説明

アイロン

【課題】前進と後退の両方向移動で効率よくアイロン掛けがおこなえるとともに、後端部の方向へアイロンを後退させるときの使い勝手をよくする。
【解決手段】前端部6aおよび後端部6bを尖形に形成した掛け面6を略垂直にしてアイロン本体1を自立状態に支持する支持部を設け、前記支持部は、前記後端部の両側にアイロン本体1から後方へ突出して設けた第1の支持部14aおよび第2の支持部14bと、握り部11の後部に設けた第3の支持部11aを有し、前記第1の支持部と第2の支持部間に前記掛け面6の後端部6bを視認可能にする空間部15aを設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等のしわ伸ばしに用いられるアイロンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のアイロンは、掛け面の先端部分を尖った形状にしてあり、衣類の上を滑らせることで、アイロンの進行方向へ衣類を押し広げながらアイロン掛けを行い、衣類のしわを伸ばすとともに、衣類のボタン回りの細かい作業が容易におこなえるようになっている。アイロン掛け作業は、アイロン台上の限られた広さの中でおこなわれるので、衣類の形を整えながら衣類の上でアイロンを往復させ、前進と後退の動作が繰り返される。アイロンの掛け面は、一般的に後部が尖っていないため、後退時は、アイロンに押圧力をかけず、衣類上で掛け面の後部を浮かせ気味に移動させることで、アイロンでしわを付けてしまう誤操作を防止することができる。
【0003】
しかしながら、アイロン掛けはアイロンの往復動作で効率よく衣類のしわを伸ばすことができるので、この種の失敗は多く、アイロンで付けたしわはとり難いものである。そこで、図10に示すように、掛け面101の後端部102を先端部103と同様に尖った形状にすることが考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2009−28385号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたアイロンは、掛け面101の後端部102を尖った形状にして、アイロンを後退させた時の戻りジワを防止するようにしたものであるが、尖った後端部102の上方は把手体104で覆われており、衣類上でアイロンを後退させるときに、尖った後端部102の近傍の衣類が見えないという問題があった。
【0005】
一般に、アイロン掛け作業は、衣類上でアイロンを移動させるしわ伸ばし動作と、衣類の形を整える動作があり、このしわ伸ばし動作と衣類の形を整える動作を繰り返しながらアイロン掛けがおこなわれる。特許文献1に記載されたコードレスアイロンの場合は、衣類の形を整える小休止時に、アイロンは載置台に置かれる。
【0006】
載置台に置かれたときにアイロンのヒータに通電され、かけ面101の後端部102の近傍上方に給電用の接続端子105が設けられる。したがって、かけ面101の後端部102は、先端部103のような視認性を実現することが難しく、アイロンを後退させるときに尖った後端部102の近傍を見る視線が把手体104によって遮られ、アイロンの後退時に尖った後端部102の前方近傍を視認することができず、かけ面101の後端部102を尖った形状にしただけでは、アイロンを後退させたときの誤操作でアイロンでしわをつけてしまうという問題は解決されない。
【0007】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、アイロン掛け時における掛け面の後端部の視認性を確保し、前進と後退の両方向移動で効率よくアイロン掛けがおこなえるようにするとともに、尖った形状にした後端部の方向へアイロンを後退させるときの使い勝手をよくすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するために、本発明のアイロンは、ヒータによって加熱されるベースと、前記ベースの下面に設けその前端部および後端部を尖形に形成した掛け面と、前
記ベースの上面を覆う断熱板と、前記断熱板の上方に設けるとともに握り部を有する把手体と、前記掛け面を略垂直にしてアイロン本体を自立状態に支持する支持部とを備え、前記支持部は、前記後端部の両側に前記アイロン本体から後方へ突出して設けた第1および第2の支持部と、前記握り部の後部に設けた第3の支持部を有し、前記第1および第2の支持部間に前記掛け面の後端部を視認可能にする空間部を設けたものである。
【0009】
これによって、アイロン掛け時における掛け面の後端部の視認性を確保し、前進と後退の両方向移動で効率よくアイロン掛けがおこなえるとともに、後端部の方向へアイロンを後退させるときの使い勝手をよくすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアイロンは、前進と後退の両方向移動で効率よくアイロン掛けがおこなえるとともに、後端部の方向へアイロンを後退させるときの使い勝手をよくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
第1の発明は、ヒータによって加熱されるベースと、前記ベースの下面に設けその前端部および後端部を尖形に形成した掛け面と、前記ベースの上面を覆う断熱板と、前記断熱板の上方に設けるとともに握り部を有する把手体と、前記掛け面を略垂直にしてアイロン本体を自立状態に支持する支持部とを備え、前記支持部は、前記後端部の両側に前記アイロン本体から後方へ突出して設けた第1および第2の支持部と、前記握り部の後部に設けた第3の支持部を有し、前記第1および第2の支持部間に前記掛け面の後端部を視認可能にする空間部を設けたことにより、アイロン掛け時における後退時に掛け面の後端部の視認性を確保することができ、前端部の方向へ移動させる前進動作と、後端部の方向へ移動させる後退動作の両方向移動で、効率よくアイロン掛けがおこなえるとともに、後端部の方向へアイロンを後退させるときの使い勝手をよくすることができる。
【0012】
第2の発明は、特に、第1の発明の掛け面の後端部は、支持部によりアイロン本体を自立状態に設置したとき、前記アイロン本体の設置面から所定距離上方に位置するようにしたことにより、アイロンの設置時に高温に加熱されている掛け面の熱によって、設置面が過熱されることがなく、安全に設置することができる。
【0013】
第3の発明は、特に、第2の発明の第1および第2の支持部は、掛け面の後端部より後方へ突出するようにしたことにより、アイロンの設置時に設置面が過熱されるのを防止することができる。
【0014】
第4の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明の第1および第2の支持部は、掛け面の後端部から側方へ離れる距離を略同等に設定したことにより、後退時における後端部の前方近傍の視認性をよくすることができ、左右のいずれの手で使用している場合でも、視認可能な範囲が偏るのを防止してバランスよく確保することができる。
【0015】
第5の発明は、特に、第1〜第4のいずれか1つの発明の第1および第2の支持部は、断熱板の外周側面に沿って略U字状に形成した支持部構成体の両端部に設けたことにより、掛け面の後端部の尖った部分の視認性をよくすることに加えて、掛け面の外周部や、先端部の尖部の視認性をも向上することができる。また、アイロン本体に支持部構成体を装着することによって、アイロン本体を自立状態に支持する支持部を容易に構成することができる。
【0016】
第6の発明は、特に、第5の発明のベースに形成されたスチーム発生用の気化室と、前記気化室に供給する水を蓄えるとともに断熱板の上方に配設した水タンクを有し、前記水タンクと前記断熱板との隙間を前記支持部構成体で覆うようにしたことにより、断熱板の
外壁を伝わって上昇する掛け面の熱が、断熱板と水タンクの間から侵入するのを防ぐことができ、水タンクの熱的劣化を防止することができる。
【0017】
第7の発明は、特に、第1〜第6のいずれか1つの発明の第1および第2の支持部は、掛け面から上方へ所定の高さを有してアイロン本体から後方へ突出させた棒状体で構成し、前記棒状体により前記第1および第2の支持部の間に第1の空間部を形成するとともに、前記第1および第2の支持部と握り部の後部に設けた第3の支持部の間に第2の空間部を形成したことにより、アイロン本体を自立状態に支持する支持部で空間部の形成が容易であり、棒状体の水平方向の間隔を任意に設定することで、自立状態に設置するアイロン本体を安定して支持することができるとともに、視認可能な目線の角度を広範囲にして、アイロンの移動に応じた視認性を確保することができる。
【0018】
第8の発明は、特に、第1〜第7のいずれか1つの発明の把手体の後部にターミナル部を内蔵するとともに、前記ターミナル部を覆う把手裏板を有し、前記把手裏板は、その中央部を前方へ窪ませて第3の空間部が形成されるようにしたことにより、後退時における後端部の前方近傍の視認可能な範囲を拡大して、アイロンの移動に応じた視認性を確保することができる。
【0019】
第9の発明は、特に、第1〜第8のいずれか1つの発明の第1および第2の支持部は、前記把手体の後部を後方へ突出させて形成したことにより、アイロン掛け時における後退時に、掛け面の後端部の視認性を確保することができるとともに、簡単かつ堅牢な構成でアイロン本体を自立状態に安定支持することができる。
【0020】
第10の発明は、特に、第1〜第8のいずれか1つの発明の第1および第2の支持部は、前記断熱板の後部を後方へ突出させて形成したことにより、アイロン掛け時における後退時に、掛け面の後端部の視認性を確保することができるとともに、簡単かつ堅牢な構成でアイロン本体を自立状態に安定支持することができる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるアイロンの上面図、図2は、同アイロンの設置時の側面図、図3は、同アイロンの支持部構成体の斜視図、図4は、同アイロンの斜視図、図5は、同アイロンの要部断面図、図6は、同アイロンの斜視図である。
【0023】
図1〜図6において、アイロン本体1は、埋設したヒータ2によって加熱されるベース3と、このベース3の上面に凹状に形成したスチームを発生させる気化室4と、ベース3の下面に気化室4で発生したスチームを噴出させるスチーム穴5を有し、ベース3の前端部6aと後端部6bを尖形に形成した掛け面6を備えている。
【0024】
樹脂性の水タンク7には気化室4に供給する水が貯えられ、スチームダイヤル8を使用者が外部操作することにより、水タンク7の水が気化室4に供給、停止される。断熱板9はベース3の上面を覆うように設けられ、樹脂性の把手体10は断熱板9の上方に配設され、握り部11を形成している。
【0025】
把手裏板12は断熱板9と把手体10の間に設けられ、把手体10の後部内に形成したターミナル部(図示せず)を後方から覆うように構成している。ターミナル部は、握り部11の後部から引き出される電源コード16とヒータ2回路が接続されている。
【0026】
支持部構成体13は水タンク7と断熱板9の外周側面に沿って略U字状に形成され、その両端部には、掛け面6を略垂直にしてアイロン本体1を自立状態に支持するときの設置面イと当接する第1の支持部14aと第2の支持部14bを設けている。この第1の支持部14aと第2の支持部14bは、後端部6bの両側で、掛け面6から上方へ所定の高さロを有して、アイロン本体1から後方へ棒状体で突出させている。
【0027】
握り部11の後部に第3の支持部11aを設け、第1の支持部14aと第2の支持部14bと第3の支持部11aの3点でアイロン本体1を自立状態に支持する。アイロン本体1を自立状態に支持したとき、アルミ合金で鋳造したベース2の掛け面6は、前端部6aを把手体10側へ傾斜するようにしてあり、重心のバランスをとって設置時の安定性をよくしている。
【0028】
第1の支持部14aと第2の支持部14bの間に、握り部11を把持してアイロン本体1を後退させるときに、掛け面6の後端部6bの前方近傍を視認するための開放された第1の空間部15aを構成している。
【0029】
また、第1の支持部14aおよび第2の支持部14bと、第3の支持部11aとの間に、各々開放された第2の空間部15bを構成し、さらに、把手裏板12の中央部を前方へ窪ませて第3の空間部15cが形成されるように構成してあり、アイロン本体1の後退時に、掛け面6の後端部6bの前方近傍の視認可能な目線の角度が広い範囲になり、アイロンの移動に応じた視認性が確保されるようにしている。
【0030】
第1の支持部14aと第2の支持部14bおよび第3の支持部11aで、アイロン本体1を自立状態に支持する支持部を構成し、この支持部によりアイロン本体1を自立状態に設置したとき、掛け面6の後端部6bは、アイロン本体1の設置面イから所定距離ロ上方に位置するようにしている。
【0031】
また、アイロン本体1から後方へ棒状体で突出させた第1の支持部14aおよび第2の支持部14bは、後端部6bより後方へ突出させるとともに、後端部6bから側方へ両側に離れる距離ハを略同等に設定している。
【0032】
支持部構成体13は、水タンク7と断熱板9の外周側面に沿って略U字状に形成し、断熱板9の上部と水タンク7の下部との間に形成される隙間ニを外側から覆って遮蔽するように構成している。
【0033】
以上のように構成しアイロンの動作、作用について説明する。まず、スチームダイヤル8を操作して水タンク7内の水を気化室4に供給すると、ヒータ2で加熱された気化室4でスチームが発生し、スチーム穴5から外部に噴出され、衣類等にスチームを供給しながらアイロン掛けをおこなうことができる。
【0034】
このとき、掛け面6の前端部6aの前方近傍を見ながら前端部6aで衣類を押し広げるように前進させた後、往復運動で後端部6b側へ後退させるときは、第1の空間部15aおよび第2の空間部15bによって、後端部6b前方近傍の衣類の状態は、握り部11を把持した状態で視認することができるので、後端部6bを前進させる方向へ握り部11を把持する方向を変換することなく、また、握り部11を他方の手に持ちかえることなく後退させることができ、アイロンでしわをつけてしまう失敗をなくすことができる。
【0035】
したがって、握り部11を持ちかえてアイロンを移動させるときの方向をかえることなく、前端部6aの方向へ移動させる前進動作と、後端部6bの方向へ移動させる後退動作の往復動作で、効率よくアイロン掛けがおこなえるとともに、後端部6bの方向へアイロ
ンを後退させるときに良好な視認性を確保して、使い勝手をよくすることができる。
【0036】
また、掛け面6の後端部6bは、支持部によりアイロン本体1を自立状態に設置したとき、アイロン本体1の設置面イから所定距離ロ上方に位置するようにしているので、アイロンの設置時に高温に加熱されている掛け面6の熱によって、設置面イが過熱されることがなく、安全に設置することができる。
【0037】
また、第1の支持部14aおよび第2の支持部14bは、掛け面6の後端部6bより後方へ突出するようにしているので、アイロンの設置時に掛け面6の後端部6bが設置面イから上方への距離を確保することができ、設置面イが過熱されるのを防止することができる。
【0038】
また、第1の支持部14aおよび第2の支持部14bは、掛け面6の後端部6bから側方へ離れる距離ハを略同等に設定しているので、後退時における後端部6bの前方近傍の視認性をよくすることができ、左右のいずれの手で使用している場合でも、視認可能な範囲が偏るのを防止してバランスよく確保することができる。
【0039】
また、第1の支持部14aおよび第2の支持部14bは、断熱板9の外周側面に沿って略U字状に形成した支持部構成体13の両端部に設けているので、掛け面6の後端部6bの尖った部分の視認性をよくすることに加えて、掛け面6の外周部や、先端部6aの尖部の視認性をも向上することができる。また、アイロン本体1に支持部構成体13を装着することによって、アイロン本体1を自立状態に支持する支持部を容易に構成することができる。
【0040】
また、ベース3に形成されたスチーム発生用の気化室4と、気化室4に供給する水を蓄えるとともに断熱板9の上方に配設した水タンク7を有し、水タンク7と断熱板9との隙間ニを支持部構成体13で覆うようにしているので、断熱板9の外壁を伝わって上昇する掛け面6の熱が、断熱板9と水タンク7の間から侵入するのを防ぐことができ、水タンク7の熱的劣化を防止することができる。
【0041】
また、第1の支持部14aおよび第2の支持部14bは、掛け面6から上方へ所定の高さロを有してアイロン本体1から後方へ突出させた棒状体で構成し、この棒状体により第1の支持部14aおよび第2の支持部14bの間に第1の空間部15aを形成するとともに、第1の支持部14aおよび第2の支持部14bと、握り部11の後部に設けた第3の支持部11aの間に第2の空間部15bを形成しているので、アイロン本体1を自立状態に支持する支持部で空間部の形成が容易であり、棒状体の水平方向の間隔を任意に設定することで、自立状態に設置するアイロン本体1を安定して支持することができるとともに、視認可能な目線の角度を広範囲にして、アイロンの移動に応じた視認性を確保することができる。
【0042】
また、把手体10の後部にターミナル部を内蔵するとともに、このターミナル部を覆う把手裏板12を有し、把手裏板12は、その上下左右方向の中央部を前方へ窪ませて第3の空間部15cが形成されるようにしているので、後退時における後端部6bの前方近傍の視認可能な範囲を拡大して、アイロンの移動に応じた視認性を確保することができる。
【0043】
また、第1の支持部14aおよび第2の支持部14bは、把手体10の後部を後方へ突出させて形成することにより、アイロン掛け時における後退時に、掛け面6の後端部6bの視認性を確保することができるとともに、簡単かつ堅牢な構成でアイロン本体1を自立状態に安定支持することができる。
【0044】
上記のように、第1の支持部14aおよび第2の支持部14bの間に第1の空間部15aを形成することにより、後端部6bの方向へアイロンを後退させるときに後端部6b近傍の良好な視認性を確保することができる。すなわち、掛け面6の前端部6aで衣類を押し広げるように前端部6aの方向、例えば、作業者の左側へ前進させたとき、第1の空間部15aによって後端部6bの近傍が視認でき、衣類の状態を見ながら後端部6bの方向、すなわち、作業者の右側へ後退させることができる。
【0045】
やがて、作業者の前に近づくと後端部6bの近傍が視認し難くなり、アイロンの位置によって視認性は変化する。したがって、第1の空間部15aを形成することにより、後端部6b近傍の視認性が確保される範囲でアイロンを前進後退移動させて、アイロン掛けすることで、アイロンの方向を変えることなく、また、握り部11を持ち替える手間をなくして、使い勝手をよくすることができる。
【0046】
そして、第1の支持部14aおよび第2の支持部14bと、握り部11の後部に設けた第3の支持部11aの間に第2の空間部15bを併せて形成することにより、アイロンを後端部6bの方向、すなわち、作業者の右側へ後退させるときの後端部6b近傍の視認可能な範囲を拡大することができ、アイロンが作業者の前を通り過ぎても、第2の空間部15bを通して後端部6bの近傍を視認可能にすることができるので、アイロンの前進後退の移動距離を長くして使い勝手を一層よくすることができる。
【0047】
また、第3の空間部15cは、後退時における後端部6bの前方近傍の視認可能な範囲を拡大する上で有用であるが、把手体10の形状によってはなくてもよい。
【0048】
(実施の形態2)
図7は、本発明の第2の実施の形態におけるアイロンの設置時の側面図である。本実施の形態は、把手体10の後部が握り部11の後部と連結されていない、所謂オープンハンドルと呼ばれている形態としたものである。他の構成は実施の形態1と同様であり、同様の構成は同じ符号を付して、その詳細な説明は実施の形態1のものを援用する。
【0049】
上記構成によれば、把手体10の前部に握り部11の前部を連結し、この連結部10aから後方へ延びる握り部11を連結部10aで把手体10に支持し、握り部11の後部は、把手体10と連結されていない構成とすることができるので、第1の支持部14aおよび第2の支持部14bと、握り部11の後部に設けた第3の支持部11aの間に形成される第2の空間部15bを大きく開放させることができるようになり、第2の空間部15bを合理的に形成することができる。したがって、後退時における後端部6bの前方近傍の視認性を一層良好なものにして、アイロンを後退させるときの使い勝手をよくすることができる。
【0050】
(実施の形態3)
図8は、本発明の第3の実施の形態におけるアイロンの設置時の側面図、図9は、同アイロンの要部上面図である。本実施の形態は、第1の支持部14aおよび第2の支持部14bを、断熱板9の後部を後方へ突出させて形成したものである。他の構成は実施の形態1と同様であり、同様の構成は同じ符号を付して、その詳細な説明は実施の形態1のものを援用する。
【0051】
上記構成によれば、ベース3の上面を覆ってその上面に把手体10を支持する断熱板9の後部に、後方へ突出する第1の支持部14aおよび第2の支持部14bを形成し、この第1の支持部14aと第2の支持部14bとの間に第1の空間部15aを形成したものである。
【0052】
したがって、握り部11の後部に設けた第3の支持部11aとの間に所定の距離を確保することができ、アイロン掛け時における後退時に、掛け面6の後端部6bの視認性を確保することができるとともに、簡単かつ堅牢な構成でアイロン本体1を自立状態に安定支持することができる。
【0053】
なお、第1の支持部14aおよび第2の支持部14bをアイロン本体1に形成する形態として、アイロン本体1に支持部構成体13を装着した構成のほか、把手体10の後部を後方へ突出させた構成、さらには、断熱板9の後部を後方へ突出させた構成について記載したが、後退時の視認性と小休止時のアイロン本体1の支持が可能であればよい。
【0054】
また、各実施の形態では、電源コード16を握り部11の後部から引き出される構成としたが、把手体10の後部から引き出すようにしてもよい。
【0055】
また、各実施の形態では、アイロン本体1から電源コードを導出したコード付アイロンとしたが、小休止時は載置台にアイロン本体を載置して給電し、使用時はアイロン本体を載置台から取り外して使用するコードレスアイロンに実施することができ、同様の効果を得ることができる。
【0056】
また、各実施の形態では、スチームアイロンについて説明したが、スチーム発生装置のないアイロンについても同様の効果を得ることができる。
【0057】
なお、本発明は、上記各実施の形態ごとに実施することができるとともに、他の実施の形態の一部の構成を併せて実施することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上のように、本発明にかかるアイロンは、前進と後退の両方向移動で効率よくアイロン掛けがおこなえるとともに、後端部の方向へアイロンを後退させるときの使い勝手をよくすることができるので、家庭用および業務用のアイロンとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態1におけるアイロンの上面図
【図2】同アイロンの設置時の側面図
【図3】同アイロンの支持部構成体の斜視図
【図4】同アイロンの斜視図
【図5】同アイロンのA−A断面図
【図6】同アイロンの斜視図
【図7】本発明の実施の形態2におけるアイロンの設置時の側面図
【図8】本発明の実施の形態3におけるアイロンの設置時の側面図
【図9】同アイロンの要部上面図
【図10】従来のアイロンの下面図
【符号の説明】
【0060】
1 アイロン本体
2 ヒータ
3 ベース
6 掛け面
6a 前端部
6b 後端部
7 水タンク
9 断熱板
10 把手体
11 握り部
11a 第3の支持部(支持部)
12 把手裏板
13 支持部構成体
14a 第1の支持部(支持部)
14b 第2の支持部(支持部)
15a 第1の空間部(空間部)
15b 第2の空間部(空間部)
15c 第3の空間部(空間部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒータによって加熱されるベースと、前記ベースの下面に設けその前端部および後端部を尖形に形成した掛け面と、前記ベースの上面を覆う断熱板と、前記断熱板の上方に設けるとともに握り部を有する把手体と、前記掛け面を略垂直にしてアイロン本体を自立状態に支持する支持部とを備え、前記支持部は、前記掛け面の後端部の両側に前記アイロン本体から後方へ突出して設けた第1および第2の支持部と、前記握り部の後部に設けた第3の支持部を有し、前記第1および第2の支持部間に前記掛け面の後端部を視認可能にする空間部を設けたアイロン。
【請求項2】
前記掛け面の後端部は、前記支持部によりアイロン本体を自立状態に設置したとき、前記アイロン本体の設置面から所定距離上方に位置するようにした請求項1記載のアイロン。
【請求項3】
前記第1および第2の支持部は、前記掛け面の後端部より後方へ突出するようにした請求項2記載のアイロン。
【請求項4】
前記第1および第2の支持部は、前記掛け面の後端部から側方へ離れる距離を略同等に設定した請求項1〜3のいずれか1項に記載のアイロン。
【請求項5】
前記第1および第2の支持部は、前記断熱板の外周側面に沿って略U字状に形成した支持部構成体の両端部に設けた請求項1〜4のいずれか1項に記載のアイロン。
【請求項6】
前記ベースに形成されたスチーム発生用の気化室と、前記気化室に供給する水を蓄えるとともに前記断熱板の上方に配設した水タンクを有し、前記水タンクと前記断熱板との隙間を前記支持部構成体で覆うようにした請求項5記載のアイロン。
【請求項7】
前記第1および第2の支持部は、前記掛け面から上方へ所定の高さを有してアイロン本体から後方へ突出させた棒状体で構成し、前記棒状体により前記第1および第2の支持部の間に第1の空間部を形成するとともに、前記第1および第2の支持部と前記握り部の後部に設けた第3の支持部の間に第2の空間部を形成した請求項1〜6のいずれか1項に記載のアイロン。
【請求項8】
前記把手体の後部にターミナル部を内蔵するとともに、前記ターミナル部を覆う把手裏板を有し、前記把手裏板は、その中央部を前方へ窪ませて第3の空間部が形成されるようにした請求項1〜7のいずれか1項に記載のアイロン。
【請求項9】
前記第1および第2の支持部は、前記把手体の後部を後方へ突出させて形成した請求項1〜8のいずれか1項に記載のアイロン。
【請求項10】
前記第1および第2の支持部は、前記断熱板の後部を後方へ突出させて形成した請求項1〜8のいずれか1項に記載のアイロン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−220809(P2010−220809A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71314(P2009−71314)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)