角度を異ならせることによってアイカラーの付着量の変化を調節することができるため、使用者の好みに応じた多種類のアイカラー化粧用具を用意することもできる。
【0029】
図9及び図10に示す第4実施形態のアイカラー化粧用具10Cは、ケース本体12C内の底部13C上にアイカラー251C、252C、253Cが、前記底部13Cの所定範囲毎に色を異ならせて配置されている。符号251C、252C、253Cは互いに異なる色のアイカラーである。異ならせる色には、濃度、青や緑などの色の種類等を含む。ケース本体12Cの底部13C及びアイカラー塗布具31Cにおける塗布部32Cの表面33Cは、第1実施形態の底部13及び塗布部32の表面33と同様に傾斜の無い平面となっている。その他の構成は、第1実施形態のアイカラー化粧用具10と同様である。なお、第4実施形態では、第1実施形態の同一名称の部材と区別するため、符号にCを併記した。図9はアイカラー化粧用具10Cをケース11Cに収納保管する際を示し、一方、図10はアイカラーメイク時にアイカラー化粧用具10Cをケース11Cから取り出す際を示す。
【0030】
第4実施形態のアイカラー化粧用具10Cにおいては、前記ケース11Cに収納保管されたアイカラー塗布具31Cの塗布部32Cの表面33Cに、所定範囲毎に色を異ならせたアイカラー251C、252C、253Cが付着するため、図10に示すように、アイカラーメイク時には、前記色の異なるアイカラー291C(前記アイカラー251Cの付着物)、292C(前記アイカラー252Cの付着物)、293C(前記アイカラー253Cの付着物)が付着している塗布部32Cの表面33Cを、瞼の上に押し付けることにより、グラディエーションや所定範囲毎に色が異なるアイカラーメイクを容易に、かつメイク毎のばらつきを抑えて行うことができる。
【0031】
また、前記第4実施形態においては、前記ケース本体12Cの底部13Cに所定範囲毎にアイカラーの色を変化させて設けたが、それに代えて色を徐々に変化させて設けてもよい。このようにアイカラーの色を徐々に変化させて前記ケース本体12Cの底部13Cに配置すれば、連続的に色を変化(濃度変化を含む)させたアイカラーメイクを容易に、かつメイク毎のばらつきを抑えて行うことができる。
【0032】
このように、本発明のアイカラー化粧用具は、ケースからアイカラー塗布部を取り出し、アイカラーが付着している塗布部の表面を瞼の上に押し付け、必要に応じて擦るだけでアイカラーメイクを行うことができ、メイクを簡単に行うことができる。さらに、アイカラー塗布具がケースに収納保管されることによって、ケース内のアイカラーに塗布部の表面が一定の圧力で圧着するため、塗布部表面へのアイカラー付着量が一定し、メイク毎のばらつきを抑えることができる。
【0033】
なお、前記の実施形態では、塗布部を左右の瞼毎に異ならせて形成する例を示したが、前記塗布部の表面形状を左右の瞼で共通にし、一つのアイカラー塗布具で左右の瞼をアイカラーメイクできるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0034】
10,10A,10B,10C アイカラー化粧用具
11,11A,11B,11C ケース
12,12A,12B,12C ケース本体
13,13B,13B,13C 底部
17,17A,17B,17C 蓋体
25,25A,25B,251C,252C,253C ケース本体のアイカラー
29,29A,29B,291C,292C,293C 塗布部表面のアイカラー
31,31A,31B,31C アイカラー塗布具
32,32A,32B,32C 塗布部
35,35A,35B,35C 把持部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、前記ケース内に配置されたアイカラーと、前記ケースに収納保管され、アイカラーメイクの際に前記ケースから取り出されるアイカラー塗布具とよりなり、
前記ケースは、一側が開口したケース本体と前記ケース本体の一側の開口を開閉する蓋体とよりなり、
前記アイカラーは、前記ケース本体内の底部に配置され、
前記アイカラー塗布具は、連続気泡構造の弾性発泡体からなる塗布部と前記塗布部よりも硬度の高い部材からなる把持部との積層体からなって、前記積層体の両端間の長さが、前記ケース本体の開口を閉じた状態の前記蓋体と前記ケース本体内のアイカラーとの間隔よりも大にされ、
前記アイカラー塗布具が前記ケース本体の開口からケース本体内に挿入されて収納保管される際、前記アイカラー塗布具は前記塗布部が前記ケース本体の底部のアイカラーと対向するようにして前記ケース本体内に収納され、前記蓋体で前記ケース本体の開口が閉じられることにより、前記アイカラー塗布具の把持部が前記蓋体で押圧されて前記塗布部が圧縮された状態で前記アイカラーに圧着し、前記アイカラーに圧着した前記塗布部の表面にアイカラーが付着するようにされ、
アイカラーメイクの際、前記ケースから前記アイカラー塗布具が取り出され、前記アイカラーが付着している前記塗布部の表面が瞼の上に押し付けられることを特徴とするアイカラー化粧用具。
【請求項2】
前記アイカラー塗布具の塗布部は、前記収納保管時に前記アイカラーに圧着することとなる表面が予め傾斜して設けられ、前記アイカラー塗布具の収納保管時における前記塗布部の圧縮量が、前記アイカラーに圧着する塗布部の位置によって異なるようにされていることを特徴とする請求項1に記載のアイカラー化粧用具。
【請求項3】
前記ケース本体内の底部に配置された前記アイカラーは、前記アイカラー塗布具の収納保管時に前記塗布部の表面と圧着するアイカラーの表面が傾斜して設けられ、前記アイカラー塗布具の収納保管時における前記塗布部の圧縮量が、前記アイカラーに圧着する塗布部の位置によって異なるようにされていることを特徴とする請求項1に記載のアイカラー化粧用具。
【請求項4】
前記ケース本体の底部に配置されたアイカラーは、徐々に色を変化させてあるいは前記底部の所定範囲毎に色を異ならせて設けられていることを特徴とする請求項1に記載のアイカラー化粧用具。
【請求項1】
ケースと、前記ケース内に配置されたアイカラーと、前記ケースに収納保管され、アイカラーメイクの際に前記ケースから取り出されるアイカラー塗布具とよりなり、
前記ケースは、一側が開口したケース本体と前記ケース本体の一側の開口を開閉する蓋体とよりなり、
前記アイカラーは、前記ケース本体内の底部に配置され、
前記アイカラー塗布具は、連続気泡構造の弾性発泡体からなる塗布部と前記塗布部よりも硬度の高い部材からなる把持部との積層体からなって、前記積層体の両端間の長さが、前記ケース本体の開口を閉じた状態の前記蓋体と前記ケース本体内のアイカラーとの間隔よりも大にされ、
前記アイカラー塗布具が前記ケース本体の開口からケース本体内に挿入されて収納保管される際、前記アイカラー塗布具は前記塗布部が前記ケース本体の底部のアイカラーと対向するようにして前記ケース本体内に収納され、前記蓋体で前記ケース本体の開口が閉じられることにより、前記アイカラー塗布具の把持部が前記蓋体で押圧されて前記塗布部が圧縮された状態で前記アイカラーに圧着し、前記アイカラーに圧着した前記塗布部の表面にアイカラーが付着するようにされ、
アイカラーメイクの際、前記ケースから前記アイカラー塗布具が取り出され、前記アイカラーが付着している前記塗布部の表面が瞼の上に押し付けられることを特徴とするアイカラー化粧用具。
【請求項2】
前記アイカラー塗布具の塗布部は、前記収納保管時に前記アイカラーに圧着することとなる表面が予め傾斜して設けられ、前記アイカラー塗布具の収納保管時における前記塗布部の圧縮量が、前記アイカラーに圧着する塗布部の位置によって異なるようにされていることを特徴とする請求項1に記載のアイカラー化粧用具。
【請求項3】
前記ケース本体内の底部に配置された前記アイカラーは、前記アイカラー塗布具の収納保管時に前記塗布部の表面と圧着するアイカラーの表面が傾斜して設けられ、前記アイカラー塗布具の収納保管時における前記塗布部の圧縮量が、前記アイカラーに圧着する塗布部の位置によって異なるようにされていることを特徴とする請求項1に記載のアイカラー化粧用具。
【請求項4】
前記ケース本体の底部に配置されたアイカラーは、徐々に色を変化させてあるいは前記底部の所定範囲毎に色を異ならせて設けられていることを特徴とする請求項1に記載のアイカラー化粧用具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−34524(P2013−34524A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170820(P2011−170820)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(000119232)株式会社イノアックコーポレーション (1,145)
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